説明

ストリップの形状制御方法および形状制御装置

【課題】ベンダーやワークロールシフト等の従来アクチュエータでは不可能であった板幅方向の局所的な伸び量制御を可能とし、しかも複雑な各スタンドのクラウン制御装置の操作をすることなく、スタンド間でのストリップの形状不良を抑制するストリップの形状制御方法および装置を提供する。
【解決手段】複数の仕上圧延スタンドF1〜F7を備えた仕上圧延機1の少なくとも1箇所の仕上圧延スタンド間に設置された形状計2により、通板中のストリップの形状を測定し、形状計2で計測した形状データに基づき、ストリップの幅方向の加熱する箇所と加熱量を決定し、仕上圧延機1の上流側に設置された少なくとも2個のトランスバース型誘導加熱装置4の位置および発熱量を制御してストリップを加熱し、仕上圧延途中のストリップの形状不良を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の圧延スタンドからなる仕上圧延機によって圧延される熱延鋼板(ストリップ)のスタンド間での形状不良を抑制する形状制御方法および形状制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ストリップに要求される板厚精度は厳格化の一途をたどっている。これまで、長手方向の板厚精度に関しては高速応答性の油圧AGC(Automatic Gauge Control)の導入により精度向上を図っている。一方、幅方向精度に関してはベンダーおよびワークロールシフトのクラウン制御により低クラウン化を図ってきており、最近の板厚厳格材製造には、後者の低クラウン化による幅方向の精度向上が一層重要性を増してきている。ここで、クラウンとは、ストリップの幅方向の中央の厚みHcと幅方向の端部の厚みHeとの差、C=Hc−Heをいい、低クラウン化とは、HcとHeの差を小さくして平坦性を向上させることをいう。
【0003】
一方で熱間圧延の仕上圧延においては、ストリップの温度変化により生じるロール撓みおよびロール偏平に加え、ロール磨耗、さらにロール熱膨張に起因したサーマルクラウン変化が各スタンドのクラウン変化を生じさせ、スタンド間のクラウン比率(クラウン/板厚=C/Hc)変化に伴った板形状変化が生じる。
【0004】
板形状については、仕上圧延機最終スタンド出側の波形状は、最終製品形状に大きく影響するため重要であることは言うまでもないが、最終スタンドよりも上流側の中間スタンド間でのストリップの波形状も、悪化すると後述するように通板トラブルを招いてしまう場合がある。したがってスタンド間板形状安定化も重要な要素となる。
【0005】
板形状については、大きく分けて板幅方向中央部が伸びる中波形状(図8(a))と、板両端部が伸びる耳波形状(図8(b))と、板幅方向の局所的な伸びであるクォーター波形状(図8(c))がある。中波およびクォーター波のように波底部にロール冷却水等が溜まる形状の場合、水が溜まった状態で仕上圧延スタンドのロール噛み込み部内へ引き込まれるため、水蒸気圧力によって板穴あきが発生する。また中波、クォーター波、耳波のいずれの形状でも、波が大きい場合は、ルーパーのハンチング等を伴った板二枚噛みが発生する。このような仕上圧延における通板トラブルは稼働率、製品歩留まりの低下のみならず、ロールや設備の損傷といった多大な損失をもたらす。
【0006】
したがって低クラウン材を安定的に製造するためには、圧延中の各仕上圧延スタンド間形状が可能な限り平坦になるよう制御し、安定化する制御方法の確立が求められている。
【0007】
特許文献1には、最終スタンド出側に板形状測定装置を設置し、目標形状との偏差に基づき最終スタンドを含む直近スタンドのクラウン制御装置を同時に操作し、スタンド間形状変化を最小にしながら、形状調整する連続式熱間仕上圧延機における板形状制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−281231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前掲の特許文献1に開示された板形状制御方法では、形状制御フィードバックに用いる形状測定値が最終スタンド出側のみであり、制御対象はあくまでも最終スタンド出側形状のため、スタンド間での波形状が発生している場合でも、最終スタンド出側の目標形状との偏差が小さい場合、形状制御が行われない問題がある。また最終スタンドを含む複数スタンドでクラウン制御装置であるベンダー操作により形状制御を行うため、クォーター波などの幅方向の局所的な形状変化は制御できない根本的な問題があった。
【0010】
本発明は、従来のベンダーやワークロールシフト等のアクチュエータでは不可能であった板幅方向局所伸び量の制御を可能とし、しかも各スタンドの複雑なクラウン制御装置の操作をすることなく、スタンド間でのストリップの形状不良を抑制するストリップの仕上圧延スタンド間形状制御方法および形状制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成に係るストリップの形状制御方法は、複数の仕上圧延スタンドを備えた仕上圧延機の少なくとも1箇所の仕上圧延スタンド間に設置された形状計により、通板中のストリップの形状を測定し、前記形状計で計測した形状データに基づき、ストリップの幅方向の加熱する箇所と加熱量を決定し、前記仕上圧延機の上流側に設置された少なくとも2個のトランスバース型誘導加熱装置の位置および発熱量を制御してストリップを加熱し、仕上圧延途中のストリップの形状不良を抑制することを特徴とする。
【0012】
本発明の第1の構成においては、仕上圧延機によって圧延されるストリップの仕上圧延スタンド間での形状不良を抑制するために、板幅方向形状を形状計で計測し、板幅方向温度制御が可能な少なくとも2個のトランスバース型誘導加熱装置を仕上圧延機の上流側に設置して、ストリップの幅方向温度分布を操作する。ストリップの加熱位置は温度が高いため、その部分に接触する仕上圧延機のワークロールの熱膨張が大きくなり、局所的にロールギャップが狭くなる。またその加熱位置ではストリップの変形抵抗が下がるため、ロール噛み込み部内でのワークロール扁平が局所的に小さくなり、ロールギャップを狭くする作用が働く。これによりベンダーやワークロールシフト等の従来アクチュエータでは不可能であった板幅方向の局所的な伸び量制御が可能となり、しかも各スタンドの複雑なクラウン制御装置操作をすることなく、仕上圧延スタンド間でのストリップの形状不良を抑制する制御を行うことができる。
【0013】
ストリップの波形状すなわち幅方向伸び差は、各仕上圧延スタンド入出側のクラウン比率(クラウン量/板厚)変化で発生する。
例えば、仕上圧延機後段の仕上圧延スタンドF5−F6で中波形状の場合は、仕上圧延スタンドF5でクラウン比率がマイナス方向へ大きく変化、つまり急激に低クラウン方向へ圧下することで発生するため、仕上圧延スタンドF5入側でのストリップのクラウンを小さくして、クラウン比率変化を低減させれば、中波形状は低減しフラット形状へ近づく。そのための手段として、仕上圧延機入側に設置した誘導加熱装置でストリップの板幅中央部を昇温することで、上述のメカニズムにより仕上圧延スタンドF1からストリップの幅方向中央部の板厚を減少させ、低クラウン化し、仕上圧延スタンドF5でのクラウン比率変化を低減することができる。
【0014】
また本方法では、仕上圧延スタンドF1から波形状が発生する仕上圧延スタンドまで緩やかに板クラウンを変化させることができるため、当該仕上圧延スタンドのベンダー、ワークロールシフト、圧下装置のアクチュエータを操作した場合に発生する前後の仕上圧延スタンドとのクラウン比率バランスを大きく崩すことがない。
ストリップの幅方向両端部が伸びる耳波に対しては、ストリップの幅方向両端部を誘導加熱装置で昇温することにより、仕上圧延スタンドの前段でのクラウンを低減することで、仕上圧延スタンドの後段でのクラウン比率変化を抑えて、耳波形状を軽減する。
さらに、クォーター波に対しても、同じメカニズムで、後段でクォーター波が発生する幅方向位置を、誘導加熱装置で昇温することにより、仕上圧延スタンドの前段から連続的かつ緩やかに局所凹凸を発生させることで、後段当該仕上圧延スタンドでの局所伸びを低減することが可能となる。
【0015】
ストリップの加熱手段としては、ソレノイド型誘導加熱装置が知られているが(例えば、特開平3−314216号公報参照。)、これはストリップを取り囲むようにコイル(ソレノイド)を巻き、板と平行に磁場を発生させて板全表面を集中加熱するものであるため、ストリップの幅方向の局所的な加熱ができない。そこで、本発明では、幅方向を複数に分割して各箇所を独立して局所的な加熱が可能な複数の(2個以上の)トランスバース型誘導加熱装置を用いる。
【0016】
本発明の第2の構成に係るストリップの形状制御方法は、前記形状計で計測したストリップの波形状の発生位置を加熱するように前記トランスバース型誘導加熱装置の位置を制御し、前記波形状の急峻度から加熱量を決定することを特徴とする。
この第2の構成により、波形状のパターンに応じた誘導加熱装置の位置および発熱量の制御を行い、仕上圧延スタンド間でのストリップの形状不良を抑制する制御を行うことができる。波形状の急峻度から加熱量を決定するには、予め実験で急峻度と加熱量の関係を求めて記憶させておき、形状計で計測した波形状から得られる急峻度に対応する加熱量を決めればよい。一旦決定した加熱量で加熱を開始した後は、急峻度の変化を形状計で逐次計測し、その結果をフィードバックして加熱量を制御する。
【0017】
本発明の第3の構成に係るストリップの形状制御装置は、複数の仕上圧延スタンドを備えた仕上圧延機の上流側に設置された少なくとも2個のトランスバース型誘導加熱装置と、前記仕上圧延機の少なくとも1箇所の圧延スタンド間に設置された形状計と、前記形状計で計測した形状データに基づき、ストリップの幅方向の加熱する箇所と加熱量を決定し、前記トランスバース型誘導加熱装置の位置および発熱量を制御する誘導加熱制御装置と、を備えたことを特徴とする。
この第3の構成に係るストリップの形状制御装置においては、仕上圧延スタンド間の板形状をフラット化するために、板幅方向形状を形状計で計測し、板幅方向温度制御が可能なトランスバース型誘導加熱装置を仕上圧延機の上流側に設置して、ストリップの幅方向温度分布を操作して、変形抵抗分布を制御するとともに、ストリップを加熱した位置に対応するワークロールの幅方向位置を熱膨張させることで、ベンダーやワークロールシフト等の従来アクチュエータでは不可能であった板幅方向の局所的な伸び量制御を可能とし、しかも各スタンドの複雑なクラウン制御装置操作をすることなく、仕上圧延スタンド間でのストリップの形状不良を抑制する制御を行う。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の仕上圧延スタンドを備えた仕上圧延機の少なくとも1箇所の圧延スタンド間に設置された形状計により、通板中のストリップの形状を測定し、前記形状計で計測した形状データに基づき、ストリップの幅方向の加熱する箇所と加熱量を決定し、前記仕上圧延機の上流側に設置された少なくとも2個のトランスバース型誘導加熱装置の位置および発熱量を制御してストリップを加熱し、仕上圧延途中のストリップの形状不良を抑制することとしたので、従来のベンダーやワークロールシフト等のアクチュエータでは不可能であった板幅方向の局所的な伸び量制御を可能とし、しかも複雑な各スタンドのクラウン制御装置の操作をすることなく、スタンド間でのストリップの形状不良を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る熱間仕上圧延設備の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るストリップの形状制御方法の制御フロー図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るストリップの形状制御方法に用いる光学式スタンド間形状計の構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る光学式スタンド間形状計による板形状測定パターンを示すグラフである。
【図5】急峻度の定義を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るトランスバース型誘導加熱装置を構成する各誘導加熱装置の配置例を示す斜視図である。
【図7】(a)の上の図は中波の場合における誘導加熱装置の位置を示す平面図、下の図はその場合の昇温特性を示すグラフ、(b)の上の図は、耳波の場合における誘導加熱装置の位置を示す平面図、下の図はその場合の昇温特性を示すグラフ、(c)の上の図はクォーター波の場合における誘導加熱装置の位置を示す平面図、下の図はその場合の昇温特性を示すグラフである。
【図8】スタンド間板形状のパターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
図1の概略図に示すように、本発明の実施の形態に係る熱間仕上圧延設備は、仕上圧延スタンドF1〜F7からなる仕上圧延機1と、本例では仕上圧延スタンドF5とF6間に設置された形状計2と、形状計2で計測されたストリップの形状に基づいてトランスバース型誘導加熱装置4を制御する誘導加熱制御装置3とを備えている。トランスバース型誘導加熱装置4は、本例では図6に示すように、上下を1対として2対の誘導加熱装置4−1、4−2がストリップの圧延方向に配列されている。各誘導加熱装置4−1、4−2は、独立してストリップの圧延方向とは直交する方向(幅方向)に移動可能である。
【0021】
本発明の実施の形態において形状計2として使用する光学式形状計の動作について、図3を用いて説明する。図3に示すように、形状計2は、ストリップSの表面を照明するストロボのようなパルス駆動される棒状光源10と、ストリップS表面に形成された棒状光源像を撮像するCCDカメラのような2次元カメラ11とからなり、棒状光源10と2次元カメラ11とがストリップSの両側で向かい合う位置にあり、棒状光源10の中心と2次元カメラ11とを結ぶ直線の水平なストリップS表面への主投影線がストリップSの幅方向に延びる直線に対し傾斜している形状計測装置である。
【0022】
この形状計測装置において、ストリップSを圧延方向に送りながら、棒状光源10でストロボ発光によりストリップSの表面を照明する。図示しない電源からのパルス状電圧により棒状光源10はストロボ発光し、2次元カメラ11のシャッタが開作動する。これにより、棒状光源10の発光に同期したストリップSの表面の像が2次元カメラ11で撮像される。
【0023】
棒状光源像が形成される位置は、ストリップSの歪みに応じて変化する。棒状光源像の位置と歪み量との関係は計算または実験によりあらかじめ求められており、像位置−歪み量の関係は演算テーブルとして誘導加熱制御装置3に格納されている。ストリップSを長手方向に送りながら棒状光源10によって照射されたストリップS表面の像の位置を計測し、ストリップSの長手方向に逐次積算することによりストリップSの形状が得られる。
【0024】
図4は、形状計2によって計測された、ストリップの3つの変形パターンに対応する出力の例を示すグラフである。このグラフでは、横軸にストリップの幅方向の位置(DS端からの距離)、縦軸に、急峻度をとっており、板幅方向の急峻度分布が波形状を示している。グラフ中の例では、実線で示された耳波はストリップの幅方向両端部の急峻度が中央部より高く、破線で示された中波は中央部の急峻度が端部よりも高く、また点線で示されたクォーター波では、中央部と端部との中間に急峻度が高い箇所がある。ここで、急峻度とは、図5に示すように、ストリップ長手方向の波の凹凸の高さδとピッチLの比(λ=δ/L)である。板の長さをL+ΔLとし、板波を正弦曲線として近似できる場合は急峻度λ=2/π×(ΔL/L)0.5で表される。
【0025】
このように、形状計2により、ストリップ形状の局部変形のパターンと急峻度が計測されるので、誘導加熱制御装置3を用いてトランスバース型誘導加熱装置4を制御し、仕上圧延機1の上流側でストリップの幅方向の加熱制御を行う。
【0026】
その制御フローを、図2を用いて説明する。
ステップS110において、形状計2により仕上圧延スタンドF5〜F6間を通板中のストリップの先端部および長手方向の凹凸形状を検出する。
ステップS120において、幅方向波発生位置、急峻度を誘導加熱制御装置3へ伝送する。
ステップS130において、誘導加熱制御装置3で、使用する誘導加熱装置4の位置を決定する。すなわち、a)中波を検出した場合は、幅方向板中央部へ誘導加熱装置4を移動させる。b)耳波を検出した場合は、幅方向板両端部へ誘導加熱装置4を移動させる、c)クォーター波を検出した場合は、幅方向クォーター波発生位置へ誘導加熱装置4を移動させる。
ステップS140において、誘導加熱制御装置3で、誘導加熱装置昇温量を、急峻度に対応した昇温量(加熱量)に基づいて決定する。昇温量は、予め設定された急峻度に対応した昇温出力テーブル値に基づき選択する。
ステップS150において、誘導加熱制御装置3で決定された位置へ誘導加熱装置4を移動する。
ステップS160において、誘導加熱制御装置3で決定された昇温量で誘導加熱装置4の加熱を開始する。
【0027】
誘導加熱制御装置3によって制御される各誘導加熱装置4−1,4−2の動作および作用は、次の通りである。
a)F5−F6スタンド間形状計2で中波が検出された場合は、図7(a)に示すように、ストリップSの幅方向中央部へ誘導加熱装置4−1,4−2を移動させ、ステップS140で誘導加熱装置の昇温量を急峻度に対応して決定し、誘導加熱装置4−1,4−2のいずれかあるいは両方を用いてストリップ中央部を昇温し、仕上圧延機における前段F1−F4スタンドでのクラウンを低減することで、F5スタンドでのクラウン比率変化を抑えて、中波形状を軽減する。
【0028】
b)F5−F6スタンド間形状計2で耳波が検出された場合は、図7(b)に示すように、ストリップの幅方向両端部へ誘導加熱装置4−1,4−2を移動させ、ステップS140で誘導加熱装置の昇温量を急峻度に対応して決定し、誘導加熱装置4−1,4−2でストリップSの両端部を昇温し、仕上圧延機の前段F1−F4スタンドでのクラウンを低減することで、F5スタンドでのクラウン比率変化を抑えて、耳波形状を軽減する。
【0029】
c)F5−F6スタンド間形状計2でクォーター波が検出された場合は、図7(c)に示すように、幅方向のクォーター波発生位置へ誘導加熱装置4−1,4−2を移動させ、ステップS140で誘導加熱装置の昇温量を急峻度に対応して決定し、誘導加熱装置4−1,4−2でクォーター波発生位置を昇温し、仕上圧延機の前段F1−F4スタンドからクォーター波発生位置の伸びを必要最小限の範囲で増加させて、F5スタンドでの局所板厚変化を緩和することでクォーター波を軽減する。
【0030】
なお、本実施の形態では、誘導加熱装置を2対設けた例を示したが、3対以上をストリップの圧延方向に順次配列してさらにきめ細かなストリップの加熱制御を行うこともできる。また、ストリップのエッジを加熱する装置としては、誘導加熱装置に限らず、エッジヒータを用いてもよい。
また、形状計の設置位置は、F5−F6スタンド間に限るものではなく、例えばF6−F7スタンド間やF4−F5スタンド間に設置することも考えられ、さらに複数のスタンド間への設置や、理想的には全スタンド間への設置が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、従来のベンダーやワークロールシフト等のアクチュエータでは不可能であった板幅方向の局所的な伸び量制御を可能とし、しかも複雑な各スタンドのクラウン制御装置の操作をすることなく、スタンド間でのストリップの形状不良を抑制するストリップの形状制御方法として、熱間圧延の分野において利用することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 仕上圧延機
2 形状計
3 誘導加熱制御装置
4 トランスバース型誘導加熱装置
4−1,4−2 誘導加熱装置
10 棒状光源
11 2次元カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の仕上圧延スタンドを備えた仕上圧延機の少なくとも1箇所の仕上圧延スタンド間に設置された形状計により、通板中のストリップの形状を測定し、前記形状計で計測した形状データに基づき、ストリップの幅方向の加熱する箇所と加熱量を決定し、前記仕上圧延機の上流側に設置された少なくとも2個のトランスバース型誘導加熱装置の位置および発熱量を制御してストリップを加熱し、仕上圧延途中のストリップの形状不良を抑制することを特徴とするストリップの形状制御方法。
【請求項2】
前記形状計で計測したストリップの波形状の発生位置を加熱するように前記トランスバース型誘導加熱装置の位置を制御し、前記波形状の急峻度から加熱量を決定することを特徴とする請求項1記載のストリップの形状制御方法。
【請求項3】
複数の仕上圧延スタンドを備えた仕上圧延機の上流側に設置された少なくとも2個のトランスバース型誘導加熱装置と、
前記仕上圧延機の少なくとも1箇所の仕上圧延スタンド間に設置された形状計と、
前記形状計で計測した形状データに基づき、ストリップの幅方向の加熱する箇所と加熱量を決定し、前記トランスバース型誘導加熱装置の位置および発熱量を制御する誘導加熱制御装置と、
を備えたストリップの形状制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−235325(P2011−235325A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109629(P2010−109629)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】