説明

ステージ装置及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置

【課題】 駆動装置の移動量よりステージ部材の移動量が大きくまたは小さくしながら、駆動装置からステージ部材に駆動力を伝達できるステージ装置及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置を提供する。
【解決手段】 X方向へ移動するX方向移動部材24を備えるX方向駆動手段MX、YX、CX、24を備え、X方向移動部材24とステージ部材40の間に、X方向移動部材の移動量を拡大または縮小してステージ部材に伝達するX方向移動量調整伝達手段54を設けたことを特徴とするステージ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の部材を互いに直交する2方向に直線移動させるステージ装置、及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の部材を一平面内において直交する2方向に直線移動可能としたステージ装置の従来技術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
このステージ装置はカメラ(デジタルカメラ)の手振れ補正装置として利用されており、固定部材と、撮像素子を搭載したステージ部材と、このステージ部材が、ステージ部材と平行でかつ互いに直交する二方向(この二方向をX方向、Y方向と呼ぶ)に直線的に相対移動するように固定部材に対して支持するリンク機構からなる支持案内機構と、ステージ部材にX方向とY方向の直線的な駆動力を付与する駆動装置とを具備している。
【0004】
さらに、この手振れ補正装置は、カメラに生じた手振れを検出するセンサを具備している。カメラに手振れが生じるとセンサがこれを検出し、検出した手振れの方向及び手振れ量に応じて駆動装置の駆動量を制御し、カメラの手振れを補正する。
【特許文献1】特開平10−268373号公報
【特許文献2】特開平11−148984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の手振れ補正装置では、ステージ部材を大きく動かすには、駆動装置を大きく動くように構成しなければならなかった。しかし、駆動装置をこのように構成すると、カメラ自体が大きくなってしまう。
また、ステージ部材を精度良く微小に動かすように構成することも難しかった。
【0006】
本発明の目的は、駆動装置の移動量よりステージ部材の移動量が大きくまたは小さくしながら、駆動装置からステージ部材に駆動力を伝達できるステージ装置及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のステージ装置は、固定支持基板と、上記固定支持基板上に、特定のX方向及びX方向に直交するY方向に直線移動自在として支持されたステージ部材と、該ステージ部材にX方向の駆動力を付与するX方向駆動手段と、を備えるステージ装置において、上記X方向駆動手段は、X方向へ移動するX方向移動部材を備え、このX方向移動部材と上記ステージ部材との間に、該X方向移動部材の移動量を拡大または縮小してステージ部材に伝達するX方向移動量調整伝達手段を設けたことを特徴としている。
【0008】
上記X方向移動量調整伝達手段が、X方向及びY方向に対して直交するZ方向を向くX側枢着軸によって交叉部分を回転可能に枢着した一対のリンク部材を備え、該X側枢着軸は固定支持基板に固定され、一対のリンク部材の一端部にはそれぞれ、上記X方向移動部材にY方向に相対移動自在に支持されたZ方向を向く移動軸が枢着され、一対のリンク部材の他端部にはそれぞれ、上記ステージ部材にY方向に相対移動自在に支持されたZ方向を向く移動軸が枢着され、一対のリンク部材の両端部の移動軸はそれぞれ、Y方向の一直線上に位置しており、一対のリンク部材のX方向移動部材側の移動軸から上記X側枢着軸までのX方向距離と、該一対のリンク部材のステージ部材側の移動軸から上記X側枢着軸までのX方向距離とが異なっている態様で実施可能である。
【0009】
X用Xリンクを採用する場合は、上記X側枢着軸から両リンク部材とX方向駆動手段の接続点までのX方向距離より、該X側枢着軸から両リンク部材とステージ部材の接続点までのX方向距離を長く設定したり、短く設定する。
【0010】
X方向駆動手段が、X方向移動部材に固定されたX方向駆動用コイルと、該X方向駆動用コイルに磁力を及ぼして該X方向駆動用コイルとX方向移動部材に上記X方向への相対移動力を与えるX磁力発生装置と、を備え、X方向移動部材とX磁力発生装置の一方を固定支持基板に固定し、他方に上記X用Xリンクの上記一端側を接続するのが実際的である。
【0011】
さらに、Y方向に移動するY方向移動部材を有するY方向駆動手段を備え、このY方向移動部材と上記ステージ部材との間に、該Y方向移動部材の移動量を拡大または縮小してステージ部材に伝達するY方向移動量調整伝達手段を設けるのが好ましい。
【0012】
上記Y方向移動量調整伝達手段が、X方向及びY方向に対して直交するZ方向を向くY側枢着軸によって交叉部分を回転可能に枢着した一対のリンク部材を備え、該Y側枢着軸は固定支持基板に固定され、一対のリンク部材の一端部にはそれぞれ、上記Y方向移動部材にX方向に相対移動自在に支持されたZ方向を向く移動軸が枢着され、一対のリンク部材の他端部にはそれぞれ、上記ステージ部材にX方向に相対移動自在に支持されたZ方向を向く移動軸が枢着され、一対のリンク部材の両端部の移動軸はそれぞれ、X方向の一直線上に位置しており、一対のリンク部材のY方向移動部材側の移動軸から上記Y側枢着軸までのY方向距離と、該一対のリンク部材のステージ部材側の移動軸から上記Y側枢着軸までのY方向距離とが異なっている態様で実施可能である。
【0013】
Y用Xリンクを採用する場合は、上記Y側枢着軸から両リンク部材とY方向駆動手段の接続点までのY方向距離より、該Y側枢着軸から両リンク部材とステージ部材の接続点までのY方向距離を長く設定したり、短く設定する。
【0014】
Y方向駆動手段が、Y方向移動部材に固定したY方向駆動用コイルと、該Y方向駆動用コイルに磁力を及ぼして該Y方向駆動用コイルとY方向移動部材にY方向への相対移動力を与えるY磁力発生装置と、を備え、Y方向移動部材とY磁力発生装置の一方を固定支持基板に固定し、他方にY用Xリンクの上記一端側を接続するのが実際的である。
【0015】
上記X側枢着軸から上記X用リンク部材の一端とX方向駆動手段の接続点までのY方向距離より、該X側枢着軸からX用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのY方向距離が長くなるように設定したり、短く設定するのが好ましい。
【0016】
別の態様に依れば、上記X方向移動量調整伝達手段を、中間部が固定支持基板に、X方向及びY方向に対して直交するZ方向のX側枢着軸回りに回転可能として支持され、一端が上記X方向駆動手段に、Z方向の回転軸回りに回転可能として接続され、他端がステージ部材に、Y方向に相対移動自在、かつ、Z方向の回転軸回りに回転自在として接続されたX用リンク部材を備え、該X側枢着軸からX用リンク部材の一端とX方向駆動手段の接続点までのY方向距離と、該X側枢着軸からX用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのY方向距離とを異ならせて設定するのが実際的である。
【0017】
この態様では、上記ステージ部材が、Y方向を向くY方向スライド溝と、該Y方向スライド溝にY方向に摺動自在に嵌合するY用スライダとを備え、上記X用リンク部材の他端が該Y用スライダにZ方向の回転軸回りに回転自在として接続されるのが実際的である。
【0018】
この場合は、上記X側枢着軸から上記X用リンク部材の一端とX方向駆動手段の接続点までのY方向距離より、該X側枢着軸からX用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのY方向距離が長くなるように設定したり、短くなるように設定する。
【0019】
X方向駆動手段を、X方向移動部材に固定されたX方向駆動用コイルと、該X方向駆動用コイルに磁力を及ぼして該X方向駆動用コイルと該X方向移動部材に上記X方向への相対移動力を与えるX磁力発生装置と、を備え、X方向移動部材とX磁力発生装置の一方を固定支持基板に固定し、他方に上記X用リンク部材を接続するのが実際的である。
【0020】
この態様でも、Y方向に移動するY方向移動部材を有するY方向駆動手段を備え、このY方向移動部材と上記ステージ部材との間に、該Y方向移動部材の移動量を拡大または縮小してステージ部材に伝達するY方向移動量調整伝達手段を設けるのが好ましい。
【0021】
上記Y方向移動量調整伝達手段が、中間部が固定支持基板に、X方向及びY方向に対して直交するZ方向のY側枢着軸回りに回転可能として支持され、一端がY方向駆動手段に、Z方向の回転軸回りに回転可能として接続され、他端がステージ部材に、X方向に相対移動自在、かつ、Z方向の回転軸回りに回転自在として接続されたY用リンク部材を備え、該Y側枢着軸から上記Y用リンク部材の一端とX方向駆動手段の接続点までのX方向距離と、該Y側枢着軸からY用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのX方向距離とを異ならせて設定するのが実際的である。
【0022】
この場合は、上記ステージ部材が、X方向を向くX方向スライド溝と、該X方向スライド溝にX方向に摺動自在に嵌合するX用スライダとを備え、上記Y用リンク部材の他端が該X用スライダにZ方向の回転軸回りに回転自在として接続されるのが実際的である。
【0023】
上記Y側枢着軸からY用リンク部材の一端とY方向駆動手段の接続点までのX方向距離より、該Y側枢着軸からY用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのX方向距離が長くなるように設定したり、短くなるように設定するのが実際的である。
【0024】
上記Y方向駆動手段が、Y方向移動部材に固定されたY方向駆動用コイルと、該Y方向駆動用コイルに磁力を及ぼして該X方向駆動用コイルと該Y方向移動部材にY方向への相対移動力を与えるY磁力発生装置と、を備え、Y方向移動部材とY磁力発生装置の一方を固定支持基板に固定し、他方に上記Y用リンク部材を接続するのが実際的である。
【0025】
上記磁力発生装置が、磁石と、該磁石によって磁化され、該磁石との間で磁力線を形成する、上記コイルを囲む断面コ字形のヨークと、を具備するのが実際的である。
【0026】
これらのステージ装置はカメラの手振れ補正装置として利用できる。具体的には、上記ステージ装置を内蔵するカメラと、上記ステージ部材と一体となって移動する、前面に結像面を有する撮像素子と、上記カメラの振動を検出する振動検出センサと、該振動検出センサが検出した振動情報に基づいて、上記X方向駆動用コイル及び上記Y方向駆動用コイルに、手振れを補正するように電流を流す制御手段と、を備えることにより手振れ補正装置が得られる。
【0027】
また、カメラの手振れ補正装置は、上記ステージ装置を内蔵するカメラと、上記ステージ部材と一体となって移動する、手振れを補正するための補正レンズと、上記カメラの振動を検出する振動検出センサと、該振動検出センサが検出した振動情報に基づいて、上記X方向駆動用コイル及び上記Y方向駆動用コイルに、手振れを補正するように電流を流す制御手段と、
を備えることにより得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、駆動装置の移動量よりステージ部材の移動量が大きくまたは小さくしながら、駆動装置からステージ部材に駆動力を伝達できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図1〜図14に基づいて、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、デジタルカメラ(カメラ)10内には、複数のレンズL1、L2、L3からなる光学系が配設されており、レンズL3の後方にはCCD(撮像素子)11が配設されている。上記カメラ光学系の光軸Oに対して直交するCCD11の撮像面12の位置は、該カメラ光学系の結像位置と一致しており、CCD11はデジタルカメラ10に内蔵された手振れ補正装置15に固定されている。
【0030】
手振れ補正装置15は、図2〜図14に示すように、以下のような構造となっている。
図2に示すように、後方から視たときに方形をなし、方形の収容孔21が穿設された平板状の固定支持基板20は、図示を省略した固定手段によりデジタルカメラ10のボディ内に固定されている。固定支持基板20は、光軸Oに対して直交し、かつ、光軸Oが収容孔21の中心に位置している。
固定支持基板20の後面の右側部には、断面形状がコ字形をなす金属(軟鉄)等の磁性体からなるヨーク(X磁力発生装置)YXの前板部が固着されている。ヨークYXの前板部の後面には、そのN極とS極がX方向(図2の矢印X方向。即ち左右方向。)に並ぶ磁石(X磁力発生装置)MXが固着されている。図3及び図4に示すように、ヨークYXの後板部は磁石MXと対向しており、ヨークYXが磁石MXの磁束を通すことにより、その後板部と磁石MXの間に磁気回路が形成されている。
【0031】
固定支持基板20の後面のヨークYXの周囲には、4本のローラ22が、光軸Oと平行なZ方向(図3から図8の矢印Z参照)を向く回転軸A回りに回転可能として設けられている。各ローラ22の周面には回転軸Aを中心とする円周溝23が凹設されている。各ローラ22の各円周溝23のZ方向位置は同一である。ヨークYXの内部には、X方向及びY方向(図2の矢印Y方向。即ち上下方向。)と平行な平板状のコイル形成板(X方向移動部材)24が位置している。このコイル形成板24の上下両縁部は、上記4本のローラ22の円周溝23に、X方向にのみ移動可能(摺動可能)として嵌合している。
図4及び図7に示すように、コイル形成板24の左側面全体にはX方向及びY方向と平行な挿入溝25が設けられている。コイル形成板24の左端部には、挿入溝25の前後に位置させて、X方向よりY方向に長いY方向長孔26とY方向長孔27が、Y方向に並んだ状態で上下一対として設けられている。
【0032】
このコイル形成板24の前面には磁石MXとZ方向に重合するX方向駆動用コイル(駆動用コイル)CXが、プリントにより平面コイルとして形成されている。図12に示すように、X方向駆動用コイルCXは、各辺が直線状をなす渦巻き状をなしており、右辺CX1と、左辺CX2と、上辺CX3と、下辺CX4とからなっている。図12では便宜上、X方向駆動用コイルCXを電気線を数回巻いたものとして図示しているが、実際は数十回巻かれている。そして、このX方向駆動用コイルCXと、上記ヨークYX、及び磁石MXによってX方向駆動手段が構成されている。
【0033】
例えばX方向駆動用コイルCXに図12に矢線で示す方向の電流が流れると、右辺CX1と左辺CX2にはX方向右向きの直線的な力FXが生じる。この力FXにより、コイル形成板24が各ローラ22を回転させながら右向きに直線的に移動する。この際、上辺CX3と下辺CX4にも力が生じるが、これらの力は互いに打ち消し合うので、コイル形成板24には力を及ぼさない。
X方向駆動用コイルCXに図12の矢線と逆向きの電流を流すと、右辺CX1と左辺CX2にはX方向左向きの直線的な力が生じ、コイル形成板24が各ローラ22を回転させながら左向きに直線的に移動する。
このようにX方向駆動用コイルCXへ流す電流の向きを調整することにより、右辺CX1がN極とZ方向に重合し左辺CX2がS極とZ方向に重合する範囲内で、コイル形成板24がヨークYX(固定支持基板20)に対してX方向(左右方向)に直線移動する。
さらに、X方向駆動用コイルCXへの給電を停止すると、その瞬間にX方向の動力が失われ、コイル形成板24は移動を停止する。また、X方向駆動用コイルCXに流れる電流の大きさと生じる力は比例するので、X方向駆動用コイルCXへ給電する電流を大きくすれば、X方向駆動用コイルCXに掛かる力は大きくなり、電流を小さくすればX方向駆動用コイルCXに掛かる力は小さくなる。
【0034】
固定支持基板20の後面の収容孔21の下方には、断面形状がコ字形をなす金属(軟鉄)等の磁性体からなるヨーク(Y磁力発生装置)YYの前板部が固着されている。ヨークYYの前板部の後面には、そのN極とS極がY方向に並ぶ磁石(Y磁力発生装置)MYが固着されている。図3に示すように、ヨークYYの後板部は磁石MYと対向しており、ヨークYYが磁石MYの磁束を通すことにより、その後板部と磁石MYの間に磁気回路が形成されている。固定支持基板20の後面のヨークYYの周囲には4本のローラ28が、光軸Oと平行なZ方向を向く回転軸A回りに回転可能として設けられている。各ローラ28の周面には回転軸Aを中心とする円周溝29が凹設されており、各円周溝29のZ方向位置は同一である。ヨークYYの内部には、X方向及びY方向と平行な平板状のコイル形成板(Y方向移動部材)30が位置している。このコイル形成板30の左右両側縁部が、上記4本のローラ28の各円周溝29に、Y方向にのみ移動可能(摺動可能)として嵌合している。
コイル形成板30の上面全体にはコイル形成板24と同様に、X方向及びY方向と平行な挿入溝31が設けられている。コイル形成板30の上端部には、この挿入溝31の前後に位置させて、Y方向よりX方向に長いX方向長孔32とX方向長孔33が左右一対として設けられている(X方向長孔32とX方向長孔33はX方向に並んでいる)。
このコイル形成板30の前面には磁石MYとZ方向に重合するY方向駆動用コイル(駆動用コイル)CYが、プリントにより平面コイルとして形成されている。図13に示すように、Y方向駆動用コイルCYは、各辺が直線状をなす渦巻き状をなしており、右辺CY1と、左辺CY2と、上辺CY3と、下辺CX4とからなっている。図13では便宜上、Y方向駆動用コイルCYを電気線を数回巻いたものとして図示しているが、実際は数十回巻かれている。そして、このY方向駆動用コイルCYと、上記ヨークYY、及び磁石MYによってY方向駆動手段が構成されている。
【0035】
例えば、Y方向駆動用コイルCYに図13に矢線で示す方向の電流が流れると、上辺CY3と下辺CY4にはY方向上向きの直線的な力FYが生じる。この力FYにより、コイル形成板30が各ローラ28を回転させながらY方向上向きに直線的に移動する。この際、右辺CY1と左辺CY2にも力が生じるが、これらの力は互いに打ち消し合うので、コイル形成板30には力を及ぼさない。
Y方向駆動用コイルCYに図13の矢線と逆向きの電流を流すと、上辺CY3と下辺CY4にはY方向下向きの直線的な力が生じ、この力により、コイル形成板30が各ローラ28を回転させながらY方向下向きに直線的に移動する。
このようにY方向駆動用コイルCYへ流す電流の向きを調整することにより、上辺CY3がN極とZ方向に重合し下辺CY4がS極とZ方向に重合する範囲内で、コイル形成板30がヨークYY(固定支持基板20)に対してY方向(上下方向)に移動する。
さらに、Y方向駆動用コイルCYへの給電を停止すると、その瞬間にY方向の動力が失われ、コイル形成板30は移動を停止する。また、Y方向駆動用コイルCYに流れる電流の大きさと生じる力は比例するので、Y方向駆動用コイルCYへ給電する電流を大きくすれば、Y方向駆動用コイルCYに掛かる力は大きくなり、電流を小さくすればY方向駆動用コイルCYに掛かる力は小さくなる。
【0036】
収容孔21の内部には、後方から視たときに方形をなす収容孔21より小寸の中空箱状のCCD保持部材(ステージ部材)40が位置している。図4に示すように、CCD保持部材40の前面には正面視方形の採光孔41が穿設されている。CCD保持部材40の内部にはローパスフィルタ42とCCD11が正面視方形環状の押さえ部材43は挟んだ状態で収納されており、正面から視るとCCD11の撮像面12は採光孔41と前後方向に対向する。図3及び図4に示すように、CCD保持部材40の後面にはカバー板44が固着されており(図2では図示を省略している)、CCD保持部材40からCCD11、ローパスフィルタ42、及び押さえ部材43が後方に抜け落ちるのを防止している。図9に示すように、このカバー板44は、前後方向に見たときにCCD保持部材40と同形状をなし、かつ、CCD保持部材40の後端面に固着される方形部35と、方形部35から右側と下側にそれぞれ直線的に延びる舌片36と舌片37とを備えている。図3及び図4に示すように、舌片36の先端部はヨークYX内に位置しており、図示は省略してあるが、舌片37の先端部はヨークYY内に位置している。舌片36の先端部の前面には、磁石MXとヨークYXの間の磁束を利用してカバー板44(CCD11)のX方向の位置変化を検出するX方向ホール素子38が固着されている。舌片37の先端部の前面には、磁石MYとヨークYYの間の磁束を利用してカバー板44(CCD11)のY方向の位置変化を検出するY方向ホール素子39が固着されている。
【0037】
CCD保持部材40の右側面の上下両端部には、前後一対の突片46、突片47が突設されている。前後の突片46と突片47には、X方向よりY方向に長い同一形状のY方向長孔48とY方向長孔49がそれぞれ穿設されている(Y方向長孔48とY方向長孔49はY方向に並んでいる)。前後の突片46と突片47の間に形成されている隙間の前後寸法は、コイル形成板24の挿入溝25の前後寸法と同一である。
CCD保持部材40の下面の左右両端部には、前後一対の突片50、突片51が突設されている。前後の突片50と突片51には、Y方向よりX方向に長い同一形状のX方向長孔52とX方向長孔53がそれぞれ穿設されている(X方向長孔52とX方向長孔53はX方向に並んでいる)。前後の突片50と突片51の間に形成されている隙間の前後寸法は、コイル形成板30の挿入溝31の前後寸法と同一である。
【0038】
このCCD保持部材40は、X用Xリンク54とY用Xリンク55によって、それぞれコイル形成板24とコイル形成板30に、相対移動可能に接続されている。まずは、主に図2と図7を利用してコイル形成板24とCCD保持部材40の間の接続構造であるX用Xリンク54について説明する。
リンク部材56とリンク部材57の中間部は前後方向に重合しており、両者の対向面には互いに相対回転可能に嵌合する凹部58、凹部59が凹設されている。リンク部材56とリンク部材57の各凹部58、59と対応する位置には、共にZ方向を向く円柱形状の連結孔61と連結孔62が貫通孔として穿設されている。連結孔61と連結孔62にはZ方向を向く円柱形状の連結ピン63(X側枢着軸)が挿入されており、この連結ピン63によってリンク部材56とリンク部材57が、連結ピン63を中心に回転可能として連結されている。さらに、連結ピン63の前端は固定支持基板20の後面に固着されている。リンク部材56とリンク部材57の前後方向寸法は同一であり、その前後寸法は、コイル形成板24の挿入溝25の前後寸法、及び、前後の突片46と突片47の間の隙間の前後寸法と同一である。さらに、凹部58と凹部59の前後寸法はリンク部材56及びリンク部材57の前後寸法の半分なので、凹部58と凹部59が互いに接触しつつ嵌合すると、図4及び図6に示すように、リンク部材56及びリンク部材57の前面及び後面が同一平面上に位置する。さらに、リンク部材56とリンク部材57の右端部には、これらをZ方向に貫通する円柱形状の連結孔64と連結孔65が穿設されている。連結孔64と連結孔65の断面径はY方向長孔26及びY方向長孔27のX方向寸法と同一である。リンク部材56とリンク部材57の右端部は挿入溝25に挿入されている。前後のY方向長孔27と連結孔64には、その断面径がY方向長孔27のX方向寸法と同一で、かつ、Z方向を向く円柱形状の連結ピン(移動軸)66が嵌合され、連結ピン66は連結孔64に固定されている。一方、前後のY方向長孔26と連結孔65には、その断面径がY方向長孔26のX方向寸法と同一で、かつ、Z方向を向く円柱形状の連結ピン(移動軸)67が嵌合され、連結ピン67は連結孔65に固定されている。連結ピン66と連結ピン67は、Y方向長孔27とY方向長孔26の内部において自身の軸線回りに回転可能、かつ、Y方向長孔26とY方向長孔27に沿ってY方向に相対移動可能である。
【0039】
リンク部材56とリンク部材57の左端部には、これらをZ方向に貫通する円柱形状の連結孔68と連結孔69が穿設されている。連結孔68と連結孔69の断面径はY方向長孔48及びY方向長孔49のX方向寸法と同一である。リンク部材56とリンク部材57の左端部は前後の突片46と突片47の間に形成された隙間にそれぞれ挿入されている。前後のY方向長孔48と連結孔68には、その断面径がY方向長孔48のX方向寸法と同一で、かつ、Z方向を向く円柱形状の連結ピン(移動軸)70が嵌合されており、連結ピン70は連結孔68に固定されている。一方、前後のY方向長孔49と連結孔69には、その断面径がY方向長孔49のX方向寸法と同一で、かつ、Z方向を向く円柱形状の連結ピン(移動軸)71が嵌合されており、連結ピン71は連結孔69に固定されている。連結ピン70と連結ピン71は、Y方向長孔48とY方向長孔49の内部において自身の軸線回りに回転可能であり、かつ、Y方向長孔48とY方向長孔49に沿ってY方向に相対移動可能である。
図2及び図7に示すように、連結ピン63から連結ピン66と連結ピン67までの直線距離より、連結ピン63から連結ピン70と連結ピン71までの直線距離の方が長く設定してある。
以上説明したY方向長孔26、Y方向長孔27、Y方向長孔48、Y方向長孔49、リンク部材56、リンク部材57、連結ピン63、連結ピン66、連結ピン67、連結ピン70、及び連結ピン71がX方向移動量調整伝達手段の構成要素である。
【0040】
X方向駆動用コイルCXに電流が流れ、その結果、図10に示すように、コイル形成板24がヨークYXに対して左側に直線移動すると、連結ピン66と連結ピン67がY方向長孔27とY方向長孔26の内部を互いに離れるようにY方向に直線移動し、かつ、連結ピン70と連結ピン71がY方向長孔48とY方向長孔49の内部を互いに離れるようにY方向に直線移動する。すると、連結ピン66(連結ピン67)と連結ピン70(連結ピン71)の間のX方向距離(及び連結ピン66(連結ピン67)と連結ピン70(連結ピン71)の連結ピン63に対するX方向距離)が、図2より短くなる。従って、CCD11は固定支持基板20に対して右側に直線移動する。そして、このときのコイル形成板24の左側への移動量とCCD11の右側への移動量の比は、連結ピン63から連結ピン66(連結ピン67)までの直線距離と連結ピン63から連結ピン70(連結ピン71)までの直線距離の比と同一であり、コイル形成板24の左側への移動量よりCCD11の右側への移動量が大きくなる。さらに、この動きに連動して、突片50と突片51のX方向長孔52とX方向長孔53が、後述する連結ピン86と連結ピン87に対してそれぞれ右側に相対移動する。
【0041】
一方、コイル形成板24がヨークYXに対して右側に直線移動すると、連結ピン66と連結ピン67がY方向長孔27とY方向長孔26の内部を互いに近づくようにY方向に直線移動し、かつ、連結ピン70と連結ピン71がY方向長孔48とY方向長孔49の内部を互いに近づくようにY方向に直線移動する。その結果、連結ピン66(連結ピン67)と連結ピン70(連結ピン71)のX方向距離(及び連結ピン66(連結ピン67)と連結ピン70(連結ピン71)の連結ピン63に対するX方向距離)が長くなる。従って、CCD11は固定支持基板20に対して左側に直線移動する。そして、このときのコイル形成板24の右側への移動量とCCD11の左側への移動量の比も、連結ピン63から連結ピン66(連結ピン67)までの直線距離と連結ピン63から連結ピン70(連結ピン71)までの直線距離の比と同一であり、コイル形成板24の右側への移動量よりCCD11の左側への移動量が大きくなる。さらにこの動きに連動して、突片50と突片51のX方向長孔52とX方向長孔53が、連結ピン86と連結ピン87に対してそれぞれ左側に相対移動する。
【0042】
次に、主に図2と図8を利用してコイル形成板30とCCD保持部材40の間の接続構造であるY用Xリンク55について説明する。
リンク部材73とリンク部材74の中間部は前後方向に重合しており、両者の対向面には互いに相対回転可能に嵌合する凹部75、凹部76が凹設されている。リンク部材73とリンク部材74の各凹部75、76と対応する位置には、共にZ方向を向く円柱形状の連結孔77と連結孔78が貫通孔として穿設されている。連結孔77と連結孔78にはZ方向を向く円柱形状の連結ピン(Y側枢着軸)79が挿入されており、この連結ピン79によってリンク部材73とリンク部材74が連結ピン79を中心に回転可能として連結されている。さらに、連結ピン79の前端は固定支持基板20の後面に固着されている。リンク部材73とリンク部材74の前後寸法は同一であり、その前後寸法は、コイル形成板30の挿入溝31の前後寸法、及び、前後の突片50と突片51の間の隙間の前後寸法と同一である。さらに、凹部75と凹部76の前後寸法はリンク部材73及びリンク部材74の前後寸法の半分なので、凹部75と凹部76が嵌合すると、図5に示すように、リンク部材73及びリンク部材74の前面及び後面が同一平面上に位置する。さらに、リンク部材73とリンク部材74の下端部には、これらをZ方向に貫通する円柱形状の連結孔80と連結孔81が穿設されている。連結孔80と連結孔81の断面径はX方向長孔32及びX方向長孔33のY方向寸法と同一である。リンク部材73とリンク部材74の下端部は挿入溝31に挿入されている。前後のX方向長孔33と連結孔80には、その断面径がX方向長孔33のY方向寸法と同一で、かつ、Z方向を向く連結ピン(移動軸)82が嵌合され、連結ピン82が連結孔80に固定されている。一方、前後のX方向長孔32と連結孔81には、その断面径がX方向長孔32のY方向寸法と同一で、かつ、Z方向を向く連結ピン(移動軸)83が嵌合され、連結ピン83が連結孔81に固定されている。連結ピン82と連結ピン83は、X方向長孔32とX方向長孔33の内部において自身の軸線回りに回転可能であり、かつ、X方向長孔32とX方向長孔33に沿ってX方向に相対移動可能である。
【0043】
リンク部材73とリンク部材74の上端部には、これらをZ方向に貫通する円柱形状の連結孔84と連結孔85が穿設されている。連結孔84と連結孔85の断面径はX方向長孔52及びX方向長孔53のY方向寸法と同一である。そして、リンク部材73とリンク部材74の上端部は、前後の突片51と突片50の間に形成された隙間にそれぞれ挿入されている。前後のX方向長孔53と連結孔84には、その断面径がX方向長孔53のY方向寸法と同一で、かつ、Z方向を向く連結ピン(移動軸)86が嵌合され、連結ピン86が連結孔84に固定されている。一方、前後のX方向長孔52と連結孔85には、その断面径がX方向長孔52のY方向寸法と同一で、かつ、Z方向を向く連結ピン(移動軸)87が嵌合され、連結ピン87が連結孔85に固定されている。連結ピン86と連結ピン87は、X方向長孔53とX方向長孔52の内部において自身の軸線回りに回転可能であり、かつ、X方向長孔53とX方向長孔52に沿ってX方向に相対移動可能である。
図2及び図8に示すように、連結ピン79から連結ピン82と連結ピン83までの直線距離より、連結ピン79から連結ピン86と連結ピン87までの直線距離の方が長く設定してある。
以上説明したX方向長孔32、X方向長孔33、X方向長孔52、X方向長孔53、リンク部材73、リンク部材74、連結ピン79、連結ピン82、連結ピン83、連結ピン86、及び連結ピン87がY方向移動量調整伝達手段の構成要素である。
【0044】
図11に示すように、コイル形成板30がヨークYYに対して上側に直線移動すると、連結ピン82と連結ピン83がX方向長孔32とX方向長孔33の内部を互いに離れるようにX方向に直線移動し、かつ、連結ピン86と連結ピン87がX方向長孔53とX方向長孔52の内部を互いに離れるようにX方向に直線移動する。すると、連結ピン82(連結ピン83)と連結ピン86(連結ピン87)の間のY方向距離(及び連結ピン82(連結ピン83)と連結ピン86(連結ピン87)の連結ピン79に対するY方向距離)が短くなる。従って、CCD11は固定支持基板20に対して下側に直線移動する。そして、このときのコイル形成板30の上側への移動量とCCD11の下側への移動量の比は、連結ピン79から連結ピン82(連結ピン83)までの直線距離と連結ピン79から連結ピン86(連結ピン87)までの直線距離の比と同一であり、コイル形成板30の上側への移動量よりCCD11の下側への移動量が大きくなる。
コイル形成板30がヨークYYに対して下側に直線移動すると、連結ピン82と連結ピン83がX方向長孔32とX方向長孔33の内部を互いに近づくようにX方向に直線移動し、連結ピン86と連結ピン87がX方向長孔53とX方向長孔52の内部を互いに近づくようにX方向に直線移動し、その結果、連結ピン82(連結ピン83)と連結ピン86(連結ピン87)のY方向距離(及び連結ピン82(連結ピン83)と連結ピン86(連結ピン87)の連結ピン79に対するY方向距離)が長くなる。従って、CCD11は固定支持基板20に対して上側に直線移動する。そして、このときのコイル形成板30の下側への移動量とCCD11の上側への移動量の比は、連結ピン79から連結ピン82(連結ピン83)までの直線距離と連結ピン79から連結ピン86(連結ピン87)までの直線距離の比と同一であり、コイル形成板30の下側への移動量よりCCD11の上側への移動量が大きくなる。
【0045】
次に、このような構成の手振れ補正装置15の動作について、図14の制御回路ブロック図を用いながら説明する。
手振れ補正は、撮影者の手振れによる撮影レンズ光軸Oの角度振れによる画像の揺れを打ち消すように行われる。撮影レンズ光軸Oの角度振れは通常、カメラ内に搭載されたX方向角速度センサ(振動検出センサ)90とY方向角速度センサ(振動検出センサ)91とで2方向(X方向とY方向)に分けて検出される。
デジタルカメラ10によって撮影を行うと、各レンズL1〜L3を透過した光が、採光孔41と光学ローパスフィルタ42を通ってCCD11の撮像面12に結像する。この際、デジタルカメラ10の手振れ補正スイッチ(不図示)をONにして撮影を行なうと、X方向角速度センサ90とY方向角速度センサ91の出力を積分回路(制御手段)92、93で積分し光軸OのX方向とY方向の角度振れ量に変換する。積分回路92の出力(デジタルカメラ10のX方向の振動量)を、移動量演算手段(制御手段)96が焦点距離に基づく撮像面12での移動量に演算する。さらに、この演算値とX方向ホール素子38の出力(CCD11のデジタルカメラ10に対するX方向の移動量)を誤差増幅器(制御手段)94が比較し、誤差増幅器94がこの出力差に連結ピン63から連結ピン66(連結ピン67)までの距離と連結ピン70(連結ピン71)までの距離の比を掛けた値を演算する。そして、この演算値に応じた電圧が誤差増幅器94によってX方向駆動用コイルCXに印加され、この出力差が小さくなるようにコイル形成板24をX方向に駆動する。同様に積分回路93の出力(デジタルカメラ10のY方向の振動量)を、移動量演算手段(制御手段)97が焦点距離に基づく撮像面12での移動量に演算する。さらに、この演算値とY方向ホール素子39の出力(CCD11のデジタルカメラ10に対するY方向の移動量)を誤差増幅器(制御手段)95が比較し、誤差増幅器95がこの出力差に連結ピン79から連結ピン82(連結ピン83)までの距離と連結ピン86(連結ピン87)までの距離の比を掛けた値を演算する。そして、この演算値に応じた電圧が誤差増幅器95によってY方向駆動用コイルCYに印加され、この出力差が小さくなるようにコイル形成板30をY方向に駆動する。すなわち、手振れによる光軸Oの角度振れ量に追従して、コイル形成板24とコイル形成板30の移動量より大きい移動量でCCD11をXY方向に駆動し(CCD保持部材40が収容孔21に接触しない範囲内で)、手振れによるCCD11上の像振れを補正する。CCD11のXY方向への直線移動中、CCD11の撮像面12は常に光軸Oと直交する。
【0046】
以上説明した本実施形態によれば、コイル形成板24とコイル形成板30の移動量よりCCD保持部材40(CCD11)の移動量を大きくしながら、コイル形成板24とコイル形成板30の駆動力をCCD保持部材40に伝達しているので、駆動手段であるコイル形成板24、コイル形成板30、ヨークYX、ヨークYY、X方向駆動用コイルCX、Y方向駆動用コイルCYを従来に比して小型化できる。
【0047】
また、X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYが、X方向及びY方向と平行な平面状なので、X方向駆動用コイルCX、Y方向駆動用コイルCYの巻き数を多くして大きな動力を得ようとすると、X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYはX方向とY方向に延びる。しかし、X方向駆動用コイルCとY方向駆動用コイルCYの巻き数を多くしても、X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYが光軸O方向には大きくならず、ヨークYX、ヨークYYも光軸O方向に大型化しないので、デジタルカメラ10が光軸O方向に大型化することはない。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態について、図15〜図22を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符合を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
収容孔21の内部には、第1の実施形態のCCD保持部材40と略同形状で、収容孔21より小寸の中空箱状のCCD保持部材(ステージ部材)101が位置している。図17に示すようにCCD保持部材101の前面には正面視方形の採光孔41が穿設されており、内部にはローパスフィルタ42とCCD11が押さえ部材43は挟んだ状態で収納されており、正面から視るとCCD11の撮像面12は採光孔41と前後方向に対向する。
【0049】
CCD保持部材101の後面にはX方向を向くX方向スライド溝102とX方向スライド溝103が、上下一対として凹設されている。図15、図18、及び図20に示すように、X方向スライド溝102とX方向スライド溝103は同形状の直線溝であり、断面形状は共に方形である。X方向スライド溝102とX方向スライド溝103には、そのY方向寸法がX方向スライド溝102及びX方向スライド溝103と等しく、X方向寸法及びZ方向寸法がX方向スライド溝102及びX方向スライド溝103より短い、互いに同形状(直方体)のX用スライダ104とX用スライダ105が、それぞれX方向にのみ摺動可能として嵌合している。X用スライダ104とX用スライダ105は図示を省略した付勢手段によって常に前方に付勢されており、X用スライダ104とX用スライダ105の上下両面と前面は常にX方向スライド溝102とX方向スライド溝103の内面にそれぞれ接触している。さらに、X用スライダ104の後面にはX方向を向くX方向リンク部材(Y用リンク部材)106の左端部が、Z方向を向く連結ピン107によって枢着されており、X方向リンク部材106はX用スライダ104に対して連結ピン107回りに回転可能である。固定支持基板20の後面に突設された軸受け16にはZ方向を向く連結ピン(Y用枢着軸)108が固定されており、X方向リンク部材106の中間部が連結ピン108に枢着されている。よって、X方向リンク部材106は固定支持基板20に対して連結ピン108を中心に回転可能である。
一方、X用スライダ105の後面にはX方向リンク部材106と同形状のX方向を向くX方向リンク部材(Y用リンク部材)109の左端部が、Z方向を向く連結ピン110によって枢着されている。X方向リンク部材109はX用スライダ105に対して連結ピン110回りに回転可能である。固定支持基板20の後面には、そのX方向位置が軸受け16と一致する軸受け17が突設されている。この軸受け17には、Z方向を向く連結ピン(Y用枢着軸)111が固定されており、X方向リンク部材109の中間部は連結ピン111に枢着されている。即ち、X方向リンク部材109は固定支持基板20に対して連結ピン111を中心に回転可能である。
【0050】
X方向リンク部材106の前面の右端部には、Z方向を向く連結ピン112によってY方向を向くY方向リンク部材(Y方向駆動手段)(Y方向移動部材)113の上端部が枢着されており、Y方向リンク部材113とX方向リンク部材106は連結ピン112を中心に相対回転可能である。さらに、Y方向リンク部材113の下端部は、X方向リンク部材109の前面の右端部に、Z方向を向く連結ピン114によって枢着されており、Y方向リンク部材113とX方向リンク部材109は連結ピン114回りに相対回転可能である。そして、Y方向リンク部材113の後面中央部にはコイル形成板(Y方向移動部材)24の前面が固着されている。さらに、固定支持基板20のコイル形成板24近傍には、第1の実施形態のヨークYXと同構造のヨークYYが固着されている。図16及び図17に示すように、ヨークYYの前板部と後板部の間にY方向リンク部材113とコイル形成板24が位置している。そして、ヨークYYの前板部の後面には、そのN極とS極がY方向に並ぶ磁石MYが固着されており、互いに対向するヨークYYの後板部と磁石MYの間には磁気回路が形成されている。
【0051】
図15及び図20に示すように、連結ピン108から連結ピン112までの直線距離(X方向距離)より連結ピン108から連結ピン107までの直線距離(X方向距離)が長くなるように、連結ピン108の位置は設定されている。同様に、連結ピン111から連結ピン114までの直線距離(X方向距離。連結ピン108から連結ピン112までの直線距離と同一)より連結ピン111から連結ピン110までの直線距離(X方向距離。連結ピン108から連結ピン107までの直線距離と同一)が長くなるように、連結ピン111の位置が設定されている。
そして、これらX方向スライド溝102、X方向スライド溝103、X用スライダ104、X用スライダ105、X方向リンク部材106、連結ピン107、連結ピン108、X方向リンク部材109、連結ピン110、連結ピン111、連結ピン112、Y方向リンク部材113、連結ピン114はY方向移動量調整伝達手段の構成要素である。
【0052】
CCD保持部材101の後面の左端部にはY方向を向くY方向スライド溝117が凹設されている。図17、図19、図20に示すようにY方向スライド溝117は断面が方形の直線溝である。Y方向スライド溝117には、そのX方向寸法がY方向スライド溝117と等しく、Y方向寸法及びZ方向寸法がY方向スライド溝117より短い直方体形状のY用スライダ118が、Y方向にのみ摺動可能として嵌合している。Y用スライダ118は図示を省略した付勢手段によって常に前方に付勢されており、Y用スライダ118の左右両面と前面は常にY方向スライド溝117の内面にそれぞれ接触している。さらに、Y用スライダ118の後面にはY方向を向くY方向リンク部材(X用リンク部材)119の上端部が、Z方向を向く連結ピン120によって枢着されており、Y方向リンク部材119はY用スライダ118に対して連結ピン120回りに回転可能となっている。固定支持基板20の後面には軸受け18が突設されており、Y方向リンク部材119の中間部は、この軸受け18に支持されたZ方向を向く連結ピン(X用枢着軸)121に枢着されている。即ち、Y方向リンク部材119は固定支持基板20に対して連結ピン121を中心に回転可能である。固定支持基板20の後面の軸受け18の右側には軸受け19が突設されている(軸受け19のY方向位置は軸受け18と同一である)。軸受け19には、Z方向を向く連結ピン123が支持されており、この連結ピン123に、Y方向リンク部材119と平行なY方向リンク部材122の上端部が(連結ピン123回りに)回転可能に枢着されている。そして、Y方向リンク部材122の前面の下端部には、Z方向を向く連結ピン124によって、X方向を向くX方向リンク部材(X方向駆動手段)(X方向移動部材)125の右端部が枢着されており、X方向リンク部材125とY方向リンク部材122は連結ピン124回りに回転可能である。さらに、X方向リンク部材125の左端部は、Z方向を向く連結ピン126によってY方向リンク部材119の前面の下端部に枢着されており、Y方向リンク部材119とX方向リンク部材125は連結ピン126回りに回転可能である。
X方向リンク部材125の後面中央部にはコイル形成板(X方向移動部材)30の前面が固着されている。さらに、固定支持基板20のコイル形成板30近傍には、第1の実施形態のヨークYYと同構造のヨークYXが固着されている。図20に示すように、ヨークYXの前板部と後板部の間にX方向リンク部材125とコイル形成板30が位置している。そして、ヨークYXの前板部の後面には、そのN極とS極がX方向に並ぶ磁石MXが固着されており、互いに対向するヨークYXの後板部と磁石MXの間に磁気回路が形成されている。
【0053】
図15及び図20に示すように、連結ピン121から連結ピン126までの直線距離(Y方向距離。連結ピン123から連結ピン124までの直線距離と同一)より連結ピン121から連結ピン120までの直線距離(Y方向距離)が長くなるように、連結ピン121(軸受け18と軸受け19)のY方向位置を設定している。
そして、これらY方向スライド溝117、Y用スライダ118、Y方向リンク部材119、連結ピン120、連結ピン121、Y方向リンク部材122、連結ピン123、連結ピン124、X方向リンク部材125、連結ピン126はX方向移動量調整伝達手段の構成要素である。
【0054】
図15〜図17及び図19に示すように、CCD保持部材101の後面にはカバー板44の方形部35が固着されている。さらに図15〜図17に示すように、舌片36の先端部はヨークYY内に位置しており、図15に示すように、舌片37の先端部はヨークYX内に位置している。舌片36の先端部の前面には、磁石MYとヨークYYの間の磁束を利用してカバー板44(CCD11)のY方向の位置変化を検出するY方向ホール素子39が固着されている。舌片37の先端部の前面には、磁石MXとヨークYXの間の磁束を利用してカバー板44(CCD11)のX方向の位置変化を検出するX方向ホール素子38が固着されている。
【0055】
Y方向駆動用コイルCYに電流を流してコイル形成板24を固定支持基板20に対して図15の上側に直線移動させると、図22に示すように、この移動力(駆動力)がY方向リンク部材113を介してX方向リンク部材106とX方向リンク部材109に伝わり、X方向リンク部材106とX方向リンク部材109が平行関係を維持しながら連結ピン108と連結ピン111を中心に図15(図22)の反時計方向に回転する。すると、X方向リンク部材106とX方向リンク部材109がX用スライダ104とX用スライダ105に対して相対回転し、X方向スライド溝102とX方向スライド溝103はX方向を向いた状態を維持する。さらに、Y方向スライド溝117(CCD保持部材101)がY用スライダ118(及び固定支持基板20)に対して下向きに相対移動する。
一方、Y方向駆動用コイルCYに逆向きに電流を流してコイル形成板24を図15の下側に直線移動させると、この移動力(駆動力)がY方向リンク部材113を介してX方向リンク部材106とX方向リンク部材109に伝わり、X方向リンク部材106とX方向リンク部材109が連結ピン108と連結ピン111を中心に図15の時計方向に回転する。すると、X方向リンク部材106とX方向リンク部材109がX用スライダ104とX用スライダ105に対して相対回転し、X方向スライド溝102とX方向スライド溝103はX方向を向いた状態を維持する。さらに、Y方向スライド溝117(CCD保持部材101)がY用スライダ118(及び固定支持基板20)に対して上向きに相対移動する。
このようにコイル形成板24のY方向への直線移動に起因してCCD保持部材101(CCD11)がY方向に直線移動するとき、コイル形成板24の移動量とCCD保持部材101(CCD11)の移動力の比は、連結ピン108(連結ピン111)から連結ピン112(連結ピン114)までの直線距離と、連結ピン108(連結ピン111)から連結ピン107(連結ピン110)までの直線距離の比と同じであり、コイル形成板24よりCCD保持部材101(CCD11)が大きく動く。
【0056】
X方向駆動用コイルCXに電流を流してコイル形成板30を図15の右側に直線移動させると、図21に示すように、この移動力(駆動力)がX方向リンク部材125を介しY方向リンク部材119とY方向リンク部材122に伝わり、Y方向リンク部材119とY方向リンク部材122が平行関係を維持しながら連結ピン121と連結ピン123を中心に図15(図21)の反時計方向に回転する。すると、Y方向リンク部材119がY用スライダ118に対して相対回転し、さらに、Y方向リンク部材122がY方向リンク部材119と同じ角度だけ回転し、Y方向スライド溝117はY方向を向いた状態を維持する。さらに、X方向スライド溝102とX方向スライド溝103(CCD保持部材101)がX用スライダ104とX用スライダ105(及び固定支持基板20)に対して左側に直線的に相対移動する。
【0057】
一方、X方向駆動用コイルCXに逆向きに電流を流してコイル形成板30を図15の左側に直線移動させると、この移動力(駆動力)がX方向リンク部材125を介してY方向リンク部材119とY方向リンク部材122に伝わり、Y方向リンク部材119とY方向リンク部材122が連結ピン121と連結ピン123を中心に図15の時計方向に回転する。すると、Y方向リンク部材119がY用スライダ118に対して相対回転し、さらに、Y方向リンク部材122がY方向リンク部材119と同じ角度だけ回転し、Y方向スライド溝117はY方向を向いた状態を維持する。さらに、X方向スライド溝102とX方向スライド溝103(CCD保持部材101)がX用スライダ104とX用スライダ105(及び固定支持基板20)に対して右側に直線的に相対移動する。
このようにコイル形成板30のX方向への直線移動に起因してCCD保持部材101(CCD11)がX方向に直線移動するとき、コイル形成板30の移動量とCCD保持部材101(CCD11)の移動力の比は、連結ピン121から連結ピン126までの直線距離と、連結ピン121から連結ピン120までの直線距離の比と同じであり、コイル形成板30よりCCD保持部材101(CCD11)が大きく動く。
【0058】
このような構成の手振れ補正装置100も図14の制御回路ブロック図に従って制御される。即ち、誤差増幅器94が連結ピン121から連結ピン126までの直線距離と、連結ピン121から連結ピン120までの直線距離の比を考慮しながらX方向駆動用コイルCXに電流を流し、誤差増幅器95が連結ピン108(連結ピン111)から連結ピン112(連結ピン114)までの直線距離と、連結ピン108(連結ピン111)から連結ピン107(連結ピン110)までの直線距離の比を考慮しながらY方向駆動用コイルCYに電流を流すことにより行われる。
【0059】
次に、本発明の第3の実施形態について、図23を参照しながら説明する。以下の説明では、第1の実施形態と同じ部材には同じ符合を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の手振れ補正装置200は第1の実施形態と同様に、X用Xリンク201とY用Xリンク202を用いてCCD保持部材40とコイル形成板(X方向移動部材)203(コイル形成板24と基本構造は同一であるが寸法が異なる)とコイル形成板(X方向移動部材)204(コイル形成板30と基本構造は同一であるが寸法が異なる)を接続したものである。ただし、X用Xリンク201の連結ピン63(固定支持基板20に固着されている)から連結ピン66(連結ピン67)と連結ピン70(連結ピン71)までの直線距離の比、及びY用Xリンク202の連結ピン79(固定支持基板20に固着されている)から連結ピン82(連結ピン83)と連結ピン86(連結ピン87)までの直線距離の比が、第1の実施形態とは異なる。
【0060】
CCD保持部材40の右側面には突片46と突片47が、前後一対として突設されているが、第1の実施形態に比べて突片46と突片47の上下間隔が狭い(Y方向長孔48とY方向長孔49はY方向に並んでいる)。さらにCCD保持部材40の下面には、第1の実施形態より狭い左右間隔で、突片50と突片51が、前後一対として突設されている(X方向長孔52とX方向長孔53はX方向に並んでいる)。
本実施形態の固定支持基板20の後面の右端部には、第1の実施形態に比べてY方向に長い間隔をもって4つのローラ22が突設されており、各ローラ22の円周溝23には、第1の実施形態のコイル形成板24に比べてY方向寸法が長いコイル形成板203の上下両縁部がX方向にのみ摺動可能に嵌合している。コイル形成板203の左側面には挿入溝25(図23では図示略)が形成されている。コイル形成板203の挿入溝25の前後には、Y方向長孔26とY方向長孔27が前後一対としてY方向に並べて穿設されている。
そして、リンク部材56とリンク部材57の両端部が連結ピン66、連結ピン67、連結ピン70、連結ピン71によってY方向長孔26、Y方向長孔27、Y方向長孔48、Y方向長孔49にそれぞれY方向に移動可能として接続されている。図23に示すように本実施形態では、連結ピン63から連結ピン66(連結ピン67)までの直線距離より、連結ピン63から連結ピン70(連結ピン71)までの直線距離の方が短く設定されている。
Y方向長孔26、Y方向長孔27、Y方向長孔48、Y方向長孔49、リンク部材56、リンク部材57、連結ピン63、連結ピン66、連結ピン67、連結ピン70、及び連結ピン71がX方向移動量調整伝達手段の構成要素である。
【0061】
本実施形態の固定支持基板20の後面の下端部には、第1の実施形態に比べてX方向に長い間隔をもって4つのローラ28が突設されており、各ローラ28の円周溝29には、第1の実施形態のコイル形成板30に比べてX方向寸法が長いコイル形成板204の左右両縁部がY方向にのみ摺動可能として嵌合している。コイル形成板204の上面には挿入溝31(図23では図示略)が形成されている。コイル形成板204の挿入溝31の前後には、X方向長孔32とX方向長孔33が前後一対としてX方向に並べて穿設されている。そして、リンク部材73とリンク部材74の両端部が連結ピン82、連結ピン83、連結ピン86、連結ピン87によってX方向長孔32、X方向長孔33、X方向長孔52、X方向長孔53にそれぞれX方向に移動可能として接続されている。図23に示すように本実施形態では、連結ピン79から連結ピン82(連結ピン83)までの直線距離より、連結ピン79から連結ピン86(連結ピン87)までの直線距離の方が短く設定されている。
X方向長孔32、X方向長孔33、X方向長孔52、X方向長孔53、リンク部材73、リンク部材74、連結ピン79、連結ピン82、連結ピン83、連結ピン86、及び連結ピン87がY方向移動量調整伝達手段の構成要素である。
【0062】
このような構成の手振れ補正装置200は第1の実施形態の手振れ補正装置15とほぼ同様の動作をするが、X方向駆動用コイルCXに電流を流してコイル形成板203を左方または右方に直線移動させた際、コイル形成板203の移動量よりCCD保持部材40(CCD11)の左方または右方への移動量が小さくなる点が第1の実施形態とは異なる。同様に、Y方向駆動用コイルCYに電流を流してコイル形成板204を上方または下方に直線移動させた際、コイル形成板204の移動量よりCCD保持部材40(CCD11)の下方または上方への移動量が小さくなる点が第1の実施形態とは異なる。
このようにコイル形成板203とコイル形成板204の移動量よりCCD保持部材40(CCD11)の移動量を小さくしてあるので、CCD保持部材40(CCD11)をより細かに精度良く移動させることが可能であり、より正確な手振れ補正動作を実現できる。
【0063】
最後に、本発明の第4の実施形態について、図24〜図26を参照しながら説明する。本実施形態の手振れ補正装置300の基本構造は第2の実施形態の手振れ補正装置100と同じなので、以下の説明では、第2の実施形態と同じ部材には同じ符合を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の手振れ補正装置300では、固定支持基板20の収容孔301が第2の実施形態の収容孔21より小寸であり、この収容孔301に移動可能に嵌合するCCD保持部材(ステージ部材)302も第2の実施形態のCCD保持部材101に比べて小寸である。CCD保持部材302の後部には背面視(正面視)においてCCD保持部材302より大寸である方形の溝形成部材(ステージ部材)303が一体的に固定されている。そして、溝形成部材303の前面には、第2の実施形態のX方向スライド溝102とX方向スライド溝103とY方向スライド溝117にそれぞれ対応するX方向スライド溝305とX方向スライド溝306とY方向スライド溝307がそれぞれ凹設されている。図24に示すように、X方向スライド溝305とX方向スライド溝306はX方向を向く直線状の溝であり、Y方向スライド溝307はY方向を向く直線状の溝である。X方向リンク部材106とX方向リンク部材109は溝形成部材303の前方に位置しており、X方向リンク部材106とX方向リンク部材109の後面には、連結ピン107と連結ピン110によってX用スライダ104とX用スライダ105が回転可能に枢着されている。X用スライダ104とX用スライダ105は、前方からX方向スライド溝305とX方向スライド溝306にそれぞれ嵌合しており、X用スライダ104とX用スライダ105はX方向スライド溝305とX方向スライド溝306に対してX方向にのみ摺動可能である。さらに、X用スライダ104とX用スライダ105は図示を省略した抜け止め手段によって、X方向スライド溝305とX方向スライド溝306から前方へ抜け出さないようになっている。さらに、固定支持基板20の後面に突設された軸受け16と軸受け17(いずれも図示略)の位置が、第2の実施形態とは異なっている。即ち、軸受け16に支持された連結ピン108(軸受け17に支持された連結ピン111)から連結ピン107(連結ピン110)までのX方向直線距離より、連結ピン108(連結ピン111)から連結ピン112(連結ピン114)までのX方向直線距離の方が長くなるように、連結ピン108と連結ピン111のX方向位置(軸受け16と軸受け17の突設位置)が決定されている。連結ピン108と連結ピン111のX方向位置は一致しており、かつ、連結ピン107と連結ピン110のX方向位置、及び連結ピン112と連結ピン114のX方向位置は常に一致する。
そして、これらX方向スライド溝305、X方向スライド溝306、X用スライダ104、X用スライダ105、X方向リンク部材106、連結ピン107、連結ピン108、X方向リンク部材109、連結ピン110、連結ピン111、連結ピン112、Y方向リンク部材113、連結ピン114がX方向移動量調整伝達手段の構成要素である。
【0064】
Y方向リンク部材119とY方向リンク部材122は溝形成部材303の前方に位置しており、Y方向リンク部材119の後面側に連結ピン120によってY用スライダ118が、連結ピン120回りに回転可能として枢着されている。Y用スライダ118は、前方からY方向スライド溝307に嵌合しており、Y用スライダ118はY方向スライド溝307に対してY方向にのみ摺動可能となっている。さらに、Y用スライダ118は図示を省略した抜け止め手段によって、Y方向スライド溝307から抜け出さないようになっている。さらに、Y方向リンク部材119の回転中心である連結ピン121(連結ピン121を支持する軸受け18)と、Y方向リンク部材122の回転中心である連結ピン123(連結ピン123を支持する軸受け19)のY方向位置が第2の実施形態とは異なっている。即ち、連結ピン120から連結ピン121までのY方向直線距離より、連結ピン126から連結ピン121までのY方向直線距離の方が長くなるように連結ピン121の位置(軸受け18の突設位置)が決定されている。連結ピン121と連結ピン123のY方向位置(軸受け18と軸受け19のY方向位置)は一致しており、連結ピン124と連結ピン126、及び連結ピン120と連結ピン123のY方向位置は常に一致する。
そして、これらY方向スライド溝307、Y用スライダ118、Y方向リンク部材119、連結ピン120、連結ピン121、Y方向リンク部材122、連結ピン123、連結ピン124、X方向リンク部材125、連結ピン126がY方向移動量調整伝達手段の構成要素である。
【0065】
溝形成部材303とCCD保持部材302には、これらに跨る収納用凹部309が設けられている。収納用凹部309の後面は開口しており、収納用凹部309の内部には、第2の実施形態と同様に、ローパスフィルタ42と押さえ部材43とCCD11が収納されている。収納用凹部309の前端はCCD保持部材302の前面において開口する採光孔(図示略)であり、この採光孔はローパスフィルタ42より小寸であり、ローパスフィルタ42がCCD保持部材302の前方に抜け出さないようにしてある。この採光孔とローパスフィルタ42を通った光は、CCD11の撮像面12に到達する。溝形成部材303の右側面と下面からは第2の実施形態の舌片36と舌片37に対応する舌片312と舌片313が延出しており、舌片312と舌片313の前面にはY方向ホール素子39とX方向ホール素子38がそれぞれ固着されている。さらに、収納用凹部309の後面開口部は、溝形成部材303の後面に取り付けられたカバー部材314(図24では破断して示している)によって覆われている。
【0066】
このような構成の手振れ補正装置300は第2の実施形態の手振れ補正装置100とほぼ同様の動作をするが、X方向駆動用コイルCXに電流を流してコイル形成板30を左方または右方に直線移動させた際、コイル形成板30の移動量よりCCD保持部材302と溝形成部材303(CCD11)の左方または右方への移動量が小さくなる点が第2の実施形態とは異なる。同様に、Y方向駆動用コイルCYに電流を流してコイル形成板24を上方または下方に直線移動させた際、コイル形成板24の移動量よりCCD保持部材302と溝形成部材303(CCD11)の下方または上方への移動量が小さくなる点が第2の実施形態とは異なる。
このようにコイル形成板30とコイル形成板24の移動量よりCCD保持部材302と溝形成部材303(CCD11)の移動量を小さくしてあるので、CCD保持部材302と溝形成部材303(CCD11)をより細かに精度良く移動させることが可能であり、より正確な手振れ補正動作を実現できる。
【0067】
以上、上記各実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれら各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施して実施可能である。
例えば、上記両実施形態では、CCD保持部材40やCCD保持部材101やCCD保持部材302にCCD11を固定しているが、例えば図27に示すように、CCD11を固定支持基板20の後方に配設し、CCD保持部材40(またはCCD保持部材101やCCD保持部材302と溝形成部材303など)に円形の取付孔40aを穿設して、この取付孔40aに補正レンズCLを嵌合固定し、この補正レンズCLをレンズL1とレンズL2の間(またはレンズL2とレンズL3の間)に配置させて実施してもよい。このような構造として補正レンズCLをX方向とY方向に直進移動させても、手振れ補正を行うことが可能である。さらに、このような補正レンズCLを用いた手振れ補正装置は、CCD11を省略することにより、銀塩カメラにも適用可能となる。
【0068】
また、各実施形態では固定支持基板20側に、両ヨークYX、ヨークYY(及び磁石MX、磁石MY)を設け、CCD保持部材40やCCD保持部材101や溝形成部材303側にコイル形成板24とコイル形成板30を設けたが、固定支持基板20側にコイル形成板24やコイル形成板30を固定して、CCD保持部材40やCCD保持部材101や溝形成部材303とヨークYX、ヨークYY(及び磁石MX、磁石MY)とを、上記Y方向移動接続手段やX方向移動接続手段によって接続してもよい。このようにCCD保持部材40側に、ヨークYX、ヨークYY(及び磁石MX、磁石MY)を接続する場合は、ローラ22、ローラ28によってヨークYX、ヨークYYを挟持してX方向とY方向に直進案内する。
さらに、各実施形態ではX方向及びY方向の位置変化検出センサとしてホール素子を利用したが、ホール素子以外のセンサ、例えばMRセンサやMIセンサを利用することも可能である。
【0069】
以上は、本発明のステージ装置を手振れ補正装置15、100、200、300に利用した実施形態であるが、本発明のステージ装置の用途は手振れ補正装置15、100、200、300に限定されず、CCD保持部材40等のX方向とY方向に移動可能な部材をX方向とY方向に直線的に移動させる様々な装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態である手振れ補正装置を内蔵したデジタルカメラの縦断側面図である。
【図2】手振れ補正装置の非作動状態を、カバー板を省略し、かつ、ヨークの一部を破断して示す背面図である。
【図3】図2のIII−III矢線に沿う断面図である。
【図4】図2のIV−IV矢線に沿う断面図である。
【図5】図2のV−V矢線に沿う断面図である。
【図6】図2のVI−VI矢線に沿う断面図である。
【図7】CCD保持部材とコイル形成板とX用Xリンクの拡大分解斜視図である。
【図8】CCD保持部材とコイル形成板とY用Xリンクの拡大分解斜視図である。
【図9】カバー板の背面図である。
【図10】X方向駆動装置側のコイル形成板が左側に移動したときの手振れ補正装置を、カバー板を省略し、かつ、ヨークの一部を破断して示す背面図である。
【図11】Y方向駆動装置側のコイル形成板が上側に移動したときの手振れ補正装置を、カバー板を省略し、かつ、ヨークの一部を破断して示す背面図である。
【図12】X方向駆動装置の主要部を模式的に示す拡大図である。
【図13】Y方向駆動装置の主要部を模式的に示す拡大図である。
【図14】制御回路ブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施形態である手振れ補正装置の非作動状態を、カバー板を破断し、かつ、ヨークの一部を破断して示す背面図である。
【図16】図15のXVI−XVI矢線に沿う断面図である。
【図17】図15のXVII−XVII矢線に沿う断面図である。
【図18】図15のXVIII−XVIII矢線に沿う断面図である。
【図19】図15のXIX−XIX矢線に沿う断面図である。
【図20】ステージ装置の分解斜視図である。
【図21】X方向駆動装置側のコイル形成板が右側に移動したときの手振れ補正装置を、カバー板を省略し、かつ、ヨークの一部を破断して示す背面図である。
【図22】Y方向駆動装置側のコイル形成板が上側に移動したときの手振れ補正装置を、カバー板を省略し、かつ、ヨークの一部を破断して示す背面図である。
【図23】本発明の第3の実施形態である手振れ補正装置の非作動状態を、カバー板を省略し、かつ、ヨークの一部を破断して示す背面図である。
【図24】本発明の第4の実施形態である手振れ補正装置の非作動状態を、カバー板を省略し、かつ、ヨークの一部を破断して示す背面図である。
【図25】図24のXXV−XXV矢線に沿う断面図である。
【図26】図24のXXVI−XXVI矢線に沿う断面図である。
【図27】補正レンズを用いた変形例を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
【0071】
10 デジタルカメラ(カメラ)
11 CCD(撮像素子)
12 撮像面
15 手振れ補正装置
16 17 18 19 軸受け
20 固定支持基板
21 収容孔
22 ローラ
23 円周溝
24 コイル形成板(X方向移動部材)(Y方向移動部材)
25 挿入溝
26 27 Y方向長孔
28 ローラ
29 円周溝
30 コイル形成板(X方向移動部材)(Y方向移動部材)
31 挿入溝
32 33 X方向長孔
35 方形部
36 37 舌片
38 X方向ホール素子
39 Y方向ホール素子
40 CCD保持部材(ステージ部材)
41 採光孔
42 ローパルフィルタ
43 押さえ部材
44 カバー板
46 47 突片
48 49 Y方向長孔
50 51 突片
52 53 X方向長孔
54 X用Xリンク
55 Y用Xリンク
56 57 リンク部材
58 59 凹部
61 62 連結孔
63 連結ピン(X用枢着軸)
64 65 連結孔
66 67 連結ピン(移動軸)
68 69 連結孔
70 71 連結ピン(移動軸)
73 74 リンク部材
75 76 凹部
77 78 連結孔
79 連結ピン(Y用枢着軸)
80 81 連結孔
82 83 連結ピン(移動軸)
84 85 連結孔
86 87 連結ピン(移動軸)
90 X方向角速度センサ(振動検出センサ)
91 Y方向角速度センサ(振動検出センサ)
92 93 積分回路(制御手段)
94 95 誤差増幅器(制御手段)
96 97 移動量演算手段(制御手段)
100 手振れ補正装置
101 CCD保持部材(ステージ部材)
102 103 X方向スライド溝
104 105 X用スライダ
106 X方向リンク部材(Y用リンク部材)
107 枢着ピン
108 連結ピン(Y用枢着軸)
109 X方向リンク部材(Y用リンク部材)
110 112 連結ピン
111 枢着ピン(Y用枢着軸)
113 Y方向リンク部材(Y方向駆動手段)(Y方向移動部材)
114 連結ピン
117 Y方向スライド溝
118 Y用スライダ
119 Y方向リンク部材(X用リンク部材)
120 121 連結ピン(X用枢着軸)
122 Y方向リンク部材
123 124 連結ピン
125 X方向リンク部材(X方向駆動手段)(X方向移動部材)
126 連結ピン
200 手振れ補正装置
201 X用Xリンク
202 Y用Xリンク
203 コイル形成板
204 コイル形成板
300 手振れ補正装置
301 収容孔
302 CCD保持部材(ステージ部材)
303 溝形成部材(ステージ部材)
305 306 X方向スライド溝
307 Y方向スライド溝
309 収納用凹部
312 313 舌片
314 カバー部材
CL 補正レンズ
CX X方向駆動用コイル(X方向駆動手段)
CY Y方向駆動用コイル(Y方向駆動手段)
MX 磁石(磁力発生装置)(X方向駆動手段)
MY 磁石(磁力発生装置)(Y方向駆動手段)
O 光軸
X X方向(左右方向)
Y Y方向(上下方向)
Z Z方向(前後方向)
YX ヨーク(磁力発生装置)(X方向駆動手段)
YY ヨーク(磁力発生装置)(Y方向駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定支持基板と、
上記固定支持基板上に、特定のX方向及びX方向に直交するY方向に直線移動自在として支持されたステージ部材と、
該ステージ部材にX方向の駆動力を付与するX方向駆動手段と、
を備えるステージ装置において、
上記X方向駆動手段は、X方向へ移動するX方向移動部材を備え、
このX方向移動部材と上記ステージ部材との間に、該X方向移動部材の移動量を拡大または縮小してステージ部材に伝達するX方向移動量調整伝達手段を設けたことを特徴とするステージ装置。
【請求項2】
請求項1記載のステージ装置において、
上記X方向移動量調整伝達手段は、X方向及びY方向に対して直交するZ方向を向くX側枢着軸によって交叉部分を回転可能に枢着した一対のリンク部材を備え、
該X側枢着軸は固定支持基板に固定され、
一対のリンク部材の一端部にはそれぞれ、上記X方向移動部材にY方向に相対移動自在に支持されたZ方向を向く移動軸が枢着され、
一対のリンク部材の他端部にはそれぞれ、上記ステージ部材にY方向に相対移動自在に支持されたZ方向を向く移動軸が枢着され、
一対のリンク部材の両端部の移動軸はそれぞれ、Y方向の一直線上に位置しており、
一対のリンク部材のX方向移動部材側の移動軸から上記X側枢着軸までのX方向距離と、該一対のリンク部材のステージ部材側の移動軸から上記X側枢着軸までのX方向距離とが異なっているステージ装置。
【請求項3】
請求項2記載のステージ装置において、
上記X側枢着軸から両リンク部材とX方向駆動手段の接続点までのX方向距離より、該X側枢着軸から両リンク部材とステージ部材の接続点までのX方向距離を長く設定したステージ装置。
【請求項4】
請求項2記載のステージ装置において、
上記X側枢着軸から両リンク部材とX方向駆動手段の接続点までのX方向距離より、該X側枢着軸から両リンク部材とステージ部材の接続点までのX方向距離を短く設定したステージ装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項記載のステージ装置において、
X方向駆動手段が、
上記X方向移動部材に固定されたX方向駆動用コイルと、
該X方向駆動用コイルに磁力を及ぼして該X方向駆動用コイルとX方向移動部材に上記X方向への相対移動力を与えるX磁力発生装置と、を備え、
X方向移動部材とX磁力発生装置の一方を固定支持基板に固定し、他方に上記X用Xリンクの上記一端側を接続したステージ装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載のステージ装置において、
Y方向に移動するY方向移動部材を有するY方向駆動手段を備え、
このY方向移動部材と上記ステージ部材との間に、該Y方向移動部材の移動量を拡大または縮小してステージ部材に伝達するY方向移動量調整伝達手段を設けたステージ装置。
【請求項7】
請求項6記載のステージ装置において、
上記Y方向移動量調整伝達手段が、X方向及びY方向に対して直交するZ方向を向くY側枢着軸によって交叉部分を回転可能に枢着した一対のリンク部材を備え、
該Y側枢着軸は固定支持基板に固定され、
一対のリンク部材の一端部にはそれぞれ、上記Y方向移動部材にX方向に相対移動自在に支持されたZ方向を向く移動軸が枢着され、
一対のリンク部材の他端部にはそれぞれ、上記ステージ部材にX方向に相対移動自在に支持されたZ方向を向く移動軸が枢着され、
一対のリンク部材の両端部の移動軸はそれぞれ、X方向の一直線上に位置しており、
一対のリンク部材のY方向移動部材側の移動軸から上記Y側枢着軸までのY方向距離と、該一対のリンク部材のステージ部材側の移動軸から上記Y側枢着軸までのY方向距離とが異なっているステージ装置。
【請求項8】
請求項7記載のステージ装置において、
上記Y側枢着軸から両リンク部材とY方向駆動手段の接続点までのY方向距離より、該Y側枢着軸から両リンク部材とステージ部材の接続点までのY方向距離を長く設定したステージ装置。
【請求項9】
請求項7記載のステージ装置において、
上記Y側枢着軸から両リンク部材とY方向駆動手段の接続点までのY方向距離より、該Y側枢着軸から両リンク部材とステージ部材の接続点までのY方向距離を短く設定したステージ装置。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか1項記載のステージ装置において、
Y方向駆動手段が、
上記Y方向移動部材に固定されたY方向駆動用コイルと、
該Y方向駆動用コイルに磁力を及ぼして該Y方向駆動用コイルとY方向移動部材にY方向への相対移動力を与えるY磁力発生装置と、を備え、
Y方向移動部材とY磁力発生装置の一方を固定支持基板に固定し、他方にY用Xリンクの上記一端側を接続したステージ装置。
【請求項11】
請求項1記載のステージ装置において、
上記X方向移動量調整伝達手段が、
中間部が固定支持基板に、X方向及びY方向に対して直交するZ方向のX側枢着軸回りに回転可能として支持され、一端が上記X方向移動部材に、Z方向の回転軸回りに回転可能として接続され、他端がステージ部材に、Y方向に相対移動自在、かつ、Z方向の回転軸回りに回転自在として接続されたX用リンク部材を備え、
該X側枢着軸からX用リンク部材の一端とX方向移動部材の接続点までのY方向距離と、該X側枢着軸からX用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのY方向距離とを異ならせて設定したステージ装置。
【請求項12】
請求項11記載のステージ装置において、
上記ステージ部材が、Y方向を向くY方向スライド溝と、該Y方向スライド溝にY方向に摺動自在に嵌合するY用スライダとを備え、上記X用リンク部材の他端が該Y用スライダにZ方向の回転軸回りに回転自在として接続されたステージ装置。
【請求項13】
請求項11または12記載のステージ装置において、
上記X側枢着軸から上記X用リンク部材の一端とX方向移動部材の接続点までのY方向距離より、該X側枢着軸からX用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのY方向距離が長くなるように設定したステージ装置。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記X側枢着軸から上記X用リンク部材の一端とX方向移動部材の接続点までのY方向距離より、該X側枢着軸からX用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのY方向距離が短くなるように設定したステージ装置。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか1項記載のステージ装置において、
X方向駆動手段が、
X方向移動部材に固定されたX方向駆動用コイルと、
該X方向駆動用コイルに磁力を及ぼして該X方向駆動用コイルと該X方向移動部材に上記X方向への相対移動力を与えるX磁力発生装置と、を備え、
X方向移動部材とX磁力発生装置の一方を固定支持基板に固定し、他方に上記X用リンク部材を接続したステージ装置。
【請求項16】
請求項11から15のいずれか1項記載のステージ装置において、
Y方向に移動するY方向移動部材を有するY方向駆動手段を備え、
このY方向移動部材と上記ステージ部材との間に、該Y方向移動部材の移動量を拡大または縮小してステージ部材に伝達するY方向移動量調整伝達手段を設けたステージ装置。
【請求項17】
請求項16記載のステージ装置において、
上記Y方向移動量調整伝達手段が、
中間部が固定支持基板に、X方向及びY方向に対して直交するZ方向のY側枢着軸回りに回転可能として支持され、一端がY方向移動部材に、Z方向の回転軸回りに回転可能として接続され、他端がステージ部材に、X方向に相対移動自在、かつ、Z方向の回転軸回りに回転自在として接続されたY用リンク部材を備え、
該Y側枢着軸から上記Y用リンク部材の一端とY方向移動部材の接続点までのX方向距離と、該Y側枢着軸からY用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのX方向距離とを異ならせて設定したステージ装置。
【請求項18】
請求項17記載のステージ装置において、
上記ステージ部材が、X方向を向くX方向スライド溝と、該X方向スライド溝にX方向に摺動自在に嵌合するX用スライダとを備え、上記Y用リンク部材の他端が該X用スライダにZ方向の回転軸回りに回転自在として接続されたステージ装置。
【請求項19】
請求項17または18記載のステージ装置において、
上記Y側枢着軸からY用リンク部材の一端とY方向移動部材の接続点までのX方向距離より、該Y側枢着軸からY用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのX方向距離が長くなるように設定したステージ装置。
【請求項20】
請求項17から19のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記Y側枢着軸からY用リンク部材の一端とY方向移動部材の接続点までのX方向距離より、該Y側枢着軸からY用リンク部材の他端とステージ部材の接続点までのX方向距離が短くなるように設定したステージ装置。
【請求項21】
請求項16から20のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記Y方向駆動手段が、
Y方向移動部材に固定されたY方向駆動用コイルと、
該Y方向駆動用コイルに磁力を及ぼして該X方向駆動用コイルと該Y方向移動部材にY方向への相対移動力を与えるY磁力発生装置と、を備え、
Y方向移動部材とY磁力発生装置の一方を固定支持基板に固定し、他方に上記Y用リンク部材を接続したステージ装置。
【請求項22】
請求項5から10及び14から19のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記磁力発生装置が、
磁石と、
該磁石によって磁化され、該磁石との間で磁力線を形成する、上記コイルを囲む断面コ字形のヨークと、
を具備しているステージ装置。
【請求項23】
請求項5から10及び15から22のいずれか1項記載のステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置であって、
上記ステージ装置を内蔵するカメラと、
上記ステージ部材と一体となって移動する、前面に結像面を有する撮像素子と、
上記カメラの振動を検出する振動検出センサと、
該振動検出センサが検出した振動情報に基づいて、上記X方向駆動用コイル及び上記Y方向駆動用コイルに、手振れを補正するように電流を流す制御手段と、
を備えるカメラの手振れ補正装置。
【請求項24】
請求項5から10及び15から22のいずれか1項記載のステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置であって、
上記ステージ装置を内蔵するカメラと、
上記ステージ部材と一体となって移動する、手振れを補正するための補正レンズと、
上記カメラの振動を検出する振動検出センサと、
該振動検出センサが検出した振動情報に基づいて、上記X方向駆動用コイル及び上記Y方向駆動用コイルに、手振れを補正するように電流を流す制御手段と、
を備えるカメラの手振れ補正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−350233(P2006−350233A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179626(P2005−179626)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】