スクリュー式濾過脱水装置
【課題】故障が少なく脱水効率が良く、然もコンパクでコストの嵩まないメンテナンス性に優れた、スクリュー式濾過脱水装置の提供。
【解決手段】筒状に形成された濾過体1の始端開口部を汚泥の送り込み口3として中心孔4にスクリューコンベア5を嵌装し、上記濾過体1の終端開口部に定着された環状弁座6と対向する圧力調整弁8をスクリュー軸5Sに調整可能に装着し、該圧力調整弁8と環状弁座6との対向面間の間隙を脱水ケーキの送り出し口12とし、スクリューコンベア5を駆動する第1の駆動機構として、濾過体前半部FFの可動プレート1AK内周をスクリューコンベア5外周に摺接して可動プレート5を偏心回転させ、濾過体後半部RFの可動プレート1AK内周とスクリューコンベア5外周を非接触に設定て可動プレート1AKを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設けるよう構成した。
【解決手段】筒状に形成された濾過体1の始端開口部を汚泥の送り込み口3として中心孔4にスクリューコンベア5を嵌装し、上記濾過体1の終端開口部に定着された環状弁座6と対向する圧力調整弁8をスクリュー軸5Sに調整可能に装着し、該圧力調整弁8と環状弁座6との対向面間の間隙を脱水ケーキの送り出し口12とし、スクリューコンベア5を駆動する第1の駆動機構として、濾過体前半部FFの可動プレート1AK内周をスクリューコンベア5外周に摺接して可動プレート5を偏心回転させ、濾過体後半部RFの可動プレート1AK内周とスクリューコンベア5外周を非接触に設定て可動プレート1AKを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設けるよう構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば、オキシデーションディッチ法等に代表される比較的小規模の下水処理作業において発生する懸濁微粒子を含む懸濁液を、濃縮工程を経由しない低濃度の状態により、濾水と懸濁微粒子とに分離するためのスクリュー式濾過脱水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスクリュー式濾過脱水装置では、多数の環状固定プレートと、多数の環状可動プレートとの、各微小の濾過間隙を置いた交互重畳配列からなる濾過筒を構成し、上記濾過筒の全長を貫通するスクリューを配置し、該スクリュー外周が上記環状固定と可動プレート内周と接触しないようスクリュー外径を上記環状固定と可動プレート内径より小さく非接触状に設定して、上記濾過筒後半部内に位置する上記スクリューのピッチ間に第2のスクリュー翼を付加したものにおいて、該スクリューを回転駆動する第1の駆動機構と、上記可動プレートが濾過筒の前半部と後半部とでは異なった速度で前半部を後半部より速く揺動させ、各可動プレートの上部に穿設された上部孔20aには支点棒21を遊嵌し、濾過筒の前半部と後半部を夫々個別の回転軸14a,14bに突設されたカムキー16が、各可動プレートの下部に穿設された下部孔20b内に嵌装され、該回転軸14a,14bに突設された夫々のカムキー16の偏心回転により各可動プレートを揺動駆動し、濾過筒前半部の可動プレートを揺動する第2の駆動機構と濾過筒後半部の可動プレートを揺動する第3の駆動機構を夫々個別に設けるよう構成されたスクリュー式濾過脱水装置(例えば、特許文献1参照。)は公知である。
【0003】
また、別の公知例として、前記同様に複数の固定リング(前記環状固定プレートに相当)と、複数の遊動リング(前記環状可動プレートに相当)との、各微小の濾過間隙を置いた交互重畳配列からなる筒状体(前記濾過筒に相当)を構成し、筒状体に内装されるスクリューコンベアが該筒状体の上流側(前記前半部に相当)と下流側(前記後半部に相当)に夫々分割され、該スクリューコンベアの回転によって各遊動リングが固定リングに対して相対運動を行うように、各遊動リングの内径をスクリューコンベアの外径よりも小さく接触状に設定し、上記上流側の第1コンベアを上記下流側の第2コンベアよりも高速で回転するよう構成されたスクリュー式濾過脱水装置(例えば、特許文献2参照。)も公知である。
【0004】
しかしながら、濾過筒の前半部と後半部が同一方式で揺動偏心駆動される可動プレートでは、濾過筒の前半部と後半部の可動プレートの揺動偏心量は略同一であることから、前記特許文献1または2記載の構成では、含水率が大きいく流動性を有する処理原水を受入処理する濾過筒前半部においては、脱水対象物を強力に圧搾し過ぎることなく、素早く大量の液分を濾過間隙から濾過筒外に流出するために、可動プレートの揺動偏心速度を濾過筒後半部より前半部で速して、濾過間隙を有効に再生して目詰まりを防止しなけばならにことから、各可動プレートは上部孔20a,下部孔20b内に係合される支持棒21および回転軸14a,14bによりカムキー16の狭小な偏心範囲で軌道運動されるので、濾過隙間は略同一の固定プレートと可動プレートの対向面位置同士の組合に制約されることが相俟って、濾過隙間の固定プレート面と可動プレート面を均一に摩耗させることができずに局部的摩耗を招来し易い特許文献1の構成と比べて、特許文献2の図4に示されるようスクリューコンベア31外周縁の各摺接位置に服従して遊動リング30が大きく偏心し回転変位され、各遊動リング30の内周縁が固定リング6の内周孔に出入りすることで、各固定リング6と各遊動リング30のプレート面に付着している汚泥を掻き落とすというクリーニングの再生機能により、濾水流出ようの微小ギャップgの目詰まりが有効に防止されることから、濾過筒前半部においては特許文献2の構成が極めて好適である。
【0005】
しかし、前記特許文献2では濾過筒前半部で大量の液分を濾過間隙から濾過筒外に流出され、含水率が小さく粘度および濃度が高くなった脱水対象物が搬送されてくる濾過筒後半部においては、遊動リング30の偏心変位が大きことから、スクリューコンベア31の旋回推進力により移送される脱水対象物が、固定リング6の内周孔に大きく出入し固定リング6内周縁より内方に突出した各遊動リング30の背端面に順次押圧されて、恰も雑巾を絞るように送り出しの出口開口35付近の規制部材40(吐出圧調整弁相当部品)の抗力による最終の本脱水作用に先駆けた事前の補助脱水作用に、スクリューコンベア31の旋回推進力を受ける上記規制部材40の抗力による本脱水作用とが相俟ることで、可動プレートの揺動偏心量が少なく殆ど上記補助脱水作用が作用ない特許文献1の構成と比べて、脱水対象物が強力に圧搾されて圧密状態の脱水物になってしまうことから、前述とは逆に偏心変位の大きな遊動リング30に大きな抗力が作用して揺動偏心駆動が抑止されてしまうため、次第に微小ギャップgの再生機能が低下するにつれて、微小ギャップg内への脱水物の侵入充填量が増加し、それに伴なってスクリューコンベア31の駆動負荷が増大するのに反比例して、スクリューコンベア31の旋回推力が低下して、出口開口35からの脱水物の排出量が減少すると共に、スクリューコンベア31外周縁と遊動リング30内周との両摺動部位が摩滅し、脱水機能が低下するという悪循環が繰返され、最悪の場合にはスクリューコンベア31や遊動リング30の破損、或はスクリューコンベア31の拘束停止等の故障が誘発されるので、特許文献2では筒状体の上流側(濾過筒前半部に相当)の第1コンベアよりも筒状体の下流側(濾過筒後半部に相当)の第2コンベアを低速で回転させることで、脱水対象物を緩と時間をかけて圧搾すると共に遊動リング30も緩と揺動偏心駆動されるので、上述のような故障の誘発を減少させようとしている。
【0006】
また、前記カムキーの狭小な偏心範囲でしか可動プレートを揺動偏心駆動できない特許文献1の構成では、前記特許文献2の構成と比べて濾過間隙の再生機能が可也劣つていることから、含水率が大きいく流動性を有する処理原水を受入処理する濾過筒前半部においては、素早く大量の液分を濾過間隙から濾過筒外に流出できずに、比較的含水率が大きく粘度および濃度が低い状態の脱水対象物が濾過筒後半部に搬送されてしまうため、濾過体後半部内に位置するスクリューのピッチ間に第2のスクリュー翼を付加することで、略2倍のスクリューの旋回推進力作用により、脱水対象物を強力に圧搾することで対処しているが、このよな複雑な多重スクリュー構造ではコスト高となると共に、旋回推力が倍増されていることから、吐出バルブ6の開閉により構成される排出口からの脱水物の排出量が少な過ぎれば、スクリューの旋回推力が倍増されている分だけ、脱水対象物が過剰圧搾されて圧密状態の脱水物に成り易く、最悪の場合には前述の特許文献2と同様にスクリューが拘束停止されるという故障が誘発されるので、特許文献1では濾過筒前半部と後半部とでは、可動プレートを異なった速度で前半部を後半部より高速で揺動偏心駆動することで、濾過筒前半部の濾過間隙の再生機能を少しでも向上させて、素早く液分を濾過間隙から濾過筒外に流出し、含水率が小さく粘度および濃度を高くした脱水対象物を濾過筒後半部へ搬送り、濾過筒後半部の可動プレートを前半部よりも低速で揺動偏心駆動することで、濾過隙間の濾水路抵抗を高くし、この高い濾水路抵抗を克服して搾水される水分のみを排水すると共に、濾過隙間内への脱水物の侵入量を少なく抑制し目詰まりを防止することで上述のような故障の誘発を減少させようとしている。
【0007】
ところが、本発明者が試行錯誤を繰り返して検討した結果、前述の濾過筒の前半部と後半部でが同一方式で揺動偏心駆動される可動プレートでは、濾過筒の前半部と後半部の可動プレートの揺動偏心量は略同一であることから、可動プレートの揺動偏心速度が濾過筒後半部より前半部で高速とした、前記特許文献1または2記載の構成では、如何に過筒後半部と前半部で速度を変えたとしても、速度だけでは前述の特許文献1と2の夫々の故障誘発の低減には限界があり、従来装置の特許文献1または2記載の構成では、夫々の故障誘発の低減を含めて安定した脱水効率の向上は図ることができないことを知得した。
【0008】
【特許文献1】特開2000−246495号公報 (第2−3頁、第1−3図)
【特許文献2】特開平9−220599号公報 (第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、前述の本発明者の知得に基づき従来装置の特許文献1または2記載の構成による、前記夫々の故障誘発の問題点を払拭し、故障が少なく脱水効率が良く、然もコンパクでコストの嵩まないメンテナンス性に優れた、スクリュー式濾過脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は以下のような構成にしたものである。
【0011】
請求項1に係る発明は、多数の固定プレートを所要の間隔を保持して積層状に配列させ、該固定プレートの各積層間にそれぞれ偏心回転することができる多数の可動プレートを交互重畳配列に遊嵌して上記固定と可動の各プレート間の細隙を濾水流出溝とする筒状の濾過体に形成し、該濾過体の始端開口部を汚泥の送り込み口として中心孔にスクリューコンベアを嵌装し、濾過体の終端開口部の環状弁座に対向する圧力調整弁を広狭自在にスクリュー軸に装着した終端開口部を脱水ケーキの送り出し口とするスクリュー式濾過脱水装置において、上記スクリューコンベアを駆動する第1の駆動機構として、上記濾過体前半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも小径として、該スクリューコンベア外径と接触するように設定し、可動プレート内周面が上記第1の駆動機構の駆動により旋回されるスクリューコンベアのブレード外周縁に摺接されることで濾過体前半部の可動プレートを偏心回転させ、上記濾過体後半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも大径として、該スクリューコンベア外径と接触しないように設定された、上記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設けるよう構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、前記濾過体の中心孔より外方に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、前記濾過体の中心孔より内方に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記環状弁座の外端面に複数のピンを円形に配列させた態様で植設して内歯車を構成させ、該内歯車と噛合する遊星歯車を圧力調整弁の内端面へ回転自在に軸着した該遊星歯車の内端面に、先端を濾過体の終端開口部内へ向けて前記偏心軸を凸設させていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記遊星歯車の歯数と内歯車の歯数の商が整数とならない歯数の組み合わせとすることを特徴とするものである。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、カム体により構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、螺旋体により構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、第1および第2の夫々個別に設けらた駆動機構により、濾過体前半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも小径として、該スクリューコンベア外径と接触するように設定された、可動プレート内周面を上記第1の駆動機構により速い速度で旋回するスクリューコンベアの外周縁に摺接さて濾過体前半部の可動プレートを大きく且つ速く偏心回転させながら揺動されるので、広範囲に亘る濾過隙間のクリーニングの再生機能により、濾過隙間が目詰まりすることなく含水率が大きいく流動性を有する処理原水を強力に圧搾し過ぎることなく、素早く大量の液分を濾過間隙から濾過筒外に流出し、含水率が小さく粘度および濃度を高くした脱水対象物を迅速に濾過筒後半部へ搬送される。
【0019】
次に、前記含水率が小さく粘度および濃度を高くした脱水対象物は、濾過体の終端開口部に設けられた圧力調整弁の抗力とスクリューコンベアの推力により、強力に圧搾される本脱水の濾過体後半部において、可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも大径として、該スクリューコンベア外径と接触しないように設定された、上記濾過体後半部の可動プレートを第2の駆動機構により小さく且つ低速で偏心回転させながら揺動され、狭小範囲の濾過隙間の濾過隙間の再生機能では濾水路抵抗を高く、この高い濾水路抵抗を克服して搾水される水分のみを排水されるので、濾過隙間内への脱水物の侵入量を少なく抑制し目詰まりを防止することで、脱水物が濾過隙間から漏出せず適正状態の脱水物を効率良く排出回収することができると共に、濾過隙間内への脱水物の侵入が抑制されているので、小動力で第2の駆動機構が駆動できるだけでなく、固定および可動プレートの対向端面や可動プレートを偏心回転する第2の駆動機構の摺動部分等の摩耗も極めて少ないことから、故障のが少なく脱水効率の良いランニングコストも嵩まないという効果を有している。
【0020】
そして、前記請求項1の効果に加えて請求項2の発明は、前記第2の駆動機構が濾過体の中心孔より外方に設けられていることから、可動プレートを偏心軸により偏心回転させる摺動部分に脱水対象物が接触することがないので、極めて円滑に可動プレートが摺動されて安定的に偏心回転されるという効果を有している。
【0021】
前記請求項1の効果に加えて請求項3の発明は、前記第2の駆動機構が濾過体の中心孔より内方に設けられていることから、第2の駆動機構の駆動部を装置の内方に構成することができるので、外周方向にコンパクトなスクリュー式濾過脱水装置の構成とすることができるという利点を有している。
【0022】
前記請求項3の効果に加えて請求項4の発明は、前記環状弁座の外端面に複数のピンを円形に配列させた態様で植設して内歯車を構成させ、該内歯車と噛合する遊星歯車を圧力調整弁の内端面へ回転自在に軸着した該遊星歯車の内端面に、先端を濾過体の終端開口部内へ向けて前記偏心軸を凸設させていることから、上記環状弁座と前記圧力調整弁との対向面間の終端開口隙間から排出される、圧密固化状態に圧搾された排出し難い脱水物を解しながら掻き出すと共に脱水物に含まれる繊維状異物を裁断するので、終端開口隙間の閉塞を防止しながら脱水物を円滑に排出回収できるという効果を有している。更に、上記遊星歯車の内端面には、先端を濾過体の終端開口部内へ向けて上記偏心軸を凸設さていることから、脱水対象物がスクリューコンベアの推力と前上記圧力調整弁の抗力により、強力に圧搾される本脱水の濾過体後半部の圧密固化状態の搬送し難い脱水物を上記偏心軸が自転しながらスクリューコンベアの旋回に同調して公転することから、濾過体後半部内が360度の全周に亘って上記濾過体後半部内の圧密固化状態の搬送し難い脱水物が、上記偏心軸の自転と公転による旋回攪拌作用により解されるので、上記終端開口部へ円滑に搬送されるという効果が加わることで、より一層円滑に脱水物が排出回収できるという効果を有している。
【0023】
加えて、可動プレートの内周縁が前記偏心軸の外周縁に摺動されて偏心回転されるので、特許文献1発明のように可動プレートの偏心駆動位置が常に同一方向から固定され、狭い範囲で軌道運動される濾過細隙は略同一の濾過プレートと可動プレート対向面位置同士の組合位置に制約された従来品と比べれば、前記偏心軸が自転しながらスクリューコンベアの旋回に同調して公転するため、濾過体後半部の各可動プレート内縁が全周の360度の放射方向に偏心駆動荷重が加えられることにより、360度の全周に亘って均一な力で可動プレートが順次偏心回転されて濾過隙間の固定プレートと可動プレートの対向面位置の組合が順次変位されるので、濾過隙間の両プレート面が均一に摩耗されることから局部的摩耗を招来することがなく、長期的に濾過隙間の再生機能が円滑且つ安定して行われるという効果も有している。
【0024】
前記請求項4の効果に加えて請求項5の発明は、前記遊星歯車の歯数と内歯車の歯数の商が整数とならない歯数の組み合わせとすることから、例えば商が整数となるよう外歯の遊星歯車数を6枚として内歯車数を12枚とす組合せでは、1回転の公転に対して遊星歯車が2回転自転することから、必ず同一の外歯と内歯の歯同士の組合せで噛合されるので、1回の公転毎に噛合具合の悪い歯同士が噛合されて次第に異常摩耗し、やがて内歯車と外歯車の全体が短時間で摩耗損傷を招来することになるのに対して、歯数が商が整数とならない場合は外歯と内歯の歯同士の組合が順次ずれながら噛合されるので、例えば外歯数を5枚として内歯車数を12枚とした場合では、内歯数に比例して12回の公転毎に噛合具合の悪い歯同士が噛合されることになるので、歯数の商を整数としない場合では、噛合具合の悪い歯同士の噛合が上記商を整数とした1回転の公転毎に対して12回の公転毎となるため、歯車寿命が単純計算でも12倍に延命されることになるが、1箇所の歯に摩耗が集中され難いことから実質的には12倍以上の歯車の延命効果を有している。
【0025】
また、歯数の商が整数とならない前記偏心軸においては、外歯と内歯の歯同士の組合が順次ずれながら噛合されることから、公転に対して偏心軸の自転姿勢状態も順次ずれながら公転されるので、前述の例えば外歯数を5枚として内歯車数を12枚とした場合では、内歯数に比例して12回の公転毎に初期の自転姿勢状態に戻ることになるので、濾過体内の全周に亘って均等に可動プレート内縁が出入りすることから、可動プレートの偏心回転による濾過隙間の再生機能も濾過体内の全周に亘って均等に行われると共に、内歯数に比例した公転回数毎にしか同一箇所の組合せで可動プレート周縁と偏心軸外縁が摺接しないので、可動プレート周縁と偏心軸外縁が局部的に摩耗することなく、可動プレート周縁と偏心軸外縁を均一に摩耗されるので、可動プレートの偏心回転駆動を長期的に安定して維持できることから、前述の長期的に濾過隙間の再生機能が円滑且つ安定して行われる作用効果をより一層向上させるという効果を有している。
【0026】
前記請求項1ないし5のいずれかの効果に加えて請求項6の発明は、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、カム体により構成されていることから、シンプルな構造で製作し易く、且つ可動プレートとの偏心組立調整も容易であり、コストも嵩むことなく生産性およびメンテナンス性に優れた利点を有している。
【0027】
前記請求項1ないし5のいずれかの効果に加えて請求項7の発明は、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、螺旋体により構成されていることから、各可動プレートの摺接縁が螺旋体の螺旋外周縁の各旋回摺接位置に服従して順次摺接されることで、各可動プレ−トは前の可動プレート偏心方向に順次服従しながら偏心回転されることから、上昇偏心する可動プレートもあれば降下偏心する可動プレートもあることから、全ての可動プレートを一度に同一偏心方向に偏心回転することがないので、第2の駆動機構を小さな駆動力で各可動プレートを偏心回転することができるという効果を有している。
【0028】
そして、特に前記請求項3の第2の駆動機構が濾過体の中心孔より内方に設ける構成においては、図6の描画の如く螺旋体の自転による推進方向が、濾過体の終端開口部方向へのスクリューコンベアの推進方向に対向していることから、螺旋体を挿通するスクリューコンベアの切欠から脱水対象物が前方の排出方向に漏洩しようとするが、上記螺旋体による対向推進作用により、上記切欠からの脱水対象物の漏洩を阻止しながら、図3の描画の如く螺旋体の自転により各可動プレートの内周縁が螺旋体の螺旋外周縁の各旋回摺接位置に順次服従し偏心回転しなが上記螺旋体が濾過体内を公転するので、濾過体内の全周に亘って固定プレート内周縁とスクリューコンベアの外周縁間の環状隙間内に可動プレート内周縁が出入りするため、脱水対象物が上記環状隙間から前方の排出方向に漏洩することが抑制される作用と相俟って、脱水対象物が十分に圧搾脱水することができるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
多数の固定プレートを所要の間隔を保持して積層状に配列させ、該固定プレートの各積層間にそれぞれ偏心回転することができる多数の可動プレートを交互重畳配列に遊嵌して上記固定と可動の各プレート間の細隙を濾水流出溝とする筒状の濾過体に形成し、該濾過体の始端開口部を汚泥の送り込み口として中心孔にスクリューコンベアを嵌装し、濾過体の終端開口部の環状弁座に対向する圧力調整弁を広狭自在にスクリュー軸に装着した終端開口部を脱水ケーキの送り出し口とするスクリュー式濾過脱水装置において、上記スクリューコンベアを駆動する第1の駆動機構として、上記濾過体前半部の可動プレート内径がスクリューコンベアの外径よりも小径として、該スクリューコンベア外径と接触するように設定し、可動プレート内周面が上記第1の駆動機構の駆動により旋回されるスクリューコンベアのブレード外周縁に摺接されることで濾過体前半部の可動プレートを偏心回転させ、上記濾過体後半部の可動プレート内径がスクリューコンベアの外径よりも大径として、該スクリューコンベア外径と接触しないように設定された、上記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設けるよう構成する。
【実施例1】
【0030】
図1ないし図8において、1は筒状の濾過体であり、要部を大きく開設した該濾過体1のフレーム1Fにより多数の固定プレート1KO・・1KO間に可動プレート1KAの厚みよりも巾広のスペーサ1Sを複数介装して所要の間隔を保持して積層状に配列させ、該固定プレート1KOの各積層間にそれぞれ偏心回転することができる多数の上記可動プレート1KA・・1KAを交互重畳配列に遊嵌し、上記固定プレート1KOと可動プレート1KA間の細隙を濾水流出溝2・・2とする筒状の濾過体1に形成し、該濾過体1の始端開口部を汚泥の送り込み口3として中心孔4にスクリューコンベア5を嵌装し、濾過体1の終端開口部の環状弁座6に対向する圧力調整弁8のボス部に設けたセットボルト14や或は図示していないが圧力調整弁8背端面を押圧する圧力調整バネ等により、圧力調整弁8を広狭自在にスクリュー軸5Sに装着した終端開口部を脱水ケーキの送り出し口12とするスクリュー式濾過脱水装置において、原動機15により上記スクリューコンベア5を駆動する第1の駆動機構として、上記濾過体前半部FFの可動プレート1KA内径をスクリューコンベア5の外径よりも小径として、該スクリューコンベア5外径と接触するように設定し、可動プレート1KA内周面が上記第1の駆動機構の駆動により旋回されるスクリューコンベア5のブレード5B外周縁に摺接されることで濾過体前半部FFの可動プレートを偏心軸11により偏心回転させ、上記濾過体後半部RFの可動プレート1KA内径がスクリューコンベア5の外径よりも大径として、該スクリューコンベア5外径と接触しないように、可動プレート1KA内径を濾過体前半部FFより後半部RFで大径とするか、或はスクリューコンベア5外径を濾過体前半部FFより後半部RFで小径として非接触状態に設定された、上記濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設ける。
【実施例2】
【0031】
実施例1の構成を前提として、図12ないし図14に示されるように、濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構が、濾過体1の中心孔4より外方で濾過体1外周より上方に張設された可動プレート1KAの座部に、上記偏心軸11の偏心回転が許容できる大きさの偏心駆動孔1KAHを穿設し、該偏心駆動孔1KAH内に挿入された偏心軸11により可動プレート1KAが垂設されていることか、垂下された濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAは偏心軸11の偏心回転を受けて振り子のよに左右に大きくスイングしながら上下方向に揺動偏心駆動するよう構成されている。なお、図12に示されるようスクリュー軸5Sに嵌着された伝達歯車5Gと噛合する従動歯車11Gにより上記第2の駆動機構を駆動してもよい。
【0032】
また、図15および図16に示されるように偏心駆動孔1KAHを穿設せずに、環状の可動プレート1KAの外周縁を直接偏心軸11外縁で少なくとも3箇所以上支承し、その内少なくとも1箇所を偏心駆動用として残りは偏心従動用として、偏心軸11の偏心回転により濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAを円滑に偏心回転駆動するように第2の駆動機構を構成することもできる。
【実施例3】
【0033】
実施例1の構成を前提として、図1および図9に示されるように、濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構が、濾過体1の中心孔4より内方に凸設させた偏心軸11の外縁と可動プレート1KAの内周縁が摺接し、上記偏心軸11の偏心回転により濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAを揺動し偏心回転駆動するよう構成している。
【実施例4】
【0034】
実施例3の構成を前提として、図1ないし図11に示されるように、環状弁座8の外端面に複数のピンを円形に配列させた態様で植設して内歯車7を構成させ、該内歯車と噛合する遊星歯車9をスクリュー軸5Sに嵌着されて同調回転する圧力調整弁8に付設された軸受10により、該圧力調整弁8の内端面へ回転自在に軸着した該遊星歯車9の内端面に、先端を濾過体1の終端開口部内へ向けて凸設させた前記偏心軸11が、スクリュー軸5Sの回転により圧力調整弁8が回転するすることで、上記内歯車と噛合する遊星歯車9は上記環状弁座と圧力調整弁との対向面間で自転しながら公転されることから、該遊星歯車9の内端面に凸設される偏心軸11は濾過体後半部RF内を自転しながら公転されので、圧密固化状態に圧搾された排出し難い脱水物は、図5に示された遊星歯車9の裁断・掻き出し領域16のように上記遊星歯車9により上記環状弁座と圧力調整弁との対向面間から脱水物に含まれる繊維状異物を裁断しながら解されて掻き出されると共に、図5に示された偏心軸11の攪拌領域17のように上記偏心軸11により濾過体後半部RF内の脱水物を解しながら可動プレート1KA・・1KAを揺動し偏心回転駆動する。
【実施例5】
【0035】
実施例4の構成を前提として、図2に示されるように前記遊星歯車9の歯数を5枚とて内歯車7の歯数を12枚の商が整数とならない歯数の組み合わせとするよう構成している。
【実施例6】
【0036】
実施例1ないし5のいずれかの構成を前提として、図9ないし図14に示されるように、濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構の偏心軸11をカム体11Kに形成して、図12ないし図14に示すように該カム体11Kの外縁を濾過体1の中心孔4より外方で濾過体1外周より上方に張設された可動プレート1KAの座部に、上記カム体11Kの偏心回転が許容できる大きさの偏心駆動孔1KAHを穿設し、該偏心駆動孔1KAH内に挿入されたカム体11Kにより可動プレート1KAが垂設されていることか、垂下された濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAはカム体11Kの偏心回転を受けて振り子のよに左右に大きくスイングしながら上下方向に揺動し偏心駆動するよう構成したり、或は図9ないし図11に示すように濾過体1の中心孔4内に凸設させた上記カム体11Kがスクリューコンベア5の切欠5Hに挿通されて濾過体後半部RF内を公転しながら自転することで、カム体11K外縁が可動プレート1KAの内周縁に摺接し、濾過体後半部RF内の360度の全周に亘って各可動プレート1KA・・1KAを揺動し偏心回転駆動するよう構成している。
【実施例7】
【0037】
実施例1ないし5のいずれかの構成を前提として、図1ないし図6と図17ないし図19に示されるように、濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構の偏心軸11を螺旋体11Rに形成して、図17ないし図19に示すように該螺旋体11Rの外縁を濾過体1の中心孔4より外方で濾過体1外周より上方に張設された可動プレート1KAの座部に、上記螺旋体11Rの回転が許容できる大きさの偏心駆動孔1KAH内を穿設し、該偏心駆動孔1KAH内に挿入された螺旋体11Rにより可動プレート1KAが垂設されていることか、垂下された濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAは螺旋体11Rの回転により順次揺動し偏心駆動するよう構成したり、或は図1ないし図6に示すように濾過体1の中心孔4内に凸設させた上記螺旋体11Rがスクリューコンベア5の切欠5Hに挿通されて濾過体後半部RF内を公転しながら自転することで、螺旋体11R外周縁が可動プレート1KAの内周縁に摺接し、濾過体後半部RF内の360度の全周に亘って各可動プレート1KA・・1KAを順次揺動し偏心回転駆動するよう構成している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1,実施例3,実施例4,実施例7のスクリュー式濾過脱水装置の構成を略示した縦断側面図である。
【図2】図1のA−A線における要部縦断正面図である。
【図3】図2のB−B線における要部縦断側面図である。
【図4】図3のC−C線における要部縦断正面図である。
【図5】本発明の実施例1,実施例3,実施例4,実施例7の濾過体後半部内の脱水物が遊星歯車および偏心軸(螺旋体)で解される範囲を示した説明図である。
【図6】本発明の実施例1,実施例3,実施例4,実施例7の濾過体後半部内の偏心軸を螺旋体として、該螺旋体の推進作用を例示した説明図である。
【図7】本発明の濾過体前半部のスクリューコンベアの外周縁で可動プレートの内周縁を摺動し、可動プレートが偏心駆動状態を例示した要部縦断側面である。
【図8】図7のD−D線における要部縦断正面図である。
【図9】本発明の実施例1,実施例3,実施例4,実施例6のスクリュー式濾過脱水装置の構成を略示した縦断側面図である。
【図10】図9の排出部を示した要部縦断拡大図である。
【図11】図10のE−E線における要部縦断正面図である。
【図12】本発明の実施例1,実施例2,実施例6のスクリュー式濾過脱水装置の構成を略示した縦断側面図である。
【図13】図12の排出部を示した要部縦断拡大図である。
【図14】図13のF−F線における要部縦断正面図である。
【図15】本発明の実施例1,実施例2,実施例6のスクリュー式濾過脱水装置において、偏心駆動孔を必要としない可動プレート外周を直接偏心軸(カム体)で駆動する構成を略示した縦断側面図である。
【図16】図15のG−G線における要部縦断正面図である。
【図17】本発明の実施例1,実施例2,実施例7のスクリュー式濾過脱水装置の構成を略示した縦断側面図である。
【図18】図17の排出部を示した要部縦断拡大図である。
【図19】図17のH−H線における要部縦断正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 濾過体
1KA 可動プレート
1KO 固定プレート
2 濾水流出溝
3 汚泥の送り込み口
4 中心孔
5 スクリューコンベア
5S スクリュー軸
6 環状弁座
7 内歯車
8 圧力調整弁
9 遊星歯車
11 偏心軸
11K カム体
11R 螺旋体
12 脱水ケーキの送り出し口
FF 濾過体前半部
RF 濾過体後半部
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば、オキシデーションディッチ法等に代表される比較的小規模の下水処理作業において発生する懸濁微粒子を含む懸濁液を、濃縮工程を経由しない低濃度の状態により、濾水と懸濁微粒子とに分離するためのスクリュー式濾過脱水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスクリュー式濾過脱水装置では、多数の環状固定プレートと、多数の環状可動プレートとの、各微小の濾過間隙を置いた交互重畳配列からなる濾過筒を構成し、上記濾過筒の全長を貫通するスクリューを配置し、該スクリュー外周が上記環状固定と可動プレート内周と接触しないようスクリュー外径を上記環状固定と可動プレート内径より小さく非接触状に設定して、上記濾過筒後半部内に位置する上記スクリューのピッチ間に第2のスクリュー翼を付加したものにおいて、該スクリューを回転駆動する第1の駆動機構と、上記可動プレートが濾過筒の前半部と後半部とでは異なった速度で前半部を後半部より速く揺動させ、各可動プレートの上部に穿設された上部孔20aには支点棒21を遊嵌し、濾過筒の前半部と後半部を夫々個別の回転軸14a,14bに突設されたカムキー16が、各可動プレートの下部に穿設された下部孔20b内に嵌装され、該回転軸14a,14bに突設された夫々のカムキー16の偏心回転により各可動プレートを揺動駆動し、濾過筒前半部の可動プレートを揺動する第2の駆動機構と濾過筒後半部の可動プレートを揺動する第3の駆動機構を夫々個別に設けるよう構成されたスクリュー式濾過脱水装置(例えば、特許文献1参照。)は公知である。
【0003】
また、別の公知例として、前記同様に複数の固定リング(前記環状固定プレートに相当)と、複数の遊動リング(前記環状可動プレートに相当)との、各微小の濾過間隙を置いた交互重畳配列からなる筒状体(前記濾過筒に相当)を構成し、筒状体に内装されるスクリューコンベアが該筒状体の上流側(前記前半部に相当)と下流側(前記後半部に相当)に夫々分割され、該スクリューコンベアの回転によって各遊動リングが固定リングに対して相対運動を行うように、各遊動リングの内径をスクリューコンベアの外径よりも小さく接触状に設定し、上記上流側の第1コンベアを上記下流側の第2コンベアよりも高速で回転するよう構成されたスクリュー式濾過脱水装置(例えば、特許文献2参照。)も公知である。
【0004】
しかしながら、濾過筒の前半部と後半部が同一方式で揺動偏心駆動される可動プレートでは、濾過筒の前半部と後半部の可動プレートの揺動偏心量は略同一であることから、前記特許文献1または2記載の構成では、含水率が大きいく流動性を有する処理原水を受入処理する濾過筒前半部においては、脱水対象物を強力に圧搾し過ぎることなく、素早く大量の液分を濾過間隙から濾過筒外に流出するために、可動プレートの揺動偏心速度を濾過筒後半部より前半部で速して、濾過間隙を有効に再生して目詰まりを防止しなけばならにことから、各可動プレートは上部孔20a,下部孔20b内に係合される支持棒21および回転軸14a,14bによりカムキー16の狭小な偏心範囲で軌道運動されるので、濾過隙間は略同一の固定プレートと可動プレートの対向面位置同士の組合に制約されることが相俟って、濾過隙間の固定プレート面と可動プレート面を均一に摩耗させることができずに局部的摩耗を招来し易い特許文献1の構成と比べて、特許文献2の図4に示されるようスクリューコンベア31外周縁の各摺接位置に服従して遊動リング30が大きく偏心し回転変位され、各遊動リング30の内周縁が固定リング6の内周孔に出入りすることで、各固定リング6と各遊動リング30のプレート面に付着している汚泥を掻き落とすというクリーニングの再生機能により、濾水流出ようの微小ギャップgの目詰まりが有効に防止されることから、濾過筒前半部においては特許文献2の構成が極めて好適である。
【0005】
しかし、前記特許文献2では濾過筒前半部で大量の液分を濾過間隙から濾過筒外に流出され、含水率が小さく粘度および濃度が高くなった脱水対象物が搬送されてくる濾過筒後半部においては、遊動リング30の偏心変位が大きことから、スクリューコンベア31の旋回推進力により移送される脱水対象物が、固定リング6の内周孔に大きく出入し固定リング6内周縁より内方に突出した各遊動リング30の背端面に順次押圧されて、恰も雑巾を絞るように送り出しの出口開口35付近の規制部材40(吐出圧調整弁相当部品)の抗力による最終の本脱水作用に先駆けた事前の補助脱水作用に、スクリューコンベア31の旋回推進力を受ける上記規制部材40の抗力による本脱水作用とが相俟ることで、可動プレートの揺動偏心量が少なく殆ど上記補助脱水作用が作用ない特許文献1の構成と比べて、脱水対象物が強力に圧搾されて圧密状態の脱水物になってしまうことから、前述とは逆に偏心変位の大きな遊動リング30に大きな抗力が作用して揺動偏心駆動が抑止されてしまうため、次第に微小ギャップgの再生機能が低下するにつれて、微小ギャップg内への脱水物の侵入充填量が増加し、それに伴なってスクリューコンベア31の駆動負荷が増大するのに反比例して、スクリューコンベア31の旋回推力が低下して、出口開口35からの脱水物の排出量が減少すると共に、スクリューコンベア31外周縁と遊動リング30内周との両摺動部位が摩滅し、脱水機能が低下するという悪循環が繰返され、最悪の場合にはスクリューコンベア31や遊動リング30の破損、或はスクリューコンベア31の拘束停止等の故障が誘発されるので、特許文献2では筒状体の上流側(濾過筒前半部に相当)の第1コンベアよりも筒状体の下流側(濾過筒後半部に相当)の第2コンベアを低速で回転させることで、脱水対象物を緩と時間をかけて圧搾すると共に遊動リング30も緩と揺動偏心駆動されるので、上述のような故障の誘発を減少させようとしている。
【0006】
また、前記カムキーの狭小な偏心範囲でしか可動プレートを揺動偏心駆動できない特許文献1の構成では、前記特許文献2の構成と比べて濾過間隙の再生機能が可也劣つていることから、含水率が大きいく流動性を有する処理原水を受入処理する濾過筒前半部においては、素早く大量の液分を濾過間隙から濾過筒外に流出できずに、比較的含水率が大きく粘度および濃度が低い状態の脱水対象物が濾過筒後半部に搬送されてしまうため、濾過体後半部内に位置するスクリューのピッチ間に第2のスクリュー翼を付加することで、略2倍のスクリューの旋回推進力作用により、脱水対象物を強力に圧搾することで対処しているが、このよな複雑な多重スクリュー構造ではコスト高となると共に、旋回推力が倍増されていることから、吐出バルブ6の開閉により構成される排出口からの脱水物の排出量が少な過ぎれば、スクリューの旋回推力が倍増されている分だけ、脱水対象物が過剰圧搾されて圧密状態の脱水物に成り易く、最悪の場合には前述の特許文献2と同様にスクリューが拘束停止されるという故障が誘発されるので、特許文献1では濾過筒前半部と後半部とでは、可動プレートを異なった速度で前半部を後半部より高速で揺動偏心駆動することで、濾過筒前半部の濾過間隙の再生機能を少しでも向上させて、素早く液分を濾過間隙から濾過筒外に流出し、含水率が小さく粘度および濃度を高くした脱水対象物を濾過筒後半部へ搬送り、濾過筒後半部の可動プレートを前半部よりも低速で揺動偏心駆動することで、濾過隙間の濾水路抵抗を高くし、この高い濾水路抵抗を克服して搾水される水分のみを排水すると共に、濾過隙間内への脱水物の侵入量を少なく抑制し目詰まりを防止することで上述のような故障の誘発を減少させようとしている。
【0007】
ところが、本発明者が試行錯誤を繰り返して検討した結果、前述の濾過筒の前半部と後半部でが同一方式で揺動偏心駆動される可動プレートでは、濾過筒の前半部と後半部の可動プレートの揺動偏心量は略同一であることから、可動プレートの揺動偏心速度が濾過筒後半部より前半部で高速とした、前記特許文献1または2記載の構成では、如何に過筒後半部と前半部で速度を変えたとしても、速度だけでは前述の特許文献1と2の夫々の故障誘発の低減には限界があり、従来装置の特許文献1または2記載の構成では、夫々の故障誘発の低減を含めて安定した脱水効率の向上は図ることができないことを知得した。
【0008】
【特許文献1】特開2000−246495号公報 (第2−3頁、第1−3図)
【特許文献2】特開平9−220599号公報 (第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、前述の本発明者の知得に基づき従来装置の特許文献1または2記載の構成による、前記夫々の故障誘発の問題点を払拭し、故障が少なく脱水効率が良く、然もコンパクでコストの嵩まないメンテナンス性に優れた、スクリュー式濾過脱水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は以下のような構成にしたものである。
【0011】
請求項1に係る発明は、多数の固定プレートを所要の間隔を保持して積層状に配列させ、該固定プレートの各積層間にそれぞれ偏心回転することができる多数の可動プレートを交互重畳配列に遊嵌して上記固定と可動の各プレート間の細隙を濾水流出溝とする筒状の濾過体に形成し、該濾過体の始端開口部を汚泥の送り込み口として中心孔にスクリューコンベアを嵌装し、濾過体の終端開口部の環状弁座に対向する圧力調整弁を広狭自在にスクリュー軸に装着した終端開口部を脱水ケーキの送り出し口とするスクリュー式濾過脱水装置において、上記スクリューコンベアを駆動する第1の駆動機構として、上記濾過体前半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも小径として、該スクリューコンベア外径と接触するように設定し、可動プレート内周面が上記第1の駆動機構の駆動により旋回されるスクリューコンベアのブレード外周縁に摺接されることで濾過体前半部の可動プレートを偏心回転させ、上記濾過体後半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも大径として、該スクリューコンベア外径と接触しないように設定された、上記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設けるよう構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、前記濾過体の中心孔より外方に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、前記濾過体の中心孔より内方に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記環状弁座の外端面に複数のピンを円形に配列させた態様で植設して内歯車を構成させ、該内歯車と噛合する遊星歯車を圧力調整弁の内端面へ回転自在に軸着した該遊星歯車の内端面に、先端を濾過体の終端開口部内へ向けて前記偏心軸を凸設させていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記遊星歯車の歯数と内歯車の歯数の商が整数とならない歯数の組み合わせとすることを特徴とするものである。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、カム体により構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリュー式濾過脱水装置において、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、螺旋体により構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、第1および第2の夫々個別に設けらた駆動機構により、濾過体前半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも小径として、該スクリューコンベア外径と接触するように設定された、可動プレート内周面を上記第1の駆動機構により速い速度で旋回するスクリューコンベアの外周縁に摺接さて濾過体前半部の可動プレートを大きく且つ速く偏心回転させながら揺動されるので、広範囲に亘る濾過隙間のクリーニングの再生機能により、濾過隙間が目詰まりすることなく含水率が大きいく流動性を有する処理原水を強力に圧搾し過ぎることなく、素早く大量の液分を濾過間隙から濾過筒外に流出し、含水率が小さく粘度および濃度を高くした脱水対象物を迅速に濾過筒後半部へ搬送される。
【0019】
次に、前記含水率が小さく粘度および濃度を高くした脱水対象物は、濾過体の終端開口部に設けられた圧力調整弁の抗力とスクリューコンベアの推力により、強力に圧搾される本脱水の濾過体後半部において、可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも大径として、該スクリューコンベア外径と接触しないように設定された、上記濾過体後半部の可動プレートを第2の駆動機構により小さく且つ低速で偏心回転させながら揺動され、狭小範囲の濾過隙間の濾過隙間の再生機能では濾水路抵抗を高く、この高い濾水路抵抗を克服して搾水される水分のみを排水されるので、濾過隙間内への脱水物の侵入量を少なく抑制し目詰まりを防止することで、脱水物が濾過隙間から漏出せず適正状態の脱水物を効率良く排出回収することができると共に、濾過隙間内への脱水物の侵入が抑制されているので、小動力で第2の駆動機構が駆動できるだけでなく、固定および可動プレートの対向端面や可動プレートを偏心回転する第2の駆動機構の摺動部分等の摩耗も極めて少ないことから、故障のが少なく脱水効率の良いランニングコストも嵩まないという効果を有している。
【0020】
そして、前記請求項1の効果に加えて請求項2の発明は、前記第2の駆動機構が濾過体の中心孔より外方に設けられていることから、可動プレートを偏心軸により偏心回転させる摺動部分に脱水対象物が接触することがないので、極めて円滑に可動プレートが摺動されて安定的に偏心回転されるという効果を有している。
【0021】
前記請求項1の効果に加えて請求項3の発明は、前記第2の駆動機構が濾過体の中心孔より内方に設けられていることから、第2の駆動機構の駆動部を装置の内方に構成することができるので、外周方向にコンパクトなスクリュー式濾過脱水装置の構成とすることができるという利点を有している。
【0022】
前記請求項3の効果に加えて請求項4の発明は、前記環状弁座の外端面に複数のピンを円形に配列させた態様で植設して内歯車を構成させ、該内歯車と噛合する遊星歯車を圧力調整弁の内端面へ回転自在に軸着した該遊星歯車の内端面に、先端を濾過体の終端開口部内へ向けて前記偏心軸を凸設させていることから、上記環状弁座と前記圧力調整弁との対向面間の終端開口隙間から排出される、圧密固化状態に圧搾された排出し難い脱水物を解しながら掻き出すと共に脱水物に含まれる繊維状異物を裁断するので、終端開口隙間の閉塞を防止しながら脱水物を円滑に排出回収できるという効果を有している。更に、上記遊星歯車の内端面には、先端を濾過体の終端開口部内へ向けて上記偏心軸を凸設さていることから、脱水対象物がスクリューコンベアの推力と前上記圧力調整弁の抗力により、強力に圧搾される本脱水の濾過体後半部の圧密固化状態の搬送し難い脱水物を上記偏心軸が自転しながらスクリューコンベアの旋回に同調して公転することから、濾過体後半部内が360度の全周に亘って上記濾過体後半部内の圧密固化状態の搬送し難い脱水物が、上記偏心軸の自転と公転による旋回攪拌作用により解されるので、上記終端開口部へ円滑に搬送されるという効果が加わることで、より一層円滑に脱水物が排出回収できるという効果を有している。
【0023】
加えて、可動プレートの内周縁が前記偏心軸の外周縁に摺動されて偏心回転されるので、特許文献1発明のように可動プレートの偏心駆動位置が常に同一方向から固定され、狭い範囲で軌道運動される濾過細隙は略同一の濾過プレートと可動プレート対向面位置同士の組合位置に制約された従来品と比べれば、前記偏心軸が自転しながらスクリューコンベアの旋回に同調して公転するため、濾過体後半部の各可動プレート内縁が全周の360度の放射方向に偏心駆動荷重が加えられることにより、360度の全周に亘って均一な力で可動プレートが順次偏心回転されて濾過隙間の固定プレートと可動プレートの対向面位置の組合が順次変位されるので、濾過隙間の両プレート面が均一に摩耗されることから局部的摩耗を招来することがなく、長期的に濾過隙間の再生機能が円滑且つ安定して行われるという効果も有している。
【0024】
前記請求項4の効果に加えて請求項5の発明は、前記遊星歯車の歯数と内歯車の歯数の商が整数とならない歯数の組み合わせとすることから、例えば商が整数となるよう外歯の遊星歯車数を6枚として内歯車数を12枚とす組合せでは、1回転の公転に対して遊星歯車が2回転自転することから、必ず同一の外歯と内歯の歯同士の組合せで噛合されるので、1回の公転毎に噛合具合の悪い歯同士が噛合されて次第に異常摩耗し、やがて内歯車と外歯車の全体が短時間で摩耗損傷を招来することになるのに対して、歯数が商が整数とならない場合は外歯と内歯の歯同士の組合が順次ずれながら噛合されるので、例えば外歯数を5枚として内歯車数を12枚とした場合では、内歯数に比例して12回の公転毎に噛合具合の悪い歯同士が噛合されることになるので、歯数の商を整数としない場合では、噛合具合の悪い歯同士の噛合が上記商を整数とした1回転の公転毎に対して12回の公転毎となるため、歯車寿命が単純計算でも12倍に延命されることになるが、1箇所の歯に摩耗が集中され難いことから実質的には12倍以上の歯車の延命効果を有している。
【0025】
また、歯数の商が整数とならない前記偏心軸においては、外歯と内歯の歯同士の組合が順次ずれながら噛合されることから、公転に対して偏心軸の自転姿勢状態も順次ずれながら公転されるので、前述の例えば外歯数を5枚として内歯車数を12枚とした場合では、内歯数に比例して12回の公転毎に初期の自転姿勢状態に戻ることになるので、濾過体内の全周に亘って均等に可動プレート内縁が出入りすることから、可動プレートの偏心回転による濾過隙間の再生機能も濾過体内の全周に亘って均等に行われると共に、内歯数に比例した公転回数毎にしか同一箇所の組合せで可動プレート周縁と偏心軸外縁が摺接しないので、可動プレート周縁と偏心軸外縁が局部的に摩耗することなく、可動プレート周縁と偏心軸外縁を均一に摩耗されるので、可動プレートの偏心回転駆動を長期的に安定して維持できることから、前述の長期的に濾過隙間の再生機能が円滑且つ安定して行われる作用効果をより一層向上させるという効果を有している。
【0026】
前記請求項1ないし5のいずれかの効果に加えて請求項6の発明は、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、カム体により構成されていることから、シンプルな構造で製作し易く、且つ可動プレートとの偏心組立調整も容易であり、コストも嵩むことなく生産性およびメンテナンス性に優れた利点を有している。
【0027】
前記請求項1ないし5のいずれかの効果に加えて請求項7の発明は、前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、螺旋体により構成されていることから、各可動プレートの摺接縁が螺旋体の螺旋外周縁の各旋回摺接位置に服従して順次摺接されることで、各可動プレ−トは前の可動プレート偏心方向に順次服従しながら偏心回転されることから、上昇偏心する可動プレートもあれば降下偏心する可動プレートもあることから、全ての可動プレートを一度に同一偏心方向に偏心回転することがないので、第2の駆動機構を小さな駆動力で各可動プレートを偏心回転することができるという効果を有している。
【0028】
そして、特に前記請求項3の第2の駆動機構が濾過体の中心孔より内方に設ける構成においては、図6の描画の如く螺旋体の自転による推進方向が、濾過体の終端開口部方向へのスクリューコンベアの推進方向に対向していることから、螺旋体を挿通するスクリューコンベアの切欠から脱水対象物が前方の排出方向に漏洩しようとするが、上記螺旋体による対向推進作用により、上記切欠からの脱水対象物の漏洩を阻止しながら、図3の描画の如く螺旋体の自転により各可動プレートの内周縁が螺旋体の螺旋外周縁の各旋回摺接位置に順次服従し偏心回転しなが上記螺旋体が濾過体内を公転するので、濾過体内の全周に亘って固定プレート内周縁とスクリューコンベアの外周縁間の環状隙間内に可動プレート内周縁が出入りするため、脱水対象物が上記環状隙間から前方の排出方向に漏洩することが抑制される作用と相俟って、脱水対象物が十分に圧搾脱水することができるという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
多数の固定プレートを所要の間隔を保持して積層状に配列させ、該固定プレートの各積層間にそれぞれ偏心回転することができる多数の可動プレートを交互重畳配列に遊嵌して上記固定と可動の各プレート間の細隙を濾水流出溝とする筒状の濾過体に形成し、該濾過体の始端開口部を汚泥の送り込み口として中心孔にスクリューコンベアを嵌装し、濾過体の終端開口部の環状弁座に対向する圧力調整弁を広狭自在にスクリュー軸に装着した終端開口部を脱水ケーキの送り出し口とするスクリュー式濾過脱水装置において、上記スクリューコンベアを駆動する第1の駆動機構として、上記濾過体前半部の可動プレート内径がスクリューコンベアの外径よりも小径として、該スクリューコンベア外径と接触するように設定し、可動プレート内周面が上記第1の駆動機構の駆動により旋回されるスクリューコンベアのブレード外周縁に摺接されることで濾過体前半部の可動プレートを偏心回転させ、上記濾過体後半部の可動プレート内径がスクリューコンベアの外径よりも大径として、該スクリューコンベア外径と接触しないように設定された、上記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設けるよう構成する。
【実施例1】
【0030】
図1ないし図8において、1は筒状の濾過体であり、要部を大きく開設した該濾過体1のフレーム1Fにより多数の固定プレート1KO・・1KO間に可動プレート1KAの厚みよりも巾広のスペーサ1Sを複数介装して所要の間隔を保持して積層状に配列させ、該固定プレート1KOの各積層間にそれぞれ偏心回転することができる多数の上記可動プレート1KA・・1KAを交互重畳配列に遊嵌し、上記固定プレート1KOと可動プレート1KA間の細隙を濾水流出溝2・・2とする筒状の濾過体1に形成し、該濾過体1の始端開口部を汚泥の送り込み口3として中心孔4にスクリューコンベア5を嵌装し、濾過体1の終端開口部の環状弁座6に対向する圧力調整弁8のボス部に設けたセットボルト14や或は図示していないが圧力調整弁8背端面を押圧する圧力調整バネ等により、圧力調整弁8を広狭自在にスクリュー軸5Sに装着した終端開口部を脱水ケーキの送り出し口12とするスクリュー式濾過脱水装置において、原動機15により上記スクリューコンベア5を駆動する第1の駆動機構として、上記濾過体前半部FFの可動プレート1KA内径をスクリューコンベア5の外径よりも小径として、該スクリューコンベア5外径と接触するように設定し、可動プレート1KA内周面が上記第1の駆動機構の駆動により旋回されるスクリューコンベア5のブレード5B外周縁に摺接されることで濾過体前半部FFの可動プレートを偏心軸11により偏心回転させ、上記濾過体後半部RFの可動プレート1KA内径がスクリューコンベア5の外径よりも大径として、該スクリューコンベア5外径と接触しないように、可動プレート1KA内径を濾過体前半部FFより後半部RFで大径とするか、或はスクリューコンベア5外径を濾過体前半部FFより後半部RFで小径として非接触状態に設定された、上記濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設ける。
【実施例2】
【0031】
実施例1の構成を前提として、図12ないし図14に示されるように、濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構が、濾過体1の中心孔4より外方で濾過体1外周より上方に張設された可動プレート1KAの座部に、上記偏心軸11の偏心回転が許容できる大きさの偏心駆動孔1KAHを穿設し、該偏心駆動孔1KAH内に挿入された偏心軸11により可動プレート1KAが垂設されていることか、垂下された濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAは偏心軸11の偏心回転を受けて振り子のよに左右に大きくスイングしながら上下方向に揺動偏心駆動するよう構成されている。なお、図12に示されるようスクリュー軸5Sに嵌着された伝達歯車5Gと噛合する従動歯車11Gにより上記第2の駆動機構を駆動してもよい。
【0032】
また、図15および図16に示されるように偏心駆動孔1KAHを穿設せずに、環状の可動プレート1KAの外周縁を直接偏心軸11外縁で少なくとも3箇所以上支承し、その内少なくとも1箇所を偏心駆動用として残りは偏心従動用として、偏心軸11の偏心回転により濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAを円滑に偏心回転駆動するように第2の駆動機構を構成することもできる。
【実施例3】
【0033】
実施例1の構成を前提として、図1および図9に示されるように、濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構が、濾過体1の中心孔4より内方に凸設させた偏心軸11の外縁と可動プレート1KAの内周縁が摺接し、上記偏心軸11の偏心回転により濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAを揺動し偏心回転駆動するよう構成している。
【実施例4】
【0034】
実施例3の構成を前提として、図1ないし図11に示されるように、環状弁座8の外端面に複数のピンを円形に配列させた態様で植設して内歯車7を構成させ、該内歯車と噛合する遊星歯車9をスクリュー軸5Sに嵌着されて同調回転する圧力調整弁8に付設された軸受10により、該圧力調整弁8の内端面へ回転自在に軸着した該遊星歯車9の内端面に、先端を濾過体1の終端開口部内へ向けて凸設させた前記偏心軸11が、スクリュー軸5Sの回転により圧力調整弁8が回転するすることで、上記内歯車と噛合する遊星歯車9は上記環状弁座と圧力調整弁との対向面間で自転しながら公転されることから、該遊星歯車9の内端面に凸設される偏心軸11は濾過体後半部RF内を自転しながら公転されので、圧密固化状態に圧搾された排出し難い脱水物は、図5に示された遊星歯車9の裁断・掻き出し領域16のように上記遊星歯車9により上記環状弁座と圧力調整弁との対向面間から脱水物に含まれる繊維状異物を裁断しながら解されて掻き出されると共に、図5に示された偏心軸11の攪拌領域17のように上記偏心軸11により濾過体後半部RF内の脱水物を解しながら可動プレート1KA・・1KAを揺動し偏心回転駆動する。
【実施例5】
【0035】
実施例4の構成を前提として、図2に示されるように前記遊星歯車9の歯数を5枚とて内歯車7の歯数を12枚の商が整数とならない歯数の組み合わせとするよう構成している。
【実施例6】
【0036】
実施例1ないし5のいずれかの構成を前提として、図9ないし図14に示されるように、濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構の偏心軸11をカム体11Kに形成して、図12ないし図14に示すように該カム体11Kの外縁を濾過体1の中心孔4より外方で濾過体1外周より上方に張設された可動プレート1KAの座部に、上記カム体11Kの偏心回転が許容できる大きさの偏心駆動孔1KAHを穿設し、該偏心駆動孔1KAH内に挿入されたカム体11Kにより可動プレート1KAが垂設されていることか、垂下された濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAはカム体11Kの偏心回転を受けて振り子のよに左右に大きくスイングしながら上下方向に揺動し偏心駆動するよう構成したり、或は図9ないし図11に示すように濾過体1の中心孔4内に凸設させた上記カム体11Kがスクリューコンベア5の切欠5Hに挿通されて濾過体後半部RF内を公転しながら自転することで、カム体11K外縁が可動プレート1KAの内周縁に摺接し、濾過体後半部RF内の360度の全周に亘って各可動プレート1KA・・1KAを揺動し偏心回転駆動するよう構成している。
【実施例7】
【0037】
実施例1ないし5のいずれかの構成を前提として、図1ないし図6と図17ないし図19に示されるように、濾過体後半部RFの可動プレート1KAを偏心軸11により偏心回転させる第2の駆動機構の偏心軸11を螺旋体11Rに形成して、図17ないし図19に示すように該螺旋体11Rの外縁を濾過体1の中心孔4より外方で濾過体1外周より上方に張設された可動プレート1KAの座部に、上記螺旋体11Rの回転が許容できる大きさの偏心駆動孔1KAH内を穿設し、該偏心駆動孔1KAH内に挿入された螺旋体11Rにより可動プレート1KAが垂設されていることか、垂下された濾過体後半部RFの各可動プレート1KA・・1KAは螺旋体11Rの回転により順次揺動し偏心駆動するよう構成したり、或は図1ないし図6に示すように濾過体1の中心孔4内に凸設させた上記螺旋体11Rがスクリューコンベア5の切欠5Hに挿通されて濾過体後半部RF内を公転しながら自転することで、螺旋体11R外周縁が可動プレート1KAの内周縁に摺接し、濾過体後半部RF内の360度の全周に亘って各可動プレート1KA・・1KAを順次揺動し偏心回転駆動するよう構成している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施例1,実施例3,実施例4,実施例7のスクリュー式濾過脱水装置の構成を略示した縦断側面図である。
【図2】図1のA−A線における要部縦断正面図である。
【図3】図2のB−B線における要部縦断側面図である。
【図4】図3のC−C線における要部縦断正面図である。
【図5】本発明の実施例1,実施例3,実施例4,実施例7の濾過体後半部内の脱水物が遊星歯車および偏心軸(螺旋体)で解される範囲を示した説明図である。
【図6】本発明の実施例1,実施例3,実施例4,実施例7の濾過体後半部内の偏心軸を螺旋体として、該螺旋体の推進作用を例示した説明図である。
【図7】本発明の濾過体前半部のスクリューコンベアの外周縁で可動プレートの内周縁を摺動し、可動プレートが偏心駆動状態を例示した要部縦断側面である。
【図8】図7のD−D線における要部縦断正面図である。
【図9】本発明の実施例1,実施例3,実施例4,実施例6のスクリュー式濾過脱水装置の構成を略示した縦断側面図である。
【図10】図9の排出部を示した要部縦断拡大図である。
【図11】図10のE−E線における要部縦断正面図である。
【図12】本発明の実施例1,実施例2,実施例6のスクリュー式濾過脱水装置の構成を略示した縦断側面図である。
【図13】図12の排出部を示した要部縦断拡大図である。
【図14】図13のF−F線における要部縦断正面図である。
【図15】本発明の実施例1,実施例2,実施例6のスクリュー式濾過脱水装置において、偏心駆動孔を必要としない可動プレート外周を直接偏心軸(カム体)で駆動する構成を略示した縦断側面図である。
【図16】図15のG−G線における要部縦断正面図である。
【図17】本発明の実施例1,実施例2,実施例7のスクリュー式濾過脱水装置の構成を略示した縦断側面図である。
【図18】図17の排出部を示した要部縦断拡大図である。
【図19】図17のH−H線における要部縦断正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 濾過体
1KA 可動プレート
1KO 固定プレート
2 濾水流出溝
3 汚泥の送り込み口
4 中心孔
5 スクリューコンベア
5S スクリュー軸
6 環状弁座
7 内歯車
8 圧力調整弁
9 遊星歯車
11 偏心軸
11K カム体
11R 螺旋体
12 脱水ケーキの送り出し口
FF 濾過体前半部
RF 濾過体後半部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の固定プレートを所要の間隔を保持して積層状に配列させ、該固定プレートの各積層間にそれぞれ偏心回転することができる多数の可動プレートを交互重畳配列に遊嵌して上記固定と可動の各プレート間の細隙を濾水流出溝とする筒状の濾過体に形成し、該濾過体の始端開口部を汚泥の送り込み口として中心孔にスクリューコンベアを嵌装し、濾過体の終端開口部の環状弁座に対向する圧力調整弁を広狭自在にスクリュー軸に装着した終端開口部を脱水ケーキの送り出し口とするスクリュー式濾過脱水装置において、上記スクリューコンベアを駆動する第1の駆動機構として、上記濾過体前半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも小径として、該スクリューコンベア外径と接触するように設定し、可動プレート内周面が上記第1の駆動機構の駆動により旋回されるスクリューコンベアのブレード外周縁に摺接されることで濾過体前半部の可動プレートを偏心回転させ、上記濾過体後半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも大径として、該スクリューコンベア外径と接触しないように設定された、上記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設けるよう構成されたことを特徴とする、スクリュー式濾過脱水装置。
【請求項2】
前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、前記濾過体の中心孔より外方に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項3】
前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、前記濾過体の中心孔より内方に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項4】
前記環状弁座の外端面に複数のピンを円形に配列させた態様で植設して内歯車を構成させ、該内歯車と噛合する遊星歯車を圧力調整弁の内端面へ回転自在に軸着した該遊星歯車の内端面に、先端を濾過体の終端開口部内へ向けて前記偏心軸を凸設させていることを特徴とする、請求項3に記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項5】
前記遊星歯車の歯数と内歯車の歯数の商が整数とならない歯数の組み合わせとすることを特徴とする、請求項4に記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項6】
前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、カム体により構成されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項7】
前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、螺旋体により構成されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項1】
多数の固定プレートを所要の間隔を保持して積層状に配列させ、該固定プレートの各積層間にそれぞれ偏心回転することができる多数の可動プレートを交互重畳配列に遊嵌して上記固定と可動の各プレート間の細隙を濾水流出溝とする筒状の濾過体に形成し、該濾過体の始端開口部を汚泥の送り込み口として中心孔にスクリューコンベアを嵌装し、濾過体の終端開口部の環状弁座に対向する圧力調整弁を広狭自在にスクリュー軸に装着した終端開口部を脱水ケーキの送り出し口とするスクリュー式濾過脱水装置において、上記スクリューコンベアを駆動する第1の駆動機構として、上記濾過体前半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも小径として、該スクリューコンベア外径と接触するように設定し、可動プレート内周面が上記第1の駆動機構の駆動により旋回されるスクリューコンベアのブレード外周縁に摺接されることで濾過体前半部の可動プレートを偏心回転させ、上記濾過体後半部の可動プレート内径をスクリューコンベアの外径よりも大径として、該スクリューコンベア外径と接触しないように設定された、上記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構と上記第1の駆動機構とを夫々個別に設けるよう構成されたことを特徴とする、スクリュー式濾過脱水装置。
【請求項2】
前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、前記濾過体の中心孔より外方に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項3】
前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、前記濾過体の中心孔より内方に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項4】
前記環状弁座の外端面に複数のピンを円形に配列させた態様で植設して内歯車を構成させ、該内歯車と噛合する遊星歯車を圧力調整弁の内端面へ回転自在に軸着した該遊星歯車の内端面に、先端を濾過体の終端開口部内へ向けて前記偏心軸を凸設させていることを特徴とする、請求項3に記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項5】
前記遊星歯車の歯数と内歯車の歯数の商が整数とならない歯数の組み合わせとすることを特徴とする、請求項4に記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項6】
前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、カム体により構成されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【請求項7】
前記濾過体後半部の可動プレートを偏心軸により偏心回転させる第2の駆動機構が、螺旋体により構成されていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のスクリュー式濾過脱水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−119898(P2010−119898A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292916(P2008−292916)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000150844)株式会社鶴見製作所 (56)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000150844)株式会社鶴見製作所 (56)
【Fターム(参考)】
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