説明

ストッパ操作装置

【課題】レール連結時に設けられるストッパ操作装置では、シリンダが誤作動すると、レールの連結状況に拘わらず、シリンダ側のストッパが上昇動作すなわちストッパを解除する方向に作動していた。
【解決手段】第1レールに備えられ、第1レールと第2レールが対向し、走行台車が両レールを乗り移り可能位置になった時に、第2レール側に進退動作する第1プッシュロッド13と、第2レールに備えられ、第1プッシュロッド13の前進動作に追従して移動する第1受動ロッド19と、前記第1ロッド19は、第1プッシュロッド13の前進動作によって押動され、第2レールに備えられた第2プッシュロッドを介して第2レールに備えられた第2ストッパ40bを逸走防止解除位置に作動させ、同時に第2プッシュロッドは、第2受動ロッド25を押動し、第2受動ロッド25を介して第1ストッパ40aを逸走防止解除位置に作動させるストッパの操作装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイスト等の走行台車が走行する走行レールを他の走行レールに変更する場合に用いられる乗り移りレールを他の走行レールに連結する時に動作する走行台車の逸走防止用ストッパの操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、乗り移りレールと固定レールを連結する連結装置において、固定レール側にシリンダーを設け、シリンダーの作動により駆動する連結レバーと、連結レバーにより押動され、固定レールと乗り移りレールを連結するノックピンを設け、連結レバーの作動によりリンク機構を介して固定レールに設けた走行台車の逸走防止用ストッパを操作するようにしたストッパ操作装置は公知である。(特許文献1)
【特許文献1】実開昭62−124986号公報参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の公知のストッパ操作装置では、シリンダーが誤作動すると、レールの連結状況に拘わらず、シリンダー側のストッパが連結レバー、リンク機構の動作により単独に上昇すなわちストッパを解除する方向に移動し、走行レールが連結されていない状態にあるのに拘らずストッパが解除動作をするという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するもので、走行台車が走行する第1レールと前記第1レールに連結される第2レールのそれぞれ対向する各端部に設けられる走行台車の逸走防止用ストッパの操作装置であって、前記第1レールに備えられ、第1レールと第2レールが対向し、走行台車が両レールを乗り移り可能位置になった時に、第2レール側に進退動作する第1プッシュロッドと、前記第2レールに備えられ、前記第1プッシュロッドの前進動作に追従して移動する第1受動ロッドと、第1レールに備えられ、前記第1プッシュロッドの後退動作時に、第1レールの第1ストッパを逸走防止位置に作動させる第2受動ロッドを備え、前記第1受動ロッドは、第1プッシュロッドの前進動作によって押動され、第2レールに備えられた第2プッシュロッドを介して第2レールに備えられた第2ストッパを逸走防止解除位置に作動させ、同時に、第2プッシュロッドは、第2受動ロッドを押動し、第2受動ロッドを介して第1ストッパを逸走防止解除位置に作動させることを特徴とする走行台車逸走防止用ストッパの操作装置である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の走行台車逸脱防止用ストッパ操作装置は、第1レールに備えられ、第1レールと第2レールが対向し、走行台車が両レールを乗り移り可能位置になった時に、第2レール側に進退動作する第1プッシュロッドと、前記第2レールに備えられ、前記第1プッシュロッドの前進動作に追従して移動する第1受動ロッドと、第1レールに備えられ、前記第1プッシュロッドの後退動作時に、第1レールの第1ストッパを逸走防止位置に作動させる第2受動ロッドを備え、前記第1ロッドは、第1プッシュロッドの前進動作によって押動され、第2レールに備えられた第2プッシュロッドを介して第2レールに備えられた第2ストッパを逸走防止解除位置に作動させ、同時に第2プッシュロッドは、第2受動ロッドを押動し、第2受動ロッドを介して第1ストッパを逸走防止解除位置に作動させるように構成されているので、誤作動により、第1プッシュロッドが前進動作しても、第2受動ロッドは動作せず、第1プッシュロッドが前進動作し、両レールが第1プッシュロッドで連結され、第2レールに設けた第1受動ロッドが後退し、第1受動ロッドに連動し、第2プッシュロッドが前進動作する時のみ、第2受動ロッドは第2プッシュロッドに押動されて後退動作し、第1ストッパを上昇するようにし、両レールが連結された時のみストッパを解除するようにしたので、シリンダの誤作動による走行台車逸脱防止用ストッパの解除動作を防止でき、走行台車の安全操作が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の搬送装置用乗り移りレール操作装置の実施の形態について図1〜4を用いて説明する。
【0007】
図1は本発明の走行台車逸走防止用ストッパ操作装置が設置される搬送装置用乗り移りレール操作装置の正面図、図2は逸走防止状態の本発明のストッパ操作装置の部分拡大正面図、図3は逸走防止解除した状態の乗り移りレールと固定レールのストッパ操作装置の部分拡大正面図、図4は乗り移りレール側ストッパ装置の部分拡大正面図である。
【0008】
図1において、1a、1bは建築物の天井または梁等の支持物に固定され、前後方向に平行に架設される第2レールである固定レール、2は前記固定レール1a、1bと同様に梁等の支持物に固定され、上下方向に垂設された一対の昇降ガイドレール3、3に沿って昇降可能に設けられ、固定レール1a、1bと連結する第1レールである乗り移りレール、4は昇降装置5により昇降する昇降チェーンで、昇降チェーン4の端部は、後記する乗り移りレール支持梁12b取設されたガイド(図示せず)を経由して、乗り移りレール2の上部に設けられ、昇降ガイドレール3を挟んで取設された落下防止装置6の下部に係着されている。前記昇降装置において、昇降チェーンに代えて、ラック、ピニオン方式、またはボールネジ方式等の昇降装置を用いることができる。
【0009】
6は乗り移りレール2の上部に設けた落下防止装置で、ガイドレール3を挟んで取設され、昇降チェーン4の切断時にガイドレール3を挟掴し、乗り移りレール2の落下を防止する既知の落下防止装置である。7は昇降チェーン4に張力を付与するカウンターウエイト、8は固定レール1a、1b及び乗り移りレール2上を走行する走行台車、9は走行台車8の下部に架設されたガータ、10は電気チェーンブロック、11は乗り移りレール2と固定レール1a、1bの連結時に作動するストッパ装置である。
【0010】
以下ストッパ装置11について、図2〜4を用いて説明する。図2〜4において、12aは固定レール1a、1bの上端部に固着された固定レール支持梁、12bは乗り移りレール2の上端部に固着された乗り移りレール支持梁、13は支持梁12bに設けたガイド14に挿通され、電動シリンダー15によって固定レール1a、1bに設けたインターロックガイド18に挿脱動作をする第1プッシュロッド、15は第1プッシュロッド13の端部に連設され、第1プッシュロッドを水平方向に往復動させる電動シリンダー、16は第1プッシュロッド13の電動シリンダー15側端部に設けられ、第1プッシュロッド13端部を支持するガイド、17はガイド16に挿通されるガイド扞、18は乗り移りレールが固定レール1a、1bに対し、走行台車が乗り移り可能な位置でのみ第1プッシュロッド13の挿通を許し、第1プッシュロッドが嵌合するインターロックガイドで、固定レール支持梁12aに取設され、前記第1プッシュロッド13及び後記する第1受動ロッド19が挿脱される。19は第1受動ロッドガイド20a、20bに挿通され、端部が第1プッシュロッド13端部に当接するように設けられた第1受動ロッドで、第1プッシュロッド13端部に対向する第1受動ロッド19の先端(第1プッシュロッドに押動される端部)は、インターロックガイド18に挿通されている。20a、20bは固定レール1a、1b上部に固着された第1受動ロッド支持ガイド、21は第1受動ロッド19に取設されたストッパ、22は第1受動ロッド19に巻装され、第1受動ロッド19を常時第1プッシュロッド13側に付勢するバネで、端部は第1受動ロッド支持ガイド20aに係着されている。
【0011】
次に、23は第1プッシュロッド13に1端が軸着され、他端が後記する第2受動ロッド25の端部の係合爪26と係合し、第1プッシュロッド13の前進動作時には第2受動ロッド25が連動しないように第2受動ロッド25と係合する第1リンク、24は第1リンク23の略中央部を軸支する支持軸、25は乗り移りレール2a端部に設けられた支持ガイド41に挿通され、前記第1リンク23を介して第1プッシュロッド13と平行に移動する第2受動ロッド、26は第2受動ロッド25の中間部に設けられ、第1リンク23の下端23aが係合する係合爪、27は1端が第2受動ロッド25に係着され、他端が後記する第1ストッパ40aに係着されたL字形第2リンクで、該第2リンク27のL字形の中心部は支持軸28により乗り移りレールに軸支されている。29は第2受動ロッド25に巻装され、該受動ロッド25を後記する第2プッシュロッド32側に付勢するバネである。30は第1受動ロッド19に1端が軸33aで係着され、他端が後記する第2プッシュロッド32に軸33bで係着される第3リング、31は第3リング30の略中央部を軸支する支持軸、32は固定レール1a、1bの1側に設けられた支持ガイド41に挿通され、第3リング30を介して第1受動ロッド19に連動して平行に移動する第2プッシュロッド、34は1端が第2プッシュロッド32の端部に軸35で係着され、他端が後記する連結リンク38に軸37で係着されたL字形第4リンクで、該第4リンク34のL字形の中心部は支持軸36により固定レール1a、1bに軸支されている。38は1端が前記L字形第4受動リンク34に係着され、他端が第2ストッパ40bに係着された第5リンクで、該第5リンク38は支持軸39で固定レール1a、1bに軸支されている。40aは第1ストッパ、40bは第2ストッパ、41は支持ガイド、42a、42bはストッパガイドである。
【0012】
本発明の走行台車逸走防止用ストッパの操作装置は、乗り移りレール2側に、乗り移りレール2側から固定レール1a、1b側に進退動作し、前進動作時に、固定レール1a、1bに設けたインターロックガイド18に嵌合し、第1受動ロッド19を後方に押動し、乗り移りレール2を固定レール1aまたは1bに連結する第1プッシュロッド13と、前記第1プッシュロッド13と第1リンク23を介して、第1プッシュロッド13の後退動作時のみ第1プッシュロッド13に連動し、前進動作して第2リンク27を介して第1ストッパを下降し、第1プッシュロッド13の前進時には、第1プッシュロッド13に押動され、後退動作する第1受動ロッド19の後退動作に連動し、第3リンク30を介して前進動作する第2プッシュロッド32に押動され、後退動作し、第2リンク27を介して第1ストッパ40aを上昇させる第2受動ロッド25を備える。第1プッシュロッド13が前進動作しても、第1リンク23は回動するが、第2受動ロッド25は、前進動作に追従して動作せず、前記の通り、第1受動ロッド19、第1プッシュロッド32の動作に連動して作動し、第1ストッパ40aを上昇させる。
【0013】
また、固定レール1aまたは1b側には、前記第1プッシュロッド13の前進動作時に後方に押動され、第1プッシュロッド13の後退動作時に前進動作する第1受動ロッド19と、前記第1受動ロッド19と第3リンク30を介して連動し、第1受動ロッド19の後退動作時に乗り移りレール2側に前進動作し、乗り移りレール2に設けた第2受動ロッド25を後退させ、第2リンク27を介して、第2リンク27の他端と係合している第1ストッパ40aをガイド42aに沿って上昇させる第2プッシュロッド32を備える。第2プッシュロッド32は同時に、第4リンク34の他端を下方に押動し、第5リンク38を軸39を中心として回動させ、第5リンク38の他端に係合している第2ストッパ40bをガイド42bに沿って上昇させる。また、第1受動ロッド19の前進動作時には後退動作し、後退動作に連動するリンク手段34、38を介して第2ストッパ40bを下降する。
【0014】
上記実施の形態では、乗り移りレール2側に第1プッシュロッド13、第2受動ロッド25を備え、固定レール1a、1b側に第1受動ロッド19、第2プッシュロッド32を備えた構成として説明したが、固定レール1a、1b側に第1プッシュロッド、第2受動ロッドを備え、乗り移りレール2側に第1受動ロッド、第2プッシュロッドを備えた構成とすることも当然可能である。
【0015】
以上の通り、本実施の形態によると、第1リンク23と第2受動ロッド25は係合爪26にて係合しており、そのため、第1プッシュロッド13が前進しても、第1リンク23は先端のみが後退し、第1リンク23の後退動作に連動し、第2受動ロッド25は後退しないので、第1ストッパ40aは上昇せず、ストッパ40aを解除しない。第2受動ロッド25は、第1プッシュロッド13の前進動作により、両レールが連結され、第1受動ロッド19を後退させ、第3リンク27を介して第2プッシュロッド25が前進した場合のみに、第2プッシュロッド25に押動されて後退動作をし、第1ストッパ40aを上昇させ、ストッパを解除する。また、第1プッシュロッド13が後退動作する時には、第1リンク23を介して、第1プッシュロッド13に連動し、第2受動ロッド25が前進動作し、第2リンク27を介して第1ストッパ40aを単独で下降させる。
【0016】
以上の通り、本実施の形態のストッパ操作装置によると、誤作動により、シリンダ15が作動して第1プッシュロッド13前進動作しても、ストッパ40aを作動させる第2受動ロッド25は第1リンク23を介しては動作せず、両レールが連結され、固定レール1a、1bに設けた第1受動ロッド19が後退し、第3リンク30を介して第2プッシュロッド32が前進動作する時のみ、第2受動ロッド25は第2プッシュロッド19に押動されて後退動作し、第1ストッパ40aを上昇し、ストッパを解除するので、シリンダ15の誤作動により、レールが連結されていない状態でストッパが解除動作をするのを防止でき、走行台車の安全操作が可能となる。さらに、インターロックガイド19により、乗り移りレール2と固定レール1a,1bが対向していても、走行台車が乗り移り可能な範囲でのみ第1プッシュロッド13は前進動作が可能となっているので安全性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によると、レールが連結された時のみストッパが解除され、誤作動によるストッパの解除動作を防止できるストッパ操作装置を提供できるので、昇降式の乗り移りレールの連結用のストッパ操作装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の走行台車逸走防止用ストッパ操作装置が適用される搬送装置用乗り移りレール操作装置の正面図。
【図2】本発明のストッパ操作装置の部分拡大正面図。
【図3】乗り移りレールと固定レールの連結前のストッパ操作装置の部分拡大正面図。
【図4】乗り移りレール側ストッパ装置の部分拡大正面図。
【符号の説明】
【0019】
1a、1b 固定レール
2 乗り移りレール
13 第1プッシュロッド
19 第1受動ロッド
23 第1リンク
25 第2受動ロッド
26 係合爪
27 第2リンク
30 第3リンク
32 第2プッシュロッド
34 第4リンク
38 第5リンク
40a、40b ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行台車が走行する第1レールと前記第1レールに連結される第2レールのそれぞれ対向する各端部に設けられる走行台車の逸走防止用ストッパの操作装置であって、前記第1レールに備えられ、第1レールと第2レールが対向し、走行台車が両レールを乗り移り可能位置になった時に、第2レール側に進退動作する第1プッシュロッドと、前記第2レールに備えられ、前記第1プッシュロッドの前進動作に追従して移動する第1受動ロッドと、第1レールに備えられ、前記第1プッシュロッドの後退動作時に、第1レールの第1ストッパを逸走防止位置に作動させる第2受動ロッドを備え、前記第1受動ロッドは、第1プッシュロッドの前進動作によって押動され、第2レールに備えられた第2プッシュロッドを介して第2レールに備えられた第2ストッパを逸走防止解除位置に作動させ、同時に、第2受動ロッドを押動し、第2受動ロッドを介して第1ストッパを逸走防止解除位置に作動させることを特徴とする走行台車逸走防止用ストッパの操作装置。
【請求項2】
第2受動ロッドは、第1プッシュロッドの後退動作と連動し、第2プッシュロッドを押動し、第2受動ロッドを介して第2ストッパを逸走防止位置に作動させることを特徴とする請求項1記載の走行台車逸走防止用ストッパの操作装置。
【請求項3】
第1レールは乗り移りレールで、第2レールは固定レールであることを特徴とする請求項1または2記載の走行台車逸走防止用ストッパの操作装置。
【請求項4】
第1レールは昇降移動することを特徴とする請求項3記載の走行台車逸走防止用ストッパの操作装置。
【請求項5】
第1プッシュロッドは、第1レールと第2レールを走行台車が乗り移り可能に連結することを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の走行台車逸走防止用ストッパの操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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