説明

ストリーム再生装置

【課題】出力タイミング情報が付与されていないデータ放送を音声や映像と同期させて再生することができるストリーム再生装置を提供する。
【解決手段】TS読み出し処理部21は、トランスポートストリームが蓄積されている蓄積部22から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出し、TSデコード部12に供給する。TSデコード部12は、PES、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケット、PCRを分離、抽出し、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットにPCRを付与する。セクション滞留処理部701は、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットに付与されたPCRとAV同期部91から通知されるリファレンスクロックを用いて、セクションデータの構築タイミングを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像、音声、データ放送といったマルチメディアデータが多重化されたストリームを再生するストリーム再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送はデジタル放送が主流になっている。例えば、BSデジタル放送やCSデジタル放送、地上デジタル放送では、デジタル化された映像や音声に加え、データ放送がMPEG2規格により多重化されたストリームが送出されている。映像や音声はPTSと呼ばれる時刻情報により、出力タイミングが制御され、映像と音声の同期を取ることができる。また、データ放送は、映像や音声の送信タイミングに合わせて送信している。例えば、ドラマの映像や音声に連動してあらすじや俳優の情報をデータ放送として送信する。クイズ番組に切り替わるとドラマに関連したデータ放送の送信を停止し、代わりに視聴者がクイズに参加可能なデータ放送を送信することで、映像や音声とデータ放送の同期を取ることができる。
【0003】
また、このようなデジタル放送をDVDレコーダやHDDレコーダなどの記録装置に記録した後に再生する形態も盛んに行われている。特許文献1には、MPEG2規格によるストリームの記録再生に関する技術が開示されている。より具体的には、特許文献1には、記録時に到着時刻を情報とするタイムスタンプパケットをストリームに付加し、再生時にこのタイムスタンプパケットの時刻情報を基にするストリームを読み出す技術が記載されている。このようにしてストリームからデータ放送を記録時と同じタイミングで読み出すことで、データ放送の到着タイミングを再現でき、映像や音声とデータ放送の同期を取ることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、再生時に記録時と同じタイミングで読み出す方式を実現するには、非常に高精度な時計が要求される。具体的には、時計に用いられる水晶発信器は温度によって発信周波数が変化する。記録時と再生時の温度が同じであれば同じ周波数となるが、温度が異なれば異なる周波数となる。そのため、広温度範囲で発信周波数の変化が極めて小さい高精度の水晶発信器を用いた時計が必要となり、ストリーム記録再生装置のコストが大きくなる。
【0005】
そのため、低コストを狙ったストリーム再生装置では、オーディオマスタ方式を用いる。オーディオマスタ方式を用いたストリーム再生装置の構成および動作について、図6を参照しながら説明する。
【0006】
図6において、蓄積部22は、DVDなどの光ディスクやHDD、さらに半導体メモリなどの記録媒体である。TS読み出し処理部21は、トランスポートストリームが蓄積されている蓄積部22から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出す。
【0007】
蓄積部22から読み出されたトランスポートストリームは、トランスポートストリームデコード部(以下、TSデコード部と呼ぶ)15でトランスポートストリームからDSMCCセクションパケット、PSI/SIセクションパケットおよびパケッタイズドエレメンタリストリーム(以下、PESと呼ぶ)に分離、抽出する。
【0008】
DSMCCセクションパケットは、DSMCCセクションバッファ301に供給される。DSMCCセクション処理部51は、DSMCCセクションバッファ301に供給されたDSMCCセクションデータを元のBML(Broadcast Markup Language)コンテンツファイルに変換する。
【0009】
PSI/SIセクションパケットは、PSI/SIセクションバッファ401に供給される。PSI/SIセクション処理部501は、PSI/SIセクションバッファ401に供給されたPSI/SIセクションデータから放送や番組に関する情報を抽出し、選局処理部502へ供給する。
【0010】
映像デコーダ41および音声デコーダ42の映像および音声のデコード処理速度よりも、蓄積部22からの読み出し処理速度が速い場合には、いずれ映像バッファ101や音声バッファ201が一杯になる。バッファが一杯になった場合、TS読み出し処理部21は、蓄積部22からの読み出し処理を一旦停止する。その後、デコード処理により映像バッファ101および音声バッファ201に空きができた場合に、TS読み出し処理部21は、蓄積部22からの読み出し処理を再開する。
【0011】
PESはPES処理部31に供給され、選択されたPESを、音声ストリームおよび映像ストリームに変換する。音声ストリームは、音声バッファ201に蓄積される。映像ストリームは、映像バッファ101に蓄積される。
【0012】
音声デコーダ42は、音声バッファ201に供給されたタイミングで、連続する音声ストリームをデコードし、音声出力部72により、連続した音声信号に変換されるため、スピーカ等によりこの音声信号に応じた滑らかな音声が出力することができる。音声出力部72は、音声を出力した時刻情報を音声デコーダ42に通知する。音声デコーダ42は、通知された時刻情報を、AV同期部に通知する。
【0013】
AV同期部91は、音声デコーダ42から通知される時刻情報を、リファレンスクロックする。さらに、AV同期部91は、映像デコーダ41から通知される映像ストリームのPTSとリファレンスクロックを比較し、リファレンスクロックがPTSより大きい場合、映像ストリームをデコードしてから映像信号を外部に出力するまでの処理時間分早めに映像デコーダ41に映像出力トリガを通知する。映像デコーダ41は、AV同期部91からの映像出力トリガが通知されたタイミングで、映像ストリームをデコードし、映像出力部72により、映像が出力される。
【0014】
上記のようにして、映像の出力タイミングのみを操作することで、高精度の水晶発信器がなくても、音声の時間的連続性を保ちながら、音声と映像の同期が保つことが可能である。
【0015】
データ放送エンジン52は、データ放送におけるBMLで記述されたBMLコンテンツファイルを抽出し、そのファイルに記述された記述コードに従って、データ放送の画像データや操作用データ等を生成し、その画像データ等によるデータ放送画像の表示やその操作に関する処理を行う。
【0016】
映像合成部61は、映像デコーダ41からの映像ストリーム、データ放送エンジン52からのデータ放送の画像データを合成する。映像合成部61からの合成された映像ストリームは、映像出力部71により映像信号に変換され、この映像信号が映像出力として外部に出力される。
【特許文献1】特開2001−268518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、昨今のストリーム再生装置、例えば、携帯電話のような機器では、ストリーム再生機能だけでなく、様々な機能が同時に動作している。また、ストリーム再生装置における多くの機能がソフトウェアで実装されており、マルチタスクで動作しているため、他の機能の処理が重いときには、ストリーム再生機能へのCPU(Central Processing Unit)の割り当てが不十分で、例えば蓄積部22からのトランスポートストリームの読み出し処理が間に合わず、映像デコーダ41および音声デコーダ42へのデータの供給が遅れ、アンダーフローが発生し、音声や映像が途切れてしまうことになる。そこで、音声や映像を途切れることなく再生させるために、非常に大きな映像バッファ101および音声バッファ201が必要となる。
【0018】
そのため、従来のようなオーディオマスタ方式を用いたストリーム再生の仕組みを導入し、音声、映像、データ放送を再生する場合、音声および映像については、非常に大きな容量を持つ音声バッファおよび映像バッファに蓄積されるため、その分だけ遅延が大きくなる。出力タイミング情報が付与されている音声、映像については、前記のように、同期して出力され、遅延が大きくなっても問題はない。しかし、出力タイミング情報が付与されていないデータ放送については、音声や映像と同期を取ることができないため、蓄積部から読み出し後、表示タイミングを制御することなく出力してしまう。よって、番組がまだ切り替わっていないのにデータ放送が切り替わる、つまり表示内容更新が放送視聴時に比べて大きくずれる(映像や音声に比べ、データ放送の出力タイミングが早くなる)という、課題が発生することになる。
【0019】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、音声、映像、データ放送の同期再生が可能となる、ストリーム再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の本発明(請求項1に対応)によるストリーム再生装置は、蓄積媒体から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出し、トランスポートストリームからPES、セクション、PCRを分離、抽出し、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットにPCRを付与するTSデコード部と、音声デコーダから通知されるリファレンスクロックを後述するセクション滞留処理部に通知するAV同期部と、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットに付与されたPCRとAV同期部から通知されるリファンスクロックを用いて、セクションデータの構築タイミングを制御するセクション滞留処理部を備えた構成である。
【0021】
第2の本発明(請求項2に対応)によるストリーム再生装置は、蓄積媒体から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出し、トランスポートストリームからPES、セクション、PCRを分離、抽出するTSデコード部と、音声デコーダから通知されるリファレンスクロックを後述するセクション滞留処理部に通知するAV同期部と、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットからセクションデータを構築し、TSデコード部から通知されるPCRをセクションデータに付与し、DSMCCセクションデータおよびPSI/SIセクションデータに付与されたPCRとAV同期部から通知されるリファンスクロックを用いて、DSMCCセクションデータをDSMCCセクション処理部へ、PSI/SIセクションデータをPSI/SIセクション処理部へ供給するタイミングを制御するセクション滞留処理部を備えた構成である。
【0022】
第3の本発明(請求項3に対応)によるストリーム再生装置は、蓄積媒体から、セクションパケットまたはセクションデータに付加されたPCRとAV同期部から通知されるリファンスクロックを用いて、セクションを破棄するセクション滞留処理部を備えた構成である。
【0023】
第4の本発明(請求項4に対応)によるストリーム再生装置は、PSI/SIセクションから抽出したコピー制御情報に従い、映像や音声の出力を制御する選局処理部を備えた構成である。
【発明の効果】
【0024】
本発明のストリーム再生装置によれば、高精度の水晶発信器を用いることなく、音声、映像、データ放送の同期再生が可能となる。さらに、再生時のAVOUTにおけるコピー制御のタイミングを制御することができる。これにより、ユーザ側のメリットとしては、コピーが許されたところまでのコンテンツをコピーすることが可能となる。また、放送局側のメリットとしては、コピーが禁止されたところまでのコンテンツのコピーを禁止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図1を用いて説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態1におけるストリーム再生装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
本実施の形態では、蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで番組の再生を行うストリーム再生装置の一例を挙げて説明する。
【0028】
図1において、TS読み出し処理部21は、トランスポートストリームが蓄積されている蓄積部22から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出す。
【0029】
蓄積部22から読み出されたトランスポートストリームは、TSデコード部12に供給する。TSデコード部12は、MPEG-2の規格に従って、供給されたトランスポートストリームからPESおよびセクションパケットに分離、抽出する。すなわち、TSデコード部12は、まず、トランスポートストリームの各パケットの識別情報であるパケットID(Packet IDentifier、以下、PIDと呼ぶ)を参照して必要なパケットを抽出するとともに、PIDに対応させた振り分けを行う。さらに、TSデコード部12は、振り分けたパケットからPESを構築する。抽出されたPESはPES処理部31に供給される。また、TSデコード部12は、トランスポートストリームのアダプテーションフィールドのオプションフィールドに格納されているPCR(Program Clock Reference)を抽出する。さらに、TSデコード部12は、DSMCC(Digital Storage Media Command and Control)セクションパケットとPSI/SI(Program Specific Information/Service Information)セクションパケットに分離、抽出し、抽出済みのPCRをこれらのパケットに付与する。このようにPCRが付与されたDSMCCセクションパケットは、DSMCCセクションバッファ301に、同じくPCRが付与されたPSI/SIセクションパケットは、PSI/SIセクションバッファ401にそれぞれ供給される。
【0030】
このときのPCRをDSMCCセクションパケット、PSI/SIセクションパケットに付与する方法について具体的に図2を用いて説明する。
【0031】
図2の(1)は、トランスポートストリームが蓄積されている蓄積部22から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出してTSデコード部12に供給されたストリームを示したものである。図2の(1)では、各種パケットとして、「V」で示す映像パケット、「A」で示す音声パケット、「P」で示すPSI/SIセクションパケット、「D」で示すDSMCCセクションパケット、「PCR」で示すPCRを含んだPCRパケットを含んだ例を示している。PCRパケットには、PCRを記載している。
【0032】
TSデコード部12は抽出したPCRパケットのPCRを記憶する。DSMCCセクションパケットやPSI/SIセクションパケットを抽出したとき、記憶したPCRをこれらセクションパケットに付与する。このようにPCRが付与されたDSMCCセクションパケットは、図2の(2)のような構成でDSMCCセクションバッファ301に、同じくPCRが付与されたPSI/SIセクションパケットは、図2の(3)のような構成でPSI/SIセクションバッファ401にそれぞれ供給される。
【0033】
PES処理部31は、供給されたPESを、音声ストリームおよび映像ストリームに変換し、音声バッファ201および映像バッファ101に蓄積する。
【0034】
セクション滞留処理部701は、後述するAV同期部91から通知されるリファレンスクロックと、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットに付与されたPCRを元に、セクションデータの構築タイミングを制御する。セクション滞留処理部701で構築したDSMCCセクションデータは、DSMCCセクション処理部51へ、PSI/SIセクションデータは、PSI/SIセクション処理部501へ各セクションデータを供給する。
【0035】
このときのDSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットに付与されたPCRを元に、セクションデータの構築タイミングを制御する方法について具体的に図3を用いて説明する。
【0036】
図3は、セクション滞留処理部701が、セクションデータを構築するまでの処理手順を示したフローチャートである。セクション滞留処理部701は、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットに付与されたPCRの抽出を行う(ステップS10)。AV同期部91から、セクション滞留処理部701にリファレンスクロックが通知される(ステップS11)。セクション滞留処理部701は、PCRとリファレンスクロックの比較を行い、セクションを構築するか滞留させるかどうかの判定を行う(ステップS12)。リファレンスクロックがPCRより大きい場合には、セクションを構築すると判断し、次のステップに進む。そうでない場合には、セクションを滞留させる。次に、セクションを構築するか破棄するかどうかの判定を行う(ステップS13)。リファレンスクロックが(PCR+10秒)より小さい場合には、セクションの構築を行う(ステップS14)。そうでない場合には、セクションの破棄を行う(ステップS15)。
【0037】
DSMCCセクション処理部51は、DSMCCセクションデータを元のBML(Broadcast Markup Language)コンテンツファイルに変換する。
【0038】
PSI/SIセクション処理部501は、PSI/SIセクションバッファ401に供給されたPSI/SIセクションデータから放送や番組に関する情報を抽出し、選局処理部502へ供給する。
【0039】
映像デコーダ41および音声デコーダ42の映像および音声のデコード処理速度よりも、蓄積部22からの読み出し処理速度が速い場合には、いずれ映像バッファ101や音声バッファ201が一杯になる。バッファが一杯になった場合、TS読み出し処理部21は、蓄積部22からの読み出し処理を一旦停止する。その後、デコード処理により映像バッファ101および音声バッファ201に空きができた場合に、TS読み出し処理部21は、蓄積部22からの読み出し処理を再開する。
【0040】
音声デコーダ42は、音声バッファ201に供給されたタイミングで、連続する音声ストリームをデコードし、音声出力部72により、連続した音声信号に変換されるため、スピーカ等によりこの音声信号に応じた滑らかな音声が出力することができる。音声出力部72は、音声を出力した時刻情報をリファレンスクロックとして音声デコーダ42に通知し、音声デコーダ42は、リファレンスクロックをAV同期部91に通知する。
【0041】
AV同期部91は、音声デコーダ42から通知されるリファレンスクロックと映像デコーダ41から通知される映像ストリームのPTSを比較し、映像ストリームをデコードしてから映像信号を外部に出力するまでの処理時間分早めに映像デコーダ41に映像出力トリガを通知する。映像デコーダ41は、AV同期部91からの映像出力トリガが通知されたタイミングで、映像ストリームをデコードし、映像出力部71により、映像が出力される。また、AV同期部91は、リファレンスクロックをセクション滞留処理部701に通知する。
【0042】
データ放送エンジン52は、DSMCCセクション処理部51から供給されたデータ放送用データの復元処理を行う。すなわち、データ放送エンジン52は、データ放送におけるBMLで記述されたBMLコンテンツファイルを抽出し、そのファイルに記述された記述コードに従って、データ放送の画像データや操作用データ等を生成し、その画像データ等によるデータ放送画像の表示やその操作に関する処理を行う。
【0043】
映像合成部61は、映像デコーダ41からの映像に、データ放送エンジン52からのデータ放送の画像データを合成する。映像合成部61からの合成された映像は、映像出力部71により映像信号に変換され、この映像信号が映像出力として外部に出力される。さらに、この映像信号に応じた映像が、例えば、外部のディスプレイ等の画面に表示される。なお、本実施の形態では、ディスプレイやスピーカは外部接続されるようなストリーム再生装置を例に挙げて説明するが、例えば、ディスプレイやスピーカを内蔵したような装置形態であってもよい。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態1において、蓄積媒体から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出し、PCRとリファンスクロックを用いて、DSMCCセクションデータおよびPSI/SIセクションデータの構築タイミングを制御することで、音声、映像、データ放送の同期再生が可能となる。
【0045】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2におけるストリーム再生装置の構成を示すブロック図である。
【0046】
本実施の形態2でも、実施の形態1と同様に、トランスポートストリームが蓄積されている蓄積部22から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出すことで番組の再生を行うストリーム再生装置の一例を挙げて説明する。以下、図4を参照しながら、本実施の形態2の構成、およびその動作について説明する。
【0047】
図4において、TS読み出し処理部21は、トランスポートストリームが蓄積されている蓄積部22から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出す。
【0048】
蓄積部22から読み出されたトランスポートストリームは、TSデコード部13に供給する。
【0049】
TSデコード部13は、MPEG-2の規格に従って、供給されたトランスポートストリームからPES、およびセクションパケットに分離、抽出する。すなわち、TSデコード部13は、まず、トランスポートストリーム各パケットの識別情報であるPIDを参照して必要なパケットを抽出するとともに、PIDに対応させた振り分けを行う。さらに、TSデコード部13は、振り分けた各パケットに含まれるデータからPESを構築する。抽出されたPESはPES処理部31に供給される。また、TSデコード部13は、トランスポートストリームのアダプテーションフィールドのオプションフィールドに格納されているPCRを抽出する。さらに、TSデコード部13は、DSMCCセクションパケットとPSI/SIセクションパケットに分離、抽出する。このように抽出されたPCR、DSMCCセクションパケット、PSI/SIセクションパケット、それぞれがセクション滞留処理部702に供給される。
【0050】
PES処理部31は、供給されたPESを、音声ストリームおよび映像ストリームに変換し、音声バッファ201および映像バッファ101に蓄積する。
【0051】
セクション滞留処理部702は、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットからセクションデータを構築し、後述するAV同期部91から通知されるリファレンスクロックとPCRの比較を行い、セクションを構築するか滞留させるかどうかの判定を行う。リファレンスクロックが(PCR+10秒)より大きい場合には、セクションの破棄を行う。リファレンスクロックがPCRより小さい場合には、リファレンスクロックがPCRより大きくまるまで待つ。リファレンスクロックがPCRよりも大きくなったとき、DSMCCセクションデータをDSMCCセクション処理部51へ、PSI/SIセクションデータをPSI/SIセクション処理部501へ各セクションデータを供給する。
【0052】
DSMCCセクション処理部51は、DSMCCセクションデータを元のBMLコンテンツファイルに変換する。
【0053】
PSI/SIセクション処理部501は、PSI/SIセクションバッファ401に供給されたPSI/SIセクションデータから放送や番組に関する情報を抽出し、選局処理部502へ供給する。
【0054】
音声デコーダ42は、音声バッファ201に供給されたタイミングで、連続する音声ストリームをデコードし、音声出力部72により、連続した音声信号に変換されるため、スピーカ等によりこの音声信号に応じた滑らかな音声が出力することができる。音声出力部72は、リファレンスクロックを音声デコーダ42に通知し、音声デコーダ42は、リファレンスクロックをAV同期部91に通知する。
【0055】
AV同期部91は、音声デコーダ42から通知されるリファレンスクロックと映像デコーダ41から通知される映像ストリームのPTSを比較し、映像ストリームをデコードしてから映像信号を外部に出力するまでの処理時間分早めに映像デコーダ41に映像出力トリガを通知する。映像デコーダ41は、AV同期部91からの映像出力トリガが通知されたタイミングで、映像ストリームをデコードし、映像出力部72により、映像が出力される。また、AV同期部91は、リファレンスクロックをセクション滞留処理部702に通知する。
【0056】
データ放送エンジン52は、DSMCCセクション処理部51から供給されたデータ放送用データの復元処理を行う。すなわち、データ放送エンジン52は、データ放送におけるBMLで記述されたBMLコンテンツファイルを抽出し、そのファイルに記述された記述コードに従って、データ放送の画像データや操作用データ等を生成し、その画像データ等によるデータ放送画像の表示やその操作に関する処理を行う。
【0057】
映像合成部61は、映像デコーダ41からの映像に、データ放送エンジン52からのデータ放送の画像データを合成する。映像合成部61からの合成された映像は、映像出力部71により映像信号に変換され、この映像信号が映像出力として外部に出力される。さらに、この映像信号に応じた映像が、例えば、外部のディスプレイ等の画面に表示される。なお、本実施の形態では、ディスプレイやスピーカは外部接続されるようなストリーム再生装置を例に挙げて説明するが、例えば、ディスプレイやスピーカを内蔵したような装置形態であってもよい。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態2において、蓄積媒体から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出し、PCRとリファンスクロックを用いてDSMCCセクションデータおよびPSI/SIセクションデータの供給タイミングを制御することで、音声、映像、データ放送の同期再生が可能となる。
【0059】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3におけるストリーム再生装置の構成を示すブロック図である。
【0060】
本実施の形態3でも、実施の形態1と同様に、トランスポートストリームが蓄積されている蓄積部22から、指示された番組のトランスポートストリームを読み出すことで番組の再生を行うストリーム再生装置の一例を挙げて説明する。以下、図5を参照しながら、本実施の形態3の構成、およびその動作について説明する。また、実施の形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付しているため、説明を省略する。
【0061】
図5において、PSI/SIセクション処理部503は、PSI/SIセクションバッファ401に供給されたPSI/SIセクションデータからコピー制御情報を抽出し、
選局処理部504へ供給する。
【0062】
コピー制御情報を供給された選局処理部504は、コピー制御情報からコピー禁止と判断された場合、AVOUT部73に、コピー禁止を通知し、映像および音声の出力を停止させる。コピー制御情報からコピー可能と判断された場合、AVOUT部73に、コピー可能を通知し、映像および音声の出力を再開させる。
【0063】
なお、(実施の形態1)、(実施の形態2)、(実施の形態3)のいずれの形態においても、トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出する代わりに、例えば、MPEG2規格以外の多重化されたストリームから時刻情報、データ放送用パケットおよび選局情報用パケットを抽出することでも、同様の効果が得られる。
【0064】
なお、(実施の形態1)、(実施の形態2)、(実施の形態3)のいずれの形態においても、PCRの代わりに、TSデコード部12でPTS(Presentation Time Stamp)、DTS(Decoding Time Stamp)、SCR(System Clock Reference)のいずれかの時刻情報を抽出し、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットの各パケットに付与しても、同様の効果が得られることは明白である。
【0065】
なお、(実施の形態1)、(実施の形態2)、(実施の形態3)のいずれの形態においても、セクションを破棄するかどうかの判定に使用している10秒は閾値の一例であり、求める同期精度に応じて変更してもよい。
【0066】
なお、(実施の形態1)、(実施の形態2)、(実施の形態3)のいずれの形態においても、TSデコード部12や13、AV同期部91、セクション滞留処理部701や702等の各機能ブロックは典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されても良いし、一部又は全てを含むように1チップ化されても良い。
【0067】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、例えば、デジタル放送における番組を再生するストリーム再生装置、およびデジタル放送における番組を受信するとともに記録および再生機能も備えた受信装置などに利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態1におけるストリーム再生装置の構成図
【図2】再生ストリームの構成例を示す図
【図3】セクション構築処理のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2におけるストリーム再生装置の構成図
【図5】本発明の実施の形態3におけるストリーム再生装置の構成図
【図6】従来のストリーム再生装置の構成図
【符号の説明】
【0070】
12,13,15 TSデコード部
21 TS読み出し処理部
22 蓄積部
23 ストリーム多重化部
31 PES処理部
41 映像デコーダ
42 音声デコーダ
51 DSMCCセクション処理部
52 データ放送エンジン
61 映像合成部
71 映像出力部
72 音声出力部
73 AVOUT部
101 映像バッファ
201 音声バッファ
301 DSMCCセクションバッファ
401 PSI/SIセクションバッファ
501,503 PSI/SIセクション処理部
502,504 選局処理部
701,702 セクション滞留処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで録画した番組の再生を行うストリーム再生装置であって、
前記トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出し、前記DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケット毎に抽出した時刻情報を付与するトランスポートストリームデコード部と、
前記トランスポートストリームデコード部で抽出されたDSMCCセクションパケットを蓄積するDSMCCセクションバッファと、
前記トランスポートストリームデコード部で抽出されたPSI/SIセクションパケットを蓄積するPSI/SIセクションバッファと、
リファレンスクロックをセクション滞留処理部に通知するAV同期部と、
前記AV同期部から通知されるリファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報の差分が閾値未満の場合、前記DSMCCセクションバッファおよびPSI/SIセクションバッファに蓄積されたセクションパケットからセクションデータを構築するセクション滞留処理部を備えたことを特徴とするストリーム再生装置。
【請求項2】
蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで録画した番組の再生を行うストリーム再生装置であって、
前記トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出し、時刻情報をセクション滞留処理部に通知するトランスポートストリームデコード部と、
前記トランスポートストリームデコード部で抽出されたDSMCCセクションパケットを蓄積するDSMCCセクションバッファと、
前記トランスポートストリームデコード部で抽出されたPSI/SIセクションパケットを蓄積するPSI/SIセクションバッファと、
リファレンスクロックをセクション滞留処理部に通知するAV同期部と、
前記DSMCCセクションバッファおよびPSI/SIセクションバッファに蓄積されたセクションパケットからセクションデータを構築し、前記トランスポートストリーム部から通知される時刻情報をセクションデータに付与し、前記AV同期部から通知されるリファレンスクロックと前記セクションデータに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションデータに付与された時刻情報の差分が閾値未満の場合、DSMCCセクションデータをDSMCCセクション処理部へ、PSI/SIセクションデータをPSI/SIセクション処理部へ供給する、セクション滞留処理部を備えたことを特徴とするストリーム再生装置。
【請求項3】
前記AV同期部から通知されるリファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報の差分が閾値以上の場合、前記DSMCCセクションパケットまたPSI/SIセクションパケットを破棄するセクション滞留処理部を備えたことを特徴とする、請求項1または請求項2のストリーム再生装置。
【請求項4】
PSI/SIセクションからコピー制御情報を抽出し、選局処理部に通知するPSI/SIセクション処理部と、
通知されたコピー制御情報に従い、映像や音声の出力を制御する選局処理部を備えたことを特徴とする、請求項1または請求項2または請求項3のストリーム再生装置。
【請求項5】
蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで録画した番組の再生を行うストリーム再生方法であって、
前記トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出し、前記DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケット毎に抽出した時刻情報を付与するステップと、
抽出されたDSMCCセクションパケットを蓄積するステップと、
抽出されたPSI/SIセクションパケットを蓄積するステップと、
リファレンスクロックを通知するステップと、
前記リファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報の差分が閾値未満の場合、蓄積されたセクションパケットからセクションデータを構築するステップとを備えたことを特徴とするストリーム再生方法。
【請求項6】
蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで録画した番組の再生を行うストリーム再生方法であって、
前記トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出し、時刻情報を通知するステップと、
抽出されたDSMCCセクションパケットを蓄積するステップと、
抽出されたPSI/SIセクションパケットを蓄積するステップと、
リファレンスクロックを通知するステップと、
蓄積されたセクションパケットからセクションデータを構築し、前記時刻情報をセクションデータに付与し、前記リファレンスクロックと前記セクションデータに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションデータに付与された時刻情報の差分が閾値未満の場合、DSMCCセクションデータ、PSI/SIセクションデータを供給するステップとを備えたことを特徴とするストリーム再生方法。
【請求項7】
蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで録画した番組の再生処理をコンピュータ・システム上で実行するコンピュータ・プログラムを提供するプログラム提供媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、
前記トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出し、前記DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケット毎に抽出した時刻情報を付与するステップと、
抽出されたDSMCCセクションパケットを蓄積するステップと、
抽出されたPSI/SIセクションパケットを蓄積するステップと、
リファレンスクロックを通知するステップと、
前記リファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報の差分が閾値未満の場合、蓄積されたセクションパケットからセクションデータを構築するステップとを備えたことを特徴とするプログラム提供媒体。
【請求項8】
蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで録画した番組の再生処理をコンピュータ・システム上で実行するコンピュータ・プログラムを提供するプログラム提供媒体であって、前記コンピュータ・プログラムは、
前記トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出し、時刻情報を通知するステップと、
抽出されたDSMCCセクションパケットを蓄積するステップと、
抽出されたPSI/SIセクションパケットを蓄積するステップと、
リファレンスクロックを通知するステップと、
蓄積されたセクションパケットからセクションデータを構築し、前記時刻情報をセクションデータに付与し、前記リファレンスクロックと前記セクションデータに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションデータに付与された時刻情報の差分が閾値未満の場合、DSMCCセクションデータ、PSI/SIセクションデータを供給するステップとを備えたことを特徴とするプログラム提供媒体。
【請求項9】
蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで録画した番組を再生する制御を再生装置内で実行する集積回路であって、
前記トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出し、前記DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケット毎に抽出した時刻情報を付与するトランスポートストリームデコード部と、
前記トランスポートストリームデコード部で抽出されたDSMCCセクションパケットを蓄積するDSMCCセクションバッファと、
前記トランスポートストリームデコード部で抽出されたPSI/SIセクションパケットを蓄積するPSI/SIセクションバッファと、
リファレンスクロックをセクション滞留処理部に通知するAV同期部と、
前記AV同期部から通知されるリファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションパケットに付与された時刻情報の差分が閾値未満の場合、前記DSMCCセクションバッファおよびPSI/SIセクションバッファに蓄積されたセクションパケットからセクションデータを構築するセクション滞留処理部を備えたことを特徴とする集積回路。
【請求項10】
蓄積媒体に記録されたトランスポートストリームを読み出すことで録画した番組を再生する制御を再生装置内で実行する集積回路であって、
前記トランスポートストリームから時刻情報、DSMCCセクションパケットおよびPSI/SIセクションパケットを抽出し、時刻情報をセクション滞留処理部に通知するトランスポートストリームデコード部と、
前記トランスポートストリームデコード部で抽出されたDSMCCセクションパケットを蓄積するDSMCCセクションバッファと、
前記トランスポートストリームデコード部で抽出されたPSI/SIセクションパケットを蓄積するPSI/SIセクションバッファと、
リファレンスクロックをセクション滞留処理部に通知するAV同期部と、
前記DSMCCセクションバッファおよびPSI/SIセクションバッファに蓄積されたセクションパケットからセクションデータを構築し、前記トランスポートストリーム部から通知される時刻情報をセクションデータに付与し、前記AV同期部から通知されるリファレンスクロックと前記セクションデータに付与された時刻情報を比較し、リファレンスクロックのほうが大きく、かつリファレンスクロックと前記セクションデータに付与された時刻情報の差分が閾値未満の場合、DSMCCセクションデータをDSMCCセクション処理部へ、PSI/SIセクションデータをPSI/SIセクション処理部へ供給する、セクション滞留処理部を備えたことを特徴とする集積回路。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【公開番号】特開2009−111955(P2009−111955A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284999(P2007−284999)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】