説明

スクリーン及び投射システム

【課題】異なる位置から当該スクリーンを観察する観察者に対して、それぞれ異なる内容の画像を表示可能にするスクリーン及び投射システムを提供する。
【解決手段】複数の反射部のうち第1部分によって第1の偏光状態の成分に対応する第1投射光LAが選択的に第1方向に射出され、第2部分によって第2の偏光状態の成分に対応する第2投射光LBが選択的に第2方向に射出されるので、第1方向側に位置する第1の観察者R1に対しては、第1投射光LAに対応する画像を提供でき、第2方向側に位置する第2の観察者L1に対しては、第2投射光LBに対応する画像を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクター等の画像投射装置からの投射光を反射して投影画像を映し出すスクリーン及び投射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、投影画像を反射させる反射スクリーンとして、スクリーン基板上に多数の凹形状又は凸形状の単位形状部を規則的に配置させるものが知られている(特許文献1参照)。なお、このスクリーンは、投射光のロスを抑えつつ、外光を効率よく遮断してコントラストの高い画像を得られるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−20210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スクリーン上に投射される画像について、異なる位置から当該スクリーンを観察する観察者に対して、それぞれ異なる内容の画像を表示させたい、という要請がある。上記特許文献1のようなスクリーンでは、コントラストの高い画像を提供することは可能ではあるが、上記のような要請には必ずしも対応できるとは限らない。
【0005】
そこで、本発明は、異なる位置から当該スクリーンを観察する観察者に対して、それぞれ異なる内容の画像を表示可能にするスクリーン及び投射システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るスクリーンは、(a)基準面に沿って曲面をそれぞれ含む複数の立体的形状を有するスクリーン基板と、(b)複数の立体的形状の各曲面上にそれぞれ形成されるとともに投射光のうち第1の偏光状態で入射する成分に対応するものを選択的に第1方向に射出させる第1部分と、投射光のうち第2の偏光状態で入射する成分に対応するものを選択的に第2方向に射出させる第2部分とをそれぞれ有する複数の反射部とを備える。
【0007】
上記スクリーンでは、複数の反射部のうち第1部分によって第1の偏光状態の成分が選択的に第1方向に射出され、第2部分によって第2の偏光状態の成分が選択的に第2方向に射出されるので、第1方向側に位置する第1の観察者に対しては、第1の偏光状態の成分に対応する画像を提供でき、第2方向側に位置する第2の観察者に対しては、第2の偏光状態の成分に対応する画像を提供できる。つまり、異なる位置でスクリーンを観察する観察者に対して、それぞれ異なる内容の画像を表示できる。
【0008】
本発明の第1の側面では、第1部分は、複数の立体的形状の光入射側に形成され、投射光のうち第1の偏光状態で入射する成分を反射するとともに他の成分を吸収又は透過させる第1の反射型偏光部材を有し、第2部分は、複数の立体的形状の光入射側に形成され、投射光のうち第2の偏光状態で入射する成分を反射するとともに他の成分を吸収又は透過させる第2の反射型偏光部材を有する。この場合、立体的形状の上方に2種類の反射型偏光部材を領域分割して形成することで、投射光を第1方向に進む画像光と第2方向に進む画像光とに確実に分離できる。また、この場合、第1及び第2部分が反射型偏光部材を有することで、第1及び第2部分の構造を比較的簡易にできる。
【0009】
本発明の第2の側面では、第1及び第2部分は、複数の立体的形状の表面に形成され、投射光を反射する反射ミラー層を有し、第1部分は、反射ミラー層の光入射側に形成され、投射光のうち第1の偏光状態で入射する成分を反射ミラー層側に透過させるとともに他の成分を吸収する第1の透過吸収型偏光部材を有し、第2部分は、反射ミラー層の光入射側に形成され、投射光のうち第2の偏光状態で入射する成分を反射ミラー層側に透過させるとともに他の成分を吸収する第2の透過吸収型偏光部材を有する。この場合、立体的形状の表面上に形成された反射ミラーの上方に2種類の透過吸収型偏光部材を領域分割して形成することで、投射光を第1方向に進む画像光と第2方向に進む画像光とに確実に分離できる。また、この場合、第1及び第2部分において、透過吸収型偏光部材により投射光の取捨選択がなされ、反射ミラー層により選択された投射光を進むべき方向に折り返すので、投射光の分離が効率的に行われる。
【0010】
本発明の第3の側面では、第1及び第2部分は、複数の立体的形状の表面に形成され、第1の偏光状態にある成分を反射するとともに他の成分を吸収又は透過する偏光反射層を有し、第1部分は、偏光反射層の光入射側に形成され、投射光のうち第1の偏光状態で入射する成分を偏光状態を保って通過させる通過部を有し、第2部分は、偏光反射層の光入射側に形成され、投射光のうち第2の偏光状態で入射する成分を第1の偏光状態に変化させる位相差部を有する。この場合、立体的形状の表面上に形成された偏光反射層の上方に通過部と位相差部とを領域分割して形成することで、投射光を第1方向に進む画像光と第2方向に進む画像光とに確実に分離できる。また、この場合、例えば第1部分の通過部と第2部分の位相差部とを一枚の板状の位相差板で構成でき、第1及び第2部分を比較的簡易に作製可能である。
【0011】
本発明の具体的な側面では、複数の立体的形状において、各曲面の形状は、球面状の凹部又は凸部である。この場合、複数の立体的形状の形成が容易になり、各曲面の曲率に応じた発散度で画像光を射出させることができる。
【0012】
本発明の別の側面では、複数の立体的形状において、第1部分と第2部分との比率は、当該各立体的形状のスクリーン基板の基準面上における位置に応じて異なる。この場合、スクリーン基板上の位置に応じて入射角が異なる場合にも適切な方向に画像光を射出させることができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、スクリーン基板の中央側に位置する立体的形状ほど第1部分と第2部分との比率の偏りが少なく、周辺側に位置する立体的形状ほど当該比率の偏りが多い。この場合、スクリーン基板の周辺側で入射角が大きくなることに対応して、適切な方向に画像光を射出させることができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、複数の立体的形状のうち隣接する一対の立体的形状間の間隔は、スクリーン基板の中央側から周辺側に向かって拡がっていく。この場合、スクリーン基板の周辺側で入射角が大きくなることに対応して、立体的形状の密度を調整して、画像光のロスを低減できる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、スクリーン基板の長手方向について中央側から一端側の方向の成分を含む方向を第1方向とし、スクリーン基板の長手方向について中央側から他端側の方向の成分を含む方向を第2方向とする。この場合、スクリーン基板の長手方向に関して投射光を分離できる。
【0016】
本発明の第1の投射システムは、上述のスクリーンと、第1の偏光状態の投射光と第2の偏光状態の投射光とを、時分割でスクリーン上に投射する画像投射装置とを備える。この投射システムでは、立体的形状の上方に2種類の反射型偏光部材を領域分割して形成したスクリーンを用い、投射光を時分割で切り替える画像投射装置により、スクリーンの第1方向側に位置する第1の観察者と、スクリーンの第2方向側に位置する第2の観察者とに対して異なる画像を提供できる。
【0017】
本発明の第2の投射システムは、上述のスクリーンと、第1の偏光状態の投射光と第2の偏光状態の投射光とをスクリーン上に重畳した状態で投射する画像投射装置と、を備える。この投射システムでは、立体的形状の上方に2種類の反射型偏光部材を領域分割して形成したスクリーンを用い、当該スクリーン上に第1の偏光状態の投射光と第2の偏光状態の投射光とを重ねて投射する画像投射装置により、スクリーンの第1方向側に位置する第1の観察者と、スクリーンの第2方向側に位置する第2の観察者とに対して異なる画像を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係るスクリーン及び投射システムについて概念的に説明する平面図である。
【図2】(A)は、スクリーン等を説明する正面図であり、(B)は、その中央部の微細構造を拡大した斜視図であり、(C)は、1つの立体的形状を説明する正面図である。
【図3】(A)、(B)は、投射光のうちスクリーンの中央側に入射する第1及び第2の偏光状態の各成分についての光路を説明するための断面図である。
【図4】投射光のうちスクリーンの周辺側に入射する第1及び第2の偏光成分の光路を説明する断面図である。
【図5】スクリーンの周辺部に入射する投射光の反射を説明する図である。
【図6】第2実施形態に係るスクリーンについて概念的に説明する断面図である。
【図7】第3実施形態に係るスクリーンについて概念的に説明する断面図である。
【図8】第4実施形態に係るスクリーンについて概念的に説明する断面図である。
【図9】第5実施形態に係る投射システムについて概念的に説明する背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係るスクリーン及びスクリーンを含む投射システムについて説明する。
【0020】
〔A.投射システムの構造〕
図1に示すように、本実施形態の投射システム100は、プロジェクター50と、スクリーン10とを備える。
【0021】
プロジェクター50は、投射光PPとして、図中に概念的に示すように、時分割で第1の偏光状態の第1投射光LAと第2の偏光状態の第2投射光LBとを交互に射出する。プロジェクター50としては、時分割で投射画像を切換可能であればよく、液晶型のプロジェクターのほか種々の方式のものを採用できる。
【0022】
スクリーン10は、XY面に平行に延びており、図2(A)に示すように、X方向すなわち水平方向を長手方向とし、Y方向すなわち垂直方向を短手方向とする横長の長方形状を有する。スクリーン10は、その前方側すなわち+Z側に設置されたプロジェクター50からの投射光PPを、前方側すなわち+Z側に反射光として射出させる反射型スクリーンである。つまり、プロジェクター50からの投射光PPがスクリーン10の前面10aに投射され、前面10a上に全体に亘って形成された微細凹凸構造FSによって折り返されるように前方側に反射されることにより、画像投影がなされる。なお、前面10a上の微細凹凸構造FSについては、その光学的な設計により、スクリーン10に向かって右側にいる第1の観察者R1に提供される画像と、スクリーン10に向かって左側にいる第2の観察者L1に提供される画像とを異なるものにできるようになっている。すなわち、図1に示すように、スクリーン10の横方向に関して中心軸CXよりも+X側にいる第1の観察者R1に対しては、投射光PPのうち第1投射光LAに対応する反射光LRが射出され、中心軸CXよりも−X側にいる第2の観察者L1に対しては、投射光PPのうち第2投射光LBに対応する反射光LLが射出される。ここで、スクリーン10の前面10aが全体として延びるXY面は、微細凹凸構造FSやこれに入射する投射光PPにとっての基準面となっている。
【0023】
なお、図2(A)に示すように、プロジェクター50は、例えば天吊り状態で高い位置に設置されており、プロジェクター50のZ方向に平行な光軸LXは、スクリーン10の上側に延びる延長平面において、スクリーン10の長手方向に関する中心軸CXと交差している。つまり、プロジェクター50からの投射光PPは、中心軸CXを挟んで左右のX方向に関して対称な状態で投射されており、上下のY方向に関しては非対称な状態で投射されている。
【0024】
〔B.スクリーンの構造〕
以下、図2(A)、2(B)、3(A)及び3(B)を参照して、スクリーン10の構造について説明する。
【0025】
まず、図2(A)及び2(B)に示すように、スクリーン10の前面10aには、微細凹凸構造FSとして、球面状の凹部である多数の立体的形状2が形成されており、各立体的形状2の表面上には、これを覆う薄い層状の反射部3が形成されている。
【0026】
図2(A)中の部分拡大図に示すように、スクリーン10の中央側の領域PD0において、各立体的形状2は、それぞれ正面視において略六角形となっており、立体的形状2間には平坦部分が生じないものとなっている。具体的に説明すると、破線で示すように、設計上の仮想的な円CRに対応して半球状の凹面が形成されることで、多数の立体的形状2が形成されている。この際、円CRは、互いに重なり合うように配列されている。つまり、例えばX方向に隣接する一対の立体的形状2の中心点CC間の距離d1は、仮想的な円CRの直径rよりも小さくなっているので、各立体的形状2は、六角形等の多角形の輪郭を有し、立体的形状2間には平坦部分が生じないものとなっている。なお、各立体的形状2の中心点CC間の距離d1は、X方向に延び±Y方向に隣接する一対の列間で多少の差を設けてあり、列上の位置によっては各立体的形状2が六角形の輪郭を有しない場合も生じるものとなっている。
【0027】
一方、スクリーン10の周辺側の領域PD1において、各立体的形状2は、それぞれ正面視において略円形となっており、立体的形状2間に隙間状の平坦部分が生じている。この場合、設計上の仮想的な円CRは、互いに殆ど重なり合わないように配列されている。つまり、X方向に隣接する一対の立体的形状2の中心点CC間の距離d2は、仮想的な円CRの直径rと同程度になっている。また、各立体的形状2については、上記のほか、種々の他の形状にすることができ、例えば周辺部のものについては長穴としてもよい。また、形状を変えることで、周辺部においても平坦部分が生じないようにしてもよい。
【0028】
以上は局所的な説明であったが、スクリーン10の右半分において、X方向に隣接する一対の立体的形状2の中心点CC間の距離d2は、中心軸CXから+X方向に離れるほど大きくなる傾向を有するとともに立体的形状2が深くなっている。これにより、詳細は後述するが、中心軸CXから+X方向に離れて配置された立体的形状2及び反射部3に入射した投射光PPを−X側にいる第2の観察者L1に向けて反射しやすくなり、第2投射光LBに対応する反射光LLを少ないムラで観察することができる。
【0029】
スクリーン10の左半分においても、X方向に隣接する一対の立体的形状2の中心点CC間の距離d2は、中心軸CXから−X方向に離れるほど大きくなるとともに立体的形状2が深くなる傾向を有している。これにより、詳細は後述するが、中心軸CXから−X方向に離れて配置された立体的形状2に入射した投射光PPを+X側にいる第1の観察者R1に向けて反射しやすくなり、第1投射光LAに対応する反射光LRを少ないムラで観察することができる。
【0030】
各立体的形状2上に形成された反射部3は、第1部分3aと第2部分3bとに領域的に分割される(図2(C)参照)。左側の第1部分3aは、図1の第1の観察者R1側のいる第1方向(具体的にはスクリーン10に向かって右側に傾斜した方向)に向けて投射光PPを反射し、右側の第2部分3bは、第2の観察者L1側のいる第2方向(具体的にはスクリーン10に向かって左側に傾斜した方向)に向けて投射光PPを反射する。これら第1及び第2部分3a,3bとは、特性の異なる反射型偏光素子になっており、詳細は後述するが、入射する投射光PPの偏光状態に応じて受動的であるが反射の有無を相補的に切り替える。
【0031】
以下、スクリーン10の断面的な構造について説明する。なお、図3(A)及び図3(B)は、図1のスクリーン10の中央側すなわち中心軸CXに近い領域PD0における断面構造を示している。
【0032】
図示のように、スクリーン10は、スクリーン基板1の表面上に多数の凹部として多数の立体的形状2の表面2a上に反射部3を層状に形成したものとなっている。つまり、反射部3は、各立体的形状2の表面2aに沿った部分的な球殻形状を有するものとなっている。ここで、スクリーン基板1は、光吸収性の樹脂材料等で形成されている。
【0033】
反射部3のうち第1部分3aは、第1の反射型偏光部材である第1の偏光層D1で構成される。第1の偏光層D1は、入射した投射光PPのうち第1の偏光状態の成分(第1投射光LA)を反射するとともに、他の成分である第2の偏光状態の成分(第2投射光LB)を透過させ又は吸収する。具体的には、第1の偏光層D1は、第1の偏光状態に相当する垂直偏光の第1投射光LAのみを反射し、第2の偏光状態に相当する水平偏光の第2投射光LBを殆ど吸収する。なお、第1の偏光層D1で反射又は吸収されることなくこれを通過した投射光PPは、スクリーン基板1に吸収される。第2部分3bは、第2の反射型偏光部材である第2の偏光層D2で構成される。第2の偏光層D2は、入射した投射光PPのうち第2の偏光状態の成分(第2投射光LB)を反射するとともに、他の成分である第1の偏光状態の成分(第1投射光LA)を透過させ又は吸収する。具体的には、第2の偏光層D2は、第2の偏光状態に相当する水平偏光の第2投射光LBのみを反射し、第1の偏光状態に相当する垂直偏光の第1投射光LAを殆ど吸収する。なお、第2の偏光層D2で反射又は吸収されることなくこれを通過した投射光PPは、スクリーン基板1に吸収される。
【0034】
第1の偏光層D1と第2の偏光層D2とは、例えば有機材料等で形成される。この場合、スクリーン10上の第1部分3aと第2部分3bとに対応する多数の小領域において第1の偏光層D1と第2の偏光層D2とをパターン配置した反射型偏光フィルムを準備し、この反射型偏光フィルムを立体的形状2の表面2a上に熱等を利用してプレスすることで、第1部分3aとして第1の偏光層D1を形成し、第2部分3bとして第2の偏光層D2を形成することができる。また、第1の偏光層D1と第2の偏光層D2とは、例えばワイヤーグリッド型の偏光層で形成することもできる。具体的には、立体的形状2の表面2aのうち第1部分3aを形成すべき領域に縦のストライプ状の突起を形成し、当該表面2aのうち第2部分3bを形成すべき領域に横のストライプ状の突起を形成し、各突起の上面にアルミを選択的に蒸着することで、反射型の偏光層となるべきワイヤーグリッドを形成することができる。或いは、同様の形状を有するストライプ状の突起をレジストその他のマスクで形成し、アルミを全体的に蒸着した後にレジストその他のマスクを除去することもできる。
【0035】
図4は、図1のスクリーン10の右の周辺側すなわち中心軸CXから+X方向に離れた領域PD1における断面構造を示している。この場合も、各立体的形状2の表面2a上に反射部3を層状に形成したものとなっているが、立体的形状2の深さが相対的に深くなっている。すなわち、図3(A)等に示す中央側の反射部3の場合、立体的形状2の深さe1が比較的浅く、図4に示す周辺側の反射部3の場合、立体的形状2の深さe2が比較的深い(e1<e2)。さらに、図3(A)等に示す中央側の反射部3の場合、第1部分3aと第2部分3bとの面積的な比率が略等しいが、図4に示す周辺側の反射部3の場合、第1部分3aと第2部分3bとの面積的な比率が大きく異なっており、第1部分3aのサイズの方が第2部分3bのサイズよりもかなり大きくなっている。これは、スクリーン10の右の周辺側に入射した投射光PPのうち第1投射光LAを第1の観察者R1に向けて反射しつつ、第2投射光LBを第2の観察者L1に向けても確実に反射できるようにしたものである。
【0036】
なお、図1のスクリーン10の左の周辺側すなわち中心軸CXから−X方向に離れた位置における断面構造は、図4に示すものを左右反転させたものとなっており、スクリーン10の左の周辺側に入射した投射光PPのうち第2投射光LBを第2の観察者L1に向けて反射しつつ、第1投射光LAを第1の観察者R1に向けても確実に反射できるようにしている。
【0037】
〔C.スクリーンの動作〕
以下、図3(A)及び図3(B)を参照して、スクリーン10の中央側での動作について説明する。ここでは、投射光PPは、光軸LXに略平行すなわち±Z方向に略平行な方向からスクリーン10に入射するものとなる。
【0038】
まず、図3(A)に示すように、プロジェクター50(図1参照)から、投射光PPのうち垂直偏光成分である第1投射光LAが投射された場合、反射部3のうち第1部分3aに入射した第1投射光LAaは、この第1部分3aで反射される。この際、第1部分3aの表面が球面状の凹形状有していることにより、ここで反射された第1投射光LAaは、適度に拡散された状態で第1の観察者R1のいる右側に反射光LRとして射出される。一方、反射部3のうち第2部分3bに入射した第1投射光LAbは、第2部分3bで吸収され或いはスクリーン基板1に透過して吸収される。つまり、第1投射光LAは、第1の観察者R1のいる+Z側に戻されることなく処理される。
【0039】
次に、図3(B)に示すように、投射光PPのうち水平偏光成分である第2投射光LBが投射された場合、反射部3のうち第2部分3bに入射した第2投射光LBbは、この第2部分3bで反射される。この際、第2部分3bの表面が球面状の凹形状有していることにより、ここで反射された第2投射光LBbは、適度に拡散された状態で第2の観察者L1のいる左側に反射光LLとして射出される。一方、反射部3のうち第1部分3aに入射した第2投射光LBaは、第1部分3aで吸収され或いはスクリーン基板1に透過して吸収される。つまり、第2投射光LBaは、第2の観察者L1のいる+Z側に戻されることなく処理される。
【0040】
以下、図4を参照して、スクリーン10の周辺側での動作について説明する。ここでは、投射光PPは、光軸LXすなわちZ軸に対して大きく傾いた方向からスクリーン10の右側の領域PD1(図2(A)参照)に入射するものとなる。
【0041】
まず、プロジェクター50(図1参照)から、投射光PPのうち垂直偏光成分である第1投射光LAが投射された場合、反射部3のうち広く深い第1部分3aに入射した第1投射光LAは、この第1部分3aで反射され、第1の観察者R1のいる右側に適度に拡散された反射光LRとして射出される(図5参照)。なお、第2部分3bに入射した第1投射光LAは、第2部分3bで吸収等されるため、第2の観察者L1に反射光として観察されない。
【0042】
次に、投射光PPのうち水平偏光成分である第2投射光LBが投射された場合、反射部3のうち狭く浅い第2部分3bに入射した第2投射光LBは、この第2部分3bで反射され、第2の観察者L1のいる左側に適度に拡散された反射光LLとして射出される。この際、立体的形状2が深いことから、第2部分3bが基準面のXY面に対して大きく傾いた状態となり、第2部分3bからの反射光LLは、Z軸又は光軸LXに対して大きく傾いた状態、すなわち大きな射出角度で左側に射出される(図5参照)。なお、第2投射光LBは、第1部分3aで吸収等されるため、第1の観察者R1に反射光として観察されない。
【0043】
なお、投射光PPがスクリーン10の中央側の領域PD0を挟んで領域PD1の反対側に入射した場合、反射部3に入射した第1投射光LAは、第1部分3aで反射され、比較的大きな射出角度で第1の観察者R1のいる右側に適度に拡散された反射光LRとして射出され(図5参照)、第2投射光LBは、第2部分3bで反射され、比較的小さな射出角度で第2の観察者L1のいる左側に適度に拡散された反射光LRとして射出される(図5参照)。
【0044】
以上のように、本実施形態のスクリーン10では、複数の反射部3のうち第1部分3aによって第1の偏光状態の成分に対応する第1投射光LAが選択的に第1方向に射出され、第2部分3bによって第2の偏光状態の成分に対応する第2投射光LBが選択的に第2方向に射出されるので、第1方向側に位置する第1の観察者R1に対しては、第1投射光LAに対応する画像を提供でき、第2方向側に位置する第2の観察者L1に対しては、第2投射光LBに対応する画像を提供できる。つまり、異なる位置でスクリーン10を観察する観察者R1,L1に対して、それぞれ異なる内容の画像を表示できる。
【0045】
〔第2実施形態〕
以下、図6(A)及び6(B)により、第2実施形態に係るスクリーンについて説明する。なお、本実施形態に係るスクリーン110は、第1実施形態のスクリーン10の変形例であるので、スクリーンの構造についてのみ図示し、スクリーン全体及び投射システム全体の図示を省略する。
【0046】
図示のように、スクリーン110は、多数の立体的形状2の表面2a上に形成される反射部103を有する。反射部103は、多数の立体的形状2の表面2a上にアルミ蒸着等により形成されるミラー膜である反射ミラー層131を有する。また、反射部103は、反射ミラー層131上に第1の透過吸収型偏光部材である第1の偏光層D21と、第2の透過吸収型偏光部材である第2の偏光層D22とを有する。第1の偏光層D21と、これの下地の反射ミラー層131の一部とは、第1部分103aを構成し、第2の偏光層D22と、これの下地の反射ミラー層131の残りの部分とは、第2部分103bとを構成する。
【0047】
第1の偏光層D21は、第1の偏光状態に相当する垂直偏光の第1投射光LAのみを透過させ、第2の偏光状態に相当する水平偏光の第2投射光LBを吸収する。第2の偏光層D22は、第2の偏光状態に相当する水平偏光の第2投射光LBのみを透過させ、第1の偏光状態に相当する垂直偏光の第1投射光LAを吸収する。反射ミラー層131は、第1の偏光層D21又は第2の偏光層D22を透過した成分を反射する。
【0048】
以下、スクリーン110の中央側での動作について説明する。まず、図6(A)に示すように、プロジェクター50(図1参照)から、投射光PPのうち垂直偏光成分である第1投射光LAが投射された場合、反射部103のうち第1部分103aに入射した第1投射光LAaは、第1の偏光層D21を透過し反射ミラー層131で反射される。反射された第1投射光LAaは、適度に拡散された状態で第1の観察者R1のいる右側に反射光LRとして射出される。一方、反射部103のうち第2部分103bに入射した第1投射光LAbは、第2部分103bの第2の偏光層D22で吸収される。つまり、第1投射光LAbは、第1の観察者R1のいる+Z側に戻されることなく処理される。
【0049】
次に、図6(B)に示すように、投射光PPのうち水平偏光成分である第2投射光LBが投射された場合、反射部103のうち第2部分103bに入射した第2投射光LBbは、第2の偏光層D22を透過し反射ミラー層131で反射される。反射された第2投射光LAbは、適度に拡散された状態で第2の観察者L1のいる左側に反射光LLとして射出される。一方、反射部103のうち第1部分103aに入射した第2投射光LBaは、第1部分103aで吸収される。つまり、第2投射光LBaは、第2の観察者L1のいる+Z側に戻されることなく処理される。
【0050】
なお、図6(A)及び6(B)では、スクリーン110の中央側についてのみ図示しスクリーン110の周辺側については、省略しているが、周辺側については、構造的には中央側と同じであるが、外観的な形状としては第1実施形態の場合と同様とすることができる。つまり、立体的形状2の深さや第1部分103aと第2部分103bとの面積的な比率を変えることで、第1投射光LAを第1の観察者R1に向けて反射しつつ、第2投射光LBを第2の観察者L1に向けても確実に反射できるようにしている。
【0051】
以上のように、本実施形態のスクリーン110においても、複数の反射部103のうち第1部分103aによって第1投射光LAが選択的に第1方向に射出され、第2部分103bによって第2投射光LBが選択的に第2方向に射出されるので、異なる位置でスクリーン110を観察する観察者R1,L1に対して、それぞれ異なる内容の画像を表示できる。
【0052】
〔第3実施形態〕
以下、図7(A)及び7(B)により、第3実施形態に係るスクリーンについて説明する。なお、本実施形態に係るスクリーン210は、第1実施形態のスクリーン10等の変形例であるので、スクリーンの構造についてのみ図示し、スクリーン全体及び投射システム全体の図示を省略する。
【0053】
図示のように、スクリーン210は、多数の立体的形状2の表面2a上に形成される反射部203を有する。反射部203は、多数の立体的形状2の表面2a上に第1の偏光状態にある成分を反射するとともに他の成分を吸収又は透過する偏光反射層232を有し、偏光反射層232の上方に一枚の板状の位相差板233を有する。なお、位相差板233は、スクリーン210の前面のうち立体的形状2が形成されていない端の部分(不図示)でスクリーン基板1に固定されている。位相差板233は、偏光反射層232上に第1の偏光状態で入射する成分を偏光状態を保って通過させる通過部D31と、第2の偏光状態で入射する成分を第1の偏光状態に変化させる位相差部D32とを有する。位相差板233は、偏光反射層232を覆うように形成されている。通過部D31と、これの下地の偏光反射層232の一部とは、第1部分203aを構成し、位相差部D32と、これの下地の偏光反射層232の残りの部分とは、第2部分203bとを構成する。
【0054】
反射部203のうち第1部分203aにおいて、通過部D31は第1の偏光状態に相当する垂直偏光の第1投射光LAも、第2の偏光状態に相当する水平偏光の第2投射光LBもそのまま透過させる。第2部分203bにおいて、位相差部D32は、第1の偏光状態に相当する垂直偏光の第1投射光LAを第2の偏光状態に相当する水平偏光に変換し、水平偏光の第2投射光LB垂直偏光変換する。偏光反射層232は、通過部D31又は位相差部D32を透過した成分のうち、第1の偏光状態にある成分を反射するとともに他の成分である第2の偏光状態の成分を吸収又は透過する。
【0055】
以下、スクリーン210の中央側での動作について説明する。まず、図7(A)に示すように、プロジェクター50(図1参照)から、投射光PPのうち垂直偏光成分である第1投射光LAが投射された場合、反射部203のうち第1部分203aに入射した第1投射光LAaは、通過部D31を透過し偏光反射層232で反射される。反射された第1投射光LAaは、適度に拡散され、かつ、位相差部D32を経ることで水平偏光成分に変換された状態で第1の観察者R1のいる右側に反射光LRとして射出される。一方、反射部203のうち第2部分203bに入射した第1投射光LAbは、第2部分203bの位相差部D32で垂直偏光の状態から水平偏光の状態に変換される。偏光反射層232は、水平偏光の状態となった第1投射光LAbを吸収又は透過する。つまり、第1投射光LAbは、第1の観察者R1のいる+Z側に戻されることなく処理される。
【0056】
次に、図7(B)に示すように、投射光PPのうち水平偏光成分である第2投射光LBが投射された場合、反射部203のうち第2部分203bに入射した第2投射光LBbは、位相差部D32で水平偏光の状態から垂直偏光の状態に変換され偏光反射層232で反射される。反射された第2投射光LAbは、適度に拡散され、かつ、通過部D31を経て垂直偏光成分のままの状態で第2の観察者L1のいる左側に反射光LLとして射出される。一方、反射部203のうち第1部分203aに入射した第1投射光LBaは、通過部D31を透過し偏光反射層232に入射する。偏光反射層232は、水平偏光の第2投射光LBaを吸収又は透過する。つまり、第2投射光LBaは、第2の観察者L1のいる+Z側に戻されることなく処理される。
【0057】
なお、図7(A)及び7(B)では、スクリーン210の中央側についてのみ図示しスクリーン210の周辺側については、省略しているが、周辺側については、第1実施形態等の場合と同様の構造とすることができる。つまり、立体的形状2の深さや第1部分203aと第2部分203bとの面積的な比率を変えることで、第1投射光LAを第1の観察者R1に向けて反射しつつ、第2投射光LBを第2の観察者L1に向けても確実に反射できるようにしている。
【0058】
以上のように、本実施形態のスクリーン210においても、複数の反射部203のうち第1部分203aによって第1投射光LAが選択的に第1方向に射出され、第2部分203bによって第2投射光LBが選択的に第2方向に射出されるので、異なる位置でスクリーン210を観察する観察者R1,L1に対して、それぞれ異なる内容の画像を表示できる。
【0059】
なお、上記では、一枚の板状の位相差板233が通過部D31と位相差部D32とを有するものとしているが、第2実施形態の場合と同様に、通過部D31と位相差部D32とが、偏光反射層232上において立体的形状2の曲面に沿うように形成されていてもよい。
【0060】
〔第4実施形態〕
以下、図8により、第4実施形態に係るスクリーンについて説明する。なお、本実施形態に係るスクリーン310は、第1実施形態のスクリーン10の変形例であるので、スクリーンの構造についてのみ図示し、スクリーン全体及び投射システム全体の図示を省略する。
【0061】
図示のように、スクリーン310は、多数の立体的形状302を有するスクリーン基板301と、多数の立体的形状302の表面302a上に形成される反射部303とを有する。このうち、各立体的形状302は、半球状の凸面を有する。より具体的に説明すると、第1実施形態のスクリーン10において凹状であった各立体的形状2に代えて、スクリーン310は、これと同様に配列された球面状の凸部である立体的形状302をスクリーン基板301において有するものとなっている。反射部303は、第1部分303aとして第1の反射型偏光部材である第1の偏光層D1を有し、第2部分303bとして第2の反射型偏光部材である第2の偏光層D2を有する。これにより、スクリーン310は、図3(A)及び3(B)等に示すスクリーン10の場合と同様に動作する。ただし、図8に示すように、各立体的形状302が凹形状ではなく凸形状を有することに対応して、各立体的形状302の右側すなわち+X側に第1部分303aが形成され、左側すなわちX側に第2部分303bが形成されている。つまり、スクリーン10の第1部分3aと第2部分3bとの場合と比較して、第1部分303aと第2部分303bとが左右の位置が逆転している。
【0062】
以上のように、本実施形態のスクリーン310においても、複数の反射部303のうち第1部分303aによって第1投射光LAが選択的に第1方向に射出され、第2部分303bによって第2投射光LBが選択的に第2方向に射出されるので、異なる位置でスクリーン310を観察する観察者R1,L1に対して、それぞれ異なる内容の画像を表示できる。
【0063】
〔第5実施形態〕
以下、図9により、第5実施形態に係る投射システムについて説明する。本実施形態の投射システム200は、プロジェクター150と、スクリーン10とを備える。なお、スクリーン10に代えて、上記スクリーン110,210,310を適用することも可能である。
【0064】
プロジェクター150は、上段側すなわち+Y側に設置される第1プロジェクター150aと、下段側すなわち−Y側に設置される第2プロジェクター150bとで構成されるスタック方式の画像投射装置である。第1プロジェクター150aは、第1の偏光状態の第1投射光LAをスクリーン10に向けて射出する。一方、第2プロジェクター150bは、第2の偏光状態の第2投射光LBをスクリーン10に向けて射出する。つまり、プロジェクター150は、スクリーン10上において、第1プロジェクター150aによって形成される画像と第2プロジェクター150bによって形成される画像とを、重畳させた状態で表示させることができる。この場合も、スクリーン10等を用いることで、異なる位置で観察する観察者に対して、第1及び第2プロジェクター150a,150bによって形成されるそれぞれ異なる内容の画像を表示することができる。
【0065】
なお、上記では、プロジェクター150において、第1及び第2プロジェクター150a,150bを上下方向についてスタック方式で設置するものとしているが、第1投射光LAによる画像と第2投射光LBによる画像とをスクリーン10上で重畳した状態で表示できれば、これ以外の方式で第1及び第2プロジェクター150a,150bを設置しているものであってもよい。例えば、第1及び第2プロジェクター150a,150bを並列的に設置して、各プロジェクター150a,150bで形成された投射光をダイクロイックミラー等で合成して1つの投射光として射出してもよい。
【0066】
〔その他〕
以上各実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0067】
まず、上記において、立体的形状2の配列パターンは、種々変形可能であり、例えば円弧状のパターンで配列してもよく、全体で一様なパターンで配列してもよい。
【0068】
また、第1及び第2部分3a,3bについて、輪郭やサイズ比適宜変更することも可能である。
【符号の説明】
【0069】
100…投射システム、 50…プロジェクター、 10,110,210,310…スクリーン、 10a…前面、 1…スクリーン基板、 2…立体的形状、 2a…表面、 3…反射部、 3a…第1部分、 3b…第2部分、 D1,D2…偏光層、 131…反射ミラー層、 D31…通過部、 D32…位相差部、 FS…微細凹凸構造、 PP…投射光、 LA…第1投射光、 LB…第2投射光、 R1,L1…観察者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準面に沿って曲面をそれぞれ含む複数の立体的形状を有するスクリーン基板と、
前記複数の立体的形状の各曲面上にそれぞれ形成されるとともに投射光のうち第1の偏光状態で入射する成分に対応するものを選択的に第1方向に射出させる第1部分と、前記投射光のうち第2の偏光状態で入射する成分に対応するものを選択的に第2方向に射出させる第2部分とをそれぞれ有する複数の反射部と、
を備えるスクリーン。
【請求項2】
前記第1部分は、前記複数の立体的形状の光入射側に形成され、前記投射光のうち前記第1の偏光状態で入射する成分を反射するとともに他の成分を吸収又は透過させる第1の反射型偏光部材を有し、
前記第2部分は、前記複数の立体的形状の光入射側に形成され、前記投射光のうち前記第2の偏光状態で入射する成分を反射するとともに他の成分を吸収又は透過させる第2の反射型偏光部材を有する、請求項1に記載のスクリーン。
【請求項3】
前記第1及び第2部分は、前記複数の立体的形状の表面に形成され、前記投射光を反射する反射ミラー層を有し、
前記第1部分は、前記反射ミラー層の光入射側に形成され、前記投射光のうち前記第1の偏光状態で入射する成分を前記反射ミラー層側に透過させるとともに他の成分を吸収する第1の透過吸収型偏光部材を有し、
前記第2部分は、前記反射ミラー層の光入射側に形成され、前記投射光のうち前記第2の偏光状態で入射する成分を前記反射ミラー層側に透過させるとともに他の成分を吸収する第2の透過吸収型偏光部材を有する、請求項1に記載のスクリーン。
【請求項4】
前記第1及び第2部分は、前記複数の立体的形状の表面に形成され、前記第1の偏光状態にある成分を反射するとともに他の成分を吸収又は透過する偏光反射層を有し、
前記第1部分は、前記偏光反射層の光入射側に形成され、前記投射光のうち前記第1の偏光状態で入射する成分を偏光状態を保って通過させる通過部を有し、
前記第2部分は、前記偏光反射層の光入射側に形成され、前記投射光のうち前記第2の偏光状態で入射する成分を前記第1の偏光状態に変化させる位相差部を有する、請求項1に記載のスクリーン。
【請求項5】
前記複数の立体的形状において、各曲面の形状は、球面状の凹部又は凸部である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のスクリーン。
【請求項6】
前記複数の立体的形状において、前記第1部分と前記第2部分との比率は、当該各立体的形状の前記スクリーン基板の基準面上における位置に応じて異なる、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のスクリーン。
【請求項7】
前記スクリーン基板の中央側に位置する前記立体的形状ほど前記第1部分と前記第2部分との比率の偏りが少なく、周辺側に位置する前記立体的形状ほど当該比率の偏りが多い、請求項6に記載のスクリーン。
【請求項8】
前記複数の立体的形状のうち隣接する一対の立体的形状間の間隔は、前記スクリーン基板の中央側から周辺側に向かって拡がっていく、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のスクリーン。
【請求項9】
前記スクリーン基板の長手方向について中央側から一端側の方向の成分を含む方向を前記第1方向とし、前記スクリーン基板の長手方向について中央側から他端側の方向の成分を含む方向を前記第2方向とする、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のスクリーン。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のスクリーンと、
前記第1の偏光状態の投射光と前記第2の偏光状態の投射光とを、時分割で前記スクリーン上に投射する画像投射装置と、
を備える投射システム。
【請求項11】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のスクリーンと、
前記第1の偏光状態の投射光と前記第2の偏光状態の投射光とを前記スクリーン上に重畳した状態で投射する画像投射装置と、
を備える投射システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−133080(P2012−133080A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284264(P2010−284264)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】