説明

スクリーン装置

【課題】スクリーンに挿通したワイヤー利用の上記平行移動機構を備えたスクリーン装置において、張設したスクリーンの上部が風その他の外力によって折れ曲った状態になってしまうのを抑制できるようにする。
【解決手段】スクリーン枠3における縦枠部材4に交互に逆方向への折り返しにより拡縮自在としたスクリーン1の一端を連結すると共に、該スクリーンの他端に可動框8を連結して横引きで開閉自在とし、上記可動框をスクリーンの拡縮方向に向けて挿通したワイヤー25を含む可撓連繋部材21〜23で平行移動させる平行移動機構を備えたものにおいて、上記平行移動機構を構成するワイヤーの一部をスクリーン吊下用のワイヤーとして、該スクリーンの上位に沿って張設されたものとし、それを吊下部材33の環部34の内孔34aに挿通し、吊下部材33の挟持部35でスクリーンの上端を挟持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部において、防虫、遮光、目隠し、断熱、室内装飾、あるいは間仕切り等として利用するのに適したスクリーン装置に関するものであり、更に具体的には、スクリーンに挿通したワイヤー利用の平行移動機構により可動框を平行移動させて、該スクリーンを横引きで開閉するようにしたものの現場施工において、上記スクリーンや可動框、スクリーン枠の縦枠部材の上部を切断して縦寸法を調整可能にするに当たり、上記ワイヤーの取り外しなどを行う必要がなく、しかも、上記スクリーンの上端がワイヤーに吊下されて風その他の外力によって該スクリーンの上部が折れ曲ったりすることがないスクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
交互に逆方向に折り返した拡縮自在のスクリーンを横引きにより開閉自在とし、該スクリーン及びその一端に連結した可動框に、ワイヤーにより該可動框の姿勢を拘束する平行移動機構を付設したスクリーン装置は、規格寸法で工場生産され、施工現場において建物開口部の縦寸法に適合させるように、そのスクリーンや可動框、スクリーン枠の縦枠部材等の縦寸法を切断により調整することが多い。その場合に、上記可動框にワイヤーによる平行移動機構を備えていることから、上記縦寸法の調整を行うためには、上記ワイヤーが切断されないように一旦スクリーンや上記縦枠部材等から取り外すなど、必ずしもその操作が簡単ではない。
【0003】
このようなスクリーン枠の縦寸法の調整を容易にするため、特許文献1等においては、上記スクリーンや可動框、スクリーン枠の縦枠部材等の縦寸法を調整可能にする範囲内、つまり、スクリーン等の上部の一定範囲内には上記ワイヤーを設けないようにして、上記縦寸法の調整を行う場合に、上記ワイヤーの取り外しなどを行う必要がないようにしたスクリーン装置が既に提案されている。
【0004】
しかしながら、上記既提案のスクリーン装置においては、スクリーンの上部の一定範囲内に上記ワイヤーが挿通されていないので面強度において劣り、風その他の外力によってスクリーンの上部が折れ曲った状態になってしまう可能性があり、一旦折れ曲った場合には自力で自動的に回復する可能性が大きいとは言えないので、その都度折曲部を伸ばすことが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−37857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の技術的課題は、スクリーンに挿通したワイヤー利用の上記平行移動機構を備えたスクリーン装置において、スクリーンや可動框、スクリーン枠の縦枠部材の上部を切断して縦寸法を調整可能にするに当たり、スクリーンの上部に取り外しの必要があるワイヤーなどを設けないで上記縦寸法の調整を簡単にするが、張設したスクリーンの上部が風その他の外力によって折れ曲った状態になってしまうのを抑制できるようにしたスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明によれば、建物開口部に設置されるスクリーン枠における一対の縦枠部材の一方に、交互に逆方向への折り返しにより拡縮自在としたスクリーンの一端を連結すると共に、該スクリーンの他端に、上記スクリーン枠にガイドさせた開閉操作用の可動框を連結して横引きで開閉自在とし、上記可動框を平行移動させるための平行移動機構が、上記スクリーンにその拡縮方向に向けて複数段に挿通したワイヤーを含む可撓連繋部材により、可動框の位置に拘わらずその姿勢を直立状態に保持するものとして構成してなるスクリーン装置において、上記平行移動機構を構成するワイヤーの一部が、スクリーン吊下用として上記スクリーンに挿通されることなく該スクリーンの上位に沿って上記スクリーン枠の上部の横枠部材内に張設され、該スクリーン吊下用のワイヤーに上記スクリーンを吊下する吊下部材が、該スクリーン吊下用のワイヤーが内孔に挿通される環部と、スクリーンの上端を挟持する挟持部とを備えたものとして構成されていることを特徴とする第1のスクリーン装置が提供される。
【0008】
上記第1のスクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記平行移動機構の一部を構成する複数本のワイヤーの各一端部が上記可動框に固定され、それらのワイヤーが、スクリーンに対してその拡縮方向に向けて複数段に離散的に挿通され、それらのワイヤーを、該可動框にスクリーンを介して対向する縦枠部材において上方に転向させ、該縦枠部材の上端から更に他方の縦枠部材に向けて転向させたうえで、該他方の縦枠部材において転向子により折り返して上記可動框の上端に固定し、上記可動框の下端に取り付けた可撓連繋部材が、上記スクリーンを取り付けた一方の縦枠部材の下端で転向して該縦枠部材の上端に導かれ、そこで再び転向したうえで他方の縦枠部材において折り返し、上記可動框の上端に固定される。
【0009】
また、上記課題を解決するため、本発明によれば、建物開口部に設置されるスクリーン枠における一対の縦枠部材のそれぞれに、交互に逆方向への折り返しにより拡縮自在としたスクリーンの一端を連結すると共に、それぞれのスクリーンの他端に、上記スクリーン枠にガイドさせた開閉操作用の可動框を連結して横引きで開閉自在とし、上記各可動框を平行移動させるための平行移動機構が、上記各スクリーンにその拡縮方向に向けて複数段に挿通したワイヤーを含む可撓連繋部材により、該各可動框の位置に拘わらずその姿勢を直立状態に保持するものとして構成してなるスクリーン装置において、上記平行移動機構を構成するワイヤーの一部が、スクリーン吊下用として上記スクリーンに挿通されることなく該スクリーンの上位に沿って上記スクリーン枠の上部の横枠部材内に張設され、該スクリーン吊下用のワイヤーに上記スクリーンを吊下する吊下部材が、該スクリーン吊下用のワイヤーが内孔に挿通される環部と、スクリーンの上端を挟持する挟持部とを備えたものとして構成されていることを特徴とする第2のスクリーン装置が提供される。
【0010】
上記第2のスクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記平行移動機構の一部を構成する複数本のワイヤーの各一端部が上記一対の可動框のそれぞれに固定され、それらのワイヤーが、各スクリーンに対してその拡縮方向に向けて離散的に複数段に挿通され、それらのワイヤーを、該各可動框にスクリーンを介して対向する縦枠部材において上方に転向させ、該縦枠部材の上端から更に他方の縦枠部材に向けて転向させたうえで、少なくとも両可動框の召合せ部を越えた位置において転向子により折り返して上記可動框の上端に固定し、上記両可動框の下端に取り付けた可撓連繋部材が、上記スクリーンを取り付けたそれぞれの縦枠部材の下端で転向して該縦枠部材の上端に導かれ、そこで再び他方の縦枠部材に向けて転向したうえで、少なくとも両可動框の召合せ部を越えた位置において折り返し、それぞれの可動框の上端に固定される。
【0011】
上記本発明に係る第1及び第2のスクリーン装置の実施形態においては、可動框の下端に取り付けた上記可撓連繋部材が、該可動框にスクリーンを介して対向する縦枠部材の下端からその内部に出入りし、スクリーンの張設時に該スクリーンの下端に沿って導出されてその下端をガイドする可撓のスクリーンガイドと、縦枠部材の下端からその内部に挿通したスクリーンガイドの先端に連結して該縦枠部材の上端に導かれるワイヤーとを備え、該ワイヤーが、縦枠部材の上端に導かれて、他方の縦枠部材に向けて転向したうえで再び折り返し、可動框の上端に固定されているものとすることができる。
【0012】
更に、本発明に係る上記スクリーン装置の好ましい実施形態においては、上記吊下部材が合成樹脂により一体成形され、該吊下部材における挟持部が、スクリーンを挟持する一対の挟持板部を、薄肉可撓部を介して折曲自在に連接することにより形成され、該一対の挟持板部には、それらの対向面に挟持するスクリーンに対して刺入される突子を設けると共に、該一対の挟持板部の間にスクリーンを挟持した状態で両挟持板部を接合状態に保持する係止部を設けており、上記挟持板部の少なくとも一方に、スクリーン吊下用のワイヤーを内孔に挿通するためのスリットを有する上記環部を一体的に備えているものとするのが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上に詳述した本発明のスクリーン装置によれば、スクリーンに挿通したワイヤー利用の上記平行移動機構を備えたスクリーン装置において、スクリーンや可動框、スクリーン枠の縦枠部材の上部を切断して縦寸法を調整可能にするに当たり、スクリーンの上部に取り外しの必要があるワイヤーなどを設けないで上記縦寸法の調整を簡単にするが、張設したスクリーンの上部が風その他の外力によって折れ曲った状態になってしまうのを抑制できるようにしたスクリーン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るスクリーン装置の第1実施例を示す一部破断正面図である。
【図2】図1のII−II位置における縦断面図である。
【図3】図1のIII−III位置における縦断面図である。
【図4】図1のIV−IV位置における横断面図である。
【図5】図1のV−V位置における横断面図である。
【図6】上記第1実施例における可動框の平行移動機構の模式的構成図である。
【図7】上記第1実施例において用いている吊下部材を開いた状態を示す外面側の斜視図である。
【図8】同内面側の斜視図である。
【図9】上記吊下部材を開いた状態の内側面の構成を示す正面図である。
【図10】同平面図である。
【図11】図9の右側面図である。
【図12】図9の左側面図である。
【図13】上記吊下部材を図10の状態から閉じる中間状態の平面図である。
【図14】上記吊下部材によりスクリーンを吊下した態様を示す拡大斜視図である。
【図15】本発明に係るスクリーン装置の第2実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図14は、本発明に係るスクリーン装置の第1実施例を示している。このスクリーン装置は、主として建物開口部に設置し、防虫、遮光、目隠し、断熱、室内装飾、あるいは間仕切り等として利用するもので、建物開口部に固定的に取り付けて、目的に応じたスクリーン1を開閉自在に張設するためのスクリーン枠3を備えている。上記スクリーン1は、交互に逆方向への折り返しにより多数の平行なプリーツを施し、それを折り畳みにより拡縮自在に構成したものであり、例えば、スクリーン1の素材として防虫網を用いることにより、スクリーン装置を防虫網戸として構成することができる。
【0016】
また、上記スクリーン枠3は、建物開口部の左右に配設される一対の縦枠部材4,5と、それらの縦枠部材4,5の上端間を連結する上部の横枠部材6とを備えたものであり、上記スクリーン1は、その一端を一方の縦枠部材4に連結すると共に、該スクリーン1の他端を、上記スクリーン枠3の横枠部材6にガイドさせた開閉操作用の可動框8に連結して横引きで開閉自在としている。このスクリーン装置において、上記可動框8によりスクリーン1が張設されたときに該可動框8が当接する他方の縦枠部材5は、該可動框8の受け枠として機能することになる。なお、上記縦枠部材4,5の下端間を連結する下部の横枠部材を設けてもよいが、ここでは、後述するように、可動框8の下端に連結され、該可動框8と共に移動して一方の縦枠部材4内に出入りするスクリーンガイド10を備えたところのバリアフリー構造のものを示している。
【0017】
上記スクリーン1を開閉操作する上記可動框8には、それを平行移動させるための平行移動機構を付設している。この平行移動機構は、上記スクリーン1にその拡縮方向に向けて複数段に挿通したワイヤー25を含む下記第1〜第3の可撓連繋部材21〜23によって(図6参照)、可動框8の開閉位置に拘わらずその姿勢を直立状態に保持するものとして構成したものである。
【0018】
図1及び図6を参照してその構成について詳細に説明すると、まず、該平行移動機構を構成する第1の可撓連繋部材21は、複数本のワイヤー25により構成され、これらの複数本のワイヤー25の各一端部25aが上記可動框8の上下方向に離散的に固定され、それらのワイヤー25がスクリーン1に対してその拡縮方向に向けてほぼ等間隔の複数段に挿通され、該可動框8にスクリーン1を介して対向する縦枠部材4においてそれぞれ上方に転向させ、該縦枠部材4の上端において、横枠部材6に設けた転向子26により更に他方の縦枠部材5に向けて転向させたうえで、該他方の縦枠部材5において転向子27により折り返して上記可動框8の上端に固定している。
なお、上記第1の可撓連繋部材21を構成する複数本のワイヤー25は、それらが纏められて同一の方向に移動する部分においては、一本のワイヤーとして纏めておくこともできる。
【0019】
また、上記平行移動機構を構成する第2の可撓連繋部材22は、可動框8の下端に連結されて、該可動框8と共に移動し、該可動框8にスクリーン1を介して対向する縦枠部材4内にその下端から出入りするスクリーンガイド10と、該スクリーンガイド10における縦枠部材4内の先端に連結されたワイヤー28により構成されている。
【0020】
上記可動框8の下端に取り付けたスクリーンガイド10は、図1及び図2からわかるように、底壁12及び一対の側壁13により断面U字状に形成したガイドユニット11の多数を、上記一対の側壁13の上端部に沿って挿通した細径のワイヤーによって上に凹に屈曲可能に連綴したものである。このスクリーンガイド10は、可動框8の移動に伴う上記スクリーン1の拡縮に応じて縦枠部材4の下端からその内部に出入りし、可動框8の移動により張設する上記スクリーン1の下端に沿って導出されてその下端を一対の側壁13の間に保持し、スクリーン1の下端の風等による揺れを抑止するものである。
【0021】
可動框8の下端に取り付けた上記第2の可撓連繋部材22の一部を構成する上記スクリーンガイド10は、上述したように縦枠部材4の下端で転向して該縦枠部材4内を上方に導かれるが、可動框8の移動位置に拘わらず常に該縦枠部材4内に存在する該スクリーンガイド10の先端には、前記ワイヤー28を連結している。このワイヤー28は、上記縦枠部材4の上端において、横枠部材6に設けた前記転向子26により転向させたうえで、他方の縦枠部材5側に導き、該縦枠部材5に設けた転向子27において折り返し、上記可動框8の上端に固定している。
【0022】
なお、上記第2の可撓連繋部材22としては、その全体を1本のワイヤーによって構成することもでき、この場合には、可動框8の下端に取り付けたワイヤーをスクリーン1の下端に沿って縦枠部材4側に導き、該縦枠部材4の下端に設けた転向子により上方に転向させたうえで、上記ワイヤー28と同様に、縦枠部材4の上端において前記転向子26により転向させて、他方の縦枠部材5側に導き、該縦枠部材5に設けた転向子27において折り返して、上記可動框8の上端に固定すればよい。
【0023】
また、上記第1の可撓連繋部材21を構成する複数本のワイヤー25は、可動框8に一端部25aを連結し、それらのワイヤー25をスクリーン1の拡縮方向に向けて該スクリーン1に複数段に挿通しているが、上記平行移動機構を構成する第3の可撓連繋部材23として、上記第1の可撓連繋部材21の複数本のワイヤー25の上位に位置させて、可動框8に一端部29aを連結したワイヤー29をスクリーン1の拡縮方向に向けて該スクリーン1に挿通し、該可動框8にスクリーン1を介して対向する縦枠部材4においてそれを下方に転向させ、該縦枠部材4の下部において縦枠部材4に設けた転向子30により折り返して上方に向け、その先端を縦枠部材4内において上記スクリーンガイド10の先端に固定している。
【0024】
上記第3の可撓連繋部材23は、第2の可撓連繋部材22と同様に可動框8を平行移動させる機能するものであるため、必ずしも設ける必要はないが、上記第2の可撓連繋部材22に代えてこの第3の可撓連繋部材23を設けてもよい。
なお、上記スクリーン装置は、スクリーン1に挿通したワイヤー利用の上記平行移動機構を備えたスクリーン装置において、スクリーン1や可動框8、スクリーン枠3の縦枠部材4,5の上部を切断して縦寸法を調整可能にするものであるため、該スクリーン1や可動框8、スクリーン枠3の縦枠部材4,5の上部を切断する際に、それらに挿通したワイヤーが切断されないようにしておく必要があり、例えば、第1の可撓連繋部材21を構成するワイヤー25が縦枠部材4内に挿通されてその上端に至るように構成されていても、該ワイヤー25を縦枠部材4から外側に待避させるスリットを縦枠部材4に設けておくなど、上記切断に支障が生じないようにしておく必要があるのは勿論である。
【0025】
上記平行移動機構を構成する第1の可撓連繋部材21のワイヤー25、あるいは第2の可撓連繋部材22のワイヤー28は、上部の横枠部材6内においてその一方の縦枠部材4側の転向子26から他方の縦枠部材5側の転向子27に至る間で、上記スクリーン1に挿通することなく該スクリーン1の上位に沿って張設されているが、図1及び図14に示すように、該部分におけるワイヤーの全部または一部をスクリーン吊下用として利用し、図7〜図13に示すような上記スクリーン1の吊下部材33を用いて、その環部34の内孔34aに該スクリーン吊下用のワイヤーを挿通し、該吊下部材33の挟持部35においてスクリーン1の上端を挟持させることにより、スクリーン吊下用のワイヤーにスクリーン1の上端を吊下している。
【0026】
図7〜図13を参照して上記吊下部材33の構成について更に詳細に説明すると、該吊下部材33は合成樹脂により一体成形されたもので、上記環部34と挟持部35とからなり、該挟持部35は、スクリーン1を挟持する一対の挟持板部36,37を、薄肉可撓部38を介して折曲自在に連接することにより形成され、該一対の挟持板部36,37には、それらの対向面に挟持するスクリーン1に対して刺入される突子36a,37aを設けると共に、該一対の挟持板部36,37の各側端部に、スクリーン1を挟持した状態で両挟持板部36,37を接合状態に保持する係合部36b,37bを設けている。そして、上記挟持板部36に、スクリーン吊下用のワイヤーを内孔34aに挿通するためのスリット34bを有する上記環部34を一体的に備えている。
【0027】
上記構成を有するスクリーン装置は、スクリーン1に挿通したワイヤー利用の上記平行移動機構を備えたスクリーン装置において、スクリーン1や可動框8、スクリーン枠3の縦枠部材4,5の上部を切断して縦寸法を調整することができ、そのような寸法調整を行ったうえでスクリーン装置を組み立てた後、図1に示すように、上記吊下部材33の多数をスクリーン吊下用のワイヤーに取り付け、具体的には、該吊下部材33の環部34のスリット34bを通してその内孔34aにスクリーン吊下用のワイヤーを挿通することにより該ワイヤーに該吊下部材33を取り付け、それらの吊下部材33の挟持板部36,37でスクリーン1の上端を挟持させることにより、スクリーン1の上端部を安定的に保持させ、張設したスクリーン1の上部が風その他の外力によって折れ曲った状態になってしまうのを抑制することができる。
【0028】
図15は、本発明のスクリーン装置の第2実施例を示すもので、上記第1実施例においては、単一のスクリーン1をその一端に取り付けた可動框8により片開きとしたスクリーン装置としているが、この第2実施例のスクリーン装置は、左右の縦枠部材4,5にそれぞれスクリーン1,1を取り付け、それらの各スクリーン1,1の先端にそれぞれ可動框8,8を取り付けて両開きのスクリーン装置とした点で相違している。
しかしながら、この第2実施例のスクリーン装置は、基本的には、第1実施例のスクリーン1及び可動框8を対向配置しただけのものであり、以下に説明する点で相違するに過ぎないので、それらの説明は省略する。
【0029】
この第2実施例において第1実施例と相違するところは、まず、上述したように、建物開口部に設置されるスクリーン枠3における一対の縦枠部材4,5のそれぞれにスクリーン1,1の各一端を連結し、それぞれのスクリーン1,1の他端に可動框8,8を連結して横引きで開閉自在とした点にあり、上記各可動框を平行移動させるための平行移動機構における第1及び第3の可撓連繋部材21,23としては第1実施例と同一の構成を備えている。
但し、上記平行移動機構を構成する第1の可撓連繋部材21のワイヤー25を、縦枠部材4,5の上端から他方の縦枠部材5,4に向けて転向させたうえで転向子27により折り返す位置は、対向する縦枠部材4,5の位置に限るものではなく、少なくとも両可動框8,8の召合せ部を越えた位置に該転向子27を設ければよい。第2の可撓連繋部材22を設ける場合についても同様である。
【0030】
また、この第2実施例では、上記第1実施例におけるスクリーンガイド10に代えて、上記縦枠部材4,5の下端間を連結する下部の横枠部材7を設けた場合を示しているが、第1実施例と同様に、可動框8の下端に連結されて該可動框8と共に移動し、スクリーン1を介して対向する縦枠部材4,5内に出入りするスクリーンガイド10を用い、それにワイヤー28を連結して第2の可撓連繋部材22を構成させることができる。この場合の転向子27の位置については、上記第1の可撓連繋部材21の場合と同様である。
なお、吊下部材33としては第1実施例において説明したものをそのまま使用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 スクリーン
3 スクリーン枠
4,5 縦枠部材
6 横枠部材
8 可動框
10 スクリーンガイド
21〜23 可撓連繋部材
25,28,29 ワイヤー
25a 一端部
26,27 転向子
33 吊下部材
34 環部
34a 内孔
34b スリット
35 挟持部
36,37 挟持板部
36a,37a 突子
36b,37b 係合部
38 薄肉可撓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部に設置されるスクリーン枠における一対の縦枠部材の一方に、交互に逆方向への折り返しにより拡縮自在としたスクリーンの一端を連結すると共に、該スクリーンの他端に、上記スクリーン枠にガイドさせた開閉操作用の可動框を連結して横引きで開閉自在とし、上記可動框を平行移動させるための平行移動機構が、上記スクリーンにその拡縮方向に向けて複数段に挿通したワイヤーを含む可撓連繋部材により、可動框の位置に拘わらずその姿勢を直立状態に保持するものとして構成してなるスクリーン装置において、
上記平行移動機構を構成するワイヤーの一部が、スクリーン吊下用として上記スクリーンに挿通されることなく該スクリーンの上位に沿って上記スクリーン枠の上部の横枠部材内に張設され、
該スクリーン吊下用のワイヤーに上記スクリーンを吊下する吊下部材が、該スクリーン吊下用のワイヤーが内孔に挿通される環部と、スクリーンの上端を挟持する挟持部とを備えたものとして構成されている、
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項2】
上記平行移動機構の一部を構成する複数本のワイヤーの各一端部が上記可動框に固定され、それらのワイヤーが、スクリーンに対してその拡縮方向に向けて複数段に離散的に挿通され、それらのワイヤーを、該可動框にスクリーンを介して対向する縦枠部材において上方に転向させ、該縦枠部材の上端から更に他方の縦枠部材に向けて転向させたうえで、該他方の縦枠部材において転向子により折り返して上記可動框の上端に固定し、
上記可動框の下端に取り付けた可撓連繋部材が、上記スクリーンを取り付けた一方の縦枠部材の下端で転向して該縦枠部材の上端に導かれ、そこで再び転向したうえで他方の縦枠部材において折り返し、上記可動框の上端に固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリーン装置。
【請求項3】
建物開口部に設置されるスクリーン枠における一対の縦枠部材のそれぞれに、交互に逆方向への折り返しにより拡縮自在としたスクリーンの一端を連結すると共に、それぞれのスクリーンの他端に、上記スクリーン枠にガイドさせた開閉操作用の可動框を連結して横引きで開閉自在とし、上記各可動框を平行移動させるための平行移動機構が、上記各スクリーンにその拡縮方向に向けて複数段に挿通したワイヤーを含む可撓連繋部材により、該各可動框の位置に拘わらずその姿勢を直立状態に保持するものとして構成してなるスクリーン装置において、
上記平行移動機構を構成するワイヤーの一部が、スクリーン吊下用として上記スクリーンに挿通されることなく該スクリーンの上位に沿って上記スクリーン枠の上部の横枠部材内に張設され、
該スクリーン吊下用のワイヤーに上記スクリーンを吊下する吊下部材が、該スクリーン吊下用のワイヤーが内孔に挿通される環部と、スクリーンの上端を挟持する挟持部とを備えたものとして構成されている、
ことを特徴とするスクリーン装置。
【請求項4】
上記平行移動機構の一部を構成する複数本のワイヤーの各一端部が上記一対の可動框のそれぞれに固定され、それらのワイヤーが、各スクリーンに対してその拡縮方向に向けて離散的に複数段に挿通され、それらのワイヤーを、該各可動框にスクリーンを介して対向する縦枠部材において上方に転向させ、該縦枠部材の上端から更に他方の縦枠部材に向けて転向させたうえで、少なくとも両可動框の召合せ部を越えた位置において転向子により折り返して上記可動框の上端に固定し、
上記両可動框の下端に取り付けた可撓連繋部材が、上記スクリーンを取り付けたそれぞれの縦枠部材の下端で転向して該縦枠部材の上端に導かれ、そこで再び他方の縦枠部材に向けて転向したうえで、少なくとも両可動框の召合せ部を越えた位置において折り返し、それぞれの可動框の上端に固定されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のスクリーン装置。
【請求項5】
可動框の下端に取り付けた上記可撓連繋部材が、該可動框にスクリーンを介して対向する縦枠部材の下端からその内部に出入りし、スクリーンの張設時に該スクリーンの下端に沿って導出されてその下端をガイドする可撓のスクリーンガイドと、縦枠部材の下端からその内部に挿通したスクリーンガイドの先端に連結して該縦枠部材の上端に導かれるワイヤーとを備え、該ワイヤーが、縦枠部材の上端に導かれて、他方の縦枠部材に向けて転向したうえで再び折り返し、可動框の上端に固定されている、
ことを特徴とする請求項2または4に記載のスクリーン装置。
【請求項6】
上記吊下部材が合成樹脂により一体成形され、該吊下部材における挟持部が、スクリーンを挟持する一対の挟持板部を、薄肉可撓部を介して折曲自在に連接することにより形成され、該一対の挟持板部には、それらの対向面に挟持するスクリーンに対して刺入される突子を設けると共に、該一対の挟持板部の間にスクリーンを挟持した状態で両挟持板部を接合状態に保持する係止部を設けており、上記挟持板部の少なくとも一方に、スクリーン吊下用のワイヤーを内孔に挿通するためのスリットを有する上記環部を一体的に備えている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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