説明

スクリーンチェンジャ

【課題】樹脂混練押出機などで好適に使用されるスクリーンチェンジャにおいて、スクリーン交換時に行う溶融樹脂の予備充填にエア抜きが確実に行え、また構造の複雑化などを招来させないようにする。
【解決手段】樹脂通路7が内部貫通状に設けられたハウジング5と、このハウジング5内で樹脂通路7に合致する濾過用スクリーンを保持する濾過部30を備えたスライダ6とを有し、ハウジング5とスライダ6とが接合する面間に、スライダ6が濾過部30の一隅部を樹脂通路7に連通させる溶融樹脂の予備充填ポジションとされたときに濾過部30の上記隅部とは面方向で反対側となる他隅部と連通するエア集め隙間35が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂混練押出機などで好適に使用されるスクリーンチェンジャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂混練押出機などでは、混練部にて溶融、混練した樹脂を押し出してダイス側へ供給する途中に、溶融樹脂をスクリーン(濾過体)へ通し、不純物を除去するのが一般的であるが、このスクリーンが目詰まりなどを起こす前に新規のものと交換するため、スクリーンチェンジャが使用される。
このスクリーンチェンジャとして、溶融樹脂を通す樹脂通路が内部に設けられたハウジングと、このハウジング内で上記樹脂通路の中途部を横切るようにして摺動自在に設けられたスライダとを有したものが知られている(例えば、特許文献1〜3等参照)。
【0003】
ハウジングは、スライダの設けられる位置を境として溶融樹脂の供給側に設けられる入側ハウジングと、吐出側に設けられる出側ハウジングとに分かれている場合があり、この場合のスライダは平板形をしており、一方で、ハウジングがこのような入側と出側とに分かれずに一体形成されている場合もあり、この場合のスライダは横倒した円柱形をしているなど、種々のものがある。
いずれの場合も、上記スライダには、それ自体の摺動によってハウジングの樹脂通路に合致して連通状態になったり、合致が外れてハウジング外へ露出したりする濾過部が保持されている。上記した平板形のスライダでは、多くの場合、複数のスクリーンが横並び状に保持されており、上記の摺動によって樹脂通路と合致させるスクリーンを入れ替えるようになっている。
【0004】
ところで、スクリーンの入れ替えによって樹脂通路に新しい空のスクリーンを合致させたとき、このスクリーンが保持される空間(濾過部)が空のままであると、該空間にある多量の空気が溶融樹脂に巻き込まれてしまうことになり、ダイス側で樹脂切れ等の不具合に繋がるため、通常、スクリーンの入れ替え作業では、スライダのスクリーンが保持される空間に予め溶融樹脂の予備充填を行わせている。従来、この溶融樹脂の予備充填作業を効率よく、且つ確実なエア抜きができるように種々の対策が採られている。
例えば、特許文献1や2に記載のスクリーンチェンジャでは、スライダに対し、スクリーンの最も高い位置から外気へ連通する微少断面の溝を設けて、この溝から予備充填中の溶融樹脂が押し出されるのに付随させてエア抜きを行わせている。なお、この溝を介して溶融樹脂が外部へ漏れ出すようになったときに、溶融樹脂の予備充填及びエア抜きが完了したと見なしている。
【0005】
また特許文献3に記載のスクリーンチェンジャでは、ハウジングとスライダとが摺動する面間にスペーサワッシャを挟むことで、ここに0.003〜0.005inという微小のクリアランスギャップを保持させておき、予備充填する溶融樹脂の充填圧を利用してこのクリアランスギャップからエア抜きを行わせるようにしている。
【特許文献1】特開平8−252859号公報
【特許文献2】特開平8−90635号公報
【特許文献3】特表2001−520131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や2に記載されたスクリーンチェンジャにおいて、予備充填される溶融樹脂が前記空間(濾過部)へ流入してゆく過程では、該空間内のエアは溶融樹脂の充填位置からその流入方向に沿った下流側へ向けて押しやられることになる。溶融樹脂の充填位置はスクリーンにおける左右方向の一方隅部であるのが普通であるため、溶融樹脂は、この充填位置からスクリーンを左右方向に横断するように充填されてゆき、最終的に、左右方向の他方隅部でエアが集められることになる。
しかしながら、エア抜きを行うための溝はスクリーンの最も高い位置に設けられていた関係上、溶融樹脂が余程、液体のように粘度の低いものである場合でない限り、エアはうまくこの溝へは到達できずに抜けきらないことになり、従って空間内に残留するエアが少なからず発生していた。このような残留エアは、当然に溶融樹脂に巻き込まれることになる。即ち、エア抜きが十分にできずに、結果、押出機ではダイヘッドでの樹脂切れなどの問題が起こっていた。
【0007】
また特許文献3に記載のスクリーンチェンジャのように、ハウジングとスライダとの間にクリアランスギャップを生じさせるためにスペーサワッシャを挟む構造にすると、クリアランスギャップは、ハウジングとスライダとの間の全域に形成されることになる。すると、この全域のクリアランスギャップに対して溶融樹脂の浸透が起こるため、この溶融樹脂を除去清掃するためには、いちいちハウジングを分解し、スライダを取り出すなど、分解清掃の必要がある。
そのため、この分解・清掃・組み立て・調整のための手間が大変であり、また装置稼働効率が大きく低下することになる。のみならず、クリアランスギャップに対する溶融樹脂の浸透は、スクリーンの入れ替え作業のたびに起こるものであるから、徐々にエア抜きのための外気連通状況も悪化し、ついにはエア抜きが不十分になって、やはり、その結果として、ダイヘッドで樹脂切れなどの問題が起こっていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、スクリーン交換時に行う溶融樹脂の予備充填においてエア抜きが確実に行え、また構造の複雑化などを招来させないようにできるスクリーンチェンジャを提供することを目的とする。
また本発明は、エア抜きを行うに際して生じた溶融樹脂の詰まりを簡単に除去清掃することができるようにしたスクリーンチェンジャを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るスクリーンチェンジャは、溶融樹脂を通す樹脂通路が内部貫通状に設けられたハウジングと、このハウジング内で該樹脂通路に合致する濾過部が設けられたスライダとを有しており、このスライダは濾過部がハウジング外へ露出可能なストロークでハウジングの貫通孔に摺動自在に設けられているスクリーンチェンジャにおいて、前記ハウジングと前記濾過部の周縁部との対面部には、樹脂通路のスライダ上流側の流出口と濾過部の一隅部とが連通状態であって溶融樹脂の流入を可能とする予備充填ポジションにスライドを位置付けた際に、前記濾過部の一隅部とは摺動方向で反対側にある他隅部と連通するエア集め隙間が形成されている。
【0010】
なお、ハウジングは、スライダの設けられた位置を境として溶融樹脂の供給側に設けられる「入側ハウジング」と、溶融樹脂の吐出側に設けられる「出側ハウジング」とに分けられる場合と、これら入側及び出側のハウジングが一体的に設けられて全体で一つの「ハウジング」として構成される場合とがある。本発明ではこれらの事情に鑑み、「入側ハウジング」とスライダとの関係、及び「出側ハウジング」とスライダとの関係に着目して、それぞれに限定を加えることを試みた。
すなわち、「入側ハウジング」に着目したものとしては、溶融樹脂を通す樹脂導入路が内部に設けられると共にこの樹脂導入路の流出口が一端面に開口形成されている入側ハウジングと、この入側ハウジングの流出口が開口している端面に密接的に対面し且つこの流出口を横切る方向で摺動自在に設けられたスライダとを有し、このスライダは前記流出口に連通する濾過部を備えると共に該濾過部を入側ハウジング外へ露出させる摺動ストロークを有したものがある。
【0011】
そして、前記入側ハウジングとスライダとの対面部には、流出口と濾過部の一隅部とが連通状態であって溶融樹脂の流入を可能とする予備充填ポジションにスライドを位置付けた際に、前記濾過部の一隅部とは摺動方向で反対側にある他隅部と連通するエア集め隙間が形成された構成となっている。
濾過部において、溶融樹脂の充填位置とされる一隅部と、エア集め隙間が設けられている他隅部との位置関係は、上記充填位置から見てエア集め隙間が最も遠い位置にあるような関係である。すなわち、このような構成であるから、スクリーン交換時に新しいスクリーンに溶融樹脂を予備充填するに際し、このスクリーンでは、充填位置からエア集め隙間へ向かって溶融樹脂がスクリーン面を横断するようになる。
【0012】
これは、多くの場合、溶融樹脂としてある程度の粘度を有したものである(液体のような低粘度のものではない)ことを十分に考慮したものである。
そのため、この溶融樹脂の充填流れにしたがってエアも同方向へと押しやられ、最終的に、全てのエアがエア集め隙間へと押し出されることになる。従って、このスクリーンにおいてエア抜きが効率よく、且つ、確実に行われることになる。それ故、予備充填完了後にこのスクリーンを用いて溶融樹脂の濾過をした場合、樹脂切れなどの欠点を防止することができる。
【0013】
一方、「出側ハウジング」に着目したものとしては、溶融樹脂を通す樹脂導入路が内部に設けられると共にこの樹脂導入路の流出口が一端面に開口形成されている入側ハウジングと、この入側ハウジングの流出口に対向して開口形成された流入口に連通する樹脂導出路が内部に設けられている出側ハウジングと、前記入側ハウジングと出側ハウジングとの間に設けられたスライダとを有していて、このスライダの一面側は入側ハウジングの流出口が開口している端面に密接的に対面し、且つ他面側は出側ハウジングの流入口が開口している端面に対して密接的に対面しており、当該スライダは流出口及び流入口に連通する濾過部を備えると共に、該濾過部を入側ハウジング及び出側ハウジング外へ露出させる摺動ストロークを有したものがある。
【0014】
そして、前記出側ハウジングとスライダとの対面部には、流出口と濾過部の一隅部とが連通状態であって溶融樹脂の流入を可能とする予備充填ポジションにスライドを位置付けた際に、前記濾過部の一隅部とは摺動方向で反対側にある他隅部と連通するエア集め隙間が形成された構成となっている。勿論、この場合、エア抜き通路は出側ハウジングに設ければよい。これらの作用効果等は、上記した入側ハウジングの場合と略同様である。
また、「入側ハウジング」と「出側ハウジング」との両方にエア集め隙間を備えるものも考えられ、その構成は、溶融樹脂を通す樹脂導入路が内部に設けられると共にこの樹脂導入路の流出口が一端面に開口形成されている入側ハウジングと、この入側ハウジングの流出口に対向して開口形成された流入口に連通する樹脂導出路が内部に設けられている出側ハウジングと、前記入側ハウジングと出側ハウジングとの間に設けられたスライダとを有していて、このスライダの一面側は入側ハウジングの流出口が開口している端面に密接的に対面し、且つ他面側は出側ハウジングの流入口が開口している端面に対して密接的に対面しており、当該スライダは流出口及び流入口に連通する濾過部を備えると共に、該濾過部を入側ハウジング及び出側ハウジング外へ露出させる摺動ストロークを有しているスクリーンチェンジャにおいて、前記入側ハウジングとスライダとの対面部及び出側ハウジングとスライダとの対面部のそれぞれに、流出口と濾過部の一隅部とが連通状態であって溶融樹脂の流入を可能とする予備充填ポジションにスライドを位置付けた際に、前記濾過部の一隅部とは摺動方向で反対側にある他隅部と連通するエア集め隙間が形成されているものとなっている。
【0015】
以上述べた入側ハウジングには、スライダが予備充填ポジションに位置付けられたときに前記エア集め隙間を外気開放するエア抜き通路を設けておけばよい。
この前記エア抜き通路は、入側ハウジングに対して設けられるピース取付孔と、このピース取付孔に挿入され入側ハウジングに対して着脱自在とされるエアパージピースと、前記スライダとで形成されるクリアランスからなるようにするとよい。
このように入側ハウジングに対して着脱自在なエアパージピースを採用すると、溶融樹脂の詰まりが生じたときにはこのエアパージピースを外して清掃ができることになり、除去清掃が極めて簡単、且つ、迅速に行えることになる。
【0016】
一方、前述した出側ハウジングには、スライダが予備充填ポジションに位置付けられたときに前記エア集め隙間を外気開放するエア抜き通路を設けておけばよい。
このエア抜き通路は、出側ハウジングに対して設けられるピース取付孔と、このピース取付孔に挿入され出側ハウジングに対して着脱自在とされるエアパージピースと、前記スライダとで形成されるクリアランスからなるようにするとよい。
このように出側ハウジングに対して着脱自在なエアパージピースを採用すると、溶融樹脂の詰まりが生じたときにはこのエアパージピースを外して清掃ができることになり、除去清掃が極めて簡単、且つ、迅速に行えることになる。
【0017】
エア集め隙間とエア抜き通路との連通部に形成される開口面積は、エア集め隙間と濾過部との連通部に形成される開口面積より小さく設定するのが好適である。
このようにすることで、濾過部側からエア集め隙間への流入抵抗(管路抵抗)に比べて、エア集め隙間からエア抜き通路への流入抵抗(管路抵抗)が高くなり、結果として、濾過部側からエア集め隙間を通ってエア抜き通路へ抜ける空気流れよりも、濾過部側からエア集め隙間を通ってエア抜き通路へ抜けるの樹脂流れが抑制されたものとなるという作用を得ることができる。すなわち、溶融樹脂がエアよりもエア抜き通路にショートカットして、エア抜き通路に流入することが抑制される。このような構成により、エア抜き通路を介してエアの流入を優先的に行えるため、エア抜きは効率よく、また十分に行われるものとなる。
【0018】
また、前記エア抜き通路を、スライダと、該スライダに対面する入側ハウジング及び出側ハウジングの少なくとも一方の端面との間に形成されたクリアランスで構成することもできる。
なお、上述したスライダは、摺動方向に沿って扁平な平板形に形成しても、或いは摺動方向に沿って軸心を横倒させた円柱形に形成してもよい。
さらに、入側ハウジングには、スライダが密接的に対面する部分に焼き付き防止用の入側ライナーを設けるのが好適である。また出側ハウジングには、スライダが密接的に接合する部分に焼き付き防止用の出側ライナーを設けるのが好適である。
【0019】
前記エア集め隙間は、スライダに備えられた濾過部の周縁部の所定領域に微少深さで形成された凹部と、該スライダに対面するハウジングとの間で生じさせるのが好適である。
これにより、エア集め隙間に対する溶融樹脂の流入は抑えながらもエアの流入は確保させるという好適な作用が得られ、樹脂漏出の抑制に繋がる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るスクリーンチェンジャは、スクリーン交換時に行う溶融樹脂の予備充填においてエア抜きが確実に行える。また構造の複雑化などは招来することがない。
更に、エア抜きを行うに際して生じた溶融樹脂の詰まりは、簡単に除去清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図5は、本発明に係るスクリーンチェンジャ1の第1実施形態を示している。図3に示すように、本第1実施形態においてこのスクリーンチェンジャ1は、樹脂混練押出機2において混練押出機3とダイヘッド4との間に設けられて、混練押出機3からダイヘッド4へと供給される溶融樹脂を濾過して不純物を除去するのに用いられているものとしてある。
このスクリーンチェンジャ1は、ハウジング5とこのハウジング5内で摺動自在に設けられたスライダ6とを有している。ハウジング5内には混練押出機3とダイヘッド4との両者間を連通させる状態で溶融樹脂を通す樹脂通路7が内部貫通して設けられ、上記スライダ6は、この樹脂通路7の途中部を横断する形で摺動するようになっている。
【0022】
第1実施形態におけるハウジング5は、スライダ6の設けられる位置を境として溶融樹脂の供給側(混練押出機3側)に設けられる入側ハウジング8と、吐出側(ダイヘッド4側)に設けられる出側ハウジング9とに分かれているものとしてある。そのため、上記した樹脂通路7は、図2に示すように入側ハウジング8の内部に設けられた樹脂導入路11と、出側ハウジング9の内部に設けられた樹脂導出路12とに分断されている。
入側ハウジング8において、スライダ6側へ向く部分には入側ライナー16が設けられており、この入側ライナー16を介してスライダ6との密接的な接合が行われるようになっている。この入側ライナー16は、入側ハウジング8に対してスライダ6が摺動するときの両者間の焼き付きを防止するためのものである。当然に、この入側ライナー16にも樹脂導入路11と連通する連通孔17が設けられている。
【0023】
従って入側ハウジング8はこの入側ライナー16を含めた全体として構成されていると言うことができ、ここにおいて入側ライナー16のスライダ6側を向く面が、入側ハウジング8のスライダ6との摺動に用いられる端面18になっている。
このように入側ハウジング8には、混練押出機3側へ向けられる端面19に樹脂導入路11の流入口11a開口形成され、スライダ6側へ向けられる端面18に樹脂導入路11の流出口11bが開口形成されている。
一方、出側ハウジング8においても略同様であり、スライダ6側へ向く部分には出側ライナー21が設けられており、この出側ライナー21を介してスライダ6との密接的な接合が行われるようになっている。この出側ライナー21は、出側ハウジング9に対してスライダ6が摺動するときの両者間の焼き付きを防止するためのものである。当然に、この出側ライナー21にも樹脂導出路12と連通する連通孔22が設けられている。
【0024】
従って出側ハウジング9はこの出側ライナー21を含めた全体として構成されていると言うことができ、ここにおいて出側ライナー21のスライダ6側を向く面が、出側ハウジング9のスライダ6との摺動に用いられる端面23になっている。
このように出側ハウジング9には、スライダ6側へ向けられる端面23に樹脂導出路12の流入口12aが開口形成され、ダイヘッド4側へ向けられる端面24に樹脂導出路12の流出口12bが開口形成されている。
これら入側ハウジング8と出側ハウジング8との間には、スライダ6の摺動をガイドするためのスライドフレーム25が設けられている。このスライドフレーム25は上下一対のレール部材26,27を有しており、これらレール部材26,27の上下間に、更に複数(図例では4つ)のスライダ6を横並び状態にしてそれらの外周(上下左右)を額縁状に保持する移動フレーム28が保持されるようになっている。
【0025】
この移動フレーム28がスライドフレーム25内を左右方向へ一方向的に摺動することで、これに伴って全てのスライダ6が一斉にハウジング5内を摺動するようになっている。そしてこの摺動により、個々のスライダ6がその横並び順に従ってハウジング5内を順送りされる(使用状態のものとそうでないものとに入れ替えられる)。
スライドフレーム25の一端側には流体圧シリンダ等を利用したスライダ駆動部29が設けられており、このスライダ駆動部29の動作により上記移動フレーム28が左右摺動される。
【0026】
スライダ駆動部29は、少なくとも、ハウジング5に対する一方側の外方(図3の左側)で一つのスライダ6を露出させる状態から、ハウジング5に対する他方側の外方(図3の右側)で一つのスライダ6を露出させる状態となるまで、移動フレーム28に往復動作を与えられるだけの動作ストロークを有している。
スライダ6は、上記したように入側ハウジング8において樹脂導入路11の流出口11bが開口している端面18と、出側ハウジング9において樹脂導出路12の流入口12aが開口している端面23とのそれぞれに密接的に接合する状態で挟まれている。この密接的な接合により、溶融樹脂の漏洩が起こらないようにシールされる。そしてスライダ6は、これら樹脂導入路11の流出口11b及び樹脂導出路12の流入口12aを同時に横切るようなかたちで摺動するようになっている。
【0027】
図4に示すように、スライダ6は、摺動方向(矢符X,Y参照)に沿って扁平な平板形に形成されている。この平板形の中央部に濾過用スクリーン(以下、スクリーンと呼ぶ)を保持して溶融樹脂を濾過する空間30(以降、濾過部30と呼ぶ)が設けられている。この濾過部30は樹脂導入路11の流出口11b及び樹脂導出路12の流入口12aに対して略合致し且つほぼ同一径の開口部を有する円形に形成されており、溶融樹脂を通過させつつそれに含まれる不純物等を前記スクリーンで除去できるようになっている。さらに、前記スライダ6の表裏両面には、ブレーカプレート部を挟んで凹部31が形成されている。
【0028】
スライダ6の混練押出機3側にはスクリーンに対応する形の浅い入側凹部31aが形成されている。そして、この入側凹部31aの片隅側に、この入側凹部31aよりも更に浅い、微小深さの凹部32a(入側微小凹部32a)が入側凹部31aの開口する周縁に沿って形成されている。この凹部32aはその周縁のほぼ半周に亘って延設するのが好ましく、また、凹部32aの深さは0.01〜0.1mm程度とするのが好適であって、本第1実施形態では0.05mmとした。
なお、出側凹部31bに対しても同様の凹部32b(出側微小凹部32b)が形成されており、入側凹部31a、出側凹部31bの深さは10mm前後としている。
【0029】
図4(A)はスライダ6をダイヘッド4側(要するに樹脂流れの下流側)から見た様子であって、その摺動方向は矢符Xで示すように図中左側から右側となり、また図4(B)はスライダ6を混練押出機3側(要するに樹脂流れの上流側)から見た様子であって、その摺動方向は矢符Yで示すように図中右側から左側となっている。
これら図4(A)(B)から明らかなように、本実施の形態では、上記凹部32(微小凹部32)は、新しいスクリーンを取り付けたスライダ6がハウジング5内を濾過位置に向けて(前面に向けて)摺動される方向(矢符X,Y参照)に対し、その後側へ展開されるように配されている。図例では、凹部31が呈する円形に対し、その上下位置から後側へ延びる2本の接線間となる略半周分の外周を外側へ延設し浅く削ることで上記凹部32を形成させてある。なお、凹部31が矩形を呈する場合には、その左右方向一辺分の外周を後側に向けて延設し、浅く削るようにしてもよい。
【0030】
また図4(B)に示すように、このスライダ6には、混練押出機3を向く側の面に、入側凹部31aの外周部から上記凹部32aとは反対側となる隅部、即ち、スライダ6の摺動方向に対する前側へ向けて連通する予備充填用凹部33が形成されている。
この予備充填用凹部33は、濾過部30の外周部からはみ出した位置付けとなっており、また入側凹部31aと同程度の深さで有底とされている。この予備充填用凹部33はスライダ6の表裏間を貫通したものではない。
この予備充填用凹部33は、濾過部30に対する溶融樹脂の予備充填作業に用いられる。この予備充填作業は、図1に示すように、新しいスクリーンが保持された濾過部30を有するスライダ6を、その予備充填用凹部33だけがハウジング5の樹脂通路7(入側ハウジング8における樹脂導入路11の流出口11b)と合致連通する状態にして一旦、停止させ、樹脂通路7内を通る溶融樹脂の一部が予備充填用凹部33内へ流入するようにさせる。すると、この予備充填用凹部33を介して空の状態の濾過部30に溶融樹脂が充填される、というものである。
【0031】
スライダ6に対して上記のように微小深さの凹部32が設けられているため、図1及び図2に示すように、このスライダ6がハウジング5内へ装入されたとき、入側ハウジング8(入側ライナー16)とスライダ6とが密接的に対面している端面間、及び出側ハウジング9(出側ライナー21)とスライダ6とが密接的に対面している端面間には、それぞれ、部分的なクリアランスが生じることになる。
このようにして生じる部分的なクリアランスは、微少深さ(0.01〜0.1mm)に形成されているため、エアはスムーズに流通させるが、ある程度の粘性を備えた溶融樹脂は流通がやや難しいものとなっている。したがって、上記した予備充填作業を受けるスライダ6においては、前記クリアランスはエア集め隙間35として作用する。なお、このようにスライダ6が予備充填作業を受ける位置を、予備充填ポジションと言う。そしてスライダ6がこの予備充填ポジションにあるとき、このエア集め隙間35は、濾過部30の一隅部に設けられた予備充填用凹部33とは面方向で反対側となる他隅部に相当した位置関係にある。即ち、エア集め隙間35は、溶融樹脂の充填位置から見て最も遠い位置を含む位置付けとなっている。
【0032】
入側ハウジング8には、スライダ6が上記の予備充填ポジションに位置付けられたときに、エア集め隙間35を外気開放するためのエア抜き通路36(図1及び図2参照)が設けられている。
このエア抜き通路36は、図5に示すように、入側ハウジング8(入り側ライナー16)に設けたピース取付孔38と、このピース取付孔38に挿入するエアパージピース39と、スライダ6(図5中には図示されていない)を組み合わせることで、これら各者間で形成されているクリアランスとして生じさせるものとしてある。
【0033】
図例のエアパージピース39は、取付板部40と、この取付板部40の略中央部から突出して設けられた装入棒部41とを有してT字状に形成されている。装入棒部41は、取付板部40に連結された太めの角棒状を呈するガイド台部42と、取付板部40からはみ出すようなかたちでガイド台部42の側面に一体的に設けられた細めの角棒状を呈する詰め物部43とを有している。
従ってこの装入棒部41は、その断面形状がT字形を横倒させたような形状になっており、取付板部40からの突出方向(装入棒部41の長手方向)に沿った上面及び下面には段差が付いている。また、ガイド台部42及び詰め物部43の各先端部は共に半円形に面取りされており、各先端部の端面が同心円弧を描くようなかたちに形成されている。
【0034】
これに対して図例のピース取付孔38は、入側ハウジング8の入側ランナー16に、上記エアパージピース39の装入棒部41と対応してT字形状を横倒させたような開口が延設されることによって、T字スロット状の切欠として形成されている。入側ランナー16が入側ハウジング8に張り付けられた状態になるため、入側ランナー16に設けられた切欠はその一面側が入側ハウジング8で塞がれた状態になり、他方面側、即ち、スライダ6との摺動面とされる端面18で長溝状に開口したものとなっている。
このようなピース取付孔38において、装入棒部41のガイド台部42を嵌合する開口部分は、このガイド台部42を上下方向でガタツキ無く嵌合できるような寸法関係で形成されている。一方、ピース取付孔38において、装入棒部41の詰め物部43を嵌合する開口部分は、この詰め物部43の外周面(段差面まわり)との間にほとんどクリアランスがなく、上下方向にはクリアランスが確保されるような寸法関係で形成されている。換言すれば、エアパージピース39上面とスライダ6摺動面との間にクリアランス(エア抜き通路)を確保するような寸法関係で、エアパージピース39の詰め物部43が形成されている。
【0035】
エアパージピース39の装入棒部41における詰め物部43の突出長さ、及び入側ハウジング8に設けられるピース取付孔38(入側ランナー16に形成される切欠)の長手方向の深さは、言うまでもなく、スライダ6が上記の予備充填ポジションに位置付けられたときにエア集め隙間35と連通し得る寸法とされている。
従って、ピース取付孔38における詰め物部43を嵌合する開口部分と、エアパージピース39における装入棒部41の詰め物部43上端面とスライダ6との間で形成される上記のクリアランスが、上記したエア抜き通路36として活用されるのである。具体的に、このエア抜き通路36にするためのクリアランスとしては0.01〜0.1mm程度とするのが好適である。0.01mm未満であるとエアが通り抜け難く、0.1mmより大きいと樹脂が流通しやすいからである。本第1実施形態ではエアは通り抜けやすが樹脂は少しだけ流通し難いクリアランスである0.05mmとした。
【0036】
エアパージピース39の取付板部40にはボルト通孔45が設けられ、入側ハウジング8の側面にはピース取付孔38の開口まわりにボルト孔46が設けられている。従って、エアパージピース39は、これらボルト通孔45からボルト孔46へとボルト止めすることで入側ハウジング8に対して固定されている。これによりエアパージピース39は、入側ハウジング8に対する着脱が所望に応じて任意に行える。
そのため、入側ハウジング8からエアパージピース39を外すことは簡単であり、この取り外しによりエアパージピース39の装入棒部41に付着した溶融樹脂はもとより、ピース取付孔38の内周面に付着した溶融樹脂を清掃除去することも簡単且つ迅速にできるものである。
【0037】
本第1実施形態では、スライダ6において、入側ハウジング8へ向けられる面だけでなく、出側ハウジング9へ向けられる面にも、エア集め隙間35を形成させるための凹部32bが形成されたものとしている。そのため、出側ハウジング9にも、スライダ6が上記の予備充填ポジションに位置付けられたときに、エア集め隙間35を外気開放するためのエア抜き通路36が設けられている。
本第1実施形態では、この出側ハウジング9に設けられるエア抜き通路36も上記した入側ハウジング8に設けられるエア抜き通路36と全く同じ構造(即ち、エアパージピース39とピース取付孔38との組み合わせ)としたので、図2及び図5中に、それぞれ同一部材に同一符号を付することでここでの詳説は省略する。
【0038】
なお、入側ハウジング8に設けられるエア抜き通路36と、出側ハウジング9に設けられるエア抜き通路36とは、スライダ6が摺動するスペースを挟んで対向する位置付けになっている。
入側ハウジング8及び出側ハウジング9には、予備充填作業の完了を確認するための樹脂抜き50が設けられている。この樹脂抜き50は、スライダ6が上記の予備充填ポジションに位置付けられたときに、その濾過部30の一部に連通させるように入側ハウジング8(入側ライナー16を含む)及び出側ハウジング9(出側ライナー21を含む)に設けた孔51に、導通ボルト52を差し込んだものである。この導通ボルト52にはその軸心部を貫通して樹脂溢流孔53が設けられている。
【0039】
導通ボルト52として、樹脂溢流孔53の孔径が異なるものが複数種準備しておけば、これら導通ボルト52を適宜選択することで、樹脂粘度や樹脂充填圧などの諸条件に対応できるようになり、頗る便利である。
次に、上記構成を具備する本発明に係るスクリーンチェンジャ1において、その稼働状況を説明する。
いま、図3に示すように、スライドフレーム25内の移動フレーム28に対し、所定数(4つ)のスライダ6が保持され、混練押出機3からダイヘッド4へ供給される途中の溶融樹脂が所定配置のスライダ6(図3では右から2番目)の濾過部30に保持されたスクリーンで濾過される状況が進んで、そしてこのスクリーンによる濾過能力が低下し、交換時期になったとする。
【0040】
ここでスライダ駆動部29が作動して移動フレーム28が図3の右方へ少し移動される。このとき、上記交換時期に達したスクリーンを保持している濾過部30がハウジング5内の樹脂通路7と部分的に合致する状態は保持されたまま、その隣のスライダ6(図3では右から3番目)において、新しいスクリーンを保持した空の濾過部30が予備充填ポジションに位置付けられる。
すなわち、図1及び図2に示すように、この空の濾過部30が保持されたスライダ6を、その予備充填用凹部33だけがハウジング5の樹脂通路7(入側ハウジング8における樹脂導入路11の流出口11b)と合致連通する状態にして一旦、停止させ、樹脂通路7内を通る溶融樹脂の一部が予備充填用凹部33内へ流入するようにさせる。
【0041】
これにより、この予備充填用凹部33を介して空の状態の濾過部30に溶融樹脂が充填される。このとき予備充填用凹部33は有底であり、スライダ6を貫通して樹脂導出路12に至る流路を形成していないので、予備充填中の溶融樹脂流れが予備充填用凹部33を介して樹脂導出路12にショートパスを起こすことはなく、溶融樹脂を濾過部30内に確実に予備充填する状況が確保される。
予備充填用凹部33から溶融樹脂が流入しつつある濾過部30では、溶融樹脂の充填位置(凹部33)からエア集め隙間35へ向かって溶融樹脂がスクリーン面を徐々に横断しながら充填されてゆくような状況となる。
【0042】
そのため、この溶融樹脂の充填流れにしたがって、当初、空の濾過部30内を満たしていたエアは、同方向へと押しやられる。そして、最終的に、全てのエアが充填位置(凹部33)から見て最も遠い位置を含んで設けられたエア集め隙間35へと押し出されることになる。
このエア集め隙間35は、その開口幅が所定の広がりを有したものであり、エアの流入が円滑且つ確実なものとなる。エア集め隙間35へと押し出されたエアは、ハウジング5の入側ハウジング8や出側ハウジング9に設けられたエア抜き通路36を介して外気へと放出される。このようにして、この濾過部30においてエア抜きが効率よく行われ、またこのエア抜きは確実に行われることになる。
【0043】
この予備充填作業は、樹脂抜き50の導通ボルト52から溶融樹脂が漏れ出るようになったことを確認して終了すればよい。この樹脂抜き50からもエア抜きは行われる。ただ、濾過部30に対してこの樹脂抜き50の樹脂溢流孔53が連通する位置は濾過部30の最も端位置ではなく、溶融樹脂が充填されてゆく過程でこの樹脂溢流孔53を越えて更に充填が続く状況があるため、この段階での残留エアは、やはりエア集め隙間35へと追い出されることが重要となっている。
予備充填作業が完了した後は、スライダ駆動部29が作動して移動フレーム28が更に図3の右方へ移動される。これによりこの溶融樹脂が充満した濾過部30がハウジング5内の樹脂通路7と完全に合致する状態にされ、混練押出機3からダイヘッド4へ供給される途中の溶融樹脂がこの濾過部30内に設けられるスクリーンで濾過されるようになる。
【0044】
なお本第1実施形態では、このとき移動フレーム28において最も右側に保持されたスライダ6がハウジング5の外方へ露出する状態とされている。そこで、この濾過中、移動フレーム28の右端部を分解して最も右側のスライダ6を移動フレーム28から取り外せばよい。
また、このとき移動フレーム28内の他の各スライダ6がハウジング5に対して位置ズレしないように保持させたうえで、スライダ駆動部29を逆向きに作動させて移動フレーム28だけ、引き戻しを行わせ、ハウジング5の左方側にスライダ6用の補充スペースを確保させる。そして、この補充スペースへ新たなスライダ6を補充するという作業を行うとよい。
【0045】
ところで、スライダ6において、予備充填用凹部33は濾過部30の外周部からその側方へ張り出した状態となっており、且つ、この予備充填用凹部33は有底でスライダ5を貫通していないため、予備充填中の濾過部30を介して溶融樹脂流れがショートパスを起こすことがないという好適な作用が得られる旨、説明した。
このような作用を得るには、図6に示すような構造を採用してもよい。一つには、スライダ6の表裏面に設けられる濾過部30の凹部31において、入側凹部31aの開口径d1に比べ、出側凹部31bの開口径d2を径小にしておく構造である。
【0046】
また他の一つには、入側ハウジング8における樹脂導入路11の孔径D1に比べ、出側ハウジング9における樹脂導出路12の孔径D2を径小にしておく構造である。
これらの各構造を採用すれば、溶融樹脂が濾過部30へ流入するときの流入圧が高くなる。そのため、濾過部30において入側凹部31aで適度な樹脂滞留が起こり、スクリーンを通過する溶融樹脂の流量が安定する。すなわち、スクリーンの流出側において樹脂流圧が急激に低下するということがないので、ダイヘッド4での樹脂切れや、濾過部30に対する溶融樹脂の逆流等が起こるのを未然に防止できることになる。
【0047】
図7乃至図9は、本発明に係るスクリーンチェンジャ1の第2実施形態を示している。この第2実施形態のスクリーンチェンジャ1はデュアルバータイプであって、ハウジング5に対し2本のスライダ6が設けられており、それぞれが摺動方向に沿って軸心を横倒させた円柱形に形成されたものとなっている。このような円柱形に形成されたスライダ6でも、濾過部30の少なくとも入側に凹部32aが形成されているものとして、本発明を適用できるものである。
本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【0048】
例えば、第2実施形態においては矩形スクリーンを用いているため、凹部32が濾過部30の外周縁の一辺に対応する位置に設けられているが、第1実施形態のように、円形スクリーンを用いる場合は、それに応じた凹部32を形成すればよい。
また、第2実施形態では、エア抜き通路36をスライダ6に直接的に形成しており、第1実施形態では、エアパージピース39とピース取り付け孔38とで形成しているが、エア抜き通路36は、ハウジング5(入側ハウジング8や出側ハウジング9)に対して直接的に形成した孔や溝などでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図3のA−A線視に相当させて示した拡大(正面)断面図である。
【図2】図3のB−B線視に相当させて示した拡大(平面)断面図である。
【図3】本発明に係るスクリーンチェンジャの第1実施形態を示す斜視図である。
【図4】スライダを示した斜視図であって(A)は正面側(流出側)であり(B)は裏面側(流入側)である。
【図5】エアパージピース及びピース取付孔を示した斜視図である。
【図6】スライダ及びハウジングに対して改良を加える例を説明した平面断面図である。
【図7】本発明に係るスクリーンチェンジャの第2実施形態を示す拡大(正面)断面図である(予備充填ポジション)。
【図8】本発明に係るスクリーンチェンジャの第2実施形態を示す拡大(正面)断面図である(交換ポジション)。
【図9】本発明に係るスクリーンチェンジャの第2実施形態を示す拡大(平面)断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 スクリーンチェンジャ
5 ハウジング
6 スライダ
7 樹脂通路
8 入側ハウジング
9 出側ハウジング
11 樹脂導入路
11b 樹脂導入路の流出口
12a 出側ハウジングの流入口
12 樹脂導出路
16 入側ライナー
21 側ライナー
30 濾過部
32 凹部(微小凹部)
35 エア集め隙間
36 エア抜き通路
38 ピース取付孔
39 エアパージピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂を通す樹脂導入路(11)が内部に設けられると共にこの樹脂導入路(11)の流出口(11b)が一端面に開口形成されている入側ハウジング(8)と、この入側ハウジング(8)の流出口(11b)が開口している端面に密接的に対面し且つこの流出口(11b)を横切る方向で摺動自在に設けられたスライダ(6)とを有し、このスライダ(6)は前記流出口(11b)に連通する濾過部(30)を備えると共に該濾過部(30)を入側ハウジング(8)外へ露出させる摺動ストロークを有しているスクリーンチェンジャにおいて、
前記入側ハウジング(8)とスライダ(6)との対面部には、流出口(11b)と濾過部(30)の一隅部とが連通状態であって溶融樹脂の流入を可能とする予備充填ポジションにスライド(6)を位置付けた際に、前記濾過部(30)の一隅部とは摺動方向で反対側にある他隅部と連通するエア集め隙間(35)が形成されていることを特徴とするスクリーンチェンジャ。
【請求項2】
溶融樹脂を通す樹脂導入路(11)が内部に設けられると共にこの樹脂導入路(11)の流出口(11b)が一端面に開口形成されている入側ハウジング(8)と、この入側ハウジング(8)の流出口(11b)に対向して開口形成された流入口(12a)に連通する樹脂導出路(12)が内部に設けられている出側ハウジング(9)と、前記入側ハウジング(8)と出側ハウジング(9)との間に設けられたスライダ(6)とを有していて、このスライダ(6)の一面側は入側ハウジング(8)の流出口(11b)が開口している端面に密接的に対面し、且つ他面側は出側ハウジング(9)の流入口(12a)が開口している端面に対して密接的に対面しており、当該スライダ(6)は流出口(11b)及び流入口(12a)に連通する濾過部(30)を備えると共に、該濾過部(30)を入側ハウジング(8)及び出側ハウジング(9)外へ露出させる摺動ストロークを有しているスクリーンチェンジャにおいて、
前記出側ハウジング(9)とスライダ(6)との対面部には、流出口(11b)と濾過部(30)の一隅部とが連通状態であって溶融樹脂の流入を可能とする予備充填ポジションにスライド(6)を位置付けた際に、前記濾過部(30)の一隅部とは摺動方向で反対側にある他隅部と連通するエア集め隙間(35)が形成されていることを特徴とするスクリーンチェンジャ。
【請求項3】
溶融樹脂を通す樹脂導入路(11)が内部に設けられると共にこの樹脂導入路(11)の流出口(11b)が一端面に開口形成されている入側ハウジング(8)と、この入側ハウジング(8)の流出口(11b)に対向して開口形成された流入口(12a)に連通する樹脂導出路(12)が内部に設けられている出側ハウジング(9)と、前記入側ハウジング(8)と出側ハウジング(9)との間に設けられたスライダ(6)とを有していて、このスライダ(6)の一面側は入側ハウジング(8)の流出口(11b)が開口している端面に密接的に対面し、且つ他面側は出側ハウジング(9)の流入口(12a)が開口している端面に対して密接的に対面しており、当該スライダ(6)は流出口(11b)及び流入口(12a)に連通する濾過部(30)を備えると共に、該濾過部(30)を入側ハウジング(8)及び出側ハウジング(9)外へ露出させる摺動ストロークを有しているスクリーンチェンジャにおいて、
前記入側ハウジング(8)とスライダ(6)との対面部及び出側ハウジング(9)とスライダ(6)との対面部のそれぞれに、流出口(11b)と濾過部(30)の一隅部とが連通状態であって溶融樹脂の流入を可能とする予備充填ポジションにスライド(6)を位置付けた際に、前記濾過部(30)の一隅部とは摺動方向で反対側にある他隅部と連通するエア集め隙間(35)が形成されていることを特徴とするスクリーンチェンジャ。
【請求項4】
前記入側ハウジング(8)には、スライダ(6)が予備充填ポジションに位置付けられたときに前記エア集め隙間(35)を外気開放するエア抜き通路(36)が設けられていることを特徴とする請求項1又は3に記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項5】
前記エア抜き通路(36)は、入側ハウジング(8)に対して設けられるピース取付孔(38)と、このピース取付孔(38)に挿入され入側ハウジング(8)に対して着脱自在とされるエアパージピース(39)と、前記スライダ(6)とで形成されるクリアランスからなることを特徴とする請求項4に記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項6】
前記入側ハウジング(8)は、スライダ(6)との対面部分に焼き付き防止用の入側ライナー(16)を備えていることを特徴とする請求項1,3〜5のいずれかに記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項7】
前記出側ハウジング(9)には、スライダ(6)が予備充填ポジションに位置付けられたときに前記エア集め隙間(35)を外気開放するエア抜き通路(36)が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項8】
前記エア抜き通路(36)は、出側ハウジング(9)に対して設けられるピース取付孔(38)と、このピース取付孔(38)に挿入され出側ハウジング(9)に対して着脱自在とされるエアパージピース(39)と、前記スライダ(6)とで形成されるクリアランスからなることを特徴とする請求項7に記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項9】
前記出側ハウジング(9)は、スライダ(6)との対面部分に焼き付き防止用の出側ライナー(21)を有していることを特徴とする請求項2,3,7,8のいずれかに記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項10】
前記エア集め隙間(35)とエア抜き通路(36)との連通部に形成される開口面積は、エア集め隙間(35)と濾過部(30)との連通部に形成される開口面積より小さく設定されていることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項11】
前記エア抜き通路(36)を、スライダ(6)と、該スライダ(6)に対面する入側ハウジング(8)及び出側ハウジング(9)の少なくとも一方の端面との間に形成されたクリアランスで構成することを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項12】
前記スライダ(6)は摺動方向に沿って扁平な平板形あるいは角柱形に形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項13】
溶融樹脂を通す樹脂通路(7)が内部貫通状に設けられたハウジング(5)と、このハウジング(5)内で該樹脂通路(7)に合致する濾過部(30)が設けられたスライダ(6)とを有しており、このスライダ(6)は濾過部(30)がハウジング(5)外へ露出可能なストロークでハウジング(5)の貫通孔(10)に摺動自在に設けられているスクリーンチェンジャにおいて、
前記ハウジング(5)と前記濾過部(30)の周縁部との対面部には、樹脂通路(7)のスライダ上流側の流出口(11b)と濾過部(30)の一隅部とが連通状態であって溶融樹脂の流入を可能とする予備充填ポジションにスライド(6)を位置付けた際に、前記濾過部(30)の一隅部とは摺動方向で反対側にある他隅部と連通するエア集め隙間(35)が形成されていることを特徴とするスクリーンチェンジャ。
【請求項14】
前記スライダ(6)は摺動方向に沿って軸心を横倒させた円柱形に形成されていることを特徴とする請求項13に記載のスクリーンチェンジャ。
【請求項15】
前記エア集め隙間(35)は、スライダ(6)に備えられた濾過部(30)の周縁部の所定領域に微少深さで形成された凹部(32)と、該スライダ(6)に対面するハウジングとの間で生じさせてあることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載のスクリーンチェンジャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−116908(P2006−116908A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309712(P2004−309712)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】