説明

ストレーナ

【課題】 本発明は、容易且つ迅速に洗浄ができるとともに、簡易な構造とすることを課題とする。
【解決手段】本発明は、内部に吸水可能な筒状のストレーナエレメント15と、該ストレーナエレメントの外周面に螺旋状に巻かれた線条材30と、該線条材を介してストレーナエレメントを被覆する筒状のろ過布13と、前記ストレーナエレメントの内部と連通するように該ストレーナエレメントに設けられ且つ吸水管2側に連結されるソケット20とを備え、前記ろ過布を線条材に沿って回転させることにより、ストレーナエレメントに対して着脱自在に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば魚槽等の水槽で使用されるストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、漁船等の魚槽を備えた船舶には、漁獲物を活魚輸送できるように、魚槽内に貯留され海水をろ過し、冷却装置で所定温度に冷却して循環させている。すなわち、魚槽内の海水には、ストレーナが浸漬されており、このストレーナでろ過された海水は、ストレーナが連結された吸水管を介して吸水ポンプにより冷却装置に送られ、この冷却装置で冷却された海水は、排水管を介して再び魚槽内に戻されるようになっている。
【0003】
ストレーナは、多数のスリットまたは網目を有するストレーナエレメントを有し、そのストレーナエレメントで水をろ過するものが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−72358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来のストレーナは、構造が簡単ではあるが、ストレーナエレメントが露出しているため、漁獲物が排出する排出物等の被ろ過物がストレーナエレメントに付着して目詰まりした際には、この被ろ過物を除去するストレーナエレメントの掃除が必要となる。
【0005】
そこで、前記ストレーナを掃除する際には、ストレーナ全体を吸水管の固定側から取り外し、洗浄場所まで持っていかなければならず、非常に面倒であった。
【0006】
また、ストレーナを取り外すことなく、ストレーナエレメントから水を逆噴出させる逆洗浄を行なうことも考えられるが、かかる場合には、そのための装置が必要となり、大型化する欠点がある。
【0007】
本発明は、容易且つ迅速に洗浄ができるとともに、簡易な構造とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、内部に吸水可能な筒状のストレーナエレメントと、該ストレーナエレメントを被覆する筒状のろ過布と、前記ストレーナエレメントの内部と連通するように該ストレーナエレメントに設けられ且つ吸水管側に連結されるソケットとを備え、前記ろ過布はストレーナエレメントに対して着脱自在に設けられたことにある。
【0009】
そして、前記本発明のストレーナを掃除する際には、ストレーナエレメントからこのストレーナエレメントを覆っている筒状のろ過布を抜き取り、ろ過布をストレーナエレメントから分離した状態で洗浄することができる。
【0010】
本発明は、内部に吸水可能な筒状のストレーナエレメントと、該ストレーナエレメントの外周面に螺旋状に巻かれた線条材と、該線条材を介してストレーナエレメントを被覆する筒状のろ過布と、前記ストレーナエレメントの内部と連通するように該ストレーナエレメントに設けられ且つ吸水管側に連結されるソケットとを備え、前記ろ過布を線条材に沿って回転させることにより、ストレーナエレメントに対して着脱自在に設けられたことにある。
【0011】
そして、前記本発明のストレーナを掃除する際には、ストレーナエレメントに対して、このストレーナエレメントを覆っているろ過布を回転させると、回転するろ過布は、螺旋状の線条材に沿うように回転するため、次第にストレーナエレメントの端部側に移動され、ろ過布を容易且つ迅速に抜き取ることができる。
【0012】
また、洗浄後にろ過布をストレーナエレメントに装着する際には、前記とは反対方向にろ過布を回転させることにより、ろ過布を端部からストレーナエレメントに容易且つ迅速に装着することができる。
【0013】
本発明の前記ストレーナエレメントの内部には、ストレーナエレメントの長手方向に沿って棒状の錘が設けられている。かかる場合には、ろ過される液体中に浮き上がることなく、安定して設置させることができる。
【0014】
本発明の前記ソケットは、可撓性を有するホースを少なくとも一部に備えた吸水管側に連結され、前記ソケットを吸水管側から取り外すことなく、ストレーナを液体から取り出せるようにした構成である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、被ろ過物が付着した筒状のろ過布のみを抜き差して容易且つ迅速に洗浄ができるとともに、筒状のろ過布をストレーナエレメントに着脱自在に設けた構成であるため、ストレーナの構造も簡易なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図6は、本発明の一実施の形態の全体概略図を示し、図6において、1は例えば船舶に搭載される水槽(魚槽)である。この魚槽1内には、漁獲物を遊泳させておく海水が貯留されており、海水は、図示省略の冷凍装置により所定温度に冷却された後に、再び魚槽1に循環されるようになっている。
【0018】
すなわち、魚槽1内には、冷凍装置に接続された吸水管2の一端側が海水中に臨むように設けられている。また、吸水管2には循環ポンプ3が介在されており、循環ポンプ3は、魚槽1内の海水を冷凍装置に送り、冷凍装置機で所定温度に冷却された海水は、冷凍装置に接続された排出管5により、魚槽1内に戻されるようになっている。
【0019】
また、魚槽1内には分散器6が設けられており、分散器6はブロワ7から送られる圧縮空気を気泡として海水内に流出する。従って、海水は所定の温度(例えば略18℃)が維持され、漁獲物を新鮮な生きた状態で搬送することができる。
【0020】
吸水管2の先端には長尺状のストレーナ10が設けられ、ストレーナ10は魚槽1の底面に配置されている。なお、吸水管2は、ストレーナ10を連結した状態で海水から取り出せるように、少なくとも一部が可撓性を有するホースから構成されている。
【0021】
ストレーナ10について図1〜図5に示す。ストレーナ10は、ストレーナ本体11と、このストレーナ本体11に着脱自在に設けられたろ過布13とから構成されている。
【0022】
ストレーナ本体11は、筒状のストレーナエレメント15を備えている。ストレーナエレメント15は、例えば高密度ポリエチレンを網状(網目構造)に成形したプラスチックパイプや、金属製のパイプ等から形成され、内部に海水が吸水できるように、内外に連通する網目16が多数形成されたものである。なお、網目16の大きさおよび形状は、適宜設定可能である。
【0023】
ストレーナエレメント15の一端部15aには、筒状の連結管17が嵌合され、この連結管17に有低筒状のキャプ18が取り付けられており、このキャプ18によりストレーナエレメント15の一端部の開口が閉塞されている。なお、キャプ18の外径は、ストレーナエレメント15の外径と略同等に設定されている。
【0024】
ストレーナエレメント15の他端部15bには、筒状の連結管19が嵌合され、この連結管19に筒状のソケット20が取り付けられている。ソケット20は大径筒部21と小径筒部22とからなり、大径筒部21が連結管19に嵌合されている。
【0025】
小径筒部22には連結管23を介してエルボ24が連結され、エルボ24は連結管25を介して吸水管2に連結されている。
【0026】
ストレーナエレメント15の内部には、棒状の錘27が内設されている。この錘27は、ストレーナエレメント15の長手方向に対してストレーナエレメント15の略全長にわたって設けられている。このように棒状の錘27をストレーナエレメント15の略全長にわたって設けることにより、長尺状のストレーナ10全体を安定して沈めておくことができる。
【0027】
また、錘27の直径は、前記ソケット20の小径筒部22の口径よりも小さく設定されており、錘27は、その一端側を小径筒部22からストレーナエレメント15の内部に挿入できるようになっている。
【0028】
ストレーナエレメント15の外周面には、ストレーナエレメント15の全長にわたって長尺状の線条材30が、所定の間隔を有して螺旋状に巻かれている。線条材30の材質は特に限定されず、合成樹脂製または金属製であってもよい。また、線条材30は中実であっても中空の筒状であってもよいが、断面形状が円形であるのが望ましい。
【0029】
線条材30に一端部30aは、図1に示すように、ストレーナエレメント15の一端部15aとともにビス31により連結管17に共締めされている。線条材30に他端部30bは、ストレーナエレメント15の他端部15bとともにビス32により連結管19に共締めされている。
【0030】
ストレーナエレメント15の外周には、線条材30を介して前記筒状のろ過布(ろ過シート)13が被覆されている。ろ過布13は、例えばポリ塩化ビニリデン系繊維をスプリング状にカール加工した不織布をシート状に形成したものである。そして、そのろ過布13の両端を縫製することにより、筒状に形成している。なお、ろ過布13は成形により端部を接合することなく筒状に形成したものであってもよい。
【0031】
ろ過布13の長さは、ストレーナエレメント15の長さと同等またはそれ以上に設定され、ストレーナエレメント15の全長を覆うようになっている。ろ過布13は、円形を維持するように若干の弾性力を有している。また、ろ過布13の端部からストレーナエレメント15に水が浸入しないような水密性が必要となる。そのために、ろ過布13は、その内径が大き過ぎず、伸縮性を有するようになっている。
【0032】
従って、ろ過布13の内径は、ストレーナエレメント15およびキャプ18の直径よりも若干小さく設定されているのが望ましく、ストレーナエレメント15に装着されたろ過布13の両端部は、図1に示すように水密性を有するようにストレーナ本体11側(キャプ18および線条材30)に密着している。
【0033】
ろ過布13をストレーナ本体11に装着するには、ろ過布13を螺旋状の線条材30に沿ってねじ込むようにして、ろ過布13をその端部側からストレーナ本体11に容易に装着できる。しかも、装着されたろ過布13は、螺旋状の線条材30に密着するため、ろ過布13がストレーナエレメント15の長手方向に不用意に抜けてしまうことがない。なお、キャプ18は、図1に仮想線で示すように先端部をテーパー状に形成して、ろ過布13の端部が挿入し易くすることも可能である。
【0034】
ろ過布13の内周面とストレーナエレメント15の外周面との間には、線条材30により、間隙35が形成されている。
【0035】
本発明のストレーナ10の実施の形態は、以上の構成からなり、次にそのストレーナ10の使用例について説明する。
【0036】
魚槽1内の海水は、ストレーナ10のろ過布13で被ろ過物がろ過され、所定の温度に冷却された後に、再び魚槽1内に戻ってくる。ストレーナ10は長尺状に設けれれているので、ろ過面積が大きくなり、効率よく海水をろ過できる。また、ろ過布13は、螺旋状に巻かれた線条材30を介してストレーナエレメント15に装着されているため、不用意にストレーナ本体11(ストレーナエレメント15)から抜けてしまうこともない。
【0037】
ストレーナ10のろ過布13が目詰まりした際には、ストレーナ10を海水から取り出す。吸水管2の少なくとも一部を可撓性を有するホースから構成していることから、ストレーナ10は吸水管2に連結された状態で、しかも、ストレーナ10は、錘27により沈められているだけなので、ストレーナ10は簡単に海水から取り出すことができる。
【0038】
そして、ストレーナ本体11の基部側(ソケット20側)を一方の手で把持し、他方の手でろ過布13を回転させる(図3(b)参照)。このときのろ過布13の回転方向は、線条材30に沿って抜ける方向に回転させる。線条材30はろ過布13を抜ける方向に案内するため、ろ過布13をストレーナ本体11の先端側に容易に抜き取ることができる。
【0039】
抜き取ったろ過布13を、洗浄場所に持って行き、その過布35を洗浄した後に再びストレーナ本体11に装着する。このとき、ろ過布13を前記とは反対方向に回転させることにより、ろ過布13を螺旋状の線条材30に沿ってねじ込むようにして、ろ過布13をその端部側からストレーナ本体11に容易に装着できる。
【0040】
ろ過布13を装着したストレーナ10を海水に投入すると、ストレーナ10は錘27により、魚槽1の底面に迅速に到達するとともに一端側が浮き上がることなく全体が沈むため、別の部材により固定する必要がない。
【0041】
また、ろ過布13は掃除以外に、定期的なメンテナンスにより新たなものと交換する場合も同様に容易且つ迅速に行なうことができる。
【0042】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。前記実施の形態では、船舶に搭載される魚槽の海水処理について説明したが、例えば、魚などの他、海草、水草などの水性生物および水性植物を飼育または養殖する水槽等や、河川やダム等の水源をろ過する場合にも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態に係るストレーナの全体を示す断面図である。
【図2】同ストレーナの端面の断面図である。
【図3】同ストレーナを示し、(a)は全体斜視図、(b)はろ過布の着脱時を示す斜視図である。
【図4】同ストレーナのストレーナ本体からろ過布を分離した状態の斜視図である。
【図5】同ストレーナの分解斜視図である。
【図6】同ストレーナの使用状態の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 魚槽(水槽)
2 吸水管
10 ストレーナ
11 ストレーナ本体
13 ろ過布
15 ストレーナエレメント
20 ソケット
27 錘
30 線条材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に吸水可能な筒状のストレーナエレメントと、該ストレーナエレメントを被覆する筒状のろ過布と、前記ストレーナエレメントの内部と連通するように該ストレーナエレメントに設けられ且つ吸水管側に連結されるソケットとを備え、前記ろ過布はストレーナエレメントに対して着脱自在に設けられたことを特徴とするストレーナ。
【請求項2】
内部に吸水可能な筒状のストレーナエレメントと、該ストレーナエレメントの外周面に螺旋状に巻かれた線条材と、該線条材を介してストレーナエレメントを被覆する筒状のろ過布と、前記ストレーナエレメントの内部と連通するように該ストレーナエレメントに設けられ且つ吸水管側に連結されるソケットとを備え、前記ろ過布を線条材に沿って回転させることにより、ストレーナエレメントに対して着脱自在に設けられたことを特徴とするストレーナ。
【請求項3】
前記ストレーナエレメントの内部には、ストレーナエレメントの長手方向に沿って棒状の錘が設けられている請求項1または2に記載のストレーナ。
【請求項4】
前記ソケットは、可撓性を有するホースを少なくとも一部に備えた吸水管側に連結され、前記ソケットを吸水管側から取り外すことなく、ストレーナを液体から取り出せるようにした構成である請求項3に記載のストレーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−284443(P2008−284443A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130845(P2007−130845)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】