説明

ストーブの枠体取付け構造

【課題】 ストーブの組付時の作業性を向上するための枠体構造に関する。
【解決手段】 置台1の上に設置したバーナ2と、バーナ2を囲むように配置した枠体Aとを設け、置台1には枠体取付け片3を立設し、枠体Aの下部には枠体取付け片3と重なる位置に係止片4を設け、枠体取付け片3にはネジ孔3aと係止孔3bを設け、係止片4にはネジ孔4aと突起4bを設ける。係止片4の突起4bが枠体取付け片3の係止孔3bと係合して枠体Aの位置決めとネジ孔3a・4aの位置決めを行い、ネジ孔3a・4aに固定ネジ5を装着して枠体Aを置台1に固定するものであり、ネジ止め作業時に枠体Aを支える必要がなくなって作業性が向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油ファンヒータなどのストーブの枠体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的なストーブは、置台の上に熱源であるバーナを設置し、この熱源を囲むように枠体を取付けた構造であり、置台には枠体取付け片を立設し、この枠体取付け片と枠体の下部に設けたネジ孔に固定ネジを装着することによって枠体を置台に固定している。
【0003】
また、枠体を取付ける置台は、周縁が床面と接触し、中央部分が床面と所定の間隔を形成するように構成しており、枠体内に設置した熱源の熱が直接床面に伝わらないようにしている(特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平4−46620号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の枠体構造は、側板と背板をコ字状に形成して前部が開口する枠体を底板の上に取付け、この枠体の前部と上部に前板と天板を取付けるものが一般的であったが、コ字状の枠体は一枚の金属板をプレスによる折り曲げ加工によって形成しているため、折り曲げ部分が元に戻ろうとして側板の前縁が外側に広がった状態になってしまうものであった。このため、枠体を底板に固定するときは、外側へ広がった側板を枠体の内側に押さえて底板の枠体取付け片のネジ孔と側板の下部のネジ孔との位置を合わせて固定ネジによって固定するが、側板を枠体の内側へ押さえた時に側板の前縁には弾性力によって外側へ広がろうとする力が働くため、側板を確実に押さえながらネジ止め作業を行わなければならず、ネジ孔の位置が合わせにくくネジ止め作業が非常に行いにくい欠点があった。
【0005】
また、最近はコンパクトな枠体形状のストーブが好まれる傾向にあるが、枠体がコンパクトになると熱源の熱が置台から床面との空間に伝わりやすくなり、床面の温度が上昇しやすくなっている。この対策として、置台に通気口を設けて置台と床面との空間の温度上昇を防ぐことが行われているが、コンパクトな枠体形状ではこの通気口を設けるスペースの確保が難しく、置台の上にこぼれた燃料が通気口から流出して床面を汚してしまう心配がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決するもので、ストーブの底板を兼ねる置台1と、該置台1の上に設置した熱源となるバーナ2と、該バーナ2を囲むように配置した枠体Aとを備えると共に、前記置台1には枠体取付け片3を立設し、前記枠体Aの下部には係止片4を設け、枠体取付け片3と係止片4にはネジ孔3a・4aを形成し、該ネジ孔3a・4aに固定ネジ5を装着して枠体Aを置台1に固定するストーブにおいて、前記枠体取付け片3には係止孔3bを設けると共に、前記係止片4には枠体取付け片3の係止孔3bと係合する突起4bを設け、枠体Aは係止片4の突起4bと枠体取付け片3の係止孔3bとの係合によってネジ孔3a・4aを位置決めし、固定ネジ5によって固定することを特徴とする。
【0007】
また、置台1は周縁が床面に接触すると共に、中央部分が床面と所定の間隔を形成するように配置して床面との間に空間Bを形成し、前記枠体取付け片3は置台1の中央部分に配置して置台からの切り起こしによって形成し、該枠体取付け片3の切り起こし孔によって枠体A内と空間Bを連通する通気口6を形成したから、通気口6が置台1の上の部品と干渉することなくコンパクトな枠体形状でも通気口6を設けることができた。
【0008】
また、枠体取付け片3の切り起こし孔によって構成する通気口6の周囲には上方に伸びる係止案内筒6aを形成し、前記枠体Aの下部には係止案内筒6aの側面に当接する係止部7を設け、枠体Aの係止部7と係止案内筒6aとの当接によって枠体Aを置台1の上に位置決めするから、置台1に枠体Aを載せたときに容易に枠体Aの位置決めができるようになった。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、置台1に立設する枠体取付け片3に係止孔3bを設け、枠体Aの下部に設けた係止片4には突起4bを形成し、枠体Aの係止片4の突起4bが置台1の枠体取付け片3の係止孔3bに係合することで、枠体Aを置台1の所定の位置に位置決めすることができると共に、枠体取付け片3と係止片4のネジ孔3a・4aの位置合わせができるから、ネジ孔3a・4aに装着する固定ネジ5のネジ止め作業時に枠体Aを支える必要がなくなり、作業性が向上できた。
【0010】
また、置台1と床面との間に空間Bを形成して置台1の熱が直接床面に伝わらないようにすると共に、枠体取付け片3を置台1からの切り起こしによって形成し、この枠体取付け片3の切り起こし孔によって枠体A内と置台1と床面との空間Bとを連通する通気口6を構成したことによって、通気口6から空気が出入りして置台1と床面との空間Bの温度上昇を抑えることができるから、床面を低温度に維持することができると共に、通気口6は枠体取付け片3の切り起こし孔を利用するから、コンパクトな枠体形状でも通気口6を設けることができた。
【0011】
また、通気口6の周囲には係止案内筒6aを設け、枠体Aの下部には係止部7を設けており、枠体Aの下部の係止部7が通気口6の係止案内筒6aに当接することによって枠体Aの移動が規制され、枠体Aを置台1の所定の位置に容易に位置決めでき、係止孔3bと突起4bの係合が行いやすくなり、枠体Aの取付けが簡単にできるようになった。
【0012】
また、通気口6の周囲に係止案内筒6aを設けたことにより、枠体A内の置台1の上に燃料がこぼれたときには、通気口6に向かう燃料の流れを係止案内筒6aによって止めることができるから、通気口6から床面への流出を防ぐことができ、床面を汚す心配はないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1はストーブの置台、Aは置台1の上に取付ける枠体、8は枠体Aの側面を構成する側板、9は枠体Aの背面を構成する背板であり、図に示す実施例では側板8と背板9とをコ字状に形成して前面が開口する枠体Aを構成している。10は枠体Aの上部に取付ける天板、11は枠体Aの前面開口に取付けてストーブの前面を構成する前板である。
【0014】
図に示す実施例のストーブはファンヒータと呼ばれる燃焼ガスを室内に放出するタイプの温風暖房機であり、2は置台1の上に設置する熱源を構成するバーナ、2aは該バーナ2の上部に連続する燃焼室、12は枠体A内に装着した燃料タンク、13は燃料タンク12の上面に取付けた燃料ポンプ、14は燃料ポンプ13とバーナ2とを結ぶ燃料パイプ、15はバーナ2に燃焼空気を供給する燃焼ファン、16はバーナ2内を加熱して燃焼可能にする点火ヒータであり、予め点火ヒータ16に通電してバーナ2を高温にしておき、燃料ポンプ13と燃焼ファン15を作動すると燃料タンク12の燃料がバーナ2に送られ、バーナ2に送られた燃料は気化して点火ヒータ16の熱で着火し、燃焼ファン15で送られる空気によって燃焼を開始し、バーナ2で発生した燃焼炎と燃焼ガスは燃焼室2aに送られて完全燃焼する。
【0015】
17は枠体Aの前面に取付けた前板11に設けた温風吹出口、18は枠体Aの背面に設けた空気吸込口、19は温風吹出口17と空気吸込口18との間の枠体A内に配置した送風路、20は空気吸込口18付近の送風路19に取付けた室内対流ファンであり、前記バーナ2の一部と燃焼室2aが送風路19内に配置され、室内対流ファン20によって送風路19内に送られた室内空気と、燃焼室2aから排出される燃焼排ガスとが送風路19内で混合し、温風吹出口17から温風となって吹出す。
【0016】
図に示す実施例において、3は置台1の上に立設した枠体取付け片、3aは該枠体取付け片3に設けたネジ孔、4は枠体Aの側板8の前縁下部に枠体Aの内側へ向けて略直角に折り曲げて形成した係止片、4aは該係止片4に設けたネジ孔、9aは枠体Aの背板9の下部に設けたネジ孔、5は固定ネジであり、枠体Aを置台1の上に取付けてネジ孔3a・4a及びネジ孔3a・9aに固定ネジ5を装着することで、枠体Aが置台1の上に固定される。
【0017】
側板8と背板9で構成される枠体Aは、プレス加工によって一枚の金属板をコ字状に折り曲げて形成しているが、金属板は折り曲げ部分に元に戻ろうとする力が働くため、完全な直角にすることが難しく、側板8の前部が外側に広がった形状になってしまう。このため従来では、枠体Aを置台1にネジ止めするときには外側に広がった側板8を一方の手で押さえて係止片4のネジ孔4aを枠体取付け片3のネジ孔3aに合わせ、側板8を支えながらもう一方の手でネジ止めを行わなければならず、作業性の悪いものとなっていた。
【0018】
この発明は、上記の課題を解決するもので、3bは置台1の枠体取付け片3に設けた係止孔、4bは枠体Aの係止片4に設けた突起であり、係止孔3bは枠体取付け片3の下端に設け、突起4bは係止片4の下端から背板9側に向けて形成している。
【0019】
枠体Aを置台1の上に置いた状態で外側に広がった側板8を両側から押さえると、係止片4が枠体取付け片3に沿って移動し、係止片4の突起4bが枠体取付け片3の係止孔3bに係合したときにネジ孔3a・4aの位置が重なり、係止孔3bと突起4bの係合によって枠体Aの側板8の前縁も固定されるものとなった。なお、突起4bの先端は枠体Aを取付けるときに最初に枠体取付け片3に接触する側が短くなるように傾斜させておけば、突起4bが枠体取付け片3に引っ掛かることなくスムーズに係止片4が移動するから突起4bを係止孔3bに容易に係合することができる。
【0020】
上記の構成であれば、枠体Aから手を離しても側板8が外側に広がることはなくなり、ネジ孔3a・4a及びネジ孔3a・9aに固定ネジ5を装着するときには両手で作業を行うことができるものとなり、組立て作業が簡単にできるものとなった。また、枠体取付け片3と係止片4の下端で係止孔3bと突起4bとが係合していから、枠体Aの下部が置台1から浮き上がることはないものである。
【0021】
また、枠体取付け片3の係止孔3bと係止片4の突起4bとが係合したときには、枠体取付け片3と係止片4のネジ孔3a・4aに固定ネジ5を装着しなくても枠体Aが置台1に仮止めされた状態となるので、図4に示す実施例において、10aは枠体Aの上に取付ける天板10の前縁に設けた係止爪、11aは前板11の上部に設けた折り曲げ部、11bは前板11の下部に設けたネジ孔であり、前板11を枠体Aの前面開口に取付けたときに、前板11のネジ孔11bが枠体取付け片3と係止片4のネジ孔3a・4aと重なるように設けてある。
【0022】
このような構成であれば、置台1の上に取付けた枠体Aの上に天板10を取付けて固定ネジ5で固定した後、前板11の折り曲げ部11aを天板10の係止爪10aに係合し、前板11の下部のネジ孔11bを枠体取付け片3と係止片4のネジ孔3a・4aに重ねて固定ネジ5を装着することで、枠体Aと前板11とが一緒に置台1に固定できるものとなるから、使用する固定ネジ5の数を減らすことができた。
【0023】
また、この発明の実施例において、前記置台1は周縁部が床面と接触し、中央部を床面から浮かせた形状になっており、バーナ2の熱で高温となる置台1の熱が直接床面に伝わらないようにしている。Bは中央部を浮かせた置台1と床面との間に形成される空間、6は置台1に設けた通気口であり、該通気口6によって枠体A内と空間Bとが連通しており、燃焼中は通気口6から空間Bに空気が流入し、また、空間B内で高温となった空気の一部が通気口6から流出し、高温の空気が空間Bに滞留しないようにして、床面の温度を低く抑えることができるようになっている。
【0024】
しかしながら、枠体内部の置台1の上にはバーナ2や燃料タンク12などの部品が配置されており、通気口6はこれらの部品と干渉しない位置に設ける必要があるが、枠体のコンパクト化によって枠体内部のスペースが狭くなると、通気口6を設けるためのスペースの確保が難しくなる。
【0025】
この発明では、枠体取付け片3を置台1の中央部に配置して置台1からの切り起こしによって形成し、この枠体取付け片3の切り起こし孔によって通気口6を構成したものであり、通気口6は燃料タンク12から離れた置台1のコーナ部付近に位置しているから、コンパクト化によって置台1の上の部品の設置スペースが狭くなっても、通気口6を設けることができるものである。
【0026】
また、6aは枠体取付け片3の切り起こし片3の切り起こし孔によって構成する通気口6の周囲に形成した係止案内筒、7は枠体Aの下部に形成した係止部であり、係止案内筒6aは通気口6の周囲を囲むように上方に伸びており、枠体Aを置台1の上に取り付けたときに係止部7が係止案内筒6aの周囲に当接し、枠体Aを置台1の所定の位置に位置決めすることができるようになっている。
【0027】
また、ストーブは給油時や移動時に枠体内に配置した燃料タンク12などから燃料が置台1の上にこぼれることがあるが、この発明のように通気口6の周囲に係止案内筒6aを形成したことによって、置台1にこぼれた燃料が通気口6に向かっても係止案内筒6aによって遮ることができるから、通気口6から床面へ燃料を流出させる心配はなくなった。
【0028】
尚、図に示す実施例の係止案内筒6aは枠体取付け片3の切り起こし孔の周囲に形成するバーリングによって構成し、また、係止部7は枠体Aの側板8の下部に折り曲げ片を設けて、この折り曲げ片の一部を切り欠いて通気口6の係止案内筒6aの周囲に沿った形状となるように形成したものであるから、簡単な形状で安価に製造できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の枠体構造を備える温風暖房機の側面をあらわす縦断面図である。
【図2】この発明を実施する枠体を置台へ固定する前と固定した後の状態をあらわす横断面図である。
【図3】この発明の枠体構造の実施例を示す温風暖房機の側面をあらわす縦断面図である。
【図4】この発明の枠体構造の実施例をあらわす斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
A 枠体
B 空間
1 置台
2 バーナ
3 枠体取付け片
3a ネジ孔
3b 係止孔
4 係止片
4a ネジ孔
4b 突起
5 固定ネジ
6 通気口
6a 係止案内筒
7 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストーブの底板を兼ねる置台(1)と、該置台(1)の上に設置した熱源となるバーナ(2)と、該バーナ(2)を囲むように配置した枠体(A)とを備えると共に、
前記置台(1)には枠体取付け片(3)を立設し、前記枠体(A)の下部には係止片(4)を設け、
枠体取付け片(3)と係止片(4)にはネジ孔(3a)(4a)を形成し、
該ネジ孔(3a)(4a)に固定ネジ(5)を装着して枠体(A)を置台(1)に固定するストーブにおいて、
前記枠体取付け片(3)には係止孔(3b)を設けると共に、前記係止片(4)には枠体取付け片(3)の係止孔(3b)と係合する突起(4b)を設け、
枠体(A)は係止片(4)の突起(4b)と枠体取付け片(3)の係止孔(3b)との係合によってネジ孔(3a)(4a)を位置決めし、固定ネジ(5)によって固定することを特徴とするストーブの枠体取付け構造。
【請求項2】
前記置台(1)は周縁が床面に接触すると共に、中央部分が床面と所定の間隔を形成するように配置して床面との間に空間(B)を形成し、
前記枠体取付け片(3)は置台(1)の中央部分に配置して置台(1)からの切り起こしによって形成し、該枠体取付け片(3)の切り起こし孔によって枠体(A)内と空間(B)を連通する通気口(6)を形成することを特徴とする請求項1記載のストーブの枠体取付け構造。
【請求項3】
前記枠体取付け片(3)の切り起こし孔によって構成する通気口(6)の周囲には上方に伸びる係止案内筒(6a)を形成し、前記枠体(A)の下部には係止案内筒(6a)の側面に当接する係止部(7)を設け、枠体(A)の係止部(7)と係止案内筒(6a)との当接によって枠体(A)を置台(1)の上に位置決めすることを特徴とする請求項1記載のストーブの枠体取付け構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−93095(P2007−93095A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282401(P2005−282401)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】