説明

スクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法

【課題】当落、等級等個別情報が印刷され、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層が直接施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、その製造中少なくともスクラッチ隠蔽層を施してこの個別情報を隠蔽するまでの間に、個別情報が視認されず、不正に読み取られる危険性のないスクラッチ隠蔽層付印刷物及びその製造方法の提供にある。
【解決手段】前記スクラッチ隠蔽層付印刷物1において、前記個別情報11は感熱インキで印刷されていて、少なくともスクラッチ隠蔽層34が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明であるスクラッチ隠蔽層付印刷物1であり、前記感熱インキはロイコ染料とその顕色剤とを主成分とするスクラッチ隠蔽層付印刷物1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスタント籤券で代表されるスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法に関するものであり、さらに詳細には、スクラッチ隠蔽層で隠蔽される当落等を表す個別情報が製造中に不正に読み取られることのなく、セキュリティ性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、インスタント籤券やゲーム用のカードなどにおいて、「当たり」、「外れ」あるいは等級、それらに該当する絵柄や記号などの個別情報を隠蔽するために、隠蔽性とスクラッチオフ性(引っ掻き落とし易さ性)を有するインキによりその個別情報を隠蔽し、購入した顧客あるいは販売所等がそのスクラッチ隠蔽層をコインや爪等でスクラッチオフしてこの個別情報を視認あるいは読み取るようにしてあるスクラッチ隠蔽層付印刷物が知られ、種々の分野で広く利用されている。
【0003】
上記のスクラッチ隠蔽層付印刷物として、例えば図5(a)の積層断面図に示すように、用紙などでなる基材シート(30)の上に絵柄、文字、数字などの個別情報(11)が印刷されていて、その個別情報(11)を覆うように透明な剥離ニスなどによる易剥離層(32)が形成され(この易剥離層がない場合もある)、その易剥離層(32)の上にアルミニウム粉末等を含むスクラッチ隠蔽層(34)が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平11−157266号公報 上記のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を購入した顧客あるいは販売した販売所等がコインや爪、あるいは専用のスクラッチ剥離装置等でスクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフ(引っ掻き落とすこと)して、「当たり」、「外れ」など、あるいはそれに該当する絵柄、記号などの個別情報(11)を目視で、あるいは個別情報(11)がバーコードや暗証記号等視認では内容が判らないものの場合などでは専用のOCR(光学式文字記号読取り装置)による読取りで認識できるようになっている。
【0005】
また、これらインスタント籤券等スクラッチ隠蔽層付印刷物(1)の製造は、例えば、図5(b)の平面図に示すように、用紙などでなる基材シート(30)の片面に当落等を表す絵柄、文字、数字などの個別情報(11)をインクジェット等で印刷し、それとほぼ同時にこの個別情報(11)と連動して管理する管理番号(12)を印刷し、その後この個別情報(11)を覆うようにして隠蔽するため、易剥離層(32)を介してあるいは直接スクラッチ隠蔽層(34)を施すものである。但し上記管理番号(12)は隠蔽されずに視認できるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の従来技術におけるスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)の製造中において、絵柄、文字、数字などの個別情報(11)の印刷後、少なくともスクラッチ隠蔽層(34)を施すまでの間に、例えば当落等を表す絵柄、文字、数字などの個別情報(11)を不正に読み取られ(視認され)、この個別情報(11)に連動している管理番号(12)が不正に記録されるといった不正使用の危険性、すなわち製造中におけるセキュリティの保持が困難という問題点があった。
【0007】
また、上記管理番号(11)がないスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)においても、製造中に於ける所定の機器で読み取り可能な個別情報(11)を読み取って入力しておくなどで不正使用(悪用)される危険性のあるものであった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、基材シートの片面に、当落、等級等可変の個別情報が印刷され、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層が直接もしくは易剥離層を介して施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、その製造中における個別情報の印刷後、少なくともスクラッチ隠蔽層を施してこの個別情報を隠蔽するまでの間に、個別情報が視認されず、不正に読み取られる危険性のないセキュリティ面での信頼性のあるスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、基材の表面に、当落、等級等個別情報が印刷され、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層が直接もしくは易剥離層を介して施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報は常温では発色しない感熱インキで印刷されていて、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明であることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0010】
また、請求項2の発明では、前記感熱インキはロイコ染料と、該ロイコ染料と熱時反応して発色せしめる顕色剤とを主成分とすることを特徴とする請求項1記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0011】
また、請求項3の発明では、前記個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層は水性インキもしくは無溶剤インキで形成され、前記個別情報がスクラッチ隠蔽層上もしくは基材の裏面から加熱されて発色していることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0012】
また、請求項4の発明では、前記個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層は有機溶剤を溶媒としたインキで形成され、前記個別情報が該個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の形成で発色していることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0013】
また、請求項5の発明では、基材の表面に、当落、等級等個別情報が印刷され、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層が直接もしくは易剥離層を介して施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報は常温では発色しない示温インキで印刷されていて、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明であることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0014】
また、請求項6の発明では、基材の表面に、当落、等級等個別情報を印刷し、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層を直接もしくは易剥離層を介して施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を常温では発色しない感熱インキで印刷し、該印刷された個別情報は、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層を施すまで間は無色もしくは極淡色透明であることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0015】
また、請求項7の発明では、前記感熱インキはロイコ染料と、該ロイコ染料と熱反応し
て発色せしめる顕色剤とを主成分とすることを特徴とする請求項6記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0016】
また、請求項8の発明では、前記個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層を水性インキもしくは無溶剤インキで形成し、前記個別情報をスクラッチ隠蔽層上もしくは基材の裏面から加熱して発色せしめることを特徴とする請求項6乃至7のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0017】
また、請求項9の発明では、前記個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層を有機溶剤を溶媒としたインキで印刷し、前記個別情報を該個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の形成で発色せしめることを特徴とする請求項6乃至7のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0018】
さらにまた、請求項10の発明では、基材の表面に、当落、等級等個別情報を印刷し、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層を直接もしくは易剥離層を介して施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を常温では発色しない示温インキで印刷し、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層を施すまで間は無色もしくは極淡色透明なものとすることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0020】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、基材の表面に、当落、等級等個別情報が印刷され、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層が直接もしくは易剥離層を介して施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報は常温では発色しない感熱インキで印刷されていて、少なくともスクラッチ隠蔽層が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明であるので、たとえスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造中でも、得られる個別情報が視認できないかあるいは機械でも読み取りができず、よって不正に読み取って悪用される危険性のない、セキュリティの点で信頼性のあるスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0021】
また、上記請求項2に係る発明によれば、前記感熱インキはロイコ染料と、該ロイコ染料と熱時反応して発色せしめる顕色剤とを主成分としているので、得られる個別情報は、加熱によっても、有機溶剤の接触によっても発色するスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0022】
また、上記請求項3に係る発明によれば、前記個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層は水性インキもしくは無溶剤インキで形成され、前記個別情報がスクラッチ隠蔽層上もしくは基材の裏面から加熱されて発色しているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、有機溶剤の接触で発色する個別情報はスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の形成では発色することがなく、スクラッチ隠蔽層上から加熱されて発色しているので、購入した顧客がスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフすると既に発色している個別情報を視認することができ、その内容に応じた金額などと交換することができるスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0023】
また、上記請求項4に係る発明によれば、前記個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層は有機溶剤を溶媒としたインキで形成され、前記個別情報が該個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の形成で発色しているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、購入した顧客がスクラッチ隠蔽層を
スクラッチオフするとインキ中の有機溶剤の接触で発色している個別情報を視認することができ、その内容に応じた金額などと交換することができるスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0024】
また、上記請求項5に係る発明によれば、基材の表面に、当落、等級等個別情報が印刷され、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層が直接もしくは易剥離層を介して施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報は常温では発色しない示温インキで印刷されていて、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明であるので、たとえスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造中でも、得られる個別情報が視認できないかあるいは機械でも読み取りができず、よって不正に読み取って悪用される危険性のない、セキュリティの点で信頼性のあるスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0025】
さらにまた、上記請求項5に係る発明によれば、前記個別情報は常温では発色せず、それ以上の所定の温度で発色する示温インキで印刷されているので、スクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の乾燥かあるいは購入した顧客がスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした後に所定の温度、例えば手指などで発色させ個別情報を視認することができるユニークなスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0026】
また、上記請求項6に係る発明によれば、基材の表面に、当落、等級等個別情報を印刷し、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層を直接もしくは易剥離層を介して施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を常温では発色しない感熱インキで印刷し、該印刷された個別情報は、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層を施すまで間は無色もしくは極淡色透明であるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層を施すまで間は、個別情報を視認できないかあるいは機械でも読み取りができず、よって不正に読み取って悪用される危険性がなく、セキュリティの点で信頼性のあるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0027】
また、上記請求項7に係る発明によれば、前記感熱インキをロイコ染料と、該ロイコ染料と熱反応して発色せしめる顕色剤とを主成分とするものとすることによって、得られる個別情報を、加熱によっても、有機溶剤の接触によっても発色せしめることのできるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0028】
また、上記請求項8に係る発明によれば、前記個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層を水性インキもしくは無溶剤インキで形成し、前記個別情報をスクラッチ隠蔽層上もしくは基材の裏面から加熱して発色せしめるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、前記個別情報を覆うスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の形成では発色しないが、有機溶剤を使用していないので、消防法や有機溶剤中毒予防規則の遵守さらに揮発性有機溶剤の排出総量規制(VOC規制)の遵守などの環境保全に係る負荷を減少させる製造方法とすることができる。
【0029】
また、上記請求項9に係る発明によれば、前記個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層を有機溶剤を溶媒としたインキで印刷し、前記個別情報を該個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の形成で発色せしめるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、感熱インキでなる個別情報の発色に加熱する工程を必要としないという効率のよいスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0030】
また、上記請求項10に係る発明によれば、基材の表面に、当落、等級等個別情報を印刷し、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層を直接もしくは易剥離層を介して施すス
クラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を常温では発色せず、それ以上の所定の温度で発色する示温インキで印刷し、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層を施すまで間は無色もしくは極淡色透明なものとすることによって、たとえスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造中でも、得られる個別情報を視認されずあるいは機械でも読み取りされない、即ち不正に読み取って悪用される危険性のないスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0031】
さらにまた、上記請求項10に係る発明によれば、前記個別情報を所定の温度で発色する示温インキで印刷するので、スクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の乾燥かあるいは購入した顧客がスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした後に手指などで発色させて個別情報を視認することができるユニークなスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0032】
従って本発明は、インスタント籤券で代表されるスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法で、特に、スクラッチ隠蔽層で隠蔽される当落等を表す個別情報が製造中に不正に読み取られることのない、セキュリティ性に優れるスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法として、優れた実用上の効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
図1および図2は、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例を説明する図であり、図3および図4は、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法の一事例を説明する平面図である。また、図5は、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例をスクラッチオフした時の説明図である。
【0035】
上記本発明は、例えば図1(a)の平面図およびそのB−B面を表す図1(b)の側断面図に示すように、基材シート(30)の表面に、当落、等級等を表す個別情報(11)が印刷されていて、この個別情報(11)を覆うように透明な剥離ニスでなる易剥離層(32)を介してスクラッチ隠蔽層(34)が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)に関するものであり、この個別情報(11)の近傍に管理番号(12)が印刷されているものが一般的である。
【0036】
そこで、上記請求項1に係る発明は、図1(a)および図1(b)に示すように、当落、等級等を表す文字、数字あるいはそれらに該当する絵柄等の個別情報(11)が常温では発色しない感熱インキで印刷されていて、この個別情報(11)を隠蔽するスクラッチ隠蔽層(34)が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明な(即ち感熱インキでなる個別情報(11)が発色していない)状態を維持しているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とするものである。
【0037】
このように、感熱インキでなる個別情報(11)が、少なくともこの個別情報(11)を隠蔽するスクラッチ隠蔽層(34)が施されるまでの間は、無色もしくは極淡色透明であるので、視認できないかあるいは機械でも読み取りができず、よって製造中不正に読み取ってこの個別情報(11)と連動して管理する管理番号(12)を記録したり、機械入力しておいたりするといった悪用の危険性がないスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。
【0038】
また、上記請求項2に係る発明では、図1(a)および図1(b)に示す個別情報(11)を形成する感熱インキは、無色または極淡色のロイコ染料と、このロイコ染料と熱時反応して発色せしめる顕色剤とを主成分とするものである。
【0039】
さらに詳しくは、使用する上記ロイコ染料としては、クリスタルバイオレットラクトン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ビペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−シクロヘキシルメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等があるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
また、上記ロイコ染料と反応して発色せしめる顕色剤としては、α−ナフトール、β−ナフトール、4−t−ブチルフェノール、4−t−オクチルフェノール、4−フェニルフェノール、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−チオジフェノール、安息香酸、サルチル酸、没食子酸等の誘導体があるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
上記ロイコ染料と顕色剤を基材シート(30)等に結着させる結着剤として、例えばポリビニルアルコール、カゼイン、酸化でんぷん、ゼラチン、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂、ジイソブチレン−無水マレイン酸樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等の水溶性または水分散性高分子化合物が挙げられ、これら結着剤とともに上記ロイコ染料と顕色剤を水に分散させて水性の感熱インキとすることができる。
【0042】
上記水性の感熱インキは、インクジェット用インキとして好適に用いることができ、インクジェット方式によって当落、等級等可変の個別情報(11)をオンデマンド型として印刷することができる。
【0043】
上記のように、インクジェット方式によって個別情報(11)を印刷する場合、例えば図1(b)に示すように、基材シート(30)上にインキ受理層(16)を設けた方が、個別情報(11)の結着性とシャープ性(滲まないため)の点から好ましく、そのインキ受理層(16)としては、例えば多孔質の体質顔料が分散しているインキで形成することができ、その体質顔料としては、例えば、アルミナ白、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ケイソウ土、ケイ酸カルシウムなどの白色顔料が挙げられ、これら体質顔料10〜20重量%、好ましくは10重量%程度の少量を、例えばオフセット用メジウム(ロジン変性フェノール樹脂、大豆油、亜麻仁油、鉱物油等ビヒクルにドライヤーや酸化抑制剤等の添加剤でなる)に分散させたオフセットインキとして印刷し、厚さ1〜2μm程度のインキ受理層(16)とすることができる。上記オフセット用メジウムに代え、グラビア用メジウム、あるいはスクリーン印刷用、ロールコート用等のメジウムとし、それぞれの方式で印刷または塗工して得ることもできる。
【0044】
また、上記水性の感熱インキを構成するポリビニルアルコール等結着剤の混合量の調整等によって、番号印刷機によるナンバリング方式に好適な水性の感熱インキとすることもでき、このインキを使用して、当落、等級等可変の個別情報(11)をオンデマンド型として即座に印刷することもできる。
【0045】
また、上記感熱インキで印刷された個別情報(11)は、無色乃至極淡色を呈していて、通常は殆ど視認することは困難であるが、例えば、図2(a)の平面図およびそのB−B面を表す図2(b)の側断面図に示すように、個別情報(11)を厚盛りをせざるを得ない場合には淡色でも視認されやすくなることがある。このような場合には、この個別情
報(11)のパターンと逆パターンを略同色の印刷インキ(オフセットでもグラビア印刷でもよい)で淡色印刷層(13)を補刷することによって、この個別情報(11)を目立たなくすることもできる。
【0046】
また、上記請求項3に係る発明では、図1(b)に示すように、個別情報(11)を覆うように設けられる易剥離層(32)は水性インキもしくは無溶剤インキで形成され、この個別情報(11)がスクラッチ隠蔽層(34)上あるいは基材シート(30)の裏面から加熱されて発色しているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とするものである。
【0047】
このように、易剥離層(32)は水性インキもしくは無溶剤インキで形成されているので、(この易剥離層の形成時には、個別情報は発色されていず)加熱されて発色するスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とし、これを購入した顧客は、スクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフすると、図5(a)の平面図およびそのB−B面を表す図5(b)の断面図に示すように、加熱で既に発色している個別情報(11)が視認されるようになっている。
【0048】
さらにまた、上記請求項3に係る発明では、図1(c)の側断面図に示すように、個別情報(11)を覆うように直接設けられるスクラッチ隠蔽層(32)は水性インキもしくは無溶剤インキで形成され、この個別情報(11)がスクラッチ隠蔽層(34)上あるいは基材シート(30)の裏面から加熱されて発色しているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることもできる。
【0049】
上記スクラッチ隠蔽層(34)を形成する水性インキとしては、金属ペースト、合成樹脂、助剤とを水と少々の低級アルコールに分散せしめたエマルジョンインキで形成されるもので、その金属ペーストの金属としては、銅と亜鉛の合金であるブロンズパウダーを用いる場合もあるが、コスト等からアルミニウムパウダーが一般的であり、このアルミニウムを微粉末化して、脂肪酸等で表面を処理したものを沸点の高い炭化水素溶剤(ミネラルスピリットなど)でペースト状にしたアルミニウムペーストが用いられ、これに一般の印刷インキに使用する黄、マゼンタ、シアンまたは墨用の着色顔料、チタン白等体質顔料を含めてインキ全体の20〜45重量%とする。
【0050】
また、このインキのバインダーとなる合成樹脂としては、例えばポリイソシアネートとポリオールとの反応によって得られるポリウレタン系樹脂や、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂などが挙げられ、これら樹脂のエマルジョンをインキ全体の25〜50重量%でなるバインダーとして上記のアルミニウムペースト、着色顔料などに、10〜35重量%の水と5重量%未満のイソプロピルアルコールを加えて攪拌して水性のエマルジョンインキとして印刷されるものである。これに消泡剤や界面活性剤、防腐剤等助剤を数%添加するのが一般的である。
【0051】
上記スクラッチ隠蔽層(34)の形成は、上記の水性エマルジョンインキを用いて、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが部分(パート)印刷に好適な方法として適用され、厚さ5〜10μm程度のスクラッチ隠蔽層(34)とすることができる。なおここで用いられる着色顔料は、銀色のアルミニウム粉に好みの色で着色されたスクラッチ隠蔽層(34)として商品価値の高いスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることもできる。
【0052】
また、透明な易剥離層(32)を形成する水性のインキとしては、例えば、ポリエレタン系樹脂や、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂をバインダーとし、これら樹脂のエマルジョンに5重量%程度のシリコンやワックス(例えばポリエチレンワックス)を滑剤として、さらにチタン白、タルク等体質顔料を分散させた塗布液(インキ)
が挙げられ、この水性エマルジョンインキ(塗布液)を用いて、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが部分(パート)印刷に好適な方法として適用され、厚さ2〜5μm程度の易剥離層(32)とすることができる。
【0053】
また、上記透明な易剥離層(32)を形成する無溶剤型のインキとしては、通常のオフセット用インキのビヒクル(完全な無溶剤ではないが)に5重量%程度のシリコンやワックス(例えばポリエチレンワックス)を滑剤として混練したオフセット用剥離ニスを用いることもできる。
【0054】
さらにまた、上記透明な易剥離層(32)を形成する無溶剤型のインキとしては、光重合性素材としてのポリオール、ポリエステル、ウレタン、エポキシの各アクリル酸エステルに、解質用樹脂としてのケトン樹脂、アルキッド樹脂等でなる紫外線硬化型オフセットインキのビヒクルに上記のシリコンやワックス(例えばポリエチレンワックス)を滑剤として添加し、さらにベンゾフェノン、ベンジル、ジメチルアミンベンゾフェノン等でなる光重合開始剤などが混練されている紫外線硬化型オフセット用剥離ニスが挙げられ、オフセット印刷方式で透明な易剥離層(32)を形成するすることもできる。
【0055】
また、上記請求項4に係る発明では、図1(b)に示すように、感熱インキでなる個別情報(11)を覆うように設けられた易剥離層(32)は、有機溶剤を溶媒としたインキで形成され、この易剥離層(32)の形成時に個別情報(11)が発色されているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とするものである。すなわち、有機溶剤の接触で発色するロイコ染料とその顕色剤とでなる感熱インキの特性を利用したスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とするものである。
【0056】
上記有機溶剤を溶媒としている易剥離層(32)のインキとしては、炭化水素系(脂肪族、芳香族)、アルコール系、エステル系、ケトン系などの乾燥性や樹脂溶解力に対応した有機溶剤を溶媒とし、これに硝化綿撓のセルロース誘導体、ポリアマイド樹脂、ロジン誘導体、アクリル樹脂、塩化ゴム、ポリエステル等と補助剤とを溶解したビヒクルに、上記のシリコンやワックス(例えばポリエチレンワックス)を滑剤として添加した剥離ニスが挙げられ、この剥離ニスを用いてグラビア印刷やスクリーン印刷で易剥離層(32)を形成することができる。
【0057】
また、上記有機溶剤を溶媒としているスクラッチ隠蔽層(34)のインキとしては、例えば隠蔽性を付与するアルミニウム粉15〜25重量部、アルミナ白等体質顔料を含めた着色顔料15〜25重量部、凝集破壊(団塊)性のあるSBR、NBR等合成ゴム系樹脂15〜25重量部、これらにトルエンやキシレン、メチルイソブチルケトン等芳香族炭化水素系溶剤35〜45重量部と消泡剤等助剤5〜15重量部を加えてスクリーン印刷用インキやグラビア印刷用インキあるいはアニロックスロールを介してインキを転移するフレキソ印刷用インキとしたもので、このスクラッチインキを用いてスクリーン印刷法やグラビア印刷法あるいはアニロックスロールを介して印刷するフレキソ印刷法で厚さ5〜10μmに形成されるものである。
【0058】
また、上記請求項5に係る発明は、図1(a)および図1(b)に示すように、当落、等級等を表す文字、数字あるいはそれらに該当する絵柄等の個別情報(11)が常温では発色しない示温インキで印刷されていて、この個別情報(11)は、これを隠蔽するスクラッチ隠蔽層(34)が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明な(即ち示温インキでなる個別情報(11)が発色していない)状態を維持しているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とするものである。
【0059】
この場合の易剥離層(32)およびスクラッチ隠蔽層(34)は、水性でも有機溶剤を溶媒としたインキでも構わない。
【0060】
このように、個別情報(11)が、常温では発色せず、少なくともこの個別情報(11)を隠蔽するスクラッチ隠蔽層(34)が施されるまでの間は、無色もしくは極淡色透明であるので、視認できないかあるいは機械でも読み取りができず、よって製造中不正に読み取ってこの個別情報(11)と連動して管理する管理番号(12)を記録したり、機械入力しておいたりするといった悪用の危険性がないスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。
【0061】
上記示温インキとしては、可逆性(加温で発色し、常温で消色するもの)でも不可逆性(加温で発色し、元に戻らないもの)でもよく、前記可逆性の示温インキには、例えばHg、Ag、Cu、Pbなどのヨウ化物あるいはこれらの錯塩を顔料とした金属錯塩系、スピロピラン類を加熱溶融すると可逆的に無色から有色になる有機化合物系などが挙げられる。
【0062】
上記可逆性の示温インキを使用した場合、その発色する、および消色する温度を常温で発色しない以外は特に限定するものではないが、購入者が発色せしめることを考慮に入れると、手指の温度で発色する程度のものが好ましく、それ以上の加熱手段は、危険性や煩わしさなどから好ましくはない。
【0063】
また、不可逆性の示温インキには、例えば3(NH4 )2 O・Fe2 O3 ・12MoO3 19H2 O、Co(AsO4 )2 (Pyr)2 ・10H2 O、(NH4 )3 H6 〔Fe(MoO4 )6 〕・7H2 O、CoSiF6 、Co(C6 H5 O7 )2 、〔Cu(Pyr)2 〕(CNS)2 、(NH4 )3
VO3 などが水やエマルジョン樹脂に分散されたものが使用される。
【0064】
上記不可逆性の示温インキを使用した場合の発色温度は、常温で発色しないこと以外は、特に限定するものではないが、例えば易剥離層(32)やスクラッチ隠蔽層(34)の乾燥温度(130℃程度)で発色するものとすれば、特別の加熱発色工程を必要としないので、好適なものとすることもできる。
【0065】
以上のようなスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を構成する基材シート(30)としては、例えばインスタント抽選券やゲームカードなどでは、アート紙、コート紙あるいは上質紙等洋紙やコートボール、コートマニラ、両面カードなどの板紙、あるいは特殊証券用紙などが挙げられ、また有価証券としてのスクラッチカードなどでは、白色PET(ポリエチレンテレフタレート)、白色塩ビ(ポリ塩化ビニル)シートなどが挙げられ、適宜用途等に応じて選定される。
【0066】
また、上記請求項6および請求項8に係る発明は、例えば図3(a)、(b)、(c)に示すスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)の製造方法であって、例えば図1(a)の平面図に示すように、まず、基材シート(30)の表面にインキ受理層(16)用の水性インキを用い、グラビア印刷方式で全面に塗布してインキ受理層(16)を形成する。
【0067】
続いて、図3(a)に示すように、このインキ受理層上に水性の感熱インキを用い、インクジェットプリンターで個別情報(11)を印刷し、これと同時に番号管理用のインクジェットプリンターで管理番号(12)を印刷する。
【0068】
この段階では、管理番号(12)は視認されるが、個別情報(11)は無色か極淡色透明であるため視認出来ないか極困難な状態となっていて、機械読み取りも不可能な状態と
なっている。
【0069】
続いて、この個別情報(11)を覆うように水性の透明剥離ニスを用い、グラビア印刷法やアニロックスロールを介して印刷するフレキソ印刷法などで易剥離層(図示せず)を形成する。
【0070】
上記易剥離層上に、例えば図3(b)に示すように、水性のスクラッチインキを用い、フレキソ印刷法などでスクラッチ隠蔽層(34)を形成する。この段階でも個別情報(11)を構成する感熱インキは発色しないようになっている。
【0071】
上記水性のスクラッチインキに代え、有機溶剤を溶媒としたスクラッチインキとしてもよいが、消防法や有規則の遵守、あるいは環境問題の軽減に配慮されている面からは水性のスクラッチインキが好ましく使用される。
【0072】
続いて、全面に透明な紫外線硬化型インキなどでなる透明保護層(図示せず)を施してスクラッチ隠蔽層(34)や個別情報(11)を被覆して保護する。
【0073】
以上のようにして形成されたスクラッチ隠蔽層(34)上あるいは基材シート(30)の裏面から加熱して、図3(c)に示すように、個別情報(11)を発色せしめてスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とする製造方法である。
【0074】
また、上記請求項6および請求項9に係る発明は、例えば、図4(a)、(b)に示すように、他のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)の製造方法であって、例えば、図1(a)の平面図に示すように、まず、基材シート(30)の表面にインキ受理層用の水性インキを用い、グラビア印刷方式あるいはフレキソ印刷方式で全面に塗布してインキ受理層(16)を形成する。
【0075】
続いて、図4(a)に示すように、このインキ受理層(図示せず)上に水性の感熱インキを用い、インクジェットプリンターで個別情報(11)を印刷し、これと同時に番号管理用のインクジェットプリンターで管理番号(12)を印刷する。
【0076】
この段階では、管理番号(12)は視認されるが、個別情報(11)は、常温下の印刷室内では無色か極淡色透明であるため視認出来ないか極困難な状態となっていて、機械読み取りも不可能な状態となっている。
【0077】
続いて、この個別情報(11)を覆うように有機溶剤を溶媒とする透明剥離ニスを用い、グラビア印刷法やアニロックスロールを介して印刷するフレキソ印刷法などで易剥離層(図示せず)を形成する。この段階で個別情報(11)を発色せしめるが、続いて図4(b)に示すように、スクラッチ隠蔽層(34)を形成すれば、製造中といえども個別情報(11)を読み取られることはないようになっている。
【0078】
また、図4(a)に示すような無色もしくは極淡色透明な状態の個別情報(11)を覆うようにして、例えば図4(b)に示すように、直接有機溶剤を溶媒とするスクラッチインキを用い、グラビア印刷法等でスクラッチ隠蔽層(34)を形成することもでき、この段階で個別情報(11)を形成する感熱インキを発色せしめる製造方法とすることもできる。
【0079】
このように、個別情報を発色せしめるための加熱工程を必要としない作業効率のよいスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一実施の形態を示すもので、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図の一事例であり、(c)は、(a)のB−B断面図の他の一事例である。
【図2】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一実施の形態を示すもので、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図の一事例である。
【図3】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法の一実施の形態を示すもので、(a)は、個別情報を形成する平面図であり、(b)は、スクラッチ隠蔽層を形成する平面図であり、(c)は、個別情報を発色せしめる平面図である。
【図4】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法の他の一実施の形態を示すもので、(a)は、個別情報を形成する平面図であり、(b)は、スクラッチ隠蔽層を形成する平面図である。
【図5】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を使用した際の説明図で、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。
【図6】従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例を示すもので、(a)は、その断面図であり、(b)は、その平面図である。
【符号の説明】
【0081】
1‥‥スクラッチ隠蔽層付印刷物
2‥‥従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物
11‥‥個別情報
12‥‥管理番号
13‥‥淡色印刷層
16‥‥インキ受理層
17‥‥透明保護層
30‥‥基材シート
32‥‥易剥離層
34‥‥スクラッチ隠蔽層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に、当落、等級等個別情報が印刷され、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層が直接もしくは易剥離層を介して施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報は常温では発色しない感熱インキで印刷されていて、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明であることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項2】
前記感熱インキはロイコ染料と、該ロイコ染料と熱時反応して発色せしめる顕色剤とを主成分とすることを特徴とする請求項1記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項3】
前記個別情報を直接覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層は水性インキもしくは無溶剤インキで形成され、前記個別情報がスクラッチ隠蔽層上もしくは基材の裏面から加熱されて発色していることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項4】
前記個別情報を直接覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層は有機溶剤を溶媒としたインキで形成され、前記個別情報が該個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の形成で発色していることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項5】
基材の表面に、当落、等級等個別情報が印刷され、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層が直接もしくは易剥離層を介して施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報は常温では発色しない示温インキで印刷されていて、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層が施されるまで間は、無色もしくは極淡色透明であることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項6】
基材の表面に、当落、等級等個別情報を印刷し、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層を直接もしくは易剥離層を介して施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を常温では発色しない感熱インキで印刷し、該印刷された個別情報は、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層を施すまで間は無色もしくは極淡色透明であることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項7】
前記感熱インキはロイコ染料と、該ロイコ染料と熱反応して発色せしめる顕色剤とを主成分とすることを特徴とする請求項6記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項8】
前記個別情報を直接覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層を水性インキもしくは無溶剤インキで形成し、前記個別情報をスクラッチ隠蔽層上もしくは基材の裏面から加熱して発色せしめることを特徴とする請求項6乃至7のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項9】
前記個別情報を直接覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層を有機溶剤を溶媒としたインキで印刷し、前記個別情報を該個別情報を覆うように設けられるスクラッチ隠蔽層もしくは易剥離層の形成で発色せしめることを特徴とする請求項6乃至7のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項10】
基材の表面に、当落、等級等個別情報を印刷し、該個別情報を覆うようにスクラッチ隠蔽層を直接もしくは易剥離層を介して施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を常温では発色しない示温インキで印刷し、少なくとも前記スクラッチ隠蔽層を施すまで間は無色もしくは極淡色透明なものとすることを特徴とするスクラッチ隠
蔽層付印刷物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−123380(P2006−123380A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−315378(P2004−315378)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】