説明

ストップランプスイッチの異常判定装置

【課題】ストップランプスイッチの組み付け異常を判定することができる技術を提供する。
【解決手段】ストップランプスイッチの異常判定装置は、ブレーキペダルのオンオフを検知するブレーキペダル監視部701と、ストップランプスイッチ12のオンオフを検知するストップランプスイッチ監視部702と、ブレーキペダル監視部701がブレーキペダルのオフを検知している状態で、ストップランプスイッチ監視部702が所定時間内にストップランプスイッチ12のオンオフの切り替えを所定回数以上検知した場合に、ストップランプスイッチ12の組み付け異常と判定する制御部703と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストップランプスイッチの異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1のブレーキスイッチおよび第2のブレーキスイッチと、各ブレーキスイッチの故障の有無を診断する故障診断手段とを備えた車両用定速走行装置が開示されている。この車両用定速走行装置では、ブレーキペダルがオン、すなわちブレーキペダルが踏み込まれた状態における、各ブレーキスイッチのオンオフ状態の組み合わせにより、あるいはブレーキペダルがオフ、すなわちブレーキペダルが踏み込まれていない状態における各ブレーキスイッチのオンオフ状態の組み合わせにより、各ブレーキスイッチの故障を判断している。
【0003】
また、特許文献2には、ストップランプオン判定時間に対してストップランプオフ判定時間を長くすることで、一度制動オンと判定された後はごく短周期のストップランプスイッチのオンオフ切替、いわゆるチャタリングが生じてもオン判定を維持する技術が開示されている。また、特許文献3には、ストロークセンサ故障時に、マスタシリンダ圧とストップランプスイッチを用いて制動制御を実施する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−240313号公報
【特許文献2】特開2010−149797号公報
【特許文献3】特開2005−343186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1の故障判定方法によれば、ストップランプスイッチ自体の異常を判定することはできるが、ストップランプスイッチの接点不良を含むストップランプスイッチの組み付け異常を判定することができないという課題があった。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ストップランプスイッチの組み付け異常を判定することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のストップランプスイッチの異常判定装置は、ブレーキペダルのオンオフを検知するブレーキペダル監視部と、ストップランプスイッチのオンオフを検知するストップランプスイッチ監視部と、前記ブレーキペダル監視部がブレーキペダルのオフを検知している状態で、前記ストップランプスイッチ監視部が所定時間内にストップランプスイッチのオンオフの切り替えを所定回数以上検知した場合に、ストップランプスイッチの組み付け異常と判定する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この態様の異常判定装置によれば、ストップランプスイッチの組み付け異常を判定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ストップランプスイッチの組み付け異常を判定することができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態1に係るストップランプスイッチの異常判定装置を適用可能なブレーキ制御装置の一例を示す系統図である。
【図2】ブレーキペダル周りの構成を示す概略図である。
【図3】ストップランプスイッチとブレーキECUの回路構成を示す図である。
【図4】ブレーキペダル踏み込み時の入力値相関を示す図である。
【図5】実施形態1に係るストップランプスイッチの異常判定制御の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6(A)は、ストップランプスイッチとブレーキECUの回路構成を示す図である。図6(B)は、ストップランプスイッチの論理表である。
【図7】実施形態2に係るストップランプスイッチの異常判定制御の一例を示すフローチャートである。
【図8】ブレーキペダルの踏み込み量と油圧センサの出力値との関係を示す図である。
【図9】実施形態3に係る制動力制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0012】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るストップランプスイッチの異常判定装置を適用可能なブレーキ制御装置の一例を示す系統図である。図1に示すように、ブレーキ制御装置20は、車両用の電子制御式ブレーキシステム(ECB)を構成しており、車両に設けられた4つの車輪に付与される制動力を制御する。本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関とを備えるハイブリッド車両に搭載される。このようなハイブリッド車両においては、車両の運動エネルギを電気エネルギに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキ制御装置20による液圧制動とのそれぞれを車両の制動に用いることができる。ブレーキ制御装置20は、各車輪に対応して設けられたディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLと、マスタシリンダユニット27と、動力液圧源30と、液圧アクチュエータ40とを含む。
【0013】
ディスクブレーキユニット21FR,21FL、21RRおよび21RLは、車両の右前輪、左前輪、右後輪および左後輪のそれぞれに制動力を付与する。本実施形態におけるマニュアル液圧源としてのマスタシリンダユニット27は、運転者によるブレーキペダル24の操作量に応じて加圧されたブレーキフルードをディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出する。動力液圧源30は、動力の供給により加圧された作動流体としてのブレーキフルードを、運転者によるブレーキペダル24の操作から独立してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに対して送出することが可能である。液圧アクチュエータ40は、動力液圧源30またはマスタシリンダユニット27から供給されたブレーキフルードの液圧を適宜調整してディスクブレーキユニット21FR〜21RLに送出する。これにより、液圧制動による各車輪に対する制動力が調整される。ディスクブレーキユニット21FR〜21RL、マスタシリンダユニット27、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40のそれぞれについて以下でさらに詳しく説明する。
【0014】
各ディスクブレーキユニット21FR〜21RLは、それぞれブレーキディスク22とブレーキキャリパに内蔵されたホイールシリンダ23FR〜23RLを含む。そして、各ホイールシリンダ23FR〜23RLは、それぞれ異なる流体通路を介して液圧アクチュエータ40に接続されている。なお以下では適宜、ホイールシリンダ23FR〜23RLを総称して「ホイールシリンダ23」という。ディスクブレーキユニット21FR〜21RLにおいては、ホイールシリンダ23に液圧アクチュエータ40からブレーキフルードが供給されると、車輪と共に回転するブレーキディスク22にブレーキパッドが押し付けられる。これにより、各車輪に制動力が付与される。
【0015】
マスタシリンダユニット27は、本実施形態では液圧ブースタ付きマスタシリンダであり、液圧ブースタ31、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびリザーバ34を含む。液圧ブースタ31は、ブレーキペダル24に連結されており、ブレーキペダル24に加えられたペダル踏力を増幅してマスタシリンダ32に伝達する。動力液圧源30からレギュレータ33を介して液圧ブースタ31にブレーキフルードが供給されることにより、ペダル踏力は増幅される。そして、マスタシリンダ32は、ペダル踏力に対して所定の倍力比を有するマスタシリンダ圧を発生する。
【0016】
マスタシリンダ32とレギュレータ33との上部には、ブレーキフルードを貯留するリザーバ34が配置されている。マスタシリンダ32は、ブレーキペダル24の踏み込みが解除されているときにリザーバ34と連通する。一方、レギュレータ33は、リザーバ34と動力液圧源30のアキュムレータ35との双方と連通しており、リザーバ34を低圧源とすると共に、アキュムレータ35を高圧源とし、マスタシリンダ圧とほぼ等しい液圧を発生する。レギュレータ33における液圧を以下では適宜、「レギュレータ圧」という。
【0017】
動力液圧源30は、アキュムレータ35およびポンプ36を含む。アキュムレータ35は、ポンプ36により昇圧されたブレーキフルードの圧力エネルギを窒素等の封入ガスの圧力エネルギ、例えば14〜22MPa程度に変換して蓄えるものである。ポンプ36は、駆動源としてモータ36aを有し、その吸込口がリザーバ34に接続される一方、その吐出口がアキュムレータ35に接続される。ポンプ36により、アキュムレータ圧は維持されるべき設定範囲(許容範囲ともいう)に保たれる。ブレーキECU70は、アキュムレータ圧センサ72の測定値に基づいて、アキュムレータ圧が許容範囲の下限を下回った場合にポンプ36をオンとしてアキュムレータ圧を加圧し、アキュムレータ圧が許容範囲の上限を超えた場合にポンプ36をオフとして加圧を終了する。また、アキュムレータ35は、マスタシリンダユニット27に設けられたリリーフバルブ35aにも接続されている。アキュムレータ35におけるブレーキフルードの圧力が異常に高まって例えば25MPa程度になると、リリーフバルブ35aが開弁し、高圧のブレーキフルードはリザーバ34へと戻される。
【0018】
上述のように、ブレーキ制御装置20は、ホイールシリンダ23に対するブレーキフルードの供給源として、マスタシリンダ32、レギュレータ33およびアキュムレータ35を有している。そして、マスタシリンダ32にはマスタ配管37が、レギュレータ33にはレギュレータ配管38が、アキュムレータ35にはアキュムレータ配管39が接続されている。これらのマスタ配管37、レギュレータ配管38およびアキュムレータ配管39は、それぞれ液圧アクチュエータ40に接続される。
【0019】
液圧アクチュエータ40は、複数の流路が形成されるアクチュエータブロックと、複数の電磁制御弁を含む。アクチュエータブロックに形成された流路には、個別流路41、42,43および44と、主流路45とが含まれる。個別流路41〜44は、それぞれ主流路45から分岐されて、対応するディスクブレーキユニット21FR、21FL,21RR,21RLのホイールシリンダ23FR、23FL,23RR,23RLに接続されている。これにより、各ホイールシリンダ23は主流路45と連通可能となる。
【0020】
また、個別流路41,42,43および44の中途には、ABS保持弁51,52,53および54が設けられている。各ABS保持弁51〜54は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされた各ABS保持弁51〜54は、ブレーキフルードを双方向に流通させることができる。つまり、主流路45からホイールシリンダ23へとブレーキフルードを流すことができるとともに、逆にホイールシリンダ23から主流路45へもブレーキフルードを流すことができる。ソレノイドに通電されて各ABS保持弁51〜54が閉弁されると、個別流路41〜44におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0021】
さらに、ホイールシリンダ23は、個別流路41〜44にそれぞれ接続された減圧用流路46,47,48および49を介してリザーバ流路55に接続されている。減圧用流路46,47,48および49の中途には、ABS減圧弁56,57,58および59が設けられている。各ABS減圧弁56〜59は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングをそれぞれ有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。各ABS減圧弁56〜59が閉状態であるときには、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて各ABS減圧弁56〜59が開弁されると、減圧用流路46〜49におけるブレーキフルードの流通が許容され、ブレーキフルードがホイールシリンダ23から減圧用流路46〜49およびリザーバ流路55を介してリザーバ34へと還流する。なお、リザーバ流路55は、リザーバ配管77を介してリザーバ34に接続されている。
【0022】
主流路45は、中途に分離弁60を有する。この分離弁60により、主流路45は、個別流路41および42と接続される第1流路45aと、個別流路43および44と接続される第2流路45bとに区分けされている。第1流路45aは、個別流路41および42を介して前輪用のホイールシリンダ23FRおよび23FLに接続され、第2流路45bは、個別流路43および44を介して後輪用のホイールシリンダ23RRおよび23RLに接続される。分離弁60は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。分離弁60が閉状態であるときには、主流路45におけるブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されて分離弁60が開弁されると、第1流路45aと第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0023】
また、液圧アクチュエータ40には、主流路45に連通するマスタ流路61およびレギュレータ流路62が形成されている。マスタ流路61は、主流路45の第1流路45aに接続されており、レギュレータ流路62は、主流路45の第2流路45bに接続されている。また、マスタ流路61は、マスタシリンダ32と連通するマスタ配管37に接続される。レギュレータ流路62は、レギュレータ33と連通するレギュレータ配管38に接続される。
【0024】
マスタ流路61は、中途にマスタカット弁64を有する。マスタカット弁64は、マスタシリンダ32から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。マスタカット弁64は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたマスタカット弁64は、マスタシリンダ32と主流路45の第1流路45aとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに規定の制御電流が通電されてマスタカット弁64が閉弁されると、マスタ流路61におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0025】
また、マスタ流路61には、マスタカット弁64よりも上流側において、シミュレータカット弁68を介してストロークシミュレータ69が接続されている。すなわち、シミュレータカット弁68は、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69とを接続する流路に設けられている。シミュレータカット弁68は、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により開弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。シミュレータカット弁68が閉状態であるときには、マスタ流路61とストロークシミュレータ69との間のブレーキフルードの流通は遮断される。ソレノイドに通電されてシミュレータカット弁68が開弁されると、マスタシリンダ32とストロークシミュレータ69との間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。
【0026】
ストロークシミュレータ69は、複数のピストンやスプリングを含むものであり、シミュレータカット弁68の開放時に運転者によるブレーキペダル24の踏力に応じた反力を創出する。ストロークシミュレータ69としては、運転者によるブレーキ操作のフィーリングを向上させるために、多段のバネ特性を有するものが採用されると好ましい。
【0027】
レギュレータ流路62は、中途にレギュレータカット弁65を有する。レギュレータカット弁65は、レギュレータ33から各ホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路上に設けられている。レギュレータカット弁65も、ON/OFF制御されるソレノイドおよびスプリングを有しており、規定の制御電流の供給を受けてソレノイドが発生させる電磁力により閉弁状態が保証され、ソレノイドが非通電状態にある場合に開とされる常開型電磁制御弁である。開状態とされたレギュレータカット弁65は、レギュレータ33と主流路45の第2流路45bとの間でブレーキフルードを双方向に流通させることができる。ソレノイドに通電されてレギュレータカット弁65が閉弁されると、レギュレータ流路62におけるブレーキフルードの流通は遮断される。
【0028】
液圧アクチュエータ40には、アキュムレータ流路63も形成されている。アキュムレータ流路63の一端は、主流路45の第2流路45bに接続され、他端は、アキュムレータ35と連通するアキュムレータ配管39に接続される。アキュムレータ流路63は、中途に増圧リニア制御弁66を有する。また、アキュムレータ流路63および主流路45の第2流路45bは、減圧リニア制御弁67を介してリザーバ流路55に接続されている。増圧リニア制御弁66と減圧リニア制御弁67とは、それぞれリニアソレノイドおよびスプリングを有しており、何れもソレノイドが非通電状態にある場合に閉とされる常閉型電磁制御弁である。増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、それぞれのソレノイドに供給される電流に比例して弁の開度が調整される。
【0029】
増圧リニア制御弁66は、各ホイールシリンダ23に対して共通の増圧制御弁として設けられている。減圧リニア制御弁67も同様に、各ホイールシリンダ23に対して共通の減圧制御弁として設けられている。つまり、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67は、動力液圧源30から送出される作動流体を各ホイールシリンダ23へ給排制御する1対の共通の制御弁として設けられている。
【0030】
ブレーキ制御装置20において、動力液圧源30および液圧アクチュエータ40は、ブレーキECU70により制御される。ブレーキECU70は、CPUを含むマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート等を備える。そして、ブレーキECU70は、上位のハイブリッドECU(図示せず)などと通信可能であり、ハイブリッドECUからの制御信号や、各種センサからの信号に基づいて動力液圧源30のポンプ36や、液圧アクチュエータ40を構成する電磁制御弁51〜54,56〜59,60,64〜68を制御する。ブレーキECU70には、後述する+B電源82が接続されている。
【0031】
また、ブレーキECU70には、レギュレータ圧センサ71、アキュムレータ圧センサ72および制御圧センサ73が接続される。レギュレータ圧センサ71は、レギュレータカット弁65の上流側でレギュレータ流路62内のブレーキフルードの圧力、すなわちレギュレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。アキュムレータ圧センサ72は、増圧リニア制御弁66の上流側でアキュムレータ流路63内のブレーキフルードの圧力、すなわちアキュムレータ圧を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。制御圧センサ73は、主流路45の第1流路45a内のブレーキフルードの圧力を検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。各圧力センサ71〜73の検出値は、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。
【0032】
分離弁60が開状態とされて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通している場合、制御圧センサ73の出力値は、増圧リニア制御弁66の低圧側の液圧を示すと共に減圧リニア制御弁67の高圧側の液圧を示すので、この出力値を増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67の制御に利用することができる。また、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67が閉鎖されていると共に、マスタカット弁64が開状態とされている場合、制御圧センサ73の出力値は、マスタシリンダ圧を示す。さらに、分離弁60が開放されて主流路45の第1流路45aと第2流路45bとが互いに連通しており、各ABS保持弁51〜54が開放される一方、各ABS減圧弁56〜59が閉鎖されている場合、制御圧センサの73の出力値は、各ホイールシリンダ23に作用する作動流体圧、すなわちホイールシリンダ圧を示す。
【0033】
さらに、ブレーキECU70に接続されるセンサには、ブレーキペダル24に設けられたストロークセンサ25も含まれる。ストロークセンサ25は、ブレーキペダル24の操作量としてのペダルストロークを検知し、検知した値を示す信号をブレーキECU70に与える。ストロークセンサ25の出力値も、所定時間おきにブレーキECU70に順次与えられ、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。
【0034】
また、ブレーキECU70にはストップランプスイッチ12が接続されている。ストップランプスイッチ12はブレーキペダル24が踏み込まれるとオン状態となる。これによりストップランプ84(図3参照)が点灯される。また、ブレーキペダル24の踏込が解除されるとストップランプスイッチ12はオフ状態となり、ストップランプ84は消灯される。ストップランプスイッチ12のオンオフの状態を示す信号、あるいはストップランプ84の点灯状態を示す信号がストップランプスイッチ12からブレーキECU70へと所定時間おきに入力され、ブレーキECU70の所定の記憶領域に格納保持される。ブレーキECU70には、+B電源82も接続されている。+B電源82については、後に詳細に説明する。
【0035】
上述のように構成されたブレーキ制御装置20は、ブレーキ回生協調制御を実行することができる。ブレーキ制御装置20は制動要求を受けて制動を開始する。制動要求は、例えば運転者がブレーキペダル24を操作した場合など、車両に制動力を付与すべきときに生起される。制動要求を受けてブレーキECU70は要求制動力を演算し、要求制動力から回生による制動力を減じることによりブレーキ制御装置20により発生させるべき制動力である要求液圧制動力を算出する。ここで、回生による制動力の実効値は、ハイブリッドECUからブレーキ制御装置20に供給される。そして、ブレーキECU70は、算出した要求液圧制動力に基づいて各ホイールシリンダ23FR〜23RLの目標液圧を算出する。ブレーキECU70は、ホイールシリンダ圧が目標液圧となるように、フィードバック制御則により増圧リニア制御弁66や減圧リニア制御弁67に供給する制御電流の値を決定する。
【0036】
その結果、ブレーキ制御装置20においては、ブレーキフルードが動力液圧源30から増圧リニア制御弁66を介して各ホイールシリンダ23に供給され、車輪に制動力が付与される。また、各ホイールシリンダ23からブレーキフルードが減圧リニア制御弁67を介して必要に応じて排出され、車輪に付与される制動力が調整される。
【0037】
なお、本実施形態に係るブレーキ制御装置20は、回生制動力を利用せずに液圧制動力だけで要求制動力をまかなう場合にも、当然ホイールシリンダ圧制御系統により制動力を制御することができる。本実施形態においては、動力液圧源30、増圧リニア制御弁66および減圧リニア制御弁67等を含んでホイールシリンダ圧制御系統が構成されている。ホイールシリンダ圧制御系統によりいわゆるブレーキバイワイヤ方式の制動力制御が行われる。ホイールシリンダ圧制御系統は、マスタシリンダユニット27からホイールシリンダ23へのブレーキフルードの供給経路に並列に設けられている。
【0038】
ブレーキバイワイヤ方式の制動力制御を行う場合には、ブレーキECU70は、レギュレータカット弁65を閉状態とし、レギュレータ33から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23へ供給されないようにする。更にブレーキECU70は、マスタカット弁64を閉状態とするとともにシミュレータカット弁68を開状態とする。これは、運転者によるブレーキペダル24の操作に伴ってマスタシリンダ32から送出されるブレーキフルードがホイールシリンダ23ではなくストロークシミュレータ69へと供給されるようにするためである。ブレーキ回生協調制御中は、レギュレータカット弁65およびマスタカット弁64の上下流間には、回生制動力の大きさに対応する差圧が作用する。またブレーキECU70は、分離弁60を開状態とする。これにより各ホイールシリンダ圧が共通の液圧に制御される。
【0039】
なお、本実施形態に係るストップランプスイッチの異常判定装置は、上述した液圧回路構成とは異なる構成を備えるブレーキ制御装置であっても適用可能である。
【0040】
次に、本実施形態に係るストップランプスイッチの異常判定装置について説明する。図2は、ブレーキペダル周りの構成を示す概略図である。図2に示すように、ブレーキペダル24には、ストロークセンサ25、ストップランプスイッチ12および油圧センサ14が設けられている。油圧センサ14は、ブレーキペダル24の操作量に応じたマスタシリンダ32の油圧を示す信号をブレーキECU70に与える。ブレーキECU70は、ストロークセンサ25および油圧センサ14から得られた信号を用いてブレーキ制動力を演算する。
【0041】
図3は、ストップランプスイッチとブレーキECUの回路構成を示す図である。図3に示すように、ブレーキECU70には、ストップランプスイッチ12を介してIG電源80および+B電源82が接続されている。ここで、+B電源82とは、車載バッテリーからイグニッションの状態に拘わらず電力供給可能な電源経路を意味する。一方、IG電源80とは、イグニッションオンの状態でのみ車載バッテリーから電力供給される電源経路を意味する。ストップランプスイッチ12にはストップランプ84が接続されている。
【0042】
ストップランプスイッチ12がオフの状態では、ブレーキECU70にはHiレベルのCC(クルーズコントロール)信号が入力される。また、LoレベルのSTP信号が入力される。ブレーキペダル24が操作されてストップランプスイッチ12がオン状態になると、ブレーキECU70にHiレベルのSTP信号が入力されるとともに、ストップランプ84が点灯する。また、LoレベルのCC信号が入力される。LoレベルのSTP信号は、ストップランプスイッチ12がオフ状態であることを示し、HiレベルのSTP信号は、ストップランプスイッチ12がオン状態であることを示す。また、LoレベルのCC信号は、クルーズコントロール制御が停止状態であることを示し、HiレベルのCC信号は、クルーズコントロール制御が実行状態であることを示す。すなわち、ブレーキペダル24が所定量以上踏み込まれてストップランプスイッチ12がオンになると、クルーズコントロール制御が停止する。
【0043】
ブレーキECU70は、ブレーキペダル監視部701と、ストップランプスイッチ監視部702と、制御部703と、を備える。各部の動作については後に詳細に説明する。なお、ブレーキECU70は、図3ではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。これらの機能ブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0044】
図4は、ブレーキペダル踏み込み時の入力値相関を示す図である。図4に示すように、ブレーキECU70に入力されるストロークセンサ25の出力値は、ブレーキペダル24の踏み込みに応じて直線的に増大していく。これに対し、油圧センサ14の出力値は、ブレーキ踏み込みが所定のオフ点(OFF)を超えるまでは変化がなく、オフ点を超えた後に徐々に増大していく。STP信号は、ブレーキ踏み込みがオフ点を超えるまではLoレベルであり、オフ点を超えた後にHiレベルに切り替わる。CC信号は、ブレーキ踏み込みがオフ点を超え、STP信号がHiレベルになるまではHiレベルであり、STP信号がHiレベルになった後にLoレベルに切り替わる。
【0045】
ここで、ストップランプスイッチ12の異常としては、例えば、車両が悪路走行した場合等に生じるブレーキペダル24の微小振動によって、ストップランプスイッチ12のオンオフがごく短周期で切り替わるチャタリングが挙げられる。この異常は、ストップランプスイッチ12の組み付け不良に起因して生じる。
【0046】
これに対し、ブレーキECU70は、本実施形態に係るストップランプスイッチ12の異常判定装置として機能する。すなわち、ブレーキECU70のブレーキペダル監視部701は、ストロークセンサ25から出力された信号を用いて、ブレーキペダル24のオンオフを検知する。ブレーキECU70は、ブレーキペダル24のオフ点付近のストロークセンサ値を予め記憶しており、ブレーキペダル監視部701は、ストロークセンサ25の出力信号を用いてブレーキペダル24のオフ点判定を実施し、ブレーキペダル24が操作されていないことを判定することができる。また、ストップランプスイッチ監視部702は、ストップランプスイッチ12から出力されるSTP信号を用いて、ストップランプスイッチ12のオンオフを検知する。
【0047】
そして、制御部703は、ブレーキペダル監視部701がブレーキペダル24のオフを検知している状態で、ストップランプスイッチ監視部702が所定時間内にストップランプスイッチ12のオンオフの切り替えを所定回数以上検知した場合に、ストップランプスイッチ12の組み付け異常と判定する。すなわち、制御部703は、ブレーキペダル24が踏み込まれていない状態において、STP信号のフラグの動作を監視する。そして、所定時間内にフラグが所定回数以上動作した場合に、ストップランプスイッチ12に組み付け異常(チャタリング異常)が生じていると判定する。このような判定により、運転者の意図的なペダル操作とストップランプスイッチ12の異常状態との判別が可能である。なお、CC信号のフラグの動作を監視することで、間接的にSTP信号のフラグの動作を監視してもよい。前記「所定時間」および「所定回数」は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。
【0048】
図5は、実施形態1に係るストップランプスイッチの異常判定制御の一例を示すフローチャートである。このフローは、ブレーキECU70により所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0049】
まず、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25の0点補正が完了しているか判断する(S101)。ストロークセンサ25の0点補正が完了していない場合(S101のN)、ストロークセンサ25の0点補正を実施し(S102)、再びステップ101に進む。ストロークセンサ25の0点補正が完了している場合(S101のY)、ストップランプスイッチ12(ストップSW)の断線異常を判定する(S103)。
【0050】
ここで、ストップランプスイッチ12の断線異常判定について説明する。図6(A)は、ストップランプスイッチとブレーキECUの回路構成を示す図である。図6(B)は、ストップランプスイッチの論理表である。なお、図6(A)は、2接点タイプのストップランプスイッチ12がオフの状態を示している。図6(A)に示すように、バッテリー86とブレーキECU70との間には、第1接続ライン102と第2接続ライン104とが設けられている。第1接続ライン102および第2接続ライン104には、ストップランプスイッチ12が直列に介在している。また、第1接続ライン102には、ストップランプ84が接続されている。第2接続ライン104には、スイッチIG2が直列に介在している。ブレーキECU70には、第1接続ライン102からSTP信号が入力され、第2接続ライン104からST−信号が入力される。
【0051】
図6(B)に示すように、ストップランプスイッチ12がオフの状態(ブレーキOFF)では、STP信号はLoレベルであり、ST−信号はHiレベルである。また、過渡状態では、STP信号およびST−信号はともにHiレベルである。また、ストップランプスイッチ12がオンの状態(ブレーキON)では、STP信号はHiレベルであり、ST−信号はLoレベルである。したがって、ブレーキECU70の端子レベルでは、STP信号およびST−信号がともにLoレベルになることはない。また、IGスイッチがオンでなければST−信号は常時Loレベルである。これらのことから、以下の3つの条件を全て満たしたときに、ストップランプスイッチ12に断線異常が生じたと判断することができる。
【0052】
条件1:STP信号入力の2度読み処理後のフラグがオフ、すなわちSTP信号がLoレベル
条件2:ST−信号入力の2度読み処理後のフラグがオン、すなわちST−信号がLo
条件3:IGスイッチがオン(クルーズコントロールのスイッチの元電源がスイッチIG2であるため)
【0053】
ブレーキECU70は、上述した異常検出ロジックに基づいて、ストップランプスイッチ12の断線異常を判定する(S103)。ストップランプスイッチ12に断線異常が生じている場合(S103のY)、ブレーキECU70は、ストップランプスイッチ12の断線異常を運転者に報知する等、予め定められた処理を実行する(S104)。
【0054】
ストップランプスイッチ12に断線異常が生じていない場合(S103のN)、ブレーキペダル24のストローク量がオフ点付近であるか判断する(S105)。ブレーキペダル24のストローク量がオフ点付近でない場合(S105のN)、本ルーチンを終了する。ブレーキペダル24のストローク量がオフ点付近である場合(S105のY)、所定時間内、例えば 秒間でのストップランプスイッチ12のオフからオンへの切り替えが所定回数以上、例えば 回以上であるか判断する(S106)。切り替え回数が所定回数以上の場合(S106のY)、ストップランプスイッチ12の組み付け異常を運転者に報知する等、予め定められた処理を実行する(S107)。切り替え回数が所定回数未満の場合(S106のN)、本ルーチンを終了する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係るストップランプスイッチの異常判定装置としてのブレーキECU70は、ブレーキペダル24のオンオフを検知するブレーキペダル監視部701と、ストップランプスイッチ12のオンオフを検知するストップランプスイッチ監視部702と、ブレーキペダル監視部701がブレーキペダル24のオフを検知している状態で、ストップランプスイッチ監視部702が所定時間内にストップランプスイッチ12のオンオフの切り替えを所定回数以上検知した場合に、ストップランプスイッチ12の組み付け異常と判定する制御部703と、を備える。そのため、ハード構成の追加や変更をすることなく、ストップランプスイッチ12の組み付け不良を判定することができる。
【0056】
特に、接触式ストップランプスイッチと比較して、ホール式非接触ストップランプスイッチは故障モードが多く存在する。そのため、故障モード判定の網羅が困難である。これに対し、本実施形態の異常判定装置によれば、ストップランプスイッチの故障モードの1つである組み付け異常を判定することができるため、故障モード判定の網羅の実現に貢献することができる。
【0057】
(実施形態2)
実施形態2に係るストップランプスイッチの異常判定装置は、ストップランプスイッチの固着異常を判定する点を除き、実施形態1に係る異常判定装置の構成と共通する。以下、実施形態2に係る異常判定装置について実施形態1と異なる構成を中心に説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
【0058】
本実施形態に係るストップランプスイッチの異常判定装置としてのブレーキECU70は、ブレーキペダル24のストローク量がオフ点付近にあるときのストロークセンサ値を記憶し、STP信号およびCC信号の論理を監視する。また、ブレーキペダル24が所定の十分に踏み込まれた状態にあるときのストロークセンサ値を記憶し、STP信号およびCC信号の論理を監視する。これにより、ストップランプスイッチ12の固着異常を判定する。
【0059】
図7は、実施形態2に係るストップランプスイッチの異常判定制御の一例を示すフローチャートである。このフローは、ブレーキECU70により所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0060】
まず、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25の0点補正が完了しているか判断する(S201)。ストロークセンサ25の0点補正が完了していない場合(S201のN)、ストロークセンサ25の0点補正を実施し(S202)、再びステップ201に進む。ストロークセンサ25の0点補正が完了している場合(S201のY)、ストップランプスイッチ12の断線異常を判定する(S203)。
【0061】
ストップランプスイッチ12に断線異常が生じている場合(S203のY)、ブレーキECU70は、ストップランプスイッチ12の断線異常を運転者に報知する等、予め定められた処理を実行する(S204)。ストップランプスイッチ12に断線異常が生じていない場合(S203のN)、ブレーキペダル24のストローク量がオフ点付近であるか判断する(S205)。ブレーキペダル24のストローク量がオフ点付近でない場合(S205のN)、本ルーチンを終了する。ブレーキペダル24のストローク量がオフ点付近である場合(S205のY)、STP信号がLoレベルで、かつCC信号がHiレベルであるか判断する(S206)。
【0062】
STP信号LoレベルかつCC信号Hiレベルでない場合(S206のN)、ブレーキECU70は、ストップランプスイッチ12に固着異常が生じていると判断し、ストップランプスイッチ12の固着異常を運転者に報知する等、予め定められた処理を実行する(S209)。STP信号LoレベルかつCC信号Hiレベルの場合(S206のY)、ブレーキペダル24のストローク量が所定の十分に踏み込まれたときの量であるか判断する(S207)。ブレーキペダル24のストローク量が十分に踏み込まれたときの量でない場合(S207のN)、本ルーチンを終了する。
【0063】
ブレーキペダル24のストローク量が十分に踏み込まれたときの量である場合(S207のY)、STP信号がHiレベルで、かつCC信号がLoレベルであるか判断する(S208)。STP信号HiレベルかつCC信号Loレベルでない場合(S208のN)、ブレーキECU70は、ストップランプスイッチ12に固着異常が生じていると判断し、ストップランプスイッチ12の固着異常を運転者に報知する等、予め定められた処理を実行する(S209)。STP信号HiレベルかつCC信号Loレベルの場合(S208のY)、本ルーチンを終了する。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係るストップランプスイッチの異常判定装置としてのブレーキECU70は、ブレーキペダル24のストローク量、STP信号およびCC信号の相関によりストップランプスイッチ12の固着異常を判定している。そのため、ハード構成の追加や変更をすることなく、ストップランプスイッチ12の固着異常を判定することができる。
【0065】
(実施形態3)
本実施形態に係るブレーキECU70は、ストロークセンサ25に異常が発生した場合に、油圧センサ14とストップランプスイッチ12とを用いたブレーキバイワイヤ方式の制動力制御を実施する。以下、本実施形態の制御について詳細に説明する。図8は、ブレーキペダルの踏み込み量と油圧センサの出力値との関係を示す図である。図8において、ペダル踏み込み量Aは、STP信号がLo(OFF)からHi(ON)に切り替わる踏み込み量であり、ペダル踏み込み量Bは、CC信号がHi(ON)からLo(OFF)に切り替わる踏み込み量である。
【0066】
上述のように、ブレーキ制動力の演算には、ストロークセンサ25および油圧センサ14から得られた信号を用いるが、ブレーキペダル24のストローク量がオフ点付近である場合、油圧センサ14は油圧の立ち上がりが遅く強い非線形特性を有する。具体的には、図8に示すように、油圧センサ14の出力値は、所望の目標制動力線に対して、ペダル踏み込み量Aの状態で差分Aだけ、ペダル踏み込み量Bの状態で差分Bだけずれが生じる。
【0067】
したがって、ブレーキペダル24のストローク量がオフ点近傍となる緩ブレーキの場合、ブレーキ制動力演算は、ストロークセンサ25の出力値に大きく依存する。そのため、例えばストロークセンサ25に異常が発生し、油圧センサ14のみを用いてブレーキ制動力演算を実施することになった場合、緩ブレーキ領域ではブレーキバイワイヤ制御でのフィーリングが変動するおそれがある。
【0068】
そこで、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25が正常状態にあるときに、ストップランプスイッチ12の変動ポイントにおける油圧センサ値を学習する。すなわち、STP信号の変動時における目標制動力線と油圧センサ値との差分Aと、CC信号の変動時における目標制動力線と油圧センサ値との差分Bとを記憶する。そして、ストロークセンサ25に異常が発生した場合に、記憶されている差分Aおよび差分Bを用いて油圧センサ値を補正し、補正された油圧センサ値を用いてブレーキ制動力を演算する。これにより、ストロークセンサ25に異常が発生した際のブレーキフィーリングの変化を抑制することができる。
【0069】
図9は、実施形態3に係る制動力制御の一例を示すフローチャートである。このフローは、ブレーキECU70により所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0070】
まず、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25の0点補正が完了しているか判断する(S301)。ストロークセンサ25の0点補正が完了していない場合(S301のN)、ストロークセンサ25の0点補正を実施し(S302)、再びステップ301に進む。ストロークセンサ25の0点補正が完了している場合(S301のY)、油圧センサ14の0点補正が完了しているか判断する(S303)。油圧センサ14の0点補正が完了していない場合(S303のN)、油圧センサ14の0点補正を実施し(S304)、再びステップ303に進む。油圧センサ14の0点補正が完了している場合(S303のY)、ストップランプスイッチ12の変動ポイントによる油圧センサ学習を実施する(S305)。
【0071】
続いて、ブレーキECU70は、ストロークセンサ25に異常が発生しているか判断する(S306)。ストロークセンサ25に異常が発生している場合(S306のY)、ストップランプスイッチ12と油圧センサ14を用いた制御によるフェールセーフ制御(ブレーキバイワイヤ制御)を実施する(S307)。ストロークセンサ25に異常が発生していない場合(S306のN)、通常の制御を実施する(S308)。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るブレーキECU70は、ストロークセンサ25に異常が発生した場合に、油圧センサ14とストップランプスイッチ12とを用いて、油圧センサ出力値が目標制動力線に近づくように補正処理を実行し、この補正処理で得られた油圧センサ出力値を用いてブレーキバイワイヤ方式の制動力制御を実施している。そのため、ストロークセンサ25に異常が発生した場合のブレーキフィーリングの変化を抑制することができる。
【0073】
近年、電子制御ブレーキシステムの部品種類削減、搭載要件、コスト削減等の観点から、現状のペダル構成、センサハード構成を変更することなく、電子制御ブレーキシステムのフィーリングシステム要件を満足することが求められているが、本実施形態によれば、このような要求を満たすことができる。
【0074】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくは変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれ得る。上述の各実施形態同士の組合せや変形の追加によって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および追加される変形のそれぞれの効果をあわせもつ。各図に示す構成は、一例を説明するためのもので、同様な機能を達成できる構成であれば、適宜変更可能であり、同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
12 ストップランプスイッチ、 14 油圧センサ、 24 ブレーキペダル、 70 ブレーキECU、 84 ストップランプ、 701 ブレーキペダル監視部、 702 ストップランプスイッチ監視部、 703 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルのオンオフを検知するブレーキペダル監視部と、
ストップランプスイッチのオンオフを検知するストップランプスイッチ監視部と、
前記ブレーキペダル監視部がブレーキペダルのオフを検知している状態で、前記ストップランプスイッチ監視部が所定時間内にストップランプスイッチのオンオフの切り替えを所定回数以上検知した場合に、ストップランプスイッチの組み付け異常と判定する制御部と、
を備えることを特徴とするストップランプスイッチの異常判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−82252(P2013−82252A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221885(P2011−221885)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】