説明

ストレプトシアニン化合物及び該化合物を含むハロゲン化銀乳剤

【課題】写真用増感色素等に用いられる新規なメチン化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物。
一般式(I)
【化1】



式中、R1 、R2 、R3 、R4 のうち少なくとも一つは硫黄原子を含む置換基であり、その他の基は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または複素環基である。R1 とR2 、R3 とR4 はそれぞれ同士で環を形成しても良い。L1 、L2 、L3 は各々メチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子及びメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよいメチン基を表す。但し、L1 、L2 、L3の全てが無置換メチン基になることはない。nが2以上の場合L1 、L2 は同じものを繰り返さなくとも良い。nは1から4の整数を表す。Xlは電荷均衡対イオンを表し、k1 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は写真用増感色素、染料、機能性材料用色素、顔料あるいは医薬品に用いられる新規なメチン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ストレプトシアニン色素は写真用増感色素、染料、機能性材料用色素、顔料あるいは医薬品として重要である。しかしまだその種類は少なく新規なストレプトシアニン色素が望まれていた。またこれまでのストレプトシアニン色素は写真用増感色素として用いる場合の写真感度が低く、この点を改良した化合物が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、写真用増感色素、染料、機能性材料用色素、顔料あるいは医薬品等に用いられる新規なメチン化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は下記一般式(I)で示される化合物(メチン化合物)によって解決された。
【0005】
【化1】


【0006】
式中、R1 、R2 、R3 、R4 のうち少なくとも一つは硫黄原子を含む置換基であり、その他の基は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基である。R1 とR2 、R3 とR4 はそれぞれ同士で環を形成しても良い。L1 、L2 、L3 は各々メチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子及びメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよいメチン基を表す。但し、L1 、L2 、L3の全てが無置換メチン基になることはない。nが2以上の場合L1 、L2 は同じものを繰り返さなくとも良い。nは1から4の整数を表す。X1 は電荷均衡対イオンを表し、k1は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。
【0007】
好ましくは下記一般式(II)で表される化合物(ストレプトシアニン色素)である。
【0008】
【化2】


【0009】
式中、P1 は2価以上の連結基である。P2 、P3 は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基であり、P2 とP3 は連結して環を形成しても良い。R5 、R6 は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基である。mは1から4の整数を表す。L4 、L5 、L6 は各々メチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子及びメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよいメチン基を表す。但し、L1 、L2 、L3の全てが無置換メチン基になることはない。mが2以上の場合L4 、L5 は同じものを繰り返さなくとも良い。X2 は電荷均衡対イオンを表し、k2は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。
【0010】
さらに特に好ましくは下記一般式(III)で表される化合物(ストレプトシアニン色素)である。
【0011】
【化3】


【0012】
式中、P4 、P5 は2価以上の連結基である。R7 、R8 は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基である。lは1から4の整数を表す。L7 、L8 、L9 は各々メチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子及びメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよいメチン基を表す。但し、L1 、L2 、L3の全てが無置換メチン基になることはない。lが2以上の場合L7 、L8 は同じものを繰り返さなくとも良い。X3 は電荷均衡対イオンを表し、k3 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。
【0013】
さらに上記課題は一般式(I)、(II)、(III)で示されるメチン化合物を含むハロゲン化銀乳剤によって解決された。
【発明の効果】
【0014】
本発明の化合物は従来の化合物よりも、増感色素として用いた場合の感度が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、一般式(I)、(II)及び(III)で表されるストレプトシアニン色素について詳細に述べる。R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 、R8 としては各々水素原子、アルキル基例えば炭素数1〜20のアルキル基{例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−ノニル、i−プロピル、i−ブチル、i−ペンチル、t−ブチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては例えばアルキルチオ基(たとえばメチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(たとえばフェニルチオ基)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、ニトロ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリール基(例えば、フェニル)、アリーロキシ基(例えば、フェノキシ)、アミド基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基などが挙げられる。以下、これらを置換基群Xという。}及びアリール基例えば炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル、チエニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、アルコキシ基例えば炭素数1〜20のアルコキシ基(たとえば、メトキシ、エトキシなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、アリールオキシ基例えば炭素数6〜20のアリールオキシ基(たとえば、フェノキシなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、複素環基例えば炭素数6〜20の複素環基(たとえば、2−チエニル基、2−ピリジル基、2−フラニル基、バルビツール酸基、ベンズチアゾール核、ベンズオキサゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾテルラゾール核、キノリン核、ベンズイミダゾール核、インドリン核、オキサジアゾール核、チアゾール核、イミダゾール核などが挙げられる。)である。またR1 とR2 及びR3 とR4 はそれぞれ環を形成してもよい。環は4員環、5員環、6員環、7員環などであり、環の中にヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、アリール基(例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレン)、複素環(例えば、2,3−ピリジレン)などが存在していてもよい。
1 、R2 、R3 及びR4 のうち硫黄原子を含まないものとしてとして好ましくは、無置換のアルキル基、環状のアルキル基及びアリール基であり、特に好ましくは環状のアルキル基である。またR1 、R2 、R3 、R4 のうちの少なくとも一つである、硫黄原子を含む置換基とは、チオエーテル基、スルホキシド基、スルホン基、チオアルデヒド基、チオケトン基、ハロチオ基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基などを部分構造に含む基であり、炭素数1から20のチオアルキル基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基)、炭素数2から20のチオエーテル基(例えばジメチルチオエーテル基、メチルエチルチオエーテル基)、炭素数2から20のスルフィド基(例えばジメチルスルフィド基、メチルエチルスルフィド基)、炭素数1から20のスルホラン基(例えばジメチルスルホラン基、メチルエチルスルホラン基)、炭素数0から20のスルホン酸基(例えばスルホン酸基、メチルスルホン酸基、エチルスルホン酸基)などが挙げられ、R1 とR2 、R3 とR4 はそれぞれ同士で環構造を形成しても良い。好ましくは炭素数1から20のチオアルキル基または、R1 とR2 もしくはR3 とR4 で炭素数2から20のチオエーテル環を形成するもので、より好ましくはR1 とR2 もしくはR3 とR4 で炭素数2から20のチオエーテル環を形成するものであり、最も好ましくはR1 とR2もしくはR3 とR4 で炭素数3から5のチオエーテル環を形成するものである。
【0016】
1 、L2 、L3 、L4 、L5 、L6 、L7 、L8 及びL9 は各々炭素数1〜20のメチン基(置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。好ましい置換基はメチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子、メトキシ基である。)を表す。
【0017】
1 、P4 、P5 は各々2価以上の連結基を表す。このような連結基としては、例えば、炭素数2〜20のアルキレン基{例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、1−メチルエチレン、2−メチルプロピレンなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。アルキレン基の間にヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、アリール基(例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレン)、複素環(例えば、2,3−ピリジレン)などが存在していてもよい。}、炭素数2〜20のアルケニレン基{例えば、1、2−エテニレン、1−メチル−1,2−エテニレン、1,2−ジメチル−1,2−エテニレン、1,3−(1−プロペニレン)、1,4−(2−ブテニレン)などであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。}、炭素数2〜20のアルキニレン基(例えば、エチニレン、プロピニレンなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)などが挙げられる。(ここで挙げたような連結基群を以下で連結基群Yと呼ぶ。)P1 、P4 、P5 として好ましくは、炭素数2から20のアルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。
【0018】
2 、P3 は水素原子またはアルキル基例えば、炭素数1〜20のアルキル基{例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−ノニル、i−プロピル、i−ブチル、i−ペンチル、t−ブチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。}、アリール基例えば、炭素数3〜20のアリール基(例えば、フェニル、チエニル、1−ナフチル、2−ナフチルなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、アルコキシ基例えば、炭素数1〜20のアルコキシ基(たとえば、メトキシ、エトキシなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、アリールオキシ基例えば、炭素数6〜20のアリールオキシ基(たとえば、フェノキシなどであり、置換されていてもよい。置換基としては上記の置換基群Xが挙げられる。)、複素環基例えば、炭素数3〜20の複素環基(たとえば、2−チエニル基、2−ピリジル基、2−フラニル基、バルビツール酸基、ベンズチアゾール核、ベンズオキサゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンゾテルラゾール核、キノリン核、ベンズイミダゾール核、インドリン核、オキサジアゾール核、チアゾール核、イミダゾール核などが挙げられる。)である。またP2 とP3 は環を形成してもよい。環は4員環、5員環、6員環、7員環などであり、環の中にヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子)、アリール基(例えば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,2−ナフチレン)、複素環(例えば、2,3−ピリジレン)などが存在していてもよい。またP2 とP3 は互いに連結して環構造を形成しても良く、そのときのP2 、P3 の例として上述の連結基群Yが挙げられる。P2 、P3 として好ましくは、無置換のアルキル基、アリール基およびアルキレン基であり、特に好ましくはアルキレン基である。
【0019】
n、m及びlは1、2、3または4であり、好ましくは1、2、3である。
【0020】
1 、X2 、X3 は電荷中和イオンを表す。ある化合物が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その置換基に依存する。典型的な陽イオンはアンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンであり、一方陰イオンは無機イオンあるいは有機イオンのいずれであってもよい。陽イオンとしては、たとえば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、1−エチルピリジニウムイオンであり、陰イオンとしては、たとえば、ハロゲン陰イオン(例えば、塩素イオン、臭素イオン、フッ素イオン、ヨウ素イオン)、置換アリールスルホン酸イオン(例えば、パラトルエンスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えば、メチル硫酸イオン)、硫酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、酢酸イオンなどが挙げられる。k1 、k2 、k3 は電荷を均衡させるのに必要な数を表わし、分子内で塩を形成する場合に0である。
【0021】
以下に本発明の一般式(I)、(II)、(III)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0022】
【化4】


【0023】
本発明の化合物は、たとえば以下の文献記載の方法に準じて合成することができる。
S. S. Malhotra and M. C. Whiting, J. Chem. Soc., 1960年、第3812頁.一般的には例えば以下のような合成経路で合成される。
【0024】
【化11】


【0025】
本発明に用いるメチン化合物(又、その他の増感色素についても同様)を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用である事が認められている乳剤調製の如何なる工程中であってもよい。例えば、米国特許2,735,766号、同3,628,960号、同4,183,756号、同4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/及び脱塩前の時期、脱塩工程中及び/または脱塩後から化学熟成の開始前迄の時期、特開昭58−113920号等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後塗布迄の時期の乳剤が塗布される前なら如何なる時期、工程に於いて添加されても良い。また、米国特許4,225,666号、特開昭58−7629号等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば、粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加しても良く、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類をも変えて添加されても良い。
【0026】
本発明に用いる色素の添加量としては、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲン化銀1モル当たり、4×10-6〜8×10-3モルで用いることができる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀1モル当たり、2×10-6〜3.5×10-3モルの添加量が好ましく、7.5×10-6〜1.5×10-3モルの添加量がより好ましい。
【0027】
本発明に用いる色素は、直接乳剤中へ分散することができる。また、これらはまず適当な溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、メチルセロソルブ、アセトン、水、ピリジンあるいはこれらの混合溶媒などの中に溶解され、溶液の形で乳剤中へ添加することもできる。この際、塩基や酸、界面活性剤などの添加物を共存させることもできる。また、溶解に超音波を使用することもできる。また、この色素の添加方法としては米国特許第3,469,987号などに記載のごとき、該化合物を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号などに記載のごとき、水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号に記載のごとき、界面活性剤にメチン化合物を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のごとき、レッドシフトさせる化合物を用いて溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭50−80826号に記載のごとき、メチン化合物を実質的に水を含まない酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが用いられる。その他、乳剤中への添加には米国特許第2,912,343号、同3,342,605号、同2,996,287号、同3,429,835号などに記載の方法も用いられる。
【0028】
また、本発明の色素は、鮮鋭度、色分解能向上などの目的のための種々のフィルター染料、イラジェーション防止染料またはアンチハレーション用染料等として用いることができる。この色素は慣用の方法でハロゲン化銀写真感光材料層、フィルター層および/またはハレーション防止層などの塗布液に含有させることができる。染料の使用量は写真層を着色させるに充分な量でよく、当業者は容易にこの量を使用目的に応じて適宜選定できる。一般には、光学濃度が0.05ないし3.0の範囲になるように使用するのが好ましい。添加時期は塗布される前のいかなる工程でもよい。また、染料イオンと反対の荷電をもつポリマーを媒染剤として層に共存させ、これを染料分子との相互作用によって、染料を特性層中に局在化させることもできる。ポリマー媒染剤としては例えば米国特許2,548,564号、同4,124,386号、同3,625,694号、同3,958,995号、同4,168,976号、同3,445,231号に記載されているものなどを挙げることができる。
【0029】
本発明における分光増感において有用な強色増感剤は、例えば米国特許3,511,664号、同3,615,613号、同3,615,632号、同3,615,641号、同4,596,767号、同4,945,038号、同4,965,182号、同4,965,182号等に記載のピリミジルアミノ化合物、トリアジニルアミノ化合物、アゾリウム化合物などであり、その使用法に関しても上記の特許に記載されている方法が好ましい。
【0030】
本発明のハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀感光材料に使用しうるハロゲン化銀は、臭化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀、塩臭化銀および塩化銀のいずれであってもよい。好ましいハロゲン化銀は臭化銀、塩臭化銀、沃塩臭化銀、または特開平2−42号に記載されている高塩化銀である。また、以下に感光材料の構成、処理などについて述べるが、特開平2−42号に記載の構成、処理は特に高塩化銀において好ましく用いられる。また、特開昭63−264743号に記載の構成、処理は特に塩臭化銀において好ましく用いられる。写真感光材料中のハロゲン化銀粒子は、立方体、14面体、菱12面体のような規則的(regular)な結晶体を有するものでもよく、また球状、平板状などのような変則的(irregular)な結晶形をもつもの、あるいはこれらの結晶形の複合形をもつものでもよい。種々の結晶形の粒子の混合から成ってもよい。
【0031】
ハロゲン化銀粒子は内部と表層とが異なる相をもっていても、均一な相から成っていてもよい。また潜像が主として表面に形成されるような粒子(例えばネガ型感光材料)でもよく、粒子内部に主として形成されるような粒子(例えば、内部潜像型感光材料)、または予めかぶらせた粒子(例えば直接ポジ型感光材料)であってもよい。前記の種々のハロゲン組成、晶癖、粒子内構造、形状および分布を有するハロゲン化銀粒子は、各種用途の感光性写真材料(要素)に於て使用される。
【0032】
本発明の色素は、増感剤、増感色素、フィルター、アンチハレーションあるいはイラジェーション防止等の目的で下記の如き用途の感光材料に用いられる。これらの色素は感光性乳剤層以外に、中間層、保護層、バック層など所望の層に添加できる。本発明の色素は、種々のカラー及び白黒用のハロゲン化銀写真感光材料に用いられる。さらに詳しくは、カラーポジ用感光材料、カラーペーパー用感光材料、カラーネガ用感光材料、カラー反転用感光材料(カプラーを含む場合もあり、含まぬ場合もある)、直接ポジ用ハロゲン化銀写真感光材料、製版用写真感光材料(例えばリスフィルム、リスデュープフィルムなど)、陰極線管ディスプレイ用感光材料、X線記録用感光材料(特にスクリーンを用いる直接及び間接撮影用材料)、銀塩拡散転写プロセス(Silver Salt diffusion transfer process) に用いられる感光材料、カラー拡散転写プロセスに用いる感光材料、ダイ・トランスファー・プロセス(imhibition process) に用いる感光材料、銀色素漂白法に用いる感光材料、熱現像用感光材料等に用いられる。
【0033】
本発明に用いられるハロゲン化銀写真乳剤は、ピー・グラフキデス(P.Glafkides)著「シミー・エ・フィジーク・フォトグラフィーク(Chimie et Physique Photograhique )(ポールモンテル (Paul Montel)社刊、1967年)、ジー・エフ・デフェイン(G.F.Duffin)著「フォトグラフィク・エマルジョン・ケミストリー(Photographic Emulsion Chemistry)」(ザ・フォーカルプレス(The FocalPress) 刊、1966年)、ヴィ・エル・ツエリクマンら(V.L.Zelikman et al.)著「メーキング・アンド・コーティング・フォトグラフィク・エマルジョン(Making and Coating Photographic Emulsion)」(ザ・フォーカルプレス(The Focal Press) 刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0034】
またハロゲン化銀粒子の形成時には粒子の成長をコントロールするためにハロゲン化銀溶剤として例えばアンモニア、ロダンカリ、ロダンアンモン、チオエーテル化合物(例えば米国特許第3,271,157号、同3,574,628号、同3,704,130号、同4,297,439号、同4,276,374号など)、チオン化合物(例えば特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号など)、アミン化合物(例えば特開昭54−100717号など)などを用いることができる。ハロゲン化銀粒子形成または物理熟成の過程において、カドミウム塩、亜鉛塩、タリウム塩、イリジウム塩またはその錯塩、ロジウム塩またはその錯塩、鉄塩または鉄錯塩などを共存させてもよい。本発明に用いられる内部潜像型ハロゲン化銀乳剤としては例えば米国特許2,592,250号、同3,206,313号、同3,447,927号、同3,761,276号、及び同3,935,014号等に記載があるコンバージョン型ハロゲン化銀乳剤、コア/シェル型ハロゲン化銀乳剤、異種金属を内蔵させたハロゲン化銀乳剤を挙げることができる。
【0035】
ハロゲン化銀乳剤は、通常は化学増感される。化学増感のためには、例えば、エイチ・フリーザー(H.Frieser)編「ディ・グランドラーゲン・デア・フォトグラフィッシェン・プロヅェッセ・ミット・ジルベルハロゲニーデン(Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silberhalogeniden) 」、アカデミッシェ フェアラーグス社(Akademische Verlagsgesellschaft)社、(1968年)675〜734頁に記載の方法を用いることができる。すなわち、活性ゼラチンや銀と反応し得る硫黄を含む化合物(例えば、チオ硫酸塩、チオ尿素類、メルカプト化合物類、ローダニン類)を用いる硫黄増塩感法;セレン増感法;還元性物質(例えば、第一すず塩、アミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物)を用いる還元増感法;貴金属化合物(例えば、金錯塩のほか、Pt、Ir、Pdなどの周期律表VIII族の金属の錯塩)を用いる貴金属増感法等を単独または組合せて用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる写真感光材料には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のカブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させる目的で、種々の化合物を含有させることができる。すなわちチアゾール類たとえば米国特許第3,954,478号、同4,942,721号、特開昭59−191032号などに記載されているベンゾチアゾリウム塩、また特公昭59−26731号に記載されているその開環体、ニトロインダゾール類、トリアゾール類、ベンゾトリアゾール類、ベンズイミダゾール類(特にニトロ−またはハロゲン置換体);ヘテロ環メルカプト化合物類たとえばメルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール)、メルカプトピリミジン類;カルボキシル基やスルホン基などの水溶性基を有する上記のヘテロ環メルカプト化合物類;チオケトン化合物たとえばオキサゾリンチオン;アザインデン類たとえばテトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ置換(1,3,3a,7)テトラアザインデン類);ベンゼンチオスルホン酸類;ベンゼンスルフィン酸;特開昭62−87957号に記載されているアセチレン化合物等;などのようなカブリ防止剤または安定剤として知られた多くの化合物を加えることができる。
【0037】
本発明に用いられるハロゲン化銀写真感光材料はシアンカプラー、マゼンタカプラー、イエローカプラーなどのカラーカプラー及びカプラーを分散する化合物を含むことができる。すなわち発色現像処理において芳香族1級アミン現像薬(例えば、フェニレンジアミン誘導体や、アミノフェノール誘導体など)との酸化カップリングによって発色しうる化合物を含んでもよい。例えば、マゼンタカプラーとして、5−ピラゾロンカプラー、ピラゾロベンズイミダゾールカプラー、シアノアセチルクマロンカプラー、開鎖アシルアセトニトリルカプラー等があり、イエローカプラーとして、アシルアセトアミドカプラー(例えばベンゾイルアセトアニリド類、ピバロイルアセトアニリド類)等があり、シアンカプラーとして、ナフトールカプラーおよびフェノールカプラー等がある。これらのカプラーは分子中にバラスト基とよばれる疎水基を有する非拡散のものが望ましい。カプラーは銀イオンに対し4当量性あるいは2当量性のどちらでもよい。また色補正の効果をもつカラードカプラー、あるいは現像にともなって現像抑制剤を放出するカプラー(いわゆるDIRカプラー)であってもよい。またDIRカプラー以外にも、カップリング反応の生成物が無色であって現像抑制剤を放出する無呈色DIRカップリング化合物を含んでもよい。
【0038】
本発明に用いられる写真感光材料には感度上昇、コントラスト上昇、または現像促進の目的で、例えばポリアルキレンオキシドまたはそのエーテル、エステル、アミンなどの誘導体、チオエーテル化合物、チオモルフォリン類、四級アンモニウム塩化合物、ウレタン誘導体、尿素誘導体、イミダゾール誘導体、3−ピラゾリドン類などを含んでいてもよい。本発明に用いられるハロゲン化銀感光材料にはフィルター染料として、あるいはイラジェーション防止その他の種々の目的で、本発明のメチン化合物以外に、種々の染料を含んでいてもよい。この様な染料には、例えば英国特許第506,385号、同1,177,429号、同1,311,884号、同1,338,799号、同1,385,371号、同1,467,214号、同1,433,102号、同1,553,516号、特開昭48−85130号、同49−114420号、同52−117123号、同55−161233号、同59−111640号、特公昭39−22069号、同43−13168号、同62−273527号、米国特許第3,247,127号、同3,469,985号、同4,078,933号等に記載されたピラゾロン核やバルビツール酸核を有するオキソノール染料、米国特許第2,533,472号、同3,379,533号、英国特許第1,278,621号、特開平1−134447号、同1−183652号等記載されたその他のオキソノール染料、英国特許第575,691号、同680,631号、同599,623号、同786,907号、同907,125号、同1,045,609号、米国特許第4,255,326号、特開昭59−211043号等に記載されたアゾ染料、特開昭50−100116号、同54−118247号、英国特許第2,014,598号、同750,031号等に記載されたアゾメチン染料、米国特許第2,865,752号に記載されたアントラキノン染料、米国特許第2,533,009号、同2,688,541号、同2,538,008号、英国特許第584,609号、同1,210,252号、特開昭50−40625号、同51−3623号、同51−10927号、同54−118247号、特公昭48−3286号、同59−37303号等に記載されたアリーリデン染料、特公昭28−3082号、同44−16594号、同59−28898号等に記載されたスチリル染料、英国特許第446,583号、同1,335,422号、特開昭59−228250号等に記載されたトリアリールメタン染料、英国特許第1,075,653号、同1,153,341号、同1,284,730号、同1,475,228号、同1,542,807号等に記載されたメロシアニン染料、米国特許第2,843,486号、同3,294,539号、特開平1−291247号等に記載されたシアニン染料などが挙げられる。
【0039】
このような染料の拡散を防止するために以下の方法を用いることができる。例えば、解離したアニオン性染料と反対の電荷をもつ親水性ポリマーを媒染剤として層に共存させ、染料分子との相互作用によって染料を特定層中に局在化させる方法が、米国特許2,548,564号、同4,124,386号、同3,625,694号等に開示されている。また、水に不溶性の染料固体を用いて特定層を染色する方法が、特開昭56−12639号、同55−155350号、同55−155351号、同63−27838号、同63−197943号、欧州特許第15,601号等に開示されている。また、染料が吸着した金属塩微粒子を用いて特定層を染色する方法が米国特許第2,719,088号、同2,496,841号、同2,496,843号、特開昭60−45237号等に開示されている。
【0040】
本発明に用いられる写真感光材料には塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止および写真特性改良(たとえば現像促進、硬調化、増感)など種々の目的で種々の界面活性剤を含んでもよい。本発明を実施するに際しては、その他添加剤がハロゲン化銀乳剤または他の親水性コロイドと共に用いられる、例えば、退色防止剤、無機もしくは有機の硬膜剤、色カブリ防止剤、紫外線吸収剤、媒染剤、可塑剤、ラテックスポリマー、マット剤などを挙げることができる。具体的には、リサーチディスクロージャー(Research Disclosure)Vol.176(1978、XI)、D−17643などに記載されている。また、本発明に用いられる写真感光材料には、保護コロイドとしてゼラチン等の親水性ポリマーが用いられる。完成(finished) ハロゲン化銀乳剤等は、適切な支持体、例えばバライタ紙、レジンコート紙、合成紙、トリアセテートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、その他のプラスチックベースまたはガラス板の上に塗布される。
【0041】
写真像を得るための露光は通常の方法を用いて行なえばよい。すなわち、自然光(日光)、タングステン電灯、蛍光灯、水銀灯、キセノンアーク灯、炭素アーク灯、キセノンフラッシュ灯、陰極線管フライングスポットなどの公知の多種の光源をいずれでも用いることができる。露光時間は通常カメラで用いられる1/1000秒から1秒の露光時間はもちろん、1/1000秒より短い露光、たとえばキセノン閃光灯や陰極線管を用いた1/104 〜1/106 秒の露光を用いることもできるし、1秒より長い露光を用いることもできる。必要に応じて色フィルターで露光に用いられる光の分光組成を調節することができる。露光にレーザー光を用いることもできる。また電子線、X線、γ線、α線などによって励起された蛍光体から放出する光によって露光されてもよい。本発明を用いて作られる感光材料の写真処理には、例えばリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)176号第28〜30頁(RD−17643)に記載されているような、公知の方法及び公知の処理液のいずれをも適用することができる。この写真処理は、目的に応じて、銀画像を形成する写真処理(黒白写真処理)、あるいは色素像を形成する写真処理(カラー写真処理)のいずれであってもよい。処理温度は普通18℃から50℃の間に選ばれるが、18℃より低い温度または50℃を越える温度としてもよい。
【0042】
本発明で用いてもよい磁気記録を担持したハロゲン化銀写真感光材料(以下「感材」ともいう。)は、特開平6−35118、特開平6−17528、発明協会公開技報94−6023に詳細に記載される予め熱処理したポリエステルの薄層支持体、例えば、ポリエチレン芳香族ジカルボキシレート系ポリエステル支持体で、50μm〜300μm、好ましくは50μm〜200μm、より好ましくは80〜115μm、特に好ましくは85〜105μmを40℃以上、ガラス転移点温度以下の温度で1〜1500時間熱処理(アニール)し、特公昭43−2603、特公昭43−2604、特公昭45−3828記載の紫外線照射、特公昭48−5043、特開昭51−131576等に記載のコロナ放電、特公昭35−7578、特公昭46−43480記載のグロー放電等の表面処理し、米国特許第5,326,689に記載の下塗りを行い必要に応じ米国特許第2,761,791に記載された下引き層を設け、特開昭59−23505、特開平4−195726、特開平6−59357記載の強磁性体粒子を塗布すれば良い。なお、上述した磁性層は特開平4−124642、特開平4−124645に記載されたストライプ状でも良い。更に、必要に応じ、特開平4−62543の帯電防止処理をし、最後にハロゲン化銀乳剤を塗布した物を用いる。ここで用いるハロゲン化銀乳剤は特開平4−166932、特開平3−41436、特開平3−41437を用いる。こうして作る感材は特公平4−86817記載の製造管理方法で製造し、特公平6−87146記載の方法で製造データを記録するのが好ましい。その後、またはその前に、特開平4−125560に記載される方法に従って、従来の135サイズよりも細幅のフィルムにカットし、従来よりも小さいフォーマット画面にマッチするようにパーフォレーションを小フォーマット画面当たり片側2穴せん孔する。こうして出来たフィルムは特開平4−157459のカートリッジ包装体や特開平5−210202実施例の図9記載のカートリッジ、または米国特許第4,221,479のフィルムパトローネや米国特許第4,834,306、US4,834,366、米国特許第5,226,613、米国特許第4,846,418記載のカートリッジに入れて使用する。ここで用いるフィルムカートリッジまたはフィルムパトローネは米国特許第4,848,693、米国特許第5,317,355の様にベロが収納できるタイプが光遮光性の観点で好ましい。さらには、米国特許第5,296,886の様なロック機構を持ったカートリッジや米国特許第5,347,334に記載される使用状態が表示されるカートリッジ、二重露光防止機能を有するカートリッジが好ましい。また、特開平6−85128に記載の様にフィルムを単にカートリッジに差し込むだけで容易にフィルムが装着されるカートリッジを用いても良い。こうして作られたフィルムカートリッジは次に述べるカメラや現像機、ラボ機器を用いて合目的に撮影、現像処理、色々な写真の楽しみ方に使用できる。例えば、特開平6−8886、特開平6−99908に記載の簡易装填式のカメラや特開平6−57398、特開平6−101135記載の自動巻き上げ式カメラや特開平6−205690に記載の撮影途中でフィルムの種類を取り出し交換できるカメラや特開平5−293138、特開平5−283382に記載の撮影時の情報、例えば、パノラマ撮影、ハイヴィション撮影、通常撮影(プリントアスペクト比選択の出来る磁気記録可能)をフィルムに磁気記録出来るカメラや特開平6−101194に記載の二重露光防止機能を有するカメラや特開平5−150577に記載のフィルム等の使用状態表示機能の付いたカメラなどを用いるとフィルムカートリッジ(パトローネ)の機能を充分発揮できる。この様にして撮影されたフィルムは特開平6−222514、特開平6−222545に記載の自現機で処理するか、処理の前または最中または後で特開平6−95265、特開平4−123054に記載のフィルム上の磁気記録の利用法を用いても良いし、特開平5−19364記載のアスペクト比選択機能を利用しても良い。現像処理する際シネ型現像であれば、特開平5−119461記載の方法でスプライスして処理する。また、現像処理する際または後、特開平6−148805記載のアッタヂ、デタッチ処理する。こうして処理した後で、特開平2−184835、特開平4−186335、特開平6−79968に記載の方法でカラーペーパーへのバックプリント、フロントプリントを経てフィルム情報をプリントへ変換しても良い。更には、特開平5−11353、特開平5−232594に記載のインデックスプリント及び返却カートリッジと共に顧客に返却しても良い。
【0043】
[実施例]
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0044】
八面体の結晶形をもち、純臭化銀から成る硫黄増感したハロゲン化銀乳剤を調製した。この乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均直径は0.8μmで乳剤1kg中に0.75モルのハロゲン化銀が含有された。この乳剤を1kgづつポットに秤取し表−1に示すように増感色素を添加し40℃のもとで混合攪拌した。更に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラアザインデンを0.1g/乳剤1kg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンソーダを0.1g/乳剤1kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.1g/乳剤1kgを順次加えた後、ポリエチレンテレフタレートフィルムベース上に塗布銀量1.90g/m2、塗布ゼラチン量3.5g/m2になるように塗布して写真感光材料を得た。
【0045】
これらの試料夫々に青色フィルター(380nmから455nmまでの光を透過するバンドパスフィルター)、及び黄色フィルター(460nmより長波長の光を透過するフィルター)を用いてタングステン光(5400°K)で1秒間、光楔露光した。
【0046】
露光後、下記の組成の現像液を用いて20℃で4分間現像した。現像処理したフィルムを富士写真フイルム社製の濃度計を用いて、濃度測定し、黄色フィルター感度(Sy:分光感度)と青色フィルター感度(SB:固有感度)とカブリとを求めた。
【0047】
感度を決定した光学濃度の基準点は〔カブリ+0.2〕の点であった。表−1のSyはSR−1の添加量1.1×10-3モル/kg乳剤のときの分光感度を100として相対感度を求めた。またSBは増感色素を含まない乳剤を100としたときの相対感度を求めた。
【0048】
現像液の組成 水 700ml メトール 3.1g 無水亜硫酸ナトリウム 45g ハイドロキノン 12g 炭酸ナトリウム(一水塩) 79g 臭化カリウム 1.9g水を加えて1リットルとする。使用に際し水2容を加えて使用液とする。得られた結果を相対的な値として第1表に示す。表−1に見られる通り、本発明の化合物を用いた場合、固有感度、分光感度ともに高い。
【0049】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される化合物。
一般式(I)
【化1】



式中、R1 、R2 、R3 、R4 のうち少なくとも一つは硫黄原子を含む置換基であり、その他の基は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または複素環基である。R1 とR2 、R3 とR4 はそれぞれ同士で環を形成しても良い。L1 、L2 、L3 は各々メチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子及びメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよいメチン基を表す。但し、L1 、L2 、L3の全てが無置換メチン基になることはない。nが2以上の場合L1 、L2 は同じものを繰り返さなくとも良い。nは1から4の整数を表す。X1 は電荷均衡対イオンを表し、k1 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。
【請求項2】
下記一般式(II)で表される化合物。
一般式(II)
【化2】



式中、P1 は2価以上の連結基である。P2 、P3 は水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基または複素環基であり、P2 とP3 は連結して環を形成しても良い。R5 、R6 は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基である。mは1から4の整数を表す。L4 、L5 、L6 は各々メチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子及びメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよいメチン基を表す。但し、L1 、L2 、L3の全てが無置換メチン基になることはない。mが2以上の場合L4 、L5 は同じものを繰り返さなくとも良い。X2 は電荷均衡対イオンを表し、k2は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。
【請求項3】
下記一般式(III)で表される化合物。
一般式(III)
【化3】



式中、P4 、P5 は2価以上の連結基である。R7 、R8 は水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基である。lは1から4の整数を表す。L7 、L8 、L9 は各々メチル基、エチル基、フェニル基、塩素原子、臭素原子及びメトキシ基から選ばれた置換基で置換されていてもよいメチン基を表す。但し、L1 、L2 、L3の全てが無置換メチン基になることはない。lが2以上の場合L7 、L8 は同じものを繰り返さなくとも良い。X3 は電荷均衡対イオンを表し、k3 は分子の電荷を中和するのに必要な0以上10以下の数を表す。
【請求項4】
下記S−16、S−17、またはS−18で表される化合物。
【化4】

【請求項5】
請求項1、2、3に記載の一般式(I)、(II) または(III)で示される化合物を含むハロゲン化銀乳剤。

【公開番号】特開2009−40800(P2009−40800A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297715(P2006−297715)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【分割の表示】特願平8−259414の分割
【原出願日】平成8年9月30日(1996.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】