説明

ステレオレンジファインダ

【課題】本発明の課題は、三角測量の原理を理解させ、その原理に基づく手法で物体までの距離あるいは2つの物体間の距離を計測するための教材であって、目盛を付した不透明材料を用いて物体までの距離を計測できるステレオファインダと、透明板を用いるが先のものとは異なる新しい目盛を付したステレオファインダを提供することにある。
【解決手段】本発明のステレオファインダは、第1の形態では2枚の不透明平面部材である第1の部材と第2の平面部材と、それらを連結する支持部材からなり、前記第1の部材の上端部には所定距離だけ離れた2点に位置を示すマーク1,3が施され、前記第2の平面部材の上端部には前記第1の部材における一方のマーク1から第2の平面部材面に対し垂直方向に延びる線が交叉する位置に点位置を示すマーク2と、前記マーク1とマーク3を結ぶ線と平行した方向に一次元の目盛を付し、また第2の平面部材に付された点位置マーク2を中心とした角度目盛を付すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三角測量の原理に基づき、物体までの距離や物体間の距離を測るための簡単な器具に関し、特に中学、高校生用に三角測量の原理を理解させる実習用の教材として手軽で安価な器具に関する。
【背景技術】
【0002】
距離計測は最も基本的な工学技術であり、有益な方法が数多く提案され、現在も新しい方法が研究開発されている。地形の測量・観測や産業用ロボットのセンシング等の多くの分野で必須の技術として利用されている。測距の方式として、電波やレーザを用いる能動的な方式、レンズ光学やカメラ画像を利用する受動的な方式がある。能動的な方式には、発信・受信装置等の特殊な電子装置が必要であるが、計測精度がよく小型化等の実用化が進んでいる。また、受動的な方式は、電波/レーザが利用できない環境でも利用できる場合が多く、相補的な位置付けであるが研究開発が盛んである。
最も基本的な距離計測は三角測量であり、歴史的にも古い技術でありながら、今日でも広く用いられている。空間中に仮想的な三角形を形成することで、物体までの距離を演算推定する手法である。この三角測量を用いた測距技術の応用は進んでいるが、ほとんどの測距機器は、電子的に構成されていたり、レンズ系の精密な機構等を伴うものとなっていてその構造が複雑且つ高級であり、専門家以外なかなか手に触れる機会はない。学校では三角関数を使って三角測量の原理を幾何学として生徒に教えるにとどまっており、実際のフィールドで測量を体験させ、分かりやすく理解させる実習はほとんどなされていない。それは三角測量の原理を分かりやすく理解させるために開発された器具がほとんどないためである。
【0003】
このような状況の中で、本発明者は、先に三角測量の原理を理解させ、その原理に基づく手法で物体までの距離と2つの物体間の距離を計測するための新しい簡便な器具を提供することを目的とし、「透過式ステレオレンジファインダ」(特許文献1)を発明し、特許出願している。この透過式ステレオファインダは、基本構成部材としては図16に示すように平行に配置された2枚の透明板とそれらを連結する支持部材であるが、この器具は使用の過程で位置姿勢を固定することが必要であるため、固定するための三脚など構造上の部分もあった方がよい。ここに示すものは2枚の長尺形状の透明板7,8と2本の支持棒9とで構成されている。透明板は共にアクリル樹脂またはガラス材で、第1の透明板7には所定距離Lだけ離れた2点に位置を示す例えば十字線のようなマーク1,3が施され、第2の透明板8には前記第1の透明板7の一方のマーク1から板面に対し垂直方向に延びる線が交叉する位置に点位置を示す例えば十字線のようなマーク2と、前記マーク1とマーク3を結ぶ線と平行した方向に一次元の目盛4を付すようにした。また第2の透明板に付された点位置マーク2を中心とした同心円状の目盛5を付すようにしたが、この同心円状の目盛5はマーク1とマーク2を結ぶ線の方向を基準としたマーク1からの角度に対応したものとなる。
【特許文献1】特願2005−253681号 「透過式ステレオファインダ」 平成17年9月1日出願
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の「透過式ステレオレンジファインダ」の測定原理は観測者の目の位置と被測定対象物との間にある目の位置から既知の距離にある平面上の目盛を被測定対象物に重ねて読取り、その読取った目盛値から被測定対象物までの距離を算出するものである。この「透過式ステレオレンジファインダ」は平行に固定された2枚の透明板であって、第1の透明板には所定距離離れた2点に位置を示すマークが施され、第2の透明板には前記第1の透明板の一方のマークから板面に対し垂直方向に延びる線が交叉する位置に点位置を示すマークと、前記所定距離離れた2点を結ぶ線と平行した方向に一次元の目盛が付されたものを基本構成とするものであった。しかし、三角測量の原理を理解させ、その原理に基づく手法で物体までの距離を計測する簡便なステレオファインダとしては上記の基本構成に限られず、いくつかの変形形態を取り得ることに想到した。
そこで、本発明の課題は、三角測量の原理を理解させ、その原理に基づく手法で物体までの距離あるいは2つの物体間の距離を計測するための教材であって、先に提示したものとは異なる形態のステレオレンジファインダ、すなわち、目盛を付した不透明材料を用いて物体までの距離を計測できるステレオファインダと、透明板を用いるが先のものとは異なる新しい目盛を付したステレオファインダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のステレオファインダは観測者の目の位置を決める第1の部材と、該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離離れた第2の平面部材とを備え、該第2の平面部材には被測定物体の位置を重ねて読取る目盛が施されたものであって、第1の形態では2枚の不透明平面部材である第1の部材と第2の平面部材と、それらを連結する支持部材からなり、前記第1の部材の上端部には所定距離だけ離れた2点に位置を示すマーク1,3が施され、前記第2の平面部材の上端部には前記第1の部材における一方のマーク1から第2の平面部材面に対し垂直方向に延びる線が交叉する位置に点位置を示すマーク2と、前記マーク1とマーク3を結ぶ線と平行した方向に一次元の目盛を付し、また第2の透明板に付された点位置マーク2を中心とした角度目盛を付すようにした。
【0006】
第2の形態では観測者の目の位置を決める第1の部材として鼻をはめ込む部材と、該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離離れた第2の不透明平面部材とを備え、該第2の不透明平面部材の上端部には左右の目の間隔に等しい位置にマークを付すと共に一方のマークから他方のマークに向けて目盛を付すようにした。
【0007】
第3の形態では2枚の透明平面部材である第1の部材と第2の平面部材と、それらを連結する支持部材からなり、前記第1の平面部材には所定距離Lだけ離れた2点に位置を示すマーク1,3が施され、前記第2の平面部材には前記マーク1,3からの垂線が交叉する位置を原点とし、左側の原点からは右側を正とする縦目盛を付すと共に、右側の原点からは左側を正とする縦目盛を付し、両原点を結ぶ線を基準線として上下に横目盛を付すようにした第1の目盛、若しくは前記マーク1,3からの垂線が交叉する点位置を中心として左右の視角を示す双曲線の目盛を付した第2の目盛を備えるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る第1の形態のステレオレンジファインダでは不透明素材で作ることができるので、紙、プラスチックシート、木片などの手軽で汎用な素材の利用が可能で、先の透過式ステレオレンジファインダと比べて安価で、収納にも場所をとらない保管や使い捨てが可能であって、教材としては格段に利便性がよい。この教材を行き渡らせることによって、生徒に三角測量の原理の理解や余弦定理や正弦定理といった三角関数の理解を深めさせることができる。
【0009】
第2の形態では観測者の目の位置を決める第1の部材には鼻をはめ込む部材を配置して、両目をそのまま使うものであるから、左右の視点間距離が小さくなることに伴いコンパクトな構造で実現できる。左右の視点間距離が小さいということは三角測量の原理上測定精度の点では不利となるが、測定に際して、顔の位置を動かす必要が無く、器具のぶれを起しにくい点で測定精度上有利である。また、当然ながら、コンパクトであるということは保管や使用に際しての利便性の点でメリットがある。
【0010】
第3の形態では第1の部材と第2の平面部材を2枚の透明平面部材で構成したものであるから、高さの異なる2物体間の距離を測定するに際しても、位置に影響されず、三脚などの器具の位置・姿勢保持機構を用いて水平設置など安定した状態で固定設置することができ、面倒な位置合わせの必要が無く、測定精度の高いものを提供できる。
第1の部材には所定距離Lだけ離れた2点に位置を示すマーク1,3が施され、前記第2の平面部材には前記マーク1,3からの垂線が交叉する位置を原点とし、左側の原点からは右側を正とする縦目盛を付すと共に、右側の原点からは左側を正とする縦目盛を付し、両原点を結ぶ線を基準線として上下に横目盛を付すようにした第1の目盛を備えたもの、若しくは、前記マーク1,3からの垂線が交叉する点位置を中心として左右の視角を示す双曲線の目盛を付した第2の目盛を備えるようにした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係るステレオレンジファインダの第1形態について説明する。これは先に提示した「透過式ステレオレンジファインダ」が簡単な構成とはいえ、2枚の長尺形状の透明板と2本の支持棒とを組み立てて構成されたものであり、授業を受ける数十名の生徒に必要なものを準備するにはそれなりの予算が必要となり、不使用時に保管しておくことにも教育現場としては負担がかかるといった問題がでてきた。そこで、紙やプラスチックシート、板きれ等のより手近な素材でステレオレンジファインダを作成し使用することに想到した。そこで、図1に示すように2枚の不透明板でステレオレンジファインダを作ると、これらの素材は透明ではないので、これを通して被測定物体を透視することはできない。すなわち、図2に示されるように先の「透過式ステレオレンジファインダ」と異なり、この場合は景色の下半分が見えなくなり、視界が制限される。そのため目盛の付し方に工夫が必要となる。第1の部材に付す点位置マーク1,3、第2の平面部材に付す点位置マーク2と一次元目盛4は観測者の視線位置に合わせる必要から、板の上端部に持ってこなくてはならない。そのため、第2の透明板に付す点位置マーク2を中心とした角度目盛5は一次元の目盛、若しくは同心半円状とする。
【0012】
この第1形態の「ステレオレンジファインダ」で視点(マーク1)から物体までの距離を計測する方法について図3を参照しつつ説明する。この器具を用いることで、空間に仮想的な三角形を構成して、三角測量を行なうものであって、この器具により、空間中の仮想三角形の二角挟辺がわかる。初めに「器具の位置決め」を行う。この操作は、距離を測りたい物体Aが、マーク1と2が重なるように器具や(観測者の)目の位置調整を行なう。すなわち、目をマーク1の近傍に持っていきマーク1とマーク2の延長線上に物体Aを捉えるように器具の姿勢を決めるのである。これにより、器具が張る三角形が乗る平面と、1辺(マーク1とマーク3を結んだ長さLの直線)が固定される。この「器具の位置決め」を行なった後、器具の位置・姿勢を変えてはならない (図3A参照) 。続いて、この「器具の位置決め」状態の下で「距離の読取り」を行なう。まず、目の位置をマーク3の近傍に移し、その目の位置から改めて物体Aを捉える。視角が決まったら、そのとき、マーク3と物体Aが重なる目盛4の値を読取る。目盛4は基本的には二辺の狭角に対応するが、三角形の1辺の長さがL、そして1角が直角と決まったこの器具においてこの角度はマーク1と物体Aとの距離と一義的に対応するものである。そこで本発明の望ましい態様では、予め、この目盛4は目標である物体Aをマーク1から望む視角とマーク3から望む視角との狭角とマーク1とマーク3の距離(L)から計算した、視点(マーク1)から物体Aまでの距離値が付されている。この構成を採用したことにより読みとった目盛4の値で直接距離を知ることができるようになっている。この原理は先の「透過式ステレオレンジファインダ」と同様である。
【0013】
次にこの第1形態の「ステレオレンジファインダ」を用いて、物体AとBの間の距離を計測する方法について図3と図4を参照しながら説明する。物体Aと物体Bそして視点を頂点とする空間中の仮想三角形の二辺挟角を用いるものである。すなわち、本発明に係る器具を用いて前述の方法によって求まる視点と物体Aまでの測定と、同じく視点から物体Bまでの距離を求めると共に、視点から物体Aを望む視角と同じ視点から物体Bを望む視角のなす角度である二辺挟角の値から、余弦定理を利用して割り出すものである。具体的に手順に沿って説明すると、第1のステップで前述の「視点から物体Aまでの距離計測」を行い、その距離を求める。ステップ2では、前記の二辺挟角を測定するが、この場合、点位置マーク1と2の延長線上に物体Aを捉えると共にマーク1から物体Bを見て視線が第2の透明板の上辺に重なるように器具の姿勢をセットする。この状態で、物体Bと重なる目盛5の角度(目盛の値)を読取る。前述したようにこの目盛5はマーク1とマーク2を結ぶ線を基準としてマーク1の点からの角度目盛が付されているので、この読みとった値はマーク1と物体Aとを結ぶ辺とマーク1と物体Bとを結ぶ辺とのなす狭角となる。(図3B参照) ステップ3では、マーク1の位置を変えないようにしながら、マーク1とマーク2の延長線上に物体Bを捉えるように器具の向きを調整する。ステップ4では先の「視点から物体Aまでの距離計測」の要領で、物体Bまでの距離を計測する。(図4A参照) マーク1から物体Aまでの辺の距離、マーク1から物体Bまでの辺の距離、そしてマーク1と物体Aとを結ぶ辺とマーク1と物体Bとを結ぶ辺とのなす狭角を得たところで本発明に係るステレオレンジファインダを用いた計測を終了する。ステップ5では余弦定理を用いて、物体ABの距離を(紙上で)計算する。図4Bにおいて、マーク1から物体Aまでの辺の距離はX、マーク1から物体Bまでの辺の距離はY、そしてマーク1と物体Aとを結ぶ辺とマーク1と物体Bとを結ぶ辺とのなす狭角はθで示される。物体Aと物体Bとの距離Zは余弦定理から、
Z=(X+Y−2XYcosθ)1/2
の計算式で求めることができる。
【0014】
次に本発明に係るステレオレンジファインダの第2形態について説明する。器具はできるだけ小さい方が取り扱い易く、構成部が少く済み堅牢さが保ち易い等のメリットがあり、器具の安価化、量産化が容易にできる。この器具は生徒の手軽な教材に適したものであり、上記のメリットは大きい。ステレオレンジファインダでは、三角測量の原理から点位置マーク1と点位置マーク3間の距離Lが小さいと測定精度が悪くなる。したがって、器具は大きいほど良く、小さな器具では測定精度がでないというデメリットを伴う。しかし、教材として使用するステレオレンジファインダは精度の良い測定を行うことよりも三角測量の原理や余弦定理など数学的解析法を理解させることの方が重要であり、このデメリットは大きな問題ではない。そのような事情の中でこの第2形態であるコンパクトな両眼式ステレオレンジファインダが案出された。
【0015】
コンパクト化のためのアイデアは、この器具の点位置マーク1と点位置マーク3(ステレオ視では2台のカメラ)を、人間の2つの目で代行させるようにしたことである。これは、基本的に図5に示すような小さなL字状の器具で構成される。観測者の目の位置を決める第1の部材として、観測者の目の位置を決める第1の部材として点位置マーク1及び3を設ける代わりに左右の目の中間位置にある鼻をはめ込む部材nを器具の手前側の辺中央部に設けるようにする。単純には手前の辺にV字状の切り込みを設けることでよい。該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離f離れた第2の平面部材としては左右の目を結ぶ線と平行な不透明平面を備えるものとし、該第2の不透明平面部材の上端部には左右の目の間隔Wに等しい位置にマーク2とマーク6を付すと共に一方のマーク6(無限遠位置)から他方のマーク2に向けて目盛4を付すようにしたステレオレンジファインダである。
【0016】
上記の第2形態の器具を用いた距離計測手法について図6を参照しながら説明する。ステップ1で左目による器具の位置決めを行う。この際、右目を閉じて左目だけを用いるようにする。まず、器具を手で持って図5のBに示すように鼻を部材nにはめ込んでピタリと顔に押しつける。計測したい物体Aがマーク2と重なるように顔を向ける。重なれば器具の位置決め終了で、この後顔を動かしてはいけない。ステップ2で右目による読み取りを実行する。この操作は、まず、そっと左目を閉じ右目を開ける。そして、計測したい物体が目盛4のどの部分x(点位置マーク6から距離xの位置)にあるかを読み取る。目盛4には距離値が付してあり、それが、左目から物体までの距離Hになっている。因みに目盛4に付られた物体までの距離H値の算出法は、以下の様になされる。すなわち、この器具による三角測量では、図6の様な関係が成立する。いま、Lは左目位置,Rは右目位置,Aは物体位置,HはLからAまでの距離を表すものとすると、三角形LRAと三角形6xRは相似の関係から、H:W=x:fとなる。従って、この関係から、左目位置から物体Aまでの距離Hは、H=fW/xで得られる。
【0017】
この第2の形態の器具が備えているメリットと、デメリットを整理しておく。
メリットとしては
1.コンパクトな構造の器具となり、不使用時の保管についても場所をとることがない。
2.器貝を固定する三脚等の台座が不要になる。これは体を動かして視点移動する必要がないこと、器貝が顔に密着し、かつ、左右の目のウィンクで済むので、器具のずれが起こりにくいことに起因する。
3.従来法では3回必要であった目のピント調整が2回で済む。
4.再計測が容易に行なえる。これは左右の目のウィンクの切替えと、ピント調整が2回だけで済むことによる。
5.構成部品が単純でその数も少くなるため、製作が容易である。これは観測者の目の位置を決める第1の部材としての板部材が不要になり、点位置マークの数も少なくなることによる。
デメリットとしては
1.測定精度が悪い。これは第1の部材から第2の平面部材までの距離fを長くとることである程度改善することができる。
2.左右の目の間隔Wは個人差があり、観測者の目の間隔を測定してその値に合わせて器具を製作する必要がある。このことは人と共用することが難しく個人専用向きであることを意味する。
【0018】
デメリット2を改善する対策を提示する。各個人の目の間隔に応じてマーク2とマーク6と目盛4の目盛間隔を変えるようにする。大きさにあわせて、シール状の目盛を多数作成しておき、個人にあわせて選択することが単純であるが、手間が掛かり非経済的である。ここでは、非常に単純な方法で個人差のある目の間隔に対応できる適応性の高い目盛4を提案する。図7に示すものが提案する目盛である。すなわち、中央部を垂直線の縦目盛とし、扇状の線で目盛る。目の間隔がわかれば、縦軸の該当の位置で折り返したり、カッター等で水平に切り取ることで目の間隔にあわせた目盛4を得ることができる。また、この目盛は目の間隔の中心を考慮して配置しているので傾斜は単純に中心対称となり、位置マーク2となる目盛は左目の真正面、位置マーク6となる目盛4の右端は右目の真正面になる。また、下にいくほど目の間隔が大きくなるようにしたことで数字を印字するスペースを確保するようにした。また、目の間隔値に対する縦軸の該当の位置を分かり易くするスケールを左右に配置した。図7の下段に示したものは目の間隔を測定するためのスケールである。
【0019】
次に本発明に係るステレオレンジファインダの第3形態について説明する。この第3形態の器具は、図16に示した先の「透過式ステレオレンジファインダ」と同様に平行に固定された2枚の透明板からなるものであるが、前回提案したものと異なる目盛の振り方を提案したものである。第2の平面部材に付す新しい目盛では、「物体までの距離」や「物体間の距離」を知るために読み取った値を用いて計算を行なう必要がある。この計算は三角関数や自乗根の計算が必要なので暗算は困難である。しかし、先のものに比べて器具を目標にあわせるための位置合わせが軽減できると共に、器具を据え置くことができるので、大型化して精度を高めることが可能となる。ビルの展望台等に配置して利用することもできる。
この第3形態が提示する新しい目盛では、三角測量の際に、(空間中の仮想的な)直角三角形を前提とせず、任意の三角形を前提として使用できる。右の視点と左の視点により、物体までの距離が変わる。そのため、距離の値を目盛として器具の上には書くことはできず、その都度、複雑な計算が必要となる。目盛の読み取りによって、任意の三角形を空間中に形成するので、器具の姿勢をあわせる作業が不要となる。また、しっかりと固定したままで使用できるので、ぶれの心配がなくなる。これが大きなメリットである。
【0020】
二種類の新しい目盛を提案する。第1の目盛は空間の座標を読み取るためのグラフ状のもので、図8のAに示すようになる。先の器具と同様に、「物体までの距離」と「物体間の距離」の両方が計測できる。赤,青,緑の3色の目盛からなる。赤の目盛は、左方向を正の向きとした長さを示す縦目盛である。青の目盛は、逆に右方向を正の向きとした長さを示す縦目盛である。原点はともに左右の視点の垂点を原点とする。緑の目盛は、視点を結ぶ線に平行な長さを示す横目盛であって、正負はなく上下対称となっている。
第2の目盛は、三角形の角度を読み取るためのもので、図8のBに示すようになる。赤,青2つの目盛からなり、「物体までの距離」だけが計測できる。赤の目盛は、視角の大きさを示し左ほど小さくなっている。逆に、青の目盛は、視角の大きさを示し右ほど小さくなっている。原点はともに左右の視点の垂点を原点とし、この目盛は双曲線の性質を持つものとなる。
【0021】
上記の新しい第1の目盛による「物体までの距離」と「物体間の距離」の計測手順について図9を参照しながら説明する。ステップ1で器具を固定する。これ以降、一連の計測が終了するまで器具の位置は変えない。ステップ2で手前の透明板における左の点位置マークLと測定物体Aが重なるように目の位置(顔の位置)を変える。そして、第2の平面部材である奥の透明板における赤色の縦目盛の値L'と緑色の横目盛の値Mを読み取る。ステップ3で第1の部材である手前の透明板における右の点位置マークRと測定物体Aが重なるように目の位置(顔の位置)を変える。そして、第2の平面部材である奥の透明板における青色の縦目盛の値R'を読み取る。作業は、以上で終了するが、読取ったL'とR’,Mの値から、2つの角とその間の辺が分かっているという条件(二角挟辺)の下で多少複雑な計算を行ない、物体までの距離を算出することができる。
【0022】
次に「物体間の距離」の計測手順であるが、ステップ1で器具を固定する。この場合もこれ以降、一連の計測が終了するまで器貝の位置は変えないようにする。ステップ2で手前の透明板の左の点位置マークLと測定物体Aが重なるように目の位置(顔の位置)を変える。そして、第2の平面部材である奥の透明板における赤色の目盛の値L'と緑色の横目盛の値Mを読み取る。ステップ3で第1の部材である手前の透明板における右の点位置マークRと測定物体Aが重なるように目の位置(顔の位置)を変える。そして、第2の平面部材である奥の透明板における青色の縦目盛の値Rを読み取る。以上は先の「物体までの距離」の手順と同じである。ステップ4で手前の透明板の左の点位置マークLと測定物体Bが重なるように目の位置(顔の位置)を変える。そして、第2の平面部材である奥の透明板における赤色の目盛の値L'と緑色の横目盛の値Mを読み取る。ステップ5で第1の部材である手前の透明板における右の点位置マークRと測定物体Bが重なるように目の位置(顔の位置)を変える。そして、第2の平面部材である奥の透明板における青色の縦目盛の値R'を読み取る。作業は、以上で終了するが、要するに先の「物体までの距離」の手順を測定物体AとBについて繰り返すのである。読み取ったL'とR’とM,L'とR’とMの値から、まず、LからAまでの距離とLからBまでの距離を計算し、その後、余弦定理を用いて,AB間の距離を計算する。
【0023】
新しい第1の目盛による「物体までの距離」の計算手法について説明しておく。「物体までの距離」を計算するためには、二角挟辺の条件から挟辺と二角の大きさを求める必要があるが、この器具において辺LRの大きさは既知であるから、二角の大きさを求めれば足りる。この二角を新しい目盛から計算する。角度の大きさは、以下の方法で計算できる。すなわち、左の角に注目すると、点Lと点L’の関係はLR線上に点LからL’の距離にある補助点L”を決めると図10のような位置関係になる。いま、L’値をx,M値をyと一般化するとこの器具の新しい目盛を読み取ることで、x,yが分かる。また、第1の部材と第2の平面部材である2枚の板の間隔は、設計値からfと分かっている。したがって、まずL’L”間の距離lの長さを求めることができる。
l=(y+f1/2
これから角度θを求めることができる。
tanθ=l/x=(y+f1/2/x
θ=arctan((y+f1/2/x)
なお、ここで目盛が負の場合(x≦0)の場合は、180°−θとする。
右の角も同様にして計算できる。
【0024】
次に物体までの距離の計算であるが、二角挟辺の条件に基づき物体までの距離(与えられていない辺の大きさ)を計算する。前段落の手法で二角の大きさを求める。また、挟辺LRの長さは設計値から分かっている。左の視点をL,右の視点をR,物体位置をAとした場合、それぞれを頂点とした三角形は図11−(1)の様な状況になる。ここで、頂点Lと頂点Rの内角b,cと辺Xの大きさが分かっていることから、LA間の距離Zの大きさを求める。
三角形の内角の和は、180度になることから頂点Aの内角aの大きさが計算できる。
a=180°−b−c
ここで、三角形の正弦定理を用いて辺Z及びARの辺Yの大きさを求めることができる。
X/sina=Y/sinb=Z/sinc=2R
Z=X・sinc/sina=X・sinc/sin(180°−b−c)
=X・sinc/sin(b+c)
なお、これらの計算には関数電卓などが必要となるため、予め計算しておいた表を用いることで、概値を簡単に求めることが可能である。ここに、X値が30cmで、f値が30cmの場合の早見表を表1,表2に示す。角度bとcを表1で求めた後、表2から距離を求める。
【表1】

【表2】

【0025】
次に第1の目盛による「物体間の距離」の計算について図11−(2)を参照しつつ説明する。「物体間の距離」は2辺とその間の角(二辺挟角)から、余弦定理を用いて求めることができる。段落[0022]で述べた方法で、L',R’,M,L',R’ ,Mを読み取る。測定物体Aまでの距離Zと、測定物体Bまでの距離Zは、段落[0024]の計算方法で求める。
LからAを向く視線とLからBを向く視線のなす角ψの余弦は、空間ベクトルの内積で求めることができる。
【数1】

余弦定理より、測定物体Aと測定物体B間の距離ZABは求められる。
AB=(Z+Z−2Zcosψ)1/2
なお、計算を省くための表も作れるが、変数が多いので複雑になる。
【0026】
第2の目盛による「物体までの距離」の計測手順を説明する。「物体までの距離」と「物体間の距離」を計測するための目盛は性質が異なるので、二つの目盛は共用することができない。重ねて書くことはできるが、見にくくなって実用的でない。ここに示した第2の目盛は「物体までの距離」だけを計測するためのものである。
この第2の目盛による「物体までの距離」の計測手順を説明する。ステップ1で器具を固定する。この場合もこれ以降、一連の計測が終了するまで器貝の位置は変えないようにする。ステップ2で手前の透明板の左の点位置マークLと測定物体Aが重なるように目の位置(顔の位置)を変える。そして、第2の平面部材である奥の透明板の赤色の目盛の値L'の値を読み取る。ステップ3で手前の透明板の右の点位置マークRと測定物体Aが重なるように目の位置(顔の位置)を変える。そして、第2の平面部材である奥の透明板の青色の目盛の値R'の値を読み取る。作業は以上で終了し、読取ったL'R'の値から、2つの角とその間の辺が分かっていると条件(二角挟辺)の下で多少複雑な計算を行ない、測定物体までの距離を算出する。
【0027】
物体までの距離の計算は次のようになる。第2の目盛では、目盛の値そのものが角の大きさで示される。また、挟辺であるLR間の長さは設計値から分かっている。左の視点をL、右の視点をR、測定物体の位置をAとした場合、図11−(1)の様な状況になる。ここで、角b,cと辺Xの大きさが分かっていることから、辺Zの大きさを求めることができる。
三角形の内角の和は、180度になることから、角aの大きさがわかる。
a=180°−b−c
ここで、三角形の正弦定理を用いて辺Z及びARの辺Yの大きさを求めることができる。
X/sina=Y/sinb=Z/sinc=2R
Z=X・sinc/sina=X・sinc/sin(180°−b−c)
=X・sinc/sin(b+c)
表2をそのまま用いることができ、辺Zの長さを求める。
【0028】
この第2目盛の描き方を説明する。ここで、段落[0023]の関係式が直接利用できる。
角θの目盛を描きたいときは、以下の式の様になる。
tanθ=(y+f)1/2/x
この式を整理すると、以下の双曲線の関係が求まる。
【数2】

f=30cmとした場合の左側の目盛例を図12に示す。右側の目盛はこれと左右対称となる。
【実施例】
【0029】
本発明に係るステレオレンジファインダの第1形態の実施例を説明する。A3サイズの厚紙に、図13に示したように折り線A,B,A’,B’,C,Dと赤い点位置マーク1,2、青い点位置マーク3そして∞位置マーク6並びに目盛4を青色で、点位置マーク12を中心とした角度目盛5を印刷する。マーク1とマーク3の間隔は30cm、マーク1とマーク2の間隔は26cmである。なお、角度目盛5は不透明材料であるため、端部で目盛を読むだけであるから半円形状ではなく直線目盛としてある。この器具の組立て方は
ステップ1で左端を補強するために、AとBを内側に折り込む。
ステップ2で右端を補強するために、A'とB'を内側に折り込む。
ステップ3でCを折り曲げ、目盛4がふられた第2の平面部材に当たる部分を直角に曲げる。
ステップ4でDを折り曲げ、手前の第1の部材に当たる部分を直角に曲げる。
以上で組み立てを終了するので、これを用いて物体までの距離の測り方を説明する。
ステップ1で距離を測りたい物体を決める。
ステップ2で測定物体と赤色の点位置マーク1と赤色の点位置マーク2が重なるように、器具の位置を変える。
ステップ3で位置が決まったら一連の測定が終わるまで器具を動かさないように固定する。
ステップ4で、青い色の点位置マーク3と測定物体が重なるように視点を移動する。
ステップ5でそのときの青い目盛4の読取り値が点位置マーク1から測定物体までの距離になる。
次に物体間の角度の測り方であるが、
ステップ1で角度を測りたい測定物体XとYを決める。
ステップ2で物体Xと赤い点マーク1と赤い点マーク2が重なるように、器具の位置を変更する。
ステップ3位置が決まったら一連の測定が終わるまで器具を動かさないように固定する。
ステップ4で赤い点マーク1と物体Yが重なるように視点を変える。
ステップ5そのときの緑の目盛5の値が物体XとYの角度になる。
物体間の距離の求め方は、
ステップ1で距離を測りたい物体XとYを決める。
ステップ2で物体Xまでの距離を上記の手順で測る。
ステップ3で赤い点マーク1の位置を動かさないように注意して、物体Yまでの距離を測る。
ステップ4で赤い点位置マーク1の位置を動かさないように注意して、物体XとYの間の角度を上記の手順で測る。
ステップ5で、点位置マーク1から測定物体Xまでの距離と点位置マーク1から測定物体Yまでの距離の値を余弦定理にあてはめ、物体XとY間の距離を計算する。
【0030】
本発明に係るステレオレンジファインダの第2形態の実施例
A4サイズの厚紙を素材とし、奥行きfの値を25cmとした。図14に示すように、長手方向の1辺近傍に目の位置を決める端部の線(A)とその中央部に鼻をはめ込む部材としての底辺25mm×高さ13mmの三角切り込み部(B)を形成し、この辺から25cmのところに折り曲げ線(D)を配置し、その線から先には図7に示したような中央部を垂直線の縦目盛とし、扇状の線の目盛と、目の間隔値に対する縦軸の該当の位置を分かり易くするスケールを左右に、さらに先端部には目の間隔を測るための10cmスケールを配置した。そして、この10cmスケール端辺を示す線(A)が素材紙の長手方向の他辺近傍に、強度を持たせるための折り曲げ線(C)が両側辺の2cmづつの位置に配置されている。点位置マーク2となる目盛線は赤で、点位置マーク6(無限遠位置)を基準点とする目盛4は青で、そして目の間隔測定用スケールは緑で印刷し、他は黒色印刷とした。
この両眼式ステレオレンジファインダの使い方は、
ステップ1で紙の長手方向の余白縁を折り返すか又は切り取る。(A)
ステップ2で鼻をあわせるための三角切り込み部(B)を切り取る。
ステップ3で紙の左右の縁を2,3回折り返し、台紙の強度を高める。(C)
ステップ4で目盛が付された第2平面部材部分を直角に折り返す。(D)
以上で器具の製作第1段階は終了する。
次に、緑色の10cmスケールを使って目の間隔を測る。その手順は、
ステップ1で100m以上遠くにある遠方物体を特定する。
ステップ2で右目を閉じ左目を開き、遠方物体と10cmスケールの0目盛が重なるように顔の向きを変える。
ステップ3では逆に左目を閉じて右目を開き、遠方物体が目盛のどの位置にあるか読み取る。(注意事項:このとき、顔の向きを変えないようする。)
ステップ4では先のステップ2と3の作業を何回か繰り返して、より正確な目盛の値を決める。この値は、観察者の目の間隔とほぼ一致することになる。
続いて黒色の目盛を使って観測者にあった目盛を加工する。
ステップ1で先程求まった目の間隔の長さと一致する黒色の目盛の位置を探す。(E)
ステップ2でその位置で水平に目盛部分を折り返す。又は切り取ってもよい。
これで、器具は完成する。
【0031】
この器具を使って、「物体までの距離」の計測を赤色と青色の目盛を使って行う。
ステップ1:距離を測りたい物体(30cm〜10m程度が適当)を決める。
ステップ2:右目を閉じて左目を開き、目標物体と赤色目盛が重なるように顔の向きを変える。
ステップ3:今度は逆に左目を閉じて右目を開き、目標物体が青色の目盛のどの位置にあるか読み取る。
ステップ4:先のステップ2と3の作業を何回か繰り返して、より正確な目盛の値を決める。この目盛の値が、左目から目標物体までの距離になる。
【0032】
本発明に係るステレオレンジファインダの第2形態の変形実施例を図15を参照しながら説明する。器具として機能するためには図のAに示すL型構造だけでよいのであるが、目をつつきやすく構造的にも弱いことに対処して案出されたもので、図のBに示すように両眼式ステレオレンジファインダを箱形状に構成したものである。箱形状にすることで変形しずらくなって丈夫になると共に、端部が目に刺さりにくくすることができる。また、顔の広い部分と接触するので顔に対し器具がしっかり位置決めでき、位置ズレもしにくくなって安定性が増すことになる。第2の平面部材8の高さより高い側壁部と、両側壁を繋ぐ天面部を設け、箱形状としたステレオレンジファインダであって、この実施例では天面部の端辺は凹形状Z1が形成され、鼻の切れ込みnを補助するための額の切れ込みとなっている。これらの部分で額と鼻が当接し、器具の位置決めを行う。また、天面部は第2の平面部材8の上までは覆われず、目盛4が読み取り易いようにするため大きく窓部Z2が開口されている。更に、側壁部の端部Z3は眼鏡が箱に干渉しないようにするために削除した構造となっている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1形態である不透明素材によるステレオレンジファインダを示す図である。
【図2】透明素材と不透明素材を用いた場合の視界の違いを説明する図である。
【図3】ステレオレンジファインダによる測定物体までの距離と、二つの物体を望む角度の計測法を説明する図である。
【図4】ステレオレンジファインダによる二つの物体間の距離計測法を説明する図である。
【図5】本発明の第2形態である不透明素材による両眼式ステレオレンジファインダを示す図である。
【図6】不透明素材による両眼式ステレオレンジファインダによる測定物体までの距離計測法を説明する図である。
【図7】第2形態の機器において目の間隔の個人差を調整する機構を説明する図である。
【図8】本発明の第3形態である透過式ステレオレンジファインダに用いる第1目盛と第2目盛を示す図である。
【図9】第3形態の機器によって測定物体を望んだときの第1目盛の読みを示す図である。
【図10】第3形態の機器における視点位置マークと目盛り読取り位置との関係を解析する図である。
【図11】二角挟辺から測定物体までの距離、二辺挟角から二物体間の距離を算出する原理を説明する図である。
【図12】第3形態である透過式ステレオレンジファインダに用いる第2目盛の例を示す図である。
【図13】紙を素材とした第1形態のステレオレンジファインダ実施例を示す図である。
【図14】紙素材による両眼式ステレオレンジファインダの実施例を示す図である。
【図15】紙素材による箱形両眼式ステレオレンジファインダの実施例を示す図である。
【図16】先に提示した透過式ステレオレンジファインダの基本構成を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1,3 左右の視点位置マーク 4 第2の平面部材上の目盛
2,6 視点位置マークの垂線と交差する第2の平面部材上の点位置マーク
5 視点位置マーク3を中心とした第2の平面部材上の角度目盛
7 第1の部材 8 第2の平面部材
9 支持部材(支持棒) n 鼻当て部
L,R 左右の視点 A,B 測定物体の位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観測者の目の位置を決める第1の部材と、該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離離れた第2の平面部材とを備え、該第2の平面部材には被測定物体の位置を重ねて読取る目盛が施されたものであって、2枚の不透明平面部材である第1の部材と第2の平面部材と、それらを連結する支持部材からなり、前記第1の部材の上端部には所定距離だけ離れた2点の位置を示すマーク1,3が施され、前記第2の平面部材の上端部には前記第1の部材の一方のマーク1から第2の平面部材面に対し垂直方向に延びる線が交叉する位置に点位置を示すマーク2と、前記マーク1とマーク3を結ぶ線と平行した方向に一次元の目盛を付し、また第2の透明板に付された点位置マーク2を中心とした角度目盛を付すようにしたステレオレンジファインダ。
【請求項2】
2枚の不透明平面部材である第1の部材と第2の平面部材と、それらを連結する支持部材が1枚の紙をコの字状に折り曲げて作られたものである請求項1に記載のステレオレンジファインダ。
【請求項3】
観測者の目の位置を決める第1の部材と、該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離離れた第2の平面部材とを備え、該第2の平面部材には被測定物体の位置を重ねて読取る目盛が施されたものであって、観測者の目の位置を決める第1の部材として鼻をはめ込む部材と、該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離離れた第2の不透明平面部材とを備え、該第2の不透明平面部材の上端部には左右の目の間隔に等しい位置にマークを付すと共に一方のマークから他方のマークに向けて目盛を付すようにしたステレオレンジファインダ。
【請求項4】
観測者の目の位置を決める第1の部材として鼻をはめ込む部材と、該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離離れた第2の不透明平面部材が1枚の紙をL字状に折り曲げ、第1の部材として鼻をはめ込む部材がV字状の切り込みで形成されたものである請求項3に記載のステレオレンジファインダ。
【請求項5】
第2の不透明平面部材の左右の目の間隔に等しい位置のマークと一方のマークから他方のマークに向けて付す目盛は、観測者の目の間隔に応じて中央部を垂直方向とした扇状の目盛とし、第2の不透明平面部材の左右端部付近には対応位置を示す目の間隔目盛を付した請求項3または4に記載のステレオレンジファインダ。
【請求項6】
第2の不透明平面部材の上端部には目の間隔測定用の目盛を付した請求項5に記載のステレオレンジファインダ。
【請求項7】
第2の平面部材の高さより高い側壁部と、両側壁を繋ぐ天面部を設け、箱形状とした請求項2,4,5,6のいずれかに記載のステレオレンジファインダ。
【請求項8】
観測者の目の位置を決める第1の部材と、該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離離れた第2の平面部材とを備え、該第2の平面部材には被測定物体の位置を重ねて読取る目盛が施されたものであって、2枚の透明平面部材である第1の部材と第2の平面部材と、それらを連結する支持部材からなり、前記第1の平面部材には所定距離Lだけ離れた2点に位置を示すマーク1,3が施され、前記第2の平面部材には前記マーク1,3からの垂線が交叉する位置を原点とし、左側の原点からは右側を正とする縦目盛を付すと共に、右側の原点からは左側を正とする縦目盛を付し、両原点を結ぶ線を基準線として上下に横目盛を付すようにしたステレオレンジファインダ。
【請求項9】
左側の原点からは右側を正とする縦目盛は同色で付し、右側の原点からは左側を正とする縦目盛は別の同色で付し、横目盛は更に異なる色を付したものである請求項8に記載のステレオレンジファインダ。
【請求項10】
観測者の目の位置を決める第1の部材と、該第1の部材から被測定物体の方向に所定距離離れた第2の平面部材とを備え、該第2の平面部材には被測定物体の位置を重ねて読取る目盛が施されたものであって、2枚の透明平面部材である第1の部材と第2の平面部材と、それらを連結する支持部材からなり、前記第1の平面部材には所定距離Lだけ離れた2点に位置を示すマーク1,3が施され、前記第2の平面部材には前記マーク1,3からの垂線が交叉する点位置を中心として左右の視角を示す双曲線の目盛を付すようにしたステレオレンジファインダ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図2】
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