説明

スカム回収処理装置

【課題】
沈殿池や導水渠の水面に浮遊するスカムをサイフォン現象を利用して、動力を殆ど使用しない低コストのスカム回収処理装置を提供すること。
【解決手段】
給水口24と、沈殿池10の処理水面より下方に開口された排出口26とを有する主配管19と、給水口24と排出口26との間から分岐して沈殿池12の処理水面下に没入する吸水管20と、給水口24と吸水管20の分岐位置との間に開閉自在な給水弁22とを有する配管部18と、該吸水管20に摺動自在に嵌合するガイド部材30と、ガイド部材30にフレームにより固定された浮き部34と該浮き部34により付与された浮力により、開口された上端部が処理水面下の所定位置に保持されるようにした容器状のスカム収集部16とを有するスカム回収部38とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理施設の沈殿池や導水渠等の浮遊スカムを回収するスカム回収処理装置、詳しくは、サイフォン現象を利用して沈殿池や導水渠等の処理水面に浮遊するスカムを回収するスカム回収処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水処理施設では、下水が沈殿池、曝気槽及び最終沈殿池を経て処理され、処理水は処理場内水路を通して河川に放流される。また、沈降した汚泥はフライト式沈砂掻寄機等により回収されて焼却等で処理が行われている。また、沈殿池や導水渠等では、油脂や固形物等がスカムとして浮遊し、越流堰や水路を閉塞したりするおそれがあるので、浮遊スカムは手動、或いは自動的に処理場系外に収集、排出させている。
【0003】
従来のスカム回収処理装置は、例えば、特許文献1に開示されているように、沈殿地内を周回する支持アームと、該支持アームと一体に水面上を周回する掻寄板とを有し、前記掻寄板により掻き寄せられたスカムを掻寄板の通過路上に配置されたスカム流入口へ導入するようにしたもので、支持アームに取り付けられ、支持アームの先端部に沈殿池の水位の変動に応じて上下に変位させる支持アーム用フロートが設けられている。
【0004】
この技術によれば、沈殿池の水位が上昇又は下降して変化した場合でも、フロートの浮力によりスカム回収機構のスカム流入口の高さ位置が沈殿池の水位の変動に追従して上下に変位するので、スカム流入口を常に水面に対して上方位置に保つことができるとされている。
【0005】
また、特許文献2に開示されているように、水面方向に広がりをもつ受板部と、この受板部上にあって、一部を浮遊物導入用開放部として残して起立する囲い板部と、前記受板部の前記開放部から可及的に離れた位置に開口させた吸込み口部と、浮力作用により前記受板部を水面下の所要深さ位置に保持させると共に囲い板部の上端を水面上に突出させるために設けた浮子部とで浮遊物の回収体が構成され、前記受板部の吸込み口部に吸引ホースが連結自在とされている水面の浮遊物除去装置がある。
【0006】
この技術によると、回収体を浮遊物のある水面部に配置することができ、さらに、吸引用ホースを介して吸引すると、所要深さ位置に保持させた受板部上の水面に流れが生じ、浮遊物はその流れに伴って吸込み部に集められ、水と共に吸引用ホースに吸込まれ、所定の場所に回収することができるとされている。
【0007】
ところで、スカムを回収する仕組みとしては、図5(a)に示すように、沈殿池水面の水をスカム回収容器内へ越流させることによって、スカムを回収するものがある。また、この回収作業を連続で行いたい場合には、図5(b)に示すように、スカム回収容器の中に配管を配設させ、吸水を連続して行うようにする。そうすることで、沈殿池水面の水がスカム回収容器内に連続的に越流し、スカムを連続的に回収することが可能となるのである。
【特許文献1】特開2008−49224公報
【特許文献2】実開平2−139933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記文献に記載されている従来技術は、沈殿池の水位の変動によるスカム回収作業の影響を抑えることはできるが、掻寄板を水面上に周回させたり、吸引用ホースによって、回収したスカムを逐次吸引しなくてはならなかったりと、継続的な動力が必要となる。また、スカム回収作業自体が繁雑となり、装置も大がかりとなり、さらに作業コストがかかってしまうという問題が生じていた。またさらに、図5(b)に示すような回収装置では、吸水を行う動力が継続的に必要であり、やはり回収作業のコストがかかるという問題があった。
【0009】
本発明が解決しようとしている課題は、上述の問題に対応するためのもので、即ち、スカム収集部を沈殿池水面下の所定位置に保持した状態で、配管部内にサイフォン現象を生じさせ、沈殿池の水と浮遊するスカムをスカム収集部に越流させることにより収集し、そして配管部の排出口から排出先へ排出させることでスカムの回収処理を行うスカム回収処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明は、以下の技術的手段を講じている。
即ち、請求項1記載の発明は、処理水面に浮遊するスカムを回収処理するスカム回収処理装置であって、一端に給水口と、他端に前記処理水面より下方に開口された排出口とを有する主配管と、前記給水口と前記排出口との間から分岐してその先端が前記処理水面下に没入する吸水管と、前記給水口と前記吸水管の分岐位置との間に開閉自在な給水弁とを有する配管部と、前記吸水管の先端部が内部に没入するように配置され、付与された浮力により、開口された上端部が処理水面下の所定位置に保持されるようにした容器状のスカム収集部を有するスカム回収部とを備え、前記給水弁を開き、前記配管部内へ給水した後、前記給水弁を閉じることで前記配管部内にサイフォン現象を生じさせ、前記吸水管により前記処理水面に浮遊するスカム収集部に収集されたスカムを処理水とともに継続的に吸い上げて前記主配管の排出口から排出させるようにしたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項2記載のスカム回収処理装置は、請求項1記載のスカム回収処理装置であって、前記スカム回収部は、前記吸水管に対し摺動自在に構成された筒状のガイド部材と、該ガイド部材にフレームで固定され前記吸水管の先端が没入する容器状のスカム収集部と、前記ガイド部材又は前記スカム収集部にフレームで固定され前記スカム収集部の上端が前記処理水面下所定位置に保持されるようにした浮き部とを備えたことを特徴としている。
【0012】
またさらに、請求項3記載のスカム回収処理装置は、請求項2記載のスカム回収処理装置であって、前記浮き部はプラスチック材から構成され、前記ガイド部材及びフレームはプラスチック材又は耐食性金属で構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るスカム回収処理装置は、給水弁を開閉させることにより、配管部への給水を制御できるようになっており、また、スカムを排出する配管部の排出口が処理水面である沈殿池や導水渠等の水面よりも下方に開口されているため、配管部内にサイフォン現象を生じさせることができる。その結果、継続的な動力なくして、沈殿池や導水渠等の水面に浮遊するスカムを容易にスカム回収部により回収し、排出先へと排出することが可能となる。従って、スカム回収処理の作業が簡便なものとなり、さらに作業コストの大幅なカットが望める。
【0014】
また、スカム回収部には、浮力を与えているため、処理水面から所定の深さにおいてスカム収集部を保持することができ、また、処理水面の水位の上昇下降による影響を避けることができる。そして、ガイド部材を設けて、吸水管を摺動自在に挿通させた状態に配置しているため、スカム回収部の水平の移動を所定の範囲内に制御することができる。そして、浮き部によってスカム回収部に浮力を与えることができるように構成しているため、この浮き部にプラスチック材(例えば、ペットボトル等)を利用することができ、その結果、資源の再利用等、回収処理装置の製造コスト削減にも繋げることが可能となる。
【0015】
またさらに、下水処理場内の給水ホースを使用し、スカムの排出先として場内の返水管に繋がる雨水枡等を利用できるため、設置が容易である。そして、回収装置自体を小型にすることができるため、導水渠等の狭い場所でも設置可能であり、さらに取り外しの作業も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1を参照しながら、スカム回収処理装置の配管部内におけるサイフォン現象を用いたスカム回収の原理について説明する。10はスカム回収処理装置、12は沈殿池、14はスカム、16はスカム収集部、18は配管部、19は主配管、20は吸水管、22は給水弁、24は給水口、26は排出口、28はスカム排出先を示しており、(a)は、給水弁22を閉じた状態のスカム回収処理装置10を示し、(b)は、給水弁22を開き、配管部18内へと給水した状態を示し、(c)は、給水弁22を閉じて、配管部18内にサイフォン現象が生じた状態を示し、(d)は、サイフォン現象により沈殿池12の水とスカム14がスカム排出先28へと排出されている状態を示したものである。
【0017】
初めに、(a)に示している、給水弁22を閉じた状態から、(b)に示すように、給水弁22を開き、給水口24から配管部18の主配管19に給水する。そうすると、給水は、主配管19の排出口26からスカム排出先28に流れ、さらに、所定の分岐位置から配管部18の吸水管20を経由してスカム収集部16へ、そして沈殿池12に流れ出る。
なお、給水源としては、処理水再利用の散水栓を利用するのが望ましい。
【0018】
続いて、(c)に示すように、給水弁22を閉じ、給水口24からの給水を止めると、沈殿池12と排出口26の高度差に起因して、配管部18内にサイフォン現象が引き起こされる。このサイフォン現象によって、(d)に示すように、スカム14が、沈殿池12の処理水とともに、スカム収集部16へ越流し、吸水管20が越流してきた沈殿池12の処理水とスカム14を吸い上げる。そして、吸い上げられた沈殿池12処理水とスカム14は、主配管19を経由し、排出口26からスカム排出先28に排出されることになる。従って、一旦、配管部18内にサイフォン現象が生じれば、沈殿池12の処理水を継続的に吸水するような動力を必要としないことになる。
【0019】
次に、図2を参照しながら、本発明に係るスカム回収処理装置の実施形態について説明する。(a)は、ガイド部材とスカム収集部と浮き部とをフレームによって固定させたスカム回収処理装置を示し、(b)は、ガイド部材とスカム収集部と、ガイド部材と浮き部とを直接フレームにより固定させたスカム回収処理装置を示している。図中、10はスカム回収処理装置、12は沈殿池、14はスカム、16はスカム収集部、18は配管部、19は主配管、20は吸水管、22は給水弁、24は給水口、26は排出口、28はスカム排出先(処理槽)、30はガイド部材、32はフレーム、34は浮き部、36はスカム回収部を示している。
【0020】
まず、(a)に示すように、沈殿池12には、スカム収集部16、ガイド部材30、フレーム32、浮き部34を有するスカム回収部36が配置されていて、スカム収集部16は、浮き部34によって与えられる浮力により、沈殿池12の水面下所定の位置に保持されている。そのため、沈殿池12の水位の変位によって、スカム収集部16の沈殿池12の水面下における位置は変化しない。
【0021】
また、浮き部34は、ガイド部材30の外面に設けられているフレーム32によって支持固定されている。なお、浮き部34は、沈殿池12上に安定して浮上できるものを用いれば良く、プラスチック材、例えば、ペットボトル等を利用することができる。さらに、ガイド部材30やフレーム32はプラスチック材や耐食性金属によって構成させることが好ましい。なお、ガイド部材30としては、浮き部34の浮力のバランスが取りやすい軽さであって、且つ、コストを低く抑えることができ、さらに加工性の良さや吸水管20との高い摺動性を確保できるもの、例えば塩化ビニールのパイプ等を利用するのも良い。
【0022】
前記ガイド部材30は、配管部18の吸水管20に摺動自在に嵌合されており、該吸水管20の先端部はスカム収集部16の内部に没入された状態になっている。吸水管20にガイド部材30が摺動自在に嵌合されているため、スカム収集部16や浮き部34の沈殿池12内での水平移動を制御することが可能となる。そして、吸水管20は、配管部18の主配管19から分岐した状態に形成されており、さらに、主配管19の排出口26は、沈殿池12よりも高度の低い位置に設けられていて、スカム排出先28に向けて開口された状態にある。また、配管部18の主配管19には、給水口24と吸水管20の分岐位置の間に開閉自在な給水弁22が設けられており、給水弁22を開くことで、給水口24から処理水を配管部18の主配管19に給水することができるようになっている。
【0023】
この給水は、前述したように、下水処理場などでは、処理水再利用の散水弁から供給する方法が便利である。また、主管部19の給水口24の近傍に設けられた給水弁22は、手動開閉でも良いが、電磁弁にしておきタイマーによる定時毎の開閉操作をするようにしても良い。これは、定期的にスカム回収処理装置10の逆洗、サイフォン現象の再形成を行い、スカム回収処理装置10の大きなゴミが詰まりサイフォン現象が破壊されたときに自動的に復帰させるためのものである。
【0024】
沈殿池12に浮遊するスカム14を回収するためには、まず、給水弁22を開き、給水口24から配管部18の主配管19に給水する。給水された水は、主配管19を通って、排出口26からスカム排出先28に流れ出るとともに、吸水管20を通って、スカム収集部16を経由し、さらに沈殿池12に流れ出る。
【0025】
続いて、給水弁22を閉じ、給水口24からの給水を止める。そうすると、沈殿池12と排出口26の高度差に起因して、配管部18内でサイフォン現象が生じる。このサイフォン現象によって、スカム14が、沈殿池12の処理水とともに、スカム収集部16に越流し、さらに、吸水管20が、越流してきた沈殿池12の処理水とスカム14を吸い上げる。
【0026】
そして、スカム14は、沈殿池12の処理水とともに、配管部18の主配管19を通じて、排出口26からスカム排出先28へと排出されることとなる。なお、スカム収集部16は、比較的丈夫なものであれば良く、例えば、プラスチック材を利用することができるため、コスト削減や、資源の再利用に貢献することが可能である。
【0027】
また、(b)に示すように、浮き部34とスカム収集部16を直接フレームにより固定させず、スカム収集部16を直接ガイド部材30に固定させるようにしても良い。即ち、ガイド部材30の外面に設けられたフレーム32によって浮き部34を支持固定させる形態である。ガイド部座30及びスカム収集部16とを直接フレームに接続させ、両者の位置関係を固定させることが可能となるのである。
【0028】
次に、図3は、スカム回収処理装置10のスカム回収部36の拡大図を示している。なお、符号は、図1及び図2と同様である。スカム収集部16は、その外面に設けられたフレーム32に支持固定されている浮き部34によって、沈殿池12の水面下所定の位置に保持され、その結果、沈殿池12の水位変動に合わせて図中に示す矢印のように上下する。なお、本図においては、スカム収集部16の外面に設けられたフレーム32は、図示を省略したものを含め3本としているが、これに限定されるものではない。また、浮き部34は、沈殿池12に安定して浮揚するものであれば良く、プラスチック材(例えば、ペットボトル等)を用いることができる。さらに、フレーム32はプラスチック材や耐食性金属によって構成させることが好ましい。
【0029】
また、スカム収集部16には、吸水管20の先端が没入されており、ガイド部材30が吸水管20の周りを摺動自在になるように配置されている。こうすることにより、スカム収集部16や浮き部34を有するスカム回収部36の沈殿池12上の水平移動を制御することが可能となるのである。なお、浮き部34は、ガイド部材30の外面に設けられたフレーム32によって支持固定されている。本図においては、ガイド部材30の外面に設けられたフレーム32は、図示を省略したものを含め3本としているが、スカム収集部16の場合と同様、これに限定されるものではない。
【0030】
また、浮き部34は、沈殿池12に安定して浮揚するものであれば良く、プラスチック材(例えば、ペットボトル等)を用いることができる。さらに、ガイド部材30やフレーム32はプラスチック材や耐食性金属によって構成させることが好ましい。 なお、ガイド部材30としては、浮き部34の浮力のバランスが取りやすい軽さであって、且つ、コストを低く抑えることができ、さらに加工性の良さや吸水管20との高い摺動性を確保できるもの、例えば塩化ビニールのパイプ等を利用するのも良い。
【0031】
配管部18内にサイフォン現象が生じると、吸水管20が、沈殿池12の水を吸い上げ始める。このとき、スカム収集部16内に沈殿池12の水がスカム14とともに、越流してくることになる。そして、吸水管20が沈殿池12の処理水及びスカム14を吸い上げ、スカム回収処理が行われる。なお、スカム収集部16は、比較的丈夫なものであれば良く、例えば、プラスチック材を利用することができ、コスト削減や資源の再利用に貢献することが可能である。
【0032】
次に、本発明に係るスカム回収処理装置10におけるスカム回収部36の他の実施形態について図4を参照しながら説明する。符号に関しては、図1、2と同様で、38は浮き用フレーム、40はフロートを示している。三角形状に組まれた3本の浮き用フレーム38及びそれら三角形状の各頂点付近に設けられたフロート40からなる浮き部34は、浮き用フレーム38の所定の位置にスカム収集部16の外面に設けられた3本のフレーム32を取り付けることで支持固定されている。そのため、沈殿池12の水面下一定の位置にスカム収集部16が保持されることとなる。
【0033】
なお、フロート40としては、プラスチック材(例えば、ペットボトル等)を利用することができる。また、図において、浮き用フレーム38は、三角形状を呈しているが、例えば、これを四角形や、円形のように、使用態様によって変更させても良い。さらに、フレーム32及び浮き用フレーム38はプラスチック材や耐食性金属によって構成させることが好ましい。
【0034】
また、スカム収集部16上部には、ガイド部材30が設けられている。ガイド部材30が、吸水管20(図示せず)の周りを摺動可能な状態に設けることで、スカム収集部16や浮き部34を有するスカム回収部36の沈殿池12上における水平移動を制御することが可能となるのである。なお、浮き用フレーム38及びフロート40からなる浮き部34は、ガイド部材30に設けられた3本のフレーム32によって支持固定されている。
【0035】
なお、図において、浮き用フレーム38は、三角形状を呈しているが、例えば、これを四角形や、円形のように、使用態様によって変更させても良い。さらに、フレーム32及び浮き用フレーム38はプラスチック材や耐食性金属によって構成させることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明に係るスカム回収処理装置によると、サイフォン現象によって沈殿池に浮遊するスカムを回収することができるため、スカム回収作業に継続的な動力を要しない。また、プラスチック材(例えば、ペットボトル等)を浮き部に利用し、さらにガイド部材やスカム収集部にプラスチック材や塩化ビニール製の管を利用できるため、生産コストを抑えたり、資源の再利用を図る際に最適なものとなる。また、上記実施の形態では、沈殿池にて説明したが、スカム回収処理装置自体小型なものであるため、狭い場所、例えば反応槽と第二沈殿地の間の導水渠などでの設置に好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】サイフォン現象を利用したスカム回収の原理を示した図で、(a)は給水弁を閉じた状態のスカム回収処理装置を示し、(b)は給水弁を開き、スカム回収処理装置内に給水されている状態を示し、(c)は給水弁を閉じることによって、配管部内にサイフォン現象が生じている状態を示し、(d)はサイフォン現象により沈殿池の処理水とスカムが処理槽へと排出されている状態を示したものである。
【図2】本発明の実施形態であるスカム回収処理装置の概略を示した図で、(a)は、ガイド部材とスカム収集部と浮き部とをフレームによって固定させたスカム回収処理装置を示し、(b)は、ガイド部材とスカム収集部とを直接フレームにより固定させたスカム回収処理装置を示している。
【図3】本発明に係るスカム回収処理装置のスカム回収部を拡大して示した図である。
【図4】本発明に係るスカム回収処理装置のスカム回収部の他の実施形態を示した図である。
【図5】スカム回収の原理を示した図で、(a)は、スカム回収容器を傾斜させてスカムを回収する原理を示し、(b)は、スカム回収容器内に没入した吸水管による吸水動作によってスカムを回収する原理を示したものである。
【符号の説明】
【0038】
10 スカム回収処理装置
12 沈殿池
14 スカム
16 スカム収集部
18 配管部
19 主配管
20 吸水管
22 給水弁
24 給水口
26 排出口
28 スカム排出先
30 ガイド部材
32 フレーム
34 浮き部
36 スカム回収部
38 浮き用フレーム
40 フロート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水面に浮遊するスカムを回収処理するスカム回収処理装置であって、
一端に給水口と、他端に前記処理水面より下方に開口された排出口とを有する主配管と、前記給水口と前記排出口との間から分岐してその先端が前記処理水面下に没入する吸水管と、前記給水口と前記吸水管の分岐位置との間に開閉自在な給水弁とを有する配管部と、
前記吸水管の先端部が内部に没入するように配置され、付与された浮力により、開口された上端部が処理水面下の所定位置に保持されるようにした容器状のスカム収集部を有するスカム回収部と、
を備え、
前記給水弁を開き、前記配管部内へ給水した後、前記給水弁を閉じることで前記配管部内にサイフォン現象を生じさせ、前記吸水管により前記処理水面に浮遊するスカム収集部に収集されたスカムを処理水とともに継続的に吸い上げて前記主配管の排出口から排出させるようにしたことを特徴とするスカム回収処理装置。
【請求項2】
前記スカム回収部は、前記吸水管に対し摺動自在に構成された筒状のガイド部材と、該ガイド部材にフレームで固定され前記吸水管の先端が没入する容器状のスカム収集部と、前記ガイド部材又は前記スカム収集部にフレームで固定され前記スカム収集部の上端が前記処理水面下所定位置に保持されるようにした浮き部とを備えたことを特徴とする請求項1記載のスカム回収処理装置。
【請求項3】
前記浮き部はプラスチック材から構成され、前記ガイド部材及びフレームはプラスチック材又は耐食性金属で構成されていることを特徴とする請求項2記載のスカム回収処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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