説明

スケジュール報知装置

【課題】時間の認知能力が低下した人や高齢者が直感的かつ容易に取り扱うことができるスケジュール報知装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 設定された時刻に報知シグナルを出力するスケジュール報知装置は、スケジュールが記載される記載部1と、前記記載部1に隣り合う位置に設けられた報知部2と、前記報知部2に取り付ける導電性のピン3と、からなり、前記報知部2は、外形を形成する基体4と、報知シグナルを出力する第1スピーカー5と、基体4の上から下に向かって1時間毎の時刻を示すように直線的に配列された目盛部7と、前記目盛部7の各時刻に対応する位置に形成された発光部8及びピン孔10と、前記ピン孔10が一部を貫通するする回路部9と、を備えている。そして、前記ピン孔10に前記ピン3を挿入することで、前記回路部9が導通し、報知時刻を設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間の認知能力が低下した人が直感的かつ容易に取り扱うことができるスケジュール報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者の増加に伴って認知症を患う人が増加している。認知症の初期段階に多く見られる症状は時間の認知能力の低下である。時間の認知能力が低下すると、身近な予定までの時間間隔を正確に把握・認知することが困難となる。そして認知症の初期段階ではこのような時間の認知能力の低下を本人が自覚している場合もあるため、認知症の症状に加えて自覚症状によるストレス、不安感に苛まれる人が増加している。
【0003】
このようなストレス・不安感を軽減するには、現在時刻や予定をこまめに確認することや、日々の予定を書き留めて予定の管理を行うことが有効である。しかし、認知症を患う人にとっては、このような一般的な予定の管理すら困難である場合が多い。従って、そのような人たちの認知能力の低下を補う手段が求められ、種々の提案がなされてきた。
【0004】
例えば、特許文献1の「目標時間表示設定時計」では、一定の長さからなる基体上に予定までの期間を直線的に表示する時間表示手段を設け、スケジュールボードと一体化させることにより、予定までの期間を視覚的に把握できるようにした。
【0005】
また、特許文献2の「タイマー時計」では、予め複数のスケジュールを設定可能にした時計により、予定時刻の到来をアラーム及び液晶表示で視覚的に分かりやすく報知するように構成した。
【特許文献1】特開平8−43557号公報(段落0044〜0046、図7)
【特許文献2】特開2004−294399号公報(段落0008〜0011、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に係る時計は予定までの期間を視覚的に、分かりやすく表示することは可能であるものの、使用に際しては機械的操作が必要になる。従って、認知能力が低下した人や高齢者にとっては操作が困難であり、また仮に家族や介護者の力を借りて操作を行ったとしても、上記のような自覚症状によるストレス、不安感を軽減することは困難であった。
【0007】
なお、現在ではPC(パーソナルコンピューター)や携帯情報端末を用いたスケジュール管理が広く普及しているが、このようないわゆるデジタル化したスケジュール管理も、認知能力が低下した人や高齢者にとって困難であることは言うまでもない。
【0008】
従って本発明が解決しようとする課題は、時間の認知能力が低下した人や高齢者が直感的かつ容易に取り扱うことができるスケジュール報知装置を提供し、彼らの生活をサポートすることにある。またその結果、認知能力の低下によるストレスや不安感を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、設定された時刻に報知シグナルを出力するスケジュール報知装置であって、スケジュールが記載される記載部と、前記記載部に隣り合う位置に設けられた報知部と、前記報知部を制御する制御部と、からなり、前記報知部は、前記報知シグナルを出力する第1出力部と、所定時間間隔ごとの時刻を前記記載部に沿った位置に間欠的に表示する目盛部と、前記目盛部に表示された時刻に沿った位置に配置され、当該時刻を報知時刻として設定する前記時刻ごとに設けたスイッチ部と、を備え、前記制御部は、前記スイッチ部により設定された報知時刻を検出する入力検出部と、現在時刻を計時する計時部と、前記入力検出部が検出した報知時刻と、前記計時部が計時した現在時刻を照合する報知時刻管理部と、前記報知時刻管理部の照合結果に基づいて、前記第1出力部に対して前記報知シグナルの出力を指示する報知制御部と、を備えることを特徴とする。
かかる構成の本発明に係るスケジュール報知装置は、使用者が予定に基づいてスイッチ部を操作することにより、入力検出部が報知時刻を検出する。そして報知時刻管理部の照合結果に基づいて制御部が報知シグナルの出力を指示して、予定時刻の到来を知らせることができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のスケジュール報知装置であって、前記報知制御部は、前記報知時刻の所定時間前に前記第1出力部に対して前記報知シグナルの出力を指示することを特徴とする。
かかる構成によるスケジュール報知装置は、使用者が予定に基づいてスイッチ部を操作することにより、入力検出部が報知時刻を検出するとともに、制御部が当該報知時刻の所定時間前に報知シグナルの出力を指示することで、予定時刻の到来を事前に知らせることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のスケジュール報知装置であって、前記報知時刻の情報である報知時刻情報を受信する受信部と、前記報知時刻情報に含まれる前記報知制御部からの指示に従って、前記報知シグナルを出力する第2出力部と、を備える受信端末部を有し、前記報知部は、前記受信部に前記報知時刻情報を送信する送信部をさらに備えることを特徴とする。
かかる構成によるスケジュール報知装置は、使用者が予定に基づいてスイッチ部を操作することにより、入力検出部が報知時刻を検出するとともに、送信部がその情報を受信端末部に送信する。そして当該情報に基づいて受信端末部が報知シグナルを出力することで、予定時刻の到来を知らせることができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係るスケジュール報知装置によれば、認知能力の低下した人や高齢者であっても、他人の補助なしに自らの予定を容易に管理することができる。
請求項2に係るスケジュール報知装置によれば、使用者は、予定時刻を事前に知ることができるため、予定時刻の到来に慌てることなく対処することができる。
請求項3に係るスケジュール報知装置によれば、使用者は、報知部から離れていても予定時刻の到来を知ることができるため、より柔軟に自らの予定を管理することができる。
従って、請求項1から請求項3に係るスケジュール報知装置を用いることで、時間の認知能力の低下した人や高齢者はストレスや不安感を軽減することができる。また、使用者が自らスケジュール管理を行って予定を実行できるため、使用者本人の自信を回復させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【0014】
スケジュール報知装置A1は、記載部1と、報知部2と、導電性のピン3と、を備えている。
記載部1は、使用者が予定を記載するものである。記載部1と隣り合う位置には、報知部2が着脱自在に取り付けられている。報知部2の取り付け位置は、記載部1に隣り合う位置であれば特に限定されないが、ここでは、記載部1に報知部2の全面積が収まるように取り付けた構成について説明する。
なお、記載部1は、予定の記載が可能であればホワイトボード、黒板、日めくりカレンダー、画用紙、レポート用紙等、用途・目的に沿って選択することができる。
【0015】
報知部2は、スケジュール報知装置A1の本体部であり、導電性のピン3をピン孔10に挿入することで、使用者の希望する時刻に報知シグナルを出力するものである。
報知部2は、基体4と、基体4の表面に形成された第1スピーカー(第1出力部)5、年月日表示部6、目盛部7、発光部8、ピン孔10と、を備えている。また、基体4の内部には、オンオフ配線部11が形成された回路部9、制御部30が設けられている。
ここで、ピン3、回路部9、ピン孔10、オンオフ配線部11は、報知部2のスイッチ部として機能する。
【0016】
ピン3は、報知時刻を設定するためのスイッチ部の一部である。ピン3は、ピン孔10に挿入する軸部分が、ピン孔10の径に合わせて形成される。また、ピン3は、ピン孔10に形成された、回路部9のオンオフ配線部11(左右の配線部11a,11b,図2参照)に接触する部分が、少なくとも導電性部材により形成されている。
なお、ピン3の形状・大きさ・長さは、ピン孔10の形状・大きさ・深さに合わせて定められる。
【0017】
基体4は、報知部2の外形を形成するものであり、縦長の長方形に形成する。
基体4の裏面には、図示しない着脱機構が設けられており、当該着脱機構により報知部2は記載部1に着脱自在に取り付けられている。但し、着脱機構は、記載部1の側に設けることも可能である。
着脱機構の具体例としては、マグネット式、フック吊り下げ式、ビス留め式、テープ止め式等が挙げられ、用途・目的に沿って選択することができる。
【0018】
第1スピーカー5(第1出力部)は、報知時刻になると報知音(報知シグナル)を出力するものである。第1スピーカー5から出力される報知音は、一般的なアラーム音の他、「予定時刻になりました」、「予定時刻の5分前です」等の音声で構成することもできる。
【0019】
年月日表示部6は、計時部で計時した現在の年月日を表示するものである。必要に応じて、基体4の側面や裏面に年月日の設定手段(ボタン等)を形成することができる。
報知部2は、年月日表示部6を設けることにより、計時部で計時された現在の年月日を視覚的に表示することができる。
【0020】
目盛部7は、隣接して形成された発光部8及び、ピン孔10が何時を表しているのかを示す、いわば指標となるものである。目盛部7は、基体4の上(一端)から下(他端)に向かって1時間毎の時刻を示すように、直線状に配列されている。
【0021】
目盛部7は、図1では「5:00〜4:00」の順に1時間ずつ時刻を表示しているが、これは使用者の「起床時刻〜就寝時刻」に対応させたものである。従って、使用者の起床・就寝時刻に合わせて、上端に示す始まりと下端に示す終わりの時刻を適宜変更することができる。
【0022】
発光部8は、計時部で計時された現在時刻を表示するものである。発光部8の各発光点は、基体4の目盛部7の各時刻に対応する位置に、直線状に配列されている。
発光部8の各発光点は、例えば発光ダイオードを素材とすることができる。なお、報知機能のみを利用する場合は、報知部2に発光部8を設けないことも可能であり、発光部8を省略することで、報知部2の省スペース化、小型化が実現できる。
【0023】
発光部8は、午前5時に全ての発光点が点灯し、1時間毎に発光点を1つずつ消灯することで、現在時刻を表示する。図1では、発光部8は現在時刻が11時であることを示している。
但し、発光部8を、午前5時に全ての発光点が消灯し、1時間毎に発光点を1つずつ点灯することで、現在時刻を表示するように構成することもできる。
【0024】
回路部9は、基体4の内部に設けられ、報知時刻を設定するためのスイッチ部の一部である。回路部9は、オンオフ配線部11及び、当該オンオフ配線部11の配線上にピン孔10が形成されたプリント基板で構成されている。
【0025】
ピン孔10は、報知時刻を設定するためのスイッチ部の一部であり、使用者がピン孔10に導電性のピン3を挿入して回路部9を導通することにより、報知時刻を設定することができるものである。
ピン孔10の各孔は、基体4の目盛部7の各時刻に対応する位置に、直線状に配列されている。また、ピン孔10は、基体4及び基体4内部の回路部9の一部を貫通して形成される。
ピン孔10の形状・大きさ・深さは、ピン孔10に挿入するピン3の形状・大きさ・長さに合わせて定められる。
【0026】
制御部30は、基体4の内部に設けられ、報知時刻の入力と報知シグナルの出力を制御するものである。制御部30は、少なくとも入力検出部と、報知時刻管理部と、報知制御部と、を備えている。なお、制御部30内の構成と処理手順については、図3の説明の中で行う。
【0027】
図2は、第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1の、ピン孔10の拡大図であり、(a)は図1におけるA部拡大図、(b)は図1において、ピン3が挿入されたピン孔10の断面図である。
回路部9に形成されたピン孔10の周囲は、オンオフ配線部11で囲まれている。但し、オンオフ配線部11の一部は、左の配線部11aと右の配線部11bが導通しないように取り払われている。なお、基体4の内部には図示しない電源が設けられており、当該電源は、回路部9に電流を供給している。
【0028】
使用者が、導電性のピン3をこのようなピン孔10に挿入すると、左右の配線部11a,11bが短絡して左右の配線部11a,11b間に電流が流れる。使用者は、この電流を用いた報知時刻設定手段(スイッチ部)を利用して、希望する時刻に報知シグナルが出力されるよう、報知時刻を設定することができる。
【0029】
第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1は、電流を利用した報知時刻設定手段として、「配線マトリクス方式」を用いている。この方式は、オンオフ配線部11と接続された配線をマトリクス状に配置して、1本のピンに対して1つの信号を制御部30に入力して制御部30に報知時刻を記憶させる方式である。この方式によれば、基板を多層化することにより容易に報知時刻設定手段を形成することができる。
【0030】
図3は、第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1の、報知部2の内部に設けられた制御部30の構成を示すブロック図である。制御部30は、入力検出部(報知時刻検出部)15と、報知制御部(報知シグナル出力指示部)18と、報知時刻管理部(報知時刻照合部)19と、第1出力指示部20と、を備えている。
以下、報知時刻の処理の流れに沿って、各部の説明を行う。
【0031】
入力検出部(報知時刻検出部)15は、ピン3が挿入されたピン孔10の位置に対応した時刻についての情報(以下、報知時刻情報)を検出するものである。入力検出部15は、各ピン孔10の位置に対応した時刻の情報を、図示しない記憶手段により予め記憶している。
従って、入力検出部15は、ピン3がピン孔10に挿入されて回路部9が導通すると、当該導通箇所からピン3が挿入されたピン孔10の位置を特定し、当該ピン孔10に対応する時刻を検出する。そして、入力検出部15は、当該時刻を報知時刻として報知制御部18を経由して報知時刻記憶部19bに格納する。
【0032】
報知時刻管理部19は、計時部19aと、報知時刻記憶部19bを備えている。計時部19aは、現在時刻を計時するものである。また、報知時刻記憶部19bは、入力検出部15が検出した報知時刻を記憶するものである。
報知時刻管理部19(報知時刻照合部)は、計時部19aで計時した現在時刻と、報知時刻記憶部19bに格納された報知時刻が一致するかどうかを照らし合わせるものである。報知時刻管理部19は、現在時刻と報知時刻を常時監視し、現在時刻と報知時刻が一致すると、一致した旨の信号を報知制御部18に入力する。
【0033】
報知制御部18(報知シグナル出力指示部)は、報知時刻管理部19から入力された信号に従って、第1出力指示部20に報知シグナルを出力するよう指示するものであって、実際に、第1出力指示部20は、報知制御部18からの指示に従って、第1出力部(第1スピーカー5)から報知シグナル(報知音)を出力させる。
【0034】
図4は、第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1の、報知部2の動作を示すフローチャートである。以下、同図を参照しながら報知部2の動作について説明する。
まず、入力検出部15は、ピン孔10にピン3が挿入されているかどうかを、回路部9の導通の有無によって監視する(ステップS1)。
ここで、ピン3がピン孔10に挿入されていない場合(ステップS1でNo)は、入力検出部15はピン孔10の監視を継続する。一方、ピン3がピン孔10に挿入されている場合(ステップS1でYes)はステップS2に進む。
【0035】
入力検出部15は、ピン3の挿入されたピン孔10に対応する報知時刻を検出し、当該報知時刻を報知制御部18に入力する(ステップS2)。
報知制御部18は、当該報知時刻を報知時刻管理部19に格納する(ステップS3)。
【0036】
報知時刻管理部19は、報知時刻と現在時刻が一致するかどうかを照合する(ステップS4)。
ここで、報知時刻と現在時刻が一致しない場合(ステップS4でNo)は、報知時刻管理部19は照合を継続する。一方、報知時刻と現在時刻が一致する場合(ステップS4でYes)はステップS5に進む。
【0037】
報知時刻管理部19は、報知時刻と現在時刻が一致する旨の照合結果を報知制御部18に入力する。報知制御部18は、当該照合結果に基づいて、第1出力指示部20に報知シグナルの出力を指示し、そして、第1出力部から報知シグナルを出力する(ステップS5)。
【0038】
図5は、第2実施形態に係るスケジュール報知装置A2の一部を切り欠いて示す斜視図である。スケジュール報知装置A2は、記載部1と、報知部2’と、導電性のピン3と、を備えている。
また、報知部2’は、基体4の表面に日の出・日没時刻表示部12をさらに備え、基体4の内部に、日の出・日没時刻入力部16を有する制御部30’を備えている。
なお、第1実施形態と同じ構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0039】
日の出・日没時刻表示部12は、制御部30’に設けられた日の出・日没時刻入力部16に入力された、当日の日の出・日没時刻を表示するものである。日の出・日没時刻表示部12の各発光点は、例えば発光ダイオードを素材とすることができる。
また、日の出・日没時刻表示部12の各発光点の数は、目盛部7の各時刻の数と同じ数で形成する。
【0040】
日の出・日没時刻表示部12は、日の出から日没時間までに対応する発光点を全て点灯して、日の出・日没時刻を表示する。図5では、日の出・日没時刻表示部12は、日の出・日没時刻が6時と18時であることを示している。
但し、日の出・日没時刻表示部12を、日の出から日没時間までに対応する発光点を全て消灯して、それ以外の発光点を点灯することで、日の出・日没時刻を表示するように構成することもできる。
【0041】
日の出・日没時刻入力部16は、報知部2’の外部から日の出・日没時刻を入力するものである。使用者は、当日の日の出・日没時間を、報知部2’に設けられた図示しない入力手段(ボタン等)により、報知部2’に入力することができる。
なお、日の出・日没時刻入力部16の処理手順については、図6の説明の中で行う。
【0042】
このように、報知部2’に日の出・日没時刻表示部12及び、日の出・日没時刻入力部16を形成することにより、報知部2’は、入力又は計算された日の出・日没時刻に基づいて、当日の日の出・日没時間を視覚的に表示することができる。
従って、時間の認知能力が低下した人も、日の出・日没時間の表示によって、昼夜の区別を視覚的に把握することができ、日々の生活のリズムを整えることができる。
【0043】
図6は、第2実施形態に係るスケジュール報知装置A2の、受信端末部13の平面図である。受信端末部13には、報知時刻になると報知部2’とは別に報知シグナルを出力する第2出力部が設けられている。
従って、使用者は、受信端末部13を携帯することにより、報知部2’から出力された報知シグナル(報知音)を感知できない場所にいた場合であっても、予定時刻の到来を知ることができる。
【0044】
受信端末部13の表面には、第2スピーカー14が形成されている。また、受信端末部13の内部には、端末制御部31と、図示しないアンテナが設けられている。
ここで、図示しないアンテナは、報知部2’の送信部21から出力された報知時刻の情報を受信するためのものである。
【0045】
受信端末部13の形状・大きさ・素材は特に限定されないが、携帯し易いようになるべく小型に形成することが望ましい。また、紛失防止のためにストラップ型やペンダント型に形成することもできる。
受信端末部13の表面には、必要に応じて、報知シグナルを停止させる停止ボタンを設けることもできる。
【0046】
第2スピーカー14は、報知部2’の報知制御部18からの指示に従って、報知時刻になると報知音(報知シグナル)を出力する、スケジュール報知装置A2の第2出力部である。
【0047】
第2出力部は、音を出力する第2スピーカー14以外で構成することもできる。例えば、第2出力部として、受信端末部13の表面に発光部を形成して、予定時刻を光で知らせることもできる。また、第2出力部として、受信端末部13の内部に振動(バイブレータ)を発生させるモータを内蔵して、予定時刻を振動で知らせることもできる。
【0048】
図7は、第2実施形態に係るスケジュール報知装置A2の構成を示すブロック図であり、(a)は報知部2’の内部に設けられた制御部30’の構成を示すブロック図、(b)は受信端末部13の内部に設けられた端末制御部31の構成を示すブロック図である。
報知部2’の内部に設けられた制御部30’は、第1実施形態に係る制御部30の構成(図3参照)に、日の出・日没時刻入力部16、事前報知情報入力部17、事前報知情報記憶部19c、送信部21を加えたものである。
以下、各処理の流れに沿って、各部の説明を行う。なお、既に説明した構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0049】
日の出・日没時刻入力部16は、外部から入力された当日の日の出・日没時刻情報を信号に変換し、報知制御部18に入力するものである。報知制御部18は、日の出・日没時刻情報が入力されると、第1出力指示部20に日の出・日没時刻の出力を指示する。
【0050】
事前報知情報入力部17は、外部から入力された事前報知情報を、報知制御部18に入力するものである。報知制御部18は、事前報知情報が入力されると、その情報を報知時刻管理部19内の事前報知情報記憶部19cに格納する。
なお、事前報知情報とは、予定時刻の到来前に報知を行う旨の情報(指示)のことを指す。事前報知情報は、報知部2’の基体4の表面等に図示しない入力手段(ボタン等)を設け、報知時刻の設定とともに報知部2’に入力できるように構成する。
【0051】
事前報知情報記憶部19cは、報知制御部18から入力された事前報知情報を記憶するものである。
報知時刻管理部19は、報知時刻の情報(以下、報知時刻情報)が報知時刻記憶部19bに、事前報知情報が事前報知情報記憶部19cに格納されると、計時部19aで計時した現在時刻と、本来の報知時刻から所定時間(例えば5分前)を差し引いた時刻(以下、事前報知時刻)が一致するかどうかを照らし合わせる。そして両者が一致すると、一致した旨の信号を報知制御部18に入力する。
【0052】
報知時刻管理部19は、本来の報知時刻からどの程度の時間を差し引くのかの条件を、図示しない記憶手段により予め記憶している。また、使用者は、PCを用いることによって、当該条件をさらに変更することもできる。
【0053】
報知制御部18(報知シグナル出力指示部)は、報知時刻管理部19から入力された照合結果に従って、第1出力指示部20に報知シグナルを出力するよう指示する。
そして、第1出力指示部20は、報知制御部18からの指示に従って、第1出力部(第1スピーカー5)から報知シグナル(報知音)を出力する。
【0054】
報知制御部18は、必要に応じて、図7(a)に示したように送信部21を設けて、そこから報知時刻情報又は事前報知情報の送信を指示してもよい。
送信部21は、報知制御部18の指示に従って、受信端末部13の受信部22に、報知時刻又は事前報知時刻を送信するものである。
【0055】
受信端末部13の内部に設けられた端末制御部31は、受信部22と端末報知制御部23と、第2出力指示部24と、を備えている。
受信部22は、報知部2’の送信部21から送信された報知制御部18の指示を受信するものである。
また、端末報知制御部23は、受信部22から入力された報知制御部18の指示に従って、第2出力指示部24に報知シグナルの出力を指示するものである。
また、第2出力指示部24は、報知制御部18の指示に従って、第2出力部(第2スピーカー14)から報知シグナル(報知音)を出力するものである。
【0056】
本発明に係るスケジュール報知装置(図1、図5)の各構成は、上記の実施形態に限定されず、以下のように変更することができる。
【0057】
報知部2,2’に形成された目盛部7の各時刻、発光部8の各発光点、ピン孔10の各孔、日の出・日没時刻表示部12の各発光点の形状は、円形状だけではなく、菱形、四角形、三角形等の形状とすることもできる。
また、各部(各点)の配列方法は、直線状に形成することで視覚的に把握しやすくなるが、基体4の形状・大きさによっては、直線状ではなく曲線状に配列することもできる。
さらに、各部(各点)の配列間隔は、1時間間隔ではなく、例えば30分間隔や2時間間隔で形成することもできる。
【0058】
基体4の形状は、縦長の長方形ではなく、横長の長方形、正方形、円形、楕円形等に形成することもできる。また、基体4の素材は特に限定されないが、マグネット等の着脱機構を用いて記載部1に取り付ける場合は、脱落しない程度の軽量な素材を使用することが好ましい。
【0059】
第1出力部は、音を出力する第1スピーカー5以外で構成することもできる。例えば、第1出力部として、基体4の表面に発光部を形成して、予定時刻を光で知らせることもできる。
【0060】
本発明に係るスケジュール報知装置の報知時刻設定手段は、「配線マトリクス方式」以外に、以下の方式に変更することもできる。
【0061】
一つ目は、「重み付抵抗方式」である。この方式は、ピン孔10の左右の配線部11a、11b間の抵抗値を変化させることによって、入力信号の値を変化させ、当該入力信号の値に対応した報知時刻を制御部30に記憶させる方式である。この方式によれば、「配線マトリクス方式」のように基板を多層化する必要がないため、報知時刻設定手段を効率的に形成することができる。
【0062】
二つ目は、「光センサ方式」である。この方式は、「配線マトリクス方式」や「重み付抵抗方式」のように、回路部9を導通して報知時刻を設定するのではなく、光を用いて報知時刻を設定する方式である。
図8は、本発明に係るスケジュール報知装置において、報知時刻設定手段を「光センサ方式」で構成した場合の、報知部の断面図である。なお、既に説明した構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0063】
図8を参照すると、基体4のピン孔10の内部には、光を透過させる素材(例えば、透明プラスチック)からなり、かつ当該ピン孔10の容積に合わせた大きさに形成した筒25が封止されている。そして、当該筒25の一方と他方には、光を出力する発光デバイス26と、光を受け入れる受光デバイス27が設けられている。
そして、ピン3の未挿入時においては、一方の発光デバイス26から出力された光は、筒25及び、その内部を透過して、他方の受光デバイス27に入力されている。
【0064】
この筒25(ピン孔10)に、光を遮断する素材で形成したピン3を挿入すると、発光デバイス26から受光デバイス27に行われていた光の供給が遮断される。
入力検出部15は、この光の遮断状態を感知し、光が遮断された筒25(ピン孔10)に対応する報知時刻を検出して、報知制御部18に報知時刻を入力する。
この方式は、光を利用するため、他の方式のように、オンオフ配線部11を設ける必要がなく、さらに、ピン孔10に筒25を封止するため、配線部に塵や埃が付着して接触不良が生じることもない。
従って、「光センサ方式」は、誤作動の少ないスケジュール報知装置を提供することができる。
【0065】
三つ目は、「アナログ方式」である。この方式は、これまで説明したようなデジタル方式とは異なり、目覚まし時計等で利用されている機械的な手法を用いる。
例えば、報知部2の内部にカムを設け、ピン3をピン孔10に挿入して回路部9を導通することにより、内部のカムを上下させて報知時刻を設定できるように構成する方式が挙げられる。
【0066】
本発明に係るスケジュール報知装置の報知部2のスイッチ部の入力方式は、ピンの着脱が不要な以下の方式に変更することもできる
【0067】
一つ目は、「ダイヤルスイッチ方式」である。この方式は、全てのピン孔10に予めピン3’を挿入及び固定し、ピン3’を回転させることにより回路部9を導通させ、報知時刻を設定する方式である。
図9は、本発明に係るスケジュール報知装置において、スイッチ部に「ダイヤルスイッチ方式」を用いた場合の、スイッチ部の断面図である。なお、既に説明した構成は、同じ符号を付して説明を省略する。
【0068】
この方式では、ピン3’は光を透過し、かつ電気を通さない絶縁素材(例えば、透明プラスチック)で形成されている。また、ピン3’は、軸部分の一方に電極29a,他方に電極29bが形成され、頭部分には当該電極29a,29bと配線で接続された発光ダイオード28が形成されている。
【0069】
そして、このように構成したピン3’を、予めピン孔10に挿入・固定し、当該ピン3’を時計回り、あるいは反時計回りに回転(ダイヤル)することにより、回路部9を導通させて報知時刻を設定する。
なお、ピン3’の頭部分には発光ダイオード28が形成されている。従って、使用者がピン3’を回転させて電極29a,29bと配線部11a,11bを接触させると、回路部9が導通するとともに、ピン3’の頭部分に形成された発光ダイオード28が発光する。
【0070】
この「ダイヤルスイッチ方式」は、ピン孔10が予めピン3’で塞がれているため、配線部に塵や埃が付着して接触不良を生じさせることがない。また、使用者はピン3’を挿入することなく、簡易に報知時刻を設定することができるとともに、ピン3’を紛失することもない。
さらに、ピン3’を回転させて報知時刻を設定すると、それに対応してピン3’が発光するため、使用者は、自分がどこにピン3を挿入したのか、すなわち予定時刻がいつなのかを視覚的に把握することができる。
【0071】
二つ目は、「ボタン方式」である。この方式は、全てのピン孔10にピンの代わりにボタンが取り付けられており、ボタンを押すことにより回路部9を導通させ、報知時刻を設定する方式である。
この方式では、ピン3の代わりに軸が導電性部材で形成されたボタンの部材を、そしてピン孔10の代わりにボタンの部材を挿入可能なバネ等を備えた孔を用いる。従って、使用者は、ボタンを押すだけで簡易に報知時刻を設定することができる。
【0072】
本発明に係るスケジュール報知装置の主な使用方法について、図1を参照しながら説明する。
まず、使用者は、ホワイトボード等からなる記載部1に報知部2を取り付けた後、予定のある時刻に対応したピン孔10に対応した位置に予定を記載する。そして、使用者は、予定を記載した場所に対応するピン孔10にピン3を挿入して、報知時刻を設定する。なお、先にピン3を挿入して予定を記載することもできる。
【0073】
このように報知時刻を設定した場合、使用者は12時に「ピアノ教室」が、16時に「囲碁教室」が予定されていることが一目で把握することができる。なお、報知時刻の設定はピン3を挿入している間だけ有効である。従って、使用者は報知時刻の設定後であっても、ピン孔10からピン3を抜くことで簡単に報知時刻の設定を解除・変更することができる。
予定時刻になると、報知部2の第1スピーカー5は報知音(報知シグナル)を出力する。この場合も、使用者はピン孔10からピン3を抜くことで、報知音の出力を停止させることができる。
また、停止させる手段に関しては、一定時間の経過後に自動的に停止する、停止ボタンを設置するなどの方法も可能である。
【0074】
このように、本発明に係るスケジュール報知装置は、ピンを抜き挿しすることで容易に報知時刻の設定が可能である。従って、時間の認知能力が低下した人や高齢者であっても、容易に自己の予定を管理することができる。また、認知能力が低下した人や高齢者が自らスケジュール管理を行って予定を実行できるため、使用者本人の自信を回復させることができる。
本発明に係るスケジュール報知装置は一人だけではなく、複数人で使用することも可能である。この場合は一つの記載部1に複数の報知部2,2’を取り付けて使用するなどして、それらの報知部2,2’を複数人で共用するなどの利用方法がある。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1の、ピン孔10の拡大図である。 (a)は図1におけるA部拡大図、(b)は図1において、ピン3が挿入されたピン孔10の断面図である。
【図3】第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1の、報知部2の内部に設けられた制御部30の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係るスケジュール報知装置A1の、報知部2の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係るスケジュール報知装置A2の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るスケジュール報知装置A2の、受信端末部13の平面図である。
【図7】第2実施形態に係るスケジュール報知装置A2の構成を示すブロック図である。 (a)は報知部2’の内部に設けられた制御部30’の構成を示すブロック図、(b)は受信端末部13の内部に設けられた端末制御部31の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明に係るスケジュール報知装置において、報知時刻設定手段を「光センサ方式」で構成した場合の、報知部の断面図である。
【図9】本発明に係るスケジュール報知装置において、スイッチ部に「ダイヤルスイッチ方式」を用いた場合の、スイッチ部の断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 記載部
2 報知部
3 ピン(スイッチ部)
4 基体
5 第1スピーカー(第1出力部)
6 年月日表示部
7 目盛部
8 発光部
9 回路部(スイッチ部)
10 ピン孔(スイッチ部)
11 オンオフ配線部(スイッチ部)
12 日の出・日没時刻表示部
13 受信端末部
14 第2スピーカー(第2出力部)
15 入力検出部
18 報知制御部
19 報知時刻管理部
19a 計時部
19b 報知時刻記憶部
21 送信部
22 受信部
30 制御部
31 端末制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された時刻に報知シグナルを出力するスケジュール報知装置であって、
スケジュールが記載される記載部と、
前記記載部に隣り合う位置に設けられた報知部と、
前記報知部を制御する制御部と、からなり、
前記報知部は、
前記報知シグナルを出力する第1出力部と、
所定時間間隔ごとの時刻を前記記載部に沿った位置に間欠的に表示する目盛部と、
前記目盛部に表示された時刻に沿った位置に配置され、当該時刻を報知時刻として設定する前記時刻ごとに設けたスイッチ部と、を備え、
前記制御部は、
前記スイッチ部により設定された報知時刻を検出する入力検出部と、
現在時刻を計時する計時部と、
前記入力検出部が検出した報知時刻と、前記計時部が計時した現在時刻を照合する報知時刻管理部と、
前記報知時刻管理部の照合結果に基づいて、前記第1出力部に対して前記報知シグナルの出力を指示する報知制御部と、
を備えることを特徴とするスケジュール報知装置。
【請求項2】
前記報知制御部は、
前記報知時刻の所定時間前に前記第1出力部に対して前記報知シグナルの出力を指示することを特徴とする請求項1に記載のスケジュール報知装置。
【請求項3】
前記報知時刻の情報である報知時刻情報を受信する受信部と、
前記報知時刻情報に含まれる前記報知制御部からの指示に従って、前記報知シグナルを出力する第2出力部と、
を備える受信端末部を有し、
前記報知部は、
前記受信部に前記報知時刻情報を送信する送信部をさらに備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスケジュール報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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