説明

スカラップ用閉塞具

【課題】橋梁構造物等の構造部材に切欠き形成されているスカラップを塞いで、構造部材内に鳥や虫等の侵入を防止するためのスカラップ用閉塞具を提供する。
【解決手段】スカラップを閉塞するスカラップ用閉塞具11であって、該閉塞具11は、本体部12と、該本体部12の両端部13、13に対称に設けられる一対の閉塞部14、14とを、軟質性の合成樹脂材で一体に形成し、前記本体部12は、前記一対の閉塞部14、14を所定の間隔を開けて保持し、前記閉塞部14は、水平状部19と円弧状部20とを有して扇状を呈すると共に、対向する両方の円弧状部20、20に沿ってそれぞれ近接させて形成し、且つ前記水平状部19に沿ってフランジ部22を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スカラップ用閉塞具に関するものであり、更に詳しくは、橋梁構造物等の構造部材に切欠き形成されているスカラップを塞いで、構造部材内に鳥や虫等の侵入を防止するためのスカラップ用閉塞具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の閉塞具としては、次のような構成のスカラップ閉止具が知られている。この閉止具は、ボルト状のタイロッドと、このタイロッドの両端部に設けられる一対の閉止板とから構成されており、この閉止板の対向部位には、それぞれパッキンが設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のスカラップ閉止具は、矩形状構造部材の両側壁面に対向して形成されている2箇所のスカラップを同時に閉止するときに使用する。その使用方法を説明すると、まず、第1の閉止板で一方のスカラップを閉止してから、閉止板の挿通孔にタイロッドを挿通して、その端部を他方のスカラップから突出させる。そして、タイロッドの端部に第2の閉止板の挿通孔を挿通させてから、第2の閉止板で他方のスカラップを閉止する。更に、タイロッドの端部をナットで締め付けて固着して、第1及び第2の閉止板で2箇所のスカラップを同時に閉止するのである。
【特許文献1】特開2002−371521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来例のスカラップ閉止具においては、単独で形成されているスカラップには使用できないという問題点を有している。
【0005】
また、スカラップ閉止具は、タイロッドや閉止板やボルト等の多数の部材から構成されているので、製品コストが割高になるだけでなく、取り扱いが煩雑で、閉止作業に手間がかかり、作業能率が悪いという欠点も有している。
【0006】
従って、従来例におけるスカラップ閉止具においては、単独で形成されているスカラップを閉塞できるようにすることと、取り扱いを簡単にして作業性を向上させること等に解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来例の課題を解決する具体的手段として本発明は、スカラップを閉塞するスカラップ用閉塞具であって、該閉塞具は、本体部と、該本体部の両端部に対称に設けられる一対の閉塞部とを、軟質性の合成樹脂材で一体に形成し、前記本体部は、前記一対の閉塞部を所定の間隔を開けて保持し、前記閉塞部は、水平状部と円弧状部とを有して扇状を呈すると共に、対向する両方の円弧状部に沿ってそれぞれ近接させて形成し、且つ前記水平状部に沿ってフランジ部を形成したことを特徴とするスカラップ用閉塞具を提供するものである。
【0008】
前記閉塞部の中央部位には、スリットが形成されていること、;
前記合成樹脂材は、UV剤を含有させたこと、;
前記合成樹脂材は、透明又は半透明であること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るスカラップ用閉塞具は、スカラップを閉塞するスカラップ用閉塞具であって、該閉塞具は、本体部と、該本体部の両端部に対称に設けられる一対の閉塞部とを、軟質性の合成樹脂材で一体に形成し、前記本体部は、前記一対の閉塞部を所定の間隔を開けて保持し、前記閉塞部は、水平状部と円弧状部とを有して扇状を呈すると共に、対向する両方の円弧状部に沿ってそれぞれ近接させて形成し、且つ前記水平状部に沿ってフランジ部を形成したことによって、一方の閉塞部を小さく折り曲げてスカラップに嵌め込んでから形状を復元し、両方の閉塞部で鋼板を挟む状態にしてスカラップを閉塞する。このように取り扱いが簡単で、作業がスムーズに行えて、作業能率が向上する。更に従来例のものとは異なり単独で形成されているスカラップを閉塞できる。
また、一対の閉塞部は対称に形成されているので、作業時に方向性を考慮する必要が無く、作業性が良い。
そして、復元性の良好な軟質性の合成樹脂材で形成されているので、鋼板にピッタリ密着して、一度取り付ければ脱落するおそれがない。
更に、スカラップ用閉塞具は合成樹脂製であるので、軽量で耐久性に優れ、製品コストが低いという種々の優れた効果を奏する。
【0010】
また、閉塞部の中央部位には、スリットが形成されていることによって、溶接のバラツキ等で鋼板に段差が生じていても、その段差に対応してスリットが広がり、閉塞部がスカラップを閉塞して鋼鈑にピッタリ密着する。つまり、鋼板やスカラップの段差に対応した状態で、スカラップ用閉塞具をピッタリ取り付けることができるという優れた効果を奏する。
【0011】
そして、合成樹脂材は、UV剤を含有させたことによって、紫外線の刺激が低減されることとなるので、スカラップ用閉塞具の耐候性又は耐久性が向上するという優れた効果を奏する。
【0012】
更に、合成樹脂材は、透明又は半透明であることによって、スカラップ用閉塞具が透明又は半透明に形成されるので、光が透過可能である。その場合、例えば道路下の共同溝の構造部材に、スカラップ用閉塞具を使用すれば、スカラップが明かり取りの役目を果たすこととなるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1から図6において、符号11はスカラップ用閉塞具を示し、この閉塞具11は、本体部12と、この本体部12の両端部13、13に対称に設けられる一対の閉塞部14、14とを、軟質性の合成樹脂材で一体に形成して構成される。
【0014】
本体部12は、図1及び図3に示すように、一対の垂下壁15、15と、この垂下壁15の上端に段部16を介して設けられる頂部17とからなる。頂部17は、底部が開口した箱形状に形成されており、その中央位置には、孔部18が形成されている。また、垂下壁15の下端部15aは、やや内側に傾斜して形成されている。そして、本体部12の両端部13、13に閉塞部14、14が所定の間隔を開けて一体に設けられている。
【0015】
閉塞部14は、図1から図6に示すように、水平状部19と円弧状部20とを有して扇状を呈している。また、閉塞部14は、図2及び図6に示すように、折曲線21a、21b、21c、21dを境にして内側に折曲している。そして、対向する両方の円弧状部20、20に沿ってそれぞれ所要間隔に近接させて形成している(図1及び図4から図6参照)。閉塞部14をこのような形状に形成したことにより、スカラップに嵌め込んだときに、両方の閉塞部14、14がそれぞれ内側の鋼板に対して付勢されることとなり、鋼板にピッタリと密着する。
【0016】
水平状部19に沿った位置には、フランジ部22が形成されている。このフランジ部22は、スカラップの上部に配設された鋼材に密着させるために設けられている(図8参照)。
【0017】
また、閉塞部14の中央部位には、スリット23が形成されている。このスリット23によって、図7及び図8に示すように、溶接のバラツキ等で鋼板24に段差25が生じていても、その段差25に対応してスリット23が広がって、閉塞部14がスカラップ26を閉塞して鋼板24にピッタリと密着する。つまり、鋼板24やスカラップ26の段差25に対応した状態で、スカラップ用閉塞具11をピッタリ取り付けることができるのである。
【0018】
スカラップ用閉塞具11を形成する合成樹脂材は、UV剤を含有させたものであることが望ましい。UV剤は紫外線に対する安定剤であり、紫外線の刺激が低減されるので、スカラップ用閉塞具11の耐候性及び耐久性が向上する。
【0019】
また、スカラップ用閉塞具11を形成する合成樹脂材は、透明又は半透明であってもよい。その場合、スカラップ用閉塞具11が透明又は半透明に形成されるので、光が透過可能であり、例えば道路下の共同溝の構造部材に、スカラップ用閉塞具11を使用すれば、スカラップが明かり取りの役目を果たす。
【0020】
以上のような構成のスカラップ用閉塞具11は、一方の閉塞部14を小さく折り曲げてスカラップ26に嵌め込んでから形状を復元し、両方の閉塞部14、14で鋼板24を挟む状態にしてスカラップ26を閉塞する。そして、構造部材内に鳥や虫の侵入を防止するほか、防水や防塵の役目も果たす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るスカラップ用閉塞具の斜視図である。
【図2】本発明に係るスカラップ用閉塞具の正面図である。
【図3】図2の縦断面図である。
【図4】本発明に係るスカラップ用閉塞具の平面図である。
【図5】本発明に係るスカラップ用閉塞具の底面図である。
【図6】本発明に係るスカラップ用閉塞具の右側面図である。
【図7】本発明に係るスカラップ用閉塞具の使用状態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るスカラップ用閉塞具の使用状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
11 スカラップ用閉塞具
12 本体部
13 端部
14 閉塞部
15 垂下壁
15a下端部
16 段部
17 頂部
18 孔部
19 水平状部
20 円弧状部
21a、21b、21c、21d 折曲線
22 フランジ部
23 スリット
24 鋼板
25 段差
26 スカラップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スカラップを閉塞するスカラップ用閉塞具であって、
該閉塞具は、本体部と、該本体部の両端部に対称に設けられる一対の閉塞部とを、軟質性の合成樹脂材で一体に形成し、
前記本体部は、前記一対の閉塞部を所定の間隔を開けて保持し、
前記閉塞部は、水平状部と円弧状部とを有して扇状を呈すると共に、対向する両方の円弧状部に沿ってそれぞれ近接させて形成し、且つ前記水平状部に沿ってフランジ部を形成したことを特徴とするスカラップ用閉塞具。
【請求項2】
前記閉塞部の中央部位には、スリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスカラップ用閉塞具。
【請求項3】
前記合成樹脂材は、UV剤を含有させたことを特徴とする請求項1に記載のスカラップ用閉塞具。
【請求項4】
前記合成樹脂材は、透明又は半透明であることを特徴とする請求項1に記載のスカラップ用閉塞具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−106465(P2008−106465A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288457(P2006−288457)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(506301520)
【Fターム(参考)】