説明

スキーブーツ

【課題】使用者の足のサイズだけではなくふくらはぎのサイズにも適合したスキーブーツを提供する。
【解決手段】硬質の通常のソール(2)を備えたスキーブーツにおいて、ソール(2)の踵(4)の領域の方向に向けて開口するシェル(3)が、ソール(2)の足の前方部分の領域から土踏まずの領域にかけてソール(2)から突出し、シェル(3)には、ソール(2)に対する長手軸方向の位置を調整及びガイドする手段(9,13)と相互に作用しながら支持部材(5)が前後に摺動可能に連結されており、支持部材(5)には高さを調整可能なカフ(6)が回動可能に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスキーブーツに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、下方にソールが結合されたシェルによって構成されるスキーブーツが一般に用いられている。ソールはスキー板の所定位置に固定されたビンディングに結合可能な爪先部分と踵部分とを有しており、一般的に硬質又は半硬質の樹脂からなるシェルは、使用者の足のほぼ全体を覆っている。
シェルには、一般的に踝の部分でカフが回動可能に連結されており、カフはスキーをする際に使用者の脚を部分的にカバーして支持するようになっている。
【0003】
シェル及びカフの内部には、柔軟な素材からなるインナーブーツが一般的に設けられ、使用者に対する快適なフィット性を増大するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような公知のスキーブーツの主たる欠点は、使用者の足のサイズに適応させるために様々な寸法で製造しなければならない点にあり、このことは部品を異なる寸法で製造するための異なる機械や型を必要とすることによって製造コストを増大させ、更に製造者及び販売者の両方で様々なサイズのものをストックしなければならないという問題もある。
このような欠点を解消可能な方法として、足のサイズの少しばかり異なる使用者が使用することができるように、いくつかの限られたサイズのスキーブーツが製造されるのが一般的である。
【0005】
しかしながらこのことは、快適性を増大させると共に足からスキー板に最適な方法で力を伝達できるようにするため、例えば厚みを増したソックスの使用などのような別の処置を使用者にとらせながら、使用者に対して自分の足の厳密なサイズに対応していないサイズのものを購入させることになる。
このような欠点は、比較的短い期間で足の寸法が増大する子供が使用者である場合に、より一層大きくなる。
【0006】
考えなければならないもう1つの問題点は、固定のサイズに対応して固定される使用者のふくらはぎの形状にあり、より大きなサイズを使用して足に生じるより大きな空間をソックスで補うことは、カフの上端部分におけるふくらはぎの局部的な圧迫を引き起こすことになる。
本発明の意図するところは、使用者の足のサイズだけではなくふくらはぎのサイズにも適合したスキーブーツを提供することにより、上述の問題点を解決し、公知の技術における上述の欠点を解消することにある。
【0007】
このような意図のもとで本発明の目的は、足の寸法が少し大きくなっても長期にわたって足及び脚に良好な快適性を維持しながら、子供でも使用することができるスキーブーツを提供することにある。
本発明の別の目的は、例えばレンタルの分野における大量の使用が得られるように、単一の使用者や足及びふくらはぎの寸法が類似する使用者による使用を可能とするスキーブーツを提供することにある。
【0008】
また、本発明の別の目的は、使用者の方で足及びふくらはぎの寸法への適応性が迅速且つ容易に得られるようなスキーブーツを提供することにある。
とりわけ本発明の目的は、構造が簡単で比較的低コストのスキーブーツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような意図及び目的並びに以下においてより明らかとなる別の目的を達成するため本発明のスキーブーツは、硬質の通常のソールを備えたスキーブーツにおいて、上記ソールの踵の領域の方向に向けて開口するシェルが、上記ソールの足の前方部分の領域から土踏まずの領域にかけて上記ソールから突出し、上記シェルには、上記ソールに対する長手軸方向の位置を調整及びガイドする手段と相互に作用しながら支持部材が前後に摺動可能に連結されており、上記支持部材には高さを調整可能なカフが回動可能に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シェルの長さ及びカフの高さの両方を調整可能とすることにより、極めて良好なフィット性を保持しながら、使用者の足及び脚の特定の寸法に最適となるように適応可能なスキーブーツを提供することができる。
また、本発明によるスキーブーツは、子供の足や脚の大きさの増大に適合するようにブーツの寸法を適宜調整することができるので、子供であっても長期にわたって使用することが可能となる。
【0011】
更に、本発明によるスキーブーツは、シェルの長さ及びカフの高さを必要なときに迅速に調整することができることから、足や脚の寸法が同一ではないが類似した複数の使用者によって使用できるようになり、例えばレンタル分野で広く採用可能となる。
また、サイズの調整は、特殊な工具を必要としたりブーツの構成部品の取り外しを必要としたりすることなく、使用者の側で迅速且つ容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の更なる特徴及び利点は、限定されない実施例として添付の図面に示される、特定のものではあるが限定的ではない実施形態についての以下の詳細な説明からより明らかとなる。
以下の実施形態において、特定の実施形態に関する個々の特徴は、別の実施形態における別の特徴と置き換えても良い。
【0013】
また、特許手続の間に公知であることが判明したものはいずれも権利請求を意図するものではなく権利放棄すべきものである。
図を参照すると、符号1は硬質の通常のソール2を備えたスキーブーツを示している。
ソール2からは、ソール2の足の前方部分の領域から土踏まずの領域のほぼ上方にかけてシェル3が突出しており、シェル3は一般的に硬質又は半硬質の樹脂材料からなり、ソール2の踵4の領域の方向に向けて開口している。シェル3には、ソール2に対する長手軸方向の位置を調整及びガイドする手段と相互に作用しながら、ソール2の踵4の領域において前後に摺動可能に支持部材5が連結されている。この支持部材5には、カフ6が回動可能に連結されている。
【0014】
シェル3は、ほぼ土踏まずの領域からソール2の上方に向けて使用者の踝の方向に突出する2つの側部ウィング7a及び7bを有しており、この側部ウィング7a及び7bはソール2に近接する下端部50の近傍において、ソール2を横断する同一軸線上に、符号8a及び8bで示される2つの第1の孔を有する。
上述したソール2に対する長手軸方向の位置を調整する手段は、ソール2の踵4の領域でソール2に設けられ、ソール2の表面10を起点とする第1取付座9を備えている。
【0015】
このような第1取付座9は、上方から見てソール2の長手軸方向である前後軸方向に長いほぼ長方形の形状を有している。
第1取付座9の互いに対向する前後軸方向の側壁には、軸線を同一にする第2の孔11及び第3の孔12が設けられており、第2の孔11の方が第3の穴12より大きい径を有するようにするのが有効である。
【0016】
第1取付座9は、ソール2に対する長手軸方向の位置をガイドする上記手段の一部となる後部キャビティ13と連通しており、この後部キャビティ13は、ソール2の上面10を起点とし、第1基部9からソール2の後方周縁部までの一部に設けられている。後部キャビティ13は、横方向断面においてほぼ逆T字状の全体形状を有し、上方から見て幅及び長さが第1取付座9の幅及び長さよりも短い、ほぼ長方形の形状を有するのが有効である。
【0017】
支持部材5はほぼ平坦に形成された基部14を備えており、この基部14は第1取付座9及びキャビティ13の領域においてソール2の上面10上で摺動可能であり、また基部14は上方から見て踵4の領域におけるソール2の形状と部分的に一致した形状を有している。
踵4の領域における上面10の少なくとも一部と、支持部材5の前後方向周縁部の下面との間には、適切な材料の第1ストリップ51からなる第1スノーガイド又は第1ウォーターガードが介装されており、第1ストリップ51はL字状をなし、上面10と側部ウィング7a及び7bの下端部50との間に存在する空隙の少なくとも端部に配設されるのが有効である。
【0018】
基部14の周縁部からは、符号16a及び16bによって示されてシェル3の側部ウィング7a及び7b内に摺動可能な2つの側壁で画成され、上方から見てほぼU字状をなす第1突出部15がソール2とは反対側に延設されている。
側壁16a及び16bには、符号17a及び17bで示される2つの第1スロットが、シェル3の側部ウィング7a及び7bに設けられた第1の孔8a及び8bに対向するように配置され、ソール2の長手方向の軸線に沿って設けられている。これら第1の孔8a及び8bと第1スロット17a及び17bとは、ソール2に対する長手軸方向の位置をガイドする上記手段を構成している。
【0019】
第1の孔8a及び8bは、符号18a及び18bで示され、第1の孔8a及び8bに固定されると共に第1スロット17a及び17bに摺動可能に挿入された第1ねじ部材又はリベットを用いて第1スロット17a及び17bと摺動可能に連結されており、この第1ネジ又はリベット18a及び18bも、ソール2に対する長手軸方向の位置をガイドする上述の手段を構成するものである。
【0020】
また側壁16a及び16bには、第1スロット17a及び17bよりも上の位置で、第1スロット17a及び17bのシェル3とは反対方向の端部側に、同一の軸線を有して符号19a及び19bで示される第4の貫通孔が設けられている。
基部14にほぼ直角にソール2に向かって第2突出部20が延設されており、この第2突出部20はソール2の上面10に設けられた第1取付座9において摺動可能であって、ソール2に対する長手軸方向の位置を調整及びガイドする上記手段を構成している。
【0021】
第2突出部20は、第1取付座9の幅とほぼ等しい幅を有すると共に、第1取付座9の長さより短い長さを有することにより、所望の軌道に従って第1取付座9内を前後方向に移動可能となっている。第2突出部20は、前後方向の断面においてほぼ長円形の形状を有し、横方向に貫通する第2取付座21が設けられているのが有効である。
この取付座21の上側の面、或いは好ましくは下側の面には、第2突出部20を横断する歯22が形成されている。
【0022】
基部14からソール2に向かい、第2突出部20の後方に第3突出部23が延設されており、この第3突出部23はキャビティ13とほぼ同様の形状をなすと共にキャビティ13よりも前後方向に短くなっており、キャビティ13内に収容されて、ソール2に対する前後方向の支持部材5の摺動をガイドすると共に規制している。第2突出部20はソール2に対する長手軸方向の位置をガイドする上記手段を構成するものである。
【0023】
第2取付座21内には、ソール2に対する長手軸方向の位置を調整する上述の手段のための更なる部材が配置される。この部材は、歯22に対応する歯がその軸線方向に形成されて歯22に噛合可能な第1シリンダ、即ち第1軸部25を有する第2ねじ部材24からなり、この第2ねじ部材24は第2の孔11及び第3の孔12に回動可能に設けられている。
【0024】
第2ねじ部材24は、第2の孔11近傍の端部において、第2の孔11の周縁部に接して自由に回転することができるように、第2の孔11の径より大きい径を有する環状の頭部26を有している。
第2ねじ部材24の自由端は第3の孔12から突出しており、第3の孔12の周縁部に接するように第3の孔12の径より大きい径を有したディスク28の支持を行うピン27を軸線方向に嵌合することにより、第3の孔12と回動可能に結合されている。
【0025】
ディスク28のピン27とは反対側の部分からは支持部29が突出し、使用者の方で第2ねじ部材24に所望の回動を与えることができるように適合されたレバー30が第1細径ピン52により支持部29に軸支されている。
レバー30はソール2の側面に対して一方向と反対方向とに傾動可能であり、ソール2の側面からほぼ直角に突出して所定位置に配置された第2細径ピン31を、レバー30に設けられた第5の貫通孔32に挿入することにより、所望の位置においてソール2と結合可能になっている。
【0026】
支持部材5には、支持部材5の第1突出部15の周囲に部分的に重なり合うように配置されたカフ6が、第4の孔19a及び19bの近傍でカフ6に設けられた第6の孔34並びに第4の孔19a及び19bにスタッド33を挿入することにより、揺動可能に連結されている。
カフ6は、カフ6の上端縁58の後部領域から選択的に突出させることができる舌部35の存在により高さを調整することができるようになっている。舌部35は、上端縁58に近接してカフ6に設けられた第6の孔37と、舌部35に上下方向に設けられた2つ以上の第6の孔38の1つとに第3ねじ部材36を挿入することにより、所望の上下方向位置でカフ6に結合可能である。
【0027】
この結合は、第3ねじ部材36とこれに対応する形状の1つ以上の第3取付座39との相互作用によって得られるものであり、第3取付座39はカフ6とは反対側で舌部35と接合可能な板部材40に設けられている。
また更に、ソール2に対する長手軸方向の支持部材5の位置をガイドする手段を構成するため、踵4の領域の上面10には、第1取付座9の側方に第7の孔53a及び53bが設けられ、この第7の孔53a及び53bは、多角形であるのが有効な第4ねじ部材又はリベット55の頭部54を収容する図示されない第3取付座と下方に連通している。
【0028】
この第4ねじ部材又はリベット55は、支持部材5の基部14に設けられた第2スロット57内で摺動可能な第2シリンダ、即ち第2軸部56を有しており、第2シリンダ56が第2スロット57と結合されている。
第2スノーガード或いはウォーターガードは、シェル3の側部ウィング7a及び7bのカフ6と重合する周縁部に対向しているカフ6の周縁部に接合された第2ストリップ59からなる。
【0029】
本発明の作用は以下の通りである。添付の図を参照すると、支持部材5が第2突出部20及び第3突出部23を第1取付座9及びキャビティ13内に配設してソール2及びシェル3に連結されている。このとき、側壁16a及び16bはシェル3の側部ウィング7a及び7b内に配置されている。
第1ねじ部材又はリベット18a及び18bが第1の孔8a及び8b内に配設され、それによって第1スロット17a及び17b内に配設されることにより、支持部材5がシェル3に対して摺動可能に連結される。
【0030】
第2ねじ部材24の第1シリンダ25が第2の孔11を介して第1取付座9及び第2取付座21内に挿入されて、その端部を第2の孔11及び第3の孔12に位置させ、第2ねじ部材24の第1シリンダ25内にピン27が嵌入されている。従って第2ねじ部材24は、第2の孔11及び第3の孔12の周縁部に対する頭部26及びディスク28の係合により、ソール2に結合されている。
【0031】
これにより、第2ねじ部材の歯付の第1シリンダ25は、第2取付座21内に存在する歯22と噛合している。このとき、カフ6は支持部材5の第1突出部15の側壁16a及び16bを覆うように配設され、第6の孔34と第4の孔19a及び19bとにスタッド33を挿入することにより支持部材5と連結されている。
レバー30を操作することにより、支持部材5がシェル3に対して前方又は後方に移動するように、使用者が第2ねじ部材24を所望の角度に回動させることが可能であり、それによってスキーブーツ1を前後方向に長くしたり短くしたりすることができる。
【0032】
一旦所望の長さが得られれば、レバー30をソール2の側面の方に揺動し、レバー30に設けられた第5の孔32内に細径ピン31のいずれか1つを挿入してレバー30を固定することにより、シェル3と支持部材5との相互の摺動を止めることが可能となる。
このようにして、極めて良好にスキーブーツ1の前後方向の長さを調整することが可能となる。
【0033】
最終的にスキーブーツ1の内部には、使用者に対する快適なフィット性を増大させるのに適した柔軟な素材によるインナーブーツ(図示せず)が配設される。
シェルの長さ及びカフの高さの両方を調整可能とすることにより、極めて良好なフィット性を保持しながら、使用者の足及び脚の特定の寸法に最適となるように適応可能なスキーブーツを提供することで、本発明が上述した意図及び目的を達成する方法が明らかとなった。
【0034】
また、本発明によるスキーブーツは、子供の足や脚の大きさの増大に適合するようにブーツの寸法を適宜調整することができるので、子供であっても長期にわたって使用することが可能となる。
更に、本発明によるスキーブーツは、シェルの長さ及びカフの高さを必要なときに迅速に調整することができることから、足や脚の寸法が同一ではないが類似した複数の使用者によって使用できるようになり、例えばレンタル分野で広く採用可能となる。
【0035】
また、サイズの調整は、特殊な工具を必要としたりブーツの構成部品の取り外しを必要としたりすることなく、使用者の側で迅速且つ容易に行うことができる。
ほぼ或いは実質的にといった語句は、それらが示す特徴が、明示された特性以外に形状や寸法には一般的に知られている範囲内で許容差を有するということを意味するものである。
【0036】
当然のことながら、添付された特許請求の範囲内である限りにおいて、本発明は様々な修正や変形を行うことが可能である。
また、本発明の個々の部材の寸法のみならず採用される材料についても、特定の要求に応じてより適切なものとすることができることは言うまでもない。
ある機能を実行するための様々な手段が、図示された実施形態中にのみ同時に存在するものではなく、図示しない多くの実施形態において存在することが可能である。
【0037】
有効、適切或いは同様として示された特性は、不足していても良いし均等物によって代替されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明によるスキーブーツの分解斜視図である。
【図2】本発明によるスキーブーツの部分的縦断面を示す分解斜視図である。
【図3】本発明によるスキーブーツの様々な部品を示す分解側面図である。
【図4】本発明によるスキーブーツが最短状態にあるときの中間縦平面に沿った断面図である。
【図5】最長状態にあるスキーブーツを図4と同様に示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 スキーブーツ
2 ソール
3 シェル
5 支持部材
6 カフ
9 第1取付座
13 後部キャビティ
14 基部
15 第1突出部
20 第2突出部
21 第2取付座
23 第3突出部
24 第2ねじ部材
30 レバー
35 舌部
36 第3ねじ部材
39 第3取付座
40 板部材
51 第1ストリップ
59 第2ストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質の通常のソール(2)を備えたスキーブーツにおいて、上記ソール(2)の踵(4)の領域の方向に向けて開口するシェル(3)が、上記ソール(2)の足の前方部分の領域から土踏まずの領域にかけて上記ソール(2)から突出し、上記シェル(3)には、上記ソール(2)に対する長手軸方向の位置を調整及びガイドする手段(9,13)と相互に作用しながら支持部材(5)が前後に摺動可能に連結されており、上記支持部材(5)には高さを調整可能なカフ(6)が回動可能に連結されていることを特徴とするスキーブーツ。
【請求項2】
上記シェル(3)は、ほぼ上記土踏まずの領域を起点として使用者の踝の方向に向けて延設された2つの側部ウィング(7a,7b)を備えており、上記側部ウィング(7a,7b)は、上記ソール(2)に近接するその下端部の近傍に、上記ソール(2)を横断する同一の軸線上に配置された2つの第1の孔(8a,8b)を有することを特徴とする請求項1に記載のスキーブーツ。
【請求項3】
上記ソール(2)に対する長手軸方向の位置を調整する上記手段は、上記ソール(2)の上面(10)を起点とし、上記ソール(2)の上記踵(4)の領域に近接して上記ソール(2)に設けられた第1取付座(9)を備え、上記第1取付座(9)は、上方から見て上記ソール(2)の長手軸方向に延びるほぼ長方形の形状を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のスキーブーツ。
【請求項4】
上記第1取付座(9)の互いに対向する前後方向側面には、同一の軸線を有した第2の孔(11)と第3の孔(12)とが設けられていることを特徴とする請求項3に記載のスキーブーツ。
【請求項5】
上記第2の孔(11)は上記第3の孔(12)の径より大きい径を有することを特徴とする請求項4に記載のスキーブーツ。
【請求項6】
上記第1取付座(9)は、上記ソール(2)に対する長手軸方向の位置をガイドする上記手段の一部である後部キャビティ(13)と連通し、上記後部キャビティ(13)は、上記ソール(2)の上面(10)を起点として、上記第1取付座(9)から上記ソール(2)の後方周縁部までの一部に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のスキーブーツ。
【請求項7】
上記後部キャビティ(13)は、横方向断面がほぼ逆T字状をなし、上方から見て上記第1取付座(9)の幅及び長さより小さな幅及び長さを有したほぼ長方形に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のスキーブーツ。
【請求項8】
上記支持部材(5)は、実質的に平坦に形成され上記第1取付座(9)及び上記後部キャビティ(13)の領域において上記ソール(2)の上面(10)上で摺動可能な基部(14)を備え、上記基部(14)は、上記ソール(2)の上記踵(4)の領域において、上方から見たときに上記ソール(2)の形状に部分的に対応した形状を有していることを特徴とする請求項7に記載のスキーブーツ。
【請求項9】
上記基部(14)の周縁部からは、上記シェル(3)の上記側部ウィング(7a,7b)の内方に摺動可能な2つの側壁(16a,16b)で画成され、上方から見てほぼU字状をなす第1突出部(15)が、上記ソール(2)とは反対側に延設されていることを特徴とする請求項8に記載のスキーブーツ。
【請求項10】
上記側壁(16a,16b)には、上記ソール(2)の長手軸に沿い、上記シェル(3)の上記側部ウィング(7a,7b)に形成された上記第1の孔(8a,8b)に対向して配置された2つの第1スロット(17a,17b)が設けられ、上記第1の孔(8a,8b)は、上記第1の孔(8a,8b)に固定され上記第1スロット(17a,17b)に摺動可能に挿入された第1ねじ部材又はリベット(18a,18b)により上記第1スロット(17a,17b)に摺動可能に連結されており、上記第1の孔(8a,8b)、上記第1スロット(17a,17b)、及び上記第1ねじ部材又はリベット(18a,18b)が上記ソール(2)に対する長手軸方向の位置をガイドする上記手段を構成することを特徴とする請求項9に記載のスキーブーツ。
【請求項11】
上記側壁(16a,16b)には、上記第1スロット(17a,17b)より上の位置で上記シェル(3)とは反対方向の端部側に2つの第4の貫通孔(19a,19b)が同一の軸線上に設けられていることを特徴とする請求項10に記載のスキーブーツ。
【請求項12】
上記ソール(2)の上面(10)に設けられた上記第1取付座(9)に摺動可能に配設され、上記ソール(2)に対する長手軸方向の位置を調整及びガイドする上記手段を構成する第2突出部(20)が、ソール(2)に向け上記基部(14)にほぼ直角に延設されており、上記第2突出部(20)は、上記第1取付座(9)の幅とほぼ等しい幅を有すると共に、上記第1取付座(9)の長さより短い長さを有し、前後方向断面がほぼ長円形の形状を有していることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のスキーブーツ。
【請求項13】
上記第2突出部(20)は、横方向に貫通して形成された第2取付座(21)を備え、上記第2取付座(21)の上側表面、又は好ましくは下側表面には、上記第2突出部(20)を横断する歯(22)が設けられていることを特徴とする請求項12に記載のスキーブーツ。
【請求項14】
上記第2突出部(20)の後方側には上記ソール(2)に向け上記基部(14)から、上記後部キャビティ(13)とほぼ同様の形状をなすと共に上記後部キャビティ(13)より短い前後方向長さを有する第3突出部(23)が延設され、上記第3突出部(23)は上記後部キャビティ(13)内に摺動可能に係合することにより、上記ソール(2)に対する長手軸方向の上記支持部材(5)の摺動をガイドすると共に規制しており、上記第2突出部(20)は、上記ソール(2)に対する長手軸方向の位置をガイドする上記手段を構成することを特徴とする請求項13に記載のスキーブーツ。
【請求項15】
上記ソール(2)に対する長手軸方向の位置を調整する上記手段は、上記歯(22)に対応する歯がその軸線方向に形成されて上記歯(22)に噛合する第1シリンダ(25)を有して上記第2取付座(21)内に配置された第2ねじ部材(24)を備え、上記第2ねじ部材(24)は、上記第2の孔(11)及び上記第3の孔(12)において回動可能に配設されていることを特徴とする請求項14に記載のスキーブーツ。
【請求項16】
上記第2ねじ部材(24)は、上記第2の孔(11)の周縁部に回動可能に接するように、上記第2の孔(11)に近接する端部に上記第2の孔(11)の径より大きい径を有する環状頭部(26)を有し、上記第2ねじ部材(24)の自由端は上記第3の孔(12)から突出しており、上記第3の孔(12)の周縁部に接するように上記第3の孔(12)の径より大きい径を有したディスク(28)の支持を行うピン(27)を軸線方向に嵌合することにより、上記第3の孔(12)に回動可能に結合されていることを特徴とする請求項15に記載のスキーブーツ。
【請求項17】
上記ディスク(28)の上記ピン(27)とは反対側の部分からは支持部(29)が突出し、上記支持部(29)には使用者の方で上記第2ねじ部材(24)に所望の回動を与えることができるように適合されたレバー(30)が第1細径ピン(52)により軸支されており、上記レバー(30)は上記ソール(2)の側面に対して一方向と反対方向とに傾動可能であり、所定位置に配設されて上記ソール(2)の側面からほぼ直角に突出した第2細径ピン(31)を、上記レバー(30)に設けられた第5の貫通孔(32)に挿入することにより、所望の位置において上記ソール(2)と結合可能になっていることを特徴とする請求項16に記載のスキーブーツ。
【請求項18】
上記カフ(6)は、上記カフ(6)の上端縁(58)の後部領域から選択的に突出するように設けられた舌部(35)の存在により高さを調整可能であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のスキーブーツ。
【請求項19】
上記舌部(35)は、上記上端縁(58)の近傍において上記カフ(6)に設けられた第6の孔(37)と上記舌部(35)に上下方向に設けられた2つ以上の第6の孔(38)の1つとに第3ねじ部材(36)を挿入することにより所望の上下位置で上記カフ(6)に結合可能であり、上記結合は、上記第3ねじ部材(36)とこれに対応する形状の1つ以上の第3取付座(39)との相互作用によって行われ、上記第3取付座(39)は上記カフ(6)とは反対側において上記舌部(35)に接合する板部材(40)に設けられていることを特徴とする請求項18に記載のスキーブーツ。
【請求項20】
上記踵(4)の領域における上記上面(10)の少なくとも一部と、上記支持部材(5)の前後方向周縁部の下面との間には、適切な材料の第1ストリップ(51)によって構成される第1スノーガード又は第1ウォーターガードが介装されており、上記第1ストリップ(51)はL字状をなして上記上面(10)と上記シェル(3)の上記側部ウィング(7a,7b)の下端部(50)との間にある空隙内の少なくとも端部に配設されることを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載のスキーブーツ。
【請求項21】
上記踵(4)の領域における上記上面(10)には、上記第1取付座(9)の側方に第7の孔(53a,53b)が更に設けられて上記ソール(2)に対する長手軸方向の上記支持部材(5)の位置をガイドする上記手段を構成しており、上記第7の孔(53a,53b)は、第4ねじ部材又はリベット(55)の多角形の頭部を収容する第3取付座と下方に連通していることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載のスキーブーツ。
【請求項22】
上記第4のねじ部材又はリベット(55)は、上記支持部材(5)の上記基部(14)に設けられた第2スロット(57)内に摺動可能に配設され、その第2シリンダ(56)が上記第2スロット(57)に結合されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載のスキーブーツ。
【請求項23】
上記シェル(3)における上記側部ウィング(7a,7b)の上記カフ(6)と重合する周縁部に対向した上記カフ(6)の周縁部に結合される第2ストリップ(59)からなる第2スノーガード又は第2ウォーターガードを備えたことを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のスキーブーツ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−297081(P2006−297081A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104019(P2006−104019)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(506115488)ロチェス ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (3)
【氏名又は名称原語表記】ROCES S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via G.Ferraris,36,31044 MONTEBELLUNA(Prov. of Treviso),ITALY
【Fターム(参考)】