スクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法
【課題】当落等を表す個別情報を隠蔽しているスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、その個別情報が削れたり、あるいは故意に個別情報を削り取り、改ざんされるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法の提供にある。
【解決手段】当落等を表す個別情報11がスクラッチ隠蔽層34で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物1であって、前記個別情報11が透明基材シート20の裏面に施され、該個別情報11を覆うように、白色系の隠蔽層12が施され、前記透明基材シート20の表面には、前記裏面の個別情報11が施されている部分を覆うように透明易剥離層32を介してスクラッチ隠蔽層34が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物1としたものである。
【解決手段】当落等を表す個別情報11がスクラッチ隠蔽層34で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物1であって、前記個別情報11が透明基材シート20の裏面に施され、該個別情報11を覆うように、白色系の隠蔽層12が施され、前記透明基材シート20の表面には、前記裏面の個別情報11が施されている部分を覆うように透明易剥離層32を介してスクラッチ隠蔽層34が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物1としたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスタント籤券で代表されるスクラッチ隠蔽層付印刷物に関するものであり、さらに詳細には、スクラッチ隠蔽層のスクラッチオフ(引っ掻き落とすこと)に際し、当落等を表す個別情報が削り取られたり、改ざんされたりしないスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、インスタント籤券やゲーム用のカードなどにおいて、「当たり」、「外れ」あるいは等級、それらに該当する絵柄や記号などの個別情報を隠蔽するために、隠蔽性とスクラッチオフ性(引っ掻き落とし易さ性)を有するインキによりその個別情報を隠蔽し、購入した顧客あるいは販売所等がそのスクラッチ隠蔽層をコインや爪等でスクラッチオフしてこの個別情報を視認あるいは読み取るスクラッチ隠蔽層付印刷物が知られ、種々の分野で利用されている。
【0003】
上記のスクラッチ隠蔽層付印刷物として、例えば、図11(a)の平面図およびそのB−B面を表す図11(b)の積層断面図に示すように、用紙などでなる基材シート(30)の上に絵柄、文字、数字などの個別情報(11)が印刷されていて、その個別情報(11)を覆うようにアルミニウム粉末等を含むスクラッチ隠蔽層(34)が施されているもので、さらにこのスクラッチ隠蔽層(34)を保護する透明保護層(17)が施されたり、このスクラッチ隠蔽層(34)を隠してデザイン性と美粧性を付与するための絵柄印刷層(図示せず)が白色隠蔽層(図示せず)を介して備えられたスクラッチ隠蔽層付印刷物(2)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記のスクラッチ隠蔽層付印刷物(2)を購入した顧客あるいは販売した販売所等がコインや爪などでスクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフ(引っ掻き落とすこと)して、「当たり」、「外れ」など、あるいはそれに該当する絵柄、記号などの個別情報(11)を目視で、あるいは個別情報(11)がバーコードや暗証記号等視認では内容が判らないものの場合などでは専用のOCR(光学式文字記号読取り装置)による読取りで認識できるようになっている。
【0005】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平11−157266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の技術においては、例えば、図12(a)の平面図およびそのB−B面を表す図12(b)の積層断面図に示すように、コインや爪などでスクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフする際に、スクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合などにおいて個別情報(11)も削れてしまうという問題点があり、さらにまた、偽造して不正使用しようとする者が、故意に個別情報(11)を削り取り、改ざんするという偽造(改ざん)防止の点で問題のあるものであった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、当落等を表す個別情報を隠蔽しているスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、
その個別情報が削れたり、あるいは偽造して不正使用しようとする者が故意に個別情報を削り取り、改ざんするという偽造(改ざん)の危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記個別情報が透明基材シートの裏面に施され、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層が施され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が施されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0009】
また、請求項2の発明では、前記裏面の隠蔽層上に保護層が施されていることを特徴とする請求項1記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0010】
また、請求項3の発明では、前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0011】
また、請求項4の発明では、当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記個別情報が、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が転写されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0012】
また、請求項5の発明では、前記剥離層が保護層を兼ねていることを特徴とする請求項4記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0013】
また、請求項6の発明では、前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されていることを特徴とする請求項4乃至5のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0014】
また、請求項7の発明では、当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、前記個別情報を透明基材シートの裏面に施し、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層を施し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を施した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すことを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0015】
また、請求項8の発明では、前記裏面の隠蔽層上に保護層を施すことを特徴とする請求項7記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0016】
また、請求項9の発明では、前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すことを特徴とする請求項7乃至8のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0017】
また、請求項10の発明では、当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、前記個別情報を、ベースフィルム上に剥離層、
隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を転写した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すことを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0018】
また、請求項11の発明では、前記剥離層を保護層と兼ねさせることを特徴とする請求項10記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0019】
さらにまた、請求項12の発明では、前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すことを特徴とする請求項10乃至11のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0021】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報が透明基材シートの裏面に施され、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層が施され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が施されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、このスクラッチ隠蔽層付印刷物を購入した顧客がコインなどでスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、その個別情報が透明基材シートの裏面に施されているので、削れたりすることがなく、あるいは故意に個別情報を削り取り改ざんされるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0022】
さらにまた、上記透明基材シートの裏面に施されている個別情報を隠蔽している隠蔽層は、少なくとも個別情報の色と異なる色を呈しているので、表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に表面からこの個別情報が視認され易く、かつOCRでも読み取れるものとすることができる。
【0023】
また、上記請求項2に係る発明によれば、上記透明基材シート裏面の隠蔽層上に保護層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、隠蔽層を擦れ疵などから保護し、この擦れ疵などのない隠蔽層で隠蔽されている個別情報が裏から視認されないようにしたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0024】
また、上記請求項3に係る発明によれば、上記表面のスクラッチ隠蔽層上に、白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、表面にデザイン性と美粧性を付与するとともに、一度スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたものを、スクラッチ隠蔽層とともに再生して偽造することを困難にしたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0025】
また、上記請求項4に係る発明によれば、当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報が、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が転写されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、このスクラッチ隠蔽層付印刷物を購入した顧客がコインな
どで表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、その個別情報が透明基材シートの裏面に施されているので、削れたりすることがなく、あるいは故意に個別情報を削り取られ偽造(改ざん)されるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0026】
さらにまた、上記透明基材シートの裏面に転写されている個別情報を隠蔽している隠蔽層は、少なくとも個別情報の色と異なる色を呈しているので、表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に表面からこの個別情報が視認され易く、かつOCRでも読み取れるものとすることができる。
【0027】
また、上記請求項5に係る発明によれば、上記剥離層が保護層を兼ねているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、擦れ疵などの出易い隠蔽層を保護し、この擦れ疵などのない隠蔽層で隠蔽されている個別情報が裏から視認されないようにしたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0028】
また、上記請求項6に係る発明によれば、上記透明基材シート表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、デザイン性と美粧性を付与するとともに、一度スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたものを、スクラッチ隠蔽層とともに再生して偽造することを困難にしたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0029】
また、上記請求項7に係る発明によれば、当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を透明基材シートの裏面に施し、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層を施し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を施した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、このスクラッチ隠蔽層付印刷物を購入した顧客がコインなどでスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、その個別情報が透明基材シートの裏面に施す方法なので、削れたりすることがなく、あるいは故意に個別情報を削り取られ改ざんされるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0030】
さらにまた、上記透明基材シートの裏面に施されている個別情報を隠蔽している隠蔽層を、少なくとも個別情報の色と異なる色を呈しているものとすることによって、表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に表面からこの個別情報が視認され易く、かつOCRでも読み取れるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0031】
また、上記請求項8に係る発明によれば、上記透明基材シート裏面の隠蔽層上に保護層を施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、前記隠蔽層を擦れ疵などから保護し、この擦れ疵などのない隠蔽層で個別情報を完全に隠蔽するので、裏からは個別情報を視認されないようにするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0032】
また、上記請求項9に係る発明によれば、上記透明基材シート表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、表面にデザイン性と美粧性を付与せしめるとともに、一度スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたものを、このスクラッチ隠蔽層とともに再生して偽造することを困難にするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0033】
また、上記請求項10に係る発明によれば、当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を転写した部分を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、このスクラッチ隠蔽層付印刷物を購入した顧客がコインなどで表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、その個別情報を透明基材シートの裏面に転写するので、削れたりすることがなく、あるいは故意に個別情報を削り取られ改ざんされるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0034】
また、上記透明基材シートの裏面に転写されている個別情報を隠蔽している隠蔽層を、少なくともこの個別情報の色と異なる色を呈しているものとすることによって、表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に表面からこの個別情報が視認され易く、かつOCRでも読み取れる製造方法とすることができる。
【0035】
さらにまた、感熱転写シートを用いて、透明基材シートの裏面に個別情報、隠蔽層、剥離層を感熱接着剤層を介して部分的に熱転写する方法なので、個々の基材シートに印刷等で設ける方法に比べ、効率のよいスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0036】
また、上記請求項11に係る発明によれば、上記剥離層を保護層と兼ねさせるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、隠蔽層を擦れ疵などから保護し、この擦れ疵などのない隠蔽層で隠蔽されている個別情報を裏から視認されないようにするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0037】
さらにまた、上記請求項12に係る発明によれば、上記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、表面にデザイン性と美粧性を付与するとともに、一度スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたものを、スクラッチ隠蔽層とともに再生して偽造することを困難にするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0038】
従って本発明は、インスタント籤券で代表されるもので、当落等を表す個別情報を隠蔽しているスクラッチ隠蔽層のスクラッチオフに際し、そのスクラッチ隠蔽層が削り取られたり、改ざんされたりしないスクラッチ隠蔽層付印刷物とその製造方法として、優れた実用上の効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0040】
本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物は、例えば、図1の積層断面図に示すように、透明基材シート(20)の裏面に、当落、等級やそれに相当する絵柄、記号等を表す黒色の個別情報(11)が印刷されていて、その個別情報(11)を覆うように、この個別情報(11)と異なる白色の隠蔽層(12)が施されていて、裏面からは個別情報(11)が白色の隠蔽層(12)で隠蔽されていて視認できないようになっている。
【0041】
また、上記白色の隠蔽層(12)上に保護層(13)が施されていて、白色の隠蔽層(12)を擦れ疵などから保護して、個別情報(11)が裏面から視認されないようにして
ある。
【0042】
また、透明基材シート(20)の表面には、裏面に印刷された個別情報(11)の部分を覆うように透明易剥離層(32)を介してスクラッチ隠蔽層(34)が施されていて、このスクラッチ隠蔽層(34)を擦れ疵などから保護する透明保護層(17)が全面に施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)である。
【0043】
また、図2の積層断面図に示すように、例えば、透明基材シート(20)の裏面に個別情報(11)が印刷(印字)され、この個別情報(11)を覆うように隠蔽層(12)とその上に保護層(13)が施され、透明基材シート(20)の表面には、透明易剥離層(32)を介して施されているスクラッチ隠蔽層(34)上に、白色隠蔽層(14)、絵柄印刷層(15)および透明保護層(17)が順に積層されている、デザイン性と美粧性が付与されたスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることもできる。
【0044】
以上のような構成のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることによって、例えば、図1に示すようなスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を購入した顧客が、スクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフすると、図3(a)の平面図およびそのB−B面を表す図3(b)の側断面図に示すように、スクラッチ隠蔽層(34)が透明易剥離層(32)から除去され、たとえスクラッチオフの力が強過ぎたり、コインの先端が尖っていたとしても、せいぜい透明易剥離層(32)が削られる程度で、透明基材シート(20)の裏面に施されている個別情報(11)には全く影響がなく、上面から容易に視認することができる。また、個別情報(11)の改ざんも困難なスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。
【0045】
また、例えば、図2に示すようなスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を購入した顧客が、絵柄印刷層(15)および白色隠蔽層(14)とともにスクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフすると、図4(a)の平面図およびそのB−B面を表す図4(b)の側断面図に示すように、絵柄印刷層(15)および白色隠蔽層(14)とともにスクラッチ隠蔽層(34)が透明易剥離層(32)から除去され、たとえスクラッチオフの力が強過ぎたり、コインの先端が尖っていたとしても、せいぜい透明易剥離層(32)が削られる程度で、透明基材シート(20)の裏面に施されている個別情報(11)には全く影響がなく、上面から容易に視認することができる。また、個別情報(11)の改ざんも困難なスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。
【0046】
また、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の実施形態として、例えば、図5の側断面図に示すように、ベースフィルム(22)上に剥離層(18)、隠蔽層(12)、個別情報(11)、感熱接着剤層(19)が順に積層されている感熱転写シート(5)を用い、図6の側断面図に示すように、この感熱転写シート(5)の感熱接着剤層(19)を、透明基材シート(20)の裏面に当接し、ベースフィルム(22)面からヒートシールバー(40)を押し当てて接着せしめ、ベースフィルム(22)を剥離層(18)から剥離して、図7の側断面図に示すように、透明基材シート(20)の裏面に感熱接着剤層(19)を介して個別情報(11)、隠蔽層(12)、剥離層(18)の順に転写される。この剥離層(18)が隠蔽層(12)の擦れ疵などから保護する保護層を兼ねることができるものである。
【0047】
さらに、例えば、図8の側断面図に示すように、上記透明基材シート(20)の表面に、裏面に転写された個別情報(11)を覆うように、透明易剥離層(32)を介してスクラッチ隠蔽層(34)を設け、その上全面に透明保護層(17)を施し、感熱転写方式のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。
【0048】
また、例えば、図9の側断面図に示すように、上記透明基材シート(20)の表面に、裏面に転写された個別情報(11)を覆うように、透明易剥離層(32)を介してスクラッチ隠蔽層(34)を設け、そのスクラッチ隠蔽層(34)上に、白色隠蔽層(14)、絵柄印刷層(15)および透明保護層(17)全面に施し、感熱転写方式のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることもできる。
【0049】
上記転写シート(5)は、例えば、図10の側断面図に示すように、細長ウエブ状のベースフィルム(22)上全面に剥離層(18)が塗布され、その流れ方向の所定の位置に、積層された隠蔽層(12)、個別情報(11)が面付され、その上全面に感熱接着剤層(19)が塗布されているものが用いられる。
【0050】
本発明は、上記のような細長ウエブ状の転写シート(5)を用い、例えばカードとなる透明基材シート(20)の裏面に連続的に転写してスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とする効率の良い製造方法とすることもできる。
【0051】
以下に、上記本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を構成する材料およびその形成法等について説明する。
【0052】
まず、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を構成する透明基材シート(20)としては、例えば、厚み25〜250μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶質(非結晶性)の熱可塑性のあるポリエステル(PETG)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル(PAN)等のプラスチックシートやセルローストリアセテート(CTA)シートが挙げられ、用途に応じて適宜選定されるが、透明なシートであればこれらに限定されるものではない。
【0053】
また、上記透明基材シート(20)の裏面に印刷あるいは転写される個別情報(11)は、例えば、黒色系のオフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキによるもの、あるいは当選番号等を表す場合では、黒色系のインクジェットインク、感熱転写リボンの転写などによる印刷(印字)で得ることができる。
【0054】
上記インクジェットあるいは感熱転写リボンによる印刷(印字)の場合は、透明基材シート(20)の裏面に略透明なインキ受理層あるいは転写受像層を設け、それぞれで得られる個別情報(11)が結着し易いようにした方が好ましい。
【0055】
また、上記個別情報(11)を隠蔽する隠蔽層(12)としては、黒色系の個別情報(11)に対し、高いコントラストが得られる白色系の印刷インキによるものが好適で、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷あるいはオフセット印刷用バインダーあるいはビヒクルに20〜40重量%程度の白色顔料が分散されている白色印刷インキを用い、2度重ね刷りで厚さ3〜8μm程度に形成される。
【0056】
上記隠蔽層(12)を形成する白色印刷インキについてさらに詳しく説明すると、例えば樹脂として硝化綿、ポリアミド等10重量%程度、溶剤としてトルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等60〜70重量%に、白色顔料としての酸化チタンが20〜40重量%の範囲で分散しているグラビア用白色印刷インキ、あるいはバインダーとしてのポリウレタン系合成樹脂あるいはスチレン/アクリル系共重合樹脂、またはポリウレタン系合成樹脂とスチレン/アクリル系共重合樹脂の混合体20〜45重量%、消泡剤等助剤1〜10重量%、10〜35重量%の水と5重量%未満のイソプロピルアルコール等低級アルコールに、白色顔料としての酸化チタンが20〜40重量%の範囲で分散しているエマルジョンタイプのグラビア用白色印刷インキ等が挙げられる。また、例えばオフセット
インキのビヒクルに白色顔料としての酸化チタンを20〜40重量%の範囲で添加したオフセット用白色印刷インキが用いられ、さらに具体的には、例えば樹脂として20〜30重量%のロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂等、植物油として10〜20重量%の大豆油、亜麻仁油、桐油等、溶剤として25〜35重量%の鉱物油、ナフテン、パラフィン等でなるオフセット油性枚葉インキのビヒクルに、上記酸化チタンを20〜40重量%の範囲で分散させ、さらに添加剤として5〜10重量%のナフテン酸コバルト等でなるドライヤー、酸化抑制剤、裏移り防止剤などで構成されるオフセット油性タイプの白色印刷インキが挙げられ、さらにまた、例えば光重合性素材として30〜90重量%のポリオール、ポリエステル、ウレタン、エポキシの各アクリル酸エステル、改質用樹脂として10〜40重量%のケトン樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂等でなる紫外線硬化型オフセット枚葉インキのビヒクルに、上記白色顔料としての酸化チタンを20〜40重量%の範囲で分散させ、さらに添加剤として5〜10重量%のベンゾフェノン、ベンジル、ジメチルアミンベンゾフェノン等でなる光重合開始剤、さらにハイドロキノン等熱重合禁止剤等添加剤などで構成される紫外線硬化型のオフセット用白色印刷インキが挙げられ、乾燥が速い等の点からこのスクラッチ印刷物の製造には好適なインキである。
【0057】
なお、上記個別情報(11)を上記白色印刷インキで、隠蔽層(12)を黒色系の印刷インキで得ることもできるが一般的ではない。
【0058】
また、上記隠蔽層(12)を擦れ疵などから保護する保護層(18)としては、アクリル、ポリエステル樹脂等耐熱性と堅牢性に優れた樹脂を主成分とした被膜により構成されており、かつこの被膜内にシリコン系あるいはエチレン系ワックスを1〜5重量%の割合で配合されているものが挙げられ、グラビアコート法などで得ることができる。また、この保護層(18)にグレイ等濁色系の色材を混合して着色し、隠蔽層(12)に隠蔽性を付加し個別情報(11)に対する隠蔽性を高めることができる。
【0059】
また、上記透明基材シート(20)の表面に設ける透明易剥離層(32)としては、一般的な有機溶剤を溶媒としたインキと、環境に配慮された水性のインキによるものがあり、前者の有機溶剤を溶媒とした透明易剥離層(32)用のインキとしては、炭化水素系(脂肪族、芳香族)、アルコール系、エステル系、ケトン系などの乾燥性や樹脂溶解力に対応した有機溶剤を溶媒とし、これに硝化綿撓のセルロース誘導体、ポリアマイド樹脂、ロジン誘導体、アクリル樹脂、塩化ゴム、ポリエステル等と補助剤とを溶解したビヒクルに、上記のシリコンやワックス(例えばポリエチレンワックス)を滑剤として添加した剥離ニスが挙げられ、この剥離ニスを用いてグラビア印刷やスクリーン印刷で透明易剥離層(32)を形成することができる。
【0060】
また、後者の環境保全に貢献する透明易剥離層(32)用の水性インキとしては、例えば、ポリエレタン系樹脂や、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂をバインダーとし、これら樹脂のエマルジョンに5重量%程度のシリコンやワックスを滑剤とし、さらにチタン白、タルク等体質顔料を分散させたものが挙げられ、グラビア印刷やスクリーン印刷あるいはフレキソ印刷法で厚み5〜10μm程度の透明易剥離層(32)とすることもできる。
【0061】
また、この透明易剥離層(32)上に設けられるスクラッチ隠蔽層(34)としては、上記透明易剥離層(32)と同様に一般的な有機溶剤を溶媒としたインキと、環境に配慮された水性のインキによるものがあり、前者の有機溶剤を溶媒としたインキとしては、例えば隠蔽性を付与するアルミニウム粉15〜25重量部、アルミナ白等体質顔料を含めた着色顔料15〜25重量部、凝集破壊(団塊)性のあるSBR、NBR等合成ゴム系樹脂15〜25重量部、これらにトルエンやキシレン、メチルイソブチルケトン等芳香族炭化水素系溶剤35〜45重量部と消泡剤等助剤5〜15重量部を加えてスクリーン印刷用イ
ンキやグラビア印刷用インキあるいはアニロックスロールを介してインキを転移するフレキソ印刷用インキとしたもので、このスクラッチインキを用いてスクリーン印刷法やグラビア印刷法あるいはアニロックスロールを介して印刷するフレキソ印刷法で厚さ5〜10μmに形成されるものである。
【0062】
また、後者の環境保全に貢献するスクラッチ隠蔽層(34)の水性インキとしては、金属ペースト、合成樹脂、助剤とを水と少々の低級アルコールに分散せしめたエマルジョンインキで形成されるもので、その金属ペーストの金属としては、銅と亜鉛の合金であるブロンズパウダーを用いる場合もあるが、コスト等からアルミニウムパウダーが一般的であり、このアルミニウムを微粉末化して、脂肪酸等で表面を処理したものを沸点の高い炭化水素溶剤(ミネラルスピリットなど)でペースト状にしたアルミニウムペーストが用いられ、これにチタン白等体質顔料を含めてインキ全体の20〜30重量%とする。
【0063】
また、このインキのバインダーとなる合成樹脂としては、例えばポリイソシアネートとポリオールとの反応によって得られるポリウレタン系樹脂や、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂などが挙げられ、これら樹脂のエマルジョンをインキ全体の25〜50重量%でなるバインダーとして上記のアルミニウムペースト、着色顔料などに、10〜35重量%の水と5重量%未満のイソプロピルアルコールを加えて攪拌して水性のエマルジョンインキとして印刷されるものである。これに消泡剤や界面活性剤、防腐剤等助剤を数%添加するのが一般的である。
【0064】
上記スクラッチ隠蔽層(34)の形成は、上記の水性エマルジョンインキを用いて、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが部分(パート)印刷に好適な方法として適用され、厚さ5〜10μm程度のスクラッチ隠蔽層(34)とすることができる。
【0065】
また、スクラッチ隠蔽層付印刷物(1)の最表面を構成する透明保護層(17)としては、最下面の保護層(18)と同様のアクリル、ポリエステル樹脂を主体とし、これにシリコンやワックス(エチレンワックスなど)を1〜5重量%混合された塗布液を用いたものでよく、さらに着色顔料を含まないオフセット用UVインキ、あるいはグラビア用UVインキを用いたものとすることもできる。
【0066】
また、上記スクラッチ隠蔽層(34)を隠蔽する白色隠蔽層(14)としては、個別情報(11)を隠蔽する隠蔽層(12)に用いる白色印刷インキを用いて、グラビア印刷、フレキソ印刷あるいはオフセット印刷で、2度重ね刷りで3〜8μm程度に形成することができる。
【0067】
また、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)の製造の一つとして使用する転写シート(5)は、そのベースフィルム(22)として、厚み10〜20μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)が一般的に使用されるが、これに限定するものではなく、例えばポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、コンデンサー紙、パラフィン紙なども使用することができる。
【0068】
また、この上塗布する剥離層(18)としては、例えば、剥離性に優れるアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、あるいはシリコーンまたはフッ素で変性した各種樹脂が使用できるが、好ましいみのはワックスである。このワックスとしては、転写時に溶融して剥離性を発揮する各種ワックスが好適に使用され、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、低分子量ポリエチレン、ミツロウ、木ロウ、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等各種ワックスが挙げられ、特に好ましいワックス
として、比較的融点が高くかつ溶剤に溶けにくいマイクロクリスタリンワックスおよびカルナウバワックスが挙げられ、0.1〜2μm程度の薄い層とするのが好ましい。
【0069】
また、上記転写シート(5)を構成する感熱接着剤層(19)としては、被転写材である透明基材シート(20)上に設ける接着剤で、50〜200℃の温度により軟化して接着性を発揮する熱可塑性樹脂であり、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA)、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルデン、メタクリル酸、ポアミド、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロースまたはポリアセタール撓が挙げられる。
【0070】
これら感熱接着剤をホットメルトコートまたは有機溶剤または水に溶解または分散した塗布液を塗工して感熱接着剤層(19)とすることができ、好ましい厚みは、1〜20μm程度である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図2】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図3】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例をスクラッチオフした時の図であり、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す断面図である。
【図4】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一事例をスクラッチオフした時の説明図であり、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す断面図である。
【図5】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を製造するための感熱転写シートの一事例を説明する側断面図である。
【図6】図4の感熱転写シートを用い、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を製造する転写工程の説明図である。
【図7】図4の感熱転写シートから転写された個別情報を説明する断面図である。
【図8】図4の感熱転写シートを用いて製造したスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例を説明する側断面図である。
【図9】図4の感熱転写シートを用いて製造したスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一事例を説明する側断面図である。
【図10】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を製造方法の一事例を説明する側断面図である。
【図11】従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例を示す説明図であり、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す断面図である。
【図12】従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例をスクラッチオフした時の説明図であり、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1‥‥スクラッチ隠蔽層付印刷物
2‥‥従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物
5‥‥感熱転写シート
11‥‥個別情報
12‥‥隠蔽層
13‥‥保護層
14‥‥白色隠蔽層
15‥‥絵柄印刷層
17‥‥透明保護層
18‥‥剥離層
19‥‥感熱接着剤層
20‥‥透明基材シート
22‥‥ベースフィルム
32‥‥易剥離層
34‥‥スクラッチ隠蔽層
40‥‥ヒートシールバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスタント籤券で代表されるスクラッチ隠蔽層付印刷物に関するものであり、さらに詳細には、スクラッチ隠蔽層のスクラッチオフ(引っ掻き落とすこと)に際し、当落等を表す個別情報が削り取られたり、改ざんされたりしないスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、インスタント籤券やゲーム用のカードなどにおいて、「当たり」、「外れ」あるいは等級、それらに該当する絵柄や記号などの個別情報を隠蔽するために、隠蔽性とスクラッチオフ性(引っ掻き落とし易さ性)を有するインキによりその個別情報を隠蔽し、購入した顧客あるいは販売所等がそのスクラッチ隠蔽層をコインや爪等でスクラッチオフしてこの個別情報を視認あるいは読み取るスクラッチ隠蔽層付印刷物が知られ、種々の分野で利用されている。
【0003】
上記のスクラッチ隠蔽層付印刷物として、例えば、図11(a)の平面図およびそのB−B面を表す図11(b)の積層断面図に示すように、用紙などでなる基材シート(30)の上に絵柄、文字、数字などの個別情報(11)が印刷されていて、その個別情報(11)を覆うようにアルミニウム粉末等を含むスクラッチ隠蔽層(34)が施されているもので、さらにこのスクラッチ隠蔽層(34)を保護する透明保護層(17)が施されたり、このスクラッチ隠蔽層(34)を隠してデザイン性と美粧性を付与するための絵柄印刷層(図示せず)が白色隠蔽層(図示せず)を介して備えられたスクラッチ隠蔽層付印刷物(2)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記のスクラッチ隠蔽層付印刷物(2)を購入した顧客あるいは販売した販売所等がコインや爪などでスクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフ(引っ掻き落とすこと)して、「当たり」、「外れ」など、あるいはそれに該当する絵柄、記号などの個別情報(11)を目視で、あるいは個別情報(11)がバーコードや暗証記号等視認では内容が判らないものの場合などでは専用のOCR(光学式文字記号読取り装置)による読取りで認識できるようになっている。
【0005】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平11−157266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の技術においては、例えば、図12(a)の平面図およびそのB−B面を表す図12(b)の積層断面図に示すように、コインや爪などでスクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフする際に、スクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合などにおいて個別情報(11)も削れてしまうという問題点があり、さらにまた、偽造して不正使用しようとする者が、故意に個別情報(11)を削り取り、改ざんするという偽造(改ざん)防止の点で問題のあるものであった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、当落等を表す個別情報を隠蔽しているスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、
その個別情報が削れたり、あるいは偽造して不正使用しようとする者が故意に個別情報を削り取り、改ざんするという偽造(改ざん)の危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記個別情報が透明基材シートの裏面に施され、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層が施され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が施されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0009】
また、請求項2の発明では、前記裏面の隠蔽層上に保護層が施されていることを特徴とする請求項1記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0010】
また、請求項3の発明では、前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0011】
また、請求項4の発明では、当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記個別情報が、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が転写されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0012】
また、請求項5の発明では、前記剥離層が保護層を兼ねていることを特徴とする請求項4記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0013】
また、請求項6の発明では、前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されていることを特徴とする請求項4乃至5のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。
【0014】
また、請求項7の発明では、当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、前記個別情報を透明基材シートの裏面に施し、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層を施し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を施した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すことを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0015】
また、請求項8の発明では、前記裏面の隠蔽層上に保護層を施すことを特徴とする請求項7記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0016】
また、請求項9の発明では、前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すことを特徴とする請求項7乃至8のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0017】
また、請求項10の発明では、当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、前記個別情報を、ベースフィルム上に剥離層、
隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を転写した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すことを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0018】
また、請求項11の発明では、前記剥離層を保護層と兼ねさせることを特徴とする請求項10記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【0019】
さらにまた、請求項12の発明では、前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すことを特徴とする請求項10乃至11のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法としたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0021】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報が透明基材シートの裏面に施され、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層が施され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が施されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、このスクラッチ隠蔽層付印刷物を購入した顧客がコインなどでスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、その個別情報が透明基材シートの裏面に施されているので、削れたりすることがなく、あるいは故意に個別情報を削り取り改ざんされるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0022】
さらにまた、上記透明基材シートの裏面に施されている個別情報を隠蔽している隠蔽層は、少なくとも個別情報の色と異なる色を呈しているので、表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に表面からこの個別情報が視認され易く、かつOCRでも読み取れるものとすることができる。
【0023】
また、上記請求項2に係る発明によれば、上記透明基材シート裏面の隠蔽層上に保護層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、隠蔽層を擦れ疵などから保護し、この擦れ疵などのない隠蔽層で隠蔽されている個別情報が裏から視認されないようにしたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0024】
また、上記請求項3に係る発明によれば、上記表面のスクラッチ隠蔽層上に、白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、表面にデザイン性と美粧性を付与するとともに、一度スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたものを、スクラッチ隠蔽層とともに再生して偽造することを困難にしたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0025】
また、上記請求項4に係る発明によれば、当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、前記個別情報が、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が転写されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、このスクラッチ隠蔽層付印刷物を購入した顧客がコインな
どで表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、その個別情報が透明基材シートの裏面に施されているので、削れたりすることがなく、あるいは故意に個別情報を削り取られ偽造(改ざん)されるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0026】
さらにまた、上記透明基材シートの裏面に転写されている個別情報を隠蔽している隠蔽層は、少なくとも個別情報の色と異なる色を呈しているので、表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に表面からこの個別情報が視認され易く、かつOCRでも読み取れるものとすることができる。
【0027】
また、上記請求項5に係る発明によれば、上記剥離層が保護層を兼ねているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、擦れ疵などの出易い隠蔽層を保護し、この擦れ疵などのない隠蔽層で隠蔽されている個別情報が裏から視認されないようにしたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0028】
また、上記請求項6に係る発明によれば、上記透明基材シート表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることによって、デザイン性と美粧性を付与するとともに、一度スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたものを、スクラッチ隠蔽層とともに再生して偽造することを困難にしたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。
【0029】
また、上記請求項7に係る発明によれば、当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を透明基材シートの裏面に施し、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層を施し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を施した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、このスクラッチ隠蔽層付印刷物を購入した顧客がコインなどでスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、その個別情報が透明基材シートの裏面に施す方法なので、削れたりすることがなく、あるいは故意に個別情報を削り取られ改ざんされるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0030】
さらにまた、上記透明基材シートの裏面に施されている個別情報を隠蔽している隠蔽層を、少なくとも個別情報の色と異なる色を呈しているものとすることによって、表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に表面からこの個別情報が視認され易く、かつOCRでも読み取れるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0031】
また、上記請求項8に係る発明によれば、上記透明基材シート裏面の隠蔽層上に保護層を施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、前記隠蔽層を擦れ疵などから保護し、この擦れ疵などのない隠蔽層で個別情報を完全に隠蔽するので、裏からは個別情報を視認されないようにするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0032】
また、上記請求項9に係る発明によれば、上記透明基材シート表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、表面にデザイン性と美粧性を付与せしめるとともに、一度スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたものを、このスクラッチ隠蔽層とともに再生して偽造することを困難にするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0033】
また、上記請求項10に係る発明によれば、当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法において、前記個別情報を、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を転写した部分を覆うように透明な易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、このスクラッチ隠蔽層付印刷物を購入した顧客がコインなどで表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフする際に、たとえスクラッチオフする力が強すぎたり、あるいはコインのエッジが尖っていた場合でも、その個別情報を透明基材シートの裏面に転写するので、削れたりすることがなく、あるいは故意に個別情報を削り取られ改ざんされるという危惧のないスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0034】
また、上記透明基材シートの裏面に転写されている個別情報を隠蔽している隠蔽層を、少なくともこの個別情報の色と異なる色を呈しているものとすることによって、表面のスクラッチ隠蔽層をスクラッチオフした際に表面からこの個別情報が視認され易く、かつOCRでも読み取れる製造方法とすることができる。
【0035】
さらにまた、感熱転写シートを用いて、透明基材シートの裏面に個別情報、隠蔽層、剥離層を感熱接着剤層を介して部分的に熱転写する方法なので、個々の基材シートに印刷等で設ける方法に比べ、効率のよいスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0036】
また、上記請求項11に係る発明によれば、上記剥離層を保護層と兼ねさせるスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、隠蔽層を擦れ疵などから保護し、この擦れ疵などのない隠蔽層で隠蔽されている個別情報を裏から視認されないようにするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0037】
さらにまた、上記請求項12に係る発明によれば、上記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることによって、表面にデザイン性と美粧性を付与するとともに、一度スクラッチ隠蔽層をスクラッチオフしたものを、スクラッチ隠蔽層とともに再生して偽造することを困難にするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法とすることができる。
【0038】
従って本発明は、インスタント籤券で代表されるもので、当落等を表す個別情報を隠蔽しているスクラッチ隠蔽層のスクラッチオフに際し、そのスクラッチ隠蔽層が削り取られたり、改ざんされたりしないスクラッチ隠蔽層付印刷物とその製造方法として、優れた実用上の効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0040】
本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物は、例えば、図1の積層断面図に示すように、透明基材シート(20)の裏面に、当落、等級やそれに相当する絵柄、記号等を表す黒色の個別情報(11)が印刷されていて、その個別情報(11)を覆うように、この個別情報(11)と異なる白色の隠蔽層(12)が施されていて、裏面からは個別情報(11)が白色の隠蔽層(12)で隠蔽されていて視認できないようになっている。
【0041】
また、上記白色の隠蔽層(12)上に保護層(13)が施されていて、白色の隠蔽層(12)を擦れ疵などから保護して、個別情報(11)が裏面から視認されないようにして
ある。
【0042】
また、透明基材シート(20)の表面には、裏面に印刷された個別情報(11)の部分を覆うように透明易剥離層(32)を介してスクラッチ隠蔽層(34)が施されていて、このスクラッチ隠蔽層(34)を擦れ疵などから保護する透明保護層(17)が全面に施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)である。
【0043】
また、図2の積層断面図に示すように、例えば、透明基材シート(20)の裏面に個別情報(11)が印刷(印字)され、この個別情報(11)を覆うように隠蔽層(12)とその上に保護層(13)が施され、透明基材シート(20)の表面には、透明易剥離層(32)を介して施されているスクラッチ隠蔽層(34)上に、白色隠蔽層(14)、絵柄印刷層(15)および透明保護層(17)が順に積層されている、デザイン性と美粧性が付与されたスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることもできる。
【0044】
以上のような構成のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることによって、例えば、図1に示すようなスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を購入した顧客が、スクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフすると、図3(a)の平面図およびそのB−B面を表す図3(b)の側断面図に示すように、スクラッチ隠蔽層(34)が透明易剥離層(32)から除去され、たとえスクラッチオフの力が強過ぎたり、コインの先端が尖っていたとしても、せいぜい透明易剥離層(32)が削られる程度で、透明基材シート(20)の裏面に施されている個別情報(11)には全く影響がなく、上面から容易に視認することができる。また、個別情報(11)の改ざんも困難なスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。
【0045】
また、例えば、図2に示すようなスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を購入した顧客が、絵柄印刷層(15)および白色隠蔽層(14)とともにスクラッチ隠蔽層(34)をスクラッチオフすると、図4(a)の平面図およびそのB−B面を表す図4(b)の側断面図に示すように、絵柄印刷層(15)および白色隠蔽層(14)とともにスクラッチ隠蔽層(34)が透明易剥離層(32)から除去され、たとえスクラッチオフの力が強過ぎたり、コインの先端が尖っていたとしても、せいぜい透明易剥離層(32)が削られる程度で、透明基材シート(20)の裏面に施されている個別情報(11)には全く影響がなく、上面から容易に視認することができる。また、個別情報(11)の改ざんも困難なスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。
【0046】
また、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の実施形態として、例えば、図5の側断面図に示すように、ベースフィルム(22)上に剥離層(18)、隠蔽層(12)、個別情報(11)、感熱接着剤層(19)が順に積層されている感熱転写シート(5)を用い、図6の側断面図に示すように、この感熱転写シート(5)の感熱接着剤層(19)を、透明基材シート(20)の裏面に当接し、ベースフィルム(22)面からヒートシールバー(40)を押し当てて接着せしめ、ベースフィルム(22)を剥離層(18)から剥離して、図7の側断面図に示すように、透明基材シート(20)の裏面に感熱接着剤層(19)を介して個別情報(11)、隠蔽層(12)、剥離層(18)の順に転写される。この剥離層(18)が隠蔽層(12)の擦れ疵などから保護する保護層を兼ねることができるものである。
【0047】
さらに、例えば、図8の側断面図に示すように、上記透明基材シート(20)の表面に、裏面に転写された個別情報(11)を覆うように、透明易剥離層(32)を介してスクラッチ隠蔽層(34)を設け、その上全面に透明保護層(17)を施し、感熱転写方式のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。
【0048】
また、例えば、図9の側断面図に示すように、上記透明基材シート(20)の表面に、裏面に転写された個別情報(11)を覆うように、透明易剥離層(32)を介してスクラッチ隠蔽層(34)を設け、そのスクラッチ隠蔽層(34)上に、白色隠蔽層(14)、絵柄印刷層(15)および透明保護層(17)全面に施し、感熱転写方式のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることもできる。
【0049】
上記転写シート(5)は、例えば、図10の側断面図に示すように、細長ウエブ状のベースフィルム(22)上全面に剥離層(18)が塗布され、その流れ方向の所定の位置に、積層された隠蔽層(12)、個別情報(11)が面付され、その上全面に感熱接着剤層(19)が塗布されているものが用いられる。
【0050】
本発明は、上記のような細長ウエブ状の転写シート(5)を用い、例えばカードとなる透明基材シート(20)の裏面に連続的に転写してスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とする効率の良い製造方法とすることもできる。
【0051】
以下に、上記本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を構成する材料およびその形成法等について説明する。
【0052】
まず、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を構成する透明基材シート(20)としては、例えば、厚み25〜250μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶質(非結晶性)の熱可塑性のあるポリエステル(PETG)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル(PAN)等のプラスチックシートやセルローストリアセテート(CTA)シートが挙げられ、用途に応じて適宜選定されるが、透明なシートであればこれらに限定されるものではない。
【0053】
また、上記透明基材シート(20)の裏面に印刷あるいは転写される個別情報(11)は、例えば、黒色系のオフセットインキ、グラビアインキ、フレキソインキによるもの、あるいは当選番号等を表す場合では、黒色系のインクジェットインク、感熱転写リボンの転写などによる印刷(印字)で得ることができる。
【0054】
上記インクジェットあるいは感熱転写リボンによる印刷(印字)の場合は、透明基材シート(20)の裏面に略透明なインキ受理層あるいは転写受像層を設け、それぞれで得られる個別情報(11)が結着し易いようにした方が好ましい。
【0055】
また、上記個別情報(11)を隠蔽する隠蔽層(12)としては、黒色系の個別情報(11)に対し、高いコントラストが得られる白色系の印刷インキによるものが好適で、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷あるいはオフセット印刷用バインダーあるいはビヒクルに20〜40重量%程度の白色顔料が分散されている白色印刷インキを用い、2度重ね刷りで厚さ3〜8μm程度に形成される。
【0056】
上記隠蔽層(12)を形成する白色印刷インキについてさらに詳しく説明すると、例えば樹脂として硝化綿、ポリアミド等10重量%程度、溶剤としてトルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等60〜70重量%に、白色顔料としての酸化チタンが20〜40重量%の範囲で分散しているグラビア用白色印刷インキ、あるいはバインダーとしてのポリウレタン系合成樹脂あるいはスチレン/アクリル系共重合樹脂、またはポリウレタン系合成樹脂とスチレン/アクリル系共重合樹脂の混合体20〜45重量%、消泡剤等助剤1〜10重量%、10〜35重量%の水と5重量%未満のイソプロピルアルコール等低級アルコールに、白色顔料としての酸化チタンが20〜40重量%の範囲で分散しているエマルジョンタイプのグラビア用白色印刷インキ等が挙げられる。また、例えばオフセット
インキのビヒクルに白色顔料としての酸化チタンを20〜40重量%の範囲で添加したオフセット用白色印刷インキが用いられ、さらに具体的には、例えば樹脂として20〜30重量%のロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂等、植物油として10〜20重量%の大豆油、亜麻仁油、桐油等、溶剤として25〜35重量%の鉱物油、ナフテン、パラフィン等でなるオフセット油性枚葉インキのビヒクルに、上記酸化チタンを20〜40重量%の範囲で分散させ、さらに添加剤として5〜10重量%のナフテン酸コバルト等でなるドライヤー、酸化抑制剤、裏移り防止剤などで構成されるオフセット油性タイプの白色印刷インキが挙げられ、さらにまた、例えば光重合性素材として30〜90重量%のポリオール、ポリエステル、ウレタン、エポキシの各アクリル酸エステル、改質用樹脂として10〜40重量%のケトン樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂等でなる紫外線硬化型オフセット枚葉インキのビヒクルに、上記白色顔料としての酸化チタンを20〜40重量%の範囲で分散させ、さらに添加剤として5〜10重量%のベンゾフェノン、ベンジル、ジメチルアミンベンゾフェノン等でなる光重合開始剤、さらにハイドロキノン等熱重合禁止剤等添加剤などで構成される紫外線硬化型のオフセット用白色印刷インキが挙げられ、乾燥が速い等の点からこのスクラッチ印刷物の製造には好適なインキである。
【0057】
なお、上記個別情報(11)を上記白色印刷インキで、隠蔽層(12)を黒色系の印刷インキで得ることもできるが一般的ではない。
【0058】
また、上記隠蔽層(12)を擦れ疵などから保護する保護層(18)としては、アクリル、ポリエステル樹脂等耐熱性と堅牢性に優れた樹脂を主成分とした被膜により構成されており、かつこの被膜内にシリコン系あるいはエチレン系ワックスを1〜5重量%の割合で配合されているものが挙げられ、グラビアコート法などで得ることができる。また、この保護層(18)にグレイ等濁色系の色材を混合して着色し、隠蔽層(12)に隠蔽性を付加し個別情報(11)に対する隠蔽性を高めることができる。
【0059】
また、上記透明基材シート(20)の表面に設ける透明易剥離層(32)としては、一般的な有機溶剤を溶媒としたインキと、環境に配慮された水性のインキによるものがあり、前者の有機溶剤を溶媒とした透明易剥離層(32)用のインキとしては、炭化水素系(脂肪族、芳香族)、アルコール系、エステル系、ケトン系などの乾燥性や樹脂溶解力に対応した有機溶剤を溶媒とし、これに硝化綿撓のセルロース誘導体、ポリアマイド樹脂、ロジン誘導体、アクリル樹脂、塩化ゴム、ポリエステル等と補助剤とを溶解したビヒクルに、上記のシリコンやワックス(例えばポリエチレンワックス)を滑剤として添加した剥離ニスが挙げられ、この剥離ニスを用いてグラビア印刷やスクリーン印刷で透明易剥離層(32)を形成することができる。
【0060】
また、後者の環境保全に貢献する透明易剥離層(32)用の水性インキとしては、例えば、ポリエレタン系樹脂や、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂をバインダーとし、これら樹脂のエマルジョンに5重量%程度のシリコンやワックスを滑剤とし、さらにチタン白、タルク等体質顔料を分散させたものが挙げられ、グラビア印刷やスクリーン印刷あるいはフレキソ印刷法で厚み5〜10μm程度の透明易剥離層(32)とすることもできる。
【0061】
また、この透明易剥離層(32)上に設けられるスクラッチ隠蔽層(34)としては、上記透明易剥離層(32)と同様に一般的な有機溶剤を溶媒としたインキと、環境に配慮された水性のインキによるものがあり、前者の有機溶剤を溶媒としたインキとしては、例えば隠蔽性を付与するアルミニウム粉15〜25重量部、アルミナ白等体質顔料を含めた着色顔料15〜25重量部、凝集破壊(団塊)性のあるSBR、NBR等合成ゴム系樹脂15〜25重量部、これらにトルエンやキシレン、メチルイソブチルケトン等芳香族炭化水素系溶剤35〜45重量部と消泡剤等助剤5〜15重量部を加えてスクリーン印刷用イ
ンキやグラビア印刷用インキあるいはアニロックスロールを介してインキを転移するフレキソ印刷用インキとしたもので、このスクラッチインキを用いてスクリーン印刷法やグラビア印刷法あるいはアニロックスロールを介して印刷するフレキソ印刷法で厚さ5〜10μmに形成されるものである。
【0062】
また、後者の環境保全に貢献するスクラッチ隠蔽層(34)の水性インキとしては、金属ペースト、合成樹脂、助剤とを水と少々の低級アルコールに分散せしめたエマルジョンインキで形成されるもので、その金属ペーストの金属としては、銅と亜鉛の合金であるブロンズパウダーを用いる場合もあるが、コスト等からアルミニウムパウダーが一般的であり、このアルミニウムを微粉末化して、脂肪酸等で表面を処理したものを沸点の高い炭化水素溶剤(ミネラルスピリットなど)でペースト状にしたアルミニウムペーストが用いられ、これにチタン白等体質顔料を含めてインキ全体の20〜30重量%とする。
【0063】
また、このインキのバインダーとなる合成樹脂としては、例えばポリイソシアネートとポリオールとの反応によって得られるポリウレタン系樹脂や、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂などが挙げられ、これら樹脂のエマルジョンをインキ全体の25〜50重量%でなるバインダーとして上記のアルミニウムペースト、着色顔料などに、10〜35重量%の水と5重量%未満のイソプロピルアルコールを加えて攪拌して水性のエマルジョンインキとして印刷されるものである。これに消泡剤や界面活性剤、防腐剤等助剤を数%添加するのが一般的である。
【0064】
上記スクラッチ隠蔽層(34)の形成は、上記の水性エマルジョンインキを用いて、グラビア印刷法、スクリーン印刷法あるいはアニロックスローラーを介して印刷するフレキソ印刷法などが部分(パート)印刷に好適な方法として適用され、厚さ5〜10μm程度のスクラッチ隠蔽層(34)とすることができる。
【0065】
また、スクラッチ隠蔽層付印刷物(1)の最表面を構成する透明保護層(17)としては、最下面の保護層(18)と同様のアクリル、ポリエステル樹脂を主体とし、これにシリコンやワックス(エチレンワックスなど)を1〜5重量%混合された塗布液を用いたものでよく、さらに着色顔料を含まないオフセット用UVインキ、あるいはグラビア用UVインキを用いたものとすることもできる。
【0066】
また、上記スクラッチ隠蔽層(34)を隠蔽する白色隠蔽層(14)としては、個別情報(11)を隠蔽する隠蔽層(12)に用いる白色印刷インキを用いて、グラビア印刷、フレキソ印刷あるいはオフセット印刷で、2度重ね刷りで3〜8μm程度に形成することができる。
【0067】
また、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)の製造の一つとして使用する転写シート(5)は、そのベースフィルム(22)として、厚み10〜20μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)が一般的に使用されるが、これに限定するものではなく、例えばポリプロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、コンデンサー紙、パラフィン紙なども使用することができる。
【0068】
また、この上塗布する剥離層(18)としては、例えば、剥離性に優れるアクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、あるいはシリコーンまたはフッ素で変性した各種樹脂が使用できるが、好ましいみのはワックスである。このワックスとしては、転写時に溶融して剥離性を発揮する各種ワックスが好適に使用され、例えば、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、低分子量ポリエチレン、ミツロウ、木ロウ、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等各種ワックスが挙げられ、特に好ましいワックス
として、比較的融点が高くかつ溶剤に溶けにくいマイクロクリスタリンワックスおよびカルナウバワックスが挙げられ、0.1〜2μm程度の薄い層とするのが好ましい。
【0069】
また、上記転写シート(5)を構成する感熱接着剤層(19)としては、被転写材である透明基材シート(20)上に設ける接着剤で、50〜200℃の温度により軟化して接着性を発揮する熱可塑性樹脂であり、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA)、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルデン、メタクリル酸、ポアミド、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、エチルセルロースまたはポリアセタール撓が挙げられる。
【0070】
これら感熱接着剤をホットメルトコートまたは有機溶剤または水に溶解または分散した塗布液を塗工して感熱接着剤層(19)とすることができ、好ましい厚みは、1〜20μm程度である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図2】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図3】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例をスクラッチオフした時の図であり、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す断面図である。
【図4】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一事例をスクラッチオフした時の説明図であり、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す断面図である。
【図5】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を製造するための感熱転写シートの一事例を説明する側断面図である。
【図6】図4の感熱転写シートを用い、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を製造する転写工程の説明図である。
【図7】図4の感熱転写シートから転写された個別情報を説明する断面図である。
【図8】図4の感熱転写シートを用いて製造したスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例を説明する側断面図である。
【図9】図4の感熱転写シートを用いて製造したスクラッチ隠蔽層付印刷物の他の一事例を説明する側断面図である。
【図10】本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物を製造方法の一事例を説明する側断面図である。
【図11】従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例を示す説明図であり、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す断面図である。
【図12】従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物の一事例をスクラッチオフした時の説明図であり、(a)は、その平面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1‥‥スクラッチ隠蔽層付印刷物
2‥‥従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物
5‥‥感熱転写シート
11‥‥個別情報
12‥‥隠蔽層
13‥‥保護層
14‥‥白色隠蔽層
15‥‥絵柄印刷層
17‥‥透明保護層
18‥‥剥離層
19‥‥感熱接着剤層
20‥‥透明基材シート
22‥‥ベースフィルム
32‥‥易剥離層
34‥‥スクラッチ隠蔽層
40‥‥ヒートシールバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記個別情報が透明基材シートの裏面に施され、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層が施され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が施されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項2】
前記裏面の隠蔽層上に保護層が施されていることを特徴とする請求項1記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項3】
前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項4】
当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記個別情報が、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が転写されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項5】
前記剥離層が保護層を兼ねていることを特徴とする請求項4記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項6】
前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されていることを特徴とする請求項4乃至5のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項7】
当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、前記個別情報を透明基材シートの裏面に施し、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層を施し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を施した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すことを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項8】
前記裏面の隠蔽層上に保護層を施すことを特徴とする請求項7記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項9】
前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すことを特徴とする請求項7乃至8のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項10】
当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、前記個別情報を、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を転写した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すことを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項11】
前記剥離層を保護層と兼ねさせることを特徴とする請求項10記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項12】
前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すことを特徴とする請求項10乃至11のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項1】
当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記個別情報が透明基材シートの裏面に施され、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層が施され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が施されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項2】
前記裏面の隠蔽層上に保護層が施されていることを特徴とする請求項1記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項3】
前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項4】
当落等を表す個別情報がスクラッチ隠蔽層で覆われているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記個別情報が、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写され、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報が転写されている部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層が施されていることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項5】
前記剥離層が保護層を兼ねていることを特徴とする請求項4記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項6】
前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層が順に施されていることを特徴とする請求項4乃至5のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
【請求項7】
当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、前記個別情報を透明基材シートの裏面に施し、該個別情報を覆うように、少なくとも該個別情報と異なる色の隠蔽層を施し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を施した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すことを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項8】
前記裏面の隠蔽層上に保護層を施すことを特徴とする請求項7記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項9】
前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すことを特徴とする請求項7乃至8のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項10】
当落等を表す個別情報をスクラッチ隠蔽層で覆うスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法であって、前記個別情報を、ベースフィルム上に剥離層、隠蔽層、個別情報、感熱接着剤層が順に積層されている感熱転写シートを用い、該感熱転写シートの感熱接着剤層を介して隠蔽層、剥離層とともに透明基材シートの裏面に熱転写し、前記透明基材シートの表面には、前記裏面の個別情報を転写した部分を覆うように透明易剥離層を介してスクラッチ隠蔽層を施すことを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項11】
前記剥離層を保護層と兼ねさせることを特徴とする請求項10記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【請求項12】
前記表面のスクラッチ隠蔽層上に白色隠蔽層、絵柄印刷層、透明保護層を順に施すことを特徴とする請求項10乃至11のいずれか1項記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−150787(P2006−150787A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−345829(P2004−345829)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]