説明

スキャナ支持台、スキャナ、スキャナユニット、および画像形成装置

【課題】スキャナに剛性を付与して正確なスキャニング面が得られるようにするスキャナ支持台を提供する。
【解決手段】水平方向に沿って互いに平行に設けられ、スキャナ6が所定の装着方向に沿って水平に装着される一対の支持梁74と、一対の支持梁74におけるスキャナ装着方向に対して後方の面に、スキャナ装着方向に対して後方に突出するように少なくとも2本設けられ、前記スキャナに係合する係合軸77と、前記係合軸77に係合したスキャナを支持梁74に対して固定する締結手段とを備えるスキャナ支持台である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ支持台、スキャナ、スキャナユニット、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機やデジタルファクシミリなどのデジタル画像記録装置は、通常、原稿の画像を読み取って画像信号に変換するスキャナと、スキャナからの画像信号に基づいて記録用紙などの記録媒体に画像を形成する電子写真式のプリンタと、前記スキャナおよびプリンタが取り付けられるラックとを備える。
【0003】
前記デジタル画像記録装置においては、ラックは、スキャナが取り付けられるスキャナ載置台とプリンタが取り付けられるプリンタ載置台とを備える。そして、通常は、スキャナがプリンタの上方に取り付けられるように、スキャナ載置台がプリンタ載置台の上方に位置する。そして、オペレータの操作の便を考慮し、プリンタで画像が記録された記録用紙が排出される排紙トレイが、スキャナとプリンタとの間の部分、具体的にはプリンタの上面に設けられている。
【0004】
近年、軽量化の趣旨から、スキャナの筐体とフレームとを樹脂で一体成型することが一般的に行われている。
【0005】
しかしながら、スキャナは、長時間の使用によって発熱するので、筐体およびフレームが熱膨張する。したがって、スキャナをただ単にラックに固定すると、熱膨張によってスキャナのフレームが歪み、画像が正しくスキャニングできなくなるという問題がある。
【0006】
そこで、スキャナの熱膨張を吸収できるスキャナの取付け方法として、
【0007】
画像読取手段(スキャナ)を画像処理装置(プリンタ)に対して保持する保持手段を、画像読取手段に着脱自在に取り付け、保持手段を画像処理装置に対して固定する方法(特許文献1)、
【0008】
スキャナユニット9を、溶接構造体のステー上に固定すること(特許文献2)、
【0009】
天板の上にスキャナ部を載せて位置決めし、空間部である排紙収納部23の装置本体前面あるいは開放した側面を利用して天板の下面から螺子孔に螺子をいれ、螺子を天板の上面側に貫通させ、スキャナ部下面の螺子孔に捻り込み、スキャナ部を固定する方法(特許文献3)などが提案された。
【0010】
【特許文献1】特開平10−327275号公報
【特許文献2】特開平11−258885号公報
【特許文献3】特開平11−164076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、コストダウンを意図し、スキャナ筐体を薄型にするようになったので、スキャナ自体の剛性が低下し、正確なスキャニング面が得られないと言う問題が生じている。
【0012】
しかしながら、スキャナ筐体そのものを補強するには、スキャナ筐体を板金絞り加工で形成したり、スキャナ筐体に中空部を多く採ったりするなどの必要があり、コストアップに繋がる。
【0013】
本発明は、スキャナを装着することにより、スキャナに剛性を付与して正確なスキャニング面が得られるようにするスキャナ支持台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、スキャナ支持台において、水平方向に沿って互いに平行に設けられ、スキャナが所定の装着方向に沿って水平に装着される一対の支持梁と、前記一対の支持梁における前記スキャナ装着方向に対して後方の面に、スキャナ装着方向に対して後方に突出するように少なくとも2本設けられ、前記スキャナに係合する係合軸と、前記係合軸に係合したスキャナを前記支持梁に対して固定する締結手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスキャナ支持台において、前記支持梁は、スキャナにおける走査方向に対して直交する方向に設けられていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスキャナ支持台において、前記係合軸が、夫々の支持梁に2本ずつ設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3に記載のスキャナ支持台において、前記支持梁が、何れも同一断面形状および同一寸法で形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載のスキャナ支持台に装着されるスキャナであって、前記装着方向に沿って前記スキャナを前記スキャナ支持台に挿着したときに、前記スキャナ支持台の支持梁に設けられた係合軸が係合される係合部材が、前記支持梁に当接する側の面に一対設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスキャナにおいて、前記係合軸が係合する係合孔が前記一対の係合部材の夫々に形成されているとともに、一の係合部材に形成された係合孔のうちの1つは丸孔であって、残りは水平方向に延びた長孔であることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載のスキャナにおいて、前記係合孔が形成された側の面に前記支持梁を収容する凹陥部が形成され、前記係合部材は、前記凹陥部の内側に配設されていることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のスキャナにおいて、前記凹陥部は、前記装着方向に沿って前記スキャナを前記スキャナ支持台に挿着したときに、前記支持梁の端面が前記凹陥部の側壁面に当接するように形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項5〜8の何れか1項に記載のスキャナにおいて、前記スキャナを前記スキャナ支持台に仮置きするときに、前記一対の支持梁のうちの前記装着方向に沿って下流側の支持に設けられた係合軸が係合する第3の係合部材が、前記係合部材のうち前記装着方向に沿って加硫側の係合部材と前記スキャナの重心点との間に配設されたことを特徴とする。
【0023】
請求項10に記載の発明は、スキャナユニットにおいて、請求項1〜4の何れか1項に記載のスキャナ支持台と、前記スキャナ支持台に装着された請求項5〜9の何れか1項に記載のスキャナとを備えることを特徴とする。
【0024】
請求項11に記載の発明は、画像形成装置において、請求項10に記載のスキャナユニットと、前記スキャナユニットの備えるスキャナで画像を読み込んで得られた画像データに基いて記録媒体に画像を印刷するプリンタユニットとを備えることを特徴とする。
【0025】
請求項12に記載の発明は、請求項11の画像形成装置において、前記プリンタユニットが電子写真方式であることを特徴とする。
【0026】
請求項13に記載の発明は、請求項11の画像形成装置において、前記プリンタユニットがインクジェット方式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明によれば、スキャナを所定の装着方向に沿って水平に装着することにより、スキャナに設けられた係合部材が、支持梁に設けられた係合軸に係合する。これによってスキャナは支持梁に強固に固定されるから、スキャナ自体の剛性が低い場合であってもスキャナに十分な剛性が付与され、正確なスキャニング面が得られる。
【0028】
請求項2の発明によれば、スキャナを装着して締結手段で固定すれば、キャリッジが走行、停止する際の衝撃は殆どすべてスキャナの走査方向、換言すればキャリッジの移動方向に対して直交する方向に設けられた支持梁で受け止められる故に、スキャナ支持台において、キャリッジが走行、停止する際の衝撃によって係合軸に剪断力が作用することが防止される。
【0029】
請求項3の発明によれば、夫々の支持梁に係合軸が必要最低限の本数である2本ずつ設けられていることにより、各支持梁における係合軸の本数が3本以上であるスキャナ支持台と比較してスキャナの装着が容易なスキャナ支持台が得られる。
【0030】
請求項4の発明によれば、支持梁として同一品を同一方向に使用できるから、高精度のスキャナ支持台が得られる。
【0031】
請求項5の発明によれば、単体としての剛性は低くても、請求項1〜4のスキャナ支持台に挿着することにより、十分な剛性の得られるスキャナが提供される。
【0032】
請求項6の発明によれば、一の係合部材に形成された係合孔のうち、1個は丸孔であり、残りが長孔であるから、スキャナ支持台との位置合せの容易なスキャナが提供される。
【0033】
請求項7の発明によれば、スキャナ支持台に装着した状態においては、スキャナ支持台の支持梁および係合部材が凹陥部に収納された状態になり、外からは見えなくなるので、支持梁や係合部材を隠すためのカバーの不要なスキャナが提供される。
【0034】
請求項8の発明によれば、底面の凹陥部がスキャナ支持台に挿着する際のガイドも兼用するので、特別なガイド部材なしにスキャナ支持台に高精度で容易に挿着できるスキャナが提供される。
【0035】
請求項9の発明によれば、スキャナ支持台への仮置き時に、前記スキャナ支持台における下流側の支持に設けられた係合軸を第3の係合部材に係合させることにより、スキャナ支持台からの落下を防止できるスキャナが提供される。
【0036】
請求項10の発明によれば、スキャナ単体での剛性が低い場合においてもスキャナ支持台に前記スキャナを挿着することにより、前記スキャナが高剛性で装着されて正しいスキャニング面が形成される故に、高い画像読取精度が得られるスキャナユニットが提供される。
【0037】
請求項11によれば、スキャナユニットとプリンタユニットとに分かれている故に配置の自由度が高く、また、スキャナでの画像読取精度が高い故に高精度で画像を印刷できる画像形成装置が得られる。
【0038】
請求項12の発明によれば、配置の自由度の高い電子写真方式の画像形成装置が提供される。
【0039】
請求項13の発明によれば、配置の自由度の高いインクジェット方式の画像形成装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
1.実施形態1
【0041】
以下、本発明に係る画像記録装置の一例であるデジタル複写機について図面を用いて説明する。
【0042】
[構成]
実施形態1に係るデジタル複写機2は、図1及び図2に示すように、スキャナ6と、スキャナ6を下方からスキャナ支持台4と、スキャナ6で読み取った画像を印字するプリンタユニット10とから構成される。スキャナ6とスキャナ支持台4とによって本発明におけるスキャナユニットが構成される。
【0043】
先ず、プリンタユニット10について説明する。
図1に示すように、プリンタユニット10は、フルカラーの印刷が可能なように、例えば、下からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に鉛直方向に配設された現像ユニット16Y〜16Kと、光学ユニット24と、現像ユニット16Y〜16Kを着脱可能に収容する本体フレーム12と、本体フレーム12に対し、開閉可能に設けられ、閉じたときは本体フレーム12と一体の筐体を構成するカバー体14とを備える。カバー体14に、記録用紙Pを吸着搬送可能な搬送ベルト34を備えた転写搬送ユニット18が着脱可能に取り付けられている。
【0044】
現像ユニット16Y〜16Kは、夫々、画像データに基づいて光学ユニット24によって表面が照射され、表面に静電電位の差による潜像が形成されるロール状の像担持体20と、像担持体20の表面を一様に帯電する帯電ローラー22と、潜像にトナーを選択的に転移して可視化する現像ローラー26と、トナー像が転写された後の像担持体20に摺接し、その像担持体20に残留するトナーをクリーニングするクリーニング部材28とを備える。
【0045】
像担持体20は、表面に感光体層を有し、帯電ローラー22によって、その表面が一様に帯電された後、光学ユニット24から照射されるレーザ光(画像光)によって、その表面が露光され、その露光された部分の電位が減衰することにより静電潜像(画像)が形成される。なお、帯電ローラー22は、像担持体20に当接し、これらの間に電圧が印加され、当接部付近の微少間隙内で放電が生じることにより、像担持体20の表面を略一様に帯電する。
【0046】
光学ユニット24は、点滅するレーザ光を像担持体20の表面に走査させ、画像データに基づいた静電潜像を像担持体20の表面上に形成する。なお、光学ユニット24としては、他にLED等の発光素子を配列し、これらを画像データに基づいて点滅させるものなどが考えられる。
【0047】
現像ローラー26は、像担持体20と近接して対向するように配置され、この現像ローラー26と像担持体20との間に現像バイアス電圧が印加されるようになっている。これにより、現像ローラー26と像担持体20との間には現像バイアス電界が形成され、電荷を有するトナーが像担持体20上の露光された部分に転移して可視像を形成する。
【0048】
一方、転写搬送ユニット18は、少なくとも駆動ローラー30と従動ローラー32に張架された搬送ベルト34を備え、搬送ベルト34の内面側で、駆動ローラー30と従動ローラー32の間の所定位置には、転写ローラー36が所定間隔を隔ててY、M、C,Kの各色に対応して4個配設されている。
【0049】
この転写ローラー36は、カバー体14を閉じたときに搬送ベルト34を挟んで像担持体20と対向するように配設され、像担持体20との間に転写電界を形成することによって、搬送ベルト34に吸着搬送されて通過する記録用紙P上に、像担持体20表面のトナー像(未定着像)を転写させるようになっている。
【0050】
現像ユニット16Y〜16Kよりも記録用紙Pの搬送方向下流側、換言すれば本体フレーム12の上部には、定着装置38が配設されている。
【0051】
定着装置38は、互いの周面が対向して所定の圧力で圧接(ニップ)される加熱ローラー40と加圧ローラー42とを備え、加熱ローラー40および加圧ローラー42で記録用紙P上に転写された未定着のトナー像を加熱・加圧することにより、記録用紙Pにトナー像を定着する機能を有する。
【0052】
なお、定着装置38(加熱ローラー40および加圧ローラー42)によって加熱・加圧されてトナー像が定着された記録用紙Pは、排紙トレイ44上へ排出される。そして、記録用紙Pへトナー像を転写終了後、像担持体20の表面は、クリーニング部材28によってクリーニング処理され、次回の作像処理に備えるようになっている。
【0053】
また、本体フレーム12の下部には、給紙カセット46が着脱自在に装着されている。給紙カセット46は、記録用紙Pが送り出される方向と逆方向に引き抜き可能となっており、適宜記録用紙Pを給紙できるようになっている。
【0054】
給紙カセット46の先端部近傍には、給紙カセット46内から記録用紙Pを1枚ずつ送り出す給紙ローラー対48が設けられており、給紙ローラー対48から送り出された記録用紙Pは、レジストローラー対49によって、所定のタイミングで搬送ベルト34の吸着搬送面へ送り出され、各色のトナー像の転写位置へ搬送される。
【0055】
プリンタユニット10においては、現像ユニット16Y〜16Kの像担持体20Y〜20Kが設けられた側に隣接して転写搬送ユニット18が設けられている。転写搬送ユニット18は、上端部に回転可能に軸支された駆動ローラー30と、下端部に回転可能に軸支された従動ローラー32と、駆動ローラー30および従動ローラー32に巻回・張架され、記録用紙Pを静電吸着可能な搬送ベルト34とを備える。そして、駆動ローラー30と従動ローラー32の間における搬送ベルト34の内面側には、所定間隔を隔ててY〜Kの各色毎に転写ローラー36Y〜36Kが軸支されている。各転写ローラー36Y〜36Kは、搬送ベルト34を挟んで、各像担持体20Y〜20Kに所定の圧力で圧接され、搬送ベルト34の走行に追従して回転する。 プリンタユニット10は、更に、図1に示すように、現像ユニット16Y〜16K、転写搬送ユニット18、光学ユニット24、定着装置38等を制御、統制するプリンタ制御基板50、プリンタユニット10とスキャナ6との間で画像信号を授受するとともに、スキャナ6を制御するスキャナ制御基板51、および電源基板52が設けられている。
【0056】
次に、スキャナ支持台4およびスキャナ6について説明する。
【0057】
スキャナ支持台4は、図7に示すように、垂直方向に延在する一対の支柱70と、支柱70を上端部で連結する水平方向の部材である上板72と、支柱70の頂部と上板72とに固定された支持枠体74とを備える。
【0058】
支持枠体74は、図7および図8に示すように、スキャニング方向aに対して直交する方向に延在する一対の支持梁75と、スキャニング方向aに沿って設けられ、支持梁75の両端を連結する連結梁76とを備える。支持梁75および連結梁76は、何れも矩形状断面を有する中空体である。
【0059】
支持梁75のスキャニング方向aに対して上流側を向いた側面には、ピン状の係合軸77が一対ずつ、スキャナ6の装着方向、即ちスキャニング方向aに沿って突出するように突設されている。
【0060】
なお、上板72には、締結螺子78(締結手段)が螺合する螺子孔72Aが一対形成されている。
【0061】
スキャナ6は、図2および図3に示すように、画像を読み取るべき原稿が載置される原稿台62と、原稿送り手段に相当し、原稿台62上に開閉可能に載置された原稿送り装置64と、原稿送り装置64に送る原稿を載置する原稿載置台66とを備える。
【0062】
原稿台62の内側には、図3に示すように1対のレール63と、レール63に沿って矢印aの方向に移動して画像を読み取る原稿読み取り手段である画像読取キャリッジ60と、レール63に沿って設けられ、画像読取キャリッジ60を駆動する駆動ベルト61が設けられている。駆動ベルト61はステッピングモータ(図示せず。)によって回転する。画像読取キャリッジ60は、下面において駆動ベルト61に固定されている。画像読取キャリッジ60は、駆動ベルト61を一の方向に回転させることにより矢印aに沿って移動し、他の方向に回転させることにより矢印aとは反対の方向に移動する。
【0063】
更に、画像読取キャリッジ60の下面にはコロまたは当て面が設けられ、前記コロがレール63上を転動することにより、画像読取キャリッジ60はスムースに移動する。
【0064】
原稿台62の上面にはガラス窓(図示せず。)が設けられ、原稿台62に載置された原稿は、ガラス窓を通して画像読取キャリッジ60によって読み取られる。原稿台62に載置された原稿の画像を読み取るときの画像読取キャリッジ60の移動方向aは、スキャナ6のスキャニング方向である。原稿送り装置64で原稿を送りながら読み取るときは、画像読取キャリッジ60を停止させた状態で読み取りを行う。
【0065】
図4〜図6に示すように、原稿台62の底板62Aには、スキャナ支持台4にスキャナ6を装着するための取付ステイ65Aおよび取付ステイ65Bが固定されている。取付ステイ65Aおよび取付ステイ65Bは、本発明の係合部材に相当する。取付ステイ65Aは、底板62Aのスキャニング開始側の端部に、取付ステイ65Bは、底板62Aのスキャニング終了側の端部に固定されている。
【0066】
取付ステイ65Aおよび取付ステイ65Bは、図4および図5に示すように底板62Aに直接に固定されていてもよいが、図6に示すように、支持枠体74が挿入される凹陥部62Bを形成し、凹陥部62Bの内側に取付ステイ65Aおよび取付ステイ65Bを固定してもよい。
【0067】
但し、凹陥部62Bを形成するときは、凹陥部62Bのスキャニング方向aに対して直交する方向の寸法が支持枠体74のスキャニング方向aに直交する方向の寸法以上とし、、また、スキャニング方向aに沿った寸法は、連結梁76の長さよりも大きくする。凹陥部62Bの寸法を上記範囲とすることにより、スキャナ6をスキャナ支持台4に装着したときに支持枠体74、取付ステイ65A、および取付ステイ65Bは凹陥部62Bの内側に隠れて外からは見えなくなるから、支持枠体74、取付ステイ65A、および取付ステイ65Bを隠すためのカバーを省略できる。また、凹陥部62Bのスキャニング方向aに対して直交する方向の寸法が支持枠体74のスキャニング方向aに直交する方向の寸法と略同一とすることにより、凹陥部62Bが、支持枠体74のガイドとして機能するから、スキャナ支持台4にスキャナ6を取り付けるための特別なガイド部材が不要になる。
【0068】
取付ステイ65Aおよび取付ステイ65Bには、図9に示すように、係合軸77が係合する係合孔65Cが夫々一対ずつ設けられている。係合孔65Cは図4および図6に示すように2個とも丸孔であってもよいが、図5に示すように一方を水平方向に延びる長孔とし、他方を丸孔とすれば、係合孔65Cおよび係合軸77の位置が少々不正確であっても、スキャナ6をスキャナ支持台4に支障なく装着できる故に好ましい。
【0069】
取付ステイ65Aの係合孔65Cよりも下方には、図4〜図6、および図10に示すように、スキャナ支持台4の支持枠体74にスキャナ6を締結する締結螺子78が挿通される締結孔65Dが一対形成されている。締結孔65Dが形成された部分は、図10の(A)に示すように係合孔65Cが形成された部分に対して階段状に突出していてもよいし、同図の(B)に示すように、同一面とされていてもよい。
【0070】
なお、図11に示すように、取付ステイ65Aと取付ステイ65Bとの間に位置におけるスキャナ6の重心位置よりも取付ステイ65B寄りの位置に、取付ステイ65Aおよび取付ステイ65Bに対して平行に補助取付ステイ67を設けてもよい。補助取付ステイ67は、取付ステイ65Bと同様の形態とすることができる。補助取付ステイ67を設けることにより、スキャニング方向aに対して下流側の端部が支持枠体74から突出する仮置き位置でスキャナ6を支持枠体74に載置したときに、図12に示すように補助取付ステイ67を下流側の支持梁75に係合させることにより、スキャナ6を支持枠体74から落下しないように保持することができる。したがって、スキャナ6とスキャナ制御基板51との配線作業等を仮置き位置で安全に行うことができる。
【0071】
[作用]
【0072】
以下、デジタル複写機2の作用について説明する。
【0073】
スキャナ6で原稿が読み取られると、画像データは、スキャナ6からスキャナ制御基板51を介してプリンタユニット10におけるプリンタ制御基板50に入力される。プリンタ制御基板50は、入力された画像データに基づいて現像ユニット16Y〜16K、転写搬送ユニット18、光学ユニット24、定着装置38等を制御、統制し、以下の手順によって記録用紙Pにトナー画像を形成する。
【0074】
先ず、給紙ローラー対48により、給紙カセット46内から1枚ずつ記録用紙Pが取り出され、レジストローラー対49によって所定のタイミングで搬送ベルト34上に送られる。搬送ベルト34上に送られた記録用紙Pは、その搬送ベルト34によって静電吸着され、各色の像担持体20Y〜20Kへ搬送される。
【0075】
一方、現像ユニット16では、まず、帯電ローラー22によって像担持体20の表面が一様に帯電される。そして、光学ユニット24からレーザ光(画像光)が像担持体20の表面に走査され、画像データに基づいた静電潜像が像担持体20の表面上に形成される。その後、現像ローラー26によってトナーが像担持体20上に転移され、その像担持体20の表面に可視像が形成される。
【0076】
こうして、像担持体20の表面に可視像が形成されたら、搬送ベルト34に吸着搬送されて通過する記録用紙P上に、像担持体20表面のトナー像(未定着像)が、像担持体20と転写ローラー36によって転写される。これをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に行い、記録用紙P上にフルカラーのトナー像(未定着像)が転写されたら、記録用紙Pは、搬送ベルト34によって定着装置38へ搬送される。
【0077】
定着装置38に搬送された記録用紙Pは、加熱ローラー40及び加圧ローラー42によって、それに転写されている未定着のトナー像が加熱・加圧されて定着される。そして、定着装置38によってトナー像が定着された記録用紙Pは、排紙トレイ44上へ排出される。なお、記録用紙Pへのトナー像の転写終了後、像担持体20の表面は、クリーニング部材28によってクリーニング処理され、次の作像処理に備える。
【0078】
スキャナ6は、スキャニング開始側の端部においてスキャナ支持台4に固定されている上、取付ステイ65A、65Bにおいて、スキャニング方向aに直交する支持梁75の係合軸77に係合しているから、画像読取キャリッジ60がスキャニング開始位置に戻るときの衝撃でスキャナ6のスキャナ支持台4に対する相対位置がずれたり、取付部分が破損したりすることがない。また、前記スキャニング開始側の端部は、原稿送り装置64が設けられた側の端部でもあるから、原稿送り装置64で原稿を送りながら画像を読み取る場合においても、原稿送り装置64からの衝撃でスキャナ6の位置が狂うことがない。また、スキャナ6をスキャナ支持台4に装着するときの作業性にも優れている。
【0079】
以上、プリンタユニット10が電子写真式である例について説明したが、プリンタユニット10は、インクジェット式プリンタであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、実施形態1に係るデジタル複写機の構成を示す概略断面図である。
【図2】図2は、実施形態1に係るデジタル複写機の備えるスキャナおよびその周辺の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2に示すスキャナの備える原稿台62の内部構造の概略を示す斜視図である。
【図4】図4は、図2に示すスキャナにおける取付ステイの取付構造の一例について下方から見たところを示す斜視図である。
【図5】図5は、図2に示すスキャナにおける取付ステイの取付構造の別の例について下方から見たところを示す斜視図である。
【図6】図6は、図2に示すスキャナにおける取付ステイの取付構造の更に別の例について下方から見たところを示す斜視図である。
【図7】図7は、実施形態1に係るデジタル複写機においてスキャナを下方から支持するスキャナ支持台の構成を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示すスキャナ支持台の備える支持枠体を斜め下方から見たところを示す斜視図である。
【図9】図9は、スキャナをスキャナ支持台に装着したところを斜め下方から見たところを示す斜視図である。
【図10】図10は、スキャナにおいて支持梁に突設された係合軸に係合する取付ステイの形態の一例を示す拡大断面図である。
【図11】図11は、スキャナにおいて、一対の取付ステイの間に補助取付ステイを設けた例を示す部分断面図である。
【図12】図12は、図11に示すスキャナをスキャナ支持台の仮置き位置に挿着した状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0081】
2 デジタル複写機
4 スキャナ支持台
6 スキャナ
10 プリンタユニット
60 画像読取キャリッジ
61 駆動ベルト
62 原稿台
62A 底板
62B 凹陥部
63 レール
64 原稿送り装置
65A 取付ステイ
65B 取付ステイ
65C 係合孔
65D 締結孔
66 原稿載置台
67 補助取付ステイ
70 支柱
72 上板
72A 螺子孔
74 支持枠体
75 支持梁
76 連結梁
77 係合軸
78 締結螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿って互いに平行に設けられ、スキャナが所定の装着方向に沿って水平に装着される一対の支持梁と、
前記一対の支持梁における前記スキャナ装着方向に対して後方の面に、スキャナ装着方向に対して後方に突出するように少なくとも2本設けられ、前記スキャナに係合する係合軸と、
前記係合軸に係合したスキャナを前記支持梁に対して固定する締結手段と、
を備えるスキャナ支持台。
【請求項2】
前記支持梁は、スキャナにおける走査方向に対して直交する方向に設けられている請求項1に記載のスキャナ支持台。
【請求項3】
前記係合軸は、夫々の支持梁に2本ずつ設けられている請求項2に記載のスキャナ支持台。
【請求項4】
前記支持梁は、何れも同一断面形状および同一寸法で形成されている請求項3に記載のスキャナ支持台。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のスキャナ支持台に装着されるスキャナであって、前記装着方向に沿って前記スキャナを前記スキャナ支持台に挿着したときに、前記スキャナ支持台の支持梁に設けられた係合軸が係合される係合部材が、前記支持梁に当接する側の面に一対設けられているスキャナ。
【請求項6】
前記係合軸が係合する係合孔が前記一対の係合部材の夫々に形成されているとともに、一の係合部材に形成された係合孔のうちの1つは丸孔であって、残りは水平方向に延びた長孔である請求項5に記載のスキャナ。
【請求項7】
前記係合孔が形成された側の面に前記支持梁を収容する凹陥部が形成され、前記係合部材は、前記凹陥部の内側に配設されている請求項5または6に記載のスキャナ。
【請求項8】
前記凹陥部は、前記装着方向に沿って前記スキャナを前記スキャナ支持台に挿着したときに、前記支持梁の端面が前記凹陥部の側壁面に当接するように形成されている請求項7に記載のスキャナ。
【請求項9】
前記スキャナを前記スキャナ支持台に仮置きするときに、前記一対の支持梁のうちの前記装着方向に沿って下流側の支持に設けられた係合軸が係合する第3の係合部材が、前記結合部材のうち、前記装着方向に沿って下流側の結合部材と前記スキャナの重心点との間に配設された請求項5〜8の何れか1項に記載のスキャナ。
【請求項10】
請求項1〜4の何れか1項に記載のスキャナ支持台と、前記スキャナ支持台に装着された請求項5〜9の何れか1項に記載のスキャナとを備えるスキャナユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のスキャナユニットと、前記スキャナユニットの備えるスキャナで画像を読み込んで得られた画像データに基いて記録媒体に画像を印刷するプリンタユニットとを備える画像形成装置。
【請求項12】
前記プリンタユニットは電子写真方式である請求項11の画像形成装置。
【請求項13】
前記プリンタユニットはインクジェット方式である請求項11の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−239341(P2009−239341A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79023(P2008−79023)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】