説明

ストップウォッチ装置

【課題】本人自身が、スタート位置につくところからスタートダッシュ、中間疾走、ゴールまで、精神を走りに集中でき、正確なタイムを測ることができるストップウォッチを提供する。
【解決手段】指装着カバー1の指先側端部または反指先側端部のうち手のひら側の部分に指の向きに平行な方向から押下されるように配置したスイッチ3を有し、スイッチ3を押下することで予告音、用意音、スタート音が順に発生し、その後ゴールのタイミングで頭や胸を突き出すゴール突入動作とあわせて手を握る動作をすることで再度スイッチ3が押下されると計時を終了しデジタル表示部2にタイムが表示される、ストップウォッチ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は陸上短距離走の際に自己のタイムを計るのに使用するストップウォッチに関する。
【背景技術】
【0002】
陸上短距離走はスタートからゴールまで数秒から数十秒のタイムを競うものであり、競技では1/100秒の差で順位が決定され、練習においては1/10秒程度の精度でタイムが計測できることが、走力を評価するのに求められる。スタートから数秒から数十秒でゴールするまで走りに集中する必要がある一方、走者本人はクラウチングスタートで両手を地面につけておりストップウォッチの操作が困難であることやゴールでのストップウォッチのスイッチ操作で走りに集中できなくなることから、タイムの計測は本人以外の計測者に実施してもらうことが一般的である。
【0003】
本人自身が陸上短距離走の練習においてタイムを計測する場合、スタンディングの姿勢から指でストップウォッチを押下して計測を開始すると同時に全力疾走し、その後、図9の(a)〜(d)の様にゴール地点手前でスイッチの位置を指の先端の感触で確認しながらゴールと同時にスイッチを指の先端で押下して計測を終了させる方法を用いている。
【0004】
または、自動スタート機能を有するストップウォッチを使用して、クラウチング姿勢からスタート音と同時に全力疾走し、ゴール地点手前でスイッチの位置を指の先端の感触で確認しながらゴールと同時にスイッチを指の先端で押下して計測を終了する方法を用いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
陸上短距離走の場合、スタート用意からゴールまで精神を走りに集中させる必要があり、精神の集中ができないとタイムにも影響が出てくる。上述の方法においては、本人自身のタイム計測において、競技時と異なるスタンディング姿勢からスタートすることで走力が低下して正確なタイム計測ができない問題や、自動スタート機能を有するストップウォッチを使用してクラウチング姿勢からスタートしてもゴール手前で走りにまったく関係のないスイッチ位置の確認や操作のために、腕を動かしたり、指の先端の感覚を働かせたり、指先端を動かしたりすることで精神を走りに集中できなくなり、走力が低下して正確なタイム計測ができない問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、短距離の練習において、練習している本人自身が、スタート位置につくところからスタートダッシュ、中間疾走、ゴールまで、精神を走りに集中でき、正確なタイムを測ることができるストップウォッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第一の発明は、指装着カバーの指先側端部または反指先側端部のうち手のひら側の部分に指の向きに平行な方向から押下されるように配置したスイッチと、スイッチ信号の処理および計時を行う演算部と、デジタル表示部と、音発生部を有し、手を握るだけでスイッチが押下されてストップウォッチが作動することを特徴とする、指装着用ストップウォッチ装置である。
【0008】
第二発明は、第一発明のストップウォッチ装置において、スイッチを押下することによって予告音、用意音を発生させ、その後スタート音を発生させると同時に計時を開始し、再度スイッチが押下されると計時を終了し、タイムを表示する計測方法である。
【0009】
第一発明による作用は、本人がゴールでストップウォッチのスイッチを押下する場合、手をにぎる動作をするだけでスイッチが押下できることであり、これは、ゴール時に顔や胸を突き出すゴール突入動作と同時に自然に行なえる動作であり、従来の様に走りにまったく関係のないスイッチ位置の確認や操作のために、腕を動かしたり、指の先端の感覚を働かせたり、指先端を動かしたりすることで精神を走りに集中できなくなり、走力が低下して正確なタイム計測ができない課題の解決が図られる。
【0010】
第二発明による作用は、スイッチを押下すれば、自動的に予告音、用意音、スタート音が発生し、さらに、スタート音と同時に自動的に計測が開始されるので、クラウチング姿勢でスタートでき、競技時と異なるスタンディング姿勢からスタートすることで走力が低下して正確なタイムが計測できない課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0011】
陸上短距離のタイムを本人自身で計測することにおいて、スイッチを押下することで予告音が発生し、その音により精神を走りに集中させながらクラウチング姿勢でスタートの位置について、次の用意音で用意の姿勢をとりながらスタート音に神経を集中させ、スタート音と同時にスタートダッシュをする。中間疾走に移り、最後のゴールのタイミングでは頭や胸を突き出すゴール突入動作とあわせて手を握る動作をするだけで、スイッチが押下されて計時を終了し、デジタル表示器にタイムが表示される。
【0012】
本人はスタート位置につくところから精神を走りに集中できるようになること、競技時と変わらない姿勢や動作をしながらゴールすることができることで、本人の走力が低下することなく正確なタイムが計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の第一実施形態のストップウォッチを示す斜視図である。
【図2】同ストップウォッチの装着例で(a)は指を伸ばしている状態図、(b)は指を握った時の外観で(c)は指を握った時にスイッチが押下されている状態図である。
【図3】同ストップウォッチの(a)は部分断面図、(b)はブロック図である。
【図4】同ストップウォッチの作動フローチャートである。
【図5】同ストップウォッチを用いた実施例であり(a)は中間疾走時の手の開いた状態(b)はゴール時の手の握った状態である。
【図6】本発明の第二実施形態である。
【図7】本発明の第三実施形態である。
【図8】本発明の第四実施形態であり(a)は部分断面図、(b)はブロック図である。
【図9】従来の技術による操作例であり(a)は腕時計タイプのストップウォッチのスイッチを押下している状態図、(b)は手持ちタイプのストップウォッチのスイッチを押下している状態図、(c)は腕時計タイプのストップウォッチを手に持ってスイッチを押下している状態図(d)は指装着タイプのストップウォッチのスイッチを押下している状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「第一実施形態」
この発明の一実施形態を、図1、図2、図3を用いて説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態を示す斜視図である。指装着カバー1の、指先側端部の手の平側に指の向きに平行な方向から押下されるように配置されたスイッチ3が設けられている。図2(a)〜図2(c)は本形態の中指の基節骨部9への装着例を示す。図2(a)は指を開いた状態でスイッチを押下していない状態図、図2(b)は指に装着して手を握った状態の斜視図、図2(c)は手を握った時の装着部分の拡大図である。スイッチ3が指装着カバー1の指先側端部の手の平側に指の向きに平行な方向から押下されるように配置されているため、指を開いているときはスイッチが押下されない一方、スイッチ3を押下させたい場合は、スイッチ3の位置をあらかじめ指先等の感触で確認することなく、手を握るだけで指の中節骨部10により押下される。
【0016】
図3(a)は一実施形態の部分断面を示している。合成樹脂製の指装着カバー1にはスイッチ3の他にデジタル表示部2、演算部計時部4、演算部制御部5、音発生部6、電池6、発振子16が配置されている。また、指装着への固定力を補助するため、指装着カバー開口部を閉じる方向に力が働くよう伸縮材8を装着している。図3(b)はブロック図を示している。
【0017】
この形態のストップウォッチを用いて計測する方法について、図4、図5を用いて説明する。
【0018】
図4は、ストップウォッチの動作フローチャートである。走者であり計測を行なう本人が手を握る動作をすることによってスイッチ3が押下されると、演算部制御部5により自動スタート処理が開始される。演算部制御部5が予告音を発生させ、予告音により本人はスタート位置につく。所定時間経過後に演算部制御部5は用意音を発生させ、本人は用意の姿勢をとる。所定時間経過後、演算部制御部5はスタート音を発生させると同時に演算部計時部4に計測を開始させる。本人はスタート音と同時にスタートダッシュ、中間疾走を行なう。図5(a)は中間疾走中の状態を示しており、リラックス姿勢で手11を開きスイッチを押下しない。図5(b)はゴール時の動作を示しており、ゴールのタイミングでの頭や胸を突き出すゴール突入動作とあわせて、スイッチ3の位置を指先等の感触で確認することなく手12を握る動作をするだけで、スイッチ3が押下される。スイッチ3が押下されることにより演算部制御部5は計測を終了させ、演算部計時部4はタイムをデジタル表示部に表示させる。
【0019】
「第二実施形態」
第一実施形態では、スイッチ3は指装着カバー1の指先側端部に配置したが、手を握
るだけでスイッチ3を押下させるには、反指先側端部に配置してもよく、図6は指装着
カバーの反指先側端部にスイッチ3を配置した形態である。
【0020】
「第三実施形態」
第一実施形態は、図2のとおり指の基節骨部9に装着する形態であったが、合成樹脂製の指装着カバー1の大きさ、固定力を調整することで、中節骨部10にあわせた形態としてもよく、図7は中指の中節骨部10に装着した例である。また、指装着カバー1の大きさ、固定力の大きさを調整することで親指、人差し指、中指、薬指に装着できる形態としてもよい。
【0021】
「第四実施形態」
第一実施形態では、演算部は演算部計時部4と演算部制御部5に分けていたが、マイクロコンピュータ等を用いて演算部計時部4と演算部制御部5の機能を一体化してもよく、図8(a)は、演算部17で一体化したストップウォッチの部分断面図、(b)はそのブロック図である。
【0022】
「他の実施形態」
第一実施形態では、弾性材8を用いて指装着の固定力を補助しているが、指装着カバー1の合成樹脂の弾性のみで指装着時の固定力を調整してもよい。また、マジックテープのようなもので指装着カバー開口部を閉じて指に固定してもよい。
【0023】
デジタル表示部2、演算部計時部4、演算部制御部5、音発生部6、電池7の指装着カバーへの配置は、指装着カバー1にバランスよく配置すればいいだけなので、どのような配置でもよい。
【0024】
予告音、用意音、スタート音は、ブザーのような音でも、音声でもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 指装着カバー 2 デジタル表示部
3 スイッチ 4 演算部計時部
5 演算部制御部 6 音発生部
7 電池 8 伸縮材
9 指の基節骨部 10 指の中節骨部
11 手であり、開いている状態
12 手であり、握っている状態
13 従来技術のストップウォッチのスイッチ
14 従来技術のストップウォッチを押す指
15 ゴールライン 16 発振子
17 演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指装着カバーの指先側端部または反指先側端部のうち手のひら側の部分に指の向きに平行な方向から押下されるように配置したスイッチと、スイッチ信号の処理および計時を行う演算部と、デジタル表示部と、音発生部を有し、手を握るだけでスイッチが押下されてストップウォッチが作動することを特徴とする、指装着用ストップウォッチ装置。
【請求項2】
指装着カバーの指先側端部または反指先側端部のうち手のひら側の部分に指の向きに平行な方向から押下されるように配置したスイッチと、スイッチ信号の処理および計時を行う演算部と、デジタル表示部と、音発生部を有する指装着用ストップウォッチ装置において、スイッチを押下することにより予告音、用意音を発生させ、その後スタート音を発生させると同時に計時を開始し、再度スイッチが押下されると計時を終了し、タイムを表示する計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−59090(P2011−59090A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229975(P2009−229975)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
【出願人】(509273606)
【Fターム(参考)】