説明

スクリーン版、印刷方法、液晶表示パネルの製造方法及び太陽電池の製造方法

【課題】スキージの走査方向における転写材の線幅のバラツキを抑制する。
【解決手段】上面にコートされた転写材を下面側に押し出すようにスキージが上面側を走査することで、下面側に配置された基板上に前記転写材を転写するスクリーン版である。スクリーン版は、転写材を前記基板に転写するための転写パターンを有し、転写パターンのうち、スキージによる転写開始位置に対してより近くに配置された少なくとも一部の転写パターンは、転写開始位置に対してより遠くに配置された転写パターンよりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン版、印刷方法、液晶表示パネルの製造方法及び太陽電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置の液晶表示パネルを製造する方式として、例えばODF(One Drop Fill)方式が知られている。ODF方式においては各種配線及び薄膜トランジスタが形成されたTFT基板と、CF基板とを貼り合わせる際に、予めTFT基板にシール剤により液晶封止領域を形成し、その領域中に液晶を滴下してから真空中で貼り合わせる。貼り合わせ後には、大気圧に戻すことによりTFT基板とCF基板との間のギャップを小さくしてシール剤を押し広げてから、シール剤に対して紫外線を照射することにシール剤を硬化させている。
【0003】
そして、液晶封止領域をTFT基板に形成するためTFT基板にシール剤を形成する方法には、例えばディスペンサー法やスクリーン印刷法などがある。なお、スクリーン印刷法は、液晶表示パネルの製造以外にも、太陽電池の製造時に、電解液を封止するシール剤を基板上に形成する際にも用いられている。
スクリーン印刷法に用いられる印刷装置は、転写材としてシール剤をスクリーン版上にコートするスクレッパーと、スクリーン版上にコートされたシール剤をスクリーン版から押し出してTFT基板上に転写するスキージとを備えている。
【0004】
また、スクリーン版に対するスキージからの応力を緩和するために、スクリーン版には、封止領域をなすシール剤を押し出すためのシール形成パターンの外側に、ダミーのシール剤を押し出すためのダミーシール形成パターンが形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−215604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ダミーシール形成パターンによってスキージからの応力を緩和したとしても、シール形成パターンから押し出されたシール剤の線幅は、スキージの走査方向における転写開始位置に近い部分の方が転写終了位置に近い部分よりも細くなってしまい、線幅にバラツキが生ずるのが実状であった。
本発明の課題は、スキージの走査方向における転写材の線幅のバラツキを抑制することのできるスクリーン版、印刷方法、液晶表示パネルの製造方法及び太陽電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様によれば、
上面にコートされた転写材を下面側に押し出すようにスキージが上面側を走査することで、下面側に配置された基板上に前記転写材を転写するスクリーン版において、
前記転写材を前記基板に転写するための転写パターンを有し、
前記転写パターンのうち、前記スキージによる転写開始位置に対してより近くに配置された少なくとも一部の前記転写パターンは、前記転写開始位置に対してより遠くに配置された前記転写パターンよりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きいことを特徴とするスクリーン版が提供される。
【0008】
上記スクリーン版において、好ましくは、前記転写パターンは、
メインの前記転写材を前記基板上に転写するためのメイン転写パターンと、
前記メイン転写パターンよりも前記転写開始位置に近い側に配置されて、ダミーの前記転写材を前記基板上に転写するための第一ダミー転写パターンと、
前記メイン転写パターンよりも前記スキージによる転写終了位置に近い側に配置されて、ダミーの前記転写材を前記基板上に転写するための第二ダミー転写パターンと、を備え、
前記メイン転写パターンは、前記転写開始位置側から前記転写終了位置側にかけて一様な線幅で形成されていて、
前記第一ダミー転写パターンは、前記第二ダミー転写パターンよりも単位面積当たりの転写パターンの面積が大きい。
上記スクリーン版において、好ましくは、前記転写パターンは、
メインの前記転写材を前記基板上に転写するためのメイン転写パターンと、
前記メイン転写パターンよりも前記転写開始位置に近い側に配置されて、ダミーの前記転写材を前記基板上に転写するための第一ダミー転写パターンと、
前記メイン転写パターンよりも前記スキージによる転写終了位置に近い側に配置されて、ダミーの前記転写材を前記基板上に転写するための第二ダミー転写パターンと、を備え、
前記第一ダミー転写パターン及び前記第二ダミー転写パターンは、前記転写開始位置側から前記転写終了位置側にかけて一様な線幅で形成されていて、
前記メイン転写パターンのうち、前記転写開始位置に対してより近くに配置された少なくとも一部の前記メイン転写パターンは、前記転写開始位置に対してより遠くに配置された前記メイン転写パターンよりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きい。
上記スクリーン版において、好ましくは、前記単位面積当たりの転写パターンの面積は、前記転写パターンの線幅を異ならせることで調整されている。
上記スクリーン版において、好ましくは、前記単位面積当たりの転写パターンの面積は、線幅の一様な前記転写パターンを粗密にすることで調整されている。
【0009】
また、本発明の他の態様によれば、
上記スクリーン版を用いた印刷方法であって、
前記スクリーン版の上面に転写材を載置し、スクレッパーにより前記スクリーン版の上面に前記転写材をコートする転写材コート工程と、
次いで、前記スクリーン版の上面にコートされた前記転写材を下面側に押し出すように前記スキージが上面側を一度走査することで、下面側に配置された基板上に前記転写材を転写する転写工程とを含むことを特徴とする印刷方法が提供される。
【0010】
また、本発明の他の態様によれば、
上記スクリーン版を用いた液晶表示パネルの製造方法であって、
複数個の前記液晶表示パネルを形成可能な面積を有し、前記各液晶表示パネルに対応した導電膜パターンが形成された第一透明基板を準備する透明基板準備工程と、
前記各液晶表示パネルの画面エリアを囲むように複数の単素子シールを形成する単素子シール形成工程と、
前記単素子シールによって囲まれた領域内に液晶を滴下する液晶滴下工程と、
前記第一透明基板との間に前記単素子シール及び前記液晶を介在させた状態で、前記第一透明基板に第二透明基板を貼り合わせる貼り合わせ工程とを含み、
前記単素子シール形成工程は、
前記スクリーン版の上面に前記転写材としてのシール剤を載置し、スクレッパーにより前記スクリーン版の上面に前記シール剤をコートするシール剤コート工程と、
前記スクリーン版の上面にコートされた前記シール剤を下面側に押し出すように前記スキージが上面側を一度走査することで、下面側に配置された前記第一透明基板上に前記シール剤を転写して、前記単素子シールを形成する転写工程とを含むことを特徴とする液晶表示パネルの製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明の他の態様によれば、
上記液晶表示パネルの製造方法であって、
複数個の前記液晶表示パネルを形成可能な面積を有し、前記各液晶表示パネルに対応した導電膜パターンが形成された第一透明基板を準備する透明基板準備工程と、
液晶注入口を除く部分において前記各液晶表示パネルの画面エリアを囲むように複数の単素子シールを形成する単素子シール形成工程と、
前記第一透明基板との間に前記単素子シールを介在させた状態で、前記第一透明基板に第二透明基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、
前記第一透明基板、前記第二透明基板及び前記単素子シールによって囲まれた領域内に、前記液晶注入口から液晶を注入する液晶注入工程と、を含み、
前記単素子シール形成工程は、
前記スクリーン版の上面に前記転写材としてのシール剤を載置し、スクレッパーにより前記スクリーン版の上面に前記シール剤をコートするシール剤コート工程と、
前記スクリーン版の上面にコートされた前記シール剤を下面側に押し出すように前記スキージが上面側を一度走査することで、下面側に配置された前記第一透明基板上に前記シール剤を転写して、前記単素子シールを形成する転写工程とを含むことを特徴とする液晶表示パネルの製造方法が提供される。
【0012】
上記液晶表示パネルの製造方法において、好ましくは、前記貼り合わせ工程の後に、前記各単素子シールに沿って前記第一透明基板及び前記第二透明基板を切断する切断工程を更に備える。
【0013】
また、本発明の他の態様によれば、
上記スクリーン版を用いた太陽電池の製造方法であって、
複数個の前記太陽電池を形成可能な面積を有し、前記各太陽電池に対応した導電膜パターンが形成された第一基板を準備する基板準備工程と、
電解液注入口を除く部分において前記各太陽電池の発電エリアを囲むように複数の単素子シールを形成する単素子シール形成工程と、
前記第一基板との間に前記単素子シールを介在させた状態で、前記第一基板に第二基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、
前記第一基板、前記第二基板及び前記単素子シールによって囲まれた領域内に、前記電解液注入口から電解液を注入する電解液注入工程と、を含み、
前記単素子シール形成工程は、
前記スクリーン版の上面に前記転写材としてのシール剤を載置し、スクレッパーにより前記スクリーン版の上面に前記シール剤をコートするシール剤コート工程と、
前記スクリーン版の上面にコートされた前記シール剤を下面側に押し出すように前記スキージが上面側を一度走査することで、下面側に配置された前記第一基板上に前記シール剤を転写して、前記単素子シールを形成する転写工程とを含むことを特徴とする太陽電池の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スキージの走査方向における転写材の線幅のバラツキを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施の形態の印刷装置の概略構成を示す説明図であり、コート前における状態を示す模式図である。
【図2】図1の印刷装置の概略構成を示す説明図であり、転写前における状態を示す模式図である。
【図3】第1の実施の形態に係るスクリーン版の概略構成を示す上面図である。
【図4】図3におけるIV−IV切断線から見た断面図である。
【図5】図3のスクリーン版により製造された液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図6】図5の液晶表示パネルのTFT基板上に形成された回路の一部を示す平面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法の製造工程図である。
【図8】図7のシール剤コート工程におけるシール剤及びスクリーン版の状態を示す図であり、図3におけるVIII−VIII切断線から見た断面図である。
【図9】図7の転写工程におけるシール剤及びスクリーン版の状態を示す図であり、図3におけるVIII−VIII切断線から見た断面図である。
【図10】図7の転写工程時におけるシール剤の状態を示す説明図であり、(a)は第一の状態を示す側面図、(b)は第二の状態を示す側面図、(c)は第三の状態を示す側面図である。
【図11】図7の液晶滴下工程時において、図3におけるVIII−VIII切断線から見た状態を示す模式断面図である。
【図12】図7の貼り合わせ工程前において、図3におけるVIII−VIII切断線から見た状態を示す模式断面図である。
【図13】図7の貼り合わせ工程後において、図3におけるVIII−VIII切断線から見た状態を示す模式断面図である。
【図14】図3のスクリーン版の変形例を示す上面図である。
【図15】図3のスクリーン版の変形例を示す上面図である。
【図16】第2の実施の形態に係るスクリーン版の概略構成を示す上面図である。
【図17】第3の実施の形態に係るスクリーン版の概略構成を示す上面図である。
【図18】図17のスクリーン版により製造された液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。
【図19】第3の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法の製造工程図である。
【図20】第4の実施の形態に係る太陽電池の製造方法を示す説明図である。
【図21】第4の実施の形態に係る太陽電池の製造方法の製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0017】
[第1の実施の形態]
図1及び図2は第1の実施の形態のスクリーン版が搭載された印刷装置の概略構成を模式的に示す説明図である。この図1及び図2に示すように印刷装置1には、スクリーン版2と、基板Pが載置される印刷ステージ3と、基板Pに対して平行となるようにスクリーン版2を印刷ステージ3の上方で支持する支持部4と、スクリーン版2上に転写材をコートするスクレッパー5と、スクリーン版2上にコートされた転写材を基板Pに転写するスキージ6とが設けられている。また、印刷装置1には、スクリーン版2に当接する位置と、スクリーン版2から離間した位置とにスクレッパー5若しくはスキージ6を切り替えて配置する移動切替機構7が設けられている。移動切替機構7は、スクリーン版2に当接した位置に配置されたスクレッパー5若しくはスキージ6を移動させて、スクリーン版2上を摺擦させる。図1に示すようにスクレッパー5がスクリーン版2に当接する位置に配置されている場合には、移動切替機構7によりスクレッパー5が移動し、スクリーン版2上に転写材をコートする。一方、図2に示すようにスキージ6がスクリーン版2に当接する位置に配置されている場合には、移動切替機構7によりスキージ6が移動し、スクリーン版2上の転写材を基板P上に転写する。この場合、コート時におけるスクレッパー5の走査方向(図1における矢印B)と、転写時におけるスキージ6の走査方向(図2における矢印C)とは互いに逆方向である。
【0018】
スクレッパー5は、印刷ステージ3に向けて垂下し、下端部で転写材をスクリーン版2上にコートするブレード51を有する。ブレード51は走査方向Bの先方側から見て略矩形状をなしており、印刷ステージ3の上面とブレード51の下端部における印刷ステージ3と対向する先端面とが平行に形成され配置されている。
【0019】
スキージ6は、ゴム等の弾性体から形成された板状部材であり、その走査時には上端部が下端部よりも走査方向B側に位置するように傾斜して設置されている。
【0020】
スクリーン版2は、上面にコートされた転写材を下面側に押し出すようにスキージ6が上面側を一度走査することで、下面側に配置された基板P上に転写材を転写するものである。図3はスクリーン版2の概略構成を示す上面図であり、図4は図3におけるIV−IV切断線から見た断面図である。なお、図3においてスキージ6の走査方向Cにおける上流側の点線部分はスキージ6による転写開始位置Sを示しており、走査方向Cにおける下流側の点線部分はスキージ6による転写終了位置Eを示している。
【0021】
図3及び図4に示すようにスクリーン版2は、メッシュ状で且つシート状であり、その表面には乳剤21がコートされている。このスクリーン版2には、スクリーン版2上の該当箇所の乳剤21を除去して開口23を形成することで、転写材を基板Pに転写するための転写パターン22が形成されている。
転写パターン22は、メイン転写パターン24と、第一ダミー転写パターン25と、第二ダミー転写パターン26と、第三ダミー転写パターン27とを備えている。
【0022】
メイン転写パターン24は、転写後においても主要な構成要件として機能する転写材を転写するためのパターンである。例えば、印刷装置1が液晶表示パネルの製造方法に用いられる場合には、メイン転写パターン24は液晶封止用のシール剤を転写することに使用される。また、印刷装置1が太陽電池の製造方法に用いられる場合には、メイン転写パターン24は、電解液封止用のシール剤を転写することに使用される。
【0023】
メイン転写パターン24は、第一ダミー転写パターン25と第二ダミー転写パターン26との間に配置されている。ここで、メイン転写パターン24は、封止用の転写材を四角枠状に転写するための単位パターン(枠パターン241)を複数有している。本実施形態では、9つの枠パターン241が3×3のマトリクス状に配列されている。
【0024】
第一ダミー転写パターン25は、メイン転写パターン24よりも転写開始位置Sに近い側に配置されていて、メイン転写パターン24の上流側でダミーの転写材を基板P上に転写するためのパターンである。第一ダミー転写パターン25は、ダミー用の転写材を櫛歯状に転写するための単位パターン(櫛状パターン251)を複数有している。具体的には、櫛状パターン251は、走査方向Cに直交する方向に沿う基辺部252と、それぞれ間隔を空けて基辺部252から走査方向Cに沿って上流側に延出する複数の櫛歯部253とを有している。そして、本実施形態では、3つの櫛状パターン251がそれぞれ各列の枠パターン241の上流側に配置されている。
【0025】
第二ダミー転写パターン26は、メイン転写パターン24よりも転写終了位置Eに近い側に配置されていて、メイン転写パターン24の下流側でダミーの転写材を基板P上に転写するためのパターンである。第二ダミー転写パターン26は、ダミー用の転写材をコ字状に転写するための単位パターン(コ字状パターン261)を複数有している。具体的には、コ字状パターン261は、走査方向Cに直交する方向に沿う基辺部262と、基辺部262の両端部から走査方向Cに沿って下流側に延出する一対の側辺部263とを有している。そして、本実施形態では、3つのコ字状パターン261がそれぞれ各列の枠パターン241の下流側に配置されている。
【0026】
第三ダミー転写パターン27は、メイン転写パターン24に対して走査方向Cに直交する方向における両側方に配置されていて、メイン転写パターン24の両側方でダミーの転写材を基板P上に転写するためのパターンである。第三ダミー転写パターン27は、ダミー用の転写材をコ字状に転写するための単位パターン(コ字状パターン271)を複数有している。具体的には、コ字状パターン271は、走査方向Cに沿う基辺部272と、基辺部272の両端部から走査方向Cに直交する方向に沿って外側に延出する一対の側辺部273とを有している。本実施形態では、3つのコ字状パターン271がそれぞれ各行の枠パターン241の両側方に配置されている。
【0027】
なお、メイン転写パターン24,第一ダミー転写パターン25、第二ダミー転写パターン26及び第三ダミー転写パターン27の総数や配列形状は上記した一例に限定されるものではない。
【0028】
また、メイン転写パターン24,第一ダミー転写パターン25、第二ダミー転写パターン26及び第三ダミー転写パターン27は、いずれも一様な線幅で形成されている。このように線幅が一定であると、スキージ6が転写開始位置Sから転写終了位置Eまで等速で走査する場合には転写材は均等に押し出されるので、パターンが密である部分の方が粗い部分よりも、単位面積当たりの転写パターンの面積は大きくなる。つまり、パターンが最も密である第一ダミー転写パターン25は、その他のメイン転写パターン24、第二ダミー転写パターン26及び第三ダミー転写パターン27よりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きくなっている。
【0029】
ここで、単位面積当たりの転写パターンの面積は、線幅をH、単位パターンをなす線(開口23)の全長をL、単位パターン全体の面積をAとすると、単位面積当たりの転写パターンの面積=H×L/Aという関係で表される。単位パターン全体の面積とは、単位パターンが形成されている領域全体の面積である。具体的に、メイン転写パターン24の場合は「枠パターン241の縦辺長さ×横辺長さ」により求められる面積である。ここで、縦辺長さとは走査方向Cと平行な辺の長さであり、横辺長さとは走査方向Cと直交する辺の長さである。第一ダミー転写パターン25の場合は「櫛パターンの基辺部252の長さ×一つの櫛歯部253の長さ」で求められる面積である。第二ダミー転写パターン26の場合は「コ字状パターン261の基辺部262の長さ×一つの側辺部263の長さ」で求められる面積である。第三ダミー転写パターン27の場合は「コ字状パターン271の基辺部272の長さ×一つの側辺部273の長さ」で求められる面積である。また逆に、領域全体の面積とは、一般的に記述すると、各転写パターン24,25,26,27を取り囲む多角形のうち、頂点の数が最少でなおかつ面積が最少となる多角形の面積である。
【0030】
これにより、転写パターン22における転写開始位置S側に配置された第一ダミー転写パターン25は、転写パターン22における転写終了位置E側に配置された第二ダミー転写パターン26よりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きくなっている。
【0031】
次に、本実施形態の液晶表示パネルの製造方法により形成された液晶表示パネルについて説明する。図5は、液晶表示パネル100の概略構成を示す斜視図である。図6は液晶表示パネル100のTFT基板上に形成された回路の一部を示す平面図である。この図5及び図6に示すように、液晶表示パネル100は、第一透明基板としてのガラス基板111を有するTFT基板110と、第二透明基板としてのガラス基板121を有するCF基板120とを備えている。TFT基板110とCF基板120とは液晶表示パネル100の画面エリアGを取り囲んで形成された単素子シール130を介して積層されている。TFT基板110は、4辺のうち少なくとも一辺においてCF基板120から突出した突出部110aを有する形状をなしており、この突出部110aに駆動回路150が搭載される。単素子シール130は、CF基板120の外周縁に沿って閉じた枠状に形成されていて、CF基板120とTFT基板110との間に介在している。この単素子シール130、TFT基板110及びCF基板120により形成された空間内に液晶140が封入されている。これにより、液晶140は単素子シール130により周囲が囲まれている。
【0032】
この液晶表示パネル100は、薄膜トランジスタ(TFT)をアクティブ素子としたアクティブマトリックス液晶素子である。ガラス基板111におけるCF基板120との対向面(TFT基板110の内面)における液晶表示パネル100の画面エリアG内には、導電膜パターンP1が形成されている。導電膜パターンP1には、行及び列方向にマトリクス状に配列させて形成されて画素を形成する複数の画素電極33と、複数の画素電極33にそれぞれ対応させて配置され、対応する画素電極33に接続された複数の薄膜トランジスタ34と、各行の複数の薄膜トランジスタ34にそれぞれゲート信号を供給する複数の走査線35と、各列の複数の薄膜トランジスタ34にそれぞれデータ信号を供給する複数の信号線36とが設けられている。また、ガラス基板111におけるCF基板120との対向面(TFT基板110の内面)における液晶表示パネル100の画面エリアGの外側には、複数の走査線35または複数の信号線36のうちいずれか1つにそれぞれ接続された複数の引き回し配線13が形成されている。複数の引き回し配線13のうち複数の走査線35に接続された一部の引き回し配線13の各端部が、突出部110aのうち駆動回路150が搭載される駆動回路搭載領域39に配置されてゲート端子37を形成し、複数の引き回し配線13のうち信号線36に接続された他の一部の引き回し配線13の各端部が、突出部110aの駆動回路搭載領域39に配置されてデータ端子38を形成している。そして、複数の引き回し配線13はそれぞれ、その全体または一部が単素子シール130と重ねて形成されている。
【0033】
一方、ガラス基板121におけるTFT基板110との対向面(CF基板120の内面)には、複数の画素電極33の配列領域全体に対向させて形成された対向電極(不図示)と、複数の画素電極33と対向電極とが互いに対向する領域からなる複数の画素にそれぞれ対応させて形成された赤、緑、青の3色のカラーフィルタ層(不図示)とが設けられている。
【0034】
また、TFT基板110およびCF基板120の内面にはそれぞれ、電極を覆う配向膜(不図示)が形成されており、この配向膜により液晶140の液晶分子は初期配向状態に保持され配向されている。そして、突出部10aの駆動回路搭載領域39に搭載された駆動回路150は、ゲート端子37を介して複数の走査線35に順次ゲート信号を印加し、データ端子38を介して複数の信号線36にデータ信号を印加するものである。さらに、突出部110aの端部には、図示しない外部回路からのドライバ制御信号を駆動回路150に供給する配線フィルム(不図示)が接続されている。
【0035】
次に、本実施形態の液晶表示パネルの製造方法について説明する。図7は液晶表示パネルの製造方法の製造工程図である。図8〜図13は、液晶表示パネルの製造方法の各工程を模式的に示す説明図である。
【0036】
まず、第一透明基板としてTFT基板110Aを準備する(透明基板準備工程S1)。このTFT基板110Aは、複数個の液晶表示パネル100を形成可能な面積を有している。また、TFT基板110Aには、予め複数個の液晶表示パネル100のそれぞれに対応した導電膜パターンP1が複数形成されている。
【0037】
次いで、各液晶表示パネル100の画面エリアGをそれぞれ囲むように、TFT基板110A上に複数の単素子シール130を形成する(単素子シール形成工程S2)。この単素子シール形成工程S2は、シール剤コート工程S21(転写材コート工程)と、転写工程S22とを含む印刷方法である。
【0038】
シール剤コート工程S21では、まず各液晶表示パネル100の単素子シール130にそれぞれ対応した複数の枠パターン241を有するスクリーン版2を、支持部4にセットする。そして、TFT基板110Aを基板Pとして印刷ステージ3上に設置する。
【0039】
印刷装置1の移動切替機構7は、スクリーン版2に当接する位置にスクレッパー5を配置し、スクリーン版2から離間した位置にスキージ6を配置する。配置後においては、スクレッパー5におけるブレード51のうち、スクリーン版2と当接した先端部側であって、走査方向Bにおける先方側に、転写材としてのシール剤130Aを1回のコートで必要な分だけ盛る。なお、シール剤130Aは紫外線硬化型のシール剤である。
【0040】
その後、図8に示すように、移動切替機構7はブレード51をスクリーン版2の上面に突き当てた状態でスクレッパー5を走査方向Bに沿って移動させて、スクリーン版2上にシール剤130Aをコートする。
【0041】
コートが完了すると、転写工程S22を実行する。転写工程S22では、移動切替機構7は、スクレッパー5とスキージ6との位置を切り替えて、スクリーン版2に当接する位置にスキージ6を配置し、スクリーン版2から離間した位置にスクレッパー5を配置する。配置後、移動切替機構7は、印刷ステージ3上に配置されたTFT基板110Aに対してスクリーン版2が当接するように、スキージ6の下端部をスクリーン版2の上面に突き当てた状態で、転写開始位置Sから転写終了位置Eまでスキージ6を一度走査方向Cに移動させる(図9参照)。この移動時において、スキージ6の下端部がスクリーン版2の各開口23内に配置されている間(図10(a),(b))、各開口23上のシール剤130Aがスキージ6により押されて、各開口23からスクリーン版2の下側に押し出されることになる(図10(b)参照)。開口23から押し出されたシール剤130Aは、TFT基板110Aの上面に転写される(図10(c)参照)。スキージ6がスクリーン版2の転写終了位置Eまで移動すると、TFT基板110Aの上面には、シール剤130Aが転写される。
【0042】
ここで、メイン転写パターン24から押し出されたシール剤130Aは、閉じた枠状となった複数の単素子シール130となる。また、第一ダミー転写パターン25、第二ダミー転写パターン26及び第三ダミー転写パターン27から押し出されたシール剤130Aは、ダミーシール135となる。
【0043】
次いで、図11に示すように、液晶滴下装置のステージ200上にTFT基板110Aをセットして、常圧下において、TFT基板110A上における単素子シール130に囲まれた領域の内側に液晶140を滴下する(液晶滴下工程S3)。なお、この液晶滴下工程S3においては、液晶140とともに、透明な樹脂ビーズからなるスペーサ160が各単素子シール130に囲まれた領域の内側に散布されている。
【0044】
そして、図12に示すように、CF基板120AとTFT基板110Aとを真空貼り合わせ装置300内に配置して、当該装置内部の気圧を真空圧とする。真空圧とした状態で、CF基板120AとTFT基板110Aとの間に各単素子シール130が介在するように、CF基板120AとTFT基板110Aとを貼り合わせる(貼り合わせ工程S4)。尚、本願明細書において、真空圧とは1Pa以下(7.5×10−3Torr以下)の圧力のことを言う。
【0045】
その後、CF基板120AとTFT基板110Aが貼り合わされた状態で、これら基板110A,120Aの周囲を大気圧に戻すと、貼り合わせた基板110A,120A間に介在する各単素子シール130の内側と外側との圧力差により、互いに平行な状態を維持したまま両基板110A,120Aが徐々に近接していく。この際、両基板110A,120Aにより各単素子シール130が押しつぶされるとともに液晶140が押し広げられる。最終的には、図13に示すように、スペーサ160を挟持するまで両基板110A,120Aは近接する。両基板110A,120Aの間には、スペーサ160によって所定のギャップが形成される。これにより、液晶表示パネル形成用構成体100Aが形成される。
【0046】
その後、硬化工程S5を実行する。硬化工程S5では、液晶表示パネル形成用構成体100Aに対して紫外線を照射して単素子シール130を硬化させる。
【0047】
この液晶表示パネル形成用構成体100Aの各基板をガラスカッターなどの切断手段によって切断して個片化することにより、複数の液晶表示パネル100が同時に完成される(切断工程S6)。切断工程S6において、TFT基板110が、4辺のうち少なくとも一辺においてCF基板120から突出した突出部110aを有する形状となるように切断を行う。その後、この突出部110aに駆動回路150が搭載される。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、転写パターン22における転写開始位置S側に配置された第一ダミー転写パターン25は、転写パターン22における転写終了位置E側に配置された第二ダミー転写パターン26よりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きくなっているので、開口23から押し出されたシール剤130Aと基板Pとの密着面積も多くなる。つまり、第一ダミー転写パターン25から押し出されたシール剤130Aを介してのスクリーン版2と基板Pとの密着力は、第二ダミー転写パターン26から押し出されたシール剤130Aを介してのスクリーン版2と基板Pとの密着力よりも大きくなるので、スクリーン版2の転写開始位置S側においては転写終了位置E側よりも、基板Pに対する版離れを遅くすることができる。
【0049】
ここで、スクリーン版2における転写開始位置S側部分は、支持部4により支持された一端部に近いために、スクリーン版2を基板Pに押しつけた際にはその他の部分よりも大きい張力が付与される。この張力によってスクリーン版2の転写開始位置S側部分はその他の部分よりも版離れが早くなってしまう。そして、版離れが早いと基板Pに残存するシール剤130Aが少なくなってしまい、その結果線幅が細くなると考えられる。しかしながら、上記したようにスクリーン版2の転写開始位置S側部分の版離れを転写終了位置E側よりも遅くすることができると、基板Pに残存するシール剤130Aを多くすることができ、転写開始位置S側であってもその他の部分と同等の線幅を確保することが可能となる。したがって、スキージ6の走査方向Cにおけるシール剤130A(転写材)の線幅のバラツキを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態では、第一ダミー転写パターン25と第二ダミー転写パターン26との単位面積当たりの転写パターンの面積を異ならせて、メイン転写パターン24については一様な線幅としているので、単素子シール130をなすメインのシール剤130Aの押出量を直接的に調整しなくとも、スキージ6の走査方向Cにおけるシール剤130Aの線幅のバラツキを抑制することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能である。以下の説明において、上記実施形態と同一部分においては同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
例えば、上記実施形態では、第一ダミー転写パターン25の単位パターンを櫛歯状に形成した場合を例示して説明したが、単位面積当たりの転写パターンの面積を他の部分よりも増加させる単位パターンであれば、その形状は限定されない。例えば図14に示すスクリーン版2Aにおける第一ダミー転写パターン25aの単位パターン251aが挙げられる。具体的には単位パターン251aは、走査方向Cに直交する方向に沿う基辺部252aと、基辺部252aの両端部から走査方向Cに沿って上流側に延出する一対の側辺部253aと、それぞれ間隔を空けて各側辺部253aから走査方向Cに直交する方向に沿って他方の側辺部253aに向けて延出する複数の延出部254aとを備えている。
【0053】
また、上記実施形態では転写工程においてシール剤130AをTFT基板110Aに形成したが、シール剤130AをCF基板120Aに形成してもよい。
【0054】
さらに、図15に示すスクリーン版2Dのように、第一ダミー転写パターン25dは、ダミー用の転写材をコ字状に転写するための単位パターン(コ字状パターン251d)を複数有していてもよい。具体的には、コ字状パターン251dは、走査方向Cに直交する方向に沿う基辺部252dと、基辺部252dの両端部から走査方向Cに沿って上流側に延出する一対の側辺部253dとを有する。この場合、メイン転写パターン24、第二ダミー転写パターン26及び第三ダミー転写パターン27の各線幅は同じ太さに形成されていて、第一ダミー転写パターン25dの線幅は、メイン転写パターン24、第二ダミー転写パターン26及び第三ダミー転写パターン27の各線幅よりも太く形成されている。
【0055】
そして、この場合も、転写パターン22における転写開始位置S側に配置された第一ダミー転写パターン25dは、転写パターン22における転写終了位置E側に配置された第二ダミー転写パターン26よりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きくなっているので、開口23から押し出されたシール剤130Aと基板Pとの密着面積も多くなる。つまり、第一ダミー転写パターン25dから押し出されたシール剤130Aを介してのスクリーン版2と基板Pとの密着力は、第二ダミー転写パターン26から押し出されたシール剤130Aを介してのスクリーン版2と基板Pとの密着力よりも大きくなるので、スクリーン版2の転写開始位置S側においては転写終了位置E側よりも、基板Pに対する版離れを遅くすることができる。
【0056】
[第2の実施の形態]
また、第1の実施の形態では、線幅の一様な転写パターン22を粗密にすることで単位面積当たりの転写パターンの面積が調整されている場合を例示して説明したが、この第2の実施の形態では、転写パターン22の線幅を異ならせることで単位面積当たりの転写パターンの面積を調整する場合について説明する。
【0057】
図16は第2の実施の形態に係るスクリーン版の概略構成を示す上面図である。この図16に示すスクリーン版2Bでは、メイン転写パターン24bの各枠パターン241bの線幅が上流側から下流側にかけて段階的に狭くなるように形成されている。具体的には、メイン転写パターン24bの複数の枠パターン241bのうち、走査方向Cにおける最上流の行に配置された3つの枠パターン241bを第一枠パターン2411と称し、その直下流の行に配置された3つの枠パターン241bを第二枠パターン2412と称し、最下流の行に配置された3つの枠パターン241bを第三枠パターン2413と称す。そして、第一枠パターン2411の線幅が最も太く、次いで第二枠パターン2412の線幅が太く、第三枠パターン2413の線幅が最も細く形成されている。
【0058】
なお、第一ダミー転写パターン25bの単位パターン251bは、走査方向Cに直交する方向に沿う基辺部252bと、基辺部252bの両端部から走査方向Cに沿って上流側に延出する一対の側辺部253bとを有している。
【0059】
そして、第三枠パターン2413の線幅は、第一ダミー転写パターン25、第二ダミー転写パターン26及び第三ダミー転写パターン27をなす単位パターンのいずれの線幅とも同じ太さに形成されている。
【0060】
このように、第一ダミー転写パターン25b、第二ダミー転写パターン26及び第三ダミー転写パターン27が、転写開始位置S側から転写終了位置E側にかけて一様な線幅で形成されていて、メイン転写パターン24bのうち、転写開始位置Sに対してより近くに配置されたメイン転写パターン24bが、転写開始位置Sに対してより遠くに配置されたメイン転写パターン24bよりも、線幅が太く形成されている。これにより、メイン転写パターン24bにおける転写開始位置S側に配置された少なくとも一部分(第一枠パターン2411、第二枠パターン2412)は、メイン転写パターン24bにおける転写終了位置E側に配置された少なくとも一部(第三枠パターン2413)よりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きくなるので、スクリーン版2Bの転写開始位置S側部分の版離れを転写終了位置E側よりも遅くすることができる。したがって、基板Pに残存するシール剤130Aを多くすることができ、転写開始位置S側であってもその他の部分と同等の線幅を確保することが可能となる。したがって、スキージ6の走査方向Cにおけるシール剤130A(転写材)の線幅のバラツキを抑制することができる。
【0061】
[第3の実施の形態]
また、第1及び第2の実施の形態では、単素子シール130が連続した枠状に形成されている場合を例示して説明したが、この第3の実施の形態では単素子シールに液晶注入用の注入口が形成されている場合について説明する。
【0062】
図17は、第3の実施の形態に係るスクリーン版の概略構成を示す上面図である。この図17に示すスクリーン版2Cでは、メイン転写パターン24cの各枠パターン241cの上流側の一辺に、注入口170(図18参照)を形成するための開口29が設けられている。このスクリーン版2Cにより形成された単素子シール130c(図18参照)は、注入口170を除く部分において画面エリアGを囲むことになる。
図18は、スクリーン版2Cを用いた液晶表示パネルの製造方法により形成された液晶表示パネルの概略構成を示す斜視図である。この図18に示すように、液晶表示パネル100Cは、突出部110aとは反対側の辺に注入口170を有している。注入口170は、TFT基板110、CF基板120及び単素子シール130cにより形成されている。注入口170は、液晶の注入後に封止剤により封止されている。
【0063】
次に、第3の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法について説明する。図19は第3の実施の形態に係る液晶表示パネルの製造方法の製造工程図である。ここで、透明基板準備工程S1〜転写工程S22までは第1の実施の形態と同じ順序であるが、転写工程S22以降の順序は、貼り合わせ工程S13、硬化工程S14、切断工程S15、液晶注入工程S16となっている。なお、貼り合わせ工程S13、硬化工程S14、切断工程S15は、上述の貼り合わせ工程S4、硬化工程S5、切断工程S6と同工程であるので、以下においては液晶注入工程S16について説明する。
【0064】
液晶注入工程S16は、切断工程S15の後に実行される。液晶注入工程S16では、個片化された液晶表示パネル100Cの注入口170から、TFT基板110、CF基板120及び単素子シール130cにより形成された空間内液晶が注入される。注入後、封止剤により注入口170を封止する。
【0065】
以上のように、第3の実施の形態によれば、注入口170を有した液晶表示パネル100Cの製造時においても、スクリーン版2Cの転写開始位置S側部分の版離れを転写終了位置E側よりも遅くすることができる。これにより、基板Pに残存するシール剤130Aを多くすることができ、転写開始位置S側であってもその他の部分と同等の線幅を確保することが可能となる。したがって、スキージ6の走査方向Cにおけるシール剤130Aの線幅のバラツキを抑制することができる。
【0066】
[第4の実施の形態]
また、第1〜第3の実施の形態では、本発明に係るスクリーン版を液晶表示パネルの製造方法に適用した場合を例示して説明したが、スクリーン版を太陽電池の製造方法に適用することも可能である。
【0067】
以下、太陽電池の製造方法について説明する。図20は太陽電池の製造方法の概略を示す説明図であり、図21は太陽電池の製造方法の製造工程図である。
【0068】
図20及び図21に示すように、まず基板準備工程S110を実行する。基板準備工程S110では、複数個の太陽電池を形成可能な面積を有する一対の透明基板401,402を準備する。そして、一方の透明基板401の一方の表面に透明な導電膜パターン403を成膜してから(図20(c))、導電膜パターン403上に白金404を成膜する(図20(d))。また、他方の透明基板402に対しては、一方の表面にTiO405を転写してから(図20(e))、TiO405上に色素406を吸着させる(図20(f))。
【0069】
その後、単素子シール形成工程S120を実行する。単素子シール形成工程S120では、白金404の上面、若しくは色素406の上面に、一部が開口して電解液注入口とされた形状の略枠状の単素子シール407を複数形成する。単素子シール形成工程S120には、シール剤コート工程S121と、転写工程S122とが含まれている。
シール剤コート工程S121では、スクリーン版2Cの上面にシール剤130Aを載置し、スクレッパー5によりスクリーン版2Cの上面にシール剤130Aをコートする。
転写工程S122では、スクリーン版2Cの上面にコートされたシール剤130Aを下面側に押し出すようにスキージ6が上面側を一度走査することで、下面側に配置された透明基板401上にシール剤130Aを転写して、単素子シール407を形成する。
電解液注入口を除く部分において、単素子シール407によって囲まれた領域が、太陽電池400の発電エリアG1である。
【0070】
単素子シール形成工程S120の後には貼り合わせ工程S130を実行する。貼り合わせ工程S130では、単素子シール407が介在するように一対の透明基板401,402を重ね合わせる。
その後、硬化工程S140を実行する。硬化工程S140では、貼り合わされた一対の透明基板401,402に対して紫外線を照射して単素子シール407を硬化させる。
硬化工程S140の後には切断工程S150を実行する。切断工程S150では、透明基板401,402を切断して複数の太陽電池400を個片化する(図20(g))。
切断工程S150の後には電解液注入工程S160を実行する。電解液注入工程S160では、上述の開口を介して一対の透明基板401,402間において単素子シール407に取り囲まれた領域内に電解液408を注入後、開口を封止する。上述の工程により、太陽電池400が製造される(図20(h))。
【0071】
以上のように、第4の実施の形態によれば、太陽電池400の製造時においても、スクリーン版2Cの転写開始位置S側部分の版離れを転写終了位置E側よりも遅くすることができる。これにより、基板Pに残存するシール剤130Aを多くすることができ、転写開始位置S側であってもその他の部分と同等の線幅を確保することが可能となる。したがって、スキージ6の走査方向Cにおけるシール剤130Aの線幅のバラツキを抑制することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 印刷装置
2 スクリーン版
3 印刷ステージ
4 支持部
5 スクレッパー
6 スキージ
7 移動切替機構
21 乳剤
22 転写パターン
23 開口
24 メイン転写パターン
25 第一ダミー転写パターン
26 第二ダミー転写パターン
27 第三ダミー転写パターン
29 開口
100 液晶表示パネル
100A 液晶表示パネル形成用構成体
110 TFT基板
111 ガラス基板(第一透明基板)
120 CF基板
121 ガラス基板(第二透明基板)
130,130c,407 単素子シール
130A シール剤(転写材)
135 ダミーシール
140 液晶
150 駆動回路
160 スペーサ
241 枠パターン(単位パターン)
251 櫛状パターン(単位パターン)
261 コ字状パターン(単位パターン)
271 コ字状パターン(単位パターン)
C 走査方向
E 転写終了位置
G 画面エリア
P 基板
P1 導電膜パターン
S 転写開始位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面にコートされた転写材を下面側に押し出すようにスキージが上面側を走査することで、下面側に配置された基板上に前記転写材を転写するスクリーン版において、
前記転写材を前記基板に転写するための転写パターンを有し、
前記転写パターンのうち、前記スキージによる転写開始位置に対してより近くに配置された少なくとも一部の前記転写パターンは、前記転写開始位置に対してより遠くに配置された前記転写パターンよりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きいことを特徴とするスクリーン版。
【請求項2】
請求項1記載のスクリーン版において、
前記転写パターンは、
メインの前記転写材を前記基板上に転写するためのメイン転写パターンと、
前記メイン転写パターンよりも前記転写開始位置に近い側に配置されて、ダミーの前記転写材を前記基板上に転写するための第一ダミー転写パターンと、
前記メイン転写パターンよりも前記スキージによる転写終了位置に近い側に配置されて、ダミーの前記転写材を前記基板上に転写するための第二ダミー転写パターンと、を備え、
前記メイン転写パターンは、前記転写開始位置側から前記転写終了位置側にかけて一様な線幅で形成されていて、
前記第一ダミー転写パターンは、前記第二ダミー転写パターンよりも単位面積当たりの転写パターンの面積が大きいことを特徴とするスクリーン版。
【請求項3】
請求項1記載のスクリーン版において、
前記転写パターンは、
メインの前記転写材を前記基板上に転写するためのメイン転写パターンと、
前記メイン転写パターンよりも前記転写開始位置に近い側に配置されて、ダミーの前記転写材を前記基板上に転写するための第一ダミー転写パターンと、
前記メイン転写パターンよりも前記スキージによる転写終了位置に近い側に配置されて、ダミーの前記転写材を前記基板上に転写するための第二ダミー転写パターンと、を備え、
前記第一ダミー転写パターン及び前記第二ダミー転写パターンは、前記転写開始位置側から前記転写終了位置側にかけて一様な線幅で形成されていて、
前記メイン転写パターンのうち、前記転写開始位置に対してより近くに配置された少なくとも一部の前記メイン転写パターンは、前記転写開始位置に対してより遠くに配置された前記メイン転写パターンよりも、単位面積当たりの転写パターンの面積が大きいことを特徴とするスクリーン版。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のスクリーン版において、
前記単位面積当たりの転写パターンの面積は、前記転写パターンの線幅を異ならせることで調整されていることを特徴とするスクリーン版。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のスクリーン版において、
前記単位面積当たりの転写パターンの面積は、線幅の一様な前記転写パターンを粗密にすることで調整されていることを特徴とするスクリーン版。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクリーン版を用いた印刷方法であって、
前記スクリーン版の上面に転写材を載置し、スクレッパーにより前記スクリーン版の上面に前記転写材をコートする転写材コート工程と、
次いで、前記スクリーン版の上面にコートされた前記転写材を下面側に押し出すように前記スキージが上面側を一度走査することで、下面側に配置された基板上に前記転写材を転写する転写工程とを含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクリーン版を用いた液晶表示パネルの製造方法であって、
複数個の前記液晶表示パネルを形成可能な面積を有し、前記各液晶表示パネルに対応した導電膜パターンが形成された第一透明基板を準備する透明基板準備工程と、
前記各液晶表示パネルの画面エリアを囲むように複数の単素子シールを形成する単素子シール形成工程と、
前記単素子シールによって囲まれた領域内に液晶を滴下する液晶滴下工程と、
前記第一透明基板との間に前記単素子シール及び前記液晶を介在させた状態で、前記第一透明基板に第二透明基板を貼り合わせる貼り合わせ工程とを含み、
前記単素子シール形成工程は、
前記スクリーン版の上面に前記転写材としてのシール剤を載置し、スクレッパーにより前記スクリーン版の上面に前記シール剤をコートするシール剤コート工程と、
前記スクリーン版の上面にコートされた前記シール剤を下面側に押し出すように前記スキージが上面側を一度走査することで、下面側に配置された前記第一透明基板上に前記シール剤を転写して、前記単素子シールを形成する転写工程とを含むことを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクリーン版を用いた液晶表示パネルの製造方法であって、
複数個の前記液晶表示パネルを形成可能な面積を有し、前記各液晶表示パネルに対応した導電膜パターンが形成された第一透明基板を準備する透明基板準備工程と、
液晶注入口を除く部分において前記各液晶表示パネルの画面エリアを囲むように複数の単素子シールを形成する単素子シール形成工程と、
前記第一透明基板との間に前記単素子シールを介在させた状態で、前記第一透明基板に第二透明基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、
前記第一透明基板、前記第二透明基板及び前記単素子シールによって囲まれた領域内に、前記液晶注入口から液晶を注入する液晶注入工程と、を含み、
前記単素子シール形成工程は、
前記スクリーン版の上面に前記転写材としてのシール剤を載置し、スクレッパーにより前記スクリーン版の上面に前記シール剤をコートするシール剤コート工程と、
前記スクリーン版の上面にコートされた前記シール剤を下面側に押し出すように前記スキージが上面側を一度走査することで、下面側に配置された前記第一透明基板上に前記シール剤を転写して、前記単素子シールを形成する転写工程とを含むことを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の液晶表示パネルの製造方法において、
前記貼り合わせ工程の後に、前記各単素子シールに沿って前記第一透明基板及び前記第二透明基板を切断する切断工程を更に備えることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のスクリーン版を用いた太陽電池の製造方法であって、
複数個の前記太陽電池を形成可能な面積を有し、前記各太陽電池に対応した導電膜パターンが形成された第一基板を準備する基板準備工程と、
電解液注入口を除く部分において前記各太陽電池の発電エリアを囲むように複数の単素子シールを形成する単素子シール形成工程と、
前記第一基板との間に前記単素子シールを介在させた状態で、前記第一基板に第二基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、
前記第一基板、前記第二基板及び前記単素子シールによって囲まれた領域内に、前記電解液注入口から電解液を注入する電解液注入工程と、を含み、
前記単素子シール形成工程は、
前記スクリーン版の上面に前記転写材としてのシール剤を載置し、スクレッパーにより前記スクリーン版の上面に前記シール剤をコートするシール剤コート工程と、
前記スクリーン版の上面にコートされた前記シール剤を下面側に押し出すように前記スキージが上面側を一度走査することで、下面側に配置された前記第一基板上に前記シール剤を転写して、前記単素子シールを形成する転写工程とを含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−75603(P2011−75603A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223778(P2009−223778)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】