スクリーン印刷のためのステンシル・スクリーンを作製する方法
【課題】特殊な材料及び専門技術を必要としない、ステンシル・スクリーンを形成する比較的簡単な方法を提供すること。
【解決手段】基材上に画像をスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法が、一般的に開示される。この方法は、印刷可能面を定める印刷可能シートを用いて熱転写により、転写コーティングの一部を転写シートから除去することを含む。転写シートから除去された転写コーティングの部分は、印刷可能シートの印刷可能面上にインクが存在する領域に対応する。次に、転写コーティングをスクリーンに転写して、転写コーティングが存在する場所に対応する閉塞メッシュ領域を有するステンシル・スクリーンを形成することができる。次に、ステンシル・スクリーンを用いて、種々の繊維基材のいずれの上にも画像をスクリーン印刷することができる。
【解決手段】基材上に画像をスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法が、一般的に開示される。この方法は、印刷可能面を定める印刷可能シートを用いて熱転写により、転写コーティングの一部を転写シートから除去することを含む。転写シートから除去された転写コーティングの部分は、印刷可能シートの印刷可能面上にインクが存在する領域に対応する。次に、転写コーティングをスクリーンに転写して、転写コーティングが存在する場所に対応する閉塞メッシュ領域を有するステンシル・スクリーンを形成することができる。次に、ステンシル・スクリーンを用いて、種々の繊維基材のいずれの上にも画像をスクリーン印刷することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷は、美術及び商業印刷の両方において普及しており、Tシャツ、帽子、CD、DVD、セラミック、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、紙、金属及び木材の上に画像を印刷するのに一般的に用いられる。実際に、スクリーン印刷は、全ての印刷方法の中で最も用途が広いと言うことができる。
【0003】
伝統的に、スクリーンは、一般に、多孔性の目の細かい布(例えば、ポリマー繊維、シルク繊維等)で構成される。スクリーンをフレームにわたして引き伸ばして、スクリーン緊張状態にすることができる。スクリーンの領域を非透過性の材料でブロックすることによって、ステンシル・スクリーンが形成されるが、これは印刷される画像のネガであり、つまり、開口空間が、インクが最終基材上に現われることになる場所となる。次に、インクが、ステンシル・スクリーンを通り抜けて基材の上に押し出され、インクは、ステンシル・スクリーンによって輪郭が描かれた画像の形状になる。
【0004】
ステンシル・スクリーンを作製する多くの方法は、特殊な化学物質(例えば、感光性樹脂)、専用の技術及び特殊装置(例えば、UV硬化ランプ)が通常は必要となるため、一般の人々にとって容易に利用できるものではない。従って、一般の人々は、典型的には、ステンシル・スクリーンの生成については民間業者に依存し、通常は、ステンシル・スクリーンを用いて最終基材上に印刷することについては専門店に依存する。しかしながら、一般の人々の多くは、自分自身の使用のために独自のステンシル・スクリーンを形成し、より個人化されたスクリーン印刷物を形成することを望む場合がある。さらに、かかるスクリーンがもっと容易に入手できれば、それらを用いて、壁及び家具等の比較的移動が困難な品物に印刷することが、より実現可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TAPPI Test Methods、T538 om−88、Vol.1、1991年(ジョージア州アトランタ所在のTAPPI Pressにより刊行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、一般の人々のほとんど誰もが各自の個人化されたスクリーン印刷基材を形成できるようにステンシル・スクリーンを形成する、比較的容易な方法に対する必要性が現在のところ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、本開示は、画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法に向けられる。転写コーティングの部分は、印刷可能面を定める印刷可能シートを用いて熱転写(例えば、約150℃よりも低い温度で)により転写シートから除去される。転写シートから除去された転写コーティングの部分は、印刷可能シートの印刷可能面上にトナーインクが存在する領域に対応する。
【0008】
下記に説明されるように、転写コーティングは、転写紙上に残存する部分又は印刷可能シートに転写された部分のいずれも、次にスクリーンに転写されて、転写コーティングが存在する場所に対応する閉塞メッシュ領域を有するステンシル・スクリーンを形成することができる。この転写は、約150℃よりも高い温度で行なうことができる。一実施形態において、スクリーンへの転写は、転写紙から行われる。従って、印刷可能シート及びトナーインクは、スクリーンへの転写には必要ないので、種々の印刷可能シート及び種々のトナーインクを有効に用いることができる。代替的に、スクリーンへの転写が印刷可能シートから行われる実施形態においては、転写コーティングと共にトナーインクの少なくとも一部の転写を可能にする印刷可能シートが必要とされる。
【0009】
随意的に、スクリーンに転写されたコーティングの耐久性は、スクリーンの前面(転写コーティングが塗布された側)、又は反対側(裏面)のいずれかに上塗り(overcoating)することによって強化することができる。好ましくは、耐久性を高めるために用いられる材料は、ポリマー材料の低粘性溶液又は分散体であり、その低粘性により、スクリーンのメッシュの空隙が埋まらず、従って、転写コーティングで覆われていない領域におけるインクの浸透をブロックしない。
次にステンシル・スクリーンを用いて、種々の繊維基材のいずれの上にも画像をスクリーン印刷することができる。
本発明の他の特徴及び態様について、以下により詳細に記述する。
【0010】
当業者への最良の形態を含む、本発明の完全かつ実施可能な開示が、添付の図面を参照する明細書の残りの部分でより具体的に記載される。
本明細書及び図面における参照文字の反復使用は、本発明の同一又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ステンシル・スクリーンを形成するのに用いるための中間転写シートを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図2】ステンシル・スクリーンを形成するのに用いるための中間転写シートを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図3】ステンシル・スクリーンを形成するのに用いるための中間転写シートを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図4】ステンシル・スクリーンを形成するのに用いるための中間転写シートを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図5A】ポジ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図5B】ポジ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図5C】ポジ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図5D】ポジ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図6A】ネガ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図6B】ネガ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図6C】ネガ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図6D】ネガ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【0012】
定義
本明細書で用いられる「印刷可能」という用語は、例証として、ダイレクト及びオフセットグラビア・プリンタ、シルクスクリーン、タイプライター、レーザプリンタ、レーザコピー機、その他のトナー・ベースのプリンタ及びコピー機、ドットマトリクスプリンタ、並びにインクジェットプリンタ等のあらゆる手段により材料上に画像を配置することを可能にすることを含むものと意図されている。
【0013】
本明細書で用いられる「ステンシル・スクリーン」という用語は、ブロックされた領域及び開口された領域を有するスクリーンを指す。スクリーンのブロックされた領域は、印刷される画像のネガを定める、つまり、開口空間は、インクが最終基材上に現れることになる場所である。次にインクが、ステンシル・スクリーンを通り抜けて基材上に押し出され、インクは、開口領域によって定められた画像の形状を呈すが、インクは閉鎖領域を通り抜けない。
【0014】
「トナーインク」という用語は、本明細書では熱で印刷可能な基材に溶融されるように適合されたインクを説明するように用いられる。
「分子量」という用語は、一般に、文脈から別の意味が明らかであるか、又はこの用語がポリマーについて言及していない限り、重量平均分子量のことを指す。分子量の単位は、時として「ダルトン」と呼ばれる原子質量単位であることが、長い間理解され、受け入れられてきた。従って、現在の文献では、単位が与えられることは稀である。従って、こうした慣例に合わせて、本明細書では分子量について単位を表わさない。
【0015】
本明細書で用いられる「セルロース不織ウェブ」という用語は、少なくとも約50重量パーセントのセルロース繊維を含有する任意の織布又はシート状材料を含むように意図される。セルロース繊維に加えて、ウェブは、他の天然繊維、合成繊維、又はそれらの混合物を含有することができる。セルロース不織ウェブは、比較的短い繊維を空気堆積又は湿式堆積してウェブ又はシートを形成することによって調製することができる。従って、この用語は、製紙用完成紙料から調製された不織ウェブを含む。こうした完成紙料は、セルロース繊維のみを含むことができ、又は、セルロース繊維と他の天然繊維及び/又は合成繊維との混合物を含むことができる。また、完成紙料は、製紙技術分野において周知のように、例えばクレー及び二酸化チタンなどの充填剤、界面活性剤、消泡剤等のような添加剤及び他の材料を含有することもできる。
【0016】
本明細書で用いられる「ポリマー」という用語は、一般的に、これらに限定されるものではないが、ホモポリマー、例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー及び交互コポリマーのようなコポリマー、ターポリマー、並びにこれらのブレンド及び修飾物を含む。さらに、特に断りのない限り、「ポリマー」という用語は、材料の全ての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの構成は、これらに限定されるものではないが、アイソタクチック対称、シンジオタクチック対称、及びランダム対称を含む。
【0017】
「熱可塑性ポリマー」という用語は、本明細書では、加熱されたときに、軟化し流動するあらゆるポリマーを意味するように用いられ、かかるポリマーは、加熱がポリマーの分解温度よりも低い場合、特性に何の基本的変化を受けることなく、何回でも加熱し軟化させることができる。熱可塑性ポリマーの例としては、ほんの一例として、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル酸エスエル・ポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等、並びにこれらのコポリマーが挙げられる。
【0018】
当業者には周知のように、「シェフィールド平滑度」は、印刷媒体(例えば、紙シート)の平滑度(又は、粗さ)を測定して定量化するために確立している。本明細書で用いられるシェフィールド平滑度値は、標準化された手法(非特許文献1)に従って求めることができ、これは、引用により本明細書に組み込まれる。シェフィールド平滑度を求めるために、ニューヨーク州クィーンズベリーのHagerty Technologies Inc.社製の538型紙平滑度試験機、並びに、ニューヨーク州アミティビルのTesting Machine Inc.社から入手可能なシェフィールド紙ゲージ等の商業機器が、使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
当業者は、この議論が、例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広範な態様を限定するように意図されるものではなく、これらのより広範な態様は、例示的な構成において具体化されることを理解すべきである。
【0020】
一般的に言えば、本発明は、スクリーン印刷に用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法に向けられる。本方法は、比較的簡単な方法を提供し、ほぼ全てのユーザが、スクリーンに適用されたパターンをカスタマイズしてステンシル・スクリーンを生成することを可能にする。本質的には、本開示の方法に従って、ユーザが印刷可能シート上に印刷することができるあらゆるデザイン、文字、形状、又は他の画像をスクリーンに転写し、ステンシル・スクリーンを形成することができる。従って、本開示は、感光性樹脂、UVランプ、スクリーンへの特別な感光性エマルションの湿式適用などを必要とせずに、基材上にスクリーン印刷画像を生成する、安価で柔軟な方法について説明する。従って、民間業者にステンシル・スクリーンを生成させる必要性が減少する。
【0021】
I.印刷可能シート上への印刷
基材上にステンシル画像を生成するために、トナー画像が、まず、トナー印刷可能シート上に適用される(例えば、印刷される)。特定の実施形態において、画像は、レーザプリンタ又はレーザコピー機によって印刷可能シート上にデジタル印刷することができる。デジタル印刷は、印刷可能シート上に高品質の画像を印刷する周知の方法である。当然のことながら、これに限定されるものではないが、デジタルオフセット印刷を含む他のあらゆるトナー印刷方式を用いて、画像を印刷可能シート上に印刷することができる。トナーは、十分に低い温度(例えば、約50℃から約150℃まで)で溶融して接着性になり、本発明のコーティングの転写が可能になるので、本方法では、トナー印刷を用いる。
【0022】
典型的には、トナーインクの組成は、用いられる印刷プロセスによって変わる。必要ではないが、黒インクのみを用いて画像を印刷し、白黒画像を生成することができる。白黒画像の使用は、幾つかの異なるカラーインクを用いるカラー画像の形成と比較すると、インク費用を軽減することができる。
【0023】
印刷可能シートの印刷可能面上に形成された画像は、「ポジ」画像又は「ネガ」画像のいずれかとすることができる。「ポジ」画像は、印刷可能シートに適用されたインクによって定められる画像である。ポジ画像を作成するには、インクは、画像を形成するために必要とされるその領域にのみ適用される。従って、インクが適用された印刷可能シートの領域(例えば、白い印刷可能シート上に黒インクを用いる場合、印刷可能面上の黒い領域)において、画像は、ポジ型に(positively)定められる。例えば、インクは、文字を形成するために必要とされる領域にのみ適用されるので、この紙シート上の黒い文字は、ポジ型に定められた画像である。他方、「ネガ」画像は、インクがない印刷可能面の領域によって定められる画像である。ネガ画像を作成するために、インクは、画像を形成するために必要な場所を除いて、周囲の表面積全体に適用される。従って、インクがない印刷可能面の領域(例えば、白い印刷可能面上に黒インクを用いる場合、印刷可能面上の白い領域)において、画像はネガ型に(negatively)定められる。
【0024】
印刷可能シート上に(ポジ型に又はネガ型に)印刷された画像は、最終的には、ステンシル・スクリーン及び最終基材上に生成される画像のためのテンプレートになる。しかしながら、以下により詳細に説明するように、用いられる特定の方法によって、印刷可能シート上に印刷された画像は、最終的に最終品目に適用される画像のポジ又はネガのいずれかとすることができる。この印刷プロセスの可用性は極めて大きいため、ほとんど全ての消費者が、自分のカスタマイズした画像を容易に生成して、ステンシル・スクリーンを作製するためのテンプレートとして用いることができる。
【0025】
図1を参照すると、例示的な印刷可能シート10が、その印刷可能面14上にトナーインク12が適用された状態で示される。図1において、画像は、インク適用領域内にポジ型に形成され、印刷可能面14の残りの部分には、実質的にインクがない。開示される方法に従って、印刷可能面14を有するあらゆる適切なシート(例えば、ウェブ、フィルム、又はその組み合わせ)を、印刷可能シート10として用いることができる。例えば、印刷可能シート10は、印刷可能面14を定めるセルロース不織ウェブとすることができる。1つの特定の実施形態において、印刷可能シートは、比較的滑らかなものとすることができ、より画像を定めることを可能にする。さらに、より滑らかな表面をもつ印刷可能シートは、表面同士のより密接な接触を通じて、転写シートから印刷可能シートへの転写コーティングの転写を容易にすることができる。一実施形態において、印刷可能シートは、約150より小さいといった、約300より小さいシェフィールド平滑度を有することができる。
【0026】
上述のように、トナーインク12を用いて、印刷可能シート10の印刷可能面14上に、ポジ画像又はネガ画像を形成することができる。印刷可能面14上にトナーインク12を適用した後、結果として得られるステンシル・スクリーンを生成する方法は、印刷可能シート上に印刷された画像がポジ型であっても又はネガ型であっても、実質的に同じである。しかしながら、簡単にするために、以下の議論は、印刷可能シート10の印刷可能面14上に、トナーインク12により定められたポジ型に形成された画像に関連している。当業者であれば、印刷可能シート10上にネガ型に形成された画像の使用は、以下の方法における結果として得られるステンシル・スクリーン及びスクリーン印刷基材を本質的に逆にするものであることを理解するであろう。
【0027】
II.印刷可能シートの印刷領域上への転写コーティングの適用
印刷可能シート10の印刷可能面14上にトナーインク12を適用した後、印刷可能シート上の画像を用いて、熱転写により転写コーティングの一部を転写シートから除去する。具体的には、転写シートからの転写コーティングは、トナーインク12が存在する領域においてのみ、印刷可能シート10の印刷可能面14に接着する。次に、シートを分離する(例えば、剥離する)ことができ、印刷可能シートのインク適用領域に接着した転写コーティングの部分が、転写シートから除去される。例えば、図2は、転写コーティング18が剥離層20及びベースシート22の上に重なる、転写シート16を示す。具体的には、示される転写シート16において、転写コーティング18は、転写シート16の露出面を定め、剥離層20の上に重なる。次に剥離層20は、ベースシート22の上に重なる。図2−図4には2つの別個の層として示されるが、剥離層20をベースシート22内に組み込むことができるので、これらは、剥離特性を有する1つの層であるように見える。
【0028】
転写コーティングの、コーティング重量又は厚さは、スクリーンを覆う又は満たすのに十分なものである。一般に、転写コーティング重量は、必要に応じて調整することができ、例えば、目の細かいスクリーンは、目の粗いスクリーンよりも必要とするコーティングが少ないと考えられる。実際上、1平方メートルあたり約10グラムから約30グラムまでといった、1平方メートルあたり約5グラムから約50グラムまでのコーティング重量が有用である。
【0029】
図2−図4に示されるように、トナーインク12が存在する印刷可能面14の領域において転写コーティング18を転写シート16から除去するために、転写シート16は、転写コーティング18と印刷可能面14が直接接触するように、印刷可能シート10に隣接して配置される。熱H及び圧力Pが加えられると、転写コーティング18は、トナーインク12が適用された印刷可能面14の領域(即ち、インク適用領域)に接着するが、トナーインク12がない印刷可能面14の領域には接着しない。熱H及び圧力Pを加えることにより、印刷可能シート10と転写シート16は、一時的積層体として一緒に積層される。転写紙シート16が印刷可能シート10から分離される(例えば、剥離される)と、トナーインク12が転写コーティング18に接触した領域においてのみ転写コーティング18が転写シート16から除去された、画像形成された中間転写シート24が生成される。従って、印刷可能シート10に適用されたポジ画像は、画像形成された中間転写シート24上の残りの転写コーティング18によって定められたネガ画像になる。同様に、印刷可能面14は、インク12が存在する領域においてのみ転写コーティング18でコーティングされ、転写コーティングされた中間印刷可能シート25を形成する。従って、印刷可能シート10上のポジ画像は、ここで、転写コーティングされた中間印刷可能シート25上の転写コーティング18でコーティングされるが、印刷可能面14の残りの領域には、転写コーティング18はない。
【0030】
一時的積層体を形成し、転写シート16上の転写コーティング18を印刷可能シート10の印刷可能面14のトナーインク適用領域に接着させるのに必要とされる温度は、トナーインクの軟化点より高く、かつ、転写コーティング内の熱可塑性粒子の融点よりも低い。従って、熱可塑性粒子は、第1の転写ステップにおいては溶融して連続的なコーティングを形成しないが、トナーインク粒子は、溶融して転写コーティングに接着されるようになる。このプロセス・ステップは、画像を定める際に明瞭なラインを形成すること、及び、転写コーティングを画像領域及び非画像領域に比較的容易に分離することを可能にする。例えば、転写温度(即ち、H)は、約60℃から約120℃まで等、約50℃から約150℃までとすることができる。この温度で、トナーインク12は軟化し溶融して接着性になり、トナーインク12が、転写コーティング18に十分に接着することが可能になると考えられる。従って、分離後、印刷可能シート10のトナーインク適用領域は、転写シート16の転写コーティング18に接着し、トナーインクがない印刷可能面14の領域は、転写コーティング18から剥離される。
【0031】
一般的に言えば、転写コーティング18は、単層又は多層のいずれかの、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーを含むコーティングである。転写コーティングは、約10重量パーセントよりも多い膜形成結合剤、及び約95重量パーセントよりも少ない粉末熱可塑性ポリマーを含むことが望ましい。
【0032】
一般に、粉末熱可塑性ポリマーは、約140℃から約200℃までの範囲内等、例えば最大で約220℃までの第2の転写ステップの転写温度よりも低い温度で、軟化及び/又は溶融するであろう。一般に、約140℃はトナーインクの軟化点よりも高いので、この温度よりも低い温度では溶融しない熱可塑性ポリマーが好ましい。従って、熱可塑性粒子は、第1の転写ステップでは、溶融して連続的なコーティングを形成しないが、トナーインク粒子は、溶融して、転写コーティングに接着する。これは、画像画定における明瞭なラインの形成、及び、画像形成領域と非画像形成領域とへの転写コーティングの比較的容易な分離を可能にする。分子量は、一般に、熱可塑性ポリマーの融点特性及び粘度、並びに溶融ポリマーの特性に影響を与えるが、熱可塑性ポリマーの実際の分子量は、熱可塑性ポリマーの融点特性ほど重要ではない。
【0033】
しかしながら、当業者であれば認識するように、架橋結合の度合い、ポリマーバックボーンからの分鎖度の度合い、転写シート16上にコーティングされたときのポリマーの結晶構造等といった、ポリマーの他の特性がポリマーの融点に影響を与える可能性がある。
【0034】
粉末熱可塑性ポリマーは、本明細書で述べられる融点基準を満たす、あらゆる熱可塑性ポリマーとすることができる。例えば、粉末熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィン等(例えば、ポリエチレン、ポロプロピレン、ポリブチレン等)とすることができる。粉末熱可塑性ポリマーは、直径が約2マイクロメートルから約50マイクロメートルまでの粒子の形態で提供することができる。1つの特定の実施形態において、粉末熱可塑性ポリマーは、Arkema Inc.,社から入手可能なOrgasol 3502 EXDのような粉末ポリアミドコポリマーとすることができ、これは、17―23マイクロメートル(μm)の平均サイズをもつ粒子のナイロン6、12のコポリマーであり、かつ、約142℃の融点を有すると考えられている。
【0035】
膜形成結合剤はまた、必須ではないが、転写温度で軟化及び/又は溶融するような融点を有することができる。アクリルラテックス(ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、メタクリル酸、及びアクリル酸アクリレートエステル、アクリルアミドメタクリル酸、メタクリレートエステル、及びメタクリアミド等に由来する樹脂)、並びにコポリマー及びこれらの組み合わせといった、あらゆる適切な膜形成結合剤を、転写コーティングに用いることができる。特に好適な結合剤は、Michelman Chemical,Inc.社のエチレンアクリル酸コポリマー分散体であるMichem Prime 4983である。
【0036】
本発明者らは、適切な剥離コート紙上のポリアミド粒子及び結合剤の特定の組み合わせにより、トナーインク12がない印刷可能面14の領域に接着する又は流動することなく、印刷可能面14のインク適用領域に一時的に接着する能力が与えられることを発見した。従って、熱及び圧力の適用後、転写シート16及び印刷可能シート10が分離されると、転写コーティング18は、トナーインク12が存在する領域においてのみ印刷可能面14上に残り、その結果として、印刷可能シート10のインク適用領域に一致する領域に、転写コーティング18が除去された画像形成された中間転写シート24がもたらされる。熱可塑性粒子が約140℃から約220℃までの範囲内で溶融し、コーティングが剥離コート紙から容易に剥離され、かつ、成分の割合がそれぞれの粒子ごとに調整されるならば、ポリマー粒子と結合剤の他の組み合わせは、同様にうまく機能すると考えられる。
【0037】
一実施形態において、転写コーティングは、架橋剤を含むことができる。従って、架橋構造体は、架橋可能な膜形成結合剤及び架橋剤から形成することができる。架橋コーティングを用いることにより、スクリーンに転写する際の加熱されたコーティングの浸透を低減させることができるが、架橋コーティングの接着性は、依然としてかなりのものである場合がある。また、架橋は、コーティングの耐久性を向上させることができる。
【0038】
架橋剤は、存在する場合、転写コーティングが適用された後しばらくしてから(例えば、転写が実行される前、実際の転写プロセスの間、又は転写が完了した後)、架橋可能な膜形成結合剤と反応して、三次元ポリマー構造体を形成する。例えば、エポキシ樹脂等の幾つかの架橋剤は、何時間又は何日にもわたってコーティングを架橋させることができ、従って、剥離コート紙へのコーティングの適用から転写までの間に許された時間に応じて、転写の前、転写の間、又は転写の後で架橋すると考えられる。多官能性アジリジン等のより反応性の架橋剤は、数分から数時間で反応し、従って、転写プロセスにおいて使用する前にコーティングを架橋すると考えられる。反応して三次元ポリマー構造体を形成する、任意の対の架橋剤及び架橋剤を用いることができると考えられる。
【0039】
カルボキシル基を有する、結合剤を架橋させるために用いることができる架橋剤として、多官能性アジリジン、エポキシ樹脂、カルボジイミド、オキサゾリン官能性ポリマー等を含む。ヒドロキシル基を有する、結合剤を架橋させるために用いることができる架橋剤は、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、アミン−エピクロロヒドリン、多官能イソシアナート等を含む。1つの特に適した架橋剤は、Esprix社によりCR5Lという名称で販売されているエポキシ樹脂のような水溶性エポキシ樹脂を含む。架橋剤は、約0.1重量%から約5重量%まで等、最大約10重量(乾燥)%まで存在することができる。転写前に反応する架橋剤を使用する場合、特定のコーティングにおいて用いられる架橋剤の量を調整して、接着性であるが、スクリーンを完全に通り抜けて浸透するほど流動性ではない転写温度で、軟化したコーティングを得ることができる。当然のことながら、幾つかの架橋剤は、他のものよりも効果的であり、従って、より効果的な架橋剤を少量で用いるべきである。
【0040】
別の実施形態においては、1つの層のみが架橋される2層転写コーティングを用いることができる。例えば、まず、架橋層を剥離コート紙に適用し、その後に非架橋層を適用することができる。次に、コーティングを転写すると、非架橋層は、コーティングをスクリーンに接着させる目的を果たすことができ、耐久性のある架橋層は表面上に残存する。
【0041】
膜形成結合剤及び架橋剤に加えて、架橋可能な転写コーティングにおいて、架橋触媒を存在させて、膜形成結合剤内の架橋、及び、架橋剤と他のポリマー材料の間の架橋を容易にすることができる。例えば、エポキシ樹脂のための特に好適な架橋触媒は、2−メチルイミダゾールを含むことができ、これはエポキシ樹脂を架橋させるための触媒として作用する。
【0042】
転写コーティング内に、他の添加剤が存在してもよい。例えば、1つの特定の実施形態においては、転写コーティング内に少なくとも1つの界面活性剤が存在する。界面活性剤は、コーティングの粉末熱可塑性ポリマーの分散を助けることができる。界面活性剤は、約2%から約15%までといった、最大約20%まで転写コーティング内に存在することができる。1つの特定の実施形態においては、少なくとも2つの界面活性剤の組み合わせが、転写コーティング内に存在する。例示的な界面活性剤は、ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のRohm&Haas Co.社からTriton(登録商標)X−100として市販されるような、親水性ポリエチレンオキシド基(平均で、9.5エチレンオキシド単位を有する)及び炭化水素親油性又は疎水性基(例えば、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)―フェノール)を有する非イオン性界面活性剤といった、非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0043】
可塑剤も、転写コーティング内に含ませることができる。可塑剤は、一般に、プラスチックのガラス転移温度を下げる(従って、これをより柔らかくする)ことによって、最終生成物の可撓性を高める添加剤である。同様に、粘度調整剤を転写コーティング内に存在させてもよい。転写コーティング内に含ませることができる他の材料は、これらに限定されるものではないが、充填剤、潤滑剤、スリップ剤等を含む。
【0044】
剥離層20は、一般に、転写シート16内に含まれ、印刷可能面14のトナーインク適用領域への転写コーティング18の剥離を容易にする。剥離層20は、剥離可能なラベル、マスキング・テープ等を作製する技術分野において周知である多種多様な材料から製造することができる。一実施形態において、剥離層20は、転写温度では本質的に接着性がない。本明細書で用いられる「転写温度では本質的に接着性がない」という句は、剥離層20は、転写の品質に悪影響を与えるのに十分な程度までは、上にある転写コーティング18に接着しないことを意味する。剥離コーティングの厚さは、重要ではない。正しく機能するために、転写コーティング18とベースシート22との間の結合は、印刷可能シート10への転写後にベースシート22から転写コーティング18を除去するのに、1インチ当たり約0.01ポンドから約0.3ポンドまでの力が必要とされる程度にするべきである。力が大きすぎる場合、転写シート16又は印刷可能シート10は、除去されるときに裂けたり、或いは、伸びて変形したりする可能性がある。力が小さすぎる場合は、転写コーティング18は、望ましくないことに、処理の間に不適切に剥がれてしまう可能性がある。
【0045】
剥離層は、これらに限定されるものではないが、コーティングされるベースシート22と、これに適用される転写コーティング18とを含む多数の要因によって大幅に変わる層厚を有することができる。典型的には、剥離層は、約2ミル(52ミクロン)より薄い厚さを有する。より望ましくは、剥離層は、約0.1ミルから約1.0ミルまでの厚さを有する。さらにより望ましくは、剥離層は、約0.2ミルから約0.8ミルまでの厚さを有する。剥離層の厚さはまた、基本重量で表すこともできる。剥離コーティング層は、約2g/m2から約30g/m2までといった、約45g/m2より少ない基本重量を有することが望ましい。
【0046】
随意的に、転写シート16は、ベースシート22と剥離層20との間に適合層(conformable layer)(図示せず)をさらに含み、転写コーティング18と印刷可能シート10の印刷可能面14との間、並びに、スクリーンと転写コーティングとの間の接触を容易にすることができる。
【0047】
ベースシート22は、付加的な層のコーティング、転写条件、及び転写シート16と印刷可能シート10の分離を処理するのに十分な強度を有する任意のシート材料とすることができる。例えば、ベースシート22は、膜又はセルロース不織ウェブとすることができる。しかしながら、ベースの正確な組成、厚さ又は重量は、転写プロセスに重要ではない。可能なベースシート22の幾つかの例には、セルロース不織ウェブ及びポリマー膜が含まれる。これらに限定されるものではないが、一般的なリソ・ラベル紙、ボンド紙及びラテックス飽和紙を含む、多数の異なるタイプの紙が、本発明に適している。一般に、約4ミルの厚さの紙の裏当てが、大抵の用途に適している。例えば、紙は、1300平方フィート当たり24lbの、Neenah PaperのAvon White Classic Crestのような、普通のオフィス用プリンタ又はコピー機に用いられるタイプとすることができる。
【0048】
転写シート16を形成するためにベースシート22に適用される層は、ロール、ブレード、マイヤー・ロッド、及びエア・ナイフ・コーティング手法によるような、周知のコーティング技術によって、所与の層上に形成することができる。次に、例えば、蒸気加熱ドラム、空気衝突、放射加熱、又はこれらの何らかの組み合わせによって、結果として得られた画像転写材料を乾燥させることができる。
【0049】
III.転写コーティングを用いてステンシル・スクリーンを形成する
一時的積層体を、画像形成された中間転写シート24と転写コーティングされた中間印刷可能シート25に分離した後、2つの異なる方法を用いて、ステンシル・スクリーンを形成することができる。一実施形態においては、画像形成された中間転写シート24を用いて、ステンシル・スクリーンを形成することができる。代替的な実施形態においては、転写コーティングされた中間印刷可能シート25を用いて、ステンシル・スクリーンを形成することができるが、この実施形態においては、トナーインクの剥離を可能にする印刷可能シートが必要である。
【0050】
ユーザは、スクリーン印刷された最終繊維基材上に、ポジ画像を形成するか又はネガ画像を形成するかを選択することができる。当業者であれば認識するように、スクリーン印刷された最終繊維基材上にポジ画像を形成するには、閉鎖メッシュ領域によってネガ型に定められた画像を有するステンシル・スクリーンを使用することが必要である。代替的に、ユーザは、ステンシル・スクリーンの閉鎖メッシュ領域によって定められたポジ画像を有するステンシル・スクリーンを使用して、スクリーン印刷された最終繊維基材上にネガ画像を印刷するよう選択することができる。当然ながら、当業者であれば、以下の2つの方法は、第1のステップにおいて印刷可能シート10上にポジ型に印刷された画像に関して説明されることを認識するであろう。ネガ画像が印刷可能シート10に適用された場合、この方法の以下の結果は、反対になる。
【0051】
A.画像形成された中間転写シートの使用
印刷可能シート10上に印刷された画像の鏡像であるポジ型に定められた画像を有するスクリーン印刷された基材を形成するために、以下のように画像形成された中間転写シート24を使用する。まず、図5Aに示されるように、画像形成された中間転写シート24をスクリーン26の上に位置決めして、残りの転写コーティング18がスクリーン26に接触するようにする。次に、画像形成された中間転写シート24は、スクリーン26に押し付けられ、熱(H’)及び圧力(P’)を加えて、残りの転写コーティング18を転写する。
【0052】
スクリーン26への転写コーティング18の第2の転写は、約150℃よりも高いといった、熱可塑性ポリマーを溶融するのに十分な温度で行なわれる。一実施形態において、この第2の転写は、約160℃から約200℃までの温度で行なうことができる。これらの高温では、画像形成された中間転写シート24の残りの転写コーティング18は、軟化してスクリーン26のメッシュ領域に結合する。
【0053】
架橋剤が使用される実施形態において、この第2の転写ステップはまた、コーティングを架橋させて、スクリーン・メッシュと絡み合う中実の三次元架橋構造体を形成することもできる。具体的には、三次元架橋構造体を、メッシュの繊維の周りに一体形成し、架橋可能な転写コーティングが適用されるスクリーンの領域を閉鎖することができる。三次元架橋構造体は、スクリーン印刷プロセスの間に適用されるどのようなインク、塗料、又は他のカラー材料の流れを防ぐのに十分なものである。
【0054】
この時点で、必要に応じて、上記で説明されたステップを繰り返すことによって、転写コーティングの付加的な層をスクリーンに適用することができる。付加的な層は、スクリーンのどちらの側にも適用できるが、既にコーティングされた側とは反対の側に適用する場合、前側のコーティングの鏡像を定める必要がある。また、必要に応じて、この時点で、低粘度の溶液又はエマルションをスクリーンに塗布して、スクリーン上のコーティングの耐久性を強化することができる。
【0055】
スクリーン印刷プロセスにおいてステンシル・スクリーン30を用いる場合、インク、塗料、又は他の材料は、開口メッシュ領域29を通して適用され、最終基材上にポジ画像を形成する。
【0056】
B.転写コーティングされた中間印刷可能シートの使用
転写コーティングされた中間印刷可能シート25を用いて基材上にネガ画像を形成するために、印刷可能シートは、熱及び圧力を用いて積層された後でさえも、トナー及び転写コーティングをスクリーンに剥離するものでなければならない。例えば、印刷可能シートは、Neenah Paperの画像クリップ熱転写システムの「画像形成シート」(Neenah Paper,Inc.社)とすることができる。図6A−図6Dに示されるように、印刷され、コーティングされた画像形成シートは、印刷可能シート10のインク適用領域12上の転写コーティング18がスクリーン26に接触するように、スクリーン26に隣接して位置決めされる。次に、熱(H’)及び圧力(P’)を加え、転写コーティング18をスクリーン26に転写する。印刷可能シート10を除去した後、転写コーティング18をスクリーン26内に適用し、閉鎖メッシュ領域28を形成する。トナーインク12は、少なくとも部分的にスクリーン26に転写されるが、トナーインクの全てを転写することは重要ではない。具体的には、スクリーン26は、画像がスクリーン26の閉鎖メッシュ領域28内にポジ型に形成され、開口メッシュ領域29を残した状態で形成される。
【0057】
この時点で、必要に応じて、転写コーティングの付加的な層を、元のコーティングと同じ側か、又は反対側のスクリーンに適用することができる。しかしながら、付加的な層を反対側に適用する場合、この付加的な層は、前側のコーティングによって定められる画像の鏡像でなければならない。また、必要に応じて、例えば、低粘度の溶液又はエマルションを塗布して、スクリーン上の転写コーティングの表面をコーティングすることにより、スクリーン上のコーティングの耐久性を強化することができる。
【0058】
スクリーン印刷中、インク、塗料、又は他の物質は、開口メッシュ領域29を通り抜けて最終繊維基材上に移動し、ネガ画像が印刷可能シート10上に印刷されたスクリーン印刷基材を形成することができる。
【0059】
IV.ステンシル・スクリーンを用いた繊維基材へのスクリーン印刷
ステンシル・スクリーン30が形成された後、スクリーンは、基材に隣接して配置される。ステンシル・スクリーン30の開口メッシュ領域29を通して、インク、染料、塗料、又は他の物質を基材に適用し、閉鎖メッシュ領域28は、着色物質がステンシル・スクリーン30を通り抜けるのを防ぐ。従って、基材上に形成される画像は、ステンシル・スクリーン30の開口メッシュ領域29によって定められる画像と本質的に同じである。スクリーン印刷プロセスにおいて、適用されるインク又は他の材料は、スクリーンの両側に適用することができる。当然のことながら、一方の側を使用すると画像の前面が提供され、反対の側を使用すると画像の裏面(鏡像)が提供される。転写コーティングをスクリーンの片面のみに適用する場合、コーティング面を基材に押し当てて置き、インク又は他の材料を裏側から適用すれば、コーティングはあまり摩耗しないと思われる。
【0060】
どのようなスクリーン26も、このプロセスで用いることができる。しかしながら、転写温度でかなり溶融し、収縮し、又は歪む材料で作製されたスクリーンは、明らかに適していない。同様に、転写コーティングは、使用中に剥離し始めないように、十分にスクリーンに接着させる必要があることも等しく明らかである。この点に関して、スクリーンを洗浄してオイル、グリース等を除去すること、又は、下塗剤でスクリーンを前処理することは、有用である場合がある。適切なスクリーンは、商業的に容易に入手可能であり、種々のメッシュ・サイズを含む。同様に、スクリーンは、これらに限定されるものではないが、ポリマー繊維、シルク繊維、綿繊維等を含む、スクリーン26のメッシュを定める多くのタイプの材料のものが商業的に入手可能である。当業者であれば、自分の使用目的に合わせて特定のスクリーンを調整することができる。
【0061】
同様に、これらに限定されるものではないが、インク、染料、塗料等を含む任意のタイプの物質を用いて、最終基材上に画像をスクリーン印刷することができる。当業者であれば、自分の使用目的に合わせて特定の物質を調整することができる。
【0062】
本開示のステンシル・スクリーン30を用いることによって、任意の基材にスクリーン印刷することができる。1つの特定の実施形態において、基材は、これに限定されるものではないが、衣服(例えば、シャツ、ズボン等)を作製するのに用いられるような織布を含む、繊維基材とすることができる。織布は、織布の作製に使用するのに適した任意の繊維(例えば、綿繊維、シルク繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等)を含むことができる。例えば、繊維基材は、綿繊維を含むTシャツとすることができる。代替的に、基材は、壁のような、ほぼ平坦な品目とすることができる。
【実施例1】
【0063】
黒色のネガ・グラフィック・デザインを、HP 4600 カラー・レーザプリンタを用いて、印刷可能シート(Neenah Paper,Inc.社からPHOTO−TRANS(登録商標)Image Clip Imaging Sheet(画像クリップ画像形成シート)として入手可能)に画像形成した。次に、画像形成された紙を、210°F(約99℃)の温度で20秒間熱プレスして、転写シート(Neenah Paper,Inc.社からPHOTO−TRANS(登録商標)Image Clip Imaging Sheetとして入手可能)を積層した。まだ熱いうちに積層体を分離した。画像形成されたシートは、トナーが存在するインク適用領域上に転写された転写コーティングを含むものであった。次に、画像形成シートを、350°F(約177℃)で30秒間熱プレスして、スクリーン印刷用に設計されたスクリーン(ワシントン州バンクーバー所在のRyonet Corp.社から86 Mesh Whiteとして入手可能な)に積層した。上部プレスプラテンを取り除くと、積層体はカールし、コーティングの破損が生じた。実験を繰り返したが、転写ステップの前に、350°Fで60秒間熱プレスによりスクリーンを熱処理した。今度は、カールが大幅に減少し、冷却後に紙を除去し、ステンシル・スクリーンができた。しかしながら、スクリーンのコーティングされた領域内に多数の孔があった。この孔は、画像形成領域を位置合わせして、同じ方法で別の転写を第1の層の上に行なうことによって排除された。別個の実験において、第1の転写の鏡像であり、第1の転写と位置合わせされた画像を用いて、第1の転写とは反対側に第2の転写層を適用することによって、孔が排除された。
【0064】
全く同じ方法で、Oki 9300又はLexmark C534nのいずれかのプリンタを用いて印刷された黒色トナー画像を使用し、PHOTO−TRANS(登録商標)Image Clip紙を用いて行われた転写は、成功しなかった。第2の転写ステップにおいて、トナーインクは、PHOTO−TRANS(登録商標)Image Clip紙に強く接着しすぎたため、確実な転写ができなかった。
【実施例2】
【0065】
黒色のネガ・グラフィック・デザインを、HP 4600 カラー・レーザプリンタを用いて、印刷可能シート(Neenah Paper,Inc.社から、約100のシェフィールド平滑度を有する24ポンドClassic Crest(登録商標)Supersmoothとして入手可能)に画像形成した。以下に説明するように準備された転写紙1、2及び3を成功裏に使用して、240°F(約115℃)で30秒間熱プレスして、転写コーティングを転写紙から画像形成された紙に転写した。まだ熱いうちにシートを分離した。次に、350°F(約177℃)で60秒間スクリーンを熱処理した後に、画像形成領域が除去された中間シートを、実施例1のようにスクリーンに積層した。紙を冷却し、除去した後にステンシル・スクリーンが得られた。
【0066】
転写シート1は、24ポンドのClassic Crest(登録商標)Supersmoothの第1の層(ベースシート)と、ポリエチレン(Chevron Phillips Chemical LLCからChevron 1019として入手可能)の第2の層(適合層)と、剥離コーティングと、転写コーティングとから構成された。剥離コーティングは、1平方メートル当たり10グラムの基本重量で適用され、かつ、100乾燥部のHycar 26706(オハイオ州クリーブランド所在のNoveon,Inc.社製アクリルラテックス)、5乾燥部のXAMA 7(Bayer Material Science NAFTA製の多官能性アジリジン架橋剤)、及び5乾燥部のミシガン州ミッドランド所在のDow Corning社から入手可能なDow Corning Surfactant 190から構成されていた。転写コーティングは、100乾燥部のOrgasol 3502 EXD(20ミクロンの平均粒径及び摂氏142度の融点を有する、ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のArkema社製のポリアミド粒子)、30乾燥部のMichem Prime 4983、3乾燥部のTergitol 15S40、3乾燥部のKlucel G(デラウェア州ウィルミントン所在のHercules社製のヒドロキシプロピルセルロース)、及び0.5部のアンモニアのおよそ30%の固体混合物として、1平方メートル当たり24グラムの基本重量で適用された。
【0067】
転写紙2は、0.5乾燥部のXAMA 7を転写コーティングに添加されたことを除いて、転写紙1と同じであった。
転写紙3は、Michem Prime 4983の量が40乾燥部まで増加され、かつ、40乾燥部の分散した二酸化チタンが添加されたことを除いて、転写紙1と同じであった。
実施例2は、転写紙2、並びに、Okidata 9300 カラー・レーザプリンタ及びLexmark C534nプリンタを用いて別個に印刷された、Classic Crest(登録商標)24ポンドSupersmooth紙上で、黒色画像を用いて成功裏に繰り返された。
【実施例3】
【0068】
ステンシル・スクリーンが、熱プレスを用いる代わりに、手でアイロンがけをすることによって準備された。Okidata 9300 カラー・レーザプリンタを用いて、黒色トナー画像が、Neenah PaperのClassic Crest(登録商標)24ポンドSupersmooth紙上に印刷された。Tシャツ材料の4つの層を硬いテーブル面上に置き、白紙の紙シート、次に表を上にした転写シート、次に約7インチ×5インチのサイズの、表を下にした画像形成シートと重ねた。これに、Black and Decker社のDigital Advantage手がけ用アイロンを2の設定にしてアイロンをかけた。この設定のアイロンの表面温度は、約220°F(約104℃)から約260°F(約127℃)まで変化することが分かった。アイロンがけは、平均すると1回15秒、合計して3分間、両手で高い圧力をかけて行なった。冷却後、転写紙の中間物を画像形成シートから剥離した。次に、350°Fで60秒間熱処理したRyonet 86メッシュ・スクリーンのシートをTシャツ材料の4つの層の下に再び重なった白紙の紙シート上に配置し、第1のアイロンがけステップで得られた熱転写紙の中間物を、スクリーンの上に配置した。アイロンがけは、前と同じく3分間行われたが、アイロンを7に設定した(この設定では、アイロン表面の温度は、約350°Fから約420°Fまで変化することが分かった)。冷却後、紙を除去し、ステンシル・スクリーンが成功裏に得られた。
【0069】
本発明は、特定の実施形態に関して詳細に説明されたが、当業者であれば、上記の理解を得た場合に、これらの実施形態の代替物、変形物及び均等物を容易に考え得ることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのいずれかの均等物として判断されるべきである。
【符号の説明】
【0070】
10:印刷可能シート
12:トナーインク
14:印刷可能面
16:転写シート
18:転写コーティング
20:剥離層
22:ベースシート
24:画像形成された中間転写シート
25:転写コーティングされた中間印刷可能シート
26:スクリーン
28:閉塞メッシュ領域
29:開口メッシュ領域
30:ステンシル・スクリーン
H、H’:熱
P、P’:圧力
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷は、美術及び商業印刷の両方において普及しており、Tシャツ、帽子、CD、DVD、セラミック、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、紙、金属及び木材の上に画像を印刷するのに一般的に用いられる。実際に、スクリーン印刷は、全ての印刷方法の中で最も用途が広いと言うことができる。
【0003】
伝統的に、スクリーンは、一般に、多孔性の目の細かい布(例えば、ポリマー繊維、シルク繊維等)で構成される。スクリーンをフレームにわたして引き伸ばして、スクリーン緊張状態にすることができる。スクリーンの領域を非透過性の材料でブロックすることによって、ステンシル・スクリーンが形成されるが、これは印刷される画像のネガであり、つまり、開口空間が、インクが最終基材上に現われることになる場所となる。次に、インクが、ステンシル・スクリーンを通り抜けて基材の上に押し出され、インクは、ステンシル・スクリーンによって輪郭が描かれた画像の形状になる。
【0004】
ステンシル・スクリーンを作製する多くの方法は、特殊な化学物質(例えば、感光性樹脂)、専用の技術及び特殊装置(例えば、UV硬化ランプ)が通常は必要となるため、一般の人々にとって容易に利用できるものではない。従って、一般の人々は、典型的には、ステンシル・スクリーンの生成については民間業者に依存し、通常は、ステンシル・スクリーンを用いて最終基材上に印刷することについては専門店に依存する。しかしながら、一般の人々の多くは、自分自身の使用のために独自のステンシル・スクリーンを形成し、より個人化されたスクリーン印刷物を形成することを望む場合がある。さらに、かかるスクリーンがもっと容易に入手できれば、それらを用いて、壁及び家具等の比較的移動が困難な品物に印刷することが、より実現可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TAPPI Test Methods、T538 om−88、Vol.1、1991年(ジョージア州アトランタ所在のTAPPI Pressにより刊行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、一般の人々のほとんど誰もが各自の個人化されたスクリーン印刷基材を形成できるようにステンシル・スクリーンを形成する、比較的容易な方法に対する必要性が現在のところ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、本開示は、画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法に向けられる。転写コーティングの部分は、印刷可能面を定める印刷可能シートを用いて熱転写(例えば、約150℃よりも低い温度で)により転写シートから除去される。転写シートから除去された転写コーティングの部分は、印刷可能シートの印刷可能面上にトナーインクが存在する領域に対応する。
【0008】
下記に説明されるように、転写コーティングは、転写紙上に残存する部分又は印刷可能シートに転写された部分のいずれも、次にスクリーンに転写されて、転写コーティングが存在する場所に対応する閉塞メッシュ領域を有するステンシル・スクリーンを形成することができる。この転写は、約150℃よりも高い温度で行なうことができる。一実施形態において、スクリーンへの転写は、転写紙から行われる。従って、印刷可能シート及びトナーインクは、スクリーンへの転写には必要ないので、種々の印刷可能シート及び種々のトナーインクを有効に用いることができる。代替的に、スクリーンへの転写が印刷可能シートから行われる実施形態においては、転写コーティングと共にトナーインクの少なくとも一部の転写を可能にする印刷可能シートが必要とされる。
【0009】
随意的に、スクリーンに転写されたコーティングの耐久性は、スクリーンの前面(転写コーティングが塗布された側)、又は反対側(裏面)のいずれかに上塗り(overcoating)することによって強化することができる。好ましくは、耐久性を高めるために用いられる材料は、ポリマー材料の低粘性溶液又は分散体であり、その低粘性により、スクリーンのメッシュの空隙が埋まらず、従って、転写コーティングで覆われていない領域におけるインクの浸透をブロックしない。
次にステンシル・スクリーンを用いて、種々の繊維基材のいずれの上にも画像をスクリーン印刷することができる。
本発明の他の特徴及び態様について、以下により詳細に記述する。
【0010】
当業者への最良の形態を含む、本発明の完全かつ実施可能な開示が、添付の図面を参照する明細書の残りの部分でより具体的に記載される。
本明細書及び図面における参照文字の反復使用は、本発明の同一又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ステンシル・スクリーンを形成するのに用いるための中間転写シートを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図2】ステンシル・スクリーンを形成するのに用いるための中間転写シートを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図3】ステンシル・スクリーンを形成するのに用いるための中間転写シートを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図4】ステンシル・スクリーンを形成するのに用いるための中間転写シートを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図5A】ポジ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図5B】ポジ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図5C】ポジ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図5D】ポジ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図6A】ネガ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図6B】ネガ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図6C】ネガ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【図6D】ネガ画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるための、ステンシル・スクリーンを準備する例示的な方法を連続的に表す。
【0012】
定義
本明細書で用いられる「印刷可能」という用語は、例証として、ダイレクト及びオフセットグラビア・プリンタ、シルクスクリーン、タイプライター、レーザプリンタ、レーザコピー機、その他のトナー・ベースのプリンタ及びコピー機、ドットマトリクスプリンタ、並びにインクジェットプリンタ等のあらゆる手段により材料上に画像を配置することを可能にすることを含むものと意図されている。
【0013】
本明細書で用いられる「ステンシル・スクリーン」という用語は、ブロックされた領域及び開口された領域を有するスクリーンを指す。スクリーンのブロックされた領域は、印刷される画像のネガを定める、つまり、開口空間は、インクが最終基材上に現れることになる場所である。次にインクが、ステンシル・スクリーンを通り抜けて基材上に押し出され、インクは、開口領域によって定められた画像の形状を呈すが、インクは閉鎖領域を通り抜けない。
【0014】
「トナーインク」という用語は、本明細書では熱で印刷可能な基材に溶融されるように適合されたインクを説明するように用いられる。
「分子量」という用語は、一般に、文脈から別の意味が明らかであるか、又はこの用語がポリマーについて言及していない限り、重量平均分子量のことを指す。分子量の単位は、時として「ダルトン」と呼ばれる原子質量単位であることが、長い間理解され、受け入れられてきた。従って、現在の文献では、単位が与えられることは稀である。従って、こうした慣例に合わせて、本明細書では分子量について単位を表わさない。
【0015】
本明細書で用いられる「セルロース不織ウェブ」という用語は、少なくとも約50重量パーセントのセルロース繊維を含有する任意の織布又はシート状材料を含むように意図される。セルロース繊維に加えて、ウェブは、他の天然繊維、合成繊維、又はそれらの混合物を含有することができる。セルロース不織ウェブは、比較的短い繊維を空気堆積又は湿式堆積してウェブ又はシートを形成することによって調製することができる。従って、この用語は、製紙用完成紙料から調製された不織ウェブを含む。こうした完成紙料は、セルロース繊維のみを含むことができ、又は、セルロース繊維と他の天然繊維及び/又は合成繊維との混合物を含むことができる。また、完成紙料は、製紙技術分野において周知のように、例えばクレー及び二酸化チタンなどの充填剤、界面活性剤、消泡剤等のような添加剤及び他の材料を含有することもできる。
【0016】
本明細書で用いられる「ポリマー」という用語は、一般的に、これらに限定されるものではないが、ホモポリマー、例えば、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、ランダムコポリマー及び交互コポリマーのようなコポリマー、ターポリマー、並びにこれらのブレンド及び修飾物を含む。さらに、特に断りのない限り、「ポリマー」という用語は、材料の全ての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの構成は、これらに限定されるものではないが、アイソタクチック対称、シンジオタクチック対称、及びランダム対称を含む。
【0017】
「熱可塑性ポリマー」という用語は、本明細書では、加熱されたときに、軟化し流動するあらゆるポリマーを意味するように用いられ、かかるポリマーは、加熱がポリマーの分解温度よりも低い場合、特性に何の基本的変化を受けることなく、何回でも加熱し軟化させることができる。熱可塑性ポリマーの例としては、ほんの一例として、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アクリル酸エスエル・ポリマー及びコポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等、並びにこれらのコポリマーが挙げられる。
【0018】
当業者には周知のように、「シェフィールド平滑度」は、印刷媒体(例えば、紙シート)の平滑度(又は、粗さ)を測定して定量化するために確立している。本明細書で用いられるシェフィールド平滑度値は、標準化された手法(非特許文献1)に従って求めることができ、これは、引用により本明細書に組み込まれる。シェフィールド平滑度を求めるために、ニューヨーク州クィーンズベリーのHagerty Technologies Inc.社製の538型紙平滑度試験機、並びに、ニューヨーク州アミティビルのTesting Machine Inc.社から入手可能なシェフィールド紙ゲージ等の商業機器が、使用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
当業者は、この議論が、例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広範な態様を限定するように意図されるものではなく、これらのより広範な態様は、例示的な構成において具体化されることを理解すべきである。
【0020】
一般的に言えば、本発明は、スクリーン印刷に用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法に向けられる。本方法は、比較的簡単な方法を提供し、ほぼ全てのユーザが、スクリーンに適用されたパターンをカスタマイズしてステンシル・スクリーンを生成することを可能にする。本質的には、本開示の方法に従って、ユーザが印刷可能シート上に印刷することができるあらゆるデザイン、文字、形状、又は他の画像をスクリーンに転写し、ステンシル・スクリーンを形成することができる。従って、本開示は、感光性樹脂、UVランプ、スクリーンへの特別な感光性エマルションの湿式適用などを必要とせずに、基材上にスクリーン印刷画像を生成する、安価で柔軟な方法について説明する。従って、民間業者にステンシル・スクリーンを生成させる必要性が減少する。
【0021】
I.印刷可能シート上への印刷
基材上にステンシル画像を生成するために、トナー画像が、まず、トナー印刷可能シート上に適用される(例えば、印刷される)。特定の実施形態において、画像は、レーザプリンタ又はレーザコピー機によって印刷可能シート上にデジタル印刷することができる。デジタル印刷は、印刷可能シート上に高品質の画像を印刷する周知の方法である。当然のことながら、これに限定されるものではないが、デジタルオフセット印刷を含む他のあらゆるトナー印刷方式を用いて、画像を印刷可能シート上に印刷することができる。トナーは、十分に低い温度(例えば、約50℃から約150℃まで)で溶融して接着性になり、本発明のコーティングの転写が可能になるので、本方法では、トナー印刷を用いる。
【0022】
典型的には、トナーインクの組成は、用いられる印刷プロセスによって変わる。必要ではないが、黒インクのみを用いて画像を印刷し、白黒画像を生成することができる。白黒画像の使用は、幾つかの異なるカラーインクを用いるカラー画像の形成と比較すると、インク費用を軽減することができる。
【0023】
印刷可能シートの印刷可能面上に形成された画像は、「ポジ」画像又は「ネガ」画像のいずれかとすることができる。「ポジ」画像は、印刷可能シートに適用されたインクによって定められる画像である。ポジ画像を作成するには、インクは、画像を形成するために必要とされるその領域にのみ適用される。従って、インクが適用された印刷可能シートの領域(例えば、白い印刷可能シート上に黒インクを用いる場合、印刷可能面上の黒い領域)において、画像は、ポジ型に(positively)定められる。例えば、インクは、文字を形成するために必要とされる領域にのみ適用されるので、この紙シート上の黒い文字は、ポジ型に定められた画像である。他方、「ネガ」画像は、インクがない印刷可能面の領域によって定められる画像である。ネガ画像を作成するために、インクは、画像を形成するために必要な場所を除いて、周囲の表面積全体に適用される。従って、インクがない印刷可能面の領域(例えば、白い印刷可能面上に黒インクを用いる場合、印刷可能面上の白い領域)において、画像はネガ型に(negatively)定められる。
【0024】
印刷可能シート上に(ポジ型に又はネガ型に)印刷された画像は、最終的には、ステンシル・スクリーン及び最終基材上に生成される画像のためのテンプレートになる。しかしながら、以下により詳細に説明するように、用いられる特定の方法によって、印刷可能シート上に印刷された画像は、最終的に最終品目に適用される画像のポジ又はネガのいずれかとすることができる。この印刷プロセスの可用性は極めて大きいため、ほとんど全ての消費者が、自分のカスタマイズした画像を容易に生成して、ステンシル・スクリーンを作製するためのテンプレートとして用いることができる。
【0025】
図1を参照すると、例示的な印刷可能シート10が、その印刷可能面14上にトナーインク12が適用された状態で示される。図1において、画像は、インク適用領域内にポジ型に形成され、印刷可能面14の残りの部分には、実質的にインクがない。開示される方法に従って、印刷可能面14を有するあらゆる適切なシート(例えば、ウェブ、フィルム、又はその組み合わせ)を、印刷可能シート10として用いることができる。例えば、印刷可能シート10は、印刷可能面14を定めるセルロース不織ウェブとすることができる。1つの特定の実施形態において、印刷可能シートは、比較的滑らかなものとすることができ、より画像を定めることを可能にする。さらに、より滑らかな表面をもつ印刷可能シートは、表面同士のより密接な接触を通じて、転写シートから印刷可能シートへの転写コーティングの転写を容易にすることができる。一実施形態において、印刷可能シートは、約150より小さいといった、約300より小さいシェフィールド平滑度を有することができる。
【0026】
上述のように、トナーインク12を用いて、印刷可能シート10の印刷可能面14上に、ポジ画像又はネガ画像を形成することができる。印刷可能面14上にトナーインク12を適用した後、結果として得られるステンシル・スクリーンを生成する方法は、印刷可能シート上に印刷された画像がポジ型であっても又はネガ型であっても、実質的に同じである。しかしながら、簡単にするために、以下の議論は、印刷可能シート10の印刷可能面14上に、トナーインク12により定められたポジ型に形成された画像に関連している。当業者であれば、印刷可能シート10上にネガ型に形成された画像の使用は、以下の方法における結果として得られるステンシル・スクリーン及びスクリーン印刷基材を本質的に逆にするものであることを理解するであろう。
【0027】
II.印刷可能シートの印刷領域上への転写コーティングの適用
印刷可能シート10の印刷可能面14上にトナーインク12を適用した後、印刷可能シート上の画像を用いて、熱転写により転写コーティングの一部を転写シートから除去する。具体的には、転写シートからの転写コーティングは、トナーインク12が存在する領域においてのみ、印刷可能シート10の印刷可能面14に接着する。次に、シートを分離する(例えば、剥離する)ことができ、印刷可能シートのインク適用領域に接着した転写コーティングの部分が、転写シートから除去される。例えば、図2は、転写コーティング18が剥離層20及びベースシート22の上に重なる、転写シート16を示す。具体的には、示される転写シート16において、転写コーティング18は、転写シート16の露出面を定め、剥離層20の上に重なる。次に剥離層20は、ベースシート22の上に重なる。図2−図4には2つの別個の層として示されるが、剥離層20をベースシート22内に組み込むことができるので、これらは、剥離特性を有する1つの層であるように見える。
【0028】
転写コーティングの、コーティング重量又は厚さは、スクリーンを覆う又は満たすのに十分なものである。一般に、転写コーティング重量は、必要に応じて調整することができ、例えば、目の細かいスクリーンは、目の粗いスクリーンよりも必要とするコーティングが少ないと考えられる。実際上、1平方メートルあたり約10グラムから約30グラムまでといった、1平方メートルあたり約5グラムから約50グラムまでのコーティング重量が有用である。
【0029】
図2−図4に示されるように、トナーインク12が存在する印刷可能面14の領域において転写コーティング18を転写シート16から除去するために、転写シート16は、転写コーティング18と印刷可能面14が直接接触するように、印刷可能シート10に隣接して配置される。熱H及び圧力Pが加えられると、転写コーティング18は、トナーインク12が適用された印刷可能面14の領域(即ち、インク適用領域)に接着するが、トナーインク12がない印刷可能面14の領域には接着しない。熱H及び圧力Pを加えることにより、印刷可能シート10と転写シート16は、一時的積層体として一緒に積層される。転写紙シート16が印刷可能シート10から分離される(例えば、剥離される)と、トナーインク12が転写コーティング18に接触した領域においてのみ転写コーティング18が転写シート16から除去された、画像形成された中間転写シート24が生成される。従って、印刷可能シート10に適用されたポジ画像は、画像形成された中間転写シート24上の残りの転写コーティング18によって定められたネガ画像になる。同様に、印刷可能面14は、インク12が存在する領域においてのみ転写コーティング18でコーティングされ、転写コーティングされた中間印刷可能シート25を形成する。従って、印刷可能シート10上のポジ画像は、ここで、転写コーティングされた中間印刷可能シート25上の転写コーティング18でコーティングされるが、印刷可能面14の残りの領域には、転写コーティング18はない。
【0030】
一時的積層体を形成し、転写シート16上の転写コーティング18を印刷可能シート10の印刷可能面14のトナーインク適用領域に接着させるのに必要とされる温度は、トナーインクの軟化点より高く、かつ、転写コーティング内の熱可塑性粒子の融点よりも低い。従って、熱可塑性粒子は、第1の転写ステップにおいては溶融して連続的なコーティングを形成しないが、トナーインク粒子は、溶融して転写コーティングに接着されるようになる。このプロセス・ステップは、画像を定める際に明瞭なラインを形成すること、及び、転写コーティングを画像領域及び非画像領域に比較的容易に分離することを可能にする。例えば、転写温度(即ち、H)は、約60℃から約120℃まで等、約50℃から約150℃までとすることができる。この温度で、トナーインク12は軟化し溶融して接着性になり、トナーインク12が、転写コーティング18に十分に接着することが可能になると考えられる。従って、分離後、印刷可能シート10のトナーインク適用領域は、転写シート16の転写コーティング18に接着し、トナーインクがない印刷可能面14の領域は、転写コーティング18から剥離される。
【0031】
一般的に言えば、転写コーティング18は、単層又は多層のいずれかの、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーを含むコーティングである。転写コーティングは、約10重量パーセントよりも多い膜形成結合剤、及び約95重量パーセントよりも少ない粉末熱可塑性ポリマーを含むことが望ましい。
【0032】
一般に、粉末熱可塑性ポリマーは、約140℃から約200℃までの範囲内等、例えば最大で約220℃までの第2の転写ステップの転写温度よりも低い温度で、軟化及び/又は溶融するであろう。一般に、約140℃はトナーインクの軟化点よりも高いので、この温度よりも低い温度では溶融しない熱可塑性ポリマーが好ましい。従って、熱可塑性粒子は、第1の転写ステップでは、溶融して連続的なコーティングを形成しないが、トナーインク粒子は、溶融して、転写コーティングに接着する。これは、画像画定における明瞭なラインの形成、及び、画像形成領域と非画像形成領域とへの転写コーティングの比較的容易な分離を可能にする。分子量は、一般に、熱可塑性ポリマーの融点特性及び粘度、並びに溶融ポリマーの特性に影響を与えるが、熱可塑性ポリマーの実際の分子量は、熱可塑性ポリマーの融点特性ほど重要ではない。
【0033】
しかしながら、当業者であれば認識するように、架橋結合の度合い、ポリマーバックボーンからの分鎖度の度合い、転写シート16上にコーティングされたときのポリマーの結晶構造等といった、ポリマーの他の特性がポリマーの融点に影響を与える可能性がある。
【0034】
粉末熱可塑性ポリマーは、本明細書で述べられる融点基準を満たす、あらゆる熱可塑性ポリマーとすることができる。例えば、粉末熱可塑性ポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリオレフィン等(例えば、ポリエチレン、ポロプロピレン、ポリブチレン等)とすることができる。粉末熱可塑性ポリマーは、直径が約2マイクロメートルから約50マイクロメートルまでの粒子の形態で提供することができる。1つの特定の実施形態において、粉末熱可塑性ポリマーは、Arkema Inc.,社から入手可能なOrgasol 3502 EXDのような粉末ポリアミドコポリマーとすることができ、これは、17―23マイクロメートル(μm)の平均サイズをもつ粒子のナイロン6、12のコポリマーであり、かつ、約142℃の融点を有すると考えられている。
【0035】
膜形成結合剤はまた、必須ではないが、転写温度で軟化及び/又は溶融するような融点を有することができる。アクリルラテックス(ポリアクリレート、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、メタクリル酸、及びアクリル酸アクリレートエステル、アクリルアミドメタクリル酸、メタクリレートエステル、及びメタクリアミド等に由来する樹脂)、並びにコポリマー及びこれらの組み合わせといった、あらゆる適切な膜形成結合剤を、転写コーティングに用いることができる。特に好適な結合剤は、Michelman Chemical,Inc.社のエチレンアクリル酸コポリマー分散体であるMichem Prime 4983である。
【0036】
本発明者らは、適切な剥離コート紙上のポリアミド粒子及び結合剤の特定の組み合わせにより、トナーインク12がない印刷可能面14の領域に接着する又は流動することなく、印刷可能面14のインク適用領域に一時的に接着する能力が与えられることを発見した。従って、熱及び圧力の適用後、転写シート16及び印刷可能シート10が分離されると、転写コーティング18は、トナーインク12が存在する領域においてのみ印刷可能面14上に残り、その結果として、印刷可能シート10のインク適用領域に一致する領域に、転写コーティング18が除去された画像形成された中間転写シート24がもたらされる。熱可塑性粒子が約140℃から約220℃までの範囲内で溶融し、コーティングが剥離コート紙から容易に剥離され、かつ、成分の割合がそれぞれの粒子ごとに調整されるならば、ポリマー粒子と結合剤の他の組み合わせは、同様にうまく機能すると考えられる。
【0037】
一実施形態において、転写コーティングは、架橋剤を含むことができる。従って、架橋構造体は、架橋可能な膜形成結合剤及び架橋剤から形成することができる。架橋コーティングを用いることにより、スクリーンに転写する際の加熱されたコーティングの浸透を低減させることができるが、架橋コーティングの接着性は、依然としてかなりのものである場合がある。また、架橋は、コーティングの耐久性を向上させることができる。
【0038】
架橋剤は、存在する場合、転写コーティングが適用された後しばらくしてから(例えば、転写が実行される前、実際の転写プロセスの間、又は転写が完了した後)、架橋可能な膜形成結合剤と反応して、三次元ポリマー構造体を形成する。例えば、エポキシ樹脂等の幾つかの架橋剤は、何時間又は何日にもわたってコーティングを架橋させることができ、従って、剥離コート紙へのコーティングの適用から転写までの間に許された時間に応じて、転写の前、転写の間、又は転写の後で架橋すると考えられる。多官能性アジリジン等のより反応性の架橋剤は、数分から数時間で反応し、従って、転写プロセスにおいて使用する前にコーティングを架橋すると考えられる。反応して三次元ポリマー構造体を形成する、任意の対の架橋剤及び架橋剤を用いることができると考えられる。
【0039】
カルボキシル基を有する、結合剤を架橋させるために用いることができる架橋剤として、多官能性アジリジン、エポキシ樹脂、カルボジイミド、オキサゾリン官能性ポリマー等を含む。ヒドロキシル基を有する、結合剤を架橋させるために用いることができる架橋剤は、メラミン−ホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、アミン−エピクロロヒドリン、多官能イソシアナート等を含む。1つの特に適した架橋剤は、Esprix社によりCR5Lという名称で販売されているエポキシ樹脂のような水溶性エポキシ樹脂を含む。架橋剤は、約0.1重量%から約5重量%まで等、最大約10重量(乾燥)%まで存在することができる。転写前に反応する架橋剤を使用する場合、特定のコーティングにおいて用いられる架橋剤の量を調整して、接着性であるが、スクリーンを完全に通り抜けて浸透するほど流動性ではない転写温度で、軟化したコーティングを得ることができる。当然のことながら、幾つかの架橋剤は、他のものよりも効果的であり、従って、より効果的な架橋剤を少量で用いるべきである。
【0040】
別の実施形態においては、1つの層のみが架橋される2層転写コーティングを用いることができる。例えば、まず、架橋層を剥離コート紙に適用し、その後に非架橋層を適用することができる。次に、コーティングを転写すると、非架橋層は、コーティングをスクリーンに接着させる目的を果たすことができ、耐久性のある架橋層は表面上に残存する。
【0041】
膜形成結合剤及び架橋剤に加えて、架橋可能な転写コーティングにおいて、架橋触媒を存在させて、膜形成結合剤内の架橋、及び、架橋剤と他のポリマー材料の間の架橋を容易にすることができる。例えば、エポキシ樹脂のための特に好適な架橋触媒は、2−メチルイミダゾールを含むことができ、これはエポキシ樹脂を架橋させるための触媒として作用する。
【0042】
転写コーティング内に、他の添加剤が存在してもよい。例えば、1つの特定の実施形態においては、転写コーティング内に少なくとも1つの界面活性剤が存在する。界面活性剤は、コーティングの粉末熱可塑性ポリマーの分散を助けることができる。界面活性剤は、約2%から約15%までといった、最大約20%まで転写コーティング内に存在することができる。1つの特定の実施形態においては、少なくとも2つの界面活性剤の組み合わせが、転写コーティング内に存在する。例示的な界面活性剤は、ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のRohm&Haas Co.社からTriton(登録商標)X−100として市販されるような、親水性ポリエチレンオキシド基(平均で、9.5エチレンオキシド単位を有する)及び炭化水素親油性又は疎水性基(例えば、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)―フェノール)を有する非イオン性界面活性剤といった、非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0043】
可塑剤も、転写コーティング内に含ませることができる。可塑剤は、一般に、プラスチックのガラス転移温度を下げる(従って、これをより柔らかくする)ことによって、最終生成物の可撓性を高める添加剤である。同様に、粘度調整剤を転写コーティング内に存在させてもよい。転写コーティング内に含ませることができる他の材料は、これらに限定されるものではないが、充填剤、潤滑剤、スリップ剤等を含む。
【0044】
剥離層20は、一般に、転写シート16内に含まれ、印刷可能面14のトナーインク適用領域への転写コーティング18の剥離を容易にする。剥離層20は、剥離可能なラベル、マスキング・テープ等を作製する技術分野において周知である多種多様な材料から製造することができる。一実施形態において、剥離層20は、転写温度では本質的に接着性がない。本明細書で用いられる「転写温度では本質的に接着性がない」という句は、剥離層20は、転写の品質に悪影響を与えるのに十分な程度までは、上にある転写コーティング18に接着しないことを意味する。剥離コーティングの厚さは、重要ではない。正しく機能するために、転写コーティング18とベースシート22との間の結合は、印刷可能シート10への転写後にベースシート22から転写コーティング18を除去するのに、1インチ当たり約0.01ポンドから約0.3ポンドまでの力が必要とされる程度にするべきである。力が大きすぎる場合、転写シート16又は印刷可能シート10は、除去されるときに裂けたり、或いは、伸びて変形したりする可能性がある。力が小さすぎる場合は、転写コーティング18は、望ましくないことに、処理の間に不適切に剥がれてしまう可能性がある。
【0045】
剥離層は、これらに限定されるものではないが、コーティングされるベースシート22と、これに適用される転写コーティング18とを含む多数の要因によって大幅に変わる層厚を有することができる。典型的には、剥離層は、約2ミル(52ミクロン)より薄い厚さを有する。より望ましくは、剥離層は、約0.1ミルから約1.0ミルまでの厚さを有する。さらにより望ましくは、剥離層は、約0.2ミルから約0.8ミルまでの厚さを有する。剥離層の厚さはまた、基本重量で表すこともできる。剥離コーティング層は、約2g/m2から約30g/m2までといった、約45g/m2より少ない基本重量を有することが望ましい。
【0046】
随意的に、転写シート16は、ベースシート22と剥離層20との間に適合層(conformable layer)(図示せず)をさらに含み、転写コーティング18と印刷可能シート10の印刷可能面14との間、並びに、スクリーンと転写コーティングとの間の接触を容易にすることができる。
【0047】
ベースシート22は、付加的な層のコーティング、転写条件、及び転写シート16と印刷可能シート10の分離を処理するのに十分な強度を有する任意のシート材料とすることができる。例えば、ベースシート22は、膜又はセルロース不織ウェブとすることができる。しかしながら、ベースの正確な組成、厚さ又は重量は、転写プロセスに重要ではない。可能なベースシート22の幾つかの例には、セルロース不織ウェブ及びポリマー膜が含まれる。これらに限定されるものではないが、一般的なリソ・ラベル紙、ボンド紙及びラテックス飽和紙を含む、多数の異なるタイプの紙が、本発明に適している。一般に、約4ミルの厚さの紙の裏当てが、大抵の用途に適している。例えば、紙は、1300平方フィート当たり24lbの、Neenah PaperのAvon White Classic Crestのような、普通のオフィス用プリンタ又はコピー機に用いられるタイプとすることができる。
【0048】
転写シート16を形成するためにベースシート22に適用される層は、ロール、ブレード、マイヤー・ロッド、及びエア・ナイフ・コーティング手法によるような、周知のコーティング技術によって、所与の層上に形成することができる。次に、例えば、蒸気加熱ドラム、空気衝突、放射加熱、又はこれらの何らかの組み合わせによって、結果として得られた画像転写材料を乾燥させることができる。
【0049】
III.転写コーティングを用いてステンシル・スクリーンを形成する
一時的積層体を、画像形成された中間転写シート24と転写コーティングされた中間印刷可能シート25に分離した後、2つの異なる方法を用いて、ステンシル・スクリーンを形成することができる。一実施形態においては、画像形成された中間転写シート24を用いて、ステンシル・スクリーンを形成することができる。代替的な実施形態においては、転写コーティングされた中間印刷可能シート25を用いて、ステンシル・スクリーンを形成することができるが、この実施形態においては、トナーインクの剥離を可能にする印刷可能シートが必要である。
【0050】
ユーザは、スクリーン印刷された最終繊維基材上に、ポジ画像を形成するか又はネガ画像を形成するかを選択することができる。当業者であれば認識するように、スクリーン印刷された最終繊維基材上にポジ画像を形成するには、閉鎖メッシュ領域によってネガ型に定められた画像を有するステンシル・スクリーンを使用することが必要である。代替的に、ユーザは、ステンシル・スクリーンの閉鎖メッシュ領域によって定められたポジ画像を有するステンシル・スクリーンを使用して、スクリーン印刷された最終繊維基材上にネガ画像を印刷するよう選択することができる。当然ながら、当業者であれば、以下の2つの方法は、第1のステップにおいて印刷可能シート10上にポジ型に印刷された画像に関して説明されることを認識するであろう。ネガ画像が印刷可能シート10に適用された場合、この方法の以下の結果は、反対になる。
【0051】
A.画像形成された中間転写シートの使用
印刷可能シート10上に印刷された画像の鏡像であるポジ型に定められた画像を有するスクリーン印刷された基材を形成するために、以下のように画像形成された中間転写シート24を使用する。まず、図5Aに示されるように、画像形成された中間転写シート24をスクリーン26の上に位置決めして、残りの転写コーティング18がスクリーン26に接触するようにする。次に、画像形成された中間転写シート24は、スクリーン26に押し付けられ、熱(H’)及び圧力(P’)を加えて、残りの転写コーティング18を転写する。
【0052】
スクリーン26への転写コーティング18の第2の転写は、約150℃よりも高いといった、熱可塑性ポリマーを溶融するのに十分な温度で行なわれる。一実施形態において、この第2の転写は、約160℃から約200℃までの温度で行なうことができる。これらの高温では、画像形成された中間転写シート24の残りの転写コーティング18は、軟化してスクリーン26のメッシュ領域に結合する。
【0053】
架橋剤が使用される実施形態において、この第2の転写ステップはまた、コーティングを架橋させて、スクリーン・メッシュと絡み合う中実の三次元架橋構造体を形成することもできる。具体的には、三次元架橋構造体を、メッシュの繊維の周りに一体形成し、架橋可能な転写コーティングが適用されるスクリーンの領域を閉鎖することができる。三次元架橋構造体は、スクリーン印刷プロセスの間に適用されるどのようなインク、塗料、又は他のカラー材料の流れを防ぐのに十分なものである。
【0054】
この時点で、必要に応じて、上記で説明されたステップを繰り返すことによって、転写コーティングの付加的な層をスクリーンに適用することができる。付加的な層は、スクリーンのどちらの側にも適用できるが、既にコーティングされた側とは反対の側に適用する場合、前側のコーティングの鏡像を定める必要がある。また、必要に応じて、この時点で、低粘度の溶液又はエマルションをスクリーンに塗布して、スクリーン上のコーティングの耐久性を強化することができる。
【0055】
スクリーン印刷プロセスにおいてステンシル・スクリーン30を用いる場合、インク、塗料、又は他の材料は、開口メッシュ領域29を通して適用され、最終基材上にポジ画像を形成する。
【0056】
B.転写コーティングされた中間印刷可能シートの使用
転写コーティングされた中間印刷可能シート25を用いて基材上にネガ画像を形成するために、印刷可能シートは、熱及び圧力を用いて積層された後でさえも、トナー及び転写コーティングをスクリーンに剥離するものでなければならない。例えば、印刷可能シートは、Neenah Paperの画像クリップ熱転写システムの「画像形成シート」(Neenah Paper,Inc.社)とすることができる。図6A−図6Dに示されるように、印刷され、コーティングされた画像形成シートは、印刷可能シート10のインク適用領域12上の転写コーティング18がスクリーン26に接触するように、スクリーン26に隣接して位置決めされる。次に、熱(H’)及び圧力(P’)を加え、転写コーティング18をスクリーン26に転写する。印刷可能シート10を除去した後、転写コーティング18をスクリーン26内に適用し、閉鎖メッシュ領域28を形成する。トナーインク12は、少なくとも部分的にスクリーン26に転写されるが、トナーインクの全てを転写することは重要ではない。具体的には、スクリーン26は、画像がスクリーン26の閉鎖メッシュ領域28内にポジ型に形成され、開口メッシュ領域29を残した状態で形成される。
【0057】
この時点で、必要に応じて、転写コーティングの付加的な層を、元のコーティングと同じ側か、又は反対側のスクリーンに適用することができる。しかしながら、付加的な層を反対側に適用する場合、この付加的な層は、前側のコーティングによって定められる画像の鏡像でなければならない。また、必要に応じて、例えば、低粘度の溶液又はエマルションを塗布して、スクリーン上の転写コーティングの表面をコーティングすることにより、スクリーン上のコーティングの耐久性を強化することができる。
【0058】
スクリーン印刷中、インク、塗料、又は他の物質は、開口メッシュ領域29を通り抜けて最終繊維基材上に移動し、ネガ画像が印刷可能シート10上に印刷されたスクリーン印刷基材を形成することができる。
【0059】
IV.ステンシル・スクリーンを用いた繊維基材へのスクリーン印刷
ステンシル・スクリーン30が形成された後、スクリーンは、基材に隣接して配置される。ステンシル・スクリーン30の開口メッシュ領域29を通して、インク、染料、塗料、又は他の物質を基材に適用し、閉鎖メッシュ領域28は、着色物質がステンシル・スクリーン30を通り抜けるのを防ぐ。従って、基材上に形成される画像は、ステンシル・スクリーン30の開口メッシュ領域29によって定められる画像と本質的に同じである。スクリーン印刷プロセスにおいて、適用されるインク又は他の材料は、スクリーンの両側に適用することができる。当然のことながら、一方の側を使用すると画像の前面が提供され、反対の側を使用すると画像の裏面(鏡像)が提供される。転写コーティングをスクリーンの片面のみに適用する場合、コーティング面を基材に押し当てて置き、インク又は他の材料を裏側から適用すれば、コーティングはあまり摩耗しないと思われる。
【0060】
どのようなスクリーン26も、このプロセスで用いることができる。しかしながら、転写温度でかなり溶融し、収縮し、又は歪む材料で作製されたスクリーンは、明らかに適していない。同様に、転写コーティングは、使用中に剥離し始めないように、十分にスクリーンに接着させる必要があることも等しく明らかである。この点に関して、スクリーンを洗浄してオイル、グリース等を除去すること、又は、下塗剤でスクリーンを前処理することは、有用である場合がある。適切なスクリーンは、商業的に容易に入手可能であり、種々のメッシュ・サイズを含む。同様に、スクリーンは、これらに限定されるものではないが、ポリマー繊維、シルク繊維、綿繊維等を含む、スクリーン26のメッシュを定める多くのタイプの材料のものが商業的に入手可能である。当業者であれば、自分の使用目的に合わせて特定のスクリーンを調整することができる。
【0061】
同様に、これらに限定されるものではないが、インク、染料、塗料等を含む任意のタイプの物質を用いて、最終基材上に画像をスクリーン印刷することができる。当業者であれば、自分の使用目的に合わせて特定の物質を調整することができる。
【0062】
本開示のステンシル・スクリーン30を用いることによって、任意の基材にスクリーン印刷することができる。1つの特定の実施形態において、基材は、これに限定されるものではないが、衣服(例えば、シャツ、ズボン等)を作製するのに用いられるような織布を含む、繊維基材とすることができる。織布は、織布の作製に使用するのに適した任意の繊維(例えば、綿繊維、シルク繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維等)を含むことができる。例えば、繊維基材は、綿繊維を含むTシャツとすることができる。代替的に、基材は、壁のような、ほぼ平坦な品目とすることができる。
【実施例1】
【0063】
黒色のネガ・グラフィック・デザインを、HP 4600 カラー・レーザプリンタを用いて、印刷可能シート(Neenah Paper,Inc.社からPHOTO−TRANS(登録商標)Image Clip Imaging Sheet(画像クリップ画像形成シート)として入手可能)に画像形成した。次に、画像形成された紙を、210°F(約99℃)の温度で20秒間熱プレスして、転写シート(Neenah Paper,Inc.社からPHOTO−TRANS(登録商標)Image Clip Imaging Sheetとして入手可能)を積層した。まだ熱いうちに積層体を分離した。画像形成されたシートは、トナーが存在するインク適用領域上に転写された転写コーティングを含むものであった。次に、画像形成シートを、350°F(約177℃)で30秒間熱プレスして、スクリーン印刷用に設計されたスクリーン(ワシントン州バンクーバー所在のRyonet Corp.社から86 Mesh Whiteとして入手可能な)に積層した。上部プレスプラテンを取り除くと、積層体はカールし、コーティングの破損が生じた。実験を繰り返したが、転写ステップの前に、350°Fで60秒間熱プレスによりスクリーンを熱処理した。今度は、カールが大幅に減少し、冷却後に紙を除去し、ステンシル・スクリーンができた。しかしながら、スクリーンのコーティングされた領域内に多数の孔があった。この孔は、画像形成領域を位置合わせして、同じ方法で別の転写を第1の層の上に行なうことによって排除された。別個の実験において、第1の転写の鏡像であり、第1の転写と位置合わせされた画像を用いて、第1の転写とは反対側に第2の転写層を適用することによって、孔が排除された。
【0064】
全く同じ方法で、Oki 9300又はLexmark C534nのいずれかのプリンタを用いて印刷された黒色トナー画像を使用し、PHOTO−TRANS(登録商標)Image Clip紙を用いて行われた転写は、成功しなかった。第2の転写ステップにおいて、トナーインクは、PHOTO−TRANS(登録商標)Image Clip紙に強く接着しすぎたため、確実な転写ができなかった。
【実施例2】
【0065】
黒色のネガ・グラフィック・デザインを、HP 4600 カラー・レーザプリンタを用いて、印刷可能シート(Neenah Paper,Inc.社から、約100のシェフィールド平滑度を有する24ポンドClassic Crest(登録商標)Supersmoothとして入手可能)に画像形成した。以下に説明するように準備された転写紙1、2及び3を成功裏に使用して、240°F(約115℃)で30秒間熱プレスして、転写コーティングを転写紙から画像形成された紙に転写した。まだ熱いうちにシートを分離した。次に、350°F(約177℃)で60秒間スクリーンを熱処理した後に、画像形成領域が除去された中間シートを、実施例1のようにスクリーンに積層した。紙を冷却し、除去した後にステンシル・スクリーンが得られた。
【0066】
転写シート1は、24ポンドのClassic Crest(登録商標)Supersmoothの第1の層(ベースシート)と、ポリエチレン(Chevron Phillips Chemical LLCからChevron 1019として入手可能)の第2の層(適合層)と、剥離コーティングと、転写コーティングとから構成された。剥離コーティングは、1平方メートル当たり10グラムの基本重量で適用され、かつ、100乾燥部のHycar 26706(オハイオ州クリーブランド所在のNoveon,Inc.社製アクリルラテックス)、5乾燥部のXAMA 7(Bayer Material Science NAFTA製の多官能性アジリジン架橋剤)、及び5乾燥部のミシガン州ミッドランド所在のDow Corning社から入手可能なDow Corning Surfactant 190から構成されていた。転写コーティングは、100乾燥部のOrgasol 3502 EXD(20ミクロンの平均粒径及び摂氏142度の融点を有する、ペンシルベニア州フィラデルフィア所在のArkema社製のポリアミド粒子)、30乾燥部のMichem Prime 4983、3乾燥部のTergitol 15S40、3乾燥部のKlucel G(デラウェア州ウィルミントン所在のHercules社製のヒドロキシプロピルセルロース)、及び0.5部のアンモニアのおよそ30%の固体混合物として、1平方メートル当たり24グラムの基本重量で適用された。
【0067】
転写紙2は、0.5乾燥部のXAMA 7を転写コーティングに添加されたことを除いて、転写紙1と同じであった。
転写紙3は、Michem Prime 4983の量が40乾燥部まで増加され、かつ、40乾燥部の分散した二酸化チタンが添加されたことを除いて、転写紙1と同じであった。
実施例2は、転写紙2、並びに、Okidata 9300 カラー・レーザプリンタ及びLexmark C534nプリンタを用いて別個に印刷された、Classic Crest(登録商標)24ポンドSupersmooth紙上で、黒色画像を用いて成功裏に繰り返された。
【実施例3】
【0068】
ステンシル・スクリーンが、熱プレスを用いる代わりに、手でアイロンがけをすることによって準備された。Okidata 9300 カラー・レーザプリンタを用いて、黒色トナー画像が、Neenah PaperのClassic Crest(登録商標)24ポンドSupersmooth紙上に印刷された。Tシャツ材料の4つの層を硬いテーブル面上に置き、白紙の紙シート、次に表を上にした転写シート、次に約7インチ×5インチのサイズの、表を下にした画像形成シートと重ねた。これに、Black and Decker社のDigital Advantage手がけ用アイロンを2の設定にしてアイロンをかけた。この設定のアイロンの表面温度は、約220°F(約104℃)から約260°F(約127℃)まで変化することが分かった。アイロンがけは、平均すると1回15秒、合計して3分間、両手で高い圧力をかけて行なった。冷却後、転写紙の中間物を画像形成シートから剥離した。次に、350°Fで60秒間熱処理したRyonet 86メッシュ・スクリーンのシートをTシャツ材料の4つの層の下に再び重なった白紙の紙シート上に配置し、第1のアイロンがけステップで得られた熱転写紙の中間物を、スクリーンの上に配置した。アイロンがけは、前と同じく3分間行われたが、アイロンを7に設定した(この設定では、アイロン表面の温度は、約350°Fから約420°Fまで変化することが分かった)。冷却後、紙を除去し、ステンシル・スクリーンが成功裏に得られた。
【0069】
本発明は、特定の実施形態に関して詳細に説明されたが、当業者であれば、上記の理解を得た場合に、これらの実施形態の代替物、変形物及び均等物を容易に考え得ることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそのいずれかの均等物として判断されるべきである。
【符号の説明】
【0070】
10:印刷可能シート
12:トナーインク
14:印刷可能面
16:転写シート
18:転写コーティング
20:剥離層
22:ベースシート
24:画像形成された中間転写シート
25:転写コーティングされた中間印刷可能シート
26:スクリーン
28:閉塞メッシュ領域
29:開口メッシュ領域
30:ステンシル・スクリーン
H、H’:熱
P、P’:圧力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法であって、
印刷可能面を定める印刷可能シートを用いて約50℃から約150℃までの第1の転写温度で行なわれる熱転写により、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーを含む転写コーティングの部分を転写シートから除去し、前記転写シートから除去された転写コーティングの部分が、前記印刷可能シートの前記印刷可能面上にインクが存在する領域に対応するようにするステップと、
約150℃よりも高い第2の転写温度で、前記転写シート上に残存する前記転写コーティングをスクリーンに転写して、該転写コーティングが、前記第2の転写温度において前記スクリーンに転写され、該転写コーティングが存在する閉塞メッシュ領域を有するステンシル・スクリーンを形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、約140℃から約220℃までの融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、粉末ポリアミドコポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記膜形成結合剤は、反応性カルボキシル基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記膜形成結合剤は、エチレンアクリル酸分散体を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記転写コーティングは、架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記架橋剤は、多官能性アジリジンを含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記転写コーティングは、架橋触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記転写コーティングは、可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
画像を繊維基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法であって、
約50℃から約150℃までの第1の転写温度で行なわれる熱転写により、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーを含む転写コーティングの部分を、転写シートから印刷可能面を定める印刷可能シートに転写して、前記転写シートから転写された前記転写コーティングの前記部分が、前記印刷可能シートの前記印刷可能面上にインクが存在する領域にのみ対応するようにするステップと、
約150℃よりも高い第2の転写温度で、前記印刷可能シート上の前記インク適用領域の上に重なる前記転写コーティングを転写して、該転写コーティングが存在する閉塞メッシュ領域を有する前記ステンシル・スクリーンを形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、約200℃よりも低い融点を有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、粉末ポリアミドコポリマーを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記膜形成結合剤は、反応性カルボキシル基を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記膜形成結合剤は、アクリレートラテックスを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記転写コーティングは、架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記架橋剤は、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記転写コーティングは、架橋触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記転写コーティングは、可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
画像を繊維基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法であって、
印刷可能面を定める印刷可能シートを準備するステップと、
前記印刷可能シートの前記印刷可能面上にトナーインクを印刷して、該印刷可能面上のインク適用領域と、該印刷可能面上のインクがない領域とを形成するステップと、
ベースシートの上に重なる剥離層の上に、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーを含む転写コーティングを含む転写シートを準備するステップと、
前記転写シートを前記印刷可能シートに隣接するように配置し、該転写シートの該転写コーティングが、該印刷可能シートの前記印刷可能面に接触して一時的積層体を形成するようにするステップと、
前記一時的積層体を、約50℃から約150℃までの温度まで加熱するステップと、
前記転写シートを前記印刷可能シートから分離し、前記転写コーティングが、前記インク適用領域においてのみ該印刷可能シートに転写されるようにするステップと、
その後、前記転写シートを前記スクリーンに接触するように配置し、前記残りの転写コーティングが該スクリーンに接触するようにするステップと、
約150℃よりも高い第2の転写温度で、前記残りの転写コーティングを前記転写シートから前記スクリーンへ転写して、該転写コーティングが存在する閉塞メッシュ領域を有する前記ステンシル・スクリーンを形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、粉末ポリアミドコポリマーを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項21】
前記膜形成結合剤は、反応性カルボキシル基を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項22】
前記膜形成結合剤は、アクリレートラテックスを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記転写コーティングは、架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記架橋剤は、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項25】
前記転写コーティングは、可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項1】
画像を基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法であって、
印刷可能面を定める印刷可能シートを用いて約50℃から約150℃までの第1の転写温度で行なわれる熱転写により、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーを含む転写コーティングの部分を転写シートから除去し、前記転写シートから除去された転写コーティングの部分が、前記印刷可能シートの前記印刷可能面上にインクが存在する領域に対応するようにするステップと、
約150℃よりも高い第2の転写温度で、前記転写シート上に残存する前記転写コーティングをスクリーンに転写して、該転写コーティングが、前記第2の転写温度において前記スクリーンに転写され、該転写コーティングが存在する閉塞メッシュ領域を有するステンシル・スクリーンを形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、約140℃から約220℃までの融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、粉末ポリアミドコポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記膜形成結合剤は、反応性カルボキシル基を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記膜形成結合剤は、エチレンアクリル酸分散体を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記転写コーティングは、架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記架橋剤は、多官能性アジリジンを含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記転写コーティングは、架橋触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記転写コーティングは、可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
画像を繊維基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法であって、
約50℃から約150℃までの第1の転写温度で行なわれる熱転写により、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーを含む転写コーティングの部分を、転写シートから印刷可能面を定める印刷可能シートに転写して、前記転写シートから転写された前記転写コーティングの前記部分が、前記印刷可能シートの前記印刷可能面上にインクが存在する領域にのみ対応するようにするステップと、
約150℃よりも高い第2の転写温度で、前記印刷可能シート上の前記インク適用領域の上に重なる前記転写コーティングを転写して、該転写コーティングが存在する閉塞メッシュ領域を有する前記ステンシル・スクリーンを形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、約200℃よりも低い融点を有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、粉末ポリアミドコポリマーを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記膜形成結合剤は、反応性カルボキシル基を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記膜形成結合剤は、アクリレートラテックスを含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記転写コーティングは、架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記架橋剤は、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記転写コーティングは、架橋触媒をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記転写コーティングは、可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
画像を繊維基材上にスクリーン印刷するのに用いるためのステンシル・スクリーンを作製する方法であって、
印刷可能面を定める印刷可能シートを準備するステップと、
前記印刷可能シートの前記印刷可能面上にトナーインクを印刷して、該印刷可能面上のインク適用領域と、該印刷可能面上のインクがない領域とを形成するステップと、
ベースシートの上に重なる剥離層の上に、膜形成結合剤及び粉末熱可塑性ポリマーを含む転写コーティングを含む転写シートを準備するステップと、
前記転写シートを前記印刷可能シートに隣接するように配置し、該転写シートの該転写コーティングが、該印刷可能シートの前記印刷可能面に接触して一時的積層体を形成するようにするステップと、
前記一時的積層体を、約50℃から約150℃までの温度まで加熱するステップと、
前記転写シートを前記印刷可能シートから分離し、前記転写コーティングが、前記インク適用領域においてのみ該印刷可能シートに転写されるようにするステップと、
その後、前記転写シートを前記スクリーンに接触するように配置し、前記残りの転写コーティングが該スクリーンに接触するようにするステップと、
約150℃よりも高い第2の転写温度で、前記残りの転写コーティングを前記転写シートから前記スクリーンへ転写して、該転写コーティングが存在する閉塞メッシュ領域を有する前記ステンシル・スクリーンを形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記粉末熱可塑性ポリマーは、粉末ポリアミドコポリマーを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項21】
前記膜形成結合剤は、反応性カルボキシル基を含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項22】
前記膜形成結合剤は、アクリレートラテックスを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記転写コーティングは、架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記架橋剤は、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項25】
前記転写コーティングは、可塑剤をさらに含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【公表番号】特表2011−504822(P2011−504822A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534986(P2010−534986)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/076355
【国際公開番号】WO2009/070366
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(505029713)ニーナ ペイパー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/076355
【国際公開番号】WO2009/070366
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(505029713)ニーナ ペイパー インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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