スキャナ装置
【課題】 被写体を正確に読み取るだけでなく、被写体を所望の位置で読み取ることができるスキャナ装置を提供する。
【解決手段】 被写体Xに向けて光を放射し且つ被写体Xで反射した光を読み取る読取手段2と、被写体Xが載置されるステージ31とを備え、読取手段2及びステージ31は、水平方向及び鉛直方向の少なくとも何れか一方で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置1において、ステージ31は、鉛直方向を中心に回転可能であると共に、水平方向に対して傾斜可能に構成されることを特徴とする。
【解決手段】 被写体Xに向けて光を放射し且つ被写体Xで反射した光を読み取る読取手段2と、被写体Xが載置されるステージ31とを備え、読取手段2及びステージ31は、水平方向及び鉛直方向の少なくとも何れか一方で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置1において、ステージ31は、鉛直方向を中心に回転可能であると共に、水平方向に対して傾斜可能に構成されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的な被写体を読み取るスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的な被写体を読み取るスキャナ装置として、被写体が載置される載置部と、被写体に向けて光を放射し且つ被写体で反射した光を読み取る読取手段とを備えるスキャナ装置が知られている。そして、斯かるスキャナ装置においては、読取手段が鉛直方向や水平方向に移動可能に構成される(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
これにより、被写体を読み取った際に、読取手段が被写体の端側を歪んで読み取るのを抑制し、被写体を正確に読み取ることができる。具体的には、エリアセンサで被写体の所定方向における全領域を一度に読み取ると、読取手段が被写体の近い部位よりも遠い部位を相対的に小さく読み取り、被写体の端側を歪んで読み取ってしまうが、読取手段が移動して被写体の所定方向における全領域を読み取ることで、読取手段が移動する方向において当該問題を解消でき、読取手段が被写体を正確に読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006− 38476号公報
【特許文献2】特開2007−193680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、斯かるスキャナ装置において、読取手段が被写体を読み取る際に、所望の位置(例えば、読み取り角度及び読み取り方向)で読み取ることができない場合がある。これにより、例えば、表面に凹凸形状を有する被写体を読み取る際に、凹凸形状を明確にして(凹凸のコントラストを最大化して)読み取ることができない場合がある。
【0006】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、被写体を正確に読み取ることができると共に、被写体を所望の位置で読み取ることができるスキャナ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスキャナ装置は、被写体に向けて光を放射し且つ被写体で反射した光を読み取る読取手段と、被写体が載置されるステージとを備え、読取手段及びステージは、水平方向及び鉛直方向の少なくとも何れか一方で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置において、ステージは、鉛直方向を中心に回転可能であると共に、水平方向に対して傾斜可能に構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るスキャナ装置によれば、被写体を読み取る読取手段と被写体が載置されるステージとが、水平方向及び鉛直方向の少なくとも何れか一方で相対的に変位可能に構成されるため、被写体の端側を歪んで読み取るのを抑制できる。そして、ステージが鉛直方向を中心に回転可能であると共に、水平方向に対して傾斜可能に構成されるため、読取手段と被写体との位置関係をフレキシブルに対応することができる。
【0009】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、鉛直方向を中心に回転する回転部を備え、ステージは、回転部に対して水平方向を中心に回転変位可能にすべく、回転部に枢着されてもよい。
【0010】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、鉛直方向を中心に回転する回転部に、ステージが枢着(接続)されるため、ステージが鉛直方向を中心に回転できる。さらに、ステージが回動部に対して水平方向を中心に回転変位できるため、ステージが水平方向に対して傾斜できる。
【0011】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、回転部は、ステージの外方に配置され、ステージは、読取手段が被写体を下方側からも読み取り可能にすべく、少なくとも中央部が透光可能に構成され且つ外周部で回転部に枢着されてもよい。
【0012】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、ステージの少なくとも中央部が透光可能に構成されるため、当該透光可能な部位を介して、読取手段が被写体を下方側から読み取ることができる。そして、ステージが外方に配置される回転部に外周部で枢着されるため、読取手段が被写体を下方側から読み取る際に、読み取りの障害となるものがステージの下方に存在せず、その結果、読取手段が被写体を下方側から容易に読み取ることができる。
【0013】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、ステージは、被写体が載置される載置部と、載置部と回転部との間に配置され、載置部と回転部とを接続する接続部とを備え、接続部は、水平方向に沿って配置される回動軸により、回転部に枢着され、載置部は、水平方向に沿って配置され且つ接続部の回動軸と直交するように配置される別の回動軸により、接続部に枢着されてもよい。
【0014】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、載置部と回転部とを接続する接続部が、水平方向に沿って配置される回動軸により回転部に枢着されるため、所定の範囲で回動できる。そして、載置部が、水平方向に沿って配置される別の回動軸により接続部に枢着されるため、所定の範囲で回動できる。
【0015】
しかも、載置部及び接続部の各回動軸同士が直交するように配置される。したがって、載置部が鉛直方向を中心に回転できることも併せると、載置部及び接続部が回動できる所定の範囲においては、あらゆる読み取り角度及びあらゆる読み取り方向に対応することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の如く、本発明に係るスキャナ装置によれば、読取手段と載置部に載置される被写体との位置関係をフレキシブルに対応することができるため、被写体を正確に読み取ることができると共に、被写体を所望の位置で読み取ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るスキャナ装置の全体図であって、斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るスキャナ装置の光学系を説明する要部概要図であって、側面図を示す。
【図3】同実施形態に係るスキャナ装置の光学系を説明する要部概要図であって、平面図を示す。
【図4】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、斜視図を示す。
【図5】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、傾斜した状態の内視斜視図を示す。
【図6】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、(a)はカバー体が取り外された状態における平面図、(b)は底面図を示す。
【図7】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの断面図であって、(a)は図6のB−B線における全体図、(b)はC領域における要部拡大図を示す。
【図8】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの断面図であって、(a)は図7のD−D線における全体図、(b)はF−F線における要部拡大図を示す。
【図9】同実施形態に係るスキャナ装置が構成するシステム概要図を示す。
【図10】同実施形態に係るスキャナ装置が構成するシステムで読み取ったデータを処理した画像であって、(a)は第1モードで読み取った側面図、(b)は第2モードで読み取った側面図を示す。
【図11】本発明の他の実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、(a)は平面図、(b)は正面図を示す。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、(a)は平面図、(b)は正面図を示す。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係るスキャナ装置で読み取ったデータを処理する説明図であって、(a)は被写体の斜視図、(b)は補正前の側方展開図、(c)及び(d)はそれぞれ補正後の側方展開図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るスキャナ装置における一実施形態について、図1〜図9を参酌して説明する。
【0019】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るスキャナ装置1は、被写体Xに向けて光を放射し且つ被写体Xで反射した光を読み取る読取手段2と、被写体Xが載置されるステージ31を有するワークテーブル3とを備える。また、スキャナ装置1は、読取手段2及びワークテーブル3を収容する装置本体4を備える。
【0020】
読取手段2は、被写体Xを上方側から読み取る上面読取部21と、被写体Xを下方側から読み取る下面読取部22と、被写体Xを側方側から読み取る側面読取部23とを備える。また、読取手段2は、各読取部21,22,23で読み取るデータの背景(被写体X以外の部分)を単色(例えば青色や緑色)にさせる補助光源(上面補助光源、下面補助光源及び側面補助光源)24,25,26をそれぞれ備える。
【0021】
上面読取部21は、被写体Xに向けて光を放射する一対の(上面)光源211,211と、被写体Xで反射した光を集光する(上面)光学系212と、集光した光を受光する(上面)受光素子213とを備える。なお、図2において、各二点鎖線La1,La1は、上面読取部21の投光系(被写体Xで反射するまでの範囲)の光軸であり、二点鎖線La2は、上面読取部21の受光系(被写体Xで反射した以降からの範囲)の光軸である。
【0022】
また、上面読取部21は、各上面光源211、上面光学系212及び上面受光素子213を固定する(上面)読取部本体214を備える。そして、上面読取部21は、上面読取部本体214を鉛直方向に移動させて位置を調整させる第1の位置調整手段215と、第1の位置調整手段215を操作するための第1のハンドル部216とを備え、ステージ31に対して接離可能に構成される。
【0023】
各上面光源211は、長尺な円筒状に形成され、水平方向に沿って配置される。そして、一対の上面光源211,211は、径方向(幅方向)で且つ水平方向に離間して並設される。具体的には、一対の上面光源211,211は、投光系の各光軸La1が受光系の光軸La2で線対称となるように配置される。また、一対の上面光源211,211は、個別に、点灯(光を放射する)状態と消灯(光を放射しない)状態とに切り替え可能に構成される。
【0024】
上面光学系212は、本実施形態において、長尺に形成され、水平方向に沿って配置されるレンズ212としている。そして、レンズ212は、長手方向が各上面光源211の長手方向と平行となるように配置される。また、レンズ212は、水平方向において、一対の上面光源211,211の間に配置される。
【0025】
上面受光素子213は、本実施形態において、長尺に形成され、水平方向に沿って配置されるCCDラインセンサ213としている。そして、CCDラインセンサ213は、長手方向が各上面光源211及びレンズ212の長手方向と平行となるように配置される。
【0026】
そして、上面光学系212及び上面受光素子213は、受光系の光軸La2が鉛直方向に沿うように設定されている。なお、上面光学系212が受光系の光軸La2の方向を変更させるミラーを備える場合には、上面光学系212及び上面受光素子213は、少なくとも、被写体Xで反射してからミラーで方向を変更されるまでは、受光系の光軸La2が鉛直方向に沿うように設定される。
【0027】
下面読取部22は、上面読取部21と略同様に、長尺な円筒状に形成され且つ並設される一対の(下面)光源221,221と、長尺なレンズからなる(下面)光学系222と、長尺なCCDラインセンサからなる(下面)受光素子223とを備える。そして、各下面光源221、レンズ222及びCCDラインセンサ223は、それぞれの長手方向が水平方向に沿って配置され且つ互いに平行となるように配置される。
【0028】
また、下面読取部22は、各下面光源221、下面光学系222及び下面受光素子223を固定する(下面)読取部本体224を備える。そして、下面読取部22は、下面読取部本体224が装置本体4に固定され、鉛直方向においてステージ31との離間距離が一定となるように配置される。
【0029】
なお、図2において、各二点鎖線Lb1,Lb1は、下面読取部22の投光系の光軸であり、二点鎖線Lb2は、下面読取部22の受光系の光軸である。そして、下面読取部22は、受光系の光軸Lb2が鉛直方向に沿うように設定され、投光系の各光軸Lb1が受光系の光軸Lb2で線対称となるように設定されている。
【0030】
側面読取部23は、上面読取部21や下面読取部22と略同様に、長尺な円筒状に形成され且つ並設される一対の(側面)光源231,231と、長尺なレンズからなる(側面)光学系232と、長尺なCCDラインセンサからなる(側面)受光素子233とを備える。また、側面読取部23は、各側面光源231、側面光学系232及び側面受光素子233を固定する(側面)読取部本体234を備える。
【0031】
そして、側面読取部23は、側面読取部本体234を水平方向に移動させて位置を調整する第2の位置調整手段235と、第2の位置調整手段235を操作するための第2のハンドル部236とを備え、ステージ31に対して接離可能に構成される。さらに、側面読取部23は、側面読取部本体234を鉛直方向に移動させて位置を調整する第3の位置調整手段237と、第3の位置調整手段237を操作するための第3のハンドル部238とを備える。
【0032】
各側面光源231、レンズ232及びCCDラインセンサ233は、それぞれの長手方向が鉛直方向に沿って配置され且つ互いに平行となるように配置される。なお、図3において、各二点鎖線Lc1,Lc1は、側面読取部23の投光系の光軸であり、二点鎖線Lc2は、側面読取部23の受光系の光軸である。
【0033】
そして、側面読取部23は、投光系の各光軸Lc1が受光系の光軸Lc2で線対称となるように設定されている。さらに、側面読取部23は、第3の位置調整手段237により鉛直方向に移動して、中心を被写体Xの鉛直方向の中心に合わせることで、受光系の光軸Lc2が水平方向に沿うように設定できる。
【0034】
上面補助光源24は、長尺な円筒状に形成され、水平方向に沿って配置されると共に、長手方向が各上面光源211の長手方向と平行となるように配置される。また、上面補助光源24は、下面読取部22に固定され、ステージ31を介在して、上面読取部21と対向するように配置される。なお、図2において、二点鎖線La3は、上面補助光源24の光軸であり、上面読取部21の受光系の光軸La2と同方向である。
【0035】
下面補助光源25は、長尺な円筒状に形成され、水平方向に沿って配置されると共に、長手方向が各下面光源221の長手方向と平行となるように配置される。また、下面補助光源25は、上面読取部21に固定され、ステージ31を介在して、下面読取部22と対向するように配置される。なお、図2において、二点鎖線Lb3は、下面補助光源25の光軸であり、下面読取部22の受光系の光軸Lb2と同方向である。
【0036】
側面補助光源26は、長尺な円筒状に形成され、鉛直方向に沿って配置されると共に、長手方向が各側面光源231の長手方向と平行となるように配置される。また、側面補助光源26は、装置本体4に固定され、ステージ31を介在して、側面読取部23と対向するように配置される。なお、図3において、二点鎖線Lc3は、側面補助光源26の光軸であり、側面読取部23の受光系の光軸Lc2と同方向である。
【0037】
ワークテーブル3は、ステージ31の外方に配置され、鉛直方向を中心に回転する回転部32と、回転部32を回転させるための駆動手段33とを備える。また、ワークテーブル3は、読取手段2に対して水平方向で相対的に変位することで、読取手段2が被写体Xの端側を歪んで読み取るのを防止すべく、水平方向(図1〜図3におけるA矢印方向)に移動するための移動手段34を備える。
【0038】
そして、ワークテーブル3は、テーブル本体35と、テーブル本体35を覆うようにして、テーブル本体35に取り付けられるカバー体36とを備える。また、ワークテーブル3は、ステージ31を回転させる際に操作される操作ボタン37を備える。
【0039】
ステージ31は、図4〜図8に示すように、中央部に、被写体Xが載置される載置部311と、載置部311と回転部32との間に配置され、載置部311と回転部32とを接続する接続部312とを備える。また、ステージ31は、載置部311が接続部312に枢着されると共に、載置部311が接続部312に対して傾斜する角度を調整する第1の角度調整手段313を備える。
【0040】
そして、ステージ31は、接続部312が回転部32に枢着されると共に、接続部312が回転部32に対して傾斜する角度を調整する第2の角度調整手段314を備える。これにより、ステージ31は、回転部32と接続されるため、鉛直方向を中心に回転できると共に、回転部32に対して傾斜することができるため、上面が水平方向に対して傾斜することができる。
【0041】
載置部311は、円形状で且つ板状に形成される。そして、載置部311は、下面読取部22が被写体Xを下方側から読み取り可能にすべく、透光可能に構成される。さらに、載置部311は、水平方向に沿って配置される第1の回動軸311aが外周部に設けられ、第1の回動軸311aで接続部312に枢着されるため、下面読取部22との間には、被写体Xを読み取る際に障害となるものが存在しない。
【0042】
接続部312は、円環形状で且つ板状に形成され、載置部311を内部に配置する。そして、接続部312は、載置部311の第1の回動軸311aを受ける第1の軸受部312aが内周部に設けられる。また、接続部312は、水平方向に沿って配置される第2の回動軸312bが外周部に設けられ、第2の回動軸312bにより、回転部32に枢着される。なお、接続部312の第2の回動軸312bは、載置部311の第1の回動軸311aと直交するように配置される。
【0043】
第1の角度調整手段313は、接続部312に固定される二つのピニオン(歯車)と、載置部311の外周部に固定され、各ピニオンと噛合するラックとからなるラック・ピニオン機構313aを一対備える。そして第1の角度調整手段313は、各ピニオンを同期させて回転させるべく、各ラック・ピニオン機構313aのうち一方のピニオン同士を連結する同期軸313bと、ピニオンを回転させる際に操作される操作部313cとを備える。
【0044】
そして、第1の角度調整手段313は、ピニオンが回転することで、ラックが第1の回動軸311aの周方向(図7におけるE矢印方向)に沿って移動するため、載置部311と接続部312との交差角度を調整できる。しかも、第1の角度調整手段313は、ピニオンがラックと噛合することでラックを係止するため、載置部311と接続部312とを所望の交差角度の位置で保持できる。
【0045】
第2の角度調整手段314は、第1の角度調整手段313と略同様の構成であり、回転部32に固定されるピニオンと、接続部312に固定されるラックとからなるラック・ピニオン機構314aを一対備えると共に、各ピニオンを同期させる同期軸314bと、操作される操作部314cとを備える。そして、第2の角度調整手段314は、接続部312と回転部32との交差角度を調整可能であると共に、接続部312と回転部32とを所望の交差角度の位置で保持可能に構成される。
【0046】
回転部32は、円環形状で且つ板状に形成され、ステージ31を内部に配置する回転部本体321を備える。また、回転部32は、駆動手段33の駆動を受ける駆動受部322を備える。
【0047】
回転部本体321は、接続部312の第2の回動軸312bを受ける第2の軸受部321aが内周部に設けられる。また、回転部本体321は、外周部がテーパ状となるように形成される。
【0048】
駆動受部322は、駆動手段33と噛合するように構成される。具体的には、駆動受部322は、外周に歯を有する複数の噛合部材(プーリ)322a,…が周方向に沿って並設され、各噛合部材322aが回転部本体321の下面側に固定されて構成される。なお、各噛合部材322aは、螺子部材322bにより回転しないようにして回転部本体321に固定されている。
【0049】
駆動手段33は、回転部32を回転させるための駆動源(モータ)331と、駆動源331の駆動を回転部32に伝達する伝達手段332とを備える。また、駆動手段33は、回転部32を支持する支持手段333を備える。
【0050】
伝達手段332は、駆動源331に接続される駆動軸332aと、駆動軸332aと駆動受部322(噛合部材322a,…)とに跨って掛け渡される無端状の伝達部材(ベルト)332bとを備える。また、伝達手段332は、伝達部材332bに張力(テンション)を与えるための張力調整手段332cを備える。そして、伝達部材332bは、駆動受部322(噛合部材322a,…)と噛合するように構成される。
【0051】
支持手段333は、回転部32の周りに沿って配置される複数の支持部材333a,…を備え、各支持部材333aで回転部32を支持するように構成される。そして、各支持部材333aは、回転部本体321のテーパ状に形成されている外周部と嵌合するように凹状に形成されるため、回転部32がテーブル本体35に対して鉛直方向及び水平方向で変位するのを防止できる。また、各支持部材333aは、鉛直方向を中心に回転可能に構成されるため、回転部32が回転するのに伴って回転する。
【0052】
移動手段34は、例えばモータ(図示していない)の駆動をテーブル本体35に伝達させることにより、ワークテーブル3を移動させる。そして、移動手段34は、ワークテーブル3を、水平方向で、且つ、上面光源211及び下面光源221の長手方向と直交する方向に案内する案内手段341を備える。
【0053】
案内手段341は、装置本体4に固定されるガイドレール341aと、テーブル本体35に固定され、ガイドレール341aに案内される被案内部341bとを備える。そして、被案内部341bは、ガイドレール341aと嵌合するように形成される。
【0054】
ところで、本実施形態に係るスキャナ装置1は、図9に示すように、取得した(読み取った)データを処理すべく、処理装置100に接続されている。
【0055】
処理装置100は、所望の処理を行うために操作されるキーボードやマウス等からなる入力手段110を備える。そして、処理装置100は、データを他の装置に向けて外部に出力するための外部出力端子や、データを表示するモニタ等からなる出力手段120を備える。
【0056】
また、処理装置100は、スキャナ装置1及び出力手段120を制御したり、データを記憶して演算処理したりする制御手段130を備える。さらに、処理装置100は、入力手段110を介して選択されることで、標準のモードである第1モードと、光反射率の高い被写体Xに対して、ハレーション(白くぼやける現象)が発生するのを抑制させるモードである第2モードとを切り替え可能に構成される。
【0057】
制御手段130は、移動手段34を制御することで、ワークテーブル3を移動させる移動制御手段131と、駆動手段33を制御することで、ステージ31を回転させる回転制御手段132と、各読取部21,22,23を制御する読取制御手段133とを備える。また、制御手段130は、各読取部21,22,23が読み取った被写体Xのデータを記憶する記憶手段134と、取得したデータを演算する演算手段135とを備える。
【0058】
読取制御手段133は、第1モードが選択されている場合には、一対の光源211(221,231),211(221,231)の両方を点灯させた状態で、被写体Xを読み取るように、各読取部21,22,23を制御する。また、読取制御手段133は、第2モードが選択されている場合には、一方の光源211(221,231)のみを点灯させた状態で被写体Xを読み取り、その後、他方の光源211(221,231)のみを点灯させた状態で被写体Xを読み取るように、各読取部21,22,23を制御する。
【0059】
演算手段135は、第1モードが選択されている場合には、各読取部21,22,23で取得したデータをそのまま画像化する。具体的には、演算手段135は、各読取部21,22,23が被写体Xを読み取って取得した1つの二次元データから1つの画像(データ)を作成する。
【0060】
また、演算手段135は、第2モードが選択されている場合には、一方の光源211(221,231)のみを点灯させた状態で被写体Xを読み取って取得した第1のデータと、他方の光源211(221,231)のみを点灯させた状態で被写体Xを読み取って取得した第2のデータとを合成して画像化する。具体的には、演算手段135は、各画素ごとに、第1のデータと第2のデータとを比較して、受光量の小さい方のデータのみを抽出することにより、2つの二次元データから1つの画像(データ)を作成する。
【0061】
以上より、本実施形態に係るスキャナ装置1は、ワークテーブル3が水平方向で移動することにより、被写体Xを読み取る読取手段2と被写体Xが載置されるステージ31とを水平方向で相対的に変位できる。これにより、被写体Xの水平方向における端側を歪んで読み取るのを防止できる。
【0062】
そして、ステージ31が鉛直方向を中心に回転できると共に、水平方向に対して傾斜できるため、読取手段2と被写体Xとの位置関係をフレキシブルに対応することができる。したがって、上記のように、端側を歪むのを抑制して被写体Xを正確に読み取ることができると共に、被写体Xを所望の位置で読み取ることができる。
【0063】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、鉛直方向を中心に回転する回転部32に、ステージ31が接続されるため、ステージ31が鉛直方向を中心に回転できる。さらに、ステージ31が回転部32に対して水平方向を中心に回転変位できるため、ステージ31が水平方向に対して傾斜できる。しかも、ステージ31の回転中心と回動中心とが直交しているため、ステージ31が傾斜した状態で鉛直方向を中心に回転しても、被写体Xを安定して回転させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、ステージ31の中央部に位置する載置部311が透光可能に構成されるため、透光可能な載置部311を介して、読取手段2で被写体Xを下方側から読み取ることができる。そして、ステージ31が外方に配置される回転部32に外周部で枢着されるため、読取手段2が被写体Xを下方側から読み取る際に、読み取りの障害となるものがステージ31の下方に存在せず、その結果、読取手段2が被写体Xを下方側から容易に読み取ることができる。
【0065】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、水平方向に沿って配置される第2の回動軸312bにより、接続部312が回転部32に枢着されるため、接続部312が所定の範囲で回動できる。そして、水平方向に沿って配置される第1の回動軸311aにより、載置部311が接続部312に枢着されるため、載置部311が所定の範囲で回動できる。
【0066】
しかも、各回動軸311a,312b同士が直交するように配置されている。したがって、載置部311が鉛直方向を中心に回転できることも併せると、載置部311及び接続部312が回動できる所定の範囲においては、あらゆる読み取り角度及びあらゆる読み取り方向に対応することができる。
【0067】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1及び処理装置100は、各読取部21,22,23で、被写体Xを上方側、下方側及び側方側から読み取ることができ、しかも、回転制御手段132によりステージ31を回転することで、被写体Xの側方側から読み取る位置を変更できる。また、回転制御手段132が回転角度を検出することで、読取手段2で読み取った被写体Xの位置データを記憶手段134に記憶することもできる。
【0068】
したがって、例えば、被写体Xについて、第三角法の六面(平面(上面)、底面(下面)、正面、背面、右側面及び左側面)に係るデータを取得することができる。なお、図10(a)は、第1モードが選択された場合であって、被写体Xの正面に係るデータを画像化(画像処理)したものを示している。
【0069】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1及び処理装置100は、入力手段110を介して、標準のモードである第1モードと、ハレーションが発生するのを抑制させるモードである第2モードとを切り替えることができる。したがって、図10(a)のように、ハレーションが発生するような被写体Xに対して、第2モードを選択することにより、図10(b)に示すようなハレーションが発生していない被写体Xの画像を取得することもできる。
【0070】
なお、本発明に係るスキャナ装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0071】
まず、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、ステージ31が載置部311及び接続部312を有すると共に、載置部311及び接続部312が枢着し、接続部312及び回転部32が枢着することで、ステージ31が水平方向に対して傾斜する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。
【0072】
例えば、ステージは、載置部311のみ有し(接続部312なる構成を有しておらず)、載置部311及び回転部32が枢着することで、水平方向に対して傾斜する場合でもよく、また、ステージは、テーブル本体に対して傾斜しないが、テーブル本体が傾斜することで、水平方向に対して傾斜する場合でもよい。さらに、ステージは、球面軸受により、水平方向に対して傾斜する場合でもよく、斯かる場合の一例を、図11に示す。
【0073】
図11に示されるワークテーブル5は、被写体Xを載置するステージ51と、駆動手段52により回転する軸体の回転部53と、ステージ51が水平方向に対して傾斜すべく、ステージ51の中央部と回転部53の先端部とを球面軸受けする球面軸受部54とを備える。また、ワークテーブル5は、ステージ51の傾斜角度を調整する第1及び第2の角度調整手段55,56を備える。
【0074】
各角度調整手段55,56は、回転部53に挿通され、回転部53の軸心方向(図11におけるG矢印方向、H矢印方向であって鉛直方向)に沿って移動する移動体551,561と、各移動体551,561とステージ51とを接続するリンク機構552,562とを備える。なお、各リンク機構552,562は、各移動体551,561及びステージ51の何れか一方と球面軸受けで接続されている(図11においては、各リンク機構552,562は、ステージ51と、球面軸受け552a,562aで接続されている)。
【0075】
斯かる構成によれば、第1の角度調整手段55が所定の水平方向を中心にステージ51を回動でき、第2の角度調整手段56が当該所定方向と直交する方向で且つ水平方向を中心にステージ51を回動できる。したがって、上記実施形態に係るスキャナ装置1と同様に、回動できる範囲においては、あらゆる読み取り角度及びあらゆる読み取り方向に対応することができる。
【0076】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、接続部312が円環状に形成され、回転部32が円環状に形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、ステージの下方からも被写体Xを容易に読み取るべく、ステージの下方に読み取りの障害となる構成を有していない構成の一例を図12に示す。
【0077】
図12に示されるワークテーブル6は、円形状の載置部611と、載置部611よりも径方向外方に配置される円弧状の接続部612とを有するステージ61を備える。そして、ワークテーブル6は、接続部612よりも径方向外方に配置される棒状の回転部62と、駆動源631の駆動を伝達手段632により回転部62に伝達し、回転部62を鉛直方向を中心に回転させる駆動手段63とを備える。
【0078】
そして、載置部611は、水平方向に沿って配置される第1の回動軸611aで、接続部612に枢着され、接続部612は、水平方向に沿って配置され且つ第1の回動軸611aと直交する方向に沿って配置される第2の回動軸612aで、回転部62に枢着される。したがって、斯かる構成によれば、上記実施形態に係るスキャナ装置1と同様に、回動できる範囲においては、あらゆる読み取り角度及びあらゆる読み取り方向に対応することができる。
【0079】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、読取手段2が上面読取部21、下面読取部22及び側面読取部23を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られない。
【0080】
例えば、上面読取部21、下面読取部22及び側面読取部23のうち、一つ又は二つの読取部を備える場合でもよく、また、一つの読取部が移動することにより、被写体Xを上方からも、下方からも、そして側方からも読み取ることができる場合でもよい。さらには、側面読取部23と対向する位置に、被写体Xの反対側の側面を読み取るためのもう一つの側面読取部を備える場合でもよい。
【0081】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、ワークテーブル3(ステージ31)が水平方向に移動することにより、被写体Xの所定方向における全領域を読み取ることができる場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、ワークテーブル(ステージ)が鉛直方向に移動することで、被写体Xの所定方向における全領域を読み取ることができる場合でもよく、ワークテーブル(ステージ)及び読取手段が両方とも移動することで、被写体Xの所定方向における全領域を読み取ることができる場合でもよい。
【0082】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、第1の位置調整手段215により、上面読取部21がステージ31に対して接離し、第2の位置調整手段235により、側面読取部23がステージ31に対して接離する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、各読取部の光学系が複数のレンズからなる焦点自動調整機能(オートフォーカス機能)を備え、各読取部が被写体Xとの離間距離に応じてフレキシブルに対応できる場合でもよい。
【0083】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、各受光素子213,223,233がCCDラインセンサである場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、CCDエリアセンサでもよい。そして、CCDエリアセンサの場合には、読み取ったデータのうち、所定のライン状の部位のデータを選択することで、被写体Xの端側を歪んで読み取るのを防止できる。
【0084】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、処理装置100を別に設ける場合を説明したが、斯かる場合に限られず、処理装置の各構成手段を、スキャナ装置に備える場合でもよい。
【0085】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、ステージ31の回転を操作ボタン37で操作し、ステージ31の傾斜を各角度調整手段313,314の操作部313c,314cで操作する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、処理装置の入力手段に所望の回転角度や傾斜角度を入力することにより、自動制御で操作できる場合でもよい。斯かる場合においては、検出手段(回転角度検出センサ、傾斜角度検出センサ)を設けることにより、各角度を制御する。
【0086】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、ステージ31を水平方向に移動させて被写体Xの側方を読み取る場合、即ち、側面データを取得する場合を説明したが、斯かる場合に限られず、ステージ31を回転させて被写体Xの側方を読み取る場合、即ち、側方展開データを取得する場合でもよい。しかも、被写体Xの側面データに基づき、正確な側方展開データを取得するように、演算処理する場合でもよい。例えば、斯かる場合の一例を、図13に示す。
【0087】
図13(a)に示すように、円錐台形状の被写体Xの側方を、ステージ31を回転させて側面読取部23で読み取る。そして、側面読取部23で読み取った被写体Xのデータを、側方展開データとして単に画像化すると、図13(b)に示すように、長方形状の画像となる。
【0088】
そこで、ステージ31を水平方向に移動させて被写体Xの側方を読み取ったデータ、即ち、側面データを、複数の角度で取得する。そして、複数の側面データから被写体Xの形状を演算し、その演算した被写体Xの形状に基づいて、側方展開データを演算(補正)すると、図13(c)に示すような非連続的な側方展開データの画像や、図13(d)に示すような連続的な側方展開データの画像を取得できるため、正確な寸法である側方展開データを取得できる。
【0089】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、被写体Xの側方をステージ31が水平方向に移動することで読み取るため、被写体Xの水平方向における端側を歪んで読み取るのを防止できる一方、被写体Xの鉛直方向における端側を歪んで読み取ることになる。しかしながら、被写体Xの鉛直方向における端側を歪んで読み取るのを防止すべく、所定位置(所定角度)で読み取った側面データを、ステージ31を回転させて別の角度から読み取った側面データに基づき演算(補正)する場合でもよい。
【0090】
斯かる場合、例えば、まず、複数の角度から被写体Xの側方を読み取った複数の側面データに基づいて、被写体Xの形状を演算する。そして、所定位置で読み取った側面データを、被写体Xの各部位と側面読取部23との距離に応じて演算する。具体的には、基準距離に対して遠い被写体Xの部位のデータを大きくなるように演算し、基準距離に対して近い被写体Xの部位のデータを小さくなるように演算する。
【0091】
これにより、被写体Xの側方をステージ31が水平方向に移動することで読み取る場合において、被写体Xの水平方向における端側を歪んで読み取るのを防止できるだけでなく、被写体Xの鉛直方向における端側も歪んで読み取るのを防止できる。したがって、取得したデータから正確な寸法を測定することも可能となる。
【0092】
また、本発明に係るスキャナ装置は、例えば転がり易い被写体を、針金や樹脂で形成された支持具で支持された状態で読み取る場合でもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…スキャナ装置、2…読取手段、31…ステージ、32…回転部、311…載置部、311a…(第1の)回動軸、312…接続部、312b…(第2の)回動軸、X…被写体
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的な被写体を読み取るスキャナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体的な被写体を読み取るスキャナ装置として、被写体が載置される載置部と、被写体に向けて光を放射し且つ被写体で反射した光を読み取る読取手段とを備えるスキャナ装置が知られている。そして、斯かるスキャナ装置においては、読取手段が鉛直方向や水平方向に移動可能に構成される(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
これにより、被写体を読み取った際に、読取手段が被写体の端側を歪んで読み取るのを抑制し、被写体を正確に読み取ることができる。具体的には、エリアセンサで被写体の所定方向における全領域を一度に読み取ると、読取手段が被写体の近い部位よりも遠い部位を相対的に小さく読み取り、被写体の端側を歪んで読み取ってしまうが、読取手段が移動して被写体の所定方向における全領域を読み取ることで、読取手段が移動する方向において当該問題を解消でき、読取手段が被写体を正確に読み取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006− 38476号公報
【特許文献2】特開2007−193680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、斯かるスキャナ装置において、読取手段が被写体を読み取る際に、所望の位置(例えば、読み取り角度及び読み取り方向)で読み取ることができない場合がある。これにより、例えば、表面に凹凸形状を有する被写体を読み取る際に、凹凸形状を明確にして(凹凸のコントラストを最大化して)読み取ることができない場合がある。
【0006】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、被写体を正確に読み取ることができると共に、被写体を所望の位置で読み取ることができるスキャナ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスキャナ装置は、被写体に向けて光を放射し且つ被写体で反射した光を読み取る読取手段と、被写体が載置されるステージとを備え、読取手段及びステージは、水平方向及び鉛直方向の少なくとも何れか一方で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置において、ステージは、鉛直方向を中心に回転可能であると共に、水平方向に対して傾斜可能に構成されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るスキャナ装置によれば、被写体を読み取る読取手段と被写体が載置されるステージとが、水平方向及び鉛直方向の少なくとも何れか一方で相対的に変位可能に構成されるため、被写体の端側を歪んで読み取るのを抑制できる。そして、ステージが鉛直方向を中心に回転可能であると共に、水平方向に対して傾斜可能に構成されるため、読取手段と被写体との位置関係をフレキシブルに対応することができる。
【0009】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、鉛直方向を中心に回転する回転部を備え、ステージは、回転部に対して水平方向を中心に回転変位可能にすべく、回転部に枢着されてもよい。
【0010】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、鉛直方向を中心に回転する回転部に、ステージが枢着(接続)されるため、ステージが鉛直方向を中心に回転できる。さらに、ステージが回動部に対して水平方向を中心に回転変位できるため、ステージが水平方向に対して傾斜できる。
【0011】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、回転部は、ステージの外方に配置され、ステージは、読取手段が被写体を下方側からも読み取り可能にすべく、少なくとも中央部が透光可能に構成され且つ外周部で回転部に枢着されてもよい。
【0012】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、ステージの少なくとも中央部が透光可能に構成されるため、当該透光可能な部位を介して、読取手段が被写体を下方側から読み取ることができる。そして、ステージが外方に配置される回転部に外周部で枢着されるため、読取手段が被写体を下方側から読み取る際に、読み取りの障害となるものがステージの下方に存在せず、その結果、読取手段が被写体を下方側から容易に読み取ることができる。
【0013】
また、本発明に係るスキャナ装置においては、ステージは、被写体が載置される載置部と、載置部と回転部との間に配置され、載置部と回転部とを接続する接続部とを備え、接続部は、水平方向に沿って配置される回動軸により、回転部に枢着され、載置部は、水平方向に沿って配置され且つ接続部の回動軸と直交するように配置される別の回動軸により、接続部に枢着されてもよい。
【0014】
斯かる構成のスキャナ装置によれば、載置部と回転部とを接続する接続部が、水平方向に沿って配置される回動軸により回転部に枢着されるため、所定の範囲で回動できる。そして、載置部が、水平方向に沿って配置される別の回動軸により接続部に枢着されるため、所定の範囲で回動できる。
【0015】
しかも、載置部及び接続部の各回動軸同士が直交するように配置される。したがって、載置部が鉛直方向を中心に回転できることも併せると、載置部及び接続部が回動できる所定の範囲においては、あらゆる読み取り角度及びあらゆる読み取り方向に対応することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上の如く、本発明に係るスキャナ装置によれば、読取手段と載置部に載置される被写体との位置関係をフレキシブルに対応することができるため、被写体を正確に読み取ることができると共に、被写体を所望の位置で読み取ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るスキャナ装置の全体図であって、斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るスキャナ装置の光学系を説明する要部概要図であって、側面図を示す。
【図3】同実施形態に係るスキャナ装置の光学系を説明する要部概要図であって、平面図を示す。
【図4】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、斜視図を示す。
【図5】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、傾斜した状態の内視斜視図を示す。
【図6】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、(a)はカバー体が取り外された状態における平面図、(b)は底面図を示す。
【図7】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの断面図であって、(a)は図6のB−B線における全体図、(b)はC領域における要部拡大図を示す。
【図8】同実施形態に係るスキャナ装置のステージの断面図であって、(a)は図7のD−D線における全体図、(b)はF−F線における要部拡大図を示す。
【図9】同実施形態に係るスキャナ装置が構成するシステム概要図を示す。
【図10】同実施形態に係るスキャナ装置が構成するシステムで読み取ったデータを処理した画像であって、(a)は第1モードで読み取った側面図、(b)は第2モードで読み取った側面図を示す。
【図11】本発明の他の実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、(a)は平面図、(b)は正面図を示す。
【図12】本発明のさらに他の実施形態に係るスキャナ装置のステージの全体図であって、(a)は平面図、(b)は正面図を示す。
【図13】本発明のさらに他の実施形態に係るスキャナ装置で読み取ったデータを処理する説明図であって、(a)は被写体の斜視図、(b)は補正前の側方展開図、(c)及び(d)はそれぞれ補正後の側方展開図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るスキャナ装置における一実施形態について、図1〜図9を参酌して説明する。
【0019】
図1〜図3に示すように、本実施形態に係るスキャナ装置1は、被写体Xに向けて光を放射し且つ被写体Xで反射した光を読み取る読取手段2と、被写体Xが載置されるステージ31を有するワークテーブル3とを備える。また、スキャナ装置1は、読取手段2及びワークテーブル3を収容する装置本体4を備える。
【0020】
読取手段2は、被写体Xを上方側から読み取る上面読取部21と、被写体Xを下方側から読み取る下面読取部22と、被写体Xを側方側から読み取る側面読取部23とを備える。また、読取手段2は、各読取部21,22,23で読み取るデータの背景(被写体X以外の部分)を単色(例えば青色や緑色)にさせる補助光源(上面補助光源、下面補助光源及び側面補助光源)24,25,26をそれぞれ備える。
【0021】
上面読取部21は、被写体Xに向けて光を放射する一対の(上面)光源211,211と、被写体Xで反射した光を集光する(上面)光学系212と、集光した光を受光する(上面)受光素子213とを備える。なお、図2において、各二点鎖線La1,La1は、上面読取部21の投光系(被写体Xで反射するまでの範囲)の光軸であり、二点鎖線La2は、上面読取部21の受光系(被写体Xで反射した以降からの範囲)の光軸である。
【0022】
また、上面読取部21は、各上面光源211、上面光学系212及び上面受光素子213を固定する(上面)読取部本体214を備える。そして、上面読取部21は、上面読取部本体214を鉛直方向に移動させて位置を調整させる第1の位置調整手段215と、第1の位置調整手段215を操作するための第1のハンドル部216とを備え、ステージ31に対して接離可能に構成される。
【0023】
各上面光源211は、長尺な円筒状に形成され、水平方向に沿って配置される。そして、一対の上面光源211,211は、径方向(幅方向)で且つ水平方向に離間して並設される。具体的には、一対の上面光源211,211は、投光系の各光軸La1が受光系の光軸La2で線対称となるように配置される。また、一対の上面光源211,211は、個別に、点灯(光を放射する)状態と消灯(光を放射しない)状態とに切り替え可能に構成される。
【0024】
上面光学系212は、本実施形態において、長尺に形成され、水平方向に沿って配置されるレンズ212としている。そして、レンズ212は、長手方向が各上面光源211の長手方向と平行となるように配置される。また、レンズ212は、水平方向において、一対の上面光源211,211の間に配置される。
【0025】
上面受光素子213は、本実施形態において、長尺に形成され、水平方向に沿って配置されるCCDラインセンサ213としている。そして、CCDラインセンサ213は、長手方向が各上面光源211及びレンズ212の長手方向と平行となるように配置される。
【0026】
そして、上面光学系212及び上面受光素子213は、受光系の光軸La2が鉛直方向に沿うように設定されている。なお、上面光学系212が受光系の光軸La2の方向を変更させるミラーを備える場合には、上面光学系212及び上面受光素子213は、少なくとも、被写体Xで反射してからミラーで方向を変更されるまでは、受光系の光軸La2が鉛直方向に沿うように設定される。
【0027】
下面読取部22は、上面読取部21と略同様に、長尺な円筒状に形成され且つ並設される一対の(下面)光源221,221と、長尺なレンズからなる(下面)光学系222と、長尺なCCDラインセンサからなる(下面)受光素子223とを備える。そして、各下面光源221、レンズ222及びCCDラインセンサ223は、それぞれの長手方向が水平方向に沿って配置され且つ互いに平行となるように配置される。
【0028】
また、下面読取部22は、各下面光源221、下面光学系222及び下面受光素子223を固定する(下面)読取部本体224を備える。そして、下面読取部22は、下面読取部本体224が装置本体4に固定され、鉛直方向においてステージ31との離間距離が一定となるように配置される。
【0029】
なお、図2において、各二点鎖線Lb1,Lb1は、下面読取部22の投光系の光軸であり、二点鎖線Lb2は、下面読取部22の受光系の光軸である。そして、下面読取部22は、受光系の光軸Lb2が鉛直方向に沿うように設定され、投光系の各光軸Lb1が受光系の光軸Lb2で線対称となるように設定されている。
【0030】
側面読取部23は、上面読取部21や下面読取部22と略同様に、長尺な円筒状に形成され且つ並設される一対の(側面)光源231,231と、長尺なレンズからなる(側面)光学系232と、長尺なCCDラインセンサからなる(側面)受光素子233とを備える。また、側面読取部23は、各側面光源231、側面光学系232及び側面受光素子233を固定する(側面)読取部本体234を備える。
【0031】
そして、側面読取部23は、側面読取部本体234を水平方向に移動させて位置を調整する第2の位置調整手段235と、第2の位置調整手段235を操作するための第2のハンドル部236とを備え、ステージ31に対して接離可能に構成される。さらに、側面読取部23は、側面読取部本体234を鉛直方向に移動させて位置を調整する第3の位置調整手段237と、第3の位置調整手段237を操作するための第3のハンドル部238とを備える。
【0032】
各側面光源231、レンズ232及びCCDラインセンサ233は、それぞれの長手方向が鉛直方向に沿って配置され且つ互いに平行となるように配置される。なお、図3において、各二点鎖線Lc1,Lc1は、側面読取部23の投光系の光軸であり、二点鎖線Lc2は、側面読取部23の受光系の光軸である。
【0033】
そして、側面読取部23は、投光系の各光軸Lc1が受光系の光軸Lc2で線対称となるように設定されている。さらに、側面読取部23は、第3の位置調整手段237により鉛直方向に移動して、中心を被写体Xの鉛直方向の中心に合わせることで、受光系の光軸Lc2が水平方向に沿うように設定できる。
【0034】
上面補助光源24は、長尺な円筒状に形成され、水平方向に沿って配置されると共に、長手方向が各上面光源211の長手方向と平行となるように配置される。また、上面補助光源24は、下面読取部22に固定され、ステージ31を介在して、上面読取部21と対向するように配置される。なお、図2において、二点鎖線La3は、上面補助光源24の光軸であり、上面読取部21の受光系の光軸La2と同方向である。
【0035】
下面補助光源25は、長尺な円筒状に形成され、水平方向に沿って配置されると共に、長手方向が各下面光源221の長手方向と平行となるように配置される。また、下面補助光源25は、上面読取部21に固定され、ステージ31を介在して、下面読取部22と対向するように配置される。なお、図2において、二点鎖線Lb3は、下面補助光源25の光軸であり、下面読取部22の受光系の光軸Lb2と同方向である。
【0036】
側面補助光源26は、長尺な円筒状に形成され、鉛直方向に沿って配置されると共に、長手方向が各側面光源231の長手方向と平行となるように配置される。また、側面補助光源26は、装置本体4に固定され、ステージ31を介在して、側面読取部23と対向するように配置される。なお、図3において、二点鎖線Lc3は、側面補助光源26の光軸であり、側面読取部23の受光系の光軸Lc2と同方向である。
【0037】
ワークテーブル3は、ステージ31の外方に配置され、鉛直方向を中心に回転する回転部32と、回転部32を回転させるための駆動手段33とを備える。また、ワークテーブル3は、読取手段2に対して水平方向で相対的に変位することで、読取手段2が被写体Xの端側を歪んで読み取るのを防止すべく、水平方向(図1〜図3におけるA矢印方向)に移動するための移動手段34を備える。
【0038】
そして、ワークテーブル3は、テーブル本体35と、テーブル本体35を覆うようにして、テーブル本体35に取り付けられるカバー体36とを備える。また、ワークテーブル3は、ステージ31を回転させる際に操作される操作ボタン37を備える。
【0039】
ステージ31は、図4〜図8に示すように、中央部に、被写体Xが載置される載置部311と、載置部311と回転部32との間に配置され、載置部311と回転部32とを接続する接続部312とを備える。また、ステージ31は、載置部311が接続部312に枢着されると共に、載置部311が接続部312に対して傾斜する角度を調整する第1の角度調整手段313を備える。
【0040】
そして、ステージ31は、接続部312が回転部32に枢着されると共に、接続部312が回転部32に対して傾斜する角度を調整する第2の角度調整手段314を備える。これにより、ステージ31は、回転部32と接続されるため、鉛直方向を中心に回転できると共に、回転部32に対して傾斜することができるため、上面が水平方向に対して傾斜することができる。
【0041】
載置部311は、円形状で且つ板状に形成される。そして、載置部311は、下面読取部22が被写体Xを下方側から読み取り可能にすべく、透光可能に構成される。さらに、載置部311は、水平方向に沿って配置される第1の回動軸311aが外周部に設けられ、第1の回動軸311aで接続部312に枢着されるため、下面読取部22との間には、被写体Xを読み取る際に障害となるものが存在しない。
【0042】
接続部312は、円環形状で且つ板状に形成され、載置部311を内部に配置する。そして、接続部312は、載置部311の第1の回動軸311aを受ける第1の軸受部312aが内周部に設けられる。また、接続部312は、水平方向に沿って配置される第2の回動軸312bが外周部に設けられ、第2の回動軸312bにより、回転部32に枢着される。なお、接続部312の第2の回動軸312bは、載置部311の第1の回動軸311aと直交するように配置される。
【0043】
第1の角度調整手段313は、接続部312に固定される二つのピニオン(歯車)と、載置部311の外周部に固定され、各ピニオンと噛合するラックとからなるラック・ピニオン機構313aを一対備える。そして第1の角度調整手段313は、各ピニオンを同期させて回転させるべく、各ラック・ピニオン機構313aのうち一方のピニオン同士を連結する同期軸313bと、ピニオンを回転させる際に操作される操作部313cとを備える。
【0044】
そして、第1の角度調整手段313は、ピニオンが回転することで、ラックが第1の回動軸311aの周方向(図7におけるE矢印方向)に沿って移動するため、載置部311と接続部312との交差角度を調整できる。しかも、第1の角度調整手段313は、ピニオンがラックと噛合することでラックを係止するため、載置部311と接続部312とを所望の交差角度の位置で保持できる。
【0045】
第2の角度調整手段314は、第1の角度調整手段313と略同様の構成であり、回転部32に固定されるピニオンと、接続部312に固定されるラックとからなるラック・ピニオン機構314aを一対備えると共に、各ピニオンを同期させる同期軸314bと、操作される操作部314cとを備える。そして、第2の角度調整手段314は、接続部312と回転部32との交差角度を調整可能であると共に、接続部312と回転部32とを所望の交差角度の位置で保持可能に構成される。
【0046】
回転部32は、円環形状で且つ板状に形成され、ステージ31を内部に配置する回転部本体321を備える。また、回転部32は、駆動手段33の駆動を受ける駆動受部322を備える。
【0047】
回転部本体321は、接続部312の第2の回動軸312bを受ける第2の軸受部321aが内周部に設けられる。また、回転部本体321は、外周部がテーパ状となるように形成される。
【0048】
駆動受部322は、駆動手段33と噛合するように構成される。具体的には、駆動受部322は、外周に歯を有する複数の噛合部材(プーリ)322a,…が周方向に沿って並設され、各噛合部材322aが回転部本体321の下面側に固定されて構成される。なお、各噛合部材322aは、螺子部材322bにより回転しないようにして回転部本体321に固定されている。
【0049】
駆動手段33は、回転部32を回転させるための駆動源(モータ)331と、駆動源331の駆動を回転部32に伝達する伝達手段332とを備える。また、駆動手段33は、回転部32を支持する支持手段333を備える。
【0050】
伝達手段332は、駆動源331に接続される駆動軸332aと、駆動軸332aと駆動受部322(噛合部材322a,…)とに跨って掛け渡される無端状の伝達部材(ベルト)332bとを備える。また、伝達手段332は、伝達部材332bに張力(テンション)を与えるための張力調整手段332cを備える。そして、伝達部材332bは、駆動受部322(噛合部材322a,…)と噛合するように構成される。
【0051】
支持手段333は、回転部32の周りに沿って配置される複数の支持部材333a,…を備え、各支持部材333aで回転部32を支持するように構成される。そして、各支持部材333aは、回転部本体321のテーパ状に形成されている外周部と嵌合するように凹状に形成されるため、回転部32がテーブル本体35に対して鉛直方向及び水平方向で変位するのを防止できる。また、各支持部材333aは、鉛直方向を中心に回転可能に構成されるため、回転部32が回転するのに伴って回転する。
【0052】
移動手段34は、例えばモータ(図示していない)の駆動をテーブル本体35に伝達させることにより、ワークテーブル3を移動させる。そして、移動手段34は、ワークテーブル3を、水平方向で、且つ、上面光源211及び下面光源221の長手方向と直交する方向に案内する案内手段341を備える。
【0053】
案内手段341は、装置本体4に固定されるガイドレール341aと、テーブル本体35に固定され、ガイドレール341aに案内される被案内部341bとを備える。そして、被案内部341bは、ガイドレール341aと嵌合するように形成される。
【0054】
ところで、本実施形態に係るスキャナ装置1は、図9に示すように、取得した(読み取った)データを処理すべく、処理装置100に接続されている。
【0055】
処理装置100は、所望の処理を行うために操作されるキーボードやマウス等からなる入力手段110を備える。そして、処理装置100は、データを他の装置に向けて外部に出力するための外部出力端子や、データを表示するモニタ等からなる出力手段120を備える。
【0056】
また、処理装置100は、スキャナ装置1及び出力手段120を制御したり、データを記憶して演算処理したりする制御手段130を備える。さらに、処理装置100は、入力手段110を介して選択されることで、標準のモードである第1モードと、光反射率の高い被写体Xに対して、ハレーション(白くぼやける現象)が発生するのを抑制させるモードである第2モードとを切り替え可能に構成される。
【0057】
制御手段130は、移動手段34を制御することで、ワークテーブル3を移動させる移動制御手段131と、駆動手段33を制御することで、ステージ31を回転させる回転制御手段132と、各読取部21,22,23を制御する読取制御手段133とを備える。また、制御手段130は、各読取部21,22,23が読み取った被写体Xのデータを記憶する記憶手段134と、取得したデータを演算する演算手段135とを備える。
【0058】
読取制御手段133は、第1モードが選択されている場合には、一対の光源211(221,231),211(221,231)の両方を点灯させた状態で、被写体Xを読み取るように、各読取部21,22,23を制御する。また、読取制御手段133は、第2モードが選択されている場合には、一方の光源211(221,231)のみを点灯させた状態で被写体Xを読み取り、その後、他方の光源211(221,231)のみを点灯させた状態で被写体Xを読み取るように、各読取部21,22,23を制御する。
【0059】
演算手段135は、第1モードが選択されている場合には、各読取部21,22,23で取得したデータをそのまま画像化する。具体的には、演算手段135は、各読取部21,22,23が被写体Xを読み取って取得した1つの二次元データから1つの画像(データ)を作成する。
【0060】
また、演算手段135は、第2モードが選択されている場合には、一方の光源211(221,231)のみを点灯させた状態で被写体Xを読み取って取得した第1のデータと、他方の光源211(221,231)のみを点灯させた状態で被写体Xを読み取って取得した第2のデータとを合成して画像化する。具体的には、演算手段135は、各画素ごとに、第1のデータと第2のデータとを比較して、受光量の小さい方のデータのみを抽出することにより、2つの二次元データから1つの画像(データ)を作成する。
【0061】
以上より、本実施形態に係るスキャナ装置1は、ワークテーブル3が水平方向で移動することにより、被写体Xを読み取る読取手段2と被写体Xが載置されるステージ31とを水平方向で相対的に変位できる。これにより、被写体Xの水平方向における端側を歪んで読み取るのを防止できる。
【0062】
そして、ステージ31が鉛直方向を中心に回転できると共に、水平方向に対して傾斜できるため、読取手段2と被写体Xとの位置関係をフレキシブルに対応することができる。したがって、上記のように、端側を歪むのを抑制して被写体Xを正確に読み取ることができると共に、被写体Xを所望の位置で読み取ることができる。
【0063】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、鉛直方向を中心に回転する回転部32に、ステージ31が接続されるため、ステージ31が鉛直方向を中心に回転できる。さらに、ステージ31が回転部32に対して水平方向を中心に回転変位できるため、ステージ31が水平方向に対して傾斜できる。しかも、ステージ31の回転中心と回動中心とが直交しているため、ステージ31が傾斜した状態で鉛直方向を中心に回転しても、被写体Xを安定して回転させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、ステージ31の中央部に位置する載置部311が透光可能に構成されるため、透光可能な載置部311を介して、読取手段2で被写体Xを下方側から読み取ることができる。そして、ステージ31が外方に配置される回転部32に外周部で枢着されるため、読取手段2が被写体Xを下方側から読み取る際に、読み取りの障害となるものがステージ31の下方に存在せず、その結果、読取手段2が被写体Xを下方側から容易に読み取ることができる。
【0065】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1は、水平方向に沿って配置される第2の回動軸312bにより、接続部312が回転部32に枢着されるため、接続部312が所定の範囲で回動できる。そして、水平方向に沿って配置される第1の回動軸311aにより、載置部311が接続部312に枢着されるため、載置部311が所定の範囲で回動できる。
【0066】
しかも、各回動軸311a,312b同士が直交するように配置されている。したがって、載置部311が鉛直方向を中心に回転できることも併せると、載置部311及び接続部312が回動できる所定の範囲においては、あらゆる読み取り角度及びあらゆる読み取り方向に対応することができる。
【0067】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1及び処理装置100は、各読取部21,22,23で、被写体Xを上方側、下方側及び側方側から読み取ることができ、しかも、回転制御手段132によりステージ31を回転することで、被写体Xの側方側から読み取る位置を変更できる。また、回転制御手段132が回転角度を検出することで、読取手段2で読み取った被写体Xの位置データを記憶手段134に記憶することもできる。
【0068】
したがって、例えば、被写体Xについて、第三角法の六面(平面(上面)、底面(下面)、正面、背面、右側面及び左側面)に係るデータを取得することができる。なお、図10(a)は、第1モードが選択された場合であって、被写体Xの正面に係るデータを画像化(画像処理)したものを示している。
【0069】
また、本実施形態に係るスキャナ装置1及び処理装置100は、入力手段110を介して、標準のモードである第1モードと、ハレーションが発生するのを抑制させるモードである第2モードとを切り替えることができる。したがって、図10(a)のように、ハレーションが発生するような被写体Xに対して、第2モードを選択することにより、図10(b)に示すようなハレーションが発生していない被写体Xの画像を取得することもできる。
【0070】
なお、本発明に係るスキャナ装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0071】
まず、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、ステージ31が載置部311及び接続部312を有すると共に、載置部311及び接続部312が枢着し、接続部312及び回転部32が枢着することで、ステージ31が水平方向に対して傾斜する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。
【0072】
例えば、ステージは、載置部311のみ有し(接続部312なる構成を有しておらず)、載置部311及び回転部32が枢着することで、水平方向に対して傾斜する場合でもよく、また、ステージは、テーブル本体に対して傾斜しないが、テーブル本体が傾斜することで、水平方向に対して傾斜する場合でもよい。さらに、ステージは、球面軸受により、水平方向に対して傾斜する場合でもよく、斯かる場合の一例を、図11に示す。
【0073】
図11に示されるワークテーブル5は、被写体Xを載置するステージ51と、駆動手段52により回転する軸体の回転部53と、ステージ51が水平方向に対して傾斜すべく、ステージ51の中央部と回転部53の先端部とを球面軸受けする球面軸受部54とを備える。また、ワークテーブル5は、ステージ51の傾斜角度を調整する第1及び第2の角度調整手段55,56を備える。
【0074】
各角度調整手段55,56は、回転部53に挿通され、回転部53の軸心方向(図11におけるG矢印方向、H矢印方向であって鉛直方向)に沿って移動する移動体551,561と、各移動体551,561とステージ51とを接続するリンク機構552,562とを備える。なお、各リンク機構552,562は、各移動体551,561及びステージ51の何れか一方と球面軸受けで接続されている(図11においては、各リンク機構552,562は、ステージ51と、球面軸受け552a,562aで接続されている)。
【0075】
斯かる構成によれば、第1の角度調整手段55が所定の水平方向を中心にステージ51を回動でき、第2の角度調整手段56が当該所定方向と直交する方向で且つ水平方向を中心にステージ51を回動できる。したがって、上記実施形態に係るスキャナ装置1と同様に、回動できる範囲においては、あらゆる読み取り角度及びあらゆる読み取り方向に対応することができる。
【0076】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、接続部312が円環状に形成され、回転部32が円環状に形成される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、ステージの下方からも被写体Xを容易に読み取るべく、ステージの下方に読み取りの障害となる構成を有していない構成の一例を図12に示す。
【0077】
図12に示されるワークテーブル6は、円形状の載置部611と、載置部611よりも径方向外方に配置される円弧状の接続部612とを有するステージ61を備える。そして、ワークテーブル6は、接続部612よりも径方向外方に配置される棒状の回転部62と、駆動源631の駆動を伝達手段632により回転部62に伝達し、回転部62を鉛直方向を中心に回転させる駆動手段63とを備える。
【0078】
そして、載置部611は、水平方向に沿って配置される第1の回動軸611aで、接続部612に枢着され、接続部612は、水平方向に沿って配置され且つ第1の回動軸611aと直交する方向に沿って配置される第2の回動軸612aで、回転部62に枢着される。したがって、斯かる構成によれば、上記実施形態に係るスキャナ装置1と同様に、回動できる範囲においては、あらゆる読み取り角度及びあらゆる読み取り方向に対応することができる。
【0079】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、読取手段2が上面読取部21、下面読取部22及び側面読取部23を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られない。
【0080】
例えば、上面読取部21、下面読取部22及び側面読取部23のうち、一つ又は二つの読取部を備える場合でもよく、また、一つの読取部が移動することにより、被写体Xを上方からも、下方からも、そして側方からも読み取ることができる場合でもよい。さらには、側面読取部23と対向する位置に、被写体Xの反対側の側面を読み取るためのもう一つの側面読取部を備える場合でもよい。
【0081】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、ワークテーブル3(ステージ31)が水平方向に移動することにより、被写体Xの所定方向における全領域を読み取ることができる場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、ワークテーブル(ステージ)が鉛直方向に移動することで、被写体Xの所定方向における全領域を読み取ることができる場合でもよく、ワークテーブル(ステージ)及び読取手段が両方とも移動することで、被写体Xの所定方向における全領域を読み取ることができる場合でもよい。
【0082】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、第1の位置調整手段215により、上面読取部21がステージ31に対して接離し、第2の位置調整手段235により、側面読取部23がステージ31に対して接離する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、各読取部の光学系が複数のレンズからなる焦点自動調整機能(オートフォーカス機能)を備え、各読取部が被写体Xとの離間距離に応じてフレキシブルに対応できる場合でもよい。
【0083】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、各受光素子213,223,233がCCDラインセンサである場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、CCDエリアセンサでもよい。そして、CCDエリアセンサの場合には、読み取ったデータのうち、所定のライン状の部位のデータを選択することで、被写体Xの端側を歪んで読み取るのを防止できる。
【0084】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、処理装置100を別に設ける場合を説明したが、斯かる場合に限られず、処理装置の各構成手段を、スキャナ装置に備える場合でもよい。
【0085】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、ステージ31の回転を操作ボタン37で操作し、ステージ31の傾斜を各角度調整手段313,314の操作部313c,314cで操作する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、処理装置の入力手段に所望の回転角度や傾斜角度を入力することにより、自動制御で操作できる場合でもよい。斯かる場合においては、検出手段(回転角度検出センサ、傾斜角度検出センサ)を設けることにより、各角度を制御する。
【0086】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、ステージ31を水平方向に移動させて被写体Xの側方を読み取る場合、即ち、側面データを取得する場合を説明したが、斯かる場合に限られず、ステージ31を回転させて被写体Xの側方を読み取る場合、即ち、側方展開データを取得する場合でもよい。しかも、被写体Xの側面データに基づき、正確な側方展開データを取得するように、演算処理する場合でもよい。例えば、斯かる場合の一例を、図13に示す。
【0087】
図13(a)に示すように、円錐台形状の被写体Xの側方を、ステージ31を回転させて側面読取部23で読み取る。そして、側面読取部23で読み取った被写体Xのデータを、側方展開データとして単に画像化すると、図13(b)に示すように、長方形状の画像となる。
【0088】
そこで、ステージ31を水平方向に移動させて被写体Xの側方を読み取ったデータ、即ち、側面データを、複数の角度で取得する。そして、複数の側面データから被写体Xの形状を演算し、その演算した被写体Xの形状に基づいて、側方展開データを演算(補正)すると、図13(c)に示すような非連続的な側方展開データの画像や、図13(d)に示すような連続的な側方展開データの画像を取得できるため、正確な寸法である側方展開データを取得できる。
【0089】
また、上記実施形態に係るスキャナ装置1においては、被写体Xの側方をステージ31が水平方向に移動することで読み取るため、被写体Xの水平方向における端側を歪んで読み取るのを防止できる一方、被写体Xの鉛直方向における端側を歪んで読み取ることになる。しかしながら、被写体Xの鉛直方向における端側を歪んで読み取るのを防止すべく、所定位置(所定角度)で読み取った側面データを、ステージ31を回転させて別の角度から読み取った側面データに基づき演算(補正)する場合でもよい。
【0090】
斯かる場合、例えば、まず、複数の角度から被写体Xの側方を読み取った複数の側面データに基づいて、被写体Xの形状を演算する。そして、所定位置で読み取った側面データを、被写体Xの各部位と側面読取部23との距離に応じて演算する。具体的には、基準距離に対して遠い被写体Xの部位のデータを大きくなるように演算し、基準距離に対して近い被写体Xの部位のデータを小さくなるように演算する。
【0091】
これにより、被写体Xの側方をステージ31が水平方向に移動することで読み取る場合において、被写体Xの水平方向における端側を歪んで読み取るのを防止できるだけでなく、被写体Xの鉛直方向における端側も歪んで読み取るのを防止できる。したがって、取得したデータから正確な寸法を測定することも可能となる。
【0092】
また、本発明に係るスキャナ装置は、例えば転がり易い被写体を、針金や樹脂で形成された支持具で支持された状態で読み取る場合でもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…スキャナ装置、2…読取手段、31…ステージ、32…回転部、311…載置部、311a…(第1の)回動軸、312…接続部、312b…(第2の)回動軸、X…被写体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に向けて光を放射し且つ被写体で反射した光を読み取る読取手段と、被写体が載置されるステージとを備え、読取手段及びステージは、水平方向及び鉛直方向の少なくとも何れか一方で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置において、
ステージは、鉛直方向を中心に回転可能であると共に、水平方向に対して傾斜可能に構成されることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項2】
鉛直方向を中心に回転する回転部を備え、
ステージは、回転部に対して水平方向を中心に回転変位可能にすべく、回転部に枢着される請求項1に記載のスキャナ装置。
【請求項3】
回転部は、ステージの外方に配置され、
ステージは、読取手段が被写体を下方側からも読み取り可能にすべく、少なくとも一部が透光可能に構成され且つ外周部で回転部に枢着される請求項2に記載のスキャナ装置。
【請求項4】
ステージは、被写体が載置される載置部と、載置部と回転部との間に配置され、載置部と回転部とを接続する接続部とを備え、
接続部は、水平方向に沿って配置される回動軸により、回転部に枢着され、
載置部は、水平方向に沿って配置され且つ接続部の回動軸と直交するように配置される別の回動軸により、接続部に枢着される請求項3に記載のスキャナ装置。
【請求項1】
被写体に向けて光を放射し且つ被写体で反射した光を読み取る読取手段と、被写体が載置されるステージとを備え、読取手段及びステージは、水平方向及び鉛直方向の少なくとも何れか一方で相対的に変位可能に構成されるスキャナ装置において、
ステージは、鉛直方向を中心に回転可能であると共に、水平方向に対して傾斜可能に構成されることを特徴とするスキャナ装置。
【請求項2】
鉛直方向を中心に回転する回転部を備え、
ステージは、回転部に対して水平方向を中心に回転変位可能にすべく、回転部に枢着される請求項1に記載のスキャナ装置。
【請求項3】
回転部は、ステージの外方に配置され、
ステージは、読取手段が被写体を下方側からも読み取り可能にすべく、少なくとも一部が透光可能に構成され且つ外周部で回転部に枢着される請求項2に記載のスキャナ装置。
【請求項4】
ステージは、被写体が載置される載置部と、載置部と回転部との間に配置され、載置部と回転部とを接続する接続部とを備え、
接続部は、水平方向に沿って配置される回動軸により、回転部に枢着され、
載置部は、水平方向に沿って配置され且つ接続部の回動軸と直交するように配置される別の回動軸により、接続部に枢着される請求項3に記載のスキャナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図10】
【公開番号】特開2011−34203(P2011−34203A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177899(P2009−177899)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000111247)ニューリー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000111247)ニューリー株式会社 (29)
【Fターム(参考)】
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