説明

スパークプラグ中心電極アセンブリ

中心電極および貴金属の挿入物を含み、貴金属の挿入物は、閉じ込められたガスが2つの構成要素の間から漏れることを可能にする態様で中心電極に機械的に噛み合わせられ、溶接される中心電極アセンブリを有するスパークプラグである。中心電極アセンブリを有するスパークプラグを製造する方法も開示される。組立の間、貴金属の挿入物は、中心電極の下端の中に軸方向に延在するブラインド穴の中に置かれる。中心電極は、一旦所定の位置に置かれると、2つの構成要素をともに機械的に噛み合わせるために挿入物の拡大したヘッド部分の周りで変形される。この取付をさらに強化するために、2つの構成要素はそれらの周囲が1つに溶接される。1つの実施例では、溶接部は、閉じ込められ得るいずれのガスのためにも蒸気の通気口として機能するいくつかのとぎれを含む。別の実施例では、溶接部のとぎれの代わりに、径方向または軸方向に延在する通気穴が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
この発明は概して、スパークプラグ、点火器、および他のこのような点火装置に関し、より特定的には、点火先端部において貴金属の挿入物を利用するこのような装置のための中心電極アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
内燃機関において使用されるスパークプラグは、極端な温度を有する環境および損傷を与える可能性のある他の要素に常に晒される。このような攻撃的な環境に対抗するため、および中心電極を保護するために、特定の貴金属が中心電極の点火先端部において利用されることが多い。これらの金属は、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、ならびに電食および化学的な腐食に対する耐性を示す他の貴金属を含む。挿入物、つまり中心電極の最下部先端部に加えられる小さな固体の貴金属部品の形でこれらの金属を利用することが当該技術分野において公知である。これは、経済的に実用的ではない可能性がある貴金属から電極全体を構成する必要なく、耐久性のあるスパーク面をもたらす。貴金属の挿入物の使用はスパークプラグの消耗耐性(動作寿命)および性能特徴(点火性)を向上させることができるが、その使用は新たな設計および製造の問題を持ち込む可能性がある。それらの問題のうちの1つは、使用中に挿入物にかけられる極端な力に耐えることができる態様で点火先端部に挿入物を取付けることを含む。
【0003】
貴金属の挿入物を中心電極の点火先端部に取付ける1つの方法は、2001年10月18日に発行された、カナオ(Kanao)らへの米国公開番号第2001/0030495 A1号に示される。その公報は、心棒部分と中心電極の前端に取付けられるヘッド部分とを有する、イリジウム合金の挿入物を備えるスパークプラグ中心ワイヤアセンブリを開示する。挿入物のヘッド部分が電極の先端部に押付けられるとき、電極先端部が溶解することを引起す抵抗溶接動作が適用され、それによって、挿入物のヘッド部分、それに続く心棒部分が先端部に入り込むことが可能になる。結果として、溶解した電極先端部が挿入物のヘッド部分および心棒の一部を囲み、それによって、2つの構成要素をともにしっかりと取付ける。この公報は、さらに、挿入物を所定の位置に固定するために挿入物のヘッド部分を覆う電極先端部のコーキングを開示する。
【0004】
貴金属の挿入物をスパークプラグ電極に取付けるためのさらなる方法は、米国特許第3,868,530号および第4,771,210号において教示され、その各々は2つの構成要素間の機械的な噛み合いの使用を開示する。第′530号および第′210号の両方の特許において、円筒形の貴金属の挿入物が中心電極の先端部に差込まれ、その後、内向きに径方向の圧縮が中心電極にかけられる。これは、2つの構成要素間の機械的な噛み合いが形成されるように、中心電極および貴金属の挿入物の両方の変形を引起す。
【0005】
これらのおよび他の先行技術は、機械的な噛み合い機構およびさまざまなタイプの溶接部の使用を含む、貴金属の挿入物を中心電極に取付けるためのさまざまな方法および技術を利用するが、改善の余地が依然として存在する。たとえば、2つの異なる金属間の密閉封止された溶接部は、2つの材料間に閉じ込められたガスを膨張させる形で応力を被り得る。この応力は溶接部の故障の一因となる可能性があり、その結果、貴金属の挿入物が中心電極から分離し得る。
【0006】
したがって、この発明の目的は、2つの構成要素間の内部空間の通気を可能にする態様
で貴金属の挿入物を中心電極に固定して取付けることを可能にする中心電極アセンブリを提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
先行技術の電極アセンブリの上記の欠点は、スパークプラグまたは点火器などの点火装置で用いる電極アセンブリを提供するこの発明によって克服される。1つの実施例に従って、電極アセンブリは中心電極および貴金属の挿入物を含む。中心電極および貴金属の挿入物は、機械的な噛み合いおよび蒸気通気溶接部によって互いに固定される。蒸気通気溶接部は、たとえば中心電極と挿入物との間に存在するいずれかの空間から閉じ込められたガスが漏れることを可能にする少なくとも1つのとぎれを含む周囲溶接部などの異なる形状を取り得る。
【0008】
この発明の別の局面に従って、電極アセンブリは中心電極、貴金属の挿入物、および通気穴を含む。中心電極および貴金属の挿入物は、一旦組立てられると、機械的な噛み合いによって互いに固定され、通気穴は2つの構成要素間に通気をもたらす。
【0009】
この発明は、さらに、電極アセンブリを利用する、スパークプラグまたは点火器などの点火装置、ならびに電極アセンブリおよび点火装置を製造するための方法を含む。
【0010】
この発明の利点および特徴は、明細書、特許請求の範囲、および図面を参照して容易に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましい実施例の詳細な説明
図1を参照して、金属製の外殻12、絶縁体14、接地電極16、および中心ワイヤアセンブリ18を概して含むスパークプラグ10が見られる。金属製の外殻12は、絶縁体14が固定される中心穴を含み、接地電極16は、外殻12の下端に溶接されるか、またはそうでなければ外殻12の下端に取付けられる湾曲した電極を含む。金属製の外殻、絶縁体、および接地電極の構成要素は当該技術分野において周知であり、したがって、それらの構造および機能のより詳細な説明は不要である。中心ワイヤアセンブリ18は構成要素の多くの組合せのうちの1つを含んでもよく、乗物の点火システムに電気的に結合される端子端部20から、点火室と連通するスパークギャップ22に高圧点火パルスを送るために使用される。本明細書に見られる中心ワイヤアセンブリ構成要素の特定の組合せは、端子電極30、1つ以上の伝導性および/または抵抗性ガラスシール32、および中心電極アセンブリ34を含むが、構成要素の多くの他の組合せのいずれかが代替的に利用され得るであろう。中心電極アセンブリ34は、接地電極16とともにスパークギャップ22を形成する中心ワイヤアセンブリ18の最下部の電極構成要素を指す。高圧点火パルスは、端子端部20から中心ワイヤアセンブリを通って中心電極アセンブリ34に伝わり、中心電極アセンブリ34では、その下部先端部から、点火パルスがスパークギャップ22を横切ってアークを作り、それによって、燃焼プロセスを開始させる。端子電極およびガラスシールの構造および機能性は広く公知であるので、各々の個々の説明は省略されている。ここで、中心電極アセンブリ34について記載し、その軸方向の下端は図2A〜図2Cにより詳細に見られることができる。
【0012】
図2Aは、貴金属の挿入物42が銅芯の中心電極40に取付けられる前の中心電極アセンブリ34の軸方向の下端を示す。中心電極40は、中心ワイヤアセンブリ18の軸方向の下端に位置する細長い金属製の電極であり、当該技術分野において公知であり、引用によって本明細書に援用される米国特許第4,814,665号に開示される、熱伝達を改
良するための銅芯44を含む。中心電極40の軸方向の上端(図2Aでは図示せず)は典型的には、絶縁体14の軸方向の穴内の相補的な内部肩部分に支えられる径方向に拡大したフランジを含む。中心電極の軸方向の下端46は、電極40の軸と概して同軸であるように軸方向の下端の中に上向きに延在するブラインド穴48を作るように前もって形成される。ブラインド穴48を作ることにより、電極40の主要部分が境界となる軸方向の上端および自由な軸方向の下端を有する中空の円筒形部分50が形成されることになる。図2Aに示される特定のブラインド穴は、穴開け動作によって作られるが、当該技術分野において公知の他の動作が代わりに使用され得るであろう。
【0013】
本明細書に示される貴金属の挿入物の実施例は、ブラインド穴48に差込まれるように設計される階段状の構成を有し、機械的な噛み合い機構60およびスパーク面62を概して含む。当該技術分野において広く公知であるように、貴金属の挿入物はPt、Ir、Pd、Rh、W、Au、Ru、Ag、Os、または低減されたスパーク電圧もしくは電食および/もしくは化学的な腐食に対する耐性などの所望の特徴を示すその他の材料もしくは材料の組合せから構成されてもよい。機械的な噛み合い機構60は、中空の円筒形部分50の内側面とともに、中心電極40と貴金属の挿入物42との間に機械的な取付をもたらし、それによって中心電極アセンブリ34を形成する貴金属の挿入物の外面の機構である。これらの構成要素のこの機械的な噛み合いは、2つの構成要素間の周方向の溶接部によってもたらされる冶金的な取付の強度を増大させる。この溶接部は以下にさらに記載される。本明細書に示される機械的な噛み合い機構60は、各々が円筒形に成形される、上部軸方向部分64および下部軸方向部分66を概して含む挿入物の拡大したヘッド部分の形状をしている。上部軸方向部分の半径は下部軸方向部分の半径よりも大きく、そのため、急な径方向の変化が2つの部分の間で発生する。もちろん、機械的な噛み合い機構は、軸方向の高さ対軸方向の高さ、軸方向の高さ対径方向の深さ、ならびに上部軸方向部分64および下部軸方向部分66を含む他の寸法の割合などの、図2Aに示される割合とは異なる割合を有してもよい。スパーク面62は第1の面であり、そこを起点に点火パルスが中心電極アセンブリ34から接地電極16にアークを作り、それによって、スパークを開始させる燃焼を作り出す。この特定のスパーク面は平坦であるが、丸い面または他の形状および構成を有する面が利用されてもよい。
【0014】
ここで図2Bを参照して、組立プロセスの後、つまり貴金属の挿入物42が中心電極40に永久的に取付けられた後の中心電極アセンブリ34の下端が示される。組立の間、貴金属の挿入物は、機械的な噛み合い機構60が少なくとも部分的にブラインド穴内に位置するようにブラインド穴48の中に置かれる。一旦貴金属の挿入物が完全に差込まれると、中空の円筒形部分50の外側を周方向に囲み、その部分に径方向に内向きの力をかける道具が所定の位置に持ってこられる。この力は、中空の円筒形部分の下部軸方向の領域が機械的に変形されるようにそこに主にかけられる。これは、図2Bに示されるものと同様の中心電極アセンブリをもたらし、中空の円筒形部分50の内側面は機械的な噛み合い機構の上部軸方向部分64および下部軸方向部分66の両方の外側面に接触する。一旦変形されると、円筒形部分50の下部軸方向の領域の外側半径は、貴金属の挿入物の下部軸方向の領域の外側半径とほぼ同じであり、それによって、それら2つの構成要素の隣接する外側面の間に滑らかな移行部68を作り出す。
【0015】
ここでさらに図2Cを参照して、滑らかな移行部68における、中心電極40と貴金属の挿入物42との間の外周の境界面に位置する周方向の溶接部80が示される。この特定の溶接部は、3つの弓形の溶接部のとぎれ84によって分けられる3つの弓形の溶接部分82を含む。溶接部のとぎれは、その他の態様では閉じ込められるであろうガスが漏れることを可能にするための蒸気の通気口の役割を果たす。この通気は、その他の態様では、中心電極が使用中に加熱されるときに、閉じ込められたガスの圧力の蓄積に起因して発生するであろう、溶接部80にかけられる機械的な応力を減少させ、したがって、接合不良
および電極からの貴金属の挿入物の分離の可能性を低減する。溶接は、レーザ溶接などの任意の好適な技術によってなされることができる。好ましくは、周方向の溶接部80は3つの弓形の溶接部分を含み、各々の広がりは約90°である。この不連続な溶接部は3つの弓形の溶接部のとぎれをもたらし、各々が互いから約120°だけ等しく間隔をあけられ、各々の広がりは約30°である。しかしながら、弓形の溶接部分または溶接部のとぎれのいずれかの数、溶接部分または溶接部のとぎれのいずれかの角度の広がり(弓形の長さ)、および周方向の溶接部80の他の属性はこの実施例に示されるものとは異なり得ることが認識されるべきである。たとえば、周方向の溶接部80は、1つ、2つ、4つ、5つ、またはその他の適当な数の弓形の溶接部分を含み得るであろう。さらに、溶接部分および溶接部のとぎれの弓形の長さは同じである可能性があり、または溶接部のとぎれの弓形の長さは溶接部分の弓形の長さより大きい可能性もあるだろう。他の修正および変更は当業者に明らかになる。
【0016】
ここで図3を参照して、この発明の中心電極アセンブリ90の第2の実施例が示される。前の実施例と同様に、中心電極アセンブリ90は中心電極92および貴金属の挿入物94を含む。しかしながら、貴金属の挿入物94は、図2A〜図2Bに見られる階段状の構成とは対照的に、概して傾斜した構成を有する機械的な噛み合い機構を含む。貴金属の挿入物94は概して、上部軸方向部分98および下部軸方向部分100をそれぞれ有する機械的な噛み合い機構96、ならびにスパーク面102を含む。機械的な噛み合い機構は、下部軸方向部分よりも半径が大きい上部軸方向部分98と下部軸方向部分100との間に滑らかに延在するように傾斜される。したがって、この実施例の機械的な噛み合い機構は、前の実施例に見られる急な径方向の変化を持たない。
【0017】
組立プロセスは前に記載されたものと実質的に同じである。一旦貴金属の挿入物がブラインド穴内に置かれると、電極の中空の円筒形部分を周方向に囲むように道具が所定の位置に持ってこられる。この道具は、機械的な噛み合い機構96を囲む、電極92の中空の円筒形部分の下端を変形させるようにその下端に対して径方向に内向きの力をかける。一旦変形されると、中空の円筒形部分の内側面は、機械的な噛み合い機構の上部軸方向部分98および下部軸方向部分100の両方の外側面に均一に接触し、それによって、電極92および貴金属の挿入物94をともに機械的に取付ける。前の実施例と同様に、変形された中空の円筒形部分の外側半径は、貴金属の挿入物の下部領域の外側半径とほぼ同じであり、それによって、2つの構成要素間の滑らかな移行部104を形成する。溶接部分および溶接部のとぎれを有する不連続な周方向の溶接部106が作られるのは、この滑らかな移行部においてである。周方向の溶接部106は、図2Cに示される周方向の溶接部80とほとんど同じであり、したがって、同様の説明は省略されている。
【0018】
ここで図4Aおよび図4Bを参照して、2つのさらなる中心電極アセンブリの実施例が示され、その各々は、前述の溶接部のとぎれの代わりに蒸気を放出する通気穴を含む。中心電極アセンブリの実施例110は、図2A〜図2Bに示される銅芯の中心電極および貴金属の挿入物を含むが、周方向の溶接部114は連続的である、つまり、いかなる溶接部のとぎれも持たない。他の態様ではブラインド穴に閉じ込められるであろうガスに通気をもたらすために、通気穴116が、貴金属の挿入物の軸方向の上端の上に位置する空間からアセンブリの外側に径方向に延在する。この通路の直径および長さ、ならびに他の属性は、用途の特定事項に対応するために変えられてもよい。代替的には、図4Bは、図4Aの径方向に延在する通気穴116の代わりに、軸方向に延在する通気穴122を含む中心電極アセンブリの実施例120を示す。軸方向に延在する通気穴は、ブラインド穴に閉じ込められたいかなるガスもスパーク面126を通って排出されるように貴金属の挿入物124の中心軸に沿って延在する。
【0019】
したがって、本明細書に記載される目的および利点を達成する、スパークプラグととも
に用いる中心電極アセンブリがこの発明に従って提供されてきたことが明らかである。もちろん、上の記載はこの発明のいくつかの好ましい例示的な実施例についてのものであり、この発明は示される具体的な実施例に限定されるものではないことが理解される。たとえば、端子電極、1つ以上のガラスシール、中心電極などを含む中心ワイヤアセンブリの構成要素の例示的な組合せは、構成要素の異なる組合せから単に容易に構成され得るであろう。さらに、中心電極は銅芯である必要はなく、中心電極は別個の芯を全く含まない可能性もあり、または銅以外の材料で芯を抜かれる可能性もあるだろう。さらに、貴金属の挿入物は、ブラインド穴を前もって形成するのではなく、軸方向の下端の溶解および溶解した電極材料への貴金属の挿入物の埋込によって、中心電極と機械的に噛み合わされることができるであろう。これは、2つの構成要素をともに機械的に噛み合わせながらブラインド穴を作り出す。さまざまな他の変更および修正が当業者に明らかになり、すべてのこのような変更および修正はこの発明の範囲内であるように意図される。
【0020】
この明細書および特許請求の範囲において使用されるように、「例として」、「例えば」、および「など」という用語、ならびに「構成する」、「有する」、「含む」という動詞、およびそれらの他の動詞の形は、1つ以上の構成要素または他の項目の列挙に関連して使用されるとき、各々が制約のないものであるように解釈されるべきであり、この列挙は他のさらなる構成要素または項目を排除するように考えられるべきではないことを意味する。他の用語は、異なる解釈を必要とする文脈において使用されない限り、最も広い適当な意味を使用して解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明に従って構成されるスパークプラグの部分的な断面図である。
【図2A】貴金属の挿入物が中心電極に取付けられる前の、図1のスパークプラグにおいて使用される中心電極アセンブリの軸方向の下端の拡大図である。
【図2B】貴金属の挿入物が取付られた後の、図1の中心電極アセンブリの軸方向の下端を示す拡大図である。
【図2C】貴金属の挿入物を中心電極に取付けるために使用される、蒸気通気溶接部を示す、図2Bの中心電極アセンブリの底面図である。
【図3】この発明の中心電極アセンブリの第2の実施例の軸方向の下端の拡大図である。
【図4A】径方向に延在する通気穴を有する、この発明の中心電極アセンブリの第3の実施例の軸方向の下端の拡大図である。
【図4B】軸方向に延在する通気穴を有する、この発明の中心電極アセンブリの第4の実施例の軸方向の下端の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
点火装置で用いる電極アセンブリであって、
軸方向の下端の中に延在するブラインド穴を有する前記軸方向の下端を有する細長い中心電極と、
機械的な噛み合い機構およびスパーク面を有する貴金属の挿入物とを備え、
前記機械的な噛み合い機構は、前記ブラインド穴の内側面が前記機械的な噛み合い機構の外側面に周方向に接触するように、前記軸方向の下端が前記噛み合わされた機構と係合する状態で、前記ブラインド穴内に少なくとも部分的に位置し、前記中心電極は、閉じ込められたガスが前記ブラインド穴から漏れることを可能にする少なくとも1つのとぎれを含む周囲溶接部を有する前記溶接部によって前記貴金属の挿入物に接合される、電極アセンブリ。
【請求項2】
前記機械的な噛み合い機構は上部および下部軸方向部分を有する階段状の構成を有し、そのため、前記機械的な噛み合い機構の半径は前記上部軸方向部分と下部軸方向部分との間で急に変化する、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
前記上部軸方向部分における前記機械的な噛み合いの半径は、前記下部軸方向部分における前記機械的な噛み合いの半径よりも大きい、請求項2に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
前記機械的な噛み合い機構は上部および下部軸方向部分を有する傾斜した構成を有し、そのため、前記機械的な噛み合い機構の半径は前記上部軸方向部分と下部軸方向部分との間で徐々に変化する、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
前記上部軸方向部分における前記機械的な噛み合いの半径は、前記下部軸方向部分における前記機械的な噛み合いの半径よりも大きい、請求項4に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
前記貴金属の挿入物の下部部分は、前記電極の隣接する外側面と前記貴金属の挿入物との間に滑らかな移行部が発生するように、前記軸方向の下端の外側半径と同じ外側半径を含む、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
前記溶接部は前記滑らかな移行部において前記アセンブリの周りに周方向に延在する、請求項6に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
前記電極は銅芯を含む、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項9】
前記貴金属の挿入物は、白金、イリジウム、白金およびイリジウムの組合せ、または白金もしくはイリジウムのいずれかを含む合金から作られる、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項10】
前記溶接部は前記とぎれの3つを含み、各々は他のとぎれから約120°の間隔をあけられる、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項11】
点火装置で用いる電極アセンブリであって、
軸方向の下端の中に延在するブラインド穴を有する前記軸方向の下端を有する細長い電極と、
機械的な噛み合い機構およびスパーク面を有する貴金属の挿入物と、
前記ブラインド穴の内側の位置から前記アセンブリの外側の位置に延在する通気穴とを備え、
前記機械的な噛み合い機構は、前記ブラインド穴の内側面が前記噛み合い機構の外側面
に周方向に接触するように、前記軸方向の下端が前記噛み合い機構と係合する状態で、前記ブラインド穴内に少なくとも部分的に位置し、前記電極は前記電極と前記貴金属の挿入物との間の外周の境界面において前記貴金属の挿入物に溶接される、電極アセンブリ。
【請求項12】
前記通気穴は前記軸方向の下端を通って径方向に延在する、請求項11に記載の電極アセンブリ。
【請求項13】
前記通気穴は前記貴金属の挿入物を通って軸方向に延在する、請求項11に記載の電極アセンブリ。
【請求項14】
内燃機関で用いる点火装置であって、
中心穴を有する金属製の外殻と、
前記中心穴内に固定され、前記中心穴と概して同軸の軸方向の穴を有する絶縁体と、
前記軸方向の穴内に固定される中心ワイヤアセンブリとを備え、前記中心ワイヤアセンブリは、
軸方向の下端の中に延在するブラインド穴を有する前記軸方向の下端を有する細長い電極と、
機械的な噛み合い機構およびスパーク面を有する貴金属の挿入物とを少なくとも備え、
前記機械的な噛み合い機構は、前記ブラインド穴の内側面が前記噛み合い機構の外側面に周方向に接触するように、前記軸方向の下端が前記噛み合い機構と係合する状態で、前記ブラインド穴内に少なくとも部分的に位置し、前記軸方向の下端は、閉じ込められたガスが前記ブラインド穴から漏れることを可能にする少なくとも1つのとぎれを含む周囲溶接部を有する前記溶接部によって前記貴金属の挿入物に接合される、点火装置。
【請求項15】
前記点火装置はスパークプラグを備える、請求項14に記載の点火装置。
【請求項16】
前記点火装置は点火器を備える、請求項14に記載の点火装置。
【請求項17】
点火装置で用いる電極アセンブリを製造する方法であって、
(a) 軸方向の下端の中に延在するブラインド穴を有する前記軸方向の下端を有する細長い電極を提供するステップと、
(b) 機械的な噛み合い機構およびスパーク面を有する貴金属の挿入物を提供するステップと、
(c) 前記機械的な噛み合い機構の少なくとも一部が前記ブラインド穴内に位置するように前記貴金属の挿入物を前記ブラインド穴に差込むステップと、
(d) 前記ブラインド穴の内側面が前記機械的な噛み合い機構の外側面に周方向に接触するように前記軸方向の下端を機械的に変形するステップと、
(e) 前記挿入物と電極との間の外周の境界面の周りで前記貴金属の挿入物を前記電極に不連続に溶接するステップとを備え、それによって、前記不連続な溶接は、閉じ込められたガスが前記ブラインド穴から漏れることを可能にするとぎれを有する溶接部をもたらす、方法。
【請求項18】
点火装置のための電極アセンブリを製造する方法であって、
貴金属の挿入物を中心電極の端部に機械的に噛み合わせるステップと、
貴金属の挿入物と中心電極との間の周囲面の境界の周りで貴金属の挿入物を中心電極に溶接するステップと、
貴金属の挿入物と中心電極との間に位置する閉じ込められたガス用の通気口を設けるステップとを備える、方法。
【請求項19】
前記溶接するステップおよび設けるステップはともに、少なくとも1つの溶接部のとぎ
れを有する外周溶接部が形成されるように、前記貴金属の挿入物を前記電極に不連続に溶接するステップを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記設けるステップは、前記ブラインド穴から前記電極アセンブリの外面に通気穴を設けるステップをさらに備える、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2007−511043(P2007−511043A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537985(P2006−537985)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/028943
【国際公開番号】WO2005/048427
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】