ストランド状で連続な繊維束の指定長さにおける質量、及び/又は水分を測定するための装置、及び繊維機械
本発明は、繊維機械(1)、特に、予備紡績機械(1)、例えば、練条機(1)、カード機、又は梳毛機、又は紡績機械、例えば、紡績練条機又は糸巻き機に用いられ、ストランド状に形成された連続繊維束(FB)の単位長さ当たりの質量及び/又は水分含有量を測定する装置(20、20′)に関し、この装置は、繊維束(FB)が通過する測定チャンバー(22)を有するマイクロ波共振器(21)、及びマイクロ波共振器(21、21′)の共振周波数(fR)及び/又は質(Q)を検出する装置を備える。発生器信号(gs)を発生させるように設計される信号発生器(27)では、そのスペクトルが複数種の周波数(f1,f2,・・・fn)を有する。発生器信号(gs)は、マイクロ波共振器(21)に入力され、マイクロ波共振器(21)から出力される出力信号(as)は、評価回路(28)に伝達される。この評価回路(28)は、出力信号(as)のスペクトル(AS)中において、同時に、複数の前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅及び/又は位相を測定できるように設計される。更に、本発明は、発明の装置(20、20′)を備えた繊維機械(1)に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動するストランド状の繊維束の単位長当たりの質量、及び水分を測定するための繊維機械用の装置に関する。本発明にかかる装置は、特に、練条機、カード機、又は梳毛機等の紡績用前処理機、又は紡績機械又は巻取り機等の紡績工場における機械への適用が意図されているものである。その装置は、マイクロ波共振器を含む。なお、このマイクロ波共振器には、繊維束が通過可能な測定チャンバー、及び当該マイクロ波共振器の共振周波数及び/又は線質係数(Q値)を測定する設定が組み込まれている。
【0002】
更に、本発明は、繊維機械に関し、特に、錬条機、カード機、又は梳毛機等の紡績用前処理機、又は紡績機械又は巻き取り機等の紡績工場における機械に関する。
【背景技術】
【0003】
繊維機械の操作では、しばしば、ストランド状の移動する繊維束の単位長さ当たりの質量を測定する必要がある。本明細書において、「ストランド状の繊維束」とは、例えば、繊維スライバー、毛糸、より糸として言及される。単位長当たりの質量は、各々単位長さに含まれる繊維束の質量を示す。このパラメータの測定から得られる結果は、特に、特定の繊維機械の制御に使用される。更に、そのような測定の結果は、製造される繊維束の質の評価に使用することが可能である。
【0004】
さらなる世代の繊維機械に対する要求により(特に計画されている稼働速度の増加について)、移動繊維の単位長あたりの質量の測定において、現在までに主に使用されている機械的な検知装置は、もはや十分ではない。
【0005】
一方で、マイクロ波の使用が、繊維束の単位長当たりの質量の測定のための新たな方法を示している。この方法は、マイクロ波共振器内の測定チャンバーを通して連続的に測定されるべき繊維束を通過させることを含む。織物繊維の束の誘電特性は、外気の誘電特性とは異なるので、マイクロ波共振器を通した繊維束の通過が、共振周波数及び共振器の線質係数に影響を与える。
【0006】
マイクロ波発生器により発生される種々の周波数を有するマイクロ波信号をマイクロ波共振器に組み合わせることは、共振周波数、及びマイクロ波共振器の線質係数を求めるための知られている方法である。通常、この方法では、連続的又は特定の段階において、予め指定された周波数範囲を移動させ、共振器に入力されるマイクロ波信号の各々の周波数に対して、マイクロ波共振器内で得られる振動の振幅を求める。
【0007】
このようにして記録される共振曲線により、共振周波数(すなわち、振幅が最大となる周波数)、及びマイクロ波共振器の線質係数の両方を決定することができる。この方法における第1のステップは、共振曲線からマイクロ波共振器の帯域幅を求めることである。ここでは、次のルール「帯域幅は、振幅が最大振幅の1/√2以上となる共振曲線の領域となる」が適用される。その結果、線質係数は、帯域幅を用いて共振周波数を分割することにより容易に決定される。
【0008】
織物繊維束を製造、及び/又は処理する際には、繊維束、すなわち物質そのものの乾燥質量が最も重要である。しかしながら、特に、繊維束が綿などの天然繊維を含む場合、湿気を吸収する傾向にある。乾燥質量、及び水分は、共に、共振周波数、及びマイクロ波共振器の線質係数に影響を与える。しかし、これらは異なった態様で影響を与えるので、共振周波数、及びマイクロ波共振器の線質係数の測定結果を、繊維束の乾燥質量及びその含水量の両方の決定のために使用することが可能である。明確化のために、ここで使用されている「単位長当たりの質量」という用語が、単位長当たりの乾燥材料の絶対質量として言及されることを記載すべきである。一方で、「水分」という用語は、繊維束の単位長当たりに観測される水分の絶対質量として言及される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
知られている方法において、測定時間は、少なくとも、事前に指定された周波数の範囲を通過するために要求される時間と同様の長さである。しかしながら、振動周波数が変化した後に設定時間が経過した場合、マイクロ波共振器の振幅としてその最終値のみを採用するので、制限の無い速度で周波数範囲を通過することが可能である。例えば、周波数が線型に変化する場合、マイクロ波共振器の帯域幅の四角によりカバーされる周波数範囲を分割することによって、要求される最小の測定時間を予測することが可能である。しかしながら、より正確性が求められる場合、要求される測定時間は、さらに増加する。
【0010】
しかし、測定時間が増加する場合、もはや重要な役割を果たせない過渡的な過程では、結果として、繊維束が共振器を通過する際の共振曲線に対して測定される振幅値が、その束の他の部分に関連付けられる。そして、これは測定の不正確性につながり、この不正確性は繊維束の移動がより早くなると一層深刻となる。
【0011】
従って、知られている方法の欠点は、繊維束の単位長当たりの質量及び/又はそれが吸収した水分の測定に所望の精度を達成することが(特に、繊維束が急速に移動する場合において)、基本的に不可能であるということである。
【0012】
従って、本発明の目的は、上述した欠点を回避する繊維機械、又は繊維機械用の装置を提供することである。特に、繊維束単位長当たりの質量、及び/又はそれが吸収した水分の測定の精度を改善すると同時に、設備の複雑化及び高コスト化は低減されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立請求項の特徴により達成される。
【0014】
本発明によれば、信号発生器が装置内に設けられ、この信号発生器は、複数の周波数を含むスペクトルの信号の発生に使用される。発生器の信号は、マイクロ波共振器に入力され、マイクロ波共振器から出力された出力信号は、評価回路に提供される。ここで使用される評価回路は、出力信号のスペクトル内の複数の前記周波数の振幅及び/又は位相を同時に求めるように設計されている。
【0015】
このようにして同時に得られる振幅の伝達係数及び/又は位相の伝達係数から、マイクロ波共振器の共振周波数及び/又は線質係数を計算により求めることができる。この結果から、測定チャンバーを通過するストランド状繊維束の単位長さ当たりの質量及び/又は水分含有量の測定結果を得るために、公知の方法を使用することが可能である。
【0016】
しかしながら、その一方で、種々の周波数に対する振幅の伝達係数及び/又は位相の伝達係数を測定及び評価することにより、最先端技術で共振曲線を求める必要がない。結果として、測定結果を発生させるために要求される時間は、明らかに短くなる。従って、たとえ繊維束の通過速度が上昇しても、測定される値の精度を高めることができる。個々の測定結果は、もはや、該測定が行われている時間の間に繊維束の部分が移動することで意味が無くなる。
【0017】
同期信号は、好ましくは、評価回路を信号発生器に同期させるために提供される。信号発生器は、発生器信号のスペクトルが、指定可能な最小の周波数及び/又は指定可能な最大の周波数により制限される。このように帯域が一方又は両方の側に制限されているスペクトルを発生させることで、発生器の信号のエネルギー含有量を、評価用の周波数範囲に集中させることができるという利点が生じる。
【0018】
この場合、マイクロ波共振器の最小の使用可能な共振周波数よりも低い最小の周波数を設定し、及び/又は最大周波数を、マイクロ波共振器の共振周波数よりも高く設定することが好ましい。マイクロ波共振器の最大共振周波数は、測定チャンバーが空である場合に観測される。一方、使用可能な最小の共振周波数は、測定チャンバーが最大に満たされている場合に観測される共振周波数である。また、最小共振周波数と最大共振周波数の間の周波数範囲は、同調レンジとして知られている。今、スペクトルの幅が同調レンジをカバーしている場合、その結果、マイクロ波共振器の測定チャンバーがどれだけ満たされているかにかかわらず、共振周波数の近傍における周波数を評価することが可能である。最終結果として、本発明は、測定結果の精度を改善する。
【0019】
信号発生器が連続スペクトルを有する信号を発生させることができるように設計されることが想定されるが、それでも、信号発生器は発生器信号のスペクトルの前記周波数が離散的に分散されるように設計されることが好ましい。このことは、当該発生器が線スペクトルを発生させるように構成されることを意味する。線スペクトルの使用により、評価用の周波数における発生器の信号に含まれるエネルギーを集中させることが可能となる。
【0020】
上記発生信号のスペクトルにおける離散的な周波数が等間隔に分散されるように、信号発生器を設計することが特に好ましい。この種の等間隔線スペクトルは、周波数が基本周波数の整数倍である正弦波信号を重ね合わせることにより容易に発生させることができる。
【0021】
この場合、隣接する周波数の間の距離がマイクロ波共振器の最小帯域幅の1.5倍、より好ましくは、0.75倍より小さくなるように、信号発生器を構成することが好ましい。マイクロ波共振器の最小帯域幅は、共振周波数とその周波数における線質係数の商の最小値として定義される。提案されたスペクトル線が閉鎖している間隔は、測定チャンバーがどの程度満たされているかに限られず、評価に適切な周波数が共振周波数にほぼ近似し利用可能である。これにより、あらゆる状況において、要求された精度の測定が可能となる。
【0022】
特に、好ましい実施の形態では、信号発生器は、少なくとも評価用に提供される上述の周波数が、発生器信号のスペクトルにおいて同じ振幅を有するように設計される。これは、出力信号の評価の処理を著しく簡素化する。
【0023】
一つの好ましい実施の形態として、評価回路は、マイクロ波共振器の共振周波数に対応する周波数信号を発生させ、及び/又はマイクロ波共振器の線質係数に対応する線質係数の信号を発生させるように設計される。その結果、周波数信号、及び/又は線質係数の信号を、既存の設備を使用する方法で評価することが可能である。
【0024】
評価回路は、出力信号のスペクトルにおける少なくとも3種の上記周波数の振幅を決定するように設計されることが好ましい。その結果、振幅の伝達関数を、3種の異なる振幅値から求めることができる。そして、位相の値の測定を必要としない。
【0025】
他の好ましい実施の形態において、評価回路は、出力信号のスペクトルにおける少なくとも2種の上記周波数の振幅及び位相を決定するように設計する。この場合、また、マイクロ波共振器の伝達関数を明確に決定することができる。
【0026】
スペクトル中の少なくとも3種の上記周波数の位相が決定される場合、その結果、振幅の値を決定する必要が無くなる。
【0027】
評価される複数の周波数が必要以上に多い場合、その結果、多くの場合において、共振周波数及び/又は線質係数に対する厳密解が発見できない。この場合、評価回路が、誤差最小化アルゴリズムを用いてマイクロ波共振器の共振周波数及び/又は線質係数を決定するように設計されることが有効である。適切な誤差最小化アルゴリズムは、例えば、(可能であれば、重み付けされた)最小誤差法、又は(可能であれば、重み付けされた)最小2乗誤差法である。この種の誤差最小化アルゴリズムの適用により、共振周波数及び/又は線質係数を決定する際に、任意の種類のマイクロ波発振器の周波数を考慮に入れることが可能となる。
【0028】
測定の精度を増加させるために、評価回路が、マイクロ波共振器の帯域幅内の出力信号のスペクトルにおける上記周波数の振幅及び/又は位相を決定するように設計されることが好ましい。
【0029】
また、評価回路が、出力信号のスペクトルにおけるマイクロ波共振器の共振周波数を越える少なくとも1種の上記周波数、及びマイクロ波共振器の共振周波数を下回る少なくとも1種の上記周波数の振幅及び/又は位相を決定するように設計される場合、測定の精度を改善することの助けとなる。
【0030】
特に、評価回路が、出力信号のスペクトルにおいて評価用の上記周波数の異なる振幅を考慮に入れるように設計されることが好ましい。出力信号のスペクトルにおける特定の上記周波数の振幅と、発生器の信号のスペクトルにおける同一周波数の振幅と、を比較することにより、出力信号のスペクトル中における異なる振幅を考慮に入れることが可能となる。この場合、後者の情報を、評価回路に提供される同期された信号に含めることができる。
【0031】
評価回路に、サンプリング回路により発生するサンプリングされた信号のスペクトル分析用の分析回路を組み込むことが好ましい。ここで、サンプリング回路は、サンプリングされた信号が出力信号に対応するように設計される。従って、出力信号に含まれる周波数の振幅及び/又は位相についての情報は、スペクトル分析を通して発生するサンプリング信号のスペクトルに含まれる。このように、マイクロ波共振器の共振周波数、及び/又は線質係数を、サンプリング信号のスペクトル分析を通して決定することができる。
【0032】
一つの好ましい実施の形態において、サンプリング回路は、出力信号自身をサンプリングするように設計される。これにより、設定が簡素なものとなる。
【0033】
さらに好ましい実施の形態において、評価回路は、出力信号を低周波数のベースバンドに転移させる転移回路を含む。その結果、転移回路から得られる転移された出力信号が、この目的のために設計されたサンプリング回路により、サンプリングされる。出力信号は、知られている方法で、それを高調波信号と混合することにより転移される。出力信号の低周波数のベースバンドへの転移により、さらに、信号の処理が簡素化される。
【0034】
好ましくは、サンプリング回路は、デジタルサンプリング信号を発生し、この場合、分析回路は、デジタルサンプリング信号を分析するデジタル分析回路として設計される。デジタル分析回路は、低価格で利用可能である。
【0035】
サンプリング信号のスペクトル分析に使用される分析回路は、高速フーリエ変換及び/又はプロニー法に基づいて設計される。これらの方法は、所望のスペクトルを十分に正確に、素早く容易に発見することのできる近似法である。
【0036】
マイクロ波共振器は、2ポート共振器の形態を実装することが好ましい。この場合、マイクロ波共振器は、発生信号がマイクロ波共振器に入力される内部接続部、及び出力信号がマイクロ波共振器から外部に出力される外部接続部を有する。2ポート共振器を使用することにより、伝達の測定が容易に実行される。
【0037】
さらなる実施の形態において、マイクロ波共振器は、単一ポート共振器として実施される。この場合、マイクロ波共振器には、発生信号がマイクロ波共振器に結合され、及び反射された信号が出力信号として出力される接続部が組み込まれる。反射の測定を実行するためのこの種のマイクロ波共振器の機械的構成は、比較的簡素である。
【0038】
単一ポート共振器を使用する1つの好ましい実施の形態において、信号発生器は、発生器信号が注入電流となるように設計され、及び評価回路が、反射信号として接続部で発生する電圧を評価するように設計される。
【0039】
同じく単一ポート共振器を使用する好ましい実施の形態において、信号発生器は、当該発生器の信号が印加電圧となるように設計され、及び評価回路は、反射された出力信号として接続部を流れる電流が評価されるように設計される。
【0040】
信号が導波ガイド(例えば、導波ガイド管)を通して入力及び出力されるように信号発生器を発生器の信号が印加された波となるように設計する場合、出力回路は、接続部において反射波として発生する出力信号の振幅及び/又は位相の評価用に設計される。
【0041】
さらに好ましい本発明の実施の形態において、信号の評価ステージでは、ストランド状の移動繊維束の単位長当たりの質量の測定及び/又は含水量の測定が、周波数信号及び/又は線質係数信号から行われる。このように構成された装置は、従来の繊維機械に適用可能である。
【0042】
少なくとも、1種のFPGAが存在することが好ましい。適切に構成されたFPGAを用いて信号評価ステージを実行することが好ましい。しかしながら、適切に構成されたFPGAを用いて信号発生器及び/又は評価回路を提供することも可能である。単一のFPGAを、2、3又は全てのこれらのモジュールの機能を発揮するように構成することが好ましい。
【0043】
FPGA(“Field Programmable Gate Array”の頭字語である。)は、プログラマブル論理要素(Programmable logic component)であり、その機能は、内部構造における特有の設定を通じて特定される。このため、1種及び同一のFPGAは、回路のほぼ制限の無い範囲を提供する。これにより、アプリケーション特有の集積回路(ASIC)の使用を通じてコストにおいて有利である。連続的に実行されるプログラムにより特定する必要のあるマイクロプロセッサに対して、FPGAは、高い処理速度に繋がる並列情報処理への選択を提供する。
【0044】
好ましくは、マイクロ波共振器、及びそれに伴う少なくとも付属回路、特に、信号評価ステージ、信号発生器及び/又は評価回路が、共通のハウジングに収容される。これにより、織物環境において見られるゴミ、飛散繊維、温度変化、機械的影響等に対する全体の設備で必要の保護が直接的に提供される。
【0045】
好ましくは、その設備は、該設備を繊維機械の通信ポートに接続するために定義されたプロトコルを有する通信インターフェイスを含む。近年の繊維機械は、多数の制御用モジュールを含む。通信ポートは、これらのモジュールをリンクさせるために設けられる。従って、本発明にかかる装置が、適切なプロトコルにしたがって動作する通信インターフェイスを含む場合、その装置は、製造時における繊維機械に容易に適合するか、又は既存の機械に改良して容易に取り付けられる。バスインターフェイスが使用される場合、要求されるケーブルの量は、最小限となる。CANバスインターフェイスが、特に適切である。
【0046】
本発明にかかる繊維機械は、本発明の少なくとも1種の装置を有することを特徴とする。上述の利点が得られる。
【0047】
更に、本発明の利点は、以下の具体的な実施の形態に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】最新式の繊維機械の例としての練条機である。
【図2】本発明にかかる練条機である。
【図3】2ポートマイクロ波共振器を備えた本発明にかかる装置である。
【図4】図3の装置に対応する回路図である。
【図5】(a)は、発生器の信号の等間隔線スペクトルであり、(b)は、(a)の発生器の信号を示している。
【図6】(a)は、発生器の信号の帯域制限された等間隔スペクトルであり、(b)は、(a)の発生器の信号を示している。
【図7】発生器の信号とともに、マイクロ波共振器における振幅及び位相伝達を示す略図である。
【図8】マイクロ波共振器の伝達関数の振幅、実数成分、及び虚数成分の関係を示す図である。
【図9】出力信号のスペクトルの大きさを示す図である。
【図10】出力信号のスペクトルの実数成分を示す図である。
【図11】出力信号のスペクトルの虚数成分を示す図である。
【図12】単一ポートマイクロ波共振器を有する本発明にかかる装置である。
【図13】図12の装置に対応する回路図である。
【図14】単一ポートマイクロ波共振器を有する本発明にかかる他の装置である。
【図15】図14の装置に対応する回路図である。
【図16】2ポートマイクロ波共振器を備えた他の装置である。
【図17】図17の装置に対応する回路図である。
【図18】本発明の装置の他の実施の形態である。
【図19】図18の装置に対応する回路図である。
【図20】ベースバンドに転移する出力信号を示している。
【図21】マイクロ波共振器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、繊維機械1の例として、最先端技術で構成された練条機1を示している。錬条機1に供給される繊維束FBは、方向LRに移動しつつ、スライバーガイド2、入り口センサー装置3、撓み装置4、ドラフトシステム5、出口ガイド6、及びスライバー保管部7を経由して通過する。
【0050】
概略的にのみ示されているスライバーガイド2は、繊維束FBzuが提供される位置に配置されている撓み管8を含み、この繊維束FBzuは、錬条機1に隣設されたスライバー管9から繊維スライバーFBzuの形態をとる。しかしながら、スライバーガイド2は、走行カレンダーから直接供給される繊維スライバーFBzuを受けることができるようにも設計されている。同じく、現実的にはこれが最も頻繁に起こるケースであるが、スライバーガイド2は、種々の利用可能なスライバー管9から同時に多くの繊維スライバーFBzuを受けることができるように設計されている。以下に言及される繊維スライバーFBzuは、数種の繊維スライバーFBzuを含む可能性がある。
【0051】
流入する繊維スライバーFBzuは、スライバーガイド2により入り口装置3に輸送される。この入り口装置3は、入り口管3a、及び対駆動検出ローラ3b、3b′を有する。この対駆動検出ローラ3b、3b′は、固定された軸受けに付けられたローラ3B、及び負荷がかかると回転するローラ3b′からなる。対駆動検出ローラ3b、3b′は、一方で、繊維スライバーFBzuを入り口管3aに引く役割を果たし、また、一方でそれを圧縮し、更に、各部分で通過する単位長当たりの繊維スライバーFBzuの質量を測定する。この質量の測定の役割の目的で、回転ローラ3b′の動きを検出するための変位振動子3cが設けられている。このようにして、最終的に、繊維スライバーFBzuの径が測定され、この測定結果により、繊維スライバーFBzuの単位長当たりの質量が算出される。入り口領域、すなわち、ドラフトシステム5の上流において、通過する繊維スライバーFBzuの単位長当たりの質量が測定される。言い換えれば、機械的な検出が行われる。ここで、個々の測定された部分ABは、数ミリメートルの長さを有する。各々の測定部分のために、変位振動子3cは、測定結果MWを発生させる。
【0052】
スライバー撓み棒4a,4b、4c、及び4dを備えた撓み装置4は、入り口装置3において発生する繊維スライバーFBzuへの圧を解放することによって、入り口装置3から到着する繊維スライバーの移動方向に対して横断する方向に、繊維スライバーFBzuを均一に広げるという役割がある。
【0053】
繊維スライバーFBzuが、入り口装置3からドラフトシステム5に移送されるので、繊維スライバーFBzuは、検出ローラ対3a、3a′、及び吸入ローラ対5a、5a′との間の円周方向速度の差により発生する吸入の張力を受ける。
【0054】
ドラフトシステム5は、一対の吸入ローラ5a、5a′、一対の中央ローラ5b、5b′及び一対の輸送ローラ5c、5c′を含む。対のローラ5a、5a′、5b及び5b′5c及び5c′が、一対のローラから輸送方向における次のローラまでにおいて、速度が増加するように駆動されている。結果として、繊維スライバーFBzuが、対吸入ローラ5a、5a′及び対中央ローラ5b、5b′の間の空間に形成される予備引き伸ばし領域VVF、及び対中央ローラ5b、5b′と対輸送ローラ5c、5c′の間に形成されている主引き延ばし領域VFの双方において引き延ばされる。
【0055】
ドラフトシステム5の下方ローラ5a、5d、5cは、適切な位置に固定される。一方で、上方ローラ5a′、5b′、5c′は、可動ベアリングに取り付けられ、図示しない負荷により下方ローラ5a、5d、5cに対して圧せられる。従って、繊維スライバーFBzuの保持状態が強固になる。
【0056】
出口ガイド6は、出口管6aと駆動対取り除きローラ6b、6b′を含む。この駆動対引き延ばしローラ6b、6b′において、一方のローラ6bは、適切な位置に固定されており、他方のローラ6b′は、可動ベアリングに取り付けられている。出口管6aの作用は、ドラフトされたスライバーFBzuを圧縮して、繊維スライバーFBzuを小型化することである。
【0057】
駆動対引き延ばしローラ6b、6b′は、初めに繊維束FBabを出口管6aから引く役割を果たし、また、さらに繊維束FBabを小型化する。これに加えて、可動取り付けローラ6b′は、他の変位振動子6cに結合され、測定値MW′を発生する。これは、発生する繊維束FBabの単位長当たりの質量に対応する。このことは、従来の錬条機1において、発生する繊維束FBabの単位長当たりの質量を測定するために機械的なセンサーを使用する方式も、ドラフトシステム5の下流である出口領域に適用されていることを意味する。
【0058】
本明細書では詳細に説明はしないが、スライバー保管部7は、錬条機1により作成されるスライバー缶12内に整列された繊維スライバーFBabを提供する。
【0059】
ドラフトシステム5は、制御装置13を用いて制御される。操作装置14は、制御装置13への入力の量として提供される制御値を使用者が指定できるように、制御装置13に割り当てられる。このように使用者により指定される入力の量は、例えば、所望の伝達速度LG、及び製造された繊維スライバーFBabの所望のスライバー質量BGを含む。ここで、伝達速度LGは、ドラフトされた繊維スライバーFBabが、ドラフトシステム5から出る速度として言及される。一方で、スライバー質量BGは、錬条機1から引き出される繊維スライバーFBabの単位長当たりの平均質量である。制御装置13に入力される他の量は、電流測定値MWである。この測定値は、自動的に入り口センサー装置3から制御装置13に伝達される。制御装置13への入力量の唯一の選択が示されている。他の入力の量は、実際に制御装置13に提供される。
【0060】
制御装置13は、その入力の量に応じて、図示しない駆動設備を作動させることで、対入力ローラ5a、5a′の回転速度、中央対入力ローラ5b、5b′の回転速度、及び対輸送ローラ5c、5c′の回転速度を制御する。調整されていない状態における操作では、予備引き延ばし領域VVFで指定された予備ドラフトが行われ、主引き延ばし領域VFで指定された主ドラフトが行われる。
【0061】
一方、調整された状態における操作では、ドラフトに制御調整としても知られている変化が生じる。この種の制御調整は、変位振動子3cにより得られる測定結果に基づいてなされる。ドラフトシステム5の上流側で測定結果が得られる制御システムは、開ループ制御と呼ばれている。この種の制御システムにおいては、提供される繊維スライバーFBabの部分ABにおける制御調整がなされる地点REPまでカバーする距離、又は経過時間が考慮されなければならない。カバーされる距離及び経過時間は、ドラフトシステム吸入速度に関連する。
【0062】
引き延ばし領域VFに供給される繊維束FBzuは、相互に一連に連結して形成されている。ここで、ABnを参照すると、図示のように、この部分はセンサー装置3cにより測定が行われている。部分ABn-1は、部分ABnの下流に設置されている。簡略化のために、他の部分は、符号を付していない。関連している部分ABの単位長当たりの質量に対応して、各々の部分に対し少なくとも1種の測定結果MWが得られ、制御装置13に伝達される。
【0063】
測定部分ABnが、制御動作点REP(すなわち、AB′nとして示された部分)に到達すると、制御装置13は、適切な制御調整を開始する。例えば、部分ABnが、上述の単位長あたりの平均質量を備えている場合、繊維束FBを平らにする目的で、ドラフト量を増加させる。
【0064】
吸入されるFBzuの単位長あたりの質量を示す測定値MWの精度は、製造される繊維スライバーFBabの質にとって非常に重要である。より均一に発生する繊維スライバーFBabが、より高品質のものである。
【0065】
発生する繊維スライバーFBabの質を測定するための知られている最先端技術は、評価装置15を使用することである。この評価装置15は、測定管6aにより提供される測定値MW′から変動係数を計算する。この係数は、示されたスライバーFBabの長さに対するスライバーの不規則性のパーセンテージを示す。示された長さは、カット長としても知られており、変動係数もCV%値と呼ばれている。実際に使用されるカット長は、数センチメーターから数メーターの間の範囲である。しかしながら、信頼できるCV%値は、測定された値自身が高い精度を有する場合にのみ得られる。決定されたCV%値を例えば、ディスプレイ16に示しても良いし、又は後の評価のために記憶させておいても良い。
【0066】
図2は、本発明による繊維機械1の例として、錬条機1を示している。この錬条機1は、本発明にかかる第1の装置20を入り口装置3の領域に備え、及び本発明にかかる第2の装置20′を出口装置6の領域に備えることが特徴である。本発明にかかる第1の装置20は、図1に示されている練条機1の変位振動子3cに代わるものである。また、ここで、装置20は、ドラフトシステム5に提供される繊維スライバーFBzuの部分ABの単位長あたりの質量を測定、及びこの情報を含む測定値を発生するために使用される。
【0067】
測定値MWは、錬条機1を制御するために知られている方法で使用される。この場合、単位長あたりの質量は、接触すること無くマイクロ波を用いて測定される。慣性質量が無いため、錬条機の稼働速度を上昇させることに対して障害も無くなる。繊維スライバーFBの単位長あたりの質量は、本発明の装置20の測定チャンバー22の誘電特性の評価により測定される。装置20により発生する測定値MWは、繊維束FBzuの単位長あたりの乾燥質量を示す。これにより、繊維スライバーFBzuの水分含有量の変化から生じる可能性のある繊維機械1の制御における誤差を回避する。上記装置により測定結果を得るために必要な時間は、知られているマイクロ波測定装置のものより短いので、測定値MWは、たとえ、繊維束FBzuが高速で移動する場合であっても精度が保たれたままである。また、連なっている状態の複数の繊維束の部分ABに亘る単位長あたりの質量を平均化することも避けられる。各々測定値MWは、正確に1個の部分ABを表している。
【0068】
本発明にかかる他の装置20′は、保管される繊維束FBabの単位長あたりの質量を各部分において測定する。単位長当たりの質量に対応する測定値MW′は、知られている方法で評価回路15′に提供され、質を示す量を生成する。測定値MW′は、測定チャンバー21′の誘電特性に基づいて得られる。この誘電特性は、本発明にかかる装置20が行う方法と同様の方法で測定される。従って、同様の利点も得られる。測定される繊維束FBabの速度が通常より増加するにもかかわらず、出口ガイド6の領域における本発明にかかる装置20′の設置は、特に有益であることがわかる。
【0069】
図3は、本発明にかかる装置20の第1の可能な実施の形態を示している。装置20は、測定チャンバー22を備えたマイクロ波共振器21を含む。繊維スライバーFBは、入り口開口23、及び出口開口24を通って移動方向LRに沿って測定チャンバー22を連続的に通過可能である。また、マイクロ波共振器21は、内部接続部(coupling arrangement)25、及び外部接続部26を含む。従って、2ポート共振器として実施される。
【0070】
本発明によれば、信号発生器27が存在し、この発生器の信号gsは、内部接続部25によりマイクロ波共振器21の測定チャンバー22に入力される。また、外部接続部26により測定チャンバー22から出力される出力信号が入力される評価回路28が設けられる。評価回路28は、マイクロ波共振器21の共振周波数に対応する周波数信号rtsを発生させ、及びマイクロ波共振器21の線質係数に対応する線質係数信号gusを発生させるように設計されている。また、移動しているストランド状の繊維束の単位長当たりの質量用の測定値MW、及び移動しているストランド状の繊維束の水分含有量用の測定値MFを、周波数信号rts及び線質係数信号gusから発生させる信号評価ステージ29が設けられている。
【0071】
図4は、図3において示された装置20に対応する回路図である。マイクロ波共振器21の電気特性は、並列に接続された抵抗R1、キャパシタンスC1、及びインダクタンスL1により表すことができる。従って、電気的な視点から、マイクロ波共振器が、並列共振回路R1、C1及びL1に相当する。測定チャンバー22に存在する繊維束FBの乾燥した含有物質の質量、及び水分含有物の質量は、抵抗値R1及びキャパシタンスの値C1に影響を与える。結果として、並列共振回路R1、C1、L1の線質係数、及び共振周波数が変化する。しかしながら、並列共振回路R1、C1、L1の特徴的パラメータに対する繊維スライバーの乾燥質量の比率の影響は、繊維スライバーFBの水分含有率の影響とは異なる法則にしたがうので、並列共振回路R1、C1、L1の線質係数、及び共振周波数を知ることで、測定チャンバー22に存在する繊維束FBの水分含有量、及び乾燥成分の単位長あたりの質量の双方を知ることができる。図3に示されている内部接続部25、及び外部接続部26は、図4において、それぞれインダクタンスL3及びインダクタンスL4により表されている。
【0072】
本発明の中心は、発生器信号gsのスペクトルが、複数の周波数を含み、この発生器信号gsのスペクトルに含まれる周波数の大部分に対して振幅及び/又は位相が出力信号のスペクトルにおいて同時に決定されることである。出力信号を評価すること、そして、発生器信号gsを知ることによって、マイクロ波共振器21の共振周波数及び線質係数を測定することが可能になる。このために、評価回路28に、発生器27から発生器信号gsに対応する同期信号sysが提供される。
【0073】
発生器信号gsに含まれる各周波数は、出力信号のスペクトル中にも含まれる。ここで、対応する振幅が、出力信号のスペクトル中の十分に多数の周波数に対して発見される場合、マイクロ波共振器の振幅の伝達関数(共振曲線としても知られている)を明確に決定することができる。
【0074】
同じく、出力信号のスペクトル中の十分に多数の周波数の位相を評価することにより、位相の伝達関数が決定される。マイクロ波共振器の共振周波数及び/又は線質係数は、振幅の伝達関数又は位相の伝達関数の何れかにより測定される。しかしながら、多くの場合、共振周波数又は線質係数の測定の精度を高めるために、振幅の伝達関数及び位相の伝達関数の両方が決定されることが有効である。
【0075】
結果として、示されている装置20は、従来のマイクロ波装置においてなされているように段階的に共振曲線を記録することなく、マイクロ波共振器21の共振周波数に対応する信号rfs、マイクロ波共振器21の線質係数に対応する信号gusを発生させることができる。
【0076】
図5は、複数の周波数を含む発生器信号gsのスペクトルGSを示している。示されているスペクトルGSは、制限の無い帯域幅の線スペクトルである。スペクトルGSに含まれる周波数は、基本周波数f0の整数倍となっている。隣接する周波数同士は、同じ間隔を備えているので、この種のスペクトルGSは、等間隔と呼ばれている。数学的な考察により、図5aに示されているスペクトルGSは、発生器信号の図5bに示されているスパイクパルスの周期列からなるスペクトルとなる。
【0077】
基本的に、図5bに示されている発生器信号gsは、本発明の装置における使用に適切である。しかしながら、それが備えるスペクトルGSの制限の無い帯域幅が、極めて多数の周波数が存在していることを意味し、他の評価にとって重要な意味を持つものではない。
【0078】
従って、好ましくは、そのスペクトルgsが制限された帯域幅の等間隔線スペクトルである発生器信号gsが使用される。この種の制限された帯域幅の等間隔線スペクトルGSは、例えば、図6aに示されている。スペクトルGSは、複数の周波数を含み、そのそれぞれが、周波数f0の整数倍になっている。ここで、スペクトルGSは、最小周波数fmin及び最大周波数fmaxにより制限される。スペクトルGS中に表される全ての周波数は、同一の振幅を有している。これにより、出力信号の評価が簡素化される。現状では、出力信号ASのスペクトル中における振幅変動が、マイクロ波共振器21の伝送特性に直接的に由来することを意味する。
【0079】
図6aのスペクトルGSに属する発生器信号gsは、図6bに示されている。現代の信号発生器では、この種の発生器信号gsを問題なく生成することができる。基本周波数f0、最小周波数fmin及び最大周波数fmaxのための値を特定することができる。
【0080】
図7は、本発明に特に適切な発生器信号gsのスペクトルGSとともに、マイクロ波共振器21bの振幅の伝達特性、及び位相の伝達特性を示している。図の上方部分には、マイクロ波発生器21の与えられた時間における振幅伝達関数A(f)が示されている。振幅伝達関数A(f)は、共振周波数fR及び大域幅Bが特徴量である。共振周波数fRは、振幅伝達関数A(f)が最大値をとる周波数である。帯域幅Bは、振幅伝達関数A(f)の値がその最大値の少なくとも1/√2となる周波数範囲である。マイクロ波共振器21の線質係数は、共振周波数fRを帯域幅の値で割ることで容易に求めることができる。共振周波数fR及び帯域幅Bは、双方とも時間依存量であり、従って、それが線質係数となる。線質係数は、マイクロ波共振器21の測定チャンバー22に配置される繊維束FGの質量、及び繊維束FGに含まれる水分の比率の双方に依存する。
【0081】
位相伝達関数P(f)を使用して共振周波数fR及び帯域幅Bを求めることも可能である。共振周波数fRは、位相伝達関数P(f)のゼロ交差点を発見することにより高い精度で知ることができる。また、帯域幅Bは、位相変化が+/−45°を超えない周波数範囲となるように定めることができる。
【0082】
図の下方部分は、特に好適な発生器信号gsのスペクトルGSを示している。このスペクトルGSは、帯域幅の制限の無い等間隔線スペクトルである。このスペクトルは、帯域幅Bがマイクロ波共振器の極範囲(turning range)を覆うということが特徴点である。このことは、マイクロ波共振器21の最小周波数fminが最小共振周波数fRminよりも小さく、一方で、マイクロ波共振器21の最大周波数fmaxが最大共振周波数fRmaxより大きいことを意味する。最大共振周波数fRmaxは、マイクロ波共振器21の測定チャンバー22が空の状態である時に測定される。空の状態のマイクロ波共振器21の振幅伝達関数は、破線の曲線A1(f)で示される。
【0083】
最小共振周波数fRminは、測定チャンバー22が実質的に乾燥した物質Bで満たされている可能な限り満たされている場合に、本発明の装置を操作している間に発生する。この場合、最小帯域幅Bmin=fRmin/Qmaxが発生する。スペクトルGS中の線間隔ΔFは、おおよそ、最小帯域幅Bminのオーダーである。これにより、可能な各共振周波数fR及び可能な各帯域幅Bに対して、マイクロ波共振器21の現在の帯域幅の領域にスペクトル線が確実に存在する。このことにより、振幅伝達関数A(f)及び/又は位相伝達関数P(f)が、正確に求められる。
【0084】
図8は、振幅、及び複素伝達関数H(f)の実数成分及び虚数成分を示している。複素伝達関数H(f)は、マイクロ波共振器21の振幅伝達関数、及び位相伝達関数の双方を記述する。複素伝達関数H(f)の振幅|H(f)|は、図7に示される振幅伝達関数A(f)に対応する。複素伝達関数H(f)の実数成分Re{H(f)}、及び複素伝達関数H(f)の虚数成分Im{H(f)}は、双方とも、振幅関数A(f)及び位相角P(f)の大きさから算出することが可能である。技術的には、一方で複素伝達関数H(f)、他方で振幅伝達関数A(f)と位相伝達関数P(f)の組み合わせは、同一の意味を持つ。しかしながら、複素伝達関数H(f)は、多くの場合において信号処理における他の計算に対してより有用である。
【0085】
マイクロ波共振器21の複素伝達関数H(f)は、以下の式で与えられる。
【0086】
【数1】
【0087】
kは、次元定数である。
【0088】
従って、複素伝達関数H(f)の振幅は、以下の式で与えられる。
【0089】
【数2】
【0090】
更に、実数成分は、以下の式で与えられる。
【0091】
【数3】
【0092】
そして、虚数成分は、以下の式で与えられる。
【0093】
【数4】
【0094】
図7のスペクトル信号GS(f)、及び図8に示した複素伝達関数H(f)を備えた発生器信号gs(t)のために、図9に示される振幅スペクトル|AS(f)|を備えた出力信号as(t)を得る。なお、出力信号as(t)は、図10に示される複素振幅スペクトルAS(f)の実数成分Re{AS(f)}、及び図11に示されるスペクトルの虚数成分{AS(f)}を有する。
【0095】
最小周波数fminから最大周波数fmaxまでの周波数範囲に亘って、スペクトルGS(f)の包絡線は一定であるので、振幅スペクトル|AS(f)|の包絡線は、伝達関数H(f)の振幅|H(f)|に一致する。これを示すために、伝達関数H(f)の振幅|H(f)|が図9において破線で示されている。同様に、図10に示されるスペクトルAS(f)の実数成分Re{AS(f)}の包絡線、及び図11に示されるスペクトルA(f)の虚数成分Im{A(f)}の包絡線が、それぞれ、複素伝達関数の実数成分Re{H(f)}、及び複素伝達関数の虚数成分Im{H(f)}に一致する。
【0096】
fminからfmaxの周波数範囲において、スペクトルGS(f)の包絡線が一定でない場合に、スペクトルAS(f)をスペクトルGS(f)で割ることにより複素伝達関数H(f)を求めることができる。スペクトルGS(f)の包絡線が知られているので、1/GS(f)の重み係数を用いてスペクトル線を評価することにより、この除算を行うことができる。
【0097】
図9、10及び11に示されている線スペクトルを評価することで、マイクロ波共振器21の複素伝達関数H(f)を再構成し、それによって、その共振周波数fR、及びその線質係数を知ることができる。ここで、複素伝達関数H(f)は、スペクトルAS(f)のスペクトル線により与えられる各振動数の点で知られる。従って、各線の量を、直接的に式1、2、3、及び4に置き換えることができる。
【0098】
マイクロ波共振器21の共振周波数fR、及び線質係数は、振幅スペクトル|AS(f)|以外から求めることはできないが、共振周波数fRにおけるIm{AS(f)}の演算符号の変化により共振周波数FRを非常に高い精度で求めることができるので、複素振幅スペクトルASの実数成分Re{AS(f)}、及び虚数成分Im{AS(f)}がより高い精度を提供するという有効性をもたらす。伝達関数H(f)は、原則として、3つの離散的な振幅の値、又は2つの振幅の値から(これらの値にともなう位相が知られている場合に)再構成することができるので、共振周波数fRが求められる精度は、スペクトル線の間隔ΔFよりも一層精密であるということを言及する必要がある。サンプル値を見つける過程における不可避の誤差があってもなお、評価されるスペクトル線の数を増加させることが有効である。
【0099】
図12は、本発明にかかる他の装置20を示している。ここでは、マイクロ波共振器21は、1つの接続部30を備えた単一ポート共振器として実施される。発生器27により提供される発生器信号gsは、注入電流である。すなわち、それは、接続部30を介してマイクロ波共振器21に入力される。結果として電圧uは、接続部30において上昇し、反射出力信号として評価回路28に提供される。
【0100】
図13は、図12に示されている装置の等価回路図である。
【0101】
図14は、本発明の装置20の他の実施の形態を示している。ここで、発生器27は、発生器信号gsが印加電圧ueとなるように設計される。この印加電圧ueは、接続部30に提供される。接続部30に流入する電流iは、電流検出器31により検出することができる。その後、電流iの測定値は、マイクロ波共振器21から出力信号を提供し、この出力信号は、さらなる処理のために評価回路28に提供される。
【0102】
図15は、図14に示されている装置の等価回路図である。
【0103】
図16は、本発明の好ましい実施の形態を示している。ここで、評価回路28は、サンプリング及びアナログ/デジタル変換回路32、及びデジタル評価回路33により構成される。マイクロ波共振器21からの基本周期T0の間、出力信号as(t)のN個のサンプルは、N/T0の間隔で取得される。各基本周期に対して、これらN個の値は、初めにデジタル評価回路33においてフーリエ変換される。高速フーリエ変換として知られている手法で行なわれることが好ましい。高速フーリエ変換を素早く及び効率的に行うために、基本周期においてサンプリングされた値の数Mが、M=2kとして与えられる場合が有利である。なお、kは、正の整数である。
【0104】
このようにして得られたフーリエスペクトル、及びサンプリングされた値AS(fk)(fkは、使用される発生器信号gs(t)におけるスペクトル線のN周波数である。)により表されることから、fR及びQの値が式1−4の1つ以上を解くことで発見される。周波数信号rfsは、(時間変動する)共振周波数fR(t)を示す。一方で、出力信号gusは、(時間変動する)線質係数Q(t)を示す。出力信号は、デジタル及び/又はアナログの形態で提供することができる。
【0105】
伝達関数H(fk)の振幅|H(fk)|は、測定結果により得られ、そして、式2によりNサンプリング周波数の各々に対して1つの式、すなわち、fR及びQを決定するためのN個の式が発生する。複素方程式1、又は2つの実方程式3及び4が使用される場合、fR及びQを決定するための2N個の実方程式が得られる。この方程式系に対する解からも、定数K(他の信号の処理が要求されない)が生じるので、伝達関数の振幅のみを測定する場合に少なくとも3組の値が要求され、伝達関数の振幅及び位相、又は実数成分及び虚数成分の両方が測定される場合には、少なくとも2組の値が要求される。
【0106】
高い精度を得るために、測定される値の組数Nがより多くなるように選択することが好適である。
【0107】
【数5】
【0108】
マイクロ波共振器21の3dB帯域幅Bが、周波数範囲fmax−fminに対して小さい場合、適切な多数組みの値が測定される。結果として、fR及びQを決定するために展開された方程式系が、必要以上に求められ、確かな解が存在しない。そして、方程式は(可能であれば、重み付けされた)最小誤差量の条件を使用することで、又は最小平方誤差量を使用することで解かれる必要がある。この種の解を得るための方法、及び多数の解に関連付けるアルゴリズムは、信号処理の分野で知られている。
【0109】
図18は、本発明にかかる装置20の他の可能な実施の形態を示している。ここで、評価回路6は、ミキサー34の形態で実施される転移回路34、サンプリング、及びアナログ/デジタル変換回路32、及びデジタル分析回路33を含む。図16の装置とは対照的に、図18の装置においては、マイクロ波共振器21からの出力信号as(t)は、初めに、ミキサー34において、低周波数のベースバンドに転移される。周波数変換は、知られている好ましい方法を使用することで信号発生器27に提供される信号を混合することにより行われる。
【0110】
【数6】
【0111】
nmin=fmin/f0において、この結果として、同位相(co−phase)信号asBBc、及び直交信号asBBqが出力される。デジタル化される信号は、現在、ベースバンドであるので、デジタル化処理が容易である。ベースバンドに転移される信号asBBc及びasBBqが、f0からNf0の周波数においてN等間隔スペクトル線を備える線スペクトルを有する。デジタル分析回路33は、同位相信号asBBc、及び直交信号asBBqを使用することにより、H(f)のフーリエスペクトルの実数、及び虚数成分を求め、これにより、共振周波数fR(t)及び線質係数Q(t)を表す出力信号rfs(t)及びgus(t)を発生させる。
【0112】
図20は、図9に示されている振幅スペクトル|AS(f)|を備え低周波数ベースバンドに転移される出力信号as(t)の、振幅スペクトル|ASBB(f)|の例を示している。適切な信号の混合により、周波数f1、f2、…fnは、より低い周波数f1′、f2′、…fn′に変換される。
【0113】
置き換えられたスペクトル|ASBB(f)|における最も低い周波数fmin′は、基本周波数f0に一致する。
【0114】
図21は、2ポートマイクロ波共振器21の斜視図を示している。マイクロ波共振器21は、上部共振器部46、及び下部共振器部47を有しており、これらは、マイクロ波共振器21の操作を適切に行うことができるように相互に結合されている。マイクロ波共振器の入り口開口23は、溝状に形成されている。測定に使用されるマイクロ波共振器21の振動モードにおいて、電磁界の電界の向きの線が、入り口開口23に対して平行であり、磁界の向きの線が、入り口開口23に対して直交する。これにより、入り口開口23からの電磁界の外部放射が確実に最小になる。外側開口24(図示せず)は、入り口開口23の反対側に存在する。ここで、また、電磁界の線は、外側開口24に対して平行である。
【0115】
本発明は、図示及び記載した実施の形態に制限されない。特許請求の範囲の要旨の範囲内で常に変更が可能である。
【0116】
特に、本発明の装置は、水分が考慮された繊維スライバーの密度又は繊維スライバーの単位長当たりの質量を決定するために使用されても良い。装置は、マイクロ波共振器の線質係数、及び周波数を用いて水分含有量とその密度を分割して決定するアルゴリズムを実行するように設計されても良い。
【0117】
マイクロ波共振器は、少なくとも部分的にマイクロ波を透過し誘電率が温度に対して可能な限り独立な材料(セラミック、石英ガラス)から成っていても良い。最も関心の深いことは、使用されるマイクロ波共振器の内部に配置されている要素が、測定される繊維スライバーをガイドすることに対して影響を与えることである。
【0118】
更に、マイクロ波共振器は、2つの実質的に平行な半筒部材から構成されていても良い。この場合、及び特に、カード機又は錬条機の出口に使用される場合、マイクロ波共振器は、繊維スライバーに対する集中ガイドを備えた筒部材として設計されても良い。更に、それが、入り口において錬条機に使用される場合、その側面に繊維スライバーを挿入する挿入溝を設けるようにしても良い。
【0119】
以下の測定は、装置により得られる温度作用による測定結果の誤差を避けるために行われても良い:熱拡散率の低い材料(例えば、インバール)の共振器を構成し、共振器又は全体の検出器の断熱性を高める手段を提供し、共振器に連結する少なくとも部分的な電気回路を含む、及び/又は共振器又は検出器の加熱(例えば、加熱ホイルを使用すること)又は冷却(例えば、ペルティエ素子を用いて)のための手段を提供する。
【0120】
また、以下の処理を本発明の装置を検査するために行っても良い:前操作段階において実際の帯域の細かさ及び/又は実際の水分を測定する検査室の測定から得られる較正曲線を用いて繊維スライバー材料又は繊維スライバー混合物の変化を検出し、蓄積される共振器の繊維スライバー及び埃カスを全体的に取り除いて(先ず、繊維スライバーを分離した後にそれを除去し、カスや埃を吹き飛ばす)、空の状態の周波数を決定する。
【0121】
本発明の繊維機械として、特に、本発明の装置が出口検出器の設置されるカーダー機又は錬条機であって良い。この場合、装置は、ドラフトシステムの出口の出口シリンダとカレンダーロール対の間において設置されても良く、カレンダーロール対の直後に設置しても良い。好ましくは、装置に質を監視するシステムを設けても良く、これにより、繊維スライバーの質が製造時にある閾値より低下すると、繊維機械は停止する。
【0122】
特に、本発明の繊維機械が錬条機である場合、入り口検出器として本発明にかかる装置を設けることができる。この装置は、ドラフトシステム又は入り口検出器の直前に設置することができ、及び、この装置に、ドラフトされる繊維スライバーの単位長当たりの質量における変化を相殺する調整装置を設置しても良い。
【符号の説明】
【0123】
1 繊維機械
20 装置
20′ 装置
21 マイクロ波共振器
21′ マイクロ波共振器
27 信号発生器
28 評価回路
32 サンプリング回路
33 分析回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動するストランド状の繊維束の単位長当たりの質量、及び水分を測定するための繊維機械用の装置に関する。本発明にかかる装置は、特に、練条機、カード機、又は梳毛機等の紡績用前処理機、又は紡績機械又は巻取り機等の紡績工場における機械への適用が意図されているものである。その装置は、マイクロ波共振器を含む。なお、このマイクロ波共振器には、繊維束が通過可能な測定チャンバー、及び当該マイクロ波共振器の共振周波数及び/又は線質係数(Q値)を測定する設定が組み込まれている。
【0002】
更に、本発明は、繊維機械に関し、特に、錬条機、カード機、又は梳毛機等の紡績用前処理機、又は紡績機械又は巻き取り機等の紡績工場における機械に関する。
【背景技術】
【0003】
繊維機械の操作では、しばしば、ストランド状の移動する繊維束の単位長さ当たりの質量を測定する必要がある。本明細書において、「ストランド状の繊維束」とは、例えば、繊維スライバー、毛糸、より糸として言及される。単位長当たりの質量は、各々単位長さに含まれる繊維束の質量を示す。このパラメータの測定から得られる結果は、特に、特定の繊維機械の制御に使用される。更に、そのような測定の結果は、製造される繊維束の質の評価に使用することが可能である。
【0004】
さらなる世代の繊維機械に対する要求により(特に計画されている稼働速度の増加について)、移動繊維の単位長あたりの質量の測定において、現在までに主に使用されている機械的な検知装置は、もはや十分ではない。
【0005】
一方で、マイクロ波の使用が、繊維束の単位長当たりの質量の測定のための新たな方法を示している。この方法は、マイクロ波共振器内の測定チャンバーを通して連続的に測定されるべき繊維束を通過させることを含む。織物繊維の束の誘電特性は、外気の誘電特性とは異なるので、マイクロ波共振器を通した繊維束の通過が、共振周波数及び共振器の線質係数に影響を与える。
【0006】
マイクロ波発生器により発生される種々の周波数を有するマイクロ波信号をマイクロ波共振器に組み合わせることは、共振周波数、及びマイクロ波共振器の線質係数を求めるための知られている方法である。通常、この方法では、連続的又は特定の段階において、予め指定された周波数範囲を移動させ、共振器に入力されるマイクロ波信号の各々の周波数に対して、マイクロ波共振器内で得られる振動の振幅を求める。
【0007】
このようにして記録される共振曲線により、共振周波数(すなわち、振幅が最大となる周波数)、及びマイクロ波共振器の線質係数の両方を決定することができる。この方法における第1のステップは、共振曲線からマイクロ波共振器の帯域幅を求めることである。ここでは、次のルール「帯域幅は、振幅が最大振幅の1/√2以上となる共振曲線の領域となる」が適用される。その結果、線質係数は、帯域幅を用いて共振周波数を分割することにより容易に決定される。
【0008】
織物繊維束を製造、及び/又は処理する際には、繊維束、すなわち物質そのものの乾燥質量が最も重要である。しかしながら、特に、繊維束が綿などの天然繊維を含む場合、湿気を吸収する傾向にある。乾燥質量、及び水分は、共に、共振周波数、及びマイクロ波共振器の線質係数に影響を与える。しかし、これらは異なった態様で影響を与えるので、共振周波数、及びマイクロ波共振器の線質係数の測定結果を、繊維束の乾燥質量及びその含水量の両方の決定のために使用することが可能である。明確化のために、ここで使用されている「単位長当たりの質量」という用語が、単位長当たりの乾燥材料の絶対質量として言及されることを記載すべきである。一方で、「水分」という用語は、繊維束の単位長当たりに観測される水分の絶対質量として言及される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
知られている方法において、測定時間は、少なくとも、事前に指定された周波数の範囲を通過するために要求される時間と同様の長さである。しかしながら、振動周波数が変化した後に設定時間が経過した場合、マイクロ波共振器の振幅としてその最終値のみを採用するので、制限の無い速度で周波数範囲を通過することが可能である。例えば、周波数が線型に変化する場合、マイクロ波共振器の帯域幅の四角によりカバーされる周波数範囲を分割することによって、要求される最小の測定時間を予測することが可能である。しかしながら、より正確性が求められる場合、要求される測定時間は、さらに増加する。
【0010】
しかし、測定時間が増加する場合、もはや重要な役割を果たせない過渡的な過程では、結果として、繊維束が共振器を通過する際の共振曲線に対して測定される振幅値が、その束の他の部分に関連付けられる。そして、これは測定の不正確性につながり、この不正確性は繊維束の移動がより早くなると一層深刻となる。
【0011】
従って、知られている方法の欠点は、繊維束の単位長当たりの質量及び/又はそれが吸収した水分の測定に所望の精度を達成することが(特に、繊維束が急速に移動する場合において)、基本的に不可能であるということである。
【0012】
従って、本発明の目的は、上述した欠点を回避する繊維機械、又は繊維機械用の装置を提供することである。特に、繊維束単位長当たりの質量、及び/又はそれが吸収した水分の測定の精度を改善すると同時に、設備の複雑化及び高コスト化は低減されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、独立請求項の特徴により達成される。
【0014】
本発明によれば、信号発生器が装置内に設けられ、この信号発生器は、複数の周波数を含むスペクトルの信号の発生に使用される。発生器の信号は、マイクロ波共振器に入力され、マイクロ波共振器から出力された出力信号は、評価回路に提供される。ここで使用される評価回路は、出力信号のスペクトル内の複数の前記周波数の振幅及び/又は位相を同時に求めるように設計されている。
【0015】
このようにして同時に得られる振幅の伝達係数及び/又は位相の伝達係数から、マイクロ波共振器の共振周波数及び/又は線質係数を計算により求めることができる。この結果から、測定チャンバーを通過するストランド状繊維束の単位長さ当たりの質量及び/又は水分含有量の測定結果を得るために、公知の方法を使用することが可能である。
【0016】
しかしながら、その一方で、種々の周波数に対する振幅の伝達係数及び/又は位相の伝達係数を測定及び評価することにより、最先端技術で共振曲線を求める必要がない。結果として、測定結果を発生させるために要求される時間は、明らかに短くなる。従って、たとえ繊維束の通過速度が上昇しても、測定される値の精度を高めることができる。個々の測定結果は、もはや、該測定が行われている時間の間に繊維束の部分が移動することで意味が無くなる。
【0017】
同期信号は、好ましくは、評価回路を信号発生器に同期させるために提供される。信号発生器は、発生器信号のスペクトルが、指定可能な最小の周波数及び/又は指定可能な最大の周波数により制限される。このように帯域が一方又は両方の側に制限されているスペクトルを発生させることで、発生器の信号のエネルギー含有量を、評価用の周波数範囲に集中させることができるという利点が生じる。
【0018】
この場合、マイクロ波共振器の最小の使用可能な共振周波数よりも低い最小の周波数を設定し、及び/又は最大周波数を、マイクロ波共振器の共振周波数よりも高く設定することが好ましい。マイクロ波共振器の最大共振周波数は、測定チャンバーが空である場合に観測される。一方、使用可能な最小の共振周波数は、測定チャンバーが最大に満たされている場合に観測される共振周波数である。また、最小共振周波数と最大共振周波数の間の周波数範囲は、同調レンジとして知られている。今、スペクトルの幅が同調レンジをカバーしている場合、その結果、マイクロ波共振器の測定チャンバーがどれだけ満たされているかにかかわらず、共振周波数の近傍における周波数を評価することが可能である。最終結果として、本発明は、測定結果の精度を改善する。
【0019】
信号発生器が連続スペクトルを有する信号を発生させることができるように設計されることが想定されるが、それでも、信号発生器は発生器信号のスペクトルの前記周波数が離散的に分散されるように設計されることが好ましい。このことは、当該発生器が線スペクトルを発生させるように構成されることを意味する。線スペクトルの使用により、評価用の周波数における発生器の信号に含まれるエネルギーを集中させることが可能となる。
【0020】
上記発生信号のスペクトルにおける離散的な周波数が等間隔に分散されるように、信号発生器を設計することが特に好ましい。この種の等間隔線スペクトルは、周波数が基本周波数の整数倍である正弦波信号を重ね合わせることにより容易に発生させることができる。
【0021】
この場合、隣接する周波数の間の距離がマイクロ波共振器の最小帯域幅の1.5倍、より好ましくは、0.75倍より小さくなるように、信号発生器を構成することが好ましい。マイクロ波共振器の最小帯域幅は、共振周波数とその周波数における線質係数の商の最小値として定義される。提案されたスペクトル線が閉鎖している間隔は、測定チャンバーがどの程度満たされているかに限られず、評価に適切な周波数が共振周波数にほぼ近似し利用可能である。これにより、あらゆる状況において、要求された精度の測定が可能となる。
【0022】
特に、好ましい実施の形態では、信号発生器は、少なくとも評価用に提供される上述の周波数が、発生器信号のスペクトルにおいて同じ振幅を有するように設計される。これは、出力信号の評価の処理を著しく簡素化する。
【0023】
一つの好ましい実施の形態として、評価回路は、マイクロ波共振器の共振周波数に対応する周波数信号を発生させ、及び/又はマイクロ波共振器の線質係数に対応する線質係数の信号を発生させるように設計される。その結果、周波数信号、及び/又は線質係数の信号を、既存の設備を使用する方法で評価することが可能である。
【0024】
評価回路は、出力信号のスペクトルにおける少なくとも3種の上記周波数の振幅を決定するように設計されることが好ましい。その結果、振幅の伝達関数を、3種の異なる振幅値から求めることができる。そして、位相の値の測定を必要としない。
【0025】
他の好ましい実施の形態において、評価回路は、出力信号のスペクトルにおける少なくとも2種の上記周波数の振幅及び位相を決定するように設計する。この場合、また、マイクロ波共振器の伝達関数を明確に決定することができる。
【0026】
スペクトル中の少なくとも3種の上記周波数の位相が決定される場合、その結果、振幅の値を決定する必要が無くなる。
【0027】
評価される複数の周波数が必要以上に多い場合、その結果、多くの場合において、共振周波数及び/又は線質係数に対する厳密解が発見できない。この場合、評価回路が、誤差最小化アルゴリズムを用いてマイクロ波共振器の共振周波数及び/又は線質係数を決定するように設計されることが有効である。適切な誤差最小化アルゴリズムは、例えば、(可能であれば、重み付けされた)最小誤差法、又は(可能であれば、重み付けされた)最小2乗誤差法である。この種の誤差最小化アルゴリズムの適用により、共振周波数及び/又は線質係数を決定する際に、任意の種類のマイクロ波発振器の周波数を考慮に入れることが可能となる。
【0028】
測定の精度を増加させるために、評価回路が、マイクロ波共振器の帯域幅内の出力信号のスペクトルにおける上記周波数の振幅及び/又は位相を決定するように設計されることが好ましい。
【0029】
また、評価回路が、出力信号のスペクトルにおけるマイクロ波共振器の共振周波数を越える少なくとも1種の上記周波数、及びマイクロ波共振器の共振周波数を下回る少なくとも1種の上記周波数の振幅及び/又は位相を決定するように設計される場合、測定の精度を改善することの助けとなる。
【0030】
特に、評価回路が、出力信号のスペクトルにおいて評価用の上記周波数の異なる振幅を考慮に入れるように設計されることが好ましい。出力信号のスペクトルにおける特定の上記周波数の振幅と、発生器の信号のスペクトルにおける同一周波数の振幅と、を比較することにより、出力信号のスペクトル中における異なる振幅を考慮に入れることが可能となる。この場合、後者の情報を、評価回路に提供される同期された信号に含めることができる。
【0031】
評価回路に、サンプリング回路により発生するサンプリングされた信号のスペクトル分析用の分析回路を組み込むことが好ましい。ここで、サンプリング回路は、サンプリングされた信号が出力信号に対応するように設計される。従って、出力信号に含まれる周波数の振幅及び/又は位相についての情報は、スペクトル分析を通して発生するサンプリング信号のスペクトルに含まれる。このように、マイクロ波共振器の共振周波数、及び/又は線質係数を、サンプリング信号のスペクトル分析を通して決定することができる。
【0032】
一つの好ましい実施の形態において、サンプリング回路は、出力信号自身をサンプリングするように設計される。これにより、設定が簡素なものとなる。
【0033】
さらに好ましい実施の形態において、評価回路は、出力信号を低周波数のベースバンドに転移させる転移回路を含む。その結果、転移回路から得られる転移された出力信号が、この目的のために設計されたサンプリング回路により、サンプリングされる。出力信号は、知られている方法で、それを高調波信号と混合することにより転移される。出力信号の低周波数のベースバンドへの転移により、さらに、信号の処理が簡素化される。
【0034】
好ましくは、サンプリング回路は、デジタルサンプリング信号を発生し、この場合、分析回路は、デジタルサンプリング信号を分析するデジタル分析回路として設計される。デジタル分析回路は、低価格で利用可能である。
【0035】
サンプリング信号のスペクトル分析に使用される分析回路は、高速フーリエ変換及び/又はプロニー法に基づいて設計される。これらの方法は、所望のスペクトルを十分に正確に、素早く容易に発見することのできる近似法である。
【0036】
マイクロ波共振器は、2ポート共振器の形態を実装することが好ましい。この場合、マイクロ波共振器は、発生信号がマイクロ波共振器に入力される内部接続部、及び出力信号がマイクロ波共振器から外部に出力される外部接続部を有する。2ポート共振器を使用することにより、伝達の測定が容易に実行される。
【0037】
さらなる実施の形態において、マイクロ波共振器は、単一ポート共振器として実施される。この場合、マイクロ波共振器には、発生信号がマイクロ波共振器に結合され、及び反射された信号が出力信号として出力される接続部が組み込まれる。反射の測定を実行するためのこの種のマイクロ波共振器の機械的構成は、比較的簡素である。
【0038】
単一ポート共振器を使用する1つの好ましい実施の形態において、信号発生器は、発生器信号が注入電流となるように設計され、及び評価回路が、反射信号として接続部で発生する電圧を評価するように設計される。
【0039】
同じく単一ポート共振器を使用する好ましい実施の形態において、信号発生器は、当該発生器の信号が印加電圧となるように設計され、及び評価回路は、反射された出力信号として接続部を流れる電流が評価されるように設計される。
【0040】
信号が導波ガイド(例えば、導波ガイド管)を通して入力及び出力されるように信号発生器を発生器の信号が印加された波となるように設計する場合、出力回路は、接続部において反射波として発生する出力信号の振幅及び/又は位相の評価用に設計される。
【0041】
さらに好ましい本発明の実施の形態において、信号の評価ステージでは、ストランド状の移動繊維束の単位長当たりの質量の測定及び/又は含水量の測定が、周波数信号及び/又は線質係数信号から行われる。このように構成された装置は、従来の繊維機械に適用可能である。
【0042】
少なくとも、1種のFPGAが存在することが好ましい。適切に構成されたFPGAを用いて信号評価ステージを実行することが好ましい。しかしながら、適切に構成されたFPGAを用いて信号発生器及び/又は評価回路を提供することも可能である。単一のFPGAを、2、3又は全てのこれらのモジュールの機能を発揮するように構成することが好ましい。
【0043】
FPGA(“Field Programmable Gate Array”の頭字語である。)は、プログラマブル論理要素(Programmable logic component)であり、その機能は、内部構造における特有の設定を通じて特定される。このため、1種及び同一のFPGAは、回路のほぼ制限の無い範囲を提供する。これにより、アプリケーション特有の集積回路(ASIC)の使用を通じてコストにおいて有利である。連続的に実行されるプログラムにより特定する必要のあるマイクロプロセッサに対して、FPGAは、高い処理速度に繋がる並列情報処理への選択を提供する。
【0044】
好ましくは、マイクロ波共振器、及びそれに伴う少なくとも付属回路、特に、信号評価ステージ、信号発生器及び/又は評価回路が、共通のハウジングに収容される。これにより、織物環境において見られるゴミ、飛散繊維、温度変化、機械的影響等に対する全体の設備で必要の保護が直接的に提供される。
【0045】
好ましくは、その設備は、該設備を繊維機械の通信ポートに接続するために定義されたプロトコルを有する通信インターフェイスを含む。近年の繊維機械は、多数の制御用モジュールを含む。通信ポートは、これらのモジュールをリンクさせるために設けられる。従って、本発明にかかる装置が、適切なプロトコルにしたがって動作する通信インターフェイスを含む場合、その装置は、製造時における繊維機械に容易に適合するか、又は既存の機械に改良して容易に取り付けられる。バスインターフェイスが使用される場合、要求されるケーブルの量は、最小限となる。CANバスインターフェイスが、特に適切である。
【0046】
本発明にかかる繊維機械は、本発明の少なくとも1種の装置を有することを特徴とする。上述の利点が得られる。
【0047】
更に、本発明の利点は、以下の具体的な実施の形態に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】最新式の繊維機械の例としての練条機である。
【図2】本発明にかかる練条機である。
【図3】2ポートマイクロ波共振器を備えた本発明にかかる装置である。
【図4】図3の装置に対応する回路図である。
【図5】(a)は、発生器の信号の等間隔線スペクトルであり、(b)は、(a)の発生器の信号を示している。
【図6】(a)は、発生器の信号の帯域制限された等間隔スペクトルであり、(b)は、(a)の発生器の信号を示している。
【図7】発生器の信号とともに、マイクロ波共振器における振幅及び位相伝達を示す略図である。
【図8】マイクロ波共振器の伝達関数の振幅、実数成分、及び虚数成分の関係を示す図である。
【図9】出力信号のスペクトルの大きさを示す図である。
【図10】出力信号のスペクトルの実数成分を示す図である。
【図11】出力信号のスペクトルの虚数成分を示す図である。
【図12】単一ポートマイクロ波共振器を有する本発明にかかる装置である。
【図13】図12の装置に対応する回路図である。
【図14】単一ポートマイクロ波共振器を有する本発明にかかる他の装置である。
【図15】図14の装置に対応する回路図である。
【図16】2ポートマイクロ波共振器を備えた他の装置である。
【図17】図17の装置に対応する回路図である。
【図18】本発明の装置の他の実施の形態である。
【図19】図18の装置に対応する回路図である。
【図20】ベースバンドに転移する出力信号を示している。
【図21】マイクロ波共振器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、繊維機械1の例として、最先端技術で構成された練条機1を示している。錬条機1に供給される繊維束FBは、方向LRに移動しつつ、スライバーガイド2、入り口センサー装置3、撓み装置4、ドラフトシステム5、出口ガイド6、及びスライバー保管部7を経由して通過する。
【0050】
概略的にのみ示されているスライバーガイド2は、繊維束FBzuが提供される位置に配置されている撓み管8を含み、この繊維束FBzuは、錬条機1に隣設されたスライバー管9から繊維スライバーFBzuの形態をとる。しかしながら、スライバーガイド2は、走行カレンダーから直接供給される繊維スライバーFBzuを受けることができるようにも設計されている。同じく、現実的にはこれが最も頻繁に起こるケースであるが、スライバーガイド2は、種々の利用可能なスライバー管9から同時に多くの繊維スライバーFBzuを受けることができるように設計されている。以下に言及される繊維スライバーFBzuは、数種の繊維スライバーFBzuを含む可能性がある。
【0051】
流入する繊維スライバーFBzuは、スライバーガイド2により入り口装置3に輸送される。この入り口装置3は、入り口管3a、及び対駆動検出ローラ3b、3b′を有する。この対駆動検出ローラ3b、3b′は、固定された軸受けに付けられたローラ3B、及び負荷がかかると回転するローラ3b′からなる。対駆動検出ローラ3b、3b′は、一方で、繊維スライバーFBzuを入り口管3aに引く役割を果たし、また、一方でそれを圧縮し、更に、各部分で通過する単位長当たりの繊維スライバーFBzuの質量を測定する。この質量の測定の役割の目的で、回転ローラ3b′の動きを検出するための変位振動子3cが設けられている。このようにして、最終的に、繊維スライバーFBzuの径が測定され、この測定結果により、繊維スライバーFBzuの単位長当たりの質量が算出される。入り口領域、すなわち、ドラフトシステム5の上流において、通過する繊維スライバーFBzuの単位長当たりの質量が測定される。言い換えれば、機械的な検出が行われる。ここで、個々の測定された部分ABは、数ミリメートルの長さを有する。各々の測定部分のために、変位振動子3cは、測定結果MWを発生させる。
【0052】
スライバー撓み棒4a,4b、4c、及び4dを備えた撓み装置4は、入り口装置3において発生する繊維スライバーFBzuへの圧を解放することによって、入り口装置3から到着する繊維スライバーの移動方向に対して横断する方向に、繊維スライバーFBzuを均一に広げるという役割がある。
【0053】
繊維スライバーFBzuが、入り口装置3からドラフトシステム5に移送されるので、繊維スライバーFBzuは、検出ローラ対3a、3a′、及び吸入ローラ対5a、5a′との間の円周方向速度の差により発生する吸入の張力を受ける。
【0054】
ドラフトシステム5は、一対の吸入ローラ5a、5a′、一対の中央ローラ5b、5b′及び一対の輸送ローラ5c、5c′を含む。対のローラ5a、5a′、5b及び5b′5c及び5c′が、一対のローラから輸送方向における次のローラまでにおいて、速度が増加するように駆動されている。結果として、繊維スライバーFBzuが、対吸入ローラ5a、5a′及び対中央ローラ5b、5b′の間の空間に形成される予備引き伸ばし領域VVF、及び対中央ローラ5b、5b′と対輸送ローラ5c、5c′の間に形成されている主引き延ばし領域VFの双方において引き延ばされる。
【0055】
ドラフトシステム5の下方ローラ5a、5d、5cは、適切な位置に固定される。一方で、上方ローラ5a′、5b′、5c′は、可動ベアリングに取り付けられ、図示しない負荷により下方ローラ5a、5d、5cに対して圧せられる。従って、繊維スライバーFBzuの保持状態が強固になる。
【0056】
出口ガイド6は、出口管6aと駆動対取り除きローラ6b、6b′を含む。この駆動対引き延ばしローラ6b、6b′において、一方のローラ6bは、適切な位置に固定されており、他方のローラ6b′は、可動ベアリングに取り付けられている。出口管6aの作用は、ドラフトされたスライバーFBzuを圧縮して、繊維スライバーFBzuを小型化することである。
【0057】
駆動対引き延ばしローラ6b、6b′は、初めに繊維束FBabを出口管6aから引く役割を果たし、また、さらに繊維束FBabを小型化する。これに加えて、可動取り付けローラ6b′は、他の変位振動子6cに結合され、測定値MW′を発生する。これは、発生する繊維束FBabの単位長当たりの質量に対応する。このことは、従来の錬条機1において、発生する繊維束FBabの単位長当たりの質量を測定するために機械的なセンサーを使用する方式も、ドラフトシステム5の下流である出口領域に適用されていることを意味する。
【0058】
本明細書では詳細に説明はしないが、スライバー保管部7は、錬条機1により作成されるスライバー缶12内に整列された繊維スライバーFBabを提供する。
【0059】
ドラフトシステム5は、制御装置13を用いて制御される。操作装置14は、制御装置13への入力の量として提供される制御値を使用者が指定できるように、制御装置13に割り当てられる。このように使用者により指定される入力の量は、例えば、所望の伝達速度LG、及び製造された繊維スライバーFBabの所望のスライバー質量BGを含む。ここで、伝達速度LGは、ドラフトされた繊維スライバーFBabが、ドラフトシステム5から出る速度として言及される。一方で、スライバー質量BGは、錬条機1から引き出される繊維スライバーFBabの単位長当たりの平均質量である。制御装置13に入力される他の量は、電流測定値MWである。この測定値は、自動的に入り口センサー装置3から制御装置13に伝達される。制御装置13への入力量の唯一の選択が示されている。他の入力の量は、実際に制御装置13に提供される。
【0060】
制御装置13は、その入力の量に応じて、図示しない駆動設備を作動させることで、対入力ローラ5a、5a′の回転速度、中央対入力ローラ5b、5b′の回転速度、及び対輸送ローラ5c、5c′の回転速度を制御する。調整されていない状態における操作では、予備引き延ばし領域VVFで指定された予備ドラフトが行われ、主引き延ばし領域VFで指定された主ドラフトが行われる。
【0061】
一方、調整された状態における操作では、ドラフトに制御調整としても知られている変化が生じる。この種の制御調整は、変位振動子3cにより得られる測定結果に基づいてなされる。ドラフトシステム5の上流側で測定結果が得られる制御システムは、開ループ制御と呼ばれている。この種の制御システムにおいては、提供される繊維スライバーFBabの部分ABにおける制御調整がなされる地点REPまでカバーする距離、又は経過時間が考慮されなければならない。カバーされる距離及び経過時間は、ドラフトシステム吸入速度に関連する。
【0062】
引き延ばし領域VFに供給される繊維束FBzuは、相互に一連に連結して形成されている。ここで、ABnを参照すると、図示のように、この部分はセンサー装置3cにより測定が行われている。部分ABn-1は、部分ABnの下流に設置されている。簡略化のために、他の部分は、符号を付していない。関連している部分ABの単位長当たりの質量に対応して、各々の部分に対し少なくとも1種の測定結果MWが得られ、制御装置13に伝達される。
【0063】
測定部分ABnが、制御動作点REP(すなわち、AB′nとして示された部分)に到達すると、制御装置13は、適切な制御調整を開始する。例えば、部分ABnが、上述の単位長あたりの平均質量を備えている場合、繊維束FBを平らにする目的で、ドラフト量を増加させる。
【0064】
吸入されるFBzuの単位長あたりの質量を示す測定値MWの精度は、製造される繊維スライバーFBabの質にとって非常に重要である。より均一に発生する繊維スライバーFBabが、より高品質のものである。
【0065】
発生する繊維スライバーFBabの質を測定するための知られている最先端技術は、評価装置15を使用することである。この評価装置15は、測定管6aにより提供される測定値MW′から変動係数を計算する。この係数は、示されたスライバーFBabの長さに対するスライバーの不規則性のパーセンテージを示す。示された長さは、カット長としても知られており、変動係数もCV%値と呼ばれている。実際に使用されるカット長は、数センチメーターから数メーターの間の範囲である。しかしながら、信頼できるCV%値は、測定された値自身が高い精度を有する場合にのみ得られる。決定されたCV%値を例えば、ディスプレイ16に示しても良いし、又は後の評価のために記憶させておいても良い。
【0066】
図2は、本発明による繊維機械1の例として、錬条機1を示している。この錬条機1は、本発明にかかる第1の装置20を入り口装置3の領域に備え、及び本発明にかかる第2の装置20′を出口装置6の領域に備えることが特徴である。本発明にかかる第1の装置20は、図1に示されている練条機1の変位振動子3cに代わるものである。また、ここで、装置20は、ドラフトシステム5に提供される繊維スライバーFBzuの部分ABの単位長あたりの質量を測定、及びこの情報を含む測定値を発生するために使用される。
【0067】
測定値MWは、錬条機1を制御するために知られている方法で使用される。この場合、単位長あたりの質量は、接触すること無くマイクロ波を用いて測定される。慣性質量が無いため、錬条機の稼働速度を上昇させることに対して障害も無くなる。繊維スライバーFBの単位長あたりの質量は、本発明の装置20の測定チャンバー22の誘電特性の評価により測定される。装置20により発生する測定値MWは、繊維束FBzuの単位長あたりの乾燥質量を示す。これにより、繊維スライバーFBzuの水分含有量の変化から生じる可能性のある繊維機械1の制御における誤差を回避する。上記装置により測定結果を得るために必要な時間は、知られているマイクロ波測定装置のものより短いので、測定値MWは、たとえ、繊維束FBzuが高速で移動する場合であっても精度が保たれたままである。また、連なっている状態の複数の繊維束の部分ABに亘る単位長あたりの質量を平均化することも避けられる。各々測定値MWは、正確に1個の部分ABを表している。
【0068】
本発明にかかる他の装置20′は、保管される繊維束FBabの単位長あたりの質量を各部分において測定する。単位長当たりの質量に対応する測定値MW′は、知られている方法で評価回路15′に提供され、質を示す量を生成する。測定値MW′は、測定チャンバー21′の誘電特性に基づいて得られる。この誘電特性は、本発明にかかる装置20が行う方法と同様の方法で測定される。従って、同様の利点も得られる。測定される繊維束FBabの速度が通常より増加するにもかかわらず、出口ガイド6の領域における本発明にかかる装置20′の設置は、特に有益であることがわかる。
【0069】
図3は、本発明にかかる装置20の第1の可能な実施の形態を示している。装置20は、測定チャンバー22を備えたマイクロ波共振器21を含む。繊維スライバーFBは、入り口開口23、及び出口開口24を通って移動方向LRに沿って測定チャンバー22を連続的に通過可能である。また、マイクロ波共振器21は、内部接続部(coupling arrangement)25、及び外部接続部26を含む。従って、2ポート共振器として実施される。
【0070】
本発明によれば、信号発生器27が存在し、この発生器の信号gsは、内部接続部25によりマイクロ波共振器21の測定チャンバー22に入力される。また、外部接続部26により測定チャンバー22から出力される出力信号が入力される評価回路28が設けられる。評価回路28は、マイクロ波共振器21の共振周波数に対応する周波数信号rtsを発生させ、及びマイクロ波共振器21の線質係数に対応する線質係数信号gusを発生させるように設計されている。また、移動しているストランド状の繊維束の単位長当たりの質量用の測定値MW、及び移動しているストランド状の繊維束の水分含有量用の測定値MFを、周波数信号rts及び線質係数信号gusから発生させる信号評価ステージ29が設けられている。
【0071】
図4は、図3において示された装置20に対応する回路図である。マイクロ波共振器21の電気特性は、並列に接続された抵抗R1、キャパシタンスC1、及びインダクタンスL1により表すことができる。従って、電気的な視点から、マイクロ波共振器が、並列共振回路R1、C1及びL1に相当する。測定チャンバー22に存在する繊維束FBの乾燥した含有物質の質量、及び水分含有物の質量は、抵抗値R1及びキャパシタンスの値C1に影響を与える。結果として、並列共振回路R1、C1、L1の線質係数、及び共振周波数が変化する。しかしながら、並列共振回路R1、C1、L1の特徴的パラメータに対する繊維スライバーの乾燥質量の比率の影響は、繊維スライバーFBの水分含有率の影響とは異なる法則にしたがうので、並列共振回路R1、C1、L1の線質係数、及び共振周波数を知ることで、測定チャンバー22に存在する繊維束FBの水分含有量、及び乾燥成分の単位長あたりの質量の双方を知ることができる。図3に示されている内部接続部25、及び外部接続部26は、図4において、それぞれインダクタンスL3及びインダクタンスL4により表されている。
【0072】
本発明の中心は、発生器信号gsのスペクトルが、複数の周波数を含み、この発生器信号gsのスペクトルに含まれる周波数の大部分に対して振幅及び/又は位相が出力信号のスペクトルにおいて同時に決定されることである。出力信号を評価すること、そして、発生器信号gsを知ることによって、マイクロ波共振器21の共振周波数及び線質係数を測定することが可能になる。このために、評価回路28に、発生器27から発生器信号gsに対応する同期信号sysが提供される。
【0073】
発生器信号gsに含まれる各周波数は、出力信号のスペクトル中にも含まれる。ここで、対応する振幅が、出力信号のスペクトル中の十分に多数の周波数に対して発見される場合、マイクロ波共振器の振幅の伝達関数(共振曲線としても知られている)を明確に決定することができる。
【0074】
同じく、出力信号のスペクトル中の十分に多数の周波数の位相を評価することにより、位相の伝達関数が決定される。マイクロ波共振器の共振周波数及び/又は線質係数は、振幅の伝達関数又は位相の伝達関数の何れかにより測定される。しかしながら、多くの場合、共振周波数又は線質係数の測定の精度を高めるために、振幅の伝達関数及び位相の伝達関数の両方が決定されることが有効である。
【0075】
結果として、示されている装置20は、従来のマイクロ波装置においてなされているように段階的に共振曲線を記録することなく、マイクロ波共振器21の共振周波数に対応する信号rfs、マイクロ波共振器21の線質係数に対応する信号gusを発生させることができる。
【0076】
図5は、複数の周波数を含む発生器信号gsのスペクトルGSを示している。示されているスペクトルGSは、制限の無い帯域幅の線スペクトルである。スペクトルGSに含まれる周波数は、基本周波数f0の整数倍となっている。隣接する周波数同士は、同じ間隔を備えているので、この種のスペクトルGSは、等間隔と呼ばれている。数学的な考察により、図5aに示されているスペクトルGSは、発生器信号の図5bに示されているスパイクパルスの周期列からなるスペクトルとなる。
【0077】
基本的に、図5bに示されている発生器信号gsは、本発明の装置における使用に適切である。しかしながら、それが備えるスペクトルGSの制限の無い帯域幅が、極めて多数の周波数が存在していることを意味し、他の評価にとって重要な意味を持つものではない。
【0078】
従って、好ましくは、そのスペクトルgsが制限された帯域幅の等間隔線スペクトルである発生器信号gsが使用される。この種の制限された帯域幅の等間隔線スペクトルGSは、例えば、図6aに示されている。スペクトルGSは、複数の周波数を含み、そのそれぞれが、周波数f0の整数倍になっている。ここで、スペクトルGSは、最小周波数fmin及び最大周波数fmaxにより制限される。スペクトルGS中に表される全ての周波数は、同一の振幅を有している。これにより、出力信号の評価が簡素化される。現状では、出力信号ASのスペクトル中における振幅変動が、マイクロ波共振器21の伝送特性に直接的に由来することを意味する。
【0079】
図6aのスペクトルGSに属する発生器信号gsは、図6bに示されている。現代の信号発生器では、この種の発生器信号gsを問題なく生成することができる。基本周波数f0、最小周波数fmin及び最大周波数fmaxのための値を特定することができる。
【0080】
図7は、本発明に特に適切な発生器信号gsのスペクトルGSとともに、マイクロ波共振器21bの振幅の伝達特性、及び位相の伝達特性を示している。図の上方部分には、マイクロ波発生器21の与えられた時間における振幅伝達関数A(f)が示されている。振幅伝達関数A(f)は、共振周波数fR及び大域幅Bが特徴量である。共振周波数fRは、振幅伝達関数A(f)が最大値をとる周波数である。帯域幅Bは、振幅伝達関数A(f)の値がその最大値の少なくとも1/√2となる周波数範囲である。マイクロ波共振器21の線質係数は、共振周波数fRを帯域幅の値で割ることで容易に求めることができる。共振周波数fR及び帯域幅Bは、双方とも時間依存量であり、従って、それが線質係数となる。線質係数は、マイクロ波共振器21の測定チャンバー22に配置される繊維束FGの質量、及び繊維束FGに含まれる水分の比率の双方に依存する。
【0081】
位相伝達関数P(f)を使用して共振周波数fR及び帯域幅Bを求めることも可能である。共振周波数fRは、位相伝達関数P(f)のゼロ交差点を発見することにより高い精度で知ることができる。また、帯域幅Bは、位相変化が+/−45°を超えない周波数範囲となるように定めることができる。
【0082】
図の下方部分は、特に好適な発生器信号gsのスペクトルGSを示している。このスペクトルGSは、帯域幅の制限の無い等間隔線スペクトルである。このスペクトルは、帯域幅Bがマイクロ波共振器の極範囲(turning range)を覆うということが特徴点である。このことは、マイクロ波共振器21の最小周波数fminが最小共振周波数fRminよりも小さく、一方で、マイクロ波共振器21の最大周波数fmaxが最大共振周波数fRmaxより大きいことを意味する。最大共振周波数fRmaxは、マイクロ波共振器21の測定チャンバー22が空の状態である時に測定される。空の状態のマイクロ波共振器21の振幅伝達関数は、破線の曲線A1(f)で示される。
【0083】
最小共振周波数fRminは、測定チャンバー22が実質的に乾燥した物質Bで満たされている可能な限り満たされている場合に、本発明の装置を操作している間に発生する。この場合、最小帯域幅Bmin=fRmin/Qmaxが発生する。スペクトルGS中の線間隔ΔFは、おおよそ、最小帯域幅Bminのオーダーである。これにより、可能な各共振周波数fR及び可能な各帯域幅Bに対して、マイクロ波共振器21の現在の帯域幅の領域にスペクトル線が確実に存在する。このことにより、振幅伝達関数A(f)及び/又は位相伝達関数P(f)が、正確に求められる。
【0084】
図8は、振幅、及び複素伝達関数H(f)の実数成分及び虚数成分を示している。複素伝達関数H(f)は、マイクロ波共振器21の振幅伝達関数、及び位相伝達関数の双方を記述する。複素伝達関数H(f)の振幅|H(f)|は、図7に示される振幅伝達関数A(f)に対応する。複素伝達関数H(f)の実数成分Re{H(f)}、及び複素伝達関数H(f)の虚数成分Im{H(f)}は、双方とも、振幅関数A(f)及び位相角P(f)の大きさから算出することが可能である。技術的には、一方で複素伝達関数H(f)、他方で振幅伝達関数A(f)と位相伝達関数P(f)の組み合わせは、同一の意味を持つ。しかしながら、複素伝達関数H(f)は、多くの場合において信号処理における他の計算に対してより有用である。
【0085】
マイクロ波共振器21の複素伝達関数H(f)は、以下の式で与えられる。
【0086】
【数1】
【0087】
kは、次元定数である。
【0088】
従って、複素伝達関数H(f)の振幅は、以下の式で与えられる。
【0089】
【数2】
【0090】
更に、実数成分は、以下の式で与えられる。
【0091】
【数3】
【0092】
そして、虚数成分は、以下の式で与えられる。
【0093】
【数4】
【0094】
図7のスペクトル信号GS(f)、及び図8に示した複素伝達関数H(f)を備えた発生器信号gs(t)のために、図9に示される振幅スペクトル|AS(f)|を備えた出力信号as(t)を得る。なお、出力信号as(t)は、図10に示される複素振幅スペクトルAS(f)の実数成分Re{AS(f)}、及び図11に示されるスペクトルの虚数成分{AS(f)}を有する。
【0095】
最小周波数fminから最大周波数fmaxまでの周波数範囲に亘って、スペクトルGS(f)の包絡線は一定であるので、振幅スペクトル|AS(f)|の包絡線は、伝達関数H(f)の振幅|H(f)|に一致する。これを示すために、伝達関数H(f)の振幅|H(f)|が図9において破線で示されている。同様に、図10に示されるスペクトルAS(f)の実数成分Re{AS(f)}の包絡線、及び図11に示されるスペクトルA(f)の虚数成分Im{A(f)}の包絡線が、それぞれ、複素伝達関数の実数成分Re{H(f)}、及び複素伝達関数の虚数成分Im{H(f)}に一致する。
【0096】
fminからfmaxの周波数範囲において、スペクトルGS(f)の包絡線が一定でない場合に、スペクトルAS(f)をスペクトルGS(f)で割ることにより複素伝達関数H(f)を求めることができる。スペクトルGS(f)の包絡線が知られているので、1/GS(f)の重み係数を用いてスペクトル線を評価することにより、この除算を行うことができる。
【0097】
図9、10及び11に示されている線スペクトルを評価することで、マイクロ波共振器21の複素伝達関数H(f)を再構成し、それによって、その共振周波数fR、及びその線質係数を知ることができる。ここで、複素伝達関数H(f)は、スペクトルAS(f)のスペクトル線により与えられる各振動数の点で知られる。従って、各線の量を、直接的に式1、2、3、及び4に置き換えることができる。
【0098】
マイクロ波共振器21の共振周波数fR、及び線質係数は、振幅スペクトル|AS(f)|以外から求めることはできないが、共振周波数fRにおけるIm{AS(f)}の演算符号の変化により共振周波数FRを非常に高い精度で求めることができるので、複素振幅スペクトルASの実数成分Re{AS(f)}、及び虚数成分Im{AS(f)}がより高い精度を提供するという有効性をもたらす。伝達関数H(f)は、原則として、3つの離散的な振幅の値、又は2つの振幅の値から(これらの値にともなう位相が知られている場合に)再構成することができるので、共振周波数fRが求められる精度は、スペクトル線の間隔ΔFよりも一層精密であるということを言及する必要がある。サンプル値を見つける過程における不可避の誤差があってもなお、評価されるスペクトル線の数を増加させることが有効である。
【0099】
図12は、本発明にかかる他の装置20を示している。ここでは、マイクロ波共振器21は、1つの接続部30を備えた単一ポート共振器として実施される。発生器27により提供される発生器信号gsは、注入電流である。すなわち、それは、接続部30を介してマイクロ波共振器21に入力される。結果として電圧uは、接続部30において上昇し、反射出力信号として評価回路28に提供される。
【0100】
図13は、図12に示されている装置の等価回路図である。
【0101】
図14は、本発明の装置20の他の実施の形態を示している。ここで、発生器27は、発生器信号gsが印加電圧ueとなるように設計される。この印加電圧ueは、接続部30に提供される。接続部30に流入する電流iは、電流検出器31により検出することができる。その後、電流iの測定値は、マイクロ波共振器21から出力信号を提供し、この出力信号は、さらなる処理のために評価回路28に提供される。
【0102】
図15は、図14に示されている装置の等価回路図である。
【0103】
図16は、本発明の好ましい実施の形態を示している。ここで、評価回路28は、サンプリング及びアナログ/デジタル変換回路32、及びデジタル評価回路33により構成される。マイクロ波共振器21からの基本周期T0の間、出力信号as(t)のN個のサンプルは、N/T0の間隔で取得される。各基本周期に対して、これらN個の値は、初めにデジタル評価回路33においてフーリエ変換される。高速フーリエ変換として知られている手法で行なわれることが好ましい。高速フーリエ変換を素早く及び効率的に行うために、基本周期においてサンプリングされた値の数Mが、M=2kとして与えられる場合が有利である。なお、kは、正の整数である。
【0104】
このようにして得られたフーリエスペクトル、及びサンプリングされた値AS(fk)(fkは、使用される発生器信号gs(t)におけるスペクトル線のN周波数である。)により表されることから、fR及びQの値が式1−4の1つ以上を解くことで発見される。周波数信号rfsは、(時間変動する)共振周波数fR(t)を示す。一方で、出力信号gusは、(時間変動する)線質係数Q(t)を示す。出力信号は、デジタル及び/又はアナログの形態で提供することができる。
【0105】
伝達関数H(fk)の振幅|H(fk)|は、測定結果により得られ、そして、式2によりNサンプリング周波数の各々に対して1つの式、すなわち、fR及びQを決定するためのN個の式が発生する。複素方程式1、又は2つの実方程式3及び4が使用される場合、fR及びQを決定するための2N個の実方程式が得られる。この方程式系に対する解からも、定数K(他の信号の処理が要求されない)が生じるので、伝達関数の振幅のみを測定する場合に少なくとも3組の値が要求され、伝達関数の振幅及び位相、又は実数成分及び虚数成分の両方が測定される場合には、少なくとも2組の値が要求される。
【0106】
高い精度を得るために、測定される値の組数Nがより多くなるように選択することが好適である。
【0107】
【数5】
【0108】
マイクロ波共振器21の3dB帯域幅Bが、周波数範囲fmax−fminに対して小さい場合、適切な多数組みの値が測定される。結果として、fR及びQを決定するために展開された方程式系が、必要以上に求められ、確かな解が存在しない。そして、方程式は(可能であれば、重み付けされた)最小誤差量の条件を使用することで、又は最小平方誤差量を使用することで解かれる必要がある。この種の解を得るための方法、及び多数の解に関連付けるアルゴリズムは、信号処理の分野で知られている。
【0109】
図18は、本発明にかかる装置20の他の可能な実施の形態を示している。ここで、評価回路6は、ミキサー34の形態で実施される転移回路34、サンプリング、及びアナログ/デジタル変換回路32、及びデジタル分析回路33を含む。図16の装置とは対照的に、図18の装置においては、マイクロ波共振器21からの出力信号as(t)は、初めに、ミキサー34において、低周波数のベースバンドに転移される。周波数変換は、知られている好ましい方法を使用することで信号発生器27に提供される信号を混合することにより行われる。
【0110】
【数6】
【0111】
nmin=fmin/f0において、この結果として、同位相(co−phase)信号asBBc、及び直交信号asBBqが出力される。デジタル化される信号は、現在、ベースバンドであるので、デジタル化処理が容易である。ベースバンドに転移される信号asBBc及びasBBqが、f0からNf0の周波数においてN等間隔スペクトル線を備える線スペクトルを有する。デジタル分析回路33は、同位相信号asBBc、及び直交信号asBBqを使用することにより、H(f)のフーリエスペクトルの実数、及び虚数成分を求め、これにより、共振周波数fR(t)及び線質係数Q(t)を表す出力信号rfs(t)及びgus(t)を発生させる。
【0112】
図20は、図9に示されている振幅スペクトル|AS(f)|を備え低周波数ベースバンドに転移される出力信号as(t)の、振幅スペクトル|ASBB(f)|の例を示している。適切な信号の混合により、周波数f1、f2、…fnは、より低い周波数f1′、f2′、…fn′に変換される。
【0113】
置き換えられたスペクトル|ASBB(f)|における最も低い周波数fmin′は、基本周波数f0に一致する。
【0114】
図21は、2ポートマイクロ波共振器21の斜視図を示している。マイクロ波共振器21は、上部共振器部46、及び下部共振器部47を有しており、これらは、マイクロ波共振器21の操作を適切に行うことができるように相互に結合されている。マイクロ波共振器の入り口開口23は、溝状に形成されている。測定に使用されるマイクロ波共振器21の振動モードにおいて、電磁界の電界の向きの線が、入り口開口23に対して平行であり、磁界の向きの線が、入り口開口23に対して直交する。これにより、入り口開口23からの電磁界の外部放射が確実に最小になる。外側開口24(図示せず)は、入り口開口23の反対側に存在する。ここで、また、電磁界の線は、外側開口24に対して平行である。
【0115】
本発明は、図示及び記載した実施の形態に制限されない。特許請求の範囲の要旨の範囲内で常に変更が可能である。
【0116】
特に、本発明の装置は、水分が考慮された繊維スライバーの密度又は繊維スライバーの単位長当たりの質量を決定するために使用されても良い。装置は、マイクロ波共振器の線質係数、及び周波数を用いて水分含有量とその密度を分割して決定するアルゴリズムを実行するように設計されても良い。
【0117】
マイクロ波共振器は、少なくとも部分的にマイクロ波を透過し誘電率が温度に対して可能な限り独立な材料(セラミック、石英ガラス)から成っていても良い。最も関心の深いことは、使用されるマイクロ波共振器の内部に配置されている要素が、測定される繊維スライバーをガイドすることに対して影響を与えることである。
【0118】
更に、マイクロ波共振器は、2つの実質的に平行な半筒部材から構成されていても良い。この場合、及び特に、カード機又は錬条機の出口に使用される場合、マイクロ波共振器は、繊維スライバーに対する集中ガイドを備えた筒部材として設計されても良い。更に、それが、入り口において錬条機に使用される場合、その側面に繊維スライバーを挿入する挿入溝を設けるようにしても良い。
【0119】
以下の測定は、装置により得られる温度作用による測定結果の誤差を避けるために行われても良い:熱拡散率の低い材料(例えば、インバール)の共振器を構成し、共振器又は全体の検出器の断熱性を高める手段を提供し、共振器に連結する少なくとも部分的な電気回路を含む、及び/又は共振器又は検出器の加熱(例えば、加熱ホイルを使用すること)又は冷却(例えば、ペルティエ素子を用いて)のための手段を提供する。
【0120】
また、以下の処理を本発明の装置を検査するために行っても良い:前操作段階において実際の帯域の細かさ及び/又は実際の水分を測定する検査室の測定から得られる較正曲線を用いて繊維スライバー材料又は繊維スライバー混合物の変化を検出し、蓄積される共振器の繊維スライバー及び埃カスを全体的に取り除いて(先ず、繊維スライバーを分離した後にそれを除去し、カスや埃を吹き飛ばす)、空の状態の周波数を決定する。
【0121】
本発明の繊維機械として、特に、本発明の装置が出口検出器の設置されるカーダー機又は錬条機であって良い。この場合、装置は、ドラフトシステムの出口の出口シリンダとカレンダーロール対の間において設置されても良く、カレンダーロール対の直後に設置しても良い。好ましくは、装置に質を監視するシステムを設けても良く、これにより、繊維スライバーの質が製造時にある閾値より低下すると、繊維機械は停止する。
【0122】
特に、本発明の繊維機械が錬条機である場合、入り口検出器として本発明にかかる装置を設けることができる。この装置は、ドラフトシステム又は入り口検出器の直前に設置することができ、及び、この装置に、ドラフトされる繊維スライバーの単位長当たりの質量における変化を相殺する調整装置を設置しても良い。
【符号の説明】
【0123】
1 繊維機械
20 装置
20′ 装置
21 マイクロ波共振器
21′ マイクロ波共振器
27 信号発生器
28 評価回路
32 サンプリング回路
33 分析回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維機械(1)、特に、錬条機(1)、カード機、又は梳毛機等の紡績用前処理機(1)、又は紡績機又は巻き取り機等の紡績工場における機械においてストランド状の移動する繊維束(FB)の単位長当たりの質量及び/又は水分含有量を、繊維束(FB)が通過可能な測定チャンバー(22)を含むマイクロ波共振器(21)を用いて、及びマイクロ波共振器(21、21′)の共振周波数(fR)及び/又は線質係数(Q−値)を設定することによって測定する装置(20、20′)において、
複数の周波数(f1,f2,・・・fn)を含むスペクトル(GS)の発生器信号(gs)を出力するように設計される信号発生器(27)が設けられ、
発生器信号(gs)は、マイクロ波共振器(21)に入力され、
及び、マイクロ波共振器(21)から出力される出力信号(as)が、出力信号(as)におけるスペクトル(AS)の複数の前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅及び/又は位相を同時に決定する評価回路(28)を通過することを特徴とする装置。
【請求項2】
同期信号(sys,sysa,sysb)が、
評価回路(28)と信号発生器(27)を同期させるために提供されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
信号発生器(27)は、
発生器信号(gs)のスペクトル(GS)が、設定可能な最小周波数(fmin)、及び/又は設定可能な最大周波数(fmax)により限定されるように設計されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
信号発生器(27)は、
最小周波数(fmin)がマイクロ波共振器21の使用可能な最小共振周波数(fRmin)よりも小さい、及び/又は最大周波数(fmax)がマイクロ波共振器21の最大共振周波数(fRmax)よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
信号発生器(27)は、
前記周波数(f1,f2,・・・fn)が発生器信号(gs)のスペクトル(GS)の全域で離散的に分散されるように設計されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
信号発生器(27)は、
前記離散した周波数(f1,f2,・・・fn)が、発生器信号(gs)のスペクトル(GS)の全域で等間隔に分散されるように設計されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
信号発生器(27)は、
隣接する周波数(f1,f2,・・・fn)の間の間隔(Δf)が、マイクロ波共振器(21)の最小帯域幅(Bmin)の1.5倍未満、好ましくはその最小帯域幅未満、特に好ましくは、その最小帯域幅の0.75倍未満となるように構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
信号発生器(27)は、
評価に使用される発生器信号(gs)のスペクトル(GS)における前記周波数(f1,f2,・・・fn)が、少なくとも同一の振幅を有するように設計されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
評価回路(28)は、
マイクロ波共振器(21、21′)の共振周波数(fR)に対応する周波数信号(rfs)、及び/又はマイクロ波共振器(21、21′)の線質係数に対応する線質係数信号(gus)を発生するように構成されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
評価回路(28)は、
出力信号(as)のスペクトル(AS)における少なくとも3種の前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅又は位相を決定するように設計されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
評価回路(28)は、
出力信号(as)のスペクトル(AS)における少なくとも2種の前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅及び位相を決定するように設計されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
評価回路(28)は、
誤差最小化アルゴリズムを用いてマイクロ波共振器(21、21′)の共振周波数(fR)及び/又は線質係数を決定するように設計されることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
評価回路(28)は、
マイクロ波共振器(21、21′)の帯域幅(B)内に存在する出力信号(as)のスペクトル(AS)における前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅及び/又は位相を決定するように設計されることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
評価回路(28)は、
出力信号(as)のスペクトル(AS)の前記周波数(f1,f2…fn)の内、マイクロ波共振器(21、21’)の共振周波数(fR)を超えて存在する少なくとも一つの振幅及び/又は位相及び
出力信号(as)のスペクトル(AS)の前記周波数(f1,f2…fn)の内、マイクロ波共振器(21、21’)の共振周波数(fR)未満に存在する少なくとも一つの振幅及び/又は位相を決定するように設計されていることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の装置。
【請求項15】
評価回路(28)は、
評価のために提供される発生器信号(gs)のスペクトル(GS)における前記周波数(f1,f2,・・・fn)の等しくない振幅を考慮に入れて設計を行うことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の装置。
【請求項16】
評価回路(28)は、
出力信号(as)に対応しサンプリング回路(32)により生成されたサンプリング信号(as′)のスペクトル分析用の分析回路(33)を含むことを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の装置。
【請求項17】
サンプリング回路(32)は、
出力信号(as)をサンプリングするように構成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
評価回路(28)は、
出力信号(as)を低周波数ベースバンドに転移させて転移出力信号(asBB、asBBq)を発生させる転移回路(34)を含み、
サンプリング回路(32)が、転移出力信号(asBB、asBBq)をサンプリングするように設計されていることを特徴とする請求項16又は17の何れかに記載の装置。
【請求項19】
サンプリング回路(32)は、デジタルサンプリング信号(as′)を発生させ、及び
分析回路(33)が、デジタルサンプリング信号(as′)を分析するデジタル分析回路(33)として設計されることを特徴とする請求項16〜18の何れか1項に記載の装置。
【請求項20】
分析回路(33)は、
高速フーリエ変換、及び/又はプロニー法に基づいたサンプリング信号(as′)のスペクトル分析用に設計されることを特徴とする請求項16〜19の何れか1項に記載の装置。
【請求項21】
内部接続部(25)が、マイクロ波共振器(21、21′)に割り当てられ、
発生器信号(gs)が、内部接続部(25)によりマイクロ波共振器(21)に入力され、
外部接続部(26)が、マイクロ波共振器(21、21′)に割り当てられ、
出力信号(as)が、外部接続部(26)によりマイクロ波共振器(21)から出力されることを特徴とする請求項1〜20の何れか1項に記載の装置。
【請求項22】
接続部(30)が、マイクロ波共振器(21、21′)に割り当てられ、
発生器信号(gs)が、接続部(30)によりマイクロ波共振器(21)に入力され、
及び反射信号が、出力信号(as)としてマイクロ波共振器(21)から出力されることを特徴とする請求項1〜21の何れか1項に記載の装置。
【請求項23】
信号発生器(27)は、発生器信号(gs)が注入電流(ie)の形態をとるように設計され、及び
評価回路(28)が、接続部(30)において反射出力信号(as)として発生する電圧(u)を評価するように設計されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
信号発生器(27)は、発生器信号(gs)が印加電圧(ue)の形態をとるように設計され、及び
評価回路(28)が、接続部(30)に反射出力信号(as)として流入する電流(i)を評価するように設計されることを特徴とする請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
信号発生器(27)は、発生器信号(gs)が印加された波の形態をとるように設計され、及び
評価回路(28)が、接続部(30)において反射出力信号(as)として発生する波の振幅及び/又は位相を評価するように設計されることを特徴とする請求項22〜24の何れか1項に記載の装置。
【請求項26】
ストランド状の移動する繊維束(FB)における単位長当たりの質量の測定結果(MW、MW′)、及び/又は水分含有量の測定結果(MF)を、周波数信号(rts)及び/又は線質係数信号(gus)から得る信号評価ステージ(29)が設けられたことを特徴とする請求項1〜25の何れか1項に記載の装置。
【請求項27】
少なくとも1種のFPGAが設けられることを特徴とする請求項1〜26の何れか1項に記載の装置。
【請求項28】
マイクロ波共振器(21、21′)、及びそれに接続された電気回路(27、28、29)、特に、信号発生器(27)、評価回路(28)、及び/又は信号評価ステージ(29)の少なくとも一部が、共通のハウジングに含まれることを特徴とする請求項1〜27の何れか1項に記載の装置。
【請求項29】
装置を外部通信パスに接続するためのCANバス等の通信インターフェイスが、繊維機械(1)に設けられることを特徴とする請求項1〜28の何れか1項に記載の装置。
【請求項30】
請求項1〜29の何れか1項に記載された装置が設けられる、特に、紡績用前処理機(1)、例えば、錬条機(1)、カード機、又は梳毛機、又は紡績機械や巻き取り機等の紡績工場における機械である繊維機械(1)。
【請求項1】
繊維機械(1)、特に、錬条機(1)、カード機、又は梳毛機等の紡績用前処理機(1)、又は紡績機又は巻き取り機等の紡績工場における機械においてストランド状の移動する繊維束(FB)の単位長当たりの質量及び/又は水分含有量を、繊維束(FB)が通過可能な測定チャンバー(22)を含むマイクロ波共振器(21)を用いて、及びマイクロ波共振器(21、21′)の共振周波数(fR)及び/又は線質係数(Q−値)を設定することによって測定する装置(20、20′)において、
複数の周波数(f1,f2,・・・fn)を含むスペクトル(GS)の発生器信号(gs)を出力するように設計される信号発生器(27)が設けられ、
発生器信号(gs)は、マイクロ波共振器(21)に入力され、
及び、マイクロ波共振器(21)から出力される出力信号(as)が、出力信号(as)におけるスペクトル(AS)の複数の前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅及び/又は位相を同時に決定する評価回路(28)を通過することを特徴とする装置。
【請求項2】
同期信号(sys,sysa,sysb)が、
評価回路(28)と信号発生器(27)を同期させるために提供されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
信号発生器(27)は、
発生器信号(gs)のスペクトル(GS)が、設定可能な最小周波数(fmin)、及び/又は設定可能な最大周波数(fmax)により限定されるように設計されることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
信号発生器(27)は、
最小周波数(fmin)がマイクロ波共振器21の使用可能な最小共振周波数(fRmin)よりも小さい、及び/又は最大周波数(fmax)がマイクロ波共振器21の最大共振周波数(fRmax)よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
信号発生器(27)は、
前記周波数(f1,f2,・・・fn)が発生器信号(gs)のスペクトル(GS)の全域で離散的に分散されるように設計されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
信号発生器(27)は、
前記離散した周波数(f1,f2,・・・fn)が、発生器信号(gs)のスペクトル(GS)の全域で等間隔に分散されるように設計されることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
信号発生器(27)は、
隣接する周波数(f1,f2,・・・fn)の間の間隔(Δf)が、マイクロ波共振器(21)の最小帯域幅(Bmin)の1.5倍未満、好ましくはその最小帯域幅未満、特に好ましくは、その最小帯域幅の0.75倍未満となるように構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
信号発生器(27)は、
評価に使用される発生器信号(gs)のスペクトル(GS)における前記周波数(f1,f2,・・・fn)が、少なくとも同一の振幅を有するように設計されることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の装置。
【請求項9】
評価回路(28)は、
マイクロ波共振器(21、21′)の共振周波数(fR)に対応する周波数信号(rfs)、及び/又はマイクロ波共振器(21、21′)の線質係数に対応する線質係数信号(gus)を発生するように構成されることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
評価回路(28)は、
出力信号(as)のスペクトル(AS)における少なくとも3種の前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅又は位相を決定するように設計されることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
評価回路(28)は、
出力信号(as)のスペクトル(AS)における少なくとも2種の前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅及び位相を決定するように設計されることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の装置。
【請求項12】
評価回路(28)は、
誤差最小化アルゴリズムを用いてマイクロ波共振器(21、21′)の共振周波数(fR)及び/又は線質係数を決定するように設計されることを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の装置。
【請求項13】
評価回路(28)は、
マイクロ波共振器(21、21′)の帯域幅(B)内に存在する出力信号(as)のスペクトル(AS)における前記周波数(f1,f2,・・・fn)の振幅及び/又は位相を決定するように設計されることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の装置。
【請求項14】
評価回路(28)は、
出力信号(as)のスペクトル(AS)の前記周波数(f1,f2…fn)の内、マイクロ波共振器(21、21’)の共振周波数(fR)を超えて存在する少なくとも一つの振幅及び/又は位相及び
出力信号(as)のスペクトル(AS)の前記周波数(f1,f2…fn)の内、マイクロ波共振器(21、21’)の共振周波数(fR)未満に存在する少なくとも一つの振幅及び/又は位相を決定するように設計されていることを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の装置。
【請求項15】
評価回路(28)は、
評価のために提供される発生器信号(gs)のスペクトル(GS)における前記周波数(f1,f2,・・・fn)の等しくない振幅を考慮に入れて設計を行うことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載の装置。
【請求項16】
評価回路(28)は、
出力信号(as)に対応しサンプリング回路(32)により生成されたサンプリング信号(as′)のスペクトル分析用の分析回路(33)を含むことを特徴とする請求項1〜15の何れか1項に記載の装置。
【請求項17】
サンプリング回路(32)は、
出力信号(as)をサンプリングするように構成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
評価回路(28)は、
出力信号(as)を低周波数ベースバンドに転移させて転移出力信号(asBB、asBBq)を発生させる転移回路(34)を含み、
サンプリング回路(32)が、転移出力信号(asBB、asBBq)をサンプリングするように設計されていることを特徴とする請求項16又は17の何れかに記載の装置。
【請求項19】
サンプリング回路(32)は、デジタルサンプリング信号(as′)を発生させ、及び
分析回路(33)が、デジタルサンプリング信号(as′)を分析するデジタル分析回路(33)として設計されることを特徴とする請求項16〜18の何れか1項に記載の装置。
【請求項20】
分析回路(33)は、
高速フーリエ変換、及び/又はプロニー法に基づいたサンプリング信号(as′)のスペクトル分析用に設計されることを特徴とする請求項16〜19の何れか1項に記載の装置。
【請求項21】
内部接続部(25)が、マイクロ波共振器(21、21′)に割り当てられ、
発生器信号(gs)が、内部接続部(25)によりマイクロ波共振器(21)に入力され、
外部接続部(26)が、マイクロ波共振器(21、21′)に割り当てられ、
出力信号(as)が、外部接続部(26)によりマイクロ波共振器(21)から出力されることを特徴とする請求項1〜20の何れか1項に記載の装置。
【請求項22】
接続部(30)が、マイクロ波共振器(21、21′)に割り当てられ、
発生器信号(gs)が、接続部(30)によりマイクロ波共振器(21)に入力され、
及び反射信号が、出力信号(as)としてマイクロ波共振器(21)から出力されることを特徴とする請求項1〜21の何れか1項に記載の装置。
【請求項23】
信号発生器(27)は、発生器信号(gs)が注入電流(ie)の形態をとるように設計され、及び
評価回路(28)が、接続部(30)において反射出力信号(as)として発生する電圧(u)を評価するように設計されることを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
信号発生器(27)は、発生器信号(gs)が印加電圧(ue)の形態をとるように設計され、及び
評価回路(28)が、接続部(30)に反射出力信号(as)として流入する電流(i)を評価するように設計されることを特徴とする請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
信号発生器(27)は、発生器信号(gs)が印加された波の形態をとるように設計され、及び
評価回路(28)が、接続部(30)において反射出力信号(as)として発生する波の振幅及び/又は位相を評価するように設計されることを特徴とする請求項22〜24の何れか1項に記載の装置。
【請求項26】
ストランド状の移動する繊維束(FB)における単位長当たりの質量の測定結果(MW、MW′)、及び/又は水分含有量の測定結果(MF)を、周波数信号(rts)及び/又は線質係数信号(gus)から得る信号評価ステージ(29)が設けられたことを特徴とする請求項1〜25の何れか1項に記載の装置。
【請求項27】
少なくとも1種のFPGAが設けられることを特徴とする請求項1〜26の何れか1項に記載の装置。
【請求項28】
マイクロ波共振器(21、21′)、及びそれに接続された電気回路(27、28、29)、特に、信号発生器(27)、評価回路(28)、及び/又は信号評価ステージ(29)の少なくとも一部が、共通のハウジングに含まれることを特徴とする請求項1〜27の何れか1項に記載の装置。
【請求項29】
装置を外部通信パスに接続するためのCANバス等の通信インターフェイスが、繊維機械(1)に設けられることを特徴とする請求項1〜28の何れか1項に記載の装置。
【請求項30】
請求項1〜29の何れか1項に記載された装置が設けられる、特に、紡績用前処理機(1)、例えば、錬条機(1)、カード機、又は梳毛機、又は紡績機械や巻き取り機等の紡績工場における機械である繊維機械(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2010−506158(P2010−506158A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530867(P2009−530867)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060393
【国際公開番号】WO2008/040704
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509093554)リーター、インゴルシュタット、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060393
【国際公開番号】WO2008/040704
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509093554)リーター、インゴルシュタット、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (1)
【Fターム(参考)】
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