説明

スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法

【課題】ポリスチレン系樹脂発泡成形体とポリプロピレン系樹脂発泡成形体の双方の欠点を改善して、機械特性や耐薬品性などに優れたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の提供。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系単量体の第1の重合を行う工程と、前記第1の重合工程に続いて、スチレン系単量体と、重合開始剤とを加え、かつ(T−25)〜(T+15)℃の温度とすることで、前記ポリプロピレン系樹脂粒子へのスチレン系単量体の含浸と第2の重合とを行う工程とを有するスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂を核にして、スチレンを重合させることで得られるスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子、これに発泡剤を含浸させて得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子、該粒子を予備発泡させて得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、該発泡粒子を型内発泡成形して得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内に充填して加熱、発泡させて得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体は、剛性、断熱性、軽量性、耐水性及び発泡成形性に優れていることが知られている。そのためこの発泡成形体は、緩衝材や建材用断熱材として広く用いられている。しかし、この発泡成形体は、耐薬品性及び耐衝撃性に劣るといった問題点があった。
一方、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡成形体は、耐薬品性及び耐衝撃性に優れていることが知られている。そのためこの発泡成形体は、自動車関連部品に用いられている。 しかし、ポリプロピレン系樹脂は発泡ガスの保持性に劣ることから、発泡成形条件を精密に制御する必要があるため、製造コストが高くつくという問題点がある。加えて、ポリスチレン系樹脂発泡成形体に比して剛性が劣る問題点もある。
前記ポリスチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の問題点を解決するために、剛性及び発泡成形性の良好なポリスチレン系樹脂と、耐薬品性及び耐衝撃性の良好なポリプロピレン系樹脂とを複合化した発泡成形体が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0003】
特許文献1には、耐衝撃性、剛性、表面性などが実用的な発泡成形体を提供することを目的として、ポリプロピレン(a)100質量部に対してビニル系単量体成分(b)1〜500質量部および該ビニル系単量体成分(b)100質量部に対してラジカル重合開始剤(c)0.01〜10質量部を含有した水性懸濁液を、場合により実質的にビニル系単量体成分(b)がそれ単独では重合しない条件下で加熱したのち、該ビニル系単量体成分(b)を該ポリプロピレン(a)に含浸させ、さらに該水性懸濁液を該ポリプロピレン(a)の結晶部分が実質的に融解を開始する温度以上の高温に加熱し、ビニル系単量体成分(b)を重合させてなる改質ポリプロピレン系樹脂組成物からなる予備発泡粒子を得る方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、1〜10質量%のエチレン成分を含有するプロピレン系樹脂ペレットもしくは粉末100質量部を水性懸濁液中に分散せしめ、該懸濁液中にスチレン系単量体約30〜150質量部を加えて130℃以上の温度で加熱処理し、次いで重合触媒の存在下で重合を行うことを特徴とする球状のポリプロピレン系樹脂粒子を得る方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に開示された従来方法で得られた改質樹脂は、特に表面部付近においてポリプロピレン系樹脂中にポリスチレン系樹脂を粒子状に分散させることが難しく、十分な耐薬品を発揮できないものとなり易い。
また、これら従来方法で製造された改質樹脂粒子を使用して発泡成形された成形品は、耐熱性と穿孔衝撃性を十分に兼ね備えたものが得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−194623号公報
【特許文献2】特開昭61−9432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とポリプロピレン系樹脂発泡成形体の双方の欠点を改善して、機械特性や耐薬品性などに優れたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記目的を実現するため鋭意研究を重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂粒子として特定の融点をもつポリプロピレン系樹脂粒子を使用し、スチレン系単量体を加えて、特定の温度範囲で重合させることによって、粒子表面近傍ではポリプロピレン系樹脂が多くなり、粒子中心部に近づくとスチレンが多くなり、またポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とが明瞭な海島構造を形成しているスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子が得られることを知見した。
【0009】
さらに、このように製造した前記海島構造を有するスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、発泡剤を含浸させて得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡後、この発泡粒子を成形型に充填して型内発泡成形した場合に、ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を製造できることを知見し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、分散剤を含む水性懸濁液中に、融点が120℃〜140℃であるポリプロピレン系樹脂粒子100質量部と、スチレン系単量体20質量部以上100質量部未満と、重合開始剤とを分散させる工程と、
得られた分散液を前記スチレン系単量体が実質的に重合しない温度に加熱して前記スチレン系単量体を前記ポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させる工程と、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系単量体の第1の重合を行う工程と、
前記第1の重合工程に続いて、スチレン系単量体と、重合開始剤とを加え、かつ(T−25)〜(T+15)℃の温度とすることで、前記ポリプロピレン系樹脂粒子への前記スチレン系単量体の含浸と第2の重合とを行う工程(但し、ポリプロピレン系樹脂粒子100質量部に対し、第1の重合と第2の重合で使用するスチレン系単量体の合計は30質量部以上600質量部未満である)とを有するスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
本発明においては、前記ポリプロピレン系樹脂粒子の融点が140℃〜145℃であることが好ましい。また本発明においては、前記ポリプロピレン系樹脂粒子の融点が120℃〜140℃(特に120℃以上140℃未満)であるとき、前記第1の重合工程において、(T)〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系単量体の重合を行い、前記第2の重合工程において、(T−10)〜(T+15)℃の温度で、前記スチレン系単量体の重合を行うことが好ましい。
【0011】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法において、ポリプロピレン系樹脂粒子が、プロピレン−エチレン共重合体であることが好ましい。
【0012】
また本発明は、前記スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法に続いて、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得る発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法を提供する。
【0013】
また本発明は、前記発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法に続いて、得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を加熱し予備発泡させて発泡粒子を得るスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法を提供する。
【0014】
また本発明は、前記スチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に続いて、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、次いで型内発泡成形し、次いで成形体を成形型から離型するスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂中に、粒子長径が5μm以下のポリスチレン系樹脂粒子が分散された状態で存在している海島構造を有するものなので、該粒子に発泡剤を含浸させて得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡後、この発泡粒子を成形型に充填して型内発泡成形して得られる発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とポリプロピレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体となる。従って、本発明によれば、このように優れた物性を持った発泡成形体の製造に適したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明の発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、前述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させてなるものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体の製造に適した発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、前述した発泡性粒子を予備発泡させてなるものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体の製造に適したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供することができる。
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、前述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形したものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体を提供することができる。
【0016】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法は、分散剤を含む水性懸濁液中に、融点が120℃〜145℃であるポリプロピレン系樹脂粒子とスチレン系単量体と重合開始剤とを分散させ、スチレン系単量体をポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させた後、ポリプロピレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)〜(T+20)℃の温度で1段階の重合を、又は(T)〜(T+20)℃の温度で1回目の重合を行い、(T−25)〜(T+15)℃の温度で2回目のスチレン系単量体の重合を行うことによって、ポリプロピレン系樹脂中に、粒子長径が5μm以下のポリスチレン系樹脂粒子が分散された状態で存在している海島構造を有するスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を製造することができる。
得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、発泡剤を含浸させて得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡後、この発泡粒子を成形型に充填して型内発泡成形した場合に、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とポリプロピレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体が得られる。本製造方法によれば、このように優れた物性を持った発泡成形体の製造に適したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明の発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法は、前述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を製造するものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体の製造に適した発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法は、前述した発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を予備発泡してスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造するものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体の製造に適したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を提供することができる。
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法は、前述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形してスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を製造するものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る実施例6で製造したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の 断面TEM画像を示す図である。
【図2】比較例3で作製した樹脂粒子の断面TEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、ポリスチレン系樹脂を30質量部以上600質量部未満含有し、かつ、ポリプロピレン系樹脂中に、粒子長径が5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは0.05〜2.5μmのポリスチレン系樹脂粒子が分散された状態で存在していることを特徴とする。
【0019】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の樹脂材料の一つである、ポリプロピレン系樹脂としては、120〜145℃の融点を有する限り、特に限定されず、公知の重合方法で得られた樹脂が使用できる。ポリプロピレン系樹脂の融点が120℃より低いと、耐熱性が乏しく、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を用いて製造されるスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の耐熱性が低くなってしまう。また融点が145℃より高いと、重合温度が高くなり、良好な重合ができなくなる。
【0020】
本発明の好適な実施形態において、ポリプロピレン系樹脂として、120〜145℃の範囲の融点を有するプロピレン−エチレン共重合体が用いられる。このプロピレン−エチレン共重合体は、プロピレンとエチレンの共重合体を主成分とするものであるが、エチレンまたはプロピレンと共重合し得る他の単量体を分子内に含有するものであってもよい。そのような単量体としては、α−オレフィン、環状オレフィン、ジエン系単量体から選ばれる一種または二種以上のものが挙げられる。このプロピレン−エチレン共重合体は、融点が120℃〜145℃であることを特徴とし、ランダム、ブロックおよび三元共重合体のいずれであってもよい。また融点が複数存在する場合は、最も低い方の温度を融点(T℃)とする。
【0021】
前記ポリプロピレン系樹脂粒子には、必要に応じて、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加物が含まれていてもよい。この内、着色剤としては、無機及び有機着色剤のいずれも使用できる。特に、酸化鉄、カーボンブラック等の無機系の着色剤が好ましい。
【0022】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子のもう一つの樹脂材料である、ポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン系単量体を重合させて得られる樹脂が挙げられる。更に、ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体と、該スチレン系単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては、ジビニルベンゼンのような多官能性単量体や、(メタ)アクリル酸ブチルのような構造中にベンゼン環を含まない(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が例示される。これら他の単量体は、実質的にポリスチレン系樹脂に対して5質量%を超えない範囲で使用してもよい。なお、本明細書では、スチレン及びスチレンと共重合可能な単量体もスチレン系単量体と称している。
なお、本発明においては、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。
【0023】
ポリスチレン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して30〜600質量部の範囲の量とされる。好ましいポリスチレン系樹脂の配合量は、100〜550質量部であり、130〜500質量部がより好ましい。このポリスチレン系樹脂の比率が600質量部より多いと、発泡粒子を型内発泡成形して得られる発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性が低下するため、好ましくない。一方、ポリスチレン系樹脂の比率が30質量部より少ないと、発泡粒子を型内発泡成形して得られる発泡成形体の剛性が低下するため、好ましくない。
【0024】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子において、ポリスチレン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂中に、粒子長径が5μm以下、好ましくは3μm以下のポリスチレン系樹脂粒子が分散された状態で存在している。粒子長径の下限値は、好ましくは0.05μm以上である。
図1は、本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の断面TEM画像を示す図である。この図1から明らかなように、本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、微粒子状のポリスチレン系樹脂粒子がポリプロピレン系樹脂中に均一に分散した海島構造をなして存在していることがわかる。一方、図2に示す比較例のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、図1において見られるような微粒子状のポリスチレン系樹脂粒子とポリプロピレン系樹脂との海島構造が確認できない。
【0025】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、ポリプロピレン系樹脂中に、粒子長径が5μm以下のポリスチレン系樹脂粒子が分散された状態で存在している海島構造を有するものなので、該粒子に発泡剤を含浸させて得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡後、この発泡粒子を成形型に充填して型内発泡成形して得られる発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とポリプロピレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体となる。従って、本発明によれば、このように優れた物性を持った発泡成形体の製造に適したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。
【0026】
前述した本発明に係るスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、次の(A)〜(C)の各工程、又は(A)〜(D)の各工程を備えた、本発明に係るスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法により、効率よく、また歩留まりよく製造することができる。 (A)分散剤を含む水性懸濁液中に、融点が120℃〜145℃であるポリプロピレン系樹脂粒子100質量部と、スチレン系単量体30質量部以上600質量部未満(但し、(D)工程を行う場合には、スチレン系単量体20質量部以上100質量部未満)と、重合開始剤とを分散させる工程、(B)得られた分散液を前記スチレン系単量体が実質的に重合しない温度に加熱して前記スチレン系単量体を前記ポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させる工程、(C)前記ポリプロピレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系単量体の第1の重合を行う工程、(D)前記第1の重合工程に続いて、スチレン系単量体と、重合開始剤とを加え、かつ前記ポリプロピレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−25)〜(T+15)℃の温度とすることで、前記ポリプロピレン系樹脂粒子への前記スチレン系単量体の含浸と第2の重合とを行う工程(但し、ポリプロピレン系樹脂粒子100質量部に対し、第1の重合と第2の重合で使用するスチレン系単量体の合計は30質量部以上600質量部未満である)。 なお、この(A)〜(D)の各工程は、スチレン系単量体を原料としてビーズ状のポリスチレン系樹脂粒子を製造するポリスチレン系樹脂の懸濁重合法又はシード重合法などの周知の重合法を実施する際に用いられるオートクレーブ重合装置などを用いて実施できるが、使用する製造装置はこれに限定されない。
【0027】
前記(A)工程において、ポリプロピレン系樹脂粒子は、例えば、押出機で溶融し、ストランドカット、水中カット、ホットカット等により造粒ペレット化したり、また粉砕機にて直接樹脂粒子を粉砕しペレット化することにより得られる。またその形状は、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状等が挙げられる。このポリプロピレン系樹脂粒子の好ましい樹脂粒径は、0.5〜1.5mmの範囲であり、より好ましくは、0.6〜1.0mmの範囲がより好ましい。
【0028】
また、前記スチレン系単量体としては、前述した通り、スチレン単量体、またはスチレンを主成分とするスチレン単量体と、スチレンと共重合可能な単量体との混合物が用いられる。スチレン系単量体の配合量が600質量部より多いと、ポリプロピレン系樹脂粒子に含浸されずに、ポリスチレン系樹脂単独の粒子が発生するため好ましくない。加えて、予備発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡成形体の耐薬品性及び耐衝撃性が低下するため好ましくない。一方、スチレン系単量体の配合量が30質量部より少ないと、ポリプロピレン系樹脂粒子への含浸、重合に要する時間が短くなるが、得られるスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の発泡剤を保持する能力が低下して、高発泡化できなくなるので好ましくない。加えて、予備発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡成形体の剛性が低下するため好ましくない。
【0029】
前記(A)工程で用いられる分散剤としては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の有機系分散剤;ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の無機系分散剤等が挙げられる。この内、無機系分散剤が好ましい。無機系分散剤を用いる場合には、界面活性剤を併用することが好ましい。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ等が挙げられる。
【0030】
また、重合開始剤としては、スチレン系単量体の重合に汎用されている従来周知の重合開始剤を使用できる。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−アミルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、ジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。なお、重合開始剤は、単独で用いられても併用されてもよい。
【0031】
また架橋剤を添加する場合、その添加方法としては、例えば、架橋剤をポリプロピレン系樹脂に直接添加する方法、溶剤、可塑剤またはスチレン系単量体に架橋剤を溶解させた上で添加する方法、架橋剤を水に分散させた上で添加する方法等が挙げられる。この内、スチレン系単量体に架橋剤を溶解させた上で添加する方法が好ましい。
【0032】
スチレン系単量体は、ポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させるために、水性媒体に、連続的にあるいは断続的に添加できる。スチレン系単量体は、水性媒体中に徐々に添加していくのが好ましい。水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
【0033】
前記(B)工程において、(A)工程で得られた分散液を、スチレン系単量体が実質的に重合しない温度に加熱し、スチレン系単量体をポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させる際の温度は、45℃〜70℃の範囲、好ましくは50℃〜65℃の範囲とする。この含浸温度が前記範囲未満であると、スチレン系単量体の含浸が不十分となってポリスチレンの重合粉末が生成されるので、好ましくない。一方、含浸温度が前記範囲を超えると、スチレン単量体がポリプロピレン系樹脂粒子に十分含浸される前に重合してしまうので、好ましくない。
【0034】
前記(C)工程、及び(D)工程において、重合温度は重要な要因であり、ポリプロピレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(C)工程(第1の重合)では、(T−10)〜(T+20)の温度範囲とし、(D)工程(第2の重合)では、(T−25)〜(T+15)℃の温度範囲とする。前記温度範囲で重合を行うことにより、樹脂粒子内は、ポリプロピレン系樹脂の海に球状のポリスチレン系樹脂の島が存在する構造になる。このような構造になることで、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とポリプロピレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体の製造に適したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。前記重合温度より低くなると、得られる樹脂粒子内にポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂との明瞭な海島構造が形成されないので、良好な物性を示す樹脂粒子や発泡成形体が得られない。また前記重合温度より高くなると、重合温度が高くなり、スチレン単量体がポリプロピレン系樹脂粒子に十分含浸される前に重合が開始してしまうので、良好な物性を示す樹脂粒子や発泡成形体が得られない。また耐熱性に優れた高価格の重合設備が必要になる。
【0035】
前記(C)工程、又は(C)工程及び(D)工程の重合を行った後、反応槽を冷却し、形成されたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を水性媒体と分離することで、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、ポリスチレン系樹脂を30質量部以上600質量部未満含有し、かつ、ポリプロピレン系樹脂中に、粒子長径が5μm以下、好ましくは3μm以下のポリスチレン系樹脂粒子が分散された状態で存在しているスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子が得られる。
【0036】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法は、分散剤を含む水性懸濁液中に、融点が120℃〜145℃であるポリプロピレン系樹脂粒子とスチレン系単量体と重合開始剤とを分散させ、スチレン系単量体をポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させた後、ポリプロピレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)〜(T+20)℃の温度で1段階の重合を、又は(T)〜(T+20)℃の温度で1回目の重合を行い、(T−25)〜(T+15)℃の温度で2回目のスチレン系単量体の重合を行うことによって、ポリプロピレン系樹脂中に、粒子長径が5μm以下のポリスチレン系樹脂粒子が分散された状態で存在している海島構造を有するスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を製造することができる。得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、発泡剤を含浸させて得られた発泡性樹脂粒子を予備発泡後、この発泡粒子を成形型に充填して型内発泡成形した場合に、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とポリプロピレン系樹脂のそれぞれの長所が生かされ、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体が得られる。従って、本製造方法によれば、このように優れた物性を持った発泡成形体の製造に適したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。
【0037】
本発明は、前述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤、好ましくは易揮発性発泡剤を含浸させて得られる、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子とその製造方法を提供する。
【0038】
スチレン改質ポリプロピレン樹脂粒子に含浸させる易揮発性発泡剤としては、沸点が重合体の軟化温度以下である易揮発性を有するもの、例えばプロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、炭酸ガス、窒素が挙げられ、これらの発泡剤は、単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。易揮発性発泡剤の使用量は、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子100質量部に対して5〜25質量部の範囲とすることが好ましい。
【0039】
更に、発泡助剤を発泡剤と共に用いてもよい。このような発泡助剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、D−リモネン等の溶剤;ジイソブチルアジペート、ジアセチル化モノラウレート、やし油等の可塑剤(高沸点溶剤)が挙げられる。なお、発泡助剤の添加量としては、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子100質量部に対して0.1〜2.5質量部が好ましい。
【0040】
また、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子には、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤等の表面処理剤を添加してもよい。
結合防止剤は、改質樹脂粒子を予備発泡させる際の予備発泡粒子同士の合着を防止する役割を果たす。ここで、合着とは、予備発泡粒子の複数個が合一して一体化することをいう。具体例としては、タルク、炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
融着促進剤は、予備発泡粒子を二次発泡成形する際の予備発泡粒子同士の融着を促進させる役割を果たす。具体例としては、ステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。なお、前記表面処理剤の総添加量は、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子100質量部に対して0.01〜2.0質量部の範囲が好ましい。
【0041】
スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法は、発泡剤の種類に応じて適宜変更可能である。例えば、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子が分散している水性媒体中に発泡剤を圧入して、該樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を回転混合機に供給し、この回転混合機内に発泡剤を圧入して該樹脂粒子に発泡剤を含浸させる方法などが挙げられる。なお、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる温度は、通常、50〜140℃とすることが好ましい。
【0042】
本発明の発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子は、前述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させてなるものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体の製造に適した発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を提供することができる。
【0043】
本発明は、前述した発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させて得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子(以下、予備発泡粒子と記す。)とその製造方法を提供する。この予備発泡の加熱条件や予備発泡に用いる装置は、従来のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造の場合と同等とすることができる。例えば、予備発泡装置内で、水蒸気圧0.5〜4.0kg/cmG程度(約0.05〜0.4MPa)の雰囲気下で発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を加熱することによって得ることができる。加熱時間は一般に20〜90秒程度である。
【0044】
この予備発泡粒子は、0.01〜0.20g/cmの嵩密度を有する。好ましい嵩密度は、0.014〜0.15g/cmである。嵩密度が0.01g/cmより小さいと、発泡粒子の独立気泡率が低下して、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の強度が低下するため好ましくない。一方、嵩密度が0.20g/cmより大きいと、予備発泡粒子を発泡させて得られる発泡成形体の質量が増加するので好ましくない。
【0045】
予備発泡粒子の形態は、その後の型内発泡成形に影響を与えないものであれば、特に限定されない。例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状等が挙げられる。この内、成形型のキャビティ内への充填が容易である真球状、楕円球状が好ましい。
【0046】
この予備発泡粒子は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、タルク、珪酸カルシウム、エチレンビスステアリン酸アミド、メタクリル酸エステル系共重合体等の発泡核剤;合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素等の充填剤;ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等の難燃剤;ジイソブチルアジペート、流動パラフィン、グリセリンジアセトモノラウレート、やし油等の可塑剤;カーボンブラック、グラファイト等の着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0047】
本発明の予備発泡粒子は、前述した発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を予備発泡させてなるものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体の製造に適した予備発泡粒子を提供することができる。
【0048】
本発明は、前述した予備発泡粒子を型内発泡成形して得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体(以下、発泡成形体と記す。)とその製造方法を提供する。
前述した予備発泡粒子を発泡成形体とするには、前述した予備発泡粒子を通常24時間程度保持して熟成させ、その後、予備発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、加熱して型内発泡成形させ、予備発泡粒子同士を融着一体化させることによって所望形状を有する発泡成形体を得ることができる。この型内発泡成形は、例えば、蒸気圧0.5〜4.5kg/cmG程度(約0.05〜0.45MPa)の水蒸気を成形型内に導入することによって行うことができる。
【0049】
本発明の発泡成形体は、密度が0.01〜0.2g/cmの範囲内であり、0.02〜0.1g/cmの範囲がより好ましい。該発泡成形体の密度が0.01g/cmより小さいと、発泡成形体の収縮が発生し、良好な発泡成形体が得られない。また密度が0.2g/cmより大きいと、発泡倍率が低いために、良好な発泡成形体が得られない。
【0050】
また、本発明の発泡成形体は、JIS K 6767に準拠した90℃の条件下での寸法変化測定における発泡成形体の収縮率が1.0%以下であることが望ましい。この収縮率が1.0%を超えると、寸法の安定性に欠け好ましくない。
なお、収縮率は小さい程望ましいので、その下限値を特に設ける必要はない。例えば収縮率の下限値は0であることが望ましい。
【0051】
本発明の発泡成形体は、前述したスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形したものなので、剛性、発泡成形性、耐薬品性及び耐衝撃性に優れた発泡成形体を提供することができる。
【0052】
前述のように得られた発泡成形体は、車輛用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の車輛用緩衝材、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の各種用途に用いることができる。特に、車輛用緩衝材として好適に用いることができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例における融点、嵩密度、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギー、粒子長径の測定法を下記する。
【0054】
<融点>
融点は、JIS K7122:1987「プラスチックの転移熱測定方法」記載の方法により測定した。即ち、示差走査熱量計装置RDC220型(セイコー電子工業社製)を用い、測定容器に試料を7mg充填して、窒素ガス流量30ml/minのもと、室温から220℃の間で10℃/minの昇・降温スピードにより昇温、降温、昇温を繰り返し、2回目の昇温時のDSC曲線の融解ピーク温度を融点とした。また、融解ピークが2つ以上ある場合は、低い側のピーク温度を融点とした。
【0055】
<嵩密度>
予備発泡粒子の嵩密度は下記の要領で測定する。まず、予備発泡粒子を500cm、メスシリンダ内に500cmの目盛りまで充填する。なお、メスシリンダを水平方向から目視し、予備発泡粒子が一粒でも500cmの目盛りに達しているものがあれば、その時点で予備発泡粒子のメスシリンダ内への充填を終了する。
次に、メスシリンダ内に充填した予備発泡粒子の質量を少数点以下2位の有効数字で秤量し、その質量をW(g)とする。そして、下記式により予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
嵩密度(g/cm)=W/500
【0056】
<密度>
発泡成形体の密度は下記の要領で測定する。JIS K 7222:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した。50cm以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出する。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、(23℃±2℃)×(50%±5%)又は(27℃±2℃)×(65%±5%)の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
【0057】
<融着率>
縦400mm×横300mm×高さ50mmの直方体形状の発泡成形品の表面にカッターで横方向に長さ300mm、深さ5mmの切り込み線を入れ、この切り込み線に沿って発泡成形体を二分割した。そして、発泡成形品の分割面において、発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と、発泡粒子間の界面で破断している発泡粒子数(b)を測定し、下記式に基づいて融着率を算出した。
融着率(%)=100×(a)/〔(a)+(b)〕
【0058】
<加熱寸法変化率>
加熱寸法変化率はJIS K 6767:1999K「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載のB法にて測定した。
試験片は150×150×原厚み(mm)としてその中央部に縦及び横方向にそれぞれ互いに平行に3本の直線を50mm間隔になるよう記入し、90℃の熱風循環式乾燥機の中に22時間置いた後に取出し、標準状態の場所に1時間放置後、縦及び横線の寸法を下記式によって測定した。
S=(L−L)/L×100(式中、Sは加熱寸法変化率(%)、Lは加熱後の平均寸法(mm)、Lは初めの平均寸法(mm)をそれぞれ表す。
加熱寸法変化率Sは、以下の基準で評価した。
○ :0≦S<1;寸法変化率が低く、寸法の安定性が良好であった。
△ :1≦S<5;寸法の変化がみられるものの、実用上使用可能であった。
× :S≧5;寸法の変化が著しくみら、実用上使用不可能であった。
【0059】
<耐薬品性>
発泡成形体から縦100mm×横100mm×厚み20mmの平面長方形状の板状試験片を切り出し、23℃、湿度50%の条件下で24時間放置する。なお、試験片の上面全面が発泡成形体の表面から形成されるように試験片を発泡成形体から切り出す。
次に、薬品としてガソリン1gを均一に塗布し、23℃、湿度50%の条件で60分放置する。その後、試験片の上面から薬品を拭き取り、試験片の上面を目視観察して下記基準に基づいて判断する。
○:良好 変化なし
△:やや悪い 表面軟化
×:悪い 表面陥没(収縮)
【0060】
<穿孔衝撃エネルギー>
穿孔衝撃エネルギーは、ダイナタップ衝撃試験であるASTM D−3763に準拠して測定した。試験装置は、General Research社製のダイナタップ衝撃試験装置GRC 8250を用い、試験片は片面表皮を残した縦100mm×横100mm×高さ20mmを5つカットした。測定条件は、試験温度は−20℃、試験速度1.55m/sec、スパンは丸穴内径76mm、落下高さ59cm、試験荷重3.17kg、落錘距離13cmで、n=5測定し、その平均値を穿孔衝撃エネルギーの値とした。
【0061】
<粒子長径の測定方法>
得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子または発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を、エポキシ樹脂包埋後、ウルトラミクロトームLeica Ultracut UCT(ライカマイクロシステムズ社製)にて超薄切片を作成し、透過型電子顕微鏡H−7600(日立製作所社製)にてTEM写真撮影を行った。染色剤として四酸化ルテニウムを用いた。スチレン改質樹脂粒子の中心付近を通る断面を切り出し、この断面のポリスチレン系樹脂の分散状態をTEM写真(12800倍)にて観察し、分散されたスチレン系樹脂粒子の粒子長径を測定した。
【0062】
[実施例1]
ポリプロピレン系樹脂(サンアロマー社製 商品名「PC540R」、融点:132℃)100質量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。このときのポリプロピレン系樹脂粒子の平均質量は約0.6mgであった。
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、前記ポリプロピレン系樹脂粒子600gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド(dicumyl peroxide)0.5gを溶解させたスチレン単量体0.26kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。
次に、反応系の温度をポリプロピレン系樹脂の融点よりも8℃高い140℃に昇温して2時間保持し、スチレン単量体をポリプロピレン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液をポリプロピレン系樹脂の融点より7℃低い125℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド4gを溶解したスチレン単量体1.14kgを4時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、125℃で1時間保持した後に140℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.025g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に予備発泡粒子を充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.025g/cmであった。
そして、得られた発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0063】
[実施例2]
実施例1に記載のポリプロピレン系樹脂粒子1000gを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.8gを溶解させたスチレン単量体0.43kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。吸収後140℃に昇温し、この温度で2時間重合を行った。
その後、125℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド3gを溶解したスチレン単量体0.57kgを3時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させてから重合を行った。
この滴下終了後、125℃で1時間保持した後、140℃に昇温し、この温度で2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.050g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られたスチレン改質ポリプロピレン予備発泡樹脂粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に予備発泡粒子を充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.050g/cmであった。
そして、発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0064】
[実施例3]
実施例1に記載のポリプロピレン系樹脂粒子340gを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.3gを溶解させたスチレン単量体0.15kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。吸収後140℃に昇温し、この温度で2時間重合を行った。
その後、125℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド5gを溶解したスチレン単量体1.51kgを5時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させてから重合を行った。
この滴下終了後、125℃で1時間保持した後に140℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.020g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡樹脂粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形型のキャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.020g/cmであった。
そして、得られた発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0065】
[実施例4]
実施例1に記載のポリプロピレン1400gを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.4gを溶解させたスチレン単量体0.20kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。吸収後140に昇温し、この温度で2時間重合を行った。
その後、125の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド2gを溶解したスチレン単量体0.40kgを2.5時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させてから重合を行った。
この滴下終了後、125で1時間保持した後に140に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、常温まで冷却し、5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.080g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.080g/cmであった。
そして、得られた発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0066】
[実施例5]
実施例1記載のサンアロマー社製 商品名「PC540R」ポリプロピレン系樹脂に変え、プライムポリマー社製の「F−794NV」(融点:127)を用いた以外は、実施例1と同様にして、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
そして、実施例1と同様にして予備発泡及び型内発泡成形を行って、密度が0.025g/cmである発泡成形体を得た。この発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0067】
[実施例6]
実施例1記載のサンアロマー社製 商品名「PC540R」ポリプロピレン系樹脂に変え、プライムポリマー社製の「F−794NV」(融点:127℃)100質量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。このポリプロピレン系樹脂粒子の平均質量は約0.6mgであった。
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、前記ポリプロピレン系樹脂粒子600gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次いで、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.5gを溶解させたスチレン単量体0.26kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。
次に、反応系の温度をポリプロピレン系樹脂の融点よりも13℃高い140℃に昇温して2時間保持し、スチレン単量体をポリプロピレン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液をポリプロピレン系樹脂の融点より8℃高い135℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド6gを溶解したスチレン単量体1.14kgを4時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、125℃で1時間保持した後に140℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子中のスチレン樹脂の分散状態を見るために、樹脂粒子の断面をTEM(12800倍)にて観察した。そのTEM画像を図1に示す。
図1の画像より、粒子の長径が約0.05〜0.2μmであるスチレン系樹脂粒子が、ポリプロピレン系樹脂の海に島状に多数分散された状態で存在していることが分かる。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子のスチレン樹脂の分散状態と粒子長径の大きさは、図1の画像と同様であった。
次に、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.025g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.025g/cmであった。
そして、得られた発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0068】
[実施例7]
実施例1に記載のポリプロピレン系樹脂粒子600gを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後ポリプロピレン系樹脂の融点よりも3℃高い135℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中に、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド4gを溶解したスチレン単量体1.4kgを4時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させながら重合を行った。
この滴下終了後、135℃で1時間保持した後に140℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.025g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.025g/cmであった。
そして、得られたスチレン系改質ポリプロピレン発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0069】
[実施例8]
ポリプロピレン系樹脂(プライムポリマー社製、商品名「F−744NP」、(融点:140℃)100質量部を押出機に供給して溶融混練して水中カット方式により造粒して楕円球状(卵状)のポリプロピレン系樹脂粒子を得た。このときのポリプロピレン系樹脂粒子の平均重量は0.6mgであった。
次に、攪拌機付5Lオートクレーブに、前記ポリプロピレン系樹脂粒子800gを入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.7gを溶解させたスチレンモノマー0.34kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。
次に、反応系の温度をポリプロピレン系樹脂の融点よりも5℃低い135℃に昇温して2時間保持し、スチレンモノマーをポリプロピレン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液をポリプロピレン系樹脂の融点より20℃低い120℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド4gを溶解したスチレンモノマー0.86kgを4時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、120℃で1時間保持した後に140℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次いで、常温まで冷却し、5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次いで、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.033g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形用金型内に入れ、0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.033g/cmであった。
そして、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0070】
[比較例1]
実施例1に記載のポリプロピレン系樹脂粒子250gを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.2gを溶解させたスチレン単量体0.1kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。吸収後140℃に昇温し、この温度で2時間重合を行った。
その後、125℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド5gを溶解したスチレン単量体1.65kgを5時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させてから重合を行った。
この滴下終了後、125℃で1時間保持した後に140℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、常温まで冷却し、5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.020g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。この成形条件により外観、融着とも良好な発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.020g/cmであった。
そして、得られた発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0071】
[比較例2]
実施例1に記載のポリプロピレン系樹脂粒子1740gを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.1gを溶解させたスチレン単量体0.06kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレン単量体を吸収させた。吸収後140℃に昇温し、この温度で2時間重合を行った。
その後、125℃の温度に下げ、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド1gを溶解したスチレン単量体0.2kgを1.5時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させてから重合を行った。
この滴下終了後、125℃で1時間保持した後に140℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、常温まで冷却し、該樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
そして、得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を予備発泡させたが、ほとんど発泡せず、発泡可能な予備発泡粒子は得られなかった。
【0072】
[比較例3]
実施例8に記載のポリプロピレン系樹脂粒子800gを攪拌機付5Lオートクレーブに入れ、水性媒体として純水2kg、ピロリン酸マグネシウム10g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gを加え、攪拌して水性媒体中に懸濁させ、10分間保持し、その後60℃に昇温して水性懸濁液とした。
次に、この懸濁液中にジクミルパーオキサイド0.7gを溶解させたスチレン単量体0.34kgを30分で滴下した。滴下後30分保持し、ポリプロピレン系樹脂粒子にスチレンモノマーを吸収させた。
次に、反応系の温度をポリプロピレン系樹脂の融点よりも15℃低い125℃に昇温して2時間保持し、スチレンモノマーをポリプロピレン系樹脂粒子中で重合(第1の重合)させた。
次に、第1の重合の反応液をポリプロピレン系樹脂の融点より30℃低い110℃にして、この懸濁液中に、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.5gを加えた後、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド4gを溶解したスチレンモノマー0.86kgを4時間かけて滴下し、ポリプロピレン系樹脂粒子に吸収させながら重合(第2の重合)を行った。
この滴下終了後、110℃で1時間保持した後に140℃に昇温し2時間30分保持して重合を完結し、スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。次いで、常温まで冷却し、がお樹脂粒子を5Lオートクレーブから取り出した。
得られた樹脂粒子の断面をTEM(12800倍)にて観察した。そのTEM画像を図2に示す。
図2の画像より、図1に示す実施例6の樹脂粒子において見られた海島構造が見られないことが分かる。
取り出し後のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子2kgと水2Lを再び攪拌機付5Lオートクレーブに投入し、可塑剤としてジイソブチルアジペート10g、発泡剤としてブタン520ml(300g)を攪拌機付5Lオートクレーブに注入した。注入後、70℃に昇温し、4時間攪拌を続けた。
その後、常温まで冷却して5Lオートクレーブから取り出し、脱水乾燥した後に発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得た。
次に、発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を嵩密度0.10g/cmに予備発泡させ、予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を1日間室温に放置した後、400×300×50mmの大きさのキャビティを有する成形型の該キャビティ内に充填し、成形型に0.20MPaの水蒸気を50秒間導入して加熱し、その後、発泡成形体の最高面圧が0.001MPaに低下するまで冷却して、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体の密度は0.10g/cmであった。
そして、得られた発泡成形体を用いて、融着率、加熱寸法変化率、耐薬品性、穿孔衝撃エネルギーの測定を行った。
【0073】
実施例1〜8及び比較例1〜3の製造条件、得られた発泡成形体に対する前記各試験の測定結果及び評価結果を、表1及び表2にまとめて記す。
【0074】
【表1】

PP樹脂A:サンアロマー社製PC540R
PP樹脂B:プライムポリマー社製F−794NV
PP樹脂C:プライムポリマー社製F−744NP
【0075】
【表2】

PP樹脂A:サンアロマー社製PC540R
PP樹脂B:プライムポリマー社製F−794NV
PP樹脂C:プライムポリマー社製F−744NP
【0076】
表1及び表2の結果から、本発明に係る実施例1〜7で製造した発泡成形体は、スチレン単量体の比率を多くした比較例1で製造した発泡成形体と比べ、寸法変化率、耐薬品性及び穿孔衝撃エネルギーが優れていた。従って、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂発泡成形体とポリプロピレン系樹脂発泡成形体の双方の欠点を改善して、機械特性や耐薬品性などに優れた発泡成形体を提供できることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体は、車輛用バンパーの芯材、ドア内装緩衝材等の車輛用緩衝材、電子部品、各種工業資材、食品等の搬送容器等の各種用途に用いることができる。特に、車輛用緩衝材として好適に用いることができる。よって、本発明は産業上有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤を含む水性懸濁液中に、融点が120℃〜145℃であるポリプロピレン系樹脂粒子100質量部と、スチレン系単量体20質量部以上100質量部未満と、重合開始剤とを分散させる工程と、
得られた分散液を前記スチレン系単量体が実質的に重合しない温度に加熱して前記スチレン系単量体を前記ポリプロピレン系樹脂粒子に含浸させる工程と、
前記ポリプロピレン系樹脂粒子の融点をT℃としたとき、(T−10)〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系単量体の第1の重合を行う工程と、
前記第1の重合工程に続いて、スチレン系単量体と、重合開始剤とを加え、かつ(T−25)〜(T+15)℃の温度とすることで、前記ポリプロピレン系樹脂粒子への前記スチレン系単量体の含浸と第2の重合とを行う工程(但し、ポリプロピレン系樹脂粒子100質量部に対し、第1の重合と第2の重合で使用するスチレン系単量体の合計は30質量部以上600質量部未満である)とを有するスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
前記ポリプロピレン系樹脂粒子の融点が140℃〜145℃である請求項1に記載のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前記ポリプロピレン系樹脂粒子の融点が120℃〜140℃であるとき、前記第1の重合工程において、(T)〜(T+20)℃の温度で、前記スチレン系単量体の重合を行い、前記第2の重合工程において、(T−10)〜(T+15)℃の温度で、前記スチレン系単量体の重合を行う請求項1に記載のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法において、ポリプロピレン系樹脂粒子が、プロピレン−エチレン共重合体であるスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法に続いて、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を得る発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子の製造方法に続いて、得られた発泡性スチレン改質ポリプロピレン系樹脂粒子を加熱し予備発泡させて発泡粒子を得るスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載のスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法に続いて、得られたスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を成形型のキャビティ内に充填し、次いで型内発泡成形し、次いで成形体を成形型から離型するスチレン改質ポリプロピレン系樹脂発泡成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−58008(P2011−58008A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289759(P2010−289759)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【分割の表示】特願2008−502724(P2008−502724)の分割
【原出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】