ステントグラフト送達システム及びその使用方法
ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有するノーズコーン組立体と、ノーズコーン・シャフトがその中をスライドすることができるスピンドル組立体管腔を画定し、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有する、スピンドル組立体と、スピンドル・シャフトがその中を通ってスライドすることができるステント捕捉組立体管腔を画定し、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有する、ステント捕捉組立体と、を含む、ステント・グラフトのための送達システムを含むステント・グラフト送達システム及びその使用方法である。スピンドル取付具は、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に保持するために、ステント捕捉取付具とスライド可能に合わさることができる。端部ステント捕捉構成を有するステント・グラフト送達システムは、裸ステント・クラウン・スピンドル取付具とシステム・ノーズコーンとの間のねじ接続によって容易にされる一次及び二次展開手順の両方を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術分野は、医療用移植デバイス、特にステント・グラフト送達システム及びその使用方法である。
【背景技術】
【0002】
自然発生的管腔又は人造管腔のような身体管腔内の一時的又は恒久的移植のために適合された医療デバイスである管腔内プロテーゼを用いる広範な医療療法が開発されている。管腔内プロテーゼを植込むことができる管腔の例は、冠状の、腸間膜の、末梢性の、又は脳の脈間構造、動脈、胃腸管、胆道、尿道、気管、肝臓シャント、及びファローピウス管内に位置するような管腔を含む。標的にされた血管壁の力学を修正するために特定の構造をもつ種々のタイプの管腔内プロテーゼも開発されている。
【0003】
血管の一部を置き換える、補足する、又は排除するために多数の脈間デバイスが開発されている。これらの脈間デバイスは、腔内人口血管とステント・グラフトとを含む。脈間動脈瘤を排除するために用いられるような動脈瘤排除デバイスは、血液の流れのための人工管腔を提供する。脈間動脈瘤(血管の異常な拡大)は、通常は、動脈壁を弱くし該動脈壁を拡張させることがある病気又は遺伝子的疾病素質の結果である。動脈瘤は、あらゆる血管において生じる可能性があるが、ほとんどは大動脈及び末梢動脈において生じ、動脈瘤の大多数は腹大動脈又は大動脈弓において生じる。AAA(abdominal aortic aneurysm(腹大動脈の動脈瘤))は、典型的には腎動脈の下で始まり、腸骨動脈の一方又は両方の中に延びる。TAA(thoracic aortic aneurysm(胸大動脈の動脈瘤))は、典型的には上行又は下行大動脈において生じる。
【0004】
動脈瘤、特に腹大動脈の動脈瘤は、歴史的に、疾患のある管セグメントがバイパスされ人工血管グラフトで修復される、観血療法手順で治療された。観血療法は、致命的な腹大動脈の動脈瘤破裂に関連する高いリスクに照らして有効な外科的技術であった及び今なお有効であるが、観血外科的技術は多くの欠点に悩まされている。これは複雑であり、長い入院期間を必要とし、長い回復時間を必要とし、高い死亡率を有する。これらの欠点を回避するために、あまり侵襲的でないデバイス及び技術が開発されている。動脈瘤部位への血液の流れを遮断しながら血液の流れのための管状グラフトを提供する管状管腔内プロテーゼが、カテーテルを用いてあまり侵襲的でないか又は最小限に侵襲的な技術で血管の中に導入される。管状管腔内プロテーゼは、小直径の圧縮された構成で導入され、動脈瘤で拡張される。ステント・グラフトとしばしば呼ばれる、これらの管状管腔内プロテーゼは、支持構造体として1つ又はそれ以上のステントによって管状グラフト材料を血管壁とシール係合する状態で確実に開状態に保つために用いられる。
【0005】
大動脈の動脈瘤に用いられるステント・グラフトは、典型的に、織られた又は両面編みされた(interlocked)グラフト材料を支持する支持構造体を含む。織られたグラフト材料の例は、織られたポリマー材料、例えば、Dacron(商標)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。両面編みされたグラフト材料は、編物、ストレッチ、及びベロア材料を含む。グラフト材料は、グラフト材料を支持する及び/又はグラフト材料を管壁に対して定位置に保持する支持構造体の内径又は外径に固定される。ステント・グラフトは、動脈瘤よりも上の及び下の血管壁に固定される。グラフト材料なしの開いたクラウンを動脈瘤の上に配置して、血管壁と係合し血管壁にステント・グラフトをシールするための半径方向の力を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステント・グラフトの展開における1つの問題は、ステント・グラフトを管に、特に大動脈弓のような脈間構造の湾曲した部分に正確に配置することである。ステント・グラフトは、ステント・グラフトの近位端を拘束することなくこうした湾曲部において拡張させられるとき、望まない位置に予測不能に傾斜することがある。こうした傾斜は、シールの効果を低減させ、不正確な配置をもたらすことがある。これらの欠点を最小にするための現在の実施は、部分的に展開されたステント・グラフトを引っぱって良好な軸方向の位置合わせにすることである。この移動は、管に損傷を与えることがあり、幾らかの位置合わせ不良が残ることがある。
【0007】
Arbefuielle他の米国特許出願公開第2006/0276872号公報に記載されるような位置合わせ問題のための1つの手法は、ステント・グラフトが拡張する間、ステント・グラフトの端部裸(end bare)ステント[30]を拘束し、次いで、端部裸ステント[30]を解放することである。遠位頂端部頭部(distal apex head)[636]及びガイドワイヤ管腔(シャフト又は部材を収容している)[620]に取り付けられたノーズコーン[632]が、後退可能な頂端部本体[638]によってトラップされた端部裸ステント[30]の端部と係合する。ステント・グラフトが拡張されると直ぐに裸ステント[30]を解放するために、頂端部本体[638]は、該頂端部本体[638]が接続される頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]を用いて引き戻される。
【0008】
端部裸ステント[30]を解放するために、ガイドワイヤ管腔(部材を収容している)[620]は、端部裸ステント[30]が解放される際に後退可能な頂端部本体[638]を後退させるために頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]にかけられた引張荷重に対抗する圧縮荷重に耐えなければならない。頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]の動きに対抗して、ノーズコーン及び遠位頂端部頭部[636]に接続されたガイドワイヤ管腔(部材を収容している)[620]が静止状態に保たれた状態で、頂端部本体[638]に接続された頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]が後方に引っぱられる。ガイドワイヤ管腔(部材を収容している)[620]を静止状態に保たなければ、ステント・グラフトの位置に影響が及ぶことがある。ノーズコーンが管の中で不注意で前進させられる場合、ステント・グラフトの軸方向の位置のずれが生じ、大動脈弁のような敏感な構造体と望まない接触をする可能性がある。
【0009】
端部裸ステント[30]の解放を行う前のステント・グラフト展開ステップにおいて、ステント・グラフトの近位部の大部分は既に展開されており、隣接する血管壁と接触している。したがって、端部裸ステントの解放は、ステント・グラフトを送達システムから解放し、送達システムを患者から除去できることを保証しなければならない。ガイドワイヤ管腔(部材を収容している)[620]又は頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]のいずれかが送達ハンドルから壊れる又は取り外されることは、展開を阻止することになり、送達システムと部分的に植込まれたステント・グラフトを除去するための観血外科的修復が直ちに行われることを必要とする。
【0010】
上記の欠点を克服することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る1つの態様は、ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有するノーズコーン組立体と、ノーズコーン・シャフトがその中を通してスライドすることができるスピンドル組立体シャフトを画定し、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有する、スピンドル組立体と、スピンドル・シャフトがその中を通してスライドすることができるステント捕捉組立体シャフトを画定し、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有する、ステント捕捉組立体と、を含むステント・グラフトのための送達システムを提供する。スピンドル取付具は、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に保つためにステント捕捉取付具とスライド可能に合わさることができる。
【0012】
本発明に係る別の態様は、ステント・グラフト送達システムを提供すること、ステント・グラフトの一方の端部がスピンドル取付具の上にあり、ステント捕捉取付具がステント・グラフトの一方の端部の上にあり、ステント・グラフトが送達直径に圧縮された状態で、ステント・グラフトをステント・グラフト送達システム上にローディングすること、ステント・グラフト送達システムを管の中で前進させてスピンドル取付具を展開部位と位置合わせすること、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に維持しながらステント・グラフトを拡張させること、及び捕捉取付具シャフトをスピンドル・シャフトに対して引っぱってステント捕捉取付具を後退させステント・グラフトの一方の端部を解放すること、を含む、ステント・グラフトを管における展開部位に送達する方法を提供する。ステント・グラフト送達システムは、ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有するノーズコーン組立体と、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有し、スピンドル組立体管腔を画定する、スピンドル組立体と、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有し、ステント捕捉組立体管腔を画定する、ステント捕捉組立体と、を含む。ノーズコーン・シャフトは、スピンドル組立体管腔の中にスライド可能に配置され、スピンドル・シャフトは、ステント捕捉組立体管腔の中にスライド可能に配置される。
【0013】
本発明に係る別の態様は、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径で解放可能に保持するための手段と、保持手段を展開部位に前進させるための手段と、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径から解放するべく保持手段を後退させるための手段と、を含む、展開部位でのステント・グラフトのための送達システムを提供する。
【0014】
上記の、並びに、他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読むことからさらに明らかとなるであろう。詳細な説明及び図面は単なる例示である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ステント・グラフトの側面図である。
【図2】ノーズコーン組立体の一部の斜視図である。
【図3A】それぞれ、スピンドル組立体の一部の側面図及び端面図である。
【図3B】それぞれ、スピンドル組立体の一部の側面図及び端面図である。
【図3C】スピンドル取付具の別の実施形態の側面図である。
【図4A】それぞれ、ステント捕捉組立体の一部の側面図及び端面図である。
【図4B】それぞれ、ステント捕捉組立体の一部の側面図及び端面図である。
【図4C】ステント捕捉取付具アームの別の実施形態の側面図である。
【図5A】それぞれ、ステント・グラフト送達システムの一部の側面図及び斜視図である。
【図5B】それぞれ、ステント・グラフト送達システムの一部の側面図及び斜視図である。
【図6A】ステント・グラフト送達システムの一部の詳細な斜視図である。
【図6B】ステント・グラフト送達システムの一部の詳細な斜視図である。
【図6C】ステント・グラフト送達システムの一部の詳細な斜視図である。
【図7】ステント・グラフトを管における展開部位に送達する方法のフローチャートである。
【図8】部分的に展開されたステント・グラフトの概略的な側面図である。
【図9A】理解を容易にするためにステント・グラフトの裸ステントの一部が切り取られ、裸ステントのクラウンがステント・グラフト捕捉取付具によって捕捉されている、ステント・グラフト送達システムの別の実施形態の部分的な平面図である。
【図9B】理解を容易にするためにステント・グラフトの裸ステントの一部が切り取られ、裸ステントのクラウンがステント・グラフト捕捉取付具によって捕捉されている、ステント・グラフト送達システムの別の実施形態の密接に接近した平面図である。
【図10A】一次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図10B】一次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図10C】一次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図11A】二次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図11B】二次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図11C】二次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図11D】二次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、同様の符号が同様の構造体を指す図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。送達システムについての「遠位」及び「近位」という用語は、本明細書では、ステント・グラフト送達システムの使用中の治療している医師に関して用いられ、「遠位」は、医師から遠い方の又は離れる方向のステント・グラフト送達システムの一部を示し、「近位」は、医師に近い方の又は向かう方向のステント・グラフト送達システムの一部を示す。ステント・グラフトについての「遠位」及び「近位」という用語は、本明細書では、患者の心臓からステント・グラフト・デバイスへの及びその中を通る血流の方向に関して用いられ、「近位」は、心臓からデバイスへの血流経路に従って心臓に最も近いステント・グラフトの一部を示し、「遠位」は、血流経路に従って心臓から遠い方のステント・グラフトの一部又は近位端とは反対側の端部を示す。本明細書で提供された例において、送達中のステント・グラフトの近位端は、ステント・グラフト送達システムの遠位端に対応する。本明細書で定義される展開部位は、ステント・グラフトが展開されるときにステント・グラフトの近位端が配置される、管における軸方向の位置である。
【0017】
本発明に係る実施形態は、ステント・グラフト送達デバイス及びその使用方法を開示する。これらのデバイス及び方法は、腹大動脈の動脈瘤及び胸大動脈の動脈瘤を治療するのに用いられることに関して以下に記載されるが、デバイスは他の管において他のデバイスを送達することにも同様に用いることができることが当業者には分かるであろう。記載されるステント・グラフト送達デバイスは、ステント・グラフトを管における展開部位に送達するためのステント・グラフト送達システムを含み、このシステムは、ノーズコーン・シャフトに対して軸方向にスライド可能であってステント・グラフトの近位(これらの例において)端を送達直径で解放可能に保持する、スピンドル取付具及びステント捕捉取付具を含む。
【0018】
図1は、ステント・グラフト送達システムに用いられるステント・グラフトの側面図である。展開された状態で示されるステント・グラフト20は、ステント22と、ステント22によって支持されたグラフト材料24とを含む。この例において、ステント・グラフト20は、多数の裸ステント・クラウン28を有する裸ステント(ばね)26をさらに含む。裸ステント26は、グラフト材料24を越えて延びて、血管壁と係合し血管壁でステント・グラフト20をシールする半径方向の力を提供する。各ステント・クラウン28の1つの頂端部は、ステント・グラフト20の遠位端である。別の実施形態において、裸ステントは省略することができる。ステント・グラフト20は、展開部位に送達直径で送達され、展開部位で展開直径に拡張される。
【0019】
ステント・グラフトは、腹大動脈、胸大動脈、又は他の管における展開部位のような展開部位で植込まれた後で、管状グラフトを健康な周囲組織と開状態でシール接触する状態に機械的に保つのに適したあらゆるデバイスとして説明することができる。こうした機械的内部人工器官(endoprosthetic)デバイスが、典型的に、病変部にわたって位置する標的の管の中に挿入され、次いで管の弱くなった壁をバイパスするように拡張されて、動脈瘤の破裂を防止する。ステント・グラフトは、ステント・グラフトの移植後は健康な組織と接触する状態にある。ステント・グラフトは、一般に、管における動脈瘤にわたって延びて、ステント・グラフトを通る流れの進路を変え、弱い動脈瘤の壁に通常かかる圧力を緩和する。
【0020】
ステント22のサイズ及び構成は、治療されるべき管のサイズ及び構成に依存する。個々のステント22は、咬みあった(articulated)又は剛性の接合部によって互いに接続することができ、又は、グラフト材料24にのみ取り付けることができる。用いられるステント・グラフト20の最小長さは、ステント・グラフト20がそれにわたって植込まれる動脈瘤のサイズに合わせられる(僅かに大きいサイズにされる)。
【0021】
ステント22及びグラフト材料24は、ステント・グラフトに典型的に用いられるあらゆるステント及びグラフト材料でありうる。ステント22は、自己拡張型又はバルーン拡張型とすることができ、ステント・グラフトの全長に沿った単一のユニット又は図1に示されるような一連の個々のステントとすることができる。ステント22は、ばね鋼、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金(ニチノール)、ポリマー又はコポリマー、もしくはこれらの材料の組合せ、或いは他の適切な材料から形成することができる。グラフト材料24は、織られたポリマー材料、例えば、Dacron(商標)ポリエステル、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、或いは編物、ストレッチ、及びベロア材料を含む両面編みされたグラフト材料のような、ステント・グラフトに適したあらゆる織られた又は両面編みされたグラフト材料とすることができる。幾つかの実施形態において、グラフト材料24は、コラーゲン、アルブミン、吸収性ポリマー、又は生物適合性の繊維からなる構成材を含む。代替的に、グラフト材料24は、1つ又はそれ以上の適切な金属、プラスチック、又は非生分解性材料から構成される。
【0022】
図2〜図4は、ステント・グラフト送達システムの部品を示す。ステント・グラフト送達システムは、ノーズコーン組立体、スピンドル組立体、及びステント捕捉組立体を含む。ノーズコーン組立体は、ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有し、ガイドワイヤがその中を通してスライドすることができるノーズコーン組立体管腔をそれらの中に有する。スピンドル組立体は、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有し、ノーズコーン・シャフトがその中を通してスライドすることができるスピンドル組立体管腔をそれらの中に有する。ステント捕捉組立体は、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有し、スピンドル・シャフトがその中を通してスライドすることができるステント捕捉組立体管腔を画定する。スピンドル取付具とステント捕捉取付具は、スライド可能に合わさることができ、ステント・グラフトの近位端を(圧縮された)送達直径で解放可能に保持する。スピンドル取付具、ステント捕捉取付具、及びノーズコーンは、各々独立して互いに対して動くことができるが、互いに向かって動いて隣接する部品と接触するとき、接触している部品は一体になって動くことになる。スピンドル取付具がステント・グラフト裸ばねと係合するとき、スピンドル取付具の動きは、裸ステント、ノーズコーン、及び捕捉取付具によって課される移動量限界によって制限される。ステント・グラフトの端部を解放するためにステント捕捉取付具をスピンドル取付具から後退させることができ、又はステント・グラフトの端部を解放するためにノーズコーン組立体をスピンドル組立体から係合解除することができる。
【0023】
図2は、ノーズコーン組立体の一部の斜視図である。ノーズコーン組立体30は、ノーズコーン32とノーズコーン・シャフト34とを含み、スピンドル組立体とステント捕捉組立体とを脈間構造の中を通して案内する。ノーズコーン32は、管の中での通過を容易にするために、一般に、遠位から近位端にテーパすることができる。スピンドル取付具とステント捕捉取付具とを展開部位に案内するノーズコーン・シャフト34は、脈間構造を通って管におけるステント・グラフトの展開部位から医師に到達するのに十分なだけ長い。ノーズコーン・シャフト34の近位端は、ステント・グラフトの送達中の医師による操作のために、ハンドル(図示せず)に取り付けることができる。一実施形態において、ノーズコーン組立体30は、送達システムを展開部位に案内するためにガイドワイヤがその中を通してスライドすることができるその長さに沿って、ガイドワイヤ管腔36を画定する。別の実施形態において、ノーズコーン組立体30は、ステント・グラフトの一方の端部の保持を補助し脈間構造の中を通しての通過を容易にするために、スピンドル取付具及びステント捕捉取付具に適合された遷移部品(transition piece)38を含むことができる。遷移部品38は、直径における1つ又はそれ以上の段を含むことができる。遷移部品38は、ステント捕捉取付具(図示せず)のアームがアーム遷移セグメント37の周りにフィットできるように、アーム遷移セグメント37を含むことができる。アーム遷移セグメント37の直径は、ステント捕捉取付具アームを受け入れるサイズにされ、脈間構造の中を通過するときにステント捕捉取付具アームが奥にはめ込まれ保護されるようにノーズコーン32の最大直径よりも小さくされる。遷移部品38はまた、カテーテル(図示せず)がカテーテル遷移セグメント39の周りにフィットできるように、カテーテル遷移セグメント39を含むことができる。カテーテル遷移セグメント39の直径は、脈間構造の中を通過するときにカテーテルとノーズコーン32が滑らかな輪郭を形成するように、カテーテルの内径と適合するように選択することができる。別の実施形態において、遷移部品は省略することができる。
【0024】
ノーズコーン組立体30は、あらゆる生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができることが当業者には分かるであろう。ノーズコーン32は、ノーズコーン・シャフト34の上にノーズコーン32の特定の幾何学的形状をインサート成形することによって構成することができる。ノーズコーン材料は、ステント・グラフト送達システムのための可撓性の先端部を提供するために、特定のデュロメータのエラストマー性材料とすることができる。適切なノーズコーン材料は、Pebax(商標)、ウレタン、シリコン、他の可撓性ポリマー、などを含む。ノーズコーン32はまた、蛍光透視法ガイダンスを用いてステント・グラフトを患者内に送達するときに医師に可視先端部を提供するために、放射線不透過性添加剤を含んでもよい。
【0025】
図3A及び図3Bは、それぞれ、スピンドル組立体の一部の側面図及び端面図である。スピンドル組立体40は、スピンドル取付具42とスピンドル・シャフト44を含む。スピンドル組立体40は、ノーズコーン・シャフト(図示せず)がその中を通してスライドすることができるその長さに沿って、スピンドル組立体管腔46を画定する。スピンドル組立体管腔46の直径は、ノーズコーン・シャフト(図示せず)がスピンドル組立体管腔46内をスライドすることができるのに十分なだけ大きい。スピンドル・シャフト44は、スピンドル取付具42をノーズコーン・シャフト上で展開部位に前進させる。スピンドル・シャフト44は、脈間構造を通って管におけるステント・グラフト展開部位から医師に到達するのに十分なだけ長い。スピンドル・シャフト44の近位端は、ステント・グラフトの送達中の医師による操作のために、ハンドル(図示せず)に取り付けることができる。スピンドル組立体40は、あらゆる生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができることが当業者には分かるであろう。スピンドル・シャフトは、PEEKポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ナイロン、などのような剛性のプラスチックから構成することができる。スピンドル・シャフトは、代替的に、ニチノール、ステンレス鋼、などのような可撓性金属管から構成することができる。
【0026】
ステント捕捉取付具(図示せず)と協働するスピンドル取付具42は、ステント・グラフトの送達中にステント・グラフトの一方の端部を保持する。図示された実施形態において、スピンドル取付具42は、スピンドル本体47と、スピンドル本体47の周辺部の周りに配置された多数のスピンドル・ピン48とを含む。隣接するスピンドル・ピン48の各対の間にスピンドル溝49が形成される。単一のステント・クラウン(図示せず)が、各スピンドル・ピン48の周りを包み、ステント・グラフトの送達中にステント捕捉取付具アーム(図示せず)によって適当な位置に保持される。ステント捕捉取付具が後退させられるとき、ステント・クラウンは、スピンドル・ピン48から自由にされ、ステント・クラウンが管内の位置に拡張する。スピンドル取付具42は、あらゆる剛性の及び/又は応従性(compliant)の生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができる。スピンドル取付具は、種々の材料から作製することができる。これは、PEEKポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、などのような剛性のプラスチック材料を含んでもよく、また、ステンレス鋼のような金属を含んでもよい。一実施形態において、スピンドル取付具と接触しているステント表面への損傷を防止するために、スピンドル取付具については硬質プラスチックが望ましい。スピンドル取付具は、2つの構成要素を接着剤で結合するか又は2つの構成要素を互いにねじ接続(threading)することによって、スピンドル・シャフトに留めることができる。スピンドル取付具は、代替的に、スピンドル・シャフト上に直接インサート成形されてもよい。
【0027】
図3Cは、スピンドル取付具の別の実施形態の側面図である。この実施形態において、スピンドル本体147上のスピンドル・ピン148の各々は、スピンドル・ピン148のスピンドル・ピン周辺部に沿ってスピンドル・スロット149を含む。スピンドル・ピン周辺部は、スピンドル本体147から離れた方のスピンドル・ピン148の端部によって画定される。各ステント・クラウンの遠位端、すなわち、各裸ステントの頂端部は、スピンドル・スロット149の1つに置かれ、ステント捕捉取付具アームがステント・クラウンをスピンドル・スロット149に保持する。ステント捕捉取付具は、ステント捕捉取付具が後退させられるまでステント・クラウンをスピンドル・スロット149に明確に保持する。
【0028】
別の実施形態において、スピンドル取付具は、スピンドル・ピンを省略する一様な周辺部の応従性ディスクとすることができる。ステント・クラウンは、ステント・グラフトの送達中にステント・クラウンを圧縮された状態に保つために、ステント捕捉取付具アームによって応従性ディスクの中に押し込むことができる。ステント・グラフトが裸ステントを含まないとき、ステント捕捉取付具アームは、ステント・グラフト(ステントとグラフト材料との両方)の遠位端を応従性ディスクの中に押し込むことができる。グラフト材料は、ステント捕捉取付具アームがステントの遠位端を圧縮された状態に保つときにグラフト材料がステント捕捉取付具アームの周りに拡張することを可能にするために、ステント上でストレッチ可能な又は緩い(loose)ものとすることができる。応従性ディスクは、シリコンのような低デュロメータのポリマーから形成することができる。さらに別の実施形態において、スピンドル取付具は、圧縮されたステントの特定の形状と適合する付加的な機能部を含むように成形することができる。1つの例において、スピンドル・ピンは、圧縮されたステント・クラウンの湾曲と適合するテーパした輪郭を有してもよい。
【0029】
図4A及び図4Bは、それぞれ、ステント捕捉組立体の一部の側面図及び端面図である。ステント捕捉組立体50は、ステント捕捉取付具52とステント捕捉シャフト54を含む。ステント捕捉組立体50は、スピンドル・シャフト(図示せず)がその中を通してスライドすることができるその長さに沿って、ステント捕捉組立体管腔56を画定する。ステント捕捉組立体管腔56の直径は、スピンドル・シャフト(図示せず)がステント捕捉組立体管腔56内でスライドすることができるのに十分なだけ大きい。ステント捕捉シャフト54は、ステント捕捉取付具52を展開部位に前進させ、ステント・グラフトの端部を送達直径から解放するためにステント捕捉取付具52を後退させる。ステント捕捉シャフト54は、脈間構造を通って管におけるステント・グラフト展開部位から医師に到達するのに十分なだけ長い。ステント捕捉シャフト54の近位端は、ステント・グラフトの送達中の医師による操作のために、ハンドル(図示せず)に取り付けることができる。ステント捕捉組立体50は、あらゆる生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができることが当業者には分かるであろう。ステント捕捉シャフトは、PEEKポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ナイロン、などのような剛性のプラスチックから構成されてもよい。ステント捕捉シャフトは、代替的に、ニチノール、ステンレス鋼、などのような可撓性金属管から構成することができる。
【0030】
スピンドル取付具(図示せず)と協働するステント捕捉取付具52は、ステント・グラフトの送達中にステント・グラフトの一方の端部を保持する。図示された実施形態において、ステント捕捉取付具52は、ステント捕捉本体57の周辺部の周りに配置された多数のステント捕捉取付具アーム58を有するステント捕捉本体57を含む。ステント捕捉本体57は、裸ステント・クラウンを受け入れるためにステント捕捉取付具アーム58の各々の間に多数のステント捕捉溝59を画定する。ステント捕捉取付具アーム58は、ステント捕捉取付具52の中心軸、すなわち、ステント捕捉シャフト54に沿った軸と実質的に平行にすることができる。他の実施形態において、ステント捕捉取付具アーム58は、特定の目的のための要望に応じてステント捕捉取付具52の軸に向かう方に又は離れる方に湾曲することができる。ステント捕捉取付具52が後退させられるとき、ステント捕捉取付具アーム58は、裸ステント・クラウンを解放し、裸ステント・クラウンが管における位置に拡張する。ステント捕捉取付具52は、あらゆる剛性の及び/又は応従性の生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができる。ステント捕捉取付具は、種々の材料から作製されてもよい。これは、PEEKポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、などのような剛性のプラスチック材料を含んでもよく、また、ステンレス鋼のような金属を含んでもよい。一実施形態において、ステント捕捉取付具と接触しているステント表面への損傷を防止するために、ステント捕捉取付具については硬質プラスチック又は高度に研磨された金属が望ましい。ステント捕捉取付具は、2つの構成要素を接着剤で結合するか又は2つの構成要素を互いにねじ接続することによって、ステント捕捉シャフトに留めることができる。ステント捕捉取付具は、代替的に、ステント捕捉シャフト上に直接インサート成形されてもよい。
【0031】
図4Cは、ステント捕捉取付具アームの別の実施形態の側面図である。各々のステント捕捉取付具アーム158の遠位端は、ステント捕捉取付具の中心軸の方に内向きに突出する突出部159を含むことができる。突出部159は、裸ステント・クラウンの遠位端をステント捕捉取付具アーム上に確実に保持するのに十分なだけ大きいが、ステント捕捉取付具アーム158が裸ステント・クラウンの遠位端上で後退させられることを可能にするのに十分なだけ小さいものとすることができる。
【0032】
図5A及び図5Bは、それぞれ、ステント・グラフト送達システムの一部の側面図及び部分的斜視図である。図5Aは、ステント・グラフトをローディングするのに備えてスライドされ分離されたステント・グラフト送達システムの構成要素を示し、図5Bは、スライドされ一緒にされた構成要素を示す。図5Bは、ロードされた位置にある1つの裸ステント・クラウン28を示し、説明を明瞭にするために残りのステント・グラフトは省略されている。ステント・グラフト送達システム100は、ノーズコーン組立体30、スピンドル組立体40、及びステント捕捉組立体50を含む。スピンドル組立体40は、ノーズコーン組立体30のノーズコーン・シャフト34上をスライド可能に配置され、ステント捕捉組立体50は、スピンドル・シャフト44上をスライド可能に配置される。この例において、ステント捕捉取付具52のステント捕捉取付具アーム58は、ノーズコーン組立体30の遷移部品38上に延びる。ステント捕捉取付具アーム58は、ステント・クラウン28をスピンドル組立体40上に固定するのに十分なだけ延びる必要があり、遷移部品38上にまで延びる必要はないことが当業者には分かるであろう。ノーズコーン組立体30、スピンドル組立体40、及びステント捕捉組立体50の近位端は、医師がシャフトの各々を互いに独立してスライドさせ、シャフトを脈間構造の中で集団的に前進させることを可能にするハンドルにおいて終端することができる。ステント・グラフト送達システム100はまた、ステント・グラフトの近位端がスピンドル取付具42とステント捕捉取付具52との間に保持されるときに、ステント捕捉組立体50及びステント・グラフト上をスライド可能な、グラフト・カバー(又は鞘部)(図示せず)を含むことができる。グラフト・カバーは、展開されるまでステント・グラフトを圧縮された送達直径に保つことができる。
【0033】
図6A〜図6Cは、ステント・グラフト送達システムの一部の詳細な斜視図である。図6Aは、スピンドル取付具とステント捕捉取付具との間に保持されたステント・グラフトの端部を示し、図6Bは、スピンドル取付具から後退されたステント捕捉取付具を示し、図6Cは、スピンドル取付具及びステント捕捉取付具から前方に押し離されたノーズコーンを示す。
【0034】
図6Aを参照すると、ステント・グラフトは、裸ステント・クラウン28がスピンドル取付具のスピンドル・ピン48の周囲にある状態で、ステント・グラフト送達システムにロードされる。ステント捕捉取付具アーム58は、ステント捕捉取付具52の溝59を貫通して延びる。この例において、ステント捕捉取付具アーム58の遠位端は、ノーズコーン組立体30の上に延びる。各裸ステント・クラウン28の頂端部は、ステント捕捉取付具アーム58、スピンドル・ピン48、及びアーム遷移セグメント37によってトラップされる。
【0035】
図6Bを参照すると、ステント捕捉取付具アーム58がスピンドル組立体40のスピンドル・ピン48から引き抜かれ、もはや裸ステント・クラウン28をトラップする位置にないように後退させられた位置にあるステント捕捉取付具52が示される。裸ステント・クラウン28は、説明を明瞭にするために圧縮された送達直径で示されるが、実際には、もはやトラップされていないときのステント・クラウン28は、ステント捕捉取付具52が後退させられたときに展開直径に自己拡張することになり、ステント・グラフトはグラフト・カバーから自由にされる。
【0036】
図6Cを参照すると、ノーズコーン32は、スピンドル取付具とステント捕捉取付具52との両方から前方に押し離される。ノーズコーン組立体、スピンドル組立体、及びステント捕捉組立体は、スピンドル取付具及びステント捕捉取付具52を動かすことなくノーズコーン32の位置を展開部位に対して調節できるように、互いに独立してスライド可能である。これは、ステント捕捉取付具52をスピンドル組立体40から後退させることができないときにノーズコーン組立体のノーズコーン・シャフトに力をかけることによって裸ステント・クラウンの展開を可能にする。裸ステント・クラウン28は、ノーズコーンが前方に押されて裸ステント・クラウンを解放するまで裸ステント・クラウン28の遠位端を送達直径に保つために、ステント捕捉取付具アーム58の遠位端に対して外向きの半径方向の力をかける。
【0037】
図7は、ステント・グラフトを管における展開部位に送達する方法のフローチャートである。展開部位は、腹大動脈、胸大動脈、又は他の任意の管に位置することがある。方法200は、ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有するノーズコーン組立体と、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有しスピンドル組立体管腔を画定するスピンドル組立体と、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有しステント捕捉組立体管腔を画定するステント捕捉組立体と、を含むステント・グラフト送達システムを提供するステップ(202)を含む。ノーズコーン・シャフトは、スピンドル組立体管腔の中にスライド可能に配置され、スピンドル・シャフトは、ステント捕捉組立体管腔の中にスライド可能に配置される。方法200は、ステント・グラフトの一方の端部がスピンドル取付具の上にあり、ステント捕捉取付具がステント・グラフトの一方の端部の上にあり、ステント・グラフトが送達直径に圧縮された状態で、ステント・グラフト送達システム上にステント・グラフトをローディングするステップ(204)と、ステント・グラフト送達システムを管の中を通って前進させてスピンドル取付具を展開部位と位置合わせするステップ(206)と、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に維持しながらステント・グラフトを拡張させるステップ(208)と、捕捉取付具シャフトをスピンドル・シャフトに対して引っぱって、ステント捕捉取付具を後退させステント・グラフトの一方の端部を解放するステップ(210)と、をさらに含む。一実施形態において、ノーズコーン組立体はガイドワイヤ管腔を画定し、ステント・グラフト送達システムを管の中を通って前進させるステップ(206)は、ガイドワイヤを管の中を通って前進させること、ガイドワイヤをガイドワイヤ管腔に挿入すること、及びステント・グラフト送達システムをガイドワイヤ上で前進させること、を含む。
【0038】
ステント捕捉組立体は、通常はいかなる力をもノーズコーン組立体にかけることなく動くことができるが、ステント捕捉取付具と展開ハンドルとの間の接続が作動不能であるとき(どんな理由に係わらず)、ノーズコーンは、前方に動いて展開をもたらすことができる。ステント・グラフト送達システムを管の中を通って前進させるステップ(206)は、スピンドル取付具が展開部位と位置合わせされるまで、ステント捕捉組立体及びスピンドル組立体をノーズコーン・シャフト上でスライドさせることを含むことができる。一実施形態において、方法200は、捕捉取付具シャフトをスピンドル・シャフトに対して引っぱって裸ステント・クラウン及びステント・グラフトの解放をもたらす前に、ステント捕捉組立体及びスピンドル組立体をノーズコーン・シャフト上でスライドさせて、スピンドル取付具を展開部位と再位置合わせすることをさらに含むことができる。
【0039】
ステント・グラフトの近位端を送達直径に維持しながらステント・グラフトを拡張させるステップ(208)は、図8に示されるようにグラフト・カバー90を後退させてステント・グラフトを解放することを含むことができる。
【0040】
図8は、部分的に展開されたステント・グラフトの側面図である。グラフト・カバー90は、圧縮された送達直径から拡張された展開直径に拡張しているステント・グラフト20を解放するために後退されている状態で示される。グラフト・カバー90は、脈間構造を通して送達するためにステント・グラフトを圧縮された送達直径で解放可能に維持することができる。ステント・グラフト20の遠位端92は、ステント捕捉取付具52によって送達直径で保持される。ステント・グラフト20がグラフト・カバー90から自由にされ、スピンドル取付具(図示せず)が展開部位と正確に位置合わせされた後で、ステント捕捉取付具52は、ステント・グラフトの遠位端92を解放するために後退させることができる。
【0041】
図9A及び図9Bは、互いに対して移動する、2つのみの長手方向に移動可能な部品を用いるステント・グラフト送達システムの実施形態の部分的な平面図及び密接した平面図を示す。2つの長手方向に移動可能な部品の基本概念は既に説明されているが、本明細書で開示される詳細及び実行はまだ知られていない。ノーズコーン・シャフト35(図9A及び図9Bには見られない)はノーズコーン62に接続する。ステント捕捉取付具60に接続されたステント捕捉シャフト55が、ノーズコーン・シャフト35を包囲し、それによりあらゆるステント・クラウンがそれらの間のギャップに逃げることのないようにし、ステント捕捉取付具60がノーズコーン62及びそのスピンドル取付具43(図9A及び図9Bには見られない)と係合する際に、それに対してスライドするように構成される。
【0042】
図10A、図10B、及び図10Cに示された送達システムの断面を見ると、ステント・グラフトの裸ステント26は明瞭にするために切り取られ、この進行的な図は一次展開モードを示す。ノーズコーン・シャフト35は、その端部においてノーズコーン62を保持するために一体のバルブを有する。ノーズコーン62は、ノーズコーン・シャフトの上にオーバーモールドされてユニット式部品を形成する。ノーズコーン62の下側ハブ部は、その外面上に形成されたねじを有する。図3A、図3B、及び図3Cに記載されたスピンドル取付具42と同様の周辺構成を有するスピンドル取付具43は、スピンドル取付具43のねじとノーズコーン62のねじが十分に係合されるときに、それらがノーズコーン・シャフト35と一緒に1つのユニット式部品として動くように、ノーズコーン62の下側ハブ上のねじと係合するように構成された雌ねじを有する中央開口部を備える。ステント捕捉シャフト55は、その端部においてステント捕捉取付具60にねじ接続で取り付けられ、それらはユニット式部品として動く。ステント捕捉取付具は、図4A、図4B、及び図4Cにおける前述のステント捕捉取付具52と実質的に同様に構成される。したがって、一次展開モードにおいて、2つのユニット式部品、すなわちノーズコーン捕捉シャフト35及びノーズコーン62と、スピンドル取付具43と、ステント捕捉シャフト55及びステント捕捉取付具60は、カテーテルの軸に沿って長手方向に互いに対して移動することができる。裸ステント26のクラウン28が、スピンドル取付具43の上部と、スピンドル取付具43を横断し及び隣接するノーズコーン62の底部及び外側と、ステント捕捉取付具60のステント捕捉取付具アームの内側とによって及びそれらの間に捕捉されて、裸ステント26のクラウン28の各々が保持されるときに、図10Aに描かれるようにステント・グラフトの下側部分が展開されて、それらの捕捉されたクラウン28の周りで裸ステント26の支柱がピボット運動する。一次展開モードの進行において、ステント・グラフトの下側部分は、隣接する血管壁に接触するように既に少なくとも部分的に展開されており、完全にでないにしても、部分的に、管におけるその特定の展開位置で固定されるようになる。したがって、捕捉されたクラウンの長手方向の位置は、それが取り付けられるステント・グラフトの主要本体部分に対して裸ステントの運動制限内に実質的に固定される。ステント・グラフトが部分的に展開されると、クラウン28はもはや長手方向に動くことができず、それらは外向きにのみピボット運動することができる。一次展開中に、ステント捕捉シャフト55が引っぱられて、ステント捕捉取付具60が後退させられ、ノーズコーン62とステント捕捉取付具60との間の一次展開ギャップ98(図10B)が開かれて、裸ステント26のクラウン28が外向きにピボット運動し、図10Cに見られるように展開を完了することが可能となる。
【0043】
しかしながら、図10A、図10B、及び図10Cの一次展開ステップを実行するときに、ステント捕捉取付具60を後退させて図10Bに示された逃がし(一次展開手順)ギャップ98を造り出す長手方向の力がかかることができないように、カテーテル・ハンドル(図示せず)からステント捕捉シャフト55への接続が又はステント捕捉シャフト55自体が壊れる可能性がある。ステント捕捉取付具60が移動不能な場合、当該技術分野で見られるようなノーズコーンとスピンドル取付具との単一部品は、裸ステントのクラウン28を展開させない。したがって、部位にアクセスしデバイスの手動操作によって状況を正して展開を完了するための観血外科的介入、又は観血外科的手順と関連するすべてのリスク及び合併症を伴うデバイスの除去及び標準外科的グラフトの移植が必要となる。
【0044】
本明細書で説明されたデバイスは、単一部品のノーズコーン・デバイスの弱点を克服するものである。図11A、図11B、図11C、及び図11Dに示された二次展開手順は、現在のデバイスが前述の欠陥をどのようにして克服するかを示す。図11Aは、上記の図10Aについて示され説明されたのと同様の完全に捕捉されたステント・クラウンを示す。ステント捕捉シャフト55を後退させることができないことが発覚すると、オペレータは二次展開手順を開始することができる。管の壁と接触している部分的に展開されたステント・グラフトは、裸ばね26の長手方向の移動と、そしてまた裸ばね26の回転方向の移動との両方への抵抗又は実質的な止め部として働く。裸ばね26のクラウン28は、スピンドル取付具43の各ピンの上部の周りに配置され、これは、クラウン28がステント捕捉取付具60内に捕捉されている間、ステント・グラフトから上方又は離れる方へのスピンドル取付具43の長手方向の移動を実質的に防止する。しかしながら、前述のスピンドル取付具43とノーズコーン62のハブとの間でねじ接続を用いて両者を分離させることができる。スピンドル取付具43の回転方向の位置が、前述のように、周囲の管の壁に実質的に固定されるその裸ステントとの係合によって設定されている状態で、ノーズコーン・シャフト35に回転トルクをかけて、ノーズコーンが転回される際のねじの長手方向の挙動によって、ノーズコーン62を転回させそしてスピンドル取付具43から分離することができる。スピンドル取付具43から離れる方へのノーズコーン62のこの長手方向の移動の開始は、図11Bに示される。裸ステント26は、ほぼ円筒形の拘束されていない構成を有するので、裸ステント26のクラウン28は、裸ステント26をその拘束されていない構成に戻す傾向がある内力によって外向きに及び前方に付勢される。図11Cに示されるように、ノーズコーン62がスピンドル取付具43に対して転回され続けるのに伴って、ノーズコーン62とスピンドル取付具43との間の二次展開手順のギャップ99が、裸ステント26のクラウン28が前方に動いて逃げることを可能にする開口部を提供して、図11Dに示されるように裸ステント26のクラウン28の完全な解放を提供する。裸ステント26のクラウン28は、それをその大直径の拘束されていない構成に戻るように付勢する、裸ステントの内(ばね)力のために、前方にピボット運動し続ける。スピンドル取付具がノーズコーン62から解放されている間、該スピンドル取付具は依然としてノーズコーン・シャフト35上に捕捉されており、送達システムが部分的に展開されたステント・グラフトから解放される際に安全に除去されることになり、このとき部分的に展開されたステント・グラフトが完全に展開される。一次及び二次展開手順を、部分的に展開されたステントのクラウンを解放するために1つの送達システムに使用可能にすることは、当該技術分野でこれまで知られていない実用性を提供する。
【0045】
本発明に係る特定の実施形態が本明細書で開示されたが、その思想及び範囲から逸脱することなく、種々の変化及び修正を加えることができる。
【技術分野】
【0001】
本開示の技術分野は、医療用移植デバイス、特にステント・グラフト送達システム及びその使用方法である。
【背景技術】
【0002】
自然発生的管腔又は人造管腔のような身体管腔内の一時的又は恒久的移植のために適合された医療デバイスである管腔内プロテーゼを用いる広範な医療療法が開発されている。管腔内プロテーゼを植込むことができる管腔の例は、冠状の、腸間膜の、末梢性の、又は脳の脈間構造、動脈、胃腸管、胆道、尿道、気管、肝臓シャント、及びファローピウス管内に位置するような管腔を含む。標的にされた血管壁の力学を修正するために特定の構造をもつ種々のタイプの管腔内プロテーゼも開発されている。
【0003】
血管の一部を置き換える、補足する、又は排除するために多数の脈間デバイスが開発されている。これらの脈間デバイスは、腔内人口血管とステント・グラフトとを含む。脈間動脈瘤を排除するために用いられるような動脈瘤排除デバイスは、血液の流れのための人工管腔を提供する。脈間動脈瘤(血管の異常な拡大)は、通常は、動脈壁を弱くし該動脈壁を拡張させることがある病気又は遺伝子的疾病素質の結果である。動脈瘤は、あらゆる血管において生じる可能性があるが、ほとんどは大動脈及び末梢動脈において生じ、動脈瘤の大多数は腹大動脈又は大動脈弓において生じる。AAA(abdominal aortic aneurysm(腹大動脈の動脈瘤))は、典型的には腎動脈の下で始まり、腸骨動脈の一方又は両方の中に延びる。TAA(thoracic aortic aneurysm(胸大動脈の動脈瘤))は、典型的には上行又は下行大動脈において生じる。
【0004】
動脈瘤、特に腹大動脈の動脈瘤は、歴史的に、疾患のある管セグメントがバイパスされ人工血管グラフトで修復される、観血療法手順で治療された。観血療法は、致命的な腹大動脈の動脈瘤破裂に関連する高いリスクに照らして有効な外科的技術であった及び今なお有効であるが、観血外科的技術は多くの欠点に悩まされている。これは複雑であり、長い入院期間を必要とし、長い回復時間を必要とし、高い死亡率を有する。これらの欠点を回避するために、あまり侵襲的でないデバイス及び技術が開発されている。動脈瘤部位への血液の流れを遮断しながら血液の流れのための管状グラフトを提供する管状管腔内プロテーゼが、カテーテルを用いてあまり侵襲的でないか又は最小限に侵襲的な技術で血管の中に導入される。管状管腔内プロテーゼは、小直径の圧縮された構成で導入され、動脈瘤で拡張される。ステント・グラフトとしばしば呼ばれる、これらの管状管腔内プロテーゼは、支持構造体として1つ又はそれ以上のステントによって管状グラフト材料を血管壁とシール係合する状態で確実に開状態に保つために用いられる。
【0005】
大動脈の動脈瘤に用いられるステント・グラフトは、典型的に、織られた又は両面編みされた(interlocked)グラフト材料を支持する支持構造体を含む。織られたグラフト材料の例は、織られたポリマー材料、例えば、Dacron(商標)、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。両面編みされたグラフト材料は、編物、ストレッチ、及びベロア材料を含む。グラフト材料は、グラフト材料を支持する及び/又はグラフト材料を管壁に対して定位置に保持する支持構造体の内径又は外径に固定される。ステント・グラフトは、動脈瘤よりも上の及び下の血管壁に固定される。グラフト材料なしの開いたクラウンを動脈瘤の上に配置して、血管壁と係合し血管壁にステント・グラフトをシールするための半径方向の力を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステント・グラフトの展開における1つの問題は、ステント・グラフトを管に、特に大動脈弓のような脈間構造の湾曲した部分に正確に配置することである。ステント・グラフトは、ステント・グラフトの近位端を拘束することなくこうした湾曲部において拡張させられるとき、望まない位置に予測不能に傾斜することがある。こうした傾斜は、シールの効果を低減させ、不正確な配置をもたらすことがある。これらの欠点を最小にするための現在の実施は、部分的に展開されたステント・グラフトを引っぱって良好な軸方向の位置合わせにすることである。この移動は、管に損傷を与えることがあり、幾らかの位置合わせ不良が残ることがある。
【0007】
Arbefuielle他の米国特許出願公開第2006/0276872号公報に記載されるような位置合わせ問題のための1つの手法は、ステント・グラフトが拡張する間、ステント・グラフトの端部裸(end bare)ステント[30]を拘束し、次いで、端部裸ステント[30]を解放することである。遠位頂端部頭部(distal apex head)[636]及びガイドワイヤ管腔(シャフト又は部材を収容している)[620]に取り付けられたノーズコーン[632]が、後退可能な頂端部本体[638]によってトラップされた端部裸ステント[30]の端部と係合する。ステント・グラフトが拡張されると直ぐに裸ステント[30]を解放するために、頂端部本体[638]は、該頂端部本体[638]が接続される頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]を用いて引き戻される。
【0008】
端部裸ステント[30]を解放するために、ガイドワイヤ管腔(部材を収容している)[620]は、端部裸ステント[30]が解放される際に後退可能な頂端部本体[638]を後退させるために頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]にかけられた引張荷重に対抗する圧縮荷重に耐えなければならない。頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]の動きに対抗して、ノーズコーン及び遠位頂端部頭部[636]に接続されたガイドワイヤ管腔(部材を収容している)[620]が静止状態に保たれた状態で、頂端部本体[638]に接続された頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]が後方に引っぱられる。ガイドワイヤ管腔(部材を収容している)[620]を静止状態に保たなければ、ステント・グラフトの位置に影響が及ぶことがある。ノーズコーンが管の中で不注意で前進させられる場合、ステント・グラフトの軸方向の位置のずれが生じ、大動脈弁のような敏感な構造体と望まない接触をする可能性がある。
【0009】
端部裸ステント[30]の解放を行う前のステント・グラフト展開ステップにおいて、ステント・グラフトの近位部の大部分は既に展開されており、隣接する血管壁と接触している。したがって、端部裸ステントの解放は、ステント・グラフトを送達システムから解放し、送達システムを患者から除去できることを保証しなければならない。ガイドワイヤ管腔(部材を収容している)[620]又は頂端部解放管腔(部材を収容している)[640]のいずれかが送達ハンドルから壊れる又は取り外されることは、展開を阻止することになり、送達システムと部分的に植込まれたステント・グラフトを除去するための観血外科的修復が直ちに行われることを必要とする。
【0010】
上記の欠点を克服することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る1つの態様は、ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有するノーズコーン組立体と、ノーズコーン・シャフトがその中を通してスライドすることができるスピンドル組立体シャフトを画定し、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有する、スピンドル組立体と、スピンドル・シャフトがその中を通してスライドすることができるステント捕捉組立体シャフトを画定し、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有する、ステント捕捉組立体と、を含むステント・グラフトのための送達システムを提供する。スピンドル取付具は、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に保つためにステント捕捉取付具とスライド可能に合わさることができる。
【0012】
本発明に係る別の態様は、ステント・グラフト送達システムを提供すること、ステント・グラフトの一方の端部がスピンドル取付具の上にあり、ステント捕捉取付具がステント・グラフトの一方の端部の上にあり、ステント・グラフトが送達直径に圧縮された状態で、ステント・グラフトをステント・グラフト送達システム上にローディングすること、ステント・グラフト送達システムを管の中で前進させてスピンドル取付具を展開部位と位置合わせすること、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に維持しながらステント・グラフトを拡張させること、及び捕捉取付具シャフトをスピンドル・シャフトに対して引っぱってステント捕捉取付具を後退させステント・グラフトの一方の端部を解放すること、を含む、ステント・グラフトを管における展開部位に送達する方法を提供する。ステント・グラフト送達システムは、ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有するノーズコーン組立体と、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有し、スピンドル組立体管腔を画定する、スピンドル組立体と、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有し、ステント捕捉組立体管腔を画定する、ステント捕捉組立体と、を含む。ノーズコーン・シャフトは、スピンドル組立体管腔の中にスライド可能に配置され、スピンドル・シャフトは、ステント捕捉組立体管腔の中にスライド可能に配置される。
【0013】
本発明に係る別の態様は、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径で解放可能に保持するための手段と、保持手段を展開部位に前進させるための手段と、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径から解放するべく保持手段を後退させるための手段と、を含む、展開部位でのステント・グラフトのための送達システムを提供する。
【0014】
上記の、並びに、他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読むことからさらに明らかとなるであろう。詳細な説明及び図面は単なる例示である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ステント・グラフトの側面図である。
【図2】ノーズコーン組立体の一部の斜視図である。
【図3A】それぞれ、スピンドル組立体の一部の側面図及び端面図である。
【図3B】それぞれ、スピンドル組立体の一部の側面図及び端面図である。
【図3C】スピンドル取付具の別の実施形態の側面図である。
【図4A】それぞれ、ステント捕捉組立体の一部の側面図及び端面図である。
【図4B】それぞれ、ステント捕捉組立体の一部の側面図及び端面図である。
【図4C】ステント捕捉取付具アームの別の実施形態の側面図である。
【図5A】それぞれ、ステント・グラフト送達システムの一部の側面図及び斜視図である。
【図5B】それぞれ、ステント・グラフト送達システムの一部の側面図及び斜視図である。
【図6A】ステント・グラフト送達システムの一部の詳細な斜視図である。
【図6B】ステント・グラフト送達システムの一部の詳細な斜視図である。
【図6C】ステント・グラフト送達システムの一部の詳細な斜視図である。
【図7】ステント・グラフトを管における展開部位に送達する方法のフローチャートである。
【図8】部分的に展開されたステント・グラフトの概略的な側面図である。
【図9A】理解を容易にするためにステント・グラフトの裸ステントの一部が切り取られ、裸ステントのクラウンがステント・グラフト捕捉取付具によって捕捉されている、ステント・グラフト送達システムの別の実施形態の部分的な平面図である。
【図9B】理解を容易にするためにステント・グラフトの裸ステントの一部が切り取られ、裸ステントのクラウンがステント・グラフト捕捉取付具によって捕捉されている、ステント・グラフト送達システムの別の実施形態の密接に接近した平面図である。
【図10A】一次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図10B】一次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図10C】一次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図11A】二次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図11B】二次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図11C】二次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【図11D】二次解放モードの進行的なステント・グラフト展開ステップを示している、図9A及び図9Bの送達システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで、同様の符号が同様の構造体を指す図面を参照しながら、本発明に係る実施形態を説明する。送達システムについての「遠位」及び「近位」という用語は、本明細書では、ステント・グラフト送達システムの使用中の治療している医師に関して用いられ、「遠位」は、医師から遠い方の又は離れる方向のステント・グラフト送達システムの一部を示し、「近位」は、医師に近い方の又は向かう方向のステント・グラフト送達システムの一部を示す。ステント・グラフトについての「遠位」及び「近位」という用語は、本明細書では、患者の心臓からステント・グラフト・デバイスへの及びその中を通る血流の方向に関して用いられ、「近位」は、心臓からデバイスへの血流経路に従って心臓に最も近いステント・グラフトの一部を示し、「遠位」は、血流経路に従って心臓から遠い方のステント・グラフトの一部又は近位端とは反対側の端部を示す。本明細書で提供された例において、送達中のステント・グラフトの近位端は、ステント・グラフト送達システムの遠位端に対応する。本明細書で定義される展開部位は、ステント・グラフトが展開されるときにステント・グラフトの近位端が配置される、管における軸方向の位置である。
【0017】
本発明に係る実施形態は、ステント・グラフト送達デバイス及びその使用方法を開示する。これらのデバイス及び方法は、腹大動脈の動脈瘤及び胸大動脈の動脈瘤を治療するのに用いられることに関して以下に記載されるが、デバイスは他の管において他のデバイスを送達することにも同様に用いることができることが当業者には分かるであろう。記載されるステント・グラフト送達デバイスは、ステント・グラフトを管における展開部位に送達するためのステント・グラフト送達システムを含み、このシステムは、ノーズコーン・シャフトに対して軸方向にスライド可能であってステント・グラフトの近位(これらの例において)端を送達直径で解放可能に保持する、スピンドル取付具及びステント捕捉取付具を含む。
【0018】
図1は、ステント・グラフト送達システムに用いられるステント・グラフトの側面図である。展開された状態で示されるステント・グラフト20は、ステント22と、ステント22によって支持されたグラフト材料24とを含む。この例において、ステント・グラフト20は、多数の裸ステント・クラウン28を有する裸ステント(ばね)26をさらに含む。裸ステント26は、グラフト材料24を越えて延びて、血管壁と係合し血管壁でステント・グラフト20をシールする半径方向の力を提供する。各ステント・クラウン28の1つの頂端部は、ステント・グラフト20の遠位端である。別の実施形態において、裸ステントは省略することができる。ステント・グラフト20は、展開部位に送達直径で送達され、展開部位で展開直径に拡張される。
【0019】
ステント・グラフトは、腹大動脈、胸大動脈、又は他の管における展開部位のような展開部位で植込まれた後で、管状グラフトを健康な周囲組織と開状態でシール接触する状態に機械的に保つのに適したあらゆるデバイスとして説明することができる。こうした機械的内部人工器官(endoprosthetic)デバイスが、典型的に、病変部にわたって位置する標的の管の中に挿入され、次いで管の弱くなった壁をバイパスするように拡張されて、動脈瘤の破裂を防止する。ステント・グラフトは、ステント・グラフトの移植後は健康な組織と接触する状態にある。ステント・グラフトは、一般に、管における動脈瘤にわたって延びて、ステント・グラフトを通る流れの進路を変え、弱い動脈瘤の壁に通常かかる圧力を緩和する。
【0020】
ステント22のサイズ及び構成は、治療されるべき管のサイズ及び構成に依存する。個々のステント22は、咬みあった(articulated)又は剛性の接合部によって互いに接続することができ、又は、グラフト材料24にのみ取り付けることができる。用いられるステント・グラフト20の最小長さは、ステント・グラフト20がそれにわたって植込まれる動脈瘤のサイズに合わせられる(僅かに大きいサイズにされる)。
【0021】
ステント22及びグラフト材料24は、ステント・グラフトに典型的に用いられるあらゆるステント及びグラフト材料でありうる。ステント22は、自己拡張型又はバルーン拡張型とすることができ、ステント・グラフトの全長に沿った単一のユニット又は図1に示されるような一連の個々のステントとすることができる。ステント22は、ばね鋼、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金(ニチノール)、ポリマー又はコポリマー、もしくはこれらの材料の組合せ、或いは他の適切な材料から形成することができる。グラフト材料24は、織られたポリマー材料、例えば、Dacron(商標)ポリエステル、又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、或いは編物、ストレッチ、及びベロア材料を含む両面編みされたグラフト材料のような、ステント・グラフトに適したあらゆる織られた又は両面編みされたグラフト材料とすることができる。幾つかの実施形態において、グラフト材料24は、コラーゲン、アルブミン、吸収性ポリマー、又は生物適合性の繊維からなる構成材を含む。代替的に、グラフト材料24は、1つ又はそれ以上の適切な金属、プラスチック、又は非生分解性材料から構成される。
【0022】
図2〜図4は、ステント・グラフト送達システムの部品を示す。ステント・グラフト送達システムは、ノーズコーン組立体、スピンドル組立体、及びステント捕捉組立体を含む。ノーズコーン組立体は、ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有し、ガイドワイヤがその中を通してスライドすることができるノーズコーン組立体管腔をそれらの中に有する。スピンドル組立体は、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有し、ノーズコーン・シャフトがその中を通してスライドすることができるスピンドル組立体管腔をそれらの中に有する。ステント捕捉組立体は、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有し、スピンドル・シャフトがその中を通してスライドすることができるステント捕捉組立体管腔を画定する。スピンドル取付具とステント捕捉取付具は、スライド可能に合わさることができ、ステント・グラフトの近位端を(圧縮された)送達直径で解放可能に保持する。スピンドル取付具、ステント捕捉取付具、及びノーズコーンは、各々独立して互いに対して動くことができるが、互いに向かって動いて隣接する部品と接触するとき、接触している部品は一体になって動くことになる。スピンドル取付具がステント・グラフト裸ばねと係合するとき、スピンドル取付具の動きは、裸ステント、ノーズコーン、及び捕捉取付具によって課される移動量限界によって制限される。ステント・グラフトの端部を解放するためにステント捕捉取付具をスピンドル取付具から後退させることができ、又はステント・グラフトの端部を解放するためにノーズコーン組立体をスピンドル組立体から係合解除することができる。
【0023】
図2は、ノーズコーン組立体の一部の斜視図である。ノーズコーン組立体30は、ノーズコーン32とノーズコーン・シャフト34とを含み、スピンドル組立体とステント捕捉組立体とを脈間構造の中を通して案内する。ノーズコーン32は、管の中での通過を容易にするために、一般に、遠位から近位端にテーパすることができる。スピンドル取付具とステント捕捉取付具とを展開部位に案内するノーズコーン・シャフト34は、脈間構造を通って管におけるステント・グラフトの展開部位から医師に到達するのに十分なだけ長い。ノーズコーン・シャフト34の近位端は、ステント・グラフトの送達中の医師による操作のために、ハンドル(図示せず)に取り付けることができる。一実施形態において、ノーズコーン組立体30は、送達システムを展開部位に案内するためにガイドワイヤがその中を通してスライドすることができるその長さに沿って、ガイドワイヤ管腔36を画定する。別の実施形態において、ノーズコーン組立体30は、ステント・グラフトの一方の端部の保持を補助し脈間構造の中を通しての通過を容易にするために、スピンドル取付具及びステント捕捉取付具に適合された遷移部品(transition piece)38を含むことができる。遷移部品38は、直径における1つ又はそれ以上の段を含むことができる。遷移部品38は、ステント捕捉取付具(図示せず)のアームがアーム遷移セグメント37の周りにフィットできるように、アーム遷移セグメント37を含むことができる。アーム遷移セグメント37の直径は、ステント捕捉取付具アームを受け入れるサイズにされ、脈間構造の中を通過するときにステント捕捉取付具アームが奥にはめ込まれ保護されるようにノーズコーン32の最大直径よりも小さくされる。遷移部品38はまた、カテーテル(図示せず)がカテーテル遷移セグメント39の周りにフィットできるように、カテーテル遷移セグメント39を含むことができる。カテーテル遷移セグメント39の直径は、脈間構造の中を通過するときにカテーテルとノーズコーン32が滑らかな輪郭を形成するように、カテーテルの内径と適合するように選択することができる。別の実施形態において、遷移部品は省略することができる。
【0024】
ノーズコーン組立体30は、あらゆる生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができることが当業者には分かるであろう。ノーズコーン32は、ノーズコーン・シャフト34の上にノーズコーン32の特定の幾何学的形状をインサート成形することによって構成することができる。ノーズコーン材料は、ステント・グラフト送達システムのための可撓性の先端部を提供するために、特定のデュロメータのエラストマー性材料とすることができる。適切なノーズコーン材料は、Pebax(商標)、ウレタン、シリコン、他の可撓性ポリマー、などを含む。ノーズコーン32はまた、蛍光透視法ガイダンスを用いてステント・グラフトを患者内に送達するときに医師に可視先端部を提供するために、放射線不透過性添加剤を含んでもよい。
【0025】
図3A及び図3Bは、それぞれ、スピンドル組立体の一部の側面図及び端面図である。スピンドル組立体40は、スピンドル取付具42とスピンドル・シャフト44を含む。スピンドル組立体40は、ノーズコーン・シャフト(図示せず)がその中を通してスライドすることができるその長さに沿って、スピンドル組立体管腔46を画定する。スピンドル組立体管腔46の直径は、ノーズコーン・シャフト(図示せず)がスピンドル組立体管腔46内をスライドすることができるのに十分なだけ大きい。スピンドル・シャフト44は、スピンドル取付具42をノーズコーン・シャフト上で展開部位に前進させる。スピンドル・シャフト44は、脈間構造を通って管におけるステント・グラフト展開部位から医師に到達するのに十分なだけ長い。スピンドル・シャフト44の近位端は、ステント・グラフトの送達中の医師による操作のために、ハンドル(図示せず)に取り付けることができる。スピンドル組立体40は、あらゆる生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができることが当業者には分かるであろう。スピンドル・シャフトは、PEEKポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ナイロン、などのような剛性のプラスチックから構成することができる。スピンドル・シャフトは、代替的に、ニチノール、ステンレス鋼、などのような可撓性金属管から構成することができる。
【0026】
ステント捕捉取付具(図示せず)と協働するスピンドル取付具42は、ステント・グラフトの送達中にステント・グラフトの一方の端部を保持する。図示された実施形態において、スピンドル取付具42は、スピンドル本体47と、スピンドル本体47の周辺部の周りに配置された多数のスピンドル・ピン48とを含む。隣接するスピンドル・ピン48の各対の間にスピンドル溝49が形成される。単一のステント・クラウン(図示せず)が、各スピンドル・ピン48の周りを包み、ステント・グラフトの送達中にステント捕捉取付具アーム(図示せず)によって適当な位置に保持される。ステント捕捉取付具が後退させられるとき、ステント・クラウンは、スピンドル・ピン48から自由にされ、ステント・クラウンが管内の位置に拡張する。スピンドル取付具42は、あらゆる剛性の及び/又は応従性(compliant)の生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができる。スピンドル取付具は、種々の材料から作製することができる。これは、PEEKポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、などのような剛性のプラスチック材料を含んでもよく、また、ステンレス鋼のような金属を含んでもよい。一実施形態において、スピンドル取付具と接触しているステント表面への損傷を防止するために、スピンドル取付具については硬質プラスチックが望ましい。スピンドル取付具は、2つの構成要素を接着剤で結合するか又は2つの構成要素を互いにねじ接続(threading)することによって、スピンドル・シャフトに留めることができる。スピンドル取付具は、代替的に、スピンドル・シャフト上に直接インサート成形されてもよい。
【0027】
図3Cは、スピンドル取付具の別の実施形態の側面図である。この実施形態において、スピンドル本体147上のスピンドル・ピン148の各々は、スピンドル・ピン148のスピンドル・ピン周辺部に沿ってスピンドル・スロット149を含む。スピンドル・ピン周辺部は、スピンドル本体147から離れた方のスピンドル・ピン148の端部によって画定される。各ステント・クラウンの遠位端、すなわち、各裸ステントの頂端部は、スピンドル・スロット149の1つに置かれ、ステント捕捉取付具アームがステント・クラウンをスピンドル・スロット149に保持する。ステント捕捉取付具は、ステント捕捉取付具が後退させられるまでステント・クラウンをスピンドル・スロット149に明確に保持する。
【0028】
別の実施形態において、スピンドル取付具は、スピンドル・ピンを省略する一様な周辺部の応従性ディスクとすることができる。ステント・クラウンは、ステント・グラフトの送達中にステント・クラウンを圧縮された状態に保つために、ステント捕捉取付具アームによって応従性ディスクの中に押し込むことができる。ステント・グラフトが裸ステントを含まないとき、ステント捕捉取付具アームは、ステント・グラフト(ステントとグラフト材料との両方)の遠位端を応従性ディスクの中に押し込むことができる。グラフト材料は、ステント捕捉取付具アームがステントの遠位端を圧縮された状態に保つときにグラフト材料がステント捕捉取付具アームの周りに拡張することを可能にするために、ステント上でストレッチ可能な又は緩い(loose)ものとすることができる。応従性ディスクは、シリコンのような低デュロメータのポリマーから形成することができる。さらに別の実施形態において、スピンドル取付具は、圧縮されたステントの特定の形状と適合する付加的な機能部を含むように成形することができる。1つの例において、スピンドル・ピンは、圧縮されたステント・クラウンの湾曲と適合するテーパした輪郭を有してもよい。
【0029】
図4A及び図4Bは、それぞれ、ステント捕捉組立体の一部の側面図及び端面図である。ステント捕捉組立体50は、ステント捕捉取付具52とステント捕捉シャフト54を含む。ステント捕捉組立体50は、スピンドル・シャフト(図示せず)がその中を通してスライドすることができるその長さに沿って、ステント捕捉組立体管腔56を画定する。ステント捕捉組立体管腔56の直径は、スピンドル・シャフト(図示せず)がステント捕捉組立体管腔56内でスライドすることができるのに十分なだけ大きい。ステント捕捉シャフト54は、ステント捕捉取付具52を展開部位に前進させ、ステント・グラフトの端部を送達直径から解放するためにステント捕捉取付具52を後退させる。ステント捕捉シャフト54は、脈間構造を通って管におけるステント・グラフト展開部位から医師に到達するのに十分なだけ長い。ステント捕捉シャフト54の近位端は、ステント・グラフトの送達中の医師による操作のために、ハンドル(図示せず)に取り付けることができる。ステント捕捉組立体50は、あらゆる生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができることが当業者には分かるであろう。ステント捕捉シャフトは、PEEKポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ナイロン、などのような剛性のプラスチックから構成されてもよい。ステント捕捉シャフトは、代替的に、ニチノール、ステンレス鋼、などのような可撓性金属管から構成することができる。
【0030】
スピンドル取付具(図示せず)と協働するステント捕捉取付具52は、ステント・グラフトの送達中にステント・グラフトの一方の端部を保持する。図示された実施形態において、ステント捕捉取付具52は、ステント捕捉本体57の周辺部の周りに配置された多数のステント捕捉取付具アーム58を有するステント捕捉本体57を含む。ステント捕捉本体57は、裸ステント・クラウンを受け入れるためにステント捕捉取付具アーム58の各々の間に多数のステント捕捉溝59を画定する。ステント捕捉取付具アーム58は、ステント捕捉取付具52の中心軸、すなわち、ステント捕捉シャフト54に沿った軸と実質的に平行にすることができる。他の実施形態において、ステント捕捉取付具アーム58は、特定の目的のための要望に応じてステント捕捉取付具52の軸に向かう方に又は離れる方に湾曲することができる。ステント捕捉取付具52が後退させられるとき、ステント捕捉取付具アーム58は、裸ステント・クラウンを解放し、裸ステント・クラウンが管における位置に拡張する。ステント捕捉取付具52は、あらゆる剛性の及び/又は応従性の生物適合性材料から形成することができ、単一のユニットとして形成し及び/又は個々の部品から組み立てることができる。ステント捕捉取付具は、種々の材料から作製されてもよい。これは、PEEKポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、などのような剛性のプラスチック材料を含んでもよく、また、ステンレス鋼のような金属を含んでもよい。一実施形態において、ステント捕捉取付具と接触しているステント表面への損傷を防止するために、ステント捕捉取付具については硬質プラスチック又は高度に研磨された金属が望ましい。ステント捕捉取付具は、2つの構成要素を接着剤で結合するか又は2つの構成要素を互いにねじ接続することによって、ステント捕捉シャフトに留めることができる。ステント捕捉取付具は、代替的に、ステント捕捉シャフト上に直接インサート成形されてもよい。
【0031】
図4Cは、ステント捕捉取付具アームの別の実施形態の側面図である。各々のステント捕捉取付具アーム158の遠位端は、ステント捕捉取付具の中心軸の方に内向きに突出する突出部159を含むことができる。突出部159は、裸ステント・クラウンの遠位端をステント捕捉取付具アーム上に確実に保持するのに十分なだけ大きいが、ステント捕捉取付具アーム158が裸ステント・クラウンの遠位端上で後退させられることを可能にするのに十分なだけ小さいものとすることができる。
【0032】
図5A及び図5Bは、それぞれ、ステント・グラフト送達システムの一部の側面図及び部分的斜視図である。図5Aは、ステント・グラフトをローディングするのに備えてスライドされ分離されたステント・グラフト送達システムの構成要素を示し、図5Bは、スライドされ一緒にされた構成要素を示す。図5Bは、ロードされた位置にある1つの裸ステント・クラウン28を示し、説明を明瞭にするために残りのステント・グラフトは省略されている。ステント・グラフト送達システム100は、ノーズコーン組立体30、スピンドル組立体40、及びステント捕捉組立体50を含む。スピンドル組立体40は、ノーズコーン組立体30のノーズコーン・シャフト34上をスライド可能に配置され、ステント捕捉組立体50は、スピンドル・シャフト44上をスライド可能に配置される。この例において、ステント捕捉取付具52のステント捕捉取付具アーム58は、ノーズコーン組立体30の遷移部品38上に延びる。ステント捕捉取付具アーム58は、ステント・クラウン28をスピンドル組立体40上に固定するのに十分なだけ延びる必要があり、遷移部品38上にまで延びる必要はないことが当業者には分かるであろう。ノーズコーン組立体30、スピンドル組立体40、及びステント捕捉組立体50の近位端は、医師がシャフトの各々を互いに独立してスライドさせ、シャフトを脈間構造の中で集団的に前進させることを可能にするハンドルにおいて終端することができる。ステント・グラフト送達システム100はまた、ステント・グラフトの近位端がスピンドル取付具42とステント捕捉取付具52との間に保持されるときに、ステント捕捉組立体50及びステント・グラフト上をスライド可能な、グラフト・カバー(又は鞘部)(図示せず)を含むことができる。グラフト・カバーは、展開されるまでステント・グラフトを圧縮された送達直径に保つことができる。
【0033】
図6A〜図6Cは、ステント・グラフト送達システムの一部の詳細な斜視図である。図6Aは、スピンドル取付具とステント捕捉取付具との間に保持されたステント・グラフトの端部を示し、図6Bは、スピンドル取付具から後退されたステント捕捉取付具を示し、図6Cは、スピンドル取付具及びステント捕捉取付具から前方に押し離されたノーズコーンを示す。
【0034】
図6Aを参照すると、ステント・グラフトは、裸ステント・クラウン28がスピンドル取付具のスピンドル・ピン48の周囲にある状態で、ステント・グラフト送達システムにロードされる。ステント捕捉取付具アーム58は、ステント捕捉取付具52の溝59を貫通して延びる。この例において、ステント捕捉取付具アーム58の遠位端は、ノーズコーン組立体30の上に延びる。各裸ステント・クラウン28の頂端部は、ステント捕捉取付具アーム58、スピンドル・ピン48、及びアーム遷移セグメント37によってトラップされる。
【0035】
図6Bを参照すると、ステント捕捉取付具アーム58がスピンドル組立体40のスピンドル・ピン48から引き抜かれ、もはや裸ステント・クラウン28をトラップする位置にないように後退させられた位置にあるステント捕捉取付具52が示される。裸ステント・クラウン28は、説明を明瞭にするために圧縮された送達直径で示されるが、実際には、もはやトラップされていないときのステント・クラウン28は、ステント捕捉取付具52が後退させられたときに展開直径に自己拡張することになり、ステント・グラフトはグラフト・カバーから自由にされる。
【0036】
図6Cを参照すると、ノーズコーン32は、スピンドル取付具とステント捕捉取付具52との両方から前方に押し離される。ノーズコーン組立体、スピンドル組立体、及びステント捕捉組立体は、スピンドル取付具及びステント捕捉取付具52を動かすことなくノーズコーン32の位置を展開部位に対して調節できるように、互いに独立してスライド可能である。これは、ステント捕捉取付具52をスピンドル組立体40から後退させることができないときにノーズコーン組立体のノーズコーン・シャフトに力をかけることによって裸ステント・クラウンの展開を可能にする。裸ステント・クラウン28は、ノーズコーンが前方に押されて裸ステント・クラウンを解放するまで裸ステント・クラウン28の遠位端を送達直径に保つために、ステント捕捉取付具アーム58の遠位端に対して外向きの半径方向の力をかける。
【0037】
図7は、ステント・グラフトを管における展開部位に送達する方法のフローチャートである。展開部位は、腹大動脈、胸大動脈、又は他の任意の管に位置することがある。方法200は、ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有するノーズコーン組立体と、スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有しスピンドル組立体管腔を画定するスピンドル組立体と、ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有しステント捕捉組立体管腔を画定するステント捕捉組立体と、を含むステント・グラフト送達システムを提供するステップ(202)を含む。ノーズコーン・シャフトは、スピンドル組立体管腔の中にスライド可能に配置され、スピンドル・シャフトは、ステント捕捉組立体管腔の中にスライド可能に配置される。方法200は、ステント・グラフトの一方の端部がスピンドル取付具の上にあり、ステント捕捉取付具がステント・グラフトの一方の端部の上にあり、ステント・グラフトが送達直径に圧縮された状態で、ステント・グラフト送達システム上にステント・グラフトをローディングするステップ(204)と、ステント・グラフト送達システムを管の中を通って前進させてスピンドル取付具を展開部位と位置合わせするステップ(206)と、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に維持しながらステント・グラフトを拡張させるステップ(208)と、捕捉取付具シャフトをスピンドル・シャフトに対して引っぱって、ステント捕捉取付具を後退させステント・グラフトの一方の端部を解放するステップ(210)と、をさらに含む。一実施形態において、ノーズコーン組立体はガイドワイヤ管腔を画定し、ステント・グラフト送達システムを管の中を通って前進させるステップ(206)は、ガイドワイヤを管の中を通って前進させること、ガイドワイヤをガイドワイヤ管腔に挿入すること、及びステント・グラフト送達システムをガイドワイヤ上で前進させること、を含む。
【0038】
ステント捕捉組立体は、通常はいかなる力をもノーズコーン組立体にかけることなく動くことができるが、ステント捕捉取付具と展開ハンドルとの間の接続が作動不能であるとき(どんな理由に係わらず)、ノーズコーンは、前方に動いて展開をもたらすことができる。ステント・グラフト送達システムを管の中を通って前進させるステップ(206)は、スピンドル取付具が展開部位と位置合わせされるまで、ステント捕捉組立体及びスピンドル組立体をノーズコーン・シャフト上でスライドさせることを含むことができる。一実施形態において、方法200は、捕捉取付具シャフトをスピンドル・シャフトに対して引っぱって裸ステント・クラウン及びステント・グラフトの解放をもたらす前に、ステント捕捉組立体及びスピンドル組立体をノーズコーン・シャフト上でスライドさせて、スピンドル取付具を展開部位と再位置合わせすることをさらに含むことができる。
【0039】
ステント・グラフトの近位端を送達直径に維持しながらステント・グラフトを拡張させるステップ(208)は、図8に示されるようにグラフト・カバー90を後退させてステント・グラフトを解放することを含むことができる。
【0040】
図8は、部分的に展開されたステント・グラフトの側面図である。グラフト・カバー90は、圧縮された送達直径から拡張された展開直径に拡張しているステント・グラフト20を解放するために後退されている状態で示される。グラフト・カバー90は、脈間構造を通して送達するためにステント・グラフトを圧縮された送達直径で解放可能に維持することができる。ステント・グラフト20の遠位端92は、ステント捕捉取付具52によって送達直径で保持される。ステント・グラフト20がグラフト・カバー90から自由にされ、スピンドル取付具(図示せず)が展開部位と正確に位置合わせされた後で、ステント捕捉取付具52は、ステント・グラフトの遠位端92を解放するために後退させることができる。
【0041】
図9A及び図9Bは、互いに対して移動する、2つのみの長手方向に移動可能な部品を用いるステント・グラフト送達システムの実施形態の部分的な平面図及び密接した平面図を示す。2つの長手方向に移動可能な部品の基本概念は既に説明されているが、本明細書で開示される詳細及び実行はまだ知られていない。ノーズコーン・シャフト35(図9A及び図9Bには見られない)はノーズコーン62に接続する。ステント捕捉取付具60に接続されたステント捕捉シャフト55が、ノーズコーン・シャフト35を包囲し、それによりあらゆるステント・クラウンがそれらの間のギャップに逃げることのないようにし、ステント捕捉取付具60がノーズコーン62及びそのスピンドル取付具43(図9A及び図9Bには見られない)と係合する際に、それに対してスライドするように構成される。
【0042】
図10A、図10B、及び図10Cに示された送達システムの断面を見ると、ステント・グラフトの裸ステント26は明瞭にするために切り取られ、この進行的な図は一次展開モードを示す。ノーズコーン・シャフト35は、その端部においてノーズコーン62を保持するために一体のバルブを有する。ノーズコーン62は、ノーズコーン・シャフトの上にオーバーモールドされてユニット式部品を形成する。ノーズコーン62の下側ハブ部は、その外面上に形成されたねじを有する。図3A、図3B、及び図3Cに記載されたスピンドル取付具42と同様の周辺構成を有するスピンドル取付具43は、スピンドル取付具43のねじとノーズコーン62のねじが十分に係合されるときに、それらがノーズコーン・シャフト35と一緒に1つのユニット式部品として動くように、ノーズコーン62の下側ハブ上のねじと係合するように構成された雌ねじを有する中央開口部を備える。ステント捕捉シャフト55は、その端部においてステント捕捉取付具60にねじ接続で取り付けられ、それらはユニット式部品として動く。ステント捕捉取付具は、図4A、図4B、及び図4Cにおける前述のステント捕捉取付具52と実質的に同様に構成される。したがって、一次展開モードにおいて、2つのユニット式部品、すなわちノーズコーン捕捉シャフト35及びノーズコーン62と、スピンドル取付具43と、ステント捕捉シャフト55及びステント捕捉取付具60は、カテーテルの軸に沿って長手方向に互いに対して移動することができる。裸ステント26のクラウン28が、スピンドル取付具43の上部と、スピンドル取付具43を横断し及び隣接するノーズコーン62の底部及び外側と、ステント捕捉取付具60のステント捕捉取付具アームの内側とによって及びそれらの間に捕捉されて、裸ステント26のクラウン28の各々が保持されるときに、図10Aに描かれるようにステント・グラフトの下側部分が展開されて、それらの捕捉されたクラウン28の周りで裸ステント26の支柱がピボット運動する。一次展開モードの進行において、ステント・グラフトの下側部分は、隣接する血管壁に接触するように既に少なくとも部分的に展開されており、完全にでないにしても、部分的に、管におけるその特定の展開位置で固定されるようになる。したがって、捕捉されたクラウンの長手方向の位置は、それが取り付けられるステント・グラフトの主要本体部分に対して裸ステントの運動制限内に実質的に固定される。ステント・グラフトが部分的に展開されると、クラウン28はもはや長手方向に動くことができず、それらは外向きにのみピボット運動することができる。一次展開中に、ステント捕捉シャフト55が引っぱられて、ステント捕捉取付具60が後退させられ、ノーズコーン62とステント捕捉取付具60との間の一次展開ギャップ98(図10B)が開かれて、裸ステント26のクラウン28が外向きにピボット運動し、図10Cに見られるように展開を完了することが可能となる。
【0043】
しかしながら、図10A、図10B、及び図10Cの一次展開ステップを実行するときに、ステント捕捉取付具60を後退させて図10Bに示された逃がし(一次展開手順)ギャップ98を造り出す長手方向の力がかかることができないように、カテーテル・ハンドル(図示せず)からステント捕捉シャフト55への接続が又はステント捕捉シャフト55自体が壊れる可能性がある。ステント捕捉取付具60が移動不能な場合、当該技術分野で見られるようなノーズコーンとスピンドル取付具との単一部品は、裸ステントのクラウン28を展開させない。したがって、部位にアクセスしデバイスの手動操作によって状況を正して展開を完了するための観血外科的介入、又は観血外科的手順と関連するすべてのリスク及び合併症を伴うデバイスの除去及び標準外科的グラフトの移植が必要となる。
【0044】
本明細書で説明されたデバイスは、単一部品のノーズコーン・デバイスの弱点を克服するものである。図11A、図11B、図11C、及び図11Dに示された二次展開手順は、現在のデバイスが前述の欠陥をどのようにして克服するかを示す。図11Aは、上記の図10Aについて示され説明されたのと同様の完全に捕捉されたステント・クラウンを示す。ステント捕捉シャフト55を後退させることができないことが発覚すると、オペレータは二次展開手順を開始することができる。管の壁と接触している部分的に展開されたステント・グラフトは、裸ばね26の長手方向の移動と、そしてまた裸ばね26の回転方向の移動との両方への抵抗又は実質的な止め部として働く。裸ばね26のクラウン28は、スピンドル取付具43の各ピンの上部の周りに配置され、これは、クラウン28がステント捕捉取付具60内に捕捉されている間、ステント・グラフトから上方又は離れる方へのスピンドル取付具43の長手方向の移動を実質的に防止する。しかしながら、前述のスピンドル取付具43とノーズコーン62のハブとの間でねじ接続を用いて両者を分離させることができる。スピンドル取付具43の回転方向の位置が、前述のように、周囲の管の壁に実質的に固定されるその裸ステントとの係合によって設定されている状態で、ノーズコーン・シャフト35に回転トルクをかけて、ノーズコーンが転回される際のねじの長手方向の挙動によって、ノーズコーン62を転回させそしてスピンドル取付具43から分離することができる。スピンドル取付具43から離れる方へのノーズコーン62のこの長手方向の移動の開始は、図11Bに示される。裸ステント26は、ほぼ円筒形の拘束されていない構成を有するので、裸ステント26のクラウン28は、裸ステント26をその拘束されていない構成に戻す傾向がある内力によって外向きに及び前方に付勢される。図11Cに示されるように、ノーズコーン62がスピンドル取付具43に対して転回され続けるのに伴って、ノーズコーン62とスピンドル取付具43との間の二次展開手順のギャップ99が、裸ステント26のクラウン28が前方に動いて逃げることを可能にする開口部を提供して、図11Dに示されるように裸ステント26のクラウン28の完全な解放を提供する。裸ステント26のクラウン28は、それをその大直径の拘束されていない構成に戻るように付勢する、裸ステントの内(ばね)力のために、前方にピボット運動し続ける。スピンドル取付具がノーズコーン62から解放されている間、該スピンドル取付具は依然としてノーズコーン・シャフト35上に捕捉されており、送達システムが部分的に展開されたステント・グラフトから解放される際に安全に除去されることになり、このとき部分的に展開されたステント・グラフトが完全に展開される。一次及び二次展開手順を、部分的に展開されたステントのクラウンを解放するために1つの送達システムに使用可能にすることは、当該技術分野でこれまで知られていない実用性を提供する。
【0045】
本発明に係る特定の実施形態が本明細書で開示されたが、その思想及び範囲から逸脱することなく、種々の変化及び修正を加えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステント・グラフトのための送達システムであって、
ノーズコーン(32)及びノーズコーン・シャフト(34)を有するノーズコーン組立体(30)と、
スピンドル組立体(40)であって、前記ノーズコーン・シャフト(34)がその中を通ってスライドすることができるスピンドル組立体管腔(46)を画定し、スピンドル取付具(42)と前記スピンドル取付具にねじ接続で取り付けられたスピンドル・シャフト(44)とを有する、スピンドル組立体(40)と、
ステント捕捉組立体(50)であって、前記スピンドル・シャフト(44)がその中を通ってスライドすることができるステント捕捉組立体管腔(56)を画定し、ステント捕捉取付具(52)と前記ステント捕捉取付具にねじ接続で取り付けられたステント捕捉シャフト(54)とを有する、ステント捕捉組立体と、
を備え、前記スピンドル取付具が、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に保つために、ステント捕捉取付具とスライド可能に合わさることができる、
ことを特徴とする送達システム。
【請求項2】
前記スピンドル取付具が、周辺部と前記周辺部の周りに配置された複数のスピンドル・ピンとを有するスピンドル本体を備える、
請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記スピンドル本体から離れた方の前記複数のスピンドル・ピンの端部が、スピンドル・ピン周辺部を画定し、前記複数のスピンドル・ピンの各々が、前記スピンドル・ピン周辺部に沿ってスピンドル・スロットを有する、
請求項2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記ステント捕捉取付具が、周辺部と前記周辺部の周りで前記ステント捕捉シャフトに沿って前記ステント捕捉取付具の中心軸に実質的に平行に配置された複数のステント捕捉取付具アームとを有するステント捕捉本体を備える、
請求項1に記載の送達システム。
【請求項5】
前記ステント捕捉本体が、隣接するステント捕捉取付具アームの間にステント捕捉溝を画定する、
請求項4に記載の送達システム。
【請求項6】
前記複数のステント捕捉取付具アームの各々が、前記中心軸の方に内向きに突出する突出部を有する、
請求項4に記載の送達システム。
【請求項7】
前記ステント捕捉組立体及び前記ステント・グラフト上をスライド可能なカテーテルをさらに備える、
請求項1に記載の送達システム。
【請求項8】
ステント・グラフトを管における展開部位に送達する方法であって、
ステント・グラフト送達システムであって、
ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有する、ノーズコーン組立体と、
スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有し、スピンドル組立体管腔を画定する、スピンドル組立体と、
ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有し、ステント捕捉組立体管腔を画定する、ステント捕捉組立体と、を備え、
前記ノーズコーン・シャフトが、前記スピンドル組立体管腔の中にスライド可能に配置され、前記スピンドル・シャフトが、前記ステント捕捉組立体管腔の中にスライド可能に配置される、ステント・グラフト送達システムを提供するステップと、
前記ステント・グラフトの一方の端部が前記スピンドル取付具の上にあり、前記ステント捕捉取付具が前記ステント・グラフトの一方の端部の上にあり、前記ステント・グラフトが送達直径に圧縮された状態で、ステント・グラフトを前記ステント・グラフト送達システム上にローディングするステップと、
前記ステント・グラフト送達システムを管の中を通って前進させて前記スピンドル取付具を展開部位と位置合わせするステップと、
前記ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に維持しながら前記ステント・グラフトを拡張させるステップと、
前記捕捉取付具シャフトを前記スピンドル・シャフトに対して引っぱって前記ステント捕捉取付具を後退させ前記ステント・グラフトの一方の端部を解放するステップと、を備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記管の中を通って前記ステント・グラフト送達システムを前進させるステップが、前記スピンドル取付具が前記展開部位と位置合わせされるまで前記ステント捕捉組立体及び前記スピンドル組立体を前記ノーズコーン・シャフト上でスライドさせるステップとをさらに備えている、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記捕捉取付具シャフトを前記スピンドル・シャフトに対して引っぱる前に、前記ステント捕捉組立体及び前記スピンドル組立体を前記ノーズコーン・シャフト上でスライドさせて、前記スピンドル取付具を展開部位と再位置合わせするステップとをさらに備えている、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ステント・グラフトのための送達システムであって、
その端部に取り付けられたノーズコーンを有するノーズコーン・シャフトと、
前記ノーズコーンにねじ接続で取り付けられ取り外し可能である、スピンドル取付具と、
ステント捕捉シャフトであって、前記ステント捕捉シャフトに取り付けられたステント捕捉取付具を有し、前記ステント捕捉取付具が前記スピンドル取付具を取り囲むアームと、前記ステント捕捉取付具と前記ノーズコーンとの間でのステント・クラウンの解放のためのギャップを除去する位置までの延長部とを有する、ステント捕捉シャフトと、を備え、
展開の前に前記ノーズコーン、スピンドル取付具、及びステント捕捉取付具の間にステント・クラウンが捕捉され、前記ステント捕捉シャフト及びステント捕捉取付具がスライドさせ後退させて前記ステント捕捉取付具と前記ノーズコーンとの間に一次展開ギャップを造り出すことによって一次展開が達成され、前記ノーズコーン・シャフトを回転させ、前記スピンドル取付具及び前記ステント捕捉取付具から離れる方へ前方に前記ノーズコーンのねじ前進を提供して、前記ステント捕捉取付具と前記ノーズコーンとの間に二次展開ギャップを造り出すことによって二次展開が達成される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項1】
ステント・グラフトのための送達システムであって、
ノーズコーン(32)及びノーズコーン・シャフト(34)を有するノーズコーン組立体(30)と、
スピンドル組立体(40)であって、前記ノーズコーン・シャフト(34)がその中を通ってスライドすることができるスピンドル組立体管腔(46)を画定し、スピンドル取付具(42)と前記スピンドル取付具にねじ接続で取り付けられたスピンドル・シャフト(44)とを有する、スピンドル組立体(40)と、
ステント捕捉組立体(50)であって、前記スピンドル・シャフト(44)がその中を通ってスライドすることができるステント捕捉組立体管腔(56)を画定し、ステント捕捉取付具(52)と前記ステント捕捉取付具にねじ接続で取り付けられたステント捕捉シャフト(54)とを有する、ステント捕捉組立体と、
を備え、前記スピンドル取付具が、ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に保つために、ステント捕捉取付具とスライド可能に合わさることができる、
ことを特徴とする送達システム。
【請求項2】
前記スピンドル取付具が、周辺部と前記周辺部の周りに配置された複数のスピンドル・ピンとを有するスピンドル本体を備える、
請求項1に記載の送達システム。
【請求項3】
前記スピンドル本体から離れた方の前記複数のスピンドル・ピンの端部が、スピンドル・ピン周辺部を画定し、前記複数のスピンドル・ピンの各々が、前記スピンドル・ピン周辺部に沿ってスピンドル・スロットを有する、
請求項2に記載の送達システム。
【請求項4】
前記ステント捕捉取付具が、周辺部と前記周辺部の周りで前記ステント捕捉シャフトに沿って前記ステント捕捉取付具の中心軸に実質的に平行に配置された複数のステント捕捉取付具アームとを有するステント捕捉本体を備える、
請求項1に記載の送達システム。
【請求項5】
前記ステント捕捉本体が、隣接するステント捕捉取付具アームの間にステント捕捉溝を画定する、
請求項4に記載の送達システム。
【請求項6】
前記複数のステント捕捉取付具アームの各々が、前記中心軸の方に内向きに突出する突出部を有する、
請求項4に記載の送達システム。
【請求項7】
前記ステント捕捉組立体及び前記ステント・グラフト上をスライド可能なカテーテルをさらに備える、
請求項1に記載の送達システム。
【請求項8】
ステント・グラフトを管における展開部位に送達する方法であって、
ステント・グラフト送達システムであって、
ノーズコーン及びノーズコーン・シャフトを有する、ノーズコーン組立体と、
スピンドル取付具及びスピンドル・シャフトを有し、スピンドル組立体管腔を画定する、スピンドル組立体と、
ステント捕捉取付具及びステント捕捉シャフトを有し、ステント捕捉組立体管腔を画定する、ステント捕捉組立体と、を備え、
前記ノーズコーン・シャフトが、前記スピンドル組立体管腔の中にスライド可能に配置され、前記スピンドル・シャフトが、前記ステント捕捉組立体管腔の中にスライド可能に配置される、ステント・グラフト送達システムを提供するステップと、
前記ステント・グラフトの一方の端部が前記スピンドル取付具の上にあり、前記ステント捕捉取付具が前記ステント・グラフトの一方の端部の上にあり、前記ステント・グラフトが送達直径に圧縮された状態で、ステント・グラフトを前記ステント・グラフト送達システム上にローディングするステップと、
前記ステント・グラフト送達システムを管の中を通って前進させて前記スピンドル取付具を展開部位と位置合わせするステップと、
前記ステント・グラフトの一方の端部を送達直径に維持しながら前記ステント・グラフトを拡張させるステップと、
前記捕捉取付具シャフトを前記スピンドル・シャフトに対して引っぱって前記ステント捕捉取付具を後退させ前記ステント・グラフトの一方の端部を解放するステップと、を備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記管の中を通って前記ステント・グラフト送達システムを前進させるステップが、前記スピンドル取付具が前記展開部位と位置合わせされるまで前記ステント捕捉組立体及び前記スピンドル組立体を前記ノーズコーン・シャフト上でスライドさせるステップとをさらに備えている、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記捕捉取付具シャフトを前記スピンドル・シャフトに対して引っぱる前に、前記ステント捕捉組立体及び前記スピンドル組立体を前記ノーズコーン・シャフト上でスライドさせて、前記スピンドル取付具を展開部位と再位置合わせするステップとをさらに備えている、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ステント・グラフトのための送達システムであって、
その端部に取り付けられたノーズコーンを有するノーズコーン・シャフトと、
前記ノーズコーンにねじ接続で取り付けられ取り外し可能である、スピンドル取付具と、
ステント捕捉シャフトであって、前記ステント捕捉シャフトに取り付けられたステント捕捉取付具を有し、前記ステント捕捉取付具が前記スピンドル取付具を取り囲むアームと、前記ステント捕捉取付具と前記ノーズコーンとの間でのステント・クラウンの解放のためのギャップを除去する位置までの延長部とを有する、ステント捕捉シャフトと、を備え、
展開の前に前記ノーズコーン、スピンドル取付具、及びステント捕捉取付具の間にステント・クラウンが捕捉され、前記ステント捕捉シャフト及びステント捕捉取付具がスライドさせ後退させて前記ステント捕捉取付具と前記ノーズコーンとの間に一次展開ギャップを造り出すことによって一次展開が達成され、前記ノーズコーン・シャフトを回転させ、前記スピンドル取付具及び前記ステント捕捉取付具から離れる方へ前方に前記ノーズコーンのねじ前進を提供して、前記ステント捕捉取付具と前記ノーズコーンとの間に二次展開ギャップを造り出すことによって二次展開が達成される、
ことを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【公表番号】特表2011−519608(P2011−519608A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507584(P2011−507584)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041975
【国際公開番号】WO2009/134801
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(502129357)メドトロニック カルディオ ヴァスキュラー インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/041975
【国際公開番号】WO2009/134801
【国際公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(502129357)メドトロニック カルディオ ヴァスキュラー インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】
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