説明

ストロボ装置及びストロボ装置を備えた撮像装置

【課題】本発明はストロボ光の照射方向を所望の方向に常に向くように設定されている撮影モードにおいて、ストロボ光の照射方向を現在の照射方向から所望の照射方向に即時に変更することができ、よって、シャッターチャンスを逃すことがないストロボ装置及びストロボ装置を備えた撮像装置を得る。
【解決手段】本発明のストロボ装置2は、ストロボ本体部8と、発光部10と、発光部10の鉛直方向の角度を通常照射方向角度と所望照射方向角度との間で変更可能とする可変機構11と、可変機構11を駆動する駆動手段12と、ストロボ本体部8又は発光部10に設けられ、発光部10の鉛直方向の角度を検出する鉛直方向角度検出手段13と、鉛直方向角度検出手段13の検出信号に基づいて、駆動手段12により発光部10の鉛直方向の角度を所望照射方向角度に変更させる制御手段14とを備えるという構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閃光放電管が発光する照射範囲を制御するように構成したストロボ装置及びストロボ装置を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、より自然な画像を得るために、ストロボ装置の発光部から光を天井や壁などの反射体に照射して拡散させ、被写体を間接的に照明して撮影するバウンス撮影が行われている。
【0003】
バウンス撮影では、ストロボ装置は、発光部の照射面を被写体とは正対させず、天井や壁などの反射体のある所望の方向に向けて撮影する。そして、発光部が常に反射体のある方向に向いてストロボ光を照射できるように、ストロボ装置の制御部は、撮影レンズの光軸方向である撮影方向とストロボ光を照射する照射方向(反射体のある所望の方向)とのなすバウンス角を自動的に制御する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−163179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているストロボ装置は、反射体と被写体とにそれぞれ撮像装置の撮像レンズを向けてオートフォーカス測距して、それらの距離に基づいてバウンス角を設定しなければならない。つまり、撮影意図により撮像装置の姿勢(撮影方向)を変えるたびに、制御部は、オートフォーカス測距し、バウンス角を設定し直して、照射方向を反射体のある任意の方向に変更しなければならなかった。よって、このような構成のストロボ装置は、撮影の準備に時間がかかり、場合によっては、シャッターチャンスを逃すことがある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑み、ストロボ光の照射方向を所望の方向に常に向くように設定されているストロボ光の照射モードにおいて、ストロボ光の照射方向を現在の照射方向から所望の照射方向に即時に変更することができ、よって、シャッターシャンスを逃すことがないストロボ装置及びストロボ装置を備えた撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のストロボ装置は、ストロボ本体部と、前記ストロボ本体部に回転可能に連結される発光部と、前記発光部の鉛直方向の角度を通常照射方向角度と前記通常照射方向角度とは異なる所望照射方向角度との間で変更可能とする可変機構と、前記可変機構を駆動する駆動手段とを備えるストロボ装置であって、前記ストロボ本体部又は前記発光部に設けられ、前記発光部の鉛直方向の角度を検出する鉛直方向角度検出手段と、前記鉛直方向角度検出手段の検出信号に基づいて、前記駆動手段により前記発光部の鉛直方向の角度を前記所望照射方向角度に変更させる制御手段とを更に備えるという構成を有している。
【0008】
かかる構成によれば、制御手段は、ストロボ装置の現在の角度に関係なく、鉛直方向角度検出手段で自動的に検出された発光部の鉛直方向の角度に基づいて、所望照射方向角度に即時に変更することができる。
【0009】
また、請求項2記載の発明において、前記制御手段は、前記鉛直方向角度検出手段の検出信号をA/D変換するA/D変換部と、前記A/D変換部により変換された変換値と前記所望照射方向角度値とを基に、前記所望照射方向角度に対する前記発光部の傾斜角度を算出する演算部と、前記発光部の傾斜角度を解消するように前記駆動手段を制御する制御部とを備えることが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、制御手段は、鉛直方向角度検出手段で自動的に検出された検出信号をA/D変換部で変換し、演算部でこの変換値及び所望照射方向角度値に基づいて、所望照射方向角度に対する発光部の傾斜角度を算出する。よって、制御手段は、制御部が当該発光部の傾斜角度を解消するように駆動手段を制御することにより即時に変更することができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明において、前記鉛直方向角度検出手段は、3軸加速度センサで構成されたものであることが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、この3軸加速度センサにより発光部の鉛直方向の角度を検出することができる。よって、制御手段は、発光部がストロボ装置の現在の鉛直方向の角度に関係なく、発光部を所望照射方向角度に即時に変更することができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明において、前記可変機構は、前記発光部の水平方向の角度を変更可能な水平方向可変機構を備え、前記駆動手段は、前記水平方向可変機構を駆動する水平方向駆動手段を備えるストロボ装置であって、前記ストロボ本体部又は前記発光部に設けられ、前記発光部の水平方向の角度を検出する水平方向角度検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記水平方向角度検出手段の検出信号に基づいて、前記駆動手段により前記発光部の水平方向の角度を水平方向における所望照射方向角度に変更させることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、制御手段は、更に、水平方向角度検出手段で自動的に検出された発光部の水平方向の角度に基づいて、所望照射方向角度に即時に変更することができる。
【0015】
また、請求項5記載の発明において、前記水平方向角度検出手段は、地磁気センサで構成されたものであることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、この地磁気センサにより発光部の水平方向の角度を検出することができる。よって、制御手段は、発光部がストロボ装置の現在の水平方向の角度に関係なく、発光部を水平方向における所望照射方向角度に即時に変更することができる。
【0017】
また、請求項6記載の発明において、前記ストロボ本体部及び前記発光部の少なくとも一方に、前記所望照射方向角度をユーザが設定可能な操作部が設けられることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、ユーザが操作部により発光部の鉛直方向における所望照射方向角度を設定することができ、この操作部で設定された所望照射方向角度に発光部の角度を変更することができる。
【0019】
また、請求項7記載の発明において、前記ストロボ本体部及び前記発光部の少なくとも一方に、前記水平方向における所望照射方向角度をユーザが設定可能な操作部が設けられることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、ユーザが操作部により発光部に水平方向における所望照射方向角度を設定することができ、この操作部で設定された所望照射方向角度に発光部の角度を変更することができる。
【0021】
また、請求項8記載の発明において、前記操作部は、ユーザが遠隔から設定可能に構成されていることが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、ユーザが遠隔から所望照射方向角度を操作部に設定することができるようになる。
【0023】
また、請求項9記載の発明において、ユーザが遠隔から前記所望照射方向角度を設定可能な操作部を更に備えることが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、ユーザが遠隔から操作部を用いて所望照射方向角度を設定することができるようになる。
【0025】
更に、請求項10記載の発明において、前記操作部は、前記所望照射方向角度を無線で送信することが好ましい。
【0026】
かかる構成によれば、ユーザが遠隔から所望照射方向角度を設定することができるようになる。
【0027】
また、本発明の撮像装置は、前記請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のストロボ装置を備えた構成を有する。
【0028】
かかる構成によれば、制御手段は、ストロボ装置の現在の角度に関係なく、鉛直方向角度検出手段で自動的に検出された発光部の鉛直方向の角度に基づいて、所望照射方向角度に即時に変更することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のストロボ装置及びストロボ装置を備えた撮像装置によれば、ストロボ光の照射方向を所望の方向に常に向くように設定されているストロボ光の照射モードにおいて、ストロボ光の照射方向を現在の照射方向から所望の照射方向に即時に変更することができ、よって、シャッターシャンスを逃すことがない。
また本発明によるストロボ装置及びストロボ装置を備えた撮像装置によれば、ストロボ光の照射方法を無線等の遠隔操作によって現在の照射方向から所望の照射方向にユーザーの操作で変更することができる機能を備えているため、ストロボ装置から離れた場所から撮影を行う場合でも、撮影者はストロボ装置の設置場所に移動することなく、該ストロボ装置の照射方向を変更できる。特に複数のストロボ装置を有する撮像装置の場合、各々のストロボの照射方向角度を遠隔位置から変更できるため、撮影時の準備時間が大きく短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図
【図2】同実施形態に係るストロボ装置の側面図
【図3】同実施形態に係るストロボ装置の上面図
【図4】(a)同実施形態に係るストロボ装置が設定可能な上下方向の照射範囲を説明する説明図、(b)同実施形態に係るストロボ装置が設定可能な左右方向の照射範囲を説明する説明図
【図5】同実施形態に係るストロボ装置のバウンス撮影モードにおける傾斜角度を示す説明図
【図6】同実施形態に係るストロボ装置のバウンス撮影モードにおける処理手順を示すフローチャート
【図7】本発明の第2実施形態に係るストロボ装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の第1実施形態に係る撮像装置及びストロボ装置について、図1〜図6を参酌しつつ、説明する。同実施形態に係る撮像装置1は、図1に示すように、被写体にストロボ光を照射するストロボ装置2を装着可能に構成している。撮像装置1は、被写体を撮像する撮影機能部3と、ストロボ装置2及び撮影機能部3を制御する演算部4と、被写体を撮像した画像などを表示する表示部5と、撮影条件の設定や電源を切り換えるための操作部6と、周辺機器との間で画像データなどを入出力するための周辺I/F7とを備える。
【0032】
ストロボ装置2は、図2及び図3に示すように、ストロボ本体部8と、ストロボ本体部8に回転可能に連結され、閃光放電管9が収納されて外部へ発光する発光部10と、発光部10を所定の角度に変更可能である可変機構11と、可変機構11を駆動する駆動手段12と、ストロボ本体部8に設けられ、発光部10の鉛直方向Aの角度を検出する鉛直方向角度検出手段13と、鉛直方向角度検出手段13の検出信号に基づいて、駆動手段12により発光部10の鉛直方向Aの角度を変更させる制御手段14と、ストロボ本体部8に設けられ、所望照射方向角度をユーザが設定可能な操作部15とを備える。
【0033】
ストロボ本体部8は、矩形状に形成された筐体であり、その上面側に発光部10を回転可能に連結し、その下面側に撮像装置1を連結可能に構成されている。ストロボ本体部8は、正面が撮像装置1の撮影方向B(撮像レンズの光軸方向)を向くように撮像装置1に連結されている。
【0034】
発光部10は、略矩形状に形成された筐体であり、一方の面に閃光放電管9が発光した光を照射する照射面16を備えている。発光部10は、この照射面16の鉛直方向Aに対する傾斜角度を変更することにより、ストロボ光が照射される照射方向Cを変更可能に構成されている。
【0035】
可変機構11は、図4(a)及び図4(b)に示すように、ストロボ本体部8と発光部10とを回転可能に連結する。具体的には、可変機構11(図2参照)は、ストロボ本体部8の幅方向D(図3参照)に沿って設けられる横軸Xを中心に鉛直方向Aに回転可能な鉛直方向可変機構17と、ストロボ本体部8の上下方向E(高さ方向)に設けられる縦軸Yを中心に水平方向Fに回転可能な水平方向可変機構18とを備える。
【0036】
鉛直方向可変機構17は、図4(a)に示すように、発光部10の鉛直方向Aの角度を通常照射方向角度(発光部10が通常撮影位置P1にあるときの角度)と、ユーザによって設定され、通常照射方向角度とは異なる所望照射方向角度(発光部10がバウンス撮影位置P2にあるときの角度)との間を含むように設けられている。鉛直方向可変機構17は、鉛直方向180度の回転角度を有する。水平方向可変機構18は、図4(b)に示すように、左右方向180度の回転角度を有する。
【0037】
駆動手段12は、図2及び図3に示すように、鉛直方向可変機構17を駆動する鉛直方向駆動手段19(図3参照)と、水平方向可変機構18を駆動する水平方向駆動手段20(図2参照)とを備える。
【0038】
鉛直方向駆動手段19は、図3に示すように、鉛直方向可変機構17を回転させる鉛直方向駆動モータである。水平方向駆動手段20は、図2に示すように、水平方向可変機構18を回転させる水平方向駆動モータである。
【0039】
鉛直方向角度検出手段13は、3軸加速度センサで構成されたものである。3軸加速度センサは、XYZ軸の3方向の加速度を検出することができるセンサである。本実施形態に係る3軸加速度センサは、静止時の重力加速度を検出することにより、発光部10の鉛直方向の照射方向角度(発光部10の姿勢)を検出する。
【0040】
制御手段14は、図2に示すように、撮影モードを切り替え可能に構成される。撮影モードには、通常撮影モードとバウンス撮影モードとがある。通常撮影モードでは、ストロボ光が撮影方向B(被写体のある方向)に照射されるように、発光部10の傾斜角度が通常照射方向角度に設定される。バウンス撮影モードでは、ストロボ光がユーザによって設定された任意の向き(被写体に間接光を照射したい場合は、天井などの反射体のある方向)に照射されるように、発光部10の傾斜角度が所望照射方向角度に設定される。
【0041】
制御手段14は、発光部10の鉛直方向Aの角度を少なくとも現在の傾斜角度から所望照射方向角度に変更させる。制御手段14は、鉛直方向角度検出手段13の検出信号をA/D変換するA/D変換部21と、A/D変換部21により変換された変換値と所望照射方向角度値とを基に、前記所望照射方向角度に対する発光部10の傾斜角度を算出する演算部22と、発光部10の傾斜角度を解消するように前記駆動手段12を制御する制御部23とを備える。
【0042】
操作部15は、ストロボ本体部8の背面に設けられている。操作部15は、ストロボ装置2(又は発光部10のみ)を所望照射方向角度となるように傾斜させ、そのときの角度を鉛直方向角度検出手段13で検出することにより、演算部22に所望照射方向角度を設定する。
【0043】
次に、本実施形態に係る撮像装置1のバウンス撮影モードの動作について、図5〜図6を参酌しつつ、説明する。ストロボ装置2は、初期状態として通常撮影モードが選択されている。このとき、ストロボ装置2の発光部10は、図5に示すように、照射方向Cが撮影方向Bを向くように傾斜している(図4(a)に示す通常撮影位置P1)。
【0044】
まず、ユーザは、図2及び図5に示すように、制御手段14に所望照射方向角度に設定する。つまり、ユーザは、バウンス撮影モードのときにストロボ光を照射する反射体(本実施形態では天井面)24に発光部10の照射面16を向けて、操作部15でそのときの鉛直方向Aに対する発光部10の角度を鉛直方向角度検出手段13に検出させる。鉛直方向角度検出手段13は、その検出信号をA/D変換部21に入力し、検出信号をA/D変換して、その変換値を演算部22に入力する。演算部22は、A/D変換部21から入力された変換値を、バウンス撮影モードにおける所望照射方向角度(指定値)として記憶する。
【0045】
次に、ユーザがバウンス撮影モードを選択して、被写体をバウンス撮影する場合について、図5及び図6を参酌しつつ、説明する。ユーザは、撮像装置1の撮像レンズを被写体に向けてシャッターを押し、撮影する。このとき、ストロボ装置2は、現在の鉛直方向角度が指定値と異なる場合、ストロボ光を反射体24(天井)に照射すべく、発光部10を所望照射方向角度に回転(バウンス)させる。
【0046】
具体的には、図2及び図6に示すように、鉛直方向角度検出手段13は、発光部10の鉛直方向の角度を検出して(ステップS1でYESのとき)、A/D変換部21でA/D変換する(ステップS2)。
【0047】
演算部22は、A/D変換部21から変換値が入力され、所望照射方向角度に対応する傾斜角度(指定値)と一致するか比較する(ステップS3)。その結果、変換値が指定値と一致しない場合(ステップS3でNOのとき)、演算部22は、回転(バウンス)角度を算出する(ステップS4)。つまり、演算部22は、変換値と指定値との角度差(発光部10の傾斜角度)を算出して、その傾斜角度を回転角度として、制御部23に入力する。制御部23は、発光部10を現在の角度からその回転角度分回転させる(ステップS5)。そして、発光部10の傾斜角度が解消されて(変換値と指定値とが一致)、発光部10のバウンス処理を終了させる。
【0048】
一方、変換値が指定値と一致する場合(ステップS3でYESのとき)、制御部23は、発光部10の角度を変更することなく、発光部10のバウンス処理を終了させる。
【0049】
このようにして、制御手段14は、ストロボ装置2の現在の角度に関係なく、鉛直方向角度検出手段13で自動的に検出された発光部10の鉛直方向の角度に基づいて、所望照射方向角度に即時に変更することができる。
【0050】
より具体的には、制御手段14は、鉛直方向角度検出手段13で自動的に検出された検出信号をA/D変換部21で変換し、演算部22でこの変換値及び所望照射方向角度値に基づいて、所望照射方向角度に対する発光部10の傾斜角度を算出する。よって、制御手段14は、制御部23が当該発光部10の傾斜角度を解消するように駆動手段12(鉛直方向駆動手段19)を制御することにより即時に変更することができる。
【0051】
また、3軸加速度センサにより発光部10の鉛直方向Aの角度を検出することができる。よって、制御手段14は、発光部10がストロボ装置2の現在の鉛直方向Aの角度に関係なく、発光部10を所望照射方向角度に即時に変更することができる。
【0052】
また、ユーザが操作部15により発光部10の鉛直方向における所望照射方向角度を設定することができ、この操作部15で設定された所望照射方向角度に発光部10の角度を変更することができる。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態に係る撮像装置及びストロボ装置について、図7を参酌しつつ説明する。なお、同実施形態に係るストロボ装置25は、第1実施形態に係るストロボ装置2に水平方向角度検出手段26を更に備えた実施形態である。そこで、本実施形態に係るストロボ装置25の説明としては、水平方向角度検出手段26を中心に行い、第1実施形態に係るストロボ装置2と同様の構成に同一の符号を振りその説明を省略する。
【0054】
本実施形態に係るストロボ装置25は、第1実施形態に係るストロボ装置2の各構成に加えて、水平方向に対する傾斜角度を検出する水平方向角度検出手段26を備える。
【0055】
水平方向角度検出手段26は、地磁気センサで構成されたものである。地磁気センサは、磁場(磁界)の大きさ・方向を検出することができるセンサである。本実施形態に係る地磁気センサは、発光部10が向いている方位を検出することにより、発光部10の水平方向の照射方向角度(発光部10の姿勢)を検出する。
【0056】
操作部27は、ストロボ本体部8に設けられ、鉛直方向A及び水平方向F(図4(b)参照)の所望照射方向角度をユーザが設定可能に設けられている。
【0057】
このようにして、制御手段14は、更に、水平方向角度検出手段26で自動的に検出された発光部10の水平方向F(図4(b)参照)の角度に基づいて、(例えば、発光部10に対して水平方向に位置する壁に照射するのに適した)所望照射方向角度に即時に変更することもできる。
【0058】
また、地磁気センサにより発光部10の水平方向Fの角度を検出することができ、制御手段14は、発光部10がストロボ装置25の現在の水平方向Fの角度に関係なく、発光部10を水平方向Fにおける所望照射方向角度に即時に変更することができる。
【0059】
なお、本発明に係るストロボ装置及びストロボ装置を備えた撮像装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0060】
上記実施形態に係る撮像装置1及びストロボ装置2、25は、ストロボ本体部8又は発光部10のいずれかに設けられた操作部15、27をユーザによって直接操作される例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ストロボ装置の発光部又はストロボ本体部には、外部との信号の送受信を行う信号送受信部が設けられており、ストロボ装置には、この信号送受信部を介して操作部を遠隔操作可能な遠隔操作装置が付属していてもよい。信号送受信部は、少なくとも所望照射方向角度に関する信号を遠隔操作装置から受信する受信部を備える。遠隔操作装置は、所望照射方向角度などの情報を入力するための操作ボタンや操作レバーなどの入力インターフェイスと、信号送受信部に対して光や電波などの無線で信号を発信する発信部とを備える。なお、この遠隔操作装置と信号送受信部との通信方式は、無線に限定されず、通信ケーブルなどを用いた有線であってもよい。また、遠隔操作装置は、発光部を遠隔操作するために設けられた専用の装置に限定されず、発光部を遠隔操作するためのプログラムを読み込み可能な、撮像装置やコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などの情報処理装置であって、その情報処理装置に設けられる通信機能を用いてストロボ装置と通信可能な情報処理装置であってもよい。
【0061】
このため、ユーザが遠隔から所望照射方向角度を操作部に設定することができるようになる。また、制御手段は、ストロボ装置の現在の角度に関係なく、少なくとも鉛直方向角度検出手段で(又は、鉛直方向角度検出手段と水平方向角度検出手段とで)自動的に検出された発光部の鉛直方向(又は、鉛直方向及び水平方向)の角度に基づいて、所望照射方向角度に即時に変更することができる。なお、遠隔操作装置は、信号送受信部を介して操作部と通信するものであってもよいし、操作部を介することなく、制御手段と直接通信するものであってもよい。
【0062】
上記実施形態に係る撮像装置1及びストロボ装置2、25は、鉛直方向角度検出手段13(及び/又は水平方向角度検出手段26)が発光部10に設置され、発光部10の鉛直方向A(及び/又は水平方向F)の角度を検出する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、少なくとも鉛直方向角度検出手段は、ストロボ本体部に設置されていてもよい。つまり、鉛直方向角度検出手段は、発光部の傾斜角度ではなく、ストロボ本体部の角度を検出する。具体的には、制御手段は、ストロボ本体部に対する発光部の現在の第1の傾斜角度を演算部に記憶する。そして、制御手段は、演算部で回転(バウンス)角度を算出するときに、第1の傾斜角度とストロボ本体部の角度とから発光部の角度を算出して、上記実施形態と同様に、発光部を所望照射方向角度に変更することができる。
【0063】
また、ストロボ本体部は、撮像装置に固定されており、発光部を回転することにより、照射方向角度を変更しているため、発光部を通常照射位置からバウンス照射位置に変更している間、ストロボ本体部は静止しているが、発光部は回転(バウンス)動作している。よって、バウンス照射位置に位置変更中であっても、ストロボ本体部が静止しているため、3軸加速度センサで発光部の角度を検出することができ、位置変更中の発光部の角度を検出しながら発光部の位置を変更できるため、より精度の高い回転(バウンス)角度の制御が可能となる。
【0064】
また、上記実施形態に係る撮像装置1及びストロボ装置2、25は、ストロボ装置2の操作部15、27がストロボ本体部8に備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、操作部は、発光部又は撮像装置に備えてもよい。
【0065】
また、上記実施形態に係る撮像装置1及びストロボ装置2、25は、所望照射方向角度をストロボ装置2(又は撮像装置1)及び発光部10を傾斜させて、発光部10をバウンス撮影位置P2に合わせて、そのときの角度を鉛直方向角度検出手段13で検知させることにより、設定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ユーザが発光部の角度を操作部から直接入力することにより設定するものであってもよい。所望照射方向角度は、ユーザが設定されるものに限定されず、予め制御手段に設定されていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係る撮像装置1及びストロボ装置2、25は、鉛直方向可変機構17の回転範囲が最大180度まである例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、鉛直方向可変機構の回転範囲が最大90度までであっても、水平方向可変機構
と組み合わせることにより、発光部10の上下方向の角度を上記実施形態と同様に通常照射位置から横軸を中心に180度まで回転させることができる。つまり、鉛直方向可変機構を90度から180度までの範囲で回転させる必要がある場合、水平方向可変機構が180度左右方向に回転できるように構成されていればよい。
【0067】
また、上記実施形態に係る撮像装置1及びストロボ装置2、25は、鉛直方向角度検出手段13及び水平方向角度検出手段26で発光部10の鉛直方向Aを検出して、制御手段14で傾斜角度を検出する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、鉛直方向角度検出手段13及び水平方向角度検出手段26は、発光部10の鉛直方向Aを検出して、その検出値に基づいて発光部の傾斜角度を検出するものであってもよい。
【0068】
また、上記実施形態に係る撮像装置1及びストロボ装置2、25は、ストロボ光の照射方向をバウンス撮影に適した所望の方向に常に向くように設定される例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、測距センサや発光部から照射されたストロボ光を受光する受光センサと組み合わせて被写体又は反射体までの距離を計測する測距手段に適用するときに、ストロボ光の照射方向を被写体又は反射体の方向に常に向くように制御することができる。また、本発明は、ストロボ本体部に対して発光部の傾斜角度を変更するかわりに、発光部の反射傘が所望の方向に常に向くように設定されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態に係る撮像装置1は、ストロボ装置2、25を装着可能に構成される例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、撮像装置は、ストロボ装置2を内蔵するものであってもよい。
【0070】
また、上記実施形態に係るストロボ装置2、25は、ストロボ本体8の内部に制御手段14のA/D変換部21、演算部22及び制御部23を備える例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、制御手段14のA/D変換部21、演算部22及び制御部23の一部又は全部は、撮像装置の内部に設けられていてもよく、ストロボ装置は、撮像装置に接続されて、制御されるように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に係る撮像装置及びストロボ装置は、ストロボ本体部と、前記ストロボ本体部に回転可能に連結される発光部と、前記発光部の鉛直方向の角度を通常照射方向角度と前記通常照射方向角度とは異なる所望照射方向角度との間で変更可能とする可変機構と、前記可変機構を駆動する駆動手段とを備えるストロボ装置であって、前記ストロボ本体部又は前記発光部に設けられ、前記発光部の鉛直方向の角度を検出する鉛直方向角度検出手段と、前記鉛直方向角度検出手段の検出信号に基づいて、前記駆動手段により前記発光部の鉛直方向の角度を前記所望照射方向角度に変更させる制御手段とを更に備える構成を有することによって、ストロボ光の照射方向を所望の方向に常に向くように設定されているストロボ光の照射モードにおいて、ストロボ光の照射方向を現在の照射方向から所望の照射方向に即時に変更することができ、よって、シャッターシャンスを逃さないことが望まれる用途にも適用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 撮像装置
2 ストロボ装置
8 ストロボ本体部
10 発光部
11 可変機構
12 駆動手段
13 鉛直方向角度検出手段
14 制御手段
15 操作部
17 鉛直方向可変機構
18 水平方向可変機構
21 A/D変換部
22 演算部
23 制御部
25 ストロボ装置
26 水平方向角度検出手段
27 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストロボ本体部と、前記ストロボ本体部に回転可能に連結される発光部と、前記発光部の鉛直方向の角度を通常照射方向角度と前記通常照射方向角度とは異なる所望照射方向角度との間で変更可能とする可変機構と、前記可変機構を駆動する駆動手段とを備えるストロボ装置であって、
前記ストロボ本体部又は前記発光部に設けられ、前記発光部の鉛直方向の角度を検出する鉛直方向角度検出手段と、前記鉛直方向角度検出手段の検出信号に基づいて、前記駆動手段により前記発光部の鉛直方向の角度を前記所望照射方向角度に変更させる制御手段とを更に備えることを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記鉛直方向角度検出手段の検出信号をA/D変換するA/D変換部と、前記A/D変換部により変換された変換値と前記所望照射方向角度値とを基に、前記所望照射方向角度に対する前記発光部の傾斜角度を算出する演算部と、前記発光部の傾斜角度を解消するように前記駆動手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする請求項1記載のストロボ装置。
【請求項3】
前記鉛直方向角度検出手段は、3軸加速度センサで構成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のストロボ装置。
【請求項4】
前記可変機構は、前記発光部の水平方向の角度を変更可能な水平方向可変機構を備え、前記駆動手段は、前記水平方向可変機構を駆動する水平方向駆動手段を備えるストロボ装置であって、
前記ストロボ本体部又は前記発光部に設けられ、前記発光部の水平方向の角度を検出する水平方向角度検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記水平方向角度検出手段の検出信号に基づいて、前記駆動手段により前記発光部の水平方向の角度を水平方向における所望照射方向角度に変更させることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のストロボ装置。
【請求項5】
前記水平方向角度検出手段は、地磁気センサで構成されたものであることを特徴とする請求項4記載のストロボ装置。
【請求項6】
前記ストロボ本体部及び前記発光部の少なくとも一方に、前記所望照射方向角度をユーザが設定可能な操作部が設けられることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のストロボ装置。
【請求項7】
前記ストロボ本体部及び前記発光部の少なくとも一方に、前記水平方向における所望照射方向角度をユーザが設定可能な操作部が設けられることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のストロボ装置。
【請求項8】
前記操作部は、ユーザが遠隔から設定可能に構成されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のストロボ装置。
【請求項9】
ユーザが遠隔から前記所望照射方向角度を設定可能な操作部を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のストロボ装置。
【請求項10】
前記操作部は、前記所望照射方向角度を無線で送信することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のストロボ装置。
【請求項11】
前記請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のストロボ装置を備えたことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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