説明

スイッチ

【課題】小型の携帯操作端末の小型化に対応可能であり、出力端子を操作方向へ突出させることなく、電気回路基板の縁部へ実装させることが可能なプッシュスイッチの提供。
【解決手段】上平面12と下平面13および側面14を有する平板状の本体部60と、側面14から突出する出力端子39と、からなり、出力端子39は先端部に接触部が形成された弾性変形可能な弾性片部を有し、且つ、上平面12を含む第一仮想平面Aと下平面13を含む第二仮想平面との間の空間内に形成される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ケースの側面にスイッチ操作部を有する携帯電話機等の小型電子機器に組み込まれるプッシュスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機をはじめとした小型の携帯操作端末は、本体ケースの正面及び側面に操作用のスイッチが配置される。そしてそれらのスイッチの多くは本体ケースの正面側に配置され、これによってスイッチに対応する電気回路基板も近年の電子機器の小型化とも相まって正面に平行に本体ケース内に配置される。このため本体ケースの側面に配置されるプッシュスイッチの操作面と電気回路基板とは直交する方向で配置される。
【0003】
例えば従来例として特開2007−149491号公報に示すプッシュスイッチ及びプッシュスイッチの本体ケース側面への取り付け方法がある。図8に示すように平板状の本体部を有するプッシュスイッチ100が本体ケース200の側面に操作面110が電気回路基板300に対して直交する方向に配置され、この配置関係においてプッシュスイッチ100と電気回路基板300とを電気的に接続するため、プッシュスイッチ100の出力端子120はプッシュスイッチ100の操作方向Pに突出して電気回路基板300に対し上方向から接触して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−149491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、多機能・小型化が進み、本体ケースの正面に多くの操作部が配置されることによって、電気回路基板における各種電子部品の実装密度は大きくなり、これによって端子がスイッチ本体から操作方向の後方に突出した従来例にあるようなスイッチを実装するための実装パターンを電気回路基板の中央方向に設けることは難しくなっている。
【0006】
そこで本発明は、上述の問題を鑑み、携帯電話機をはじめとした小型の携帯操作端末の小型化に対応可能であり、電気回路基板の実装密度が大きくなった際にも、スイッチ本体部から突出する出力端子を操作方向へ突出させることなく、電気回路基板の縁部へ実装させることが可能なプッシュスイッチの提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この従来の問題を解決するために、請求項1記載のプッシュスイッチは、操作面を有する上平面と、該上平面に平行な下平面と、側面と、を外形とする平板状の本体部と、前記側面から突出する出力端子と、からなる固定接点と可動接点を具備するプッシュスイッチであり、前記出力端子は薄板金属からなり、先端部に接触部が形成された弾性変形可能な弾性片部を有し、且つ、前記出力端子は前記上平面を含む第一仮想平面と前記下平面を含む第二仮想平面との間の空間内に形成されることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載のプッシュスイッチは、請求項1の構成に加え、前記出力端子は、前記側面から前記薄板金属の平面を前記操作面にほぼ平行に突出させた第一平面部と、該第一平面部に連続し前記平面を前記上平面に対してほぼ直角に折曲した第二平面部と、該第二平面部に連続し略く字状に折り曲げ形成され先端部に湾曲した接触部が形成された弾性片部と、からなり、且つ、前記側面に一対に形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載のプッシュスイッチは、請求項2の構成に加え、前記一対の出力端子は左右対称であり、各々の前記接触部を結ぶ接線が、前記側面に平行で、且つ前記本体部から離れて位置することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によると、平板状の本体部の側面から突出する出力端子が、操作面を有する上平面を含む第一仮想平面と下平面を含む第二仮想平面との間の空間内に形成されるため、携帯電話機等の本体ケース側面に本発明に係るプッシュスイッチを設置する際には、本体ケース側面に沿ってプッシュスイッチ本体部の側面幅で空間が有りさえすれば設置可能であり、これによって電気回路基板の縁部への実装も可能となり、しいては小型化された携帯電話機等への使用が容易に行えることとなる。
【0011】
請求項2の発明によると、側面に一対に弾性片部を有する出力端子が形成されているため、平面である電気回路基板に出力端子を弾性接触させて実装する際、バランスの良い接触が可能となり、安定した導通状態とすることが可能となる。
【0012】
請求項3の発明によると、一対の出力端子は左右対称であり、且つ、各々の接触部を結ぶ接線が側面に平行で、且つ本体部から離れて位置することにより、電気回路基板に側面を載置させた際には、一対の出力端子は等しく弾性変形し、等しい接触圧で電気回路基板に接触することとなり、安定した導通状態とすることが可能である。また、本体部を操作方向に対して規制する形状と、出力端子の前記接触圧を保てる状態に本体部位置を規制する形状と、が携帯電話機等の本体ケース側面に有りさえすれば、本発明に係るプッシュスイッチの設置は安定した接触状態で容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るプッシュスイッチの正面図
【図2】本発明に係るプッシュスイッチの左側面図
【図3】図2のA−A線における断面図
【図4】第一仮想平面、第二仮想平面を示した本発明に係るプッシュスイッチの正面側斜視図
【図5】本発明に係るプッシュスイッチに組み込まれるターミナルを一体成形したケースの斜視図
【図6】本発明に係るプッシュスイッチを電気回路基板に載置した状態の正面図
【図7】本発明に係るプッシュスイッチを携帯電話機等の側面部に組み込む際の概略組み込み図
【図8】従来のプッシュスイッチの組み込み図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1乃至図7は本発明の実施の形態を示したものであり、図1は本発明に係るプッシュスイッチの正面図、図2は本発明に係るプッシュスイッチの左側面図、図3は図2のA−A線における断面図、図4は第一仮想平面、第二仮想平面を示した本発明に係るプッシュスイッチの正面側斜視図、図5は本発明に係るプッシュスイッチに組み込まれるターミナルを一体成形したケースの斜視図、図6は本発明に係るプッシュスイッチを電気回路基板に載置した状態の正面図、図7は本発明に係るプッシュスイッチを携帯電話機等の側面部に組み込む際の概略組み込み図である。プッシュスイッチ01はケース10、ターミナル30、コンタクト40、およびシート50とからなる。
【0015】
ケース10はモールド材料からなる平板形状であり、開口部11を有する上平面12、上平面12に平行な下平面13、上平面12および下平面13にほぼ垂直な側面14によって外形が形成される。ここで側面14は、右側面15、左側面16、上側面17、下側面18、および右側面15と下側面18とを連続させる右傾斜側面19、左側面16と下側面18とを連続させる左傾斜側面20の6面によって構成されており、ケース10の外形は上平面12を矢視する方向において左右対称に形成されている。なお、右側面15、左側面16からは、上側面17に延出する辺を一辺として突出する右側凸部21、左側凸部22が形成されている。
【0016】
また開口部11は、略円形状に形成され、開口部11の底面には中央に後述するターミナル30の中央接点部33が表面を露出して配置され、中央接点部33の外側には同じく表面を露出してターミナル30の外側接点部34が配置されている。
【0017】
ターミナル30は導電性の薄板金属からなり、図5に示すように右側ターミナル31と左側ターミナル32があり、ケース10に一体成形される。一体成形により右側ターミナル31の一端に位置する中央接点部33および左側ターミナル32の一端に位置する外側接点部34が前述のように開口部11の底面に配置され、中央接点部33および外側接点部34から連続する一部はケース10の内部に一体成形され、それら以外の部分がケース10の外部に表われ、出力端子39を構成することとなる。
【0018】
出力端子39はターミナル30の一部であるため、薄板金属を曲げ加工することによって形成され、ケース10の右側面15、左側面16から突出し左右対称に形成される。実施例では、左右対称であるため、左側面に配置される左側ターミナル32の出力端子39についてのみ以下に説明する。
【0019】
出力端子39はケース10の左側面16から突出し、薄板金属からなる出力端子39は薄板金属の平面がケース10の上平面12に平行に突出する第一平面部35を形成する。次に第一平面部35は、ある一定箇所でほぼ直角に折り曲げられ第二平面部36を形成する。第二平面部36は帯状形状であり第一平面部35からほぼ直角に折曲されることにより左側面16に平行な面となり、ケース10に設けられた左側凸部22から離れる方向で一定位置まで延出され、その後、第二平面部が左側面16に対して離れる方向で折曲されて弾性片部37が形成されることとなる。以下、弾性片部37の形状について説明する。
【0020】
弾性片部37は第二平面部36から連続する帯状形状の薄板金属の平面をケース10から離れる方向に90度未満の角度で折曲され、本実施例においては上平面12を矢視する方向において左側面16に対し時計回りに約50度の角度で折曲された後、ある一定箇所で帯状形状の薄板金属の平面の端部がケース10に寄る方向で、90度に満たない角度で折曲され、本実施例においては約70度程度の角度で折曲されることによって、弾性片部37はケース10の上平面12を矢視する方向において略く字状に形成され、そして終端はケース10の方向に湾曲され、この湾曲部に、帯状形状の長手方向に沿い、幅のほぼ中央にビードを湾曲部の外側へ突出した接触部38が形成される。
【0021】
更に出力端子39は、左右の出力端子39がケース10の右側面15、左側面16に左右対称に配置された際には、後にプッシュスイッチ01の組み立てについての説明の中で述べる二つの特徴を満たすべく形状の形成、および配置がなされる。
【0022】
コンタクト40は、接点部材として用いられるものであり、薄板金属をドーム状に形成したものであり、接触抵抗を小さくするため、表面には高い導電性を得るための金属メッキが施されている。
【0023】
シート50はPET(ポリエチレンテレフタレート)等の高分子材料からなるフィルム状素材をケース10の上平面形状よりも小さく略相似形に形成したものであり、一方の面にはケース10に貼り付けるための粘着剤または粘着テープが塗布または貼り付けられている。
【0024】
次に、以上の各構成部品によるプッシュスイッチ01の組立てについて説明する。最初にターミナル30を一体成形したケース10にコンタクト40を組み入れる。ケース10の開口部11にコンタクト40のドーム頂上部を上向きにしてコンタクト40の外周端部が開口部11の底面に露出した外側接点部34に載置されるよう組み入れる。これによってコンタクト40のドーム頂上部は開口部11の底面に露出した中央接点部33に離間して対向することとなる。そして、次にシート50をケース10の上平面に貼り付け、これによって開口部11はテープ50によって塞がれプッシュスイッチ01が完成する。
【0025】
ここで、前述のターミナル30の形状説明の中で述べたプッシュスイッチ01が完成された状態におけるターミナル30の形状および配置に係る二つの特徴について説明する。一つ目は、プッシュスイッチ01において左右の出力端子39の接触部38の外周を結ぶ接線と、ケース10の下側面18とは平行であり、且つ前記接線はケース10の外形から外側へ図1に示す一定距離(a)を隔てて位置することとなる。
【0026】
二つ目は、プッシュスイッチ01の操作面となるシート50の表面を含み且つ範囲が限定されない第一仮想平面(A)と、ケース10の下平面13を含み且つ範囲が限定されない第二仮想平面(B)と、の間の空間に収まる形状で出力端子39が形成され、配置されることとなる。
【0027】
そして、このように完成されたプッシュスイッチ01は、携帯電話機等の電気機器に以下のように取り付けられ操作される。通常、携帯電話機等の内部には図6および図7に示すように電気回路基板70が組み込まれており、プッシュスイッチ01の出力端子39に対応する接続用パターン71が設けられている。プッシュスイッチ01は、左側ターミナル31と右側ターミナル32の各々の接触部38が前述の接続用パターン71に載置されるように位置決めされ、載置された状態からさらにプッシュスイッチ01の下側面18が電気回路基板に当接するまで弾性片部37が弾性変形され、接触部38と接続用パターン71の間に接触圧が生じ、これによってプッシュスイッチ01と電気回路基板70との接続が行われ導通されることとなる。この際、左右の出力端子39の接触部38の外周を結ぶ接線とケース10の下側面18とが平行であり、且つ一定距離を隔てて位置していることから下側面18が電気回路基板70に当接した際、左右の弾性片部37の弾性変形量は等しく一定となり、これによって左右の接触部38における接触圧は等しく一定となる。すなわちプッシュスイッチ01の下側面18を電気回路基板70に当接した状態に位置決めする部材を携帯電話機等の電気機器に設けるだけで左右の出力端子39と電気回路基板70との電気的接続が容易に可能となる。
【0028】
また、プッシュスイッチ01の操作面を含む第一仮想平面(A)と、ケース10の下平面13を含む第二仮想平面(B)との間の空間内に出力端子39が形成されているため、操作方向の奥行き方向に対する実装スペースを設けることが困難な携帯電話機等の本体ケース側面へのプッシュスイッチの設置に対しても、奥行き方向への実装スペースを必要とすることなく容易に取り付けることが可能となり、しいては携帯電話機等の小型化に寄与することとなる。そして、操作面の一部と下平面の一部あるいは全部に当接しプッシュスイッチ01の操作方向の位置を規制するスリット状の部材80を携帯電話機等の電気機器に設けるだけで容易にプッシュスイッチ01の設置が可能となる。
【0029】
更にケース10の左右に右側凸部21、左側凸部22を設けたことにより携帯電話機等の側面部に右側凸部21、左側凸部22を位置決めする部材を設けるだけでプッシュスイッチ01の取り付けが可能となる。
【0030】
また、プッシュスイッチの操作に関しては、シート50の操作面においてコンタクト40のドーム状の頂部が接する位置に凸状形状を設けることによりプッシュスイッチ01を操作する操作部材の位置決めをより容易にすることが可能である。
【0031】
このようにプッシュスイッチ01は出力端子39を含む全体が、第一仮想平面(A)と第二仮想平面(B)との間の空間に形成されていることにより、前記空間が有りさえすれば組み込みが可能であり、よって携帯電話機等の奥行き方向での実装スペースの確保が困難な側面への組み込みを有利に行うことが可能となるものである。なお、出力端子の形状は本実施例によるものだけでなく、前述の第一仮想平面(A)と第二仮想平面(B)との間の空間に収まる形状であればよく、適時、自由に形状を形成することは可能である。
【符号の説明】
【0033】
01 プッシュスイッチ
10 ケース
11 開口部
12 上平面
13 下平面
14 側面
15 右側面
16 左側面
17 上側面
18 下側面
19 右傾斜側面
20 左傾斜側面
21 右側凸部
22 左側凸部
30 ターミナル
31 右側ターミナル
32 左側ターミナル
33 中央接点部
34 外側接点部
35 第一平面部
36 第二平面部
37 弾性片部
38 接触部
39 出力端子
40 コンタクト
50 シート
60 本体部
70 電気回路基板
71 接続用パターン
80 スリット状の部材
A 第一仮想平面
B 第二仮想平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面を有する上平面と、該上平面に平行な下平面と、側面と、を外形とする平板状の本体部と、前記側面から突出する出力端子と、からなる固定接点と可動接点を備えたプッシュスイッチであり、前記出力端子は薄板金属からなり、先端部に接触部が形成された弾性変形可能な弾性片部を有し、且つ、前記出力端子は前記上平面を含む第一仮想平面と前記下平面を含む第二仮想平面との間の空間内に形成されることを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記出力端子は、前記側面から前記薄板金属の平面を前記操作面にほぼ平行に突出させた第一平面部と、該第一平面部に連続し前記平面を前記上平面に対してほぼ直角に折曲した第二平面部と、該第二平面部に連続し略く字状に折り曲げ形成され先端部に湾曲した接触部が形成された弾性片部と、からなり、且つ、前記側面に一対に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記一対の出力端子は左右対称であり、各々の前記接触部を結ぶ接線が、前記側面に平行で、且つ前記本体部から離れて位置することを特徴とする請求項2に記載のプッシュスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−151079(P2012−151079A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22133(P2011−22133)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000102500)SMK株式会社 (528)
【Fターム(参考)】