説明

スパークプラグ絶縁体として用いるための高度な高温電気特性を備えたセラミック

セラミックは約90〜99重量%の量のアルミナと、約0〜1重量%の量のジルコニウム含有化合物と、約1〜10重量%の量の酸化混合物とを含む。酸化混合物はガラス形成体と網目修飾体とを含み、ガラス形成体と網目修飾体とのモル比は約0.8:1〜1.2:1の範囲である。セラミック絶縁体は、特に、スパークプラグにおいて絶縁体として用いられるよう適合されて、華氏1000度で高い絶縁耐力と1000メガオームを上回るシャント抵抗とをもたらして、スパークプラグの分路を減らし、これにより、スパークプラグが発生させる火花の質を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する特許出願の相互参照
この出願は、2003年11月12日に出願され、その全体が引用によりこの明細書中に援用される米国仮特許出願連続番号第60/519,395号に関し、その優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
この発明は概してセラミック材料に関し、より特定的には、スパークプラグの絶縁体において用いられるセラミック材料に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術
内燃機関において用いられるスパークプラグ、グロープラグおよび他のこのような装置は、約1,000℃の高温環境に晒される。一般に、スパークプラグは、内燃機関の燃焼室に延在する装置であり、その内部で空気と燃料との可燃性混合物に点火するために火花を発生させる。特に、スパークプラグは典型的には円筒形の金属シェルを含み、当該金属シェルは、エンジンの一部にねじ込まれる雄ねじを有し、さらに、スパークプラグの点火端部に取付けられたフック状の接地電極を有する。円筒形の絶縁体は、部分的に金属シェル内に配置され、金属シェルを越えて点火端部に向かって軸方向に延在する。導電端子が、円筒形の絶縁体内において、当該点火端部と反対側のスパークプラグの末端部に配置される。点火端部においては、円筒形の中心電極が絶縁体内に配置され、接地電極に向かって絶縁体から軸方向に突き出、これにより、スパークプラグギャップが当該電極間に規定される。
【0004】
動作の際に、約40,000ボルトまでの点火電圧パルスが、スパークプラグを通じて中心電極に与えられ、これにより、火花が中心電極と接地電極との間のギャップを飛び越える。この火花により燃焼室内で空気と燃料との混合物が点火されると、高温燃焼が引起されてエンジンに動力が供給される。残念ながら、燃焼室内における高電圧および高温の環境では、スパークプラグの様々な構成要素が劣化し、時間がたつと、これらの構成要素の特性に悪影響が及び、こうして、時間がたつにつれて点火パルスの強度が変化し、最終的に火花の質が低下するおそれがある。特に、セラミック絶縁体の劣化は、絶縁体を通る絶縁破壊に繋がるおそれがあるが、これにより、絶縁体を通る代替的な電気経路が設けられ、結果として、火花が中心電極と接地電極との間のギャップを確実に飛び越えることができなくなる。この火花の質は、空気と燃料との混合物の点火(すなわち、燃焼効率、燃焼温度、燃焼生成物)に影響を及ぼし、このため、エンジンの出力および燃費性能や、空気と燃料とを燃焼させることによって生じる排出物の性質にも影響を及ぼす。自動車からの排出物の規制がますます重視されつつあるので、エンジン性能および排ガス品質を一定に安定させるために上質の火花を維持することが望ましい。火花の質は、セラミック絶縁体材料の材料組成を含むいくつかの要因によって決定される。
【0005】
円筒形の絶縁体に用いられるセラミック絶縁体材料は、絶縁材料である。絶縁耐力は、概して、その絶縁破壊または電気的破壊を引起すことなく材料に印加され得る最大電界として規定される。スパークプラグなどの装置については、絶縁耐力が概して1ミル当たりキロボルト(kV/mil)で測定される。所与のスパークプラグ設計については、絶縁体寸法が決まっているので、絶縁耐力は、kV/milではなく、kVで破壊電圧として
表わされることが多い。多くの応用例において用いられる標準的なスパークプラグ設計のためのスパークプラグ絶縁耐力についての代表値は、室温で約40kVのオーダである。スパークプラグにおいて用いられるセラミック絶縁体の絶縁耐力はまた、温度の関数である。高温では、これらのセラミック材料におけるいくらかのイオンの移動度が大きくなる傾向があり、これにより、わずかな漏洩電流がセラミックを通ることが可能になる。この電流の漏洩が局所的な加熱を招き、絶縁破壊に対する材料の抵抗を徐々に低下させる。印加された電界下でのスパークプラグサイクルに対する熱応力や、それに付随する熱−電気的疲労のために、絶縁破壊に対するセラミック材料の抵抗がスパークプラグの寿命期間中に低下する傾向があることが確認された。微細構造および/または組成の変化についての正確な性質は完全に理解されているわけではないが、セラミック材料の部分的な溶解を引起すのに十分な温度にまで局所的に加熱することと関連があると考えられている。
【0006】
シャント抵抗は、セラミック、特にスパークプラグにおいて用いられるセラミックの別の測定可能な特性であり、一般にメガオームで測定される材料の電気抵抗の基準である。スパークプラグシャント抵抗についての代表値は、華氏約1000度の動作温度では約75〜125メガオームのオーダである。シャント抵抗は、典型的には、セラミック絶縁体によって加えられるかまたはこれに関連付けられる電気抵抗としてスパークプラグ上で測定される、すなわち、スパークプラグの中心電極と金属シェルとの間で測定される。言い換えれば、シャント抵抗は、中心電極と金属シェルまたはハウジングとの間のセラミック絶縁体を通る漏洩電流の量を示す。絶縁破壊が突然の離散事象となる傾向があるのに対して、低いシャント抵抗は連続的な寄生損失の形を取る傾向があり、これにより、最終的に、スパークプラグが長期間にわたって用いられた後に破局的な絶縁破損が起こる可能性が高くなるかもしれない。
【0007】
絶縁耐力および/またはシャント抵抗における絶縁破壊は、最終的に、スパークプラグの分路に繋がる。スパークプラグの分路とは、中心電極と接地電極との間のスパークギャップにわたる経路に加えて、不所望の平行な導電路が中心電極と金属ケーシングとの間に設けられている状態である。分路は、一般に、スパークプラグが発生させる火花の質に悪影響を及ぼす。絶縁破壊のために分路が発生した場合、その影響は概して破局的となる。しかしながら、シャント抵抗が低下するかまたは不十分であるために分路が発生する場合、その影響は、プラグのスパーク性能と、これにより、上述のとおりエンジンの性能とを低下させるだけであり得るか、または、結果として、スパークプラグが長期間にわたって用いられた後に破局的な誘電損失の発生する可能性を高め得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、質の高い火花の生成と高度なエンジン性能とを促進するために、高電圧および高温での長期間にわたる絶縁耐力の絶縁破壊にさほど影響を受けず、このためスパークプラグにおける分路状態にさほど影響を受けない、高いシャント抵抗を有する高度なセラミック絶縁体材料を用いてスパークプラグを製造することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
先行技術のセラミックについての上述の欠点は、特にスパークプラグなどの点火装置において絶縁体として用いられるセラミックを提供するこの発明によって克服される。このような絶縁体は、スパークプラグの分路を減らし、これにより、スパークプラグが発生させる火花の質を向上させ、かつエンジン性能を向上させるようにするために、高いシャント抵抗と絶縁破壊特性とを有する。
【0010】
この発明の一局面に従うと、セラミックは、約90〜約99重量%の量のアルミナと、
約0.01〜約1重量%の量のジルコニウム含有化合物と、約1〜約10重量%の範囲の量の酸化混合物とを含む。ジルコニウム含有化合物は、好ましくは、酸化ジルコニウム(ZrO2)を含む。酸化混合物はガラス形成体および網目修飾体を含み、ガラス形成体と網目修飾体とのモル比は約0.8:1〜1.2:1の範囲である。ガラス形成体はSiO2を含み得る。網目修飾体は、MgO、CaO、SrO、BaO Na2O、K2OおよびLi2Oのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0011】
この発明の別の局面に従うと、中心電極と、金属シェルと、当該中心電極と当該金属シェルとの間に配置された絶縁体とを含むスパークプラグが提供される。当該絶縁体は、約90〜99重量%のアルミナと、約0.01〜1重量%のジルコニウム含有化合物と、約1〜10重量%の酸化混合物とを含む。酸化混合物はガラス形成体および網目修飾体を含み、ガラス形成体と網目修飾体とのモル比は約0.8:1〜1.2:1の範囲である。ガラス形成体はSiO2を含み得る。網目修飾体は、MgO、CaO、SrO、BaO Na2O、K2OおよびLi2Oのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0012】
この発明のさらに別の局面に従うと、金属シェルと、中心電極と、当該金属シェルに配置され、当該中心電極が配置されている中心ボアを有する絶縁体とを含むスパークプラグが提供される。当該絶縁体はアルミナを含み、華氏1000度で1000メガオームを上回るシャント抵抗を有する。
【0013】
この発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および添付の図面に関連して考慮されるとより容易に理解されるだろう。添付の図面においては同様の参照番号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
好ましい実施例の詳細な説明
この発明は、概して、高温の応用例のための点火装置、たとえばスパークプラグ、点火器および他の火花発生装置に関する。図1を参照すると、概して金属シェル12、セラミック絶縁体14、中心ワイヤアセンブリ16および接地電極18を含み、内燃機関(図示せず)において用いるためのスパークプラグアセンブリ10を含む点火装置が示される。当該技術において一般に公知のとおり、シェル12はその軸方向の長さに沿って延在する中空のボア20を有する概して円筒形の導電性構成要素である。そのボア20の内部には、絶縁体14のうちの直径が狭くなった部分を支持するような大きさである一連の周囲の肩部がある。シェル12と同様に、絶縁体14はまた、細長い軸方向のボア22を備えた概して円筒形の構成要素である。絶縁体14の下方の軸端部は、概してシェル12の最下部から出て延在する先端部分24を含む。絶縁体の軸方向のボア22は、導電性の中心ワイヤアセンブリ16を受けるよう設計され、当該導電性の中心ワイヤアセンブリ16は、スパークプラグ10の軸方向の長さ全体にわたり、概して、一方の端部に端子電極30と、もう一方の端部に中心電極32とを含む。当然、ここに示される中心ワイヤアセンブリ16は典型的な実施例に過ぎず、付加的な構成要素を含み得るかまたは構成要素が省かれている。接地電極18は、シェル12の下方の軸端部に機械的かつ電気的に接続され、概してL字型の構成に形成される。中心電極32の露出された端部と接地電極18の側面とは互いに対向し、これにより、スパークプラグ10の点火端部36においてスパークギャップ34を規定する。
【0015】
動作の際に、端子電極30は、中心電極32の下方の露出された端部に到達するまで中心ワイヤアセンブリ16に沿って移動する点火システム(図示せず)から高電圧点火パルスを受ける。パルスがスパークギャップ34を埋めるのに十分なエネルギを有する場合、火花が、中心電極32と、シェル12を介してエンジンに接地される接地電極18との間に形成される。この火花が、エンジン内の燃焼室に予め注入されている燃料/空気混合物
に点火して、エンジンに動力を供給するのに用いられる燃焼プロセスを開始させる。先の説明は、点火装置の構造および動作の概要として提供された。セラミック絶縁体14についてのさらなる詳細がこの発明に従って提供される。
【0016】
この発明の絶縁体14はアルミナベースのセラミックである。一般に、アルミナベースのセラミックは、酸化混合物マトリクス中に微結晶A123粒子を含む。酸化混合物は好ましくは、概してアモルファスのガラスマトリクス、たとえばさまざまな種類のケイ酸塩ガラスであるが、酸化混合物の一部として結晶材料を含んでいてもよい。アルミナベースのセラミックは、電気抵抗が高く誘電損失が低いだけでなく、機械的強度および絶縁耐力が比較的高くなる傾向があり、比較的広い温度範囲にわたってこれらの特性を維持することが知られている。しかしながら、アルミナセラミックの特性は、材料中の不純物、熱疲労、高電圧、高い動作温度などによって劣化する。アルミナベースのセラミックにジルコニアを加えると、特にそのジルコニアが0.5〜1.0重量%の組成を含む場合、その機械的強度に良い影響を与える傾向があることが、マニング(Manning)の米国特許第4,879,260号に示されている。
【0017】
しかしながら、この発明の焦点は、アルミナベースのセラミックの機械的強度を向上させることではなく、特に点火装置での使用に適合されるように高い絶縁耐力およびシャント抵抗を有するセラミック絶縁体を提供することである。このために、行なわれた実験では、高い絶縁耐力もしくはシャント抵抗の組合せまたはこれらの両方を有するアルミナベースのセラミックを得るため、アルミナの量、酸化混合物マトリクスを含む材料および関連する量ならびにジルコニアの量を変えた。アルミナの量は、好ましくは、90〜99重量%のセラミック組成であることが分かった。酸化混合物マトリクスは、好ましくはSiO2であるがB23、P25などをも含み得るガラス形成体を含む。酸化混合物マトリクスはまた、1つ以上の網目修飾体、好ましくはCaO、MgO、BaOおよびSrOを含むが、他のアルカリ土類金属酸化物またはアルカリ金属酸化物、たとえばNa2O、K2O、Li2Oなどをも含み得る。網目修飾体はフラックスとしても公知であり得る。酸化物マトリクスはまた、Al23などの網目中間体を含み得るが、TiO2、ZnO、ZrO2などの他の網目中間体をも含み得る。Al23が酸化混合物中にいくらか溶解し得るので、Al23結晶の形である第一Al23成分と、網目中間体として作用する酸化混合物中に溶解しているAl23との間には平衡状態が存在するだろう。酸化混合物中に溶解しているAl23の量は、分析的に測定することが非常に難しいが、平衡状態図に基づき、この発明の範囲の組成に対して40重量%ほどの酸化混合物を構成すると考えられる。ジルコニア(ZrO2)などの、比較的わずかなレベルのジルコニウムベースの化合物をいくらか加えると、酸化物マトリクス内の結晶化を低減させ、さらにセラミックの機械的強度を向上させる傾向があることが分かった。結晶化により、導電率がより高くなる傾向がある。したがって、ジルコニアを加えると、セラミックの酸化混合物マトリクス部分の導電率が下がる傾向がある。
【0018】
スパークプラグ絶縁体の性能に対するセラミック材料組成の作用を判定する実験が行なわれた。セラミックは、アルキャン(Alcan)のC−761アルミナを、市販されている適量の前駆物質である酸化混合物マトリクス材料、たとえばEPKカオリン、HuberCarbの炭酸カルシウム、マグネサイト、ドロマイト、ウォラストナイトおよびイエローストーン(Yellowstone)のタルクと、そして、加熱されると酸化物を形成する適量のジロックス(Zirox)のジルコニアと混合することによって準備された。この発明のセラミック絶縁体材料を製造するのに用いられる粉末混合物組成物は、約73重量%の固体または約40容量%の固体を含む水性スラリ中でボールミル粉砕された。材料をボールミル粉砕し、次に、塔型の噴霧乾燥機において噴霧乾燥させることによって、合計で5000グラムの粉末のバッチが準備された。次いで、噴霧粒が、ドライバッグ静水圧プレス(dry-bag isostatic pressing)によって8500psiで圧縮され、絶縁体14の形状に形成さ
れ、さらに、アルミナ粒子が酸化混合物マトリクスによって相互に連結されるように絶縁体を焼結するために約3時間にわたって摂氏1590〜1630度の温度で焼かれた。
【0019】
当該実験は、材料組成の4つの変数のうちの3つの異なるレベルを評価するよう計画された。以下の表1は、実験で用いられた変数の概要を示す。ここで特定されるさまざまな材料組成はこの発明を説明および開示することを目的とし、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。実験は、バッチ03−B−17から03−B−25として識別される9つの異なるバッチの材料を用いて行なわれた。
【0020】
【表1】

【0021】
網目修飾体は一般にROという名称によって識別することができ、ROはセラミック組成中に存在する網目修飾体の総量を表わす。表1においては、RO=MgO+CaOである。概して、ROは、存在するすべての網目形成体の合計である。網目形成体がCaO、MgO、BaOおよびSrOを含む場合、RO=CaO+MgO+BaO+SrOとなる。
【0022】
さまざまなバッチの材料組成は重量%とモル量との組合せで報告される。酸化物マトリクスの組成は、この発明において用いられ得る網目修飾体の原子量の変化の度合いのために、ここではモル量で報告される。酸化混合物マトリクスにおける原子の比率は、その電気特性に大いに影響を及ぼす。カルシウム、マグネシウム、バリウムおよびストロンチウムの原子量は、著しく変化するので、ここで述べられている網目修飾体の特定の組成を達成するために重量ベースで容易に代用することができない。したがって、重量ではなくモルで酸化混合物マトリクスの成分を表わすことが好ましい。
【0023】
したがって、表2Aは、アルミナおよびジルコニアについては重量%で、そして、好ましい網目修飾体およびガラス形成体についてはモル比で、各々の材料に用いられるさまざまな実験および組成のレベルを報告する実験マトリクスである。しかしながら、表2Bは、材料をすべて重量%で報告する。同様に、表2Cは、前駆物質材料をバッチ組成ごとに重量%で報告する。
【0024】
【表2】

【0025】
【表3】

【0026】
【表4】

【0027】
絶縁体14は、上述の材料組成を用いて作製された。絶縁体は、絶縁破壊に対する抵抗についてテストされた。絶縁破壊抵抗をテストするために、絶縁体は、当該絶縁体の軸方向のボアを通る中心電極を含む取付け具に配置された。接地電極は、絶縁体の厚さが約0.100インチである地点において絶縁体の外面の周りに配置された。テスト用の取付け具および絶縁体は、当該絶縁体の周りで電流のアークが発生するのを防ぐために誘電性流体に浸された。ハイポトロニクス(Hipotronics)の絶縁テスタを用いて、絶縁体に60ヘルツの交流電界を与えた。絶縁体の絶縁破壊が発生するまで毎秒200ボルトの割合で
電圧を上げた。破損時のピーク電圧が絶縁破壊電圧として報告された。テストの結果が以下の表3に示される。
【0028】
【表5】

【0029】
平均絶縁破壊値の主作用のプロットが図2にキロボルトで示される。理解され得るように、Al23含有量のプロットは、Al23変数の3つのレベルにわたる絶縁破壊に対する抵抗の最大の増加を示す。したがって、アルミナの量は、絶縁破壊に対し最も大きな作用を有する変数であると考えられる。一般に、セラミック中のアルミナ含有量が高ければ高いほど、絶縁破壊値が高くなる傾向があり、逆の場合もまた同様である。言い換えれば、セラミックの絶縁破壊に対する抵抗の増加がアルミナの量の増加に最も依存していることが、データから明らかになる。他の変数、たとえばSiO2:ROの比率(ROはこの場合、CaO+MgOである)、CaO:ROの比率、およびジルコニアの量は、絶縁破壊に対し大きな影響を与えるものとは考えられていない。しかしながら、ジルコニア含有量の影響に関して上限または下限が観察されず、絶縁破壊性能がジルコニア含有量の増加とともに向上したので、テストされたものよりも高いジルコニア含有量を含むジルコニア含有量は、これらのセラミックの絶縁破壊性能を向上させるための有用な手段を提供し得ると考えられる。41キロボルトを上回る絶縁破壊しきい値は、この発明のセラミック調合物で繰返し達成され得ると考えられる。
【0030】
絶縁体はまた、華氏1000度でシャント抵抗のためにテストされた。シャント抵抗を測定するために、絶縁体がスパークプラグに組立てられ、接地電極が取外された。スパークプラグは、スパークプラグのシェルを受けるためのねじ孔を備え電気的に接地されたインコネル(Inconel)のプレートを含む取付け具に装着され、この取付け具は電気炉に配置された。電極は、当該炉のドアを通るリードを備えた各スパークプラグの端子上に配置された。当該炉は華氏1000度の温度で加熱され、ケースレー(Keithley)の電位計モデル番号6517Aを用いて、電気的に接地されたインコネルのプレートと端子リードとの間で各スパークプラグの抵抗が測定された。シャント抵抗テストの結果は以下の表4に示され、メガオームで報告される。
【0031】
【表6】

【0032】
平均シャント抵抗値の主作用のプロットが図3に示される。理解され得るように、SiO2対ROの比率(ROはこの場合、CaO+MgOである)の形で示されるSiO2含有量の関数としてのシャント抵抗のプロットは、シャント抵抗に対する最も大きな作用を示す。このプロットは、1.0の比率で発生するシャント抵抗に対する最大の作用を示す。ジルコニアの量は、シャント抵抗に対し2番目に大きな作用を及ぼすと考えられており、上限が約0.3重量%であり、これは、テストサンプルにおいて最大のジルコニア含有量であった。しかしながら、明確な上限または下限が認められなかったので、ジルコニア含有量が高ければ高いほどシャント抵抗値がさらに高くなり得ると考えられる。CaO対ROの比率の形でプロットに示されたCaO含有量は、シャント抵抗に対し3番目に大きな作用を及ぼすと考えられており、上限が約0.8の比率である。驚くべきことに、絶縁破壊のテストとは全く対照的に、アルミナ含有量は、シャント抵抗に対し大きな作用を及ぼさないように見えた。
【0033】
SiO2対RO比率のプロットの非直線性を説明するために、SiO2対ROの比率に対するSiO2自乗項(SiO2 squared term)を含め、重回帰分析が実行された。最初の分析により、Al23が統計的には重要ではなく、このため、最終分析についてはこの変数が除外されることが明らかになった。最終分析の結果により、回帰からのR自乗値(R-squared value)が0.98であり、重回帰モデル分析がシャント抵抗における変動のうちの98%の原因となることが示された。
【0034】
セラミックのシャント抵抗に対するマトリクスの組成の影響が図4において等高線図として示される。この等高線図は、約7000メガオームでは、SiO2:ROの比率が約1.0であり、CaO:ROの比率が約0.8であるシャント抵抗が華氏1000度で達成可能であることを示す。さらに、シャント抵抗は、SiO2:ROのモル比の変化に対する感度がCaO:ROのモル比の場合よりも高い。
【0035】
同様に、図6は、CaO、SiO2およびMgOについての平衡状態図の一部に重ね合わされ、図4の等高線図に類似している、SiO2とCaOとのモル比の関数としてのシャント抵抗の別の等高線図を示す。図5は、概してこの発明の組成に関連して用いられる領域を示し、図6においてより詳細に説明されるCaO、SiO2およびMgOの三元状
態図を概略的に示す。図6の重ね合わせに用いられる状態図は、オハイオ州(Ohio)、コロンバス(Columbus)のアメリカセラミック協会(American Ceramics Society)から入手可能である。等高線図の左端の境界は平衡状態図の左端の境界を示し、この場合、CaOおよびSiO2の量は図示のとおりに変化し、MgOの量は0である。等高線図の右端の境界は約0.8のCaO対ROのモル比によって区切られ、この場合、網目修飾体の80%はCaOであり、網目修飾体の20%はMgOである。等高線図の下方の境界および上方の境界はSiO2対ROのモル比を示し、それぞれ0.8および1.2である。等高線図の線状の境界内では、一定のシャント抵抗の部分的に楕円形であるいくつかの等高帯域が示される。この帯域は、約3500メガオームから少なくとも7000メガオームまでの範囲である。こうして、この発明のセラミック材料組成により、華氏1000度で少なくとも1000メガオーム、最も好ましくは、華氏1000度で約7000メガオームまでのシャント抵抗を有するスパークプラグの製造が可能になることが、当該等高線図から明らかになる。
【0036】
こうして、図5および図6は、これまで実行されここに開示されてきた実験に基づき、セラミックにおけるシャント抵抗の最適値が、平衡状態図においてCaO.SiO2とCaO.MgO.SiO2との間に延在する相平衡線に追従する傾向があることを示す。この実験に基づき、さらに、この発見が平衡状態図全体にわたりCaO.SiO2とMgO.SiO2との間に延在する相平衡線に沿って推定され得ると考えられる。より特定的には、最適化されたシャント抵抗は、約0.8:1〜1.2:1のSiO2対ROのモル比を有するものとして説明され得る上述の線の帯域幅内に存在すると考えられる。
【0037】
上述の実験に基づき、好ましい成分材料の範囲が決定された。セラミック材料は、90〜99重量%のアルミナ、0.01〜1重量%のジルコニウムベースの化合物、および1〜10重量%のガラス形成体と網目修飾体との酸化混合物を含み、ガラス形成体と網目修飾体との好ましいモル比は約0.8:1〜1.2:1の範囲である。ジルコニウムベースの化合物は好ましくはジルコニア(ZrO2)であるが、ジルコニウムを含有するさまざまな有機および無機化合物および/または複合物を含んでいてもよい。この発明のジルコニウム含有化合物は、ジルコニウムを含有するいかなる有機または無機化合物または複合物をも含み得るが、これにより、セラミックの焼結中にジルコニウムを酸化混合物マトリクスに混合しながらも、ジルコニウム含有化合物としてジルコニアを用いることに関してこの明細書中に示されている結果と一致するシャント抵抗および絶縁破壊抵抗を提供することも可能となる。ここで説明されたように、ジルコニアは、この発明のジルコニウム含有化合物として用いられてもよい。これは単独で用いられ得るか、または、ここに記載される他のジルコニウム含有化合物とともに用いられ得る。この発明の他のジルコニウム含有化合物は、たとえば、オルト珪酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、リン化ジルコニウム、ケイ化ジルコニウムおよび硫化ジルコニウムなどの無機ジルコニウム化合物、ならびに、ジルコニウムを含有するさまざまな有機化合物、および無機および有機複合物を含み得る。ジルコニウム含有化合物は、0.01〜1.0重量%のジルコニアに相当するジルコニウム量を含有するはずである。さらに、マニングの特許で述べられているように、ジルコニウム化合物は、一般に、不純物としていくらかのハフニウムを含有する。ジルコニウムおよびジルコニアを参照する場合、この明細書中ではハフニウムおよびハフニアがそれぞれ代用可能であり、ジルコニウムベースの化合物とハフニウムベースの化合物との混合物がジルコニウムベースの化合物の代わりに使用可能であると考えられる。これらすべてはこの発明の範囲内である。好ましくは、ガラス形成体はSiO2であり、網目修飾体はCaO、MgO、SrOおよび/またはBaOであるが、Na2O、K2O、Li2Oなどのアルカリ金属酸化物も含み得る。より特定的には、網目修飾体は、好ましくは、主にCaOと、副次的にMgOとを含む。
【0038】
より好ましい材料の範囲は、約94〜約97重量%の量のアルミナ、約0.1〜約0.
5重量%の量のジルコニア、および、約2.5〜約5.9重量%の量のガラス形成体と網目修飾体との酸化混合物を含有するセラミック材料を含み、当該ガラス形成体と網目修飾体とのモル比は約0.9:1〜1.1:1に等しく、このため、酸化混合物は以下のとおりモル式によって説明することができる。
【0039】
【数1】

【0040】
この場合、V+W+X+Y=1であり、0.8≦Z≦1.2であり、より好ましくは、0.9≦Z≦1.1である。
【0041】
さらにより好ましい範囲には、約95〜約96.5重量%の量のアルミナと、約0.25〜約0.35重量%の量のジルコニアと、約3.15〜約4.75重量%の量の酸化混合物とを含有するセラミック材料が含まれ、この場合、網目修飾体は、約0.8モル分率の量のCaOと、約0.2モル分率の量のMgOとを含む。網目修飾体は、約1.38〜約1.95重量%の量のCaOと、約0.15〜約0.43重量%の量のMgOとを含む。ガラス形成体は、約1.87〜約2.28重量%の量のSiO2を含む。
【0042】
特定の一実施例においては、セラミック材料は、約95.67重量%の量のアルミナと、約0.31重量%の量のジルコニアと、約3.94重量%の量の酸化混合物とを含む。酸化混合物は、約1.55重量%の量のCaOと、約0.27重量%の量のMgOと、約2.12重量%の量のSiO2とを含む。
【0043】
別の特定の実施例においては、セラミック材料は、約95.55重量%の量のアルミナと、約0.31%の量のジルコニアと、約2.04重量%の量のCaOと、約2.02重量%の量のSiO2とを含むが、MgOは含まない。
【0044】
さらに別の特定の実施例においては、セラミック材料は、約95.84重量%の量のアルミナと、約2.05重量%の量のCaOと、約2.03重量%の量のSiO2とを含むが、ジルコニアは含まない。
【0045】
上述のとおり、電荷担体の動きをさらに妨げるために、Al23などの網目中間体が添加されてアルミノ珪酸塩ガラスが生成され得る。好ましい一実施例に従うと、40重量%ほどの量のAl23が酸化混合物に添加されてもよい。また、酸化混合物は、10重量%までのMgOを含むカルシウムアルミノ珪酸塩ガラスであり得るか、または、網目修飾体として添加された他のアルカリ土類酸化物であり得る。
【0046】
セラミックがまた、合計で約0.01〜0.50重量%までの量のさまざまな不純物、たとえばK2O、TiO2、P25、Fe23などを含有し得ることが企図される。しかしながら、典型的にはこのような不純物は合計で約0.07〜0.30%の量で存在する。
【0047】
この実験では、SiO2と網目修飾体とのモル比が約1対1であれば、華氏800〜1200度の温度範囲にわたって最大のシャント抵抗を達成できることが明らかになる。加えて、シャント抵抗は、CaOとROとの比率が約0.8であり、ジルコニアの量がセラミックの約0.3重量%であれば、最適化される。
【0048】
さらに、ジルコニアがセラミックの機械的強度を高めるだけでなく、セラミックが形成され冷却されたときにマトリクス混合物内の結晶化を低減させることによってシャント抵抗をも向上させると考えられる。結晶相が形成されると、結果として酸化マトリクス混合物の導電性が高まり、付随的にシャント抵抗が低減する傾向がある。ジルコニアがセラミックに添加されると、ジルコニアの少なくとも一部分がガラス形成体と網目修飾体との混合物中に溶解し、その結晶化を低減させる。したがって、酸化混合物マトリクス内の結晶化を低減させることにより、ジルコニアを添加するとシャント抵抗が増大する傾向がある。それでも、ジルコニアの添加にもかかわらず、酸化混合物マトリクスは、その中に結晶相をいくらか含む可能性がある。
【0049】
この発明のセラミック材料組成は、材料が絶縁破損を受けにくくなり、このような過酷な条件下で材料のシャント抵抗が増大し、これにより、結果としてスパークプラグのシャント抵抗が付随的に増大するために、より高い電圧かつより高い動作温度でスパークプラグを動作させることを可能にする。
【0050】
この発明のセラミック材料組成は絶縁破壊に耐性があり、これにより、当該材料の電気抵抗の完全性が保たれて、高いシャント抵抗を有するスパークプラグが提供される。
【0051】
上述の教示を考慮すると、明らかに、この発明の多くの変更例および変形例が実現可能である。したがって、特に規定のない限り、この発明が添付の特許請求の範囲内で実施可能であることが理解されるはずである。この発明は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明に従ったセラミック絶縁体を有するスパークプラグを示す部分断面図である。
【図2】この発明のセラミックのいくつかの材料組成変数についての平均絶縁ピーク破壊値を示す主作用のプロットである。
【図3】この発明のセラミックのさまざまな材料組成変数についての平均シャント抵抗値を示す主作用のプロットである。
【図4】この発明のセラミック内におけるマトリクス混合物の2つの材料組成変数についての一定のシャント抵抗の線を示す等高線図である。
【図5】CaO−SiO2−MgO平衡状態図を示す概略図である。
【図6】重ね合されたシャント抵抗の等高線図を示す、CaO−SiO2−MgOについての平衡状態図の部分図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックであって、
約90〜約99重量%の量のアルミナと、
約0.01〜約1重量%の量のジルコニウム含有化合物と、
約1〜約10重量%の量の酸化混合物とを含み、
前記酸化混合物は、
ガラス形成体と、
網目修飾体とを含み、
前記ガラス形成体と前記網目修飾体とのモル比は約0.8:1〜1.2:1の範囲である、セラミック。
【請求項2】
約94〜約97重量%の量の前記アルミナと、
約0.1〜約0.5重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約2.5〜約5.9重量%の量の前記酸化混合物とを含み、
前記ガラス形成体と前記網目修飾体とのモル比は約0.9対1〜1.1対1に等しい、請求項1に記載のセラミック。
【請求項3】
約95〜約96.5重量%の量の前記アルミナと、
約0.25〜約0.35重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約3.15〜約4.75重量%の量の前記酸化混合物とを含み、前記網目修飾体は、MgO、CaO、SrO、BaO、Na2O、K2OおよびLi2Oのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のセラミック。
【請求項4】
前記網目修飾体は、
約0.7〜0.9モル分率の量のCaOと、
約0.1〜0.3モル分率の量のMgOとを含む、請求項3に記載のセラミック。
【請求項5】
前記網目修飾体は、
約0.8モル分率の量の前記CaOと、
約0.2モル分率の量の前記MgOとを含む、請求項4に記載のセラミック。
【請求項6】
前記網目修飾体は、
約1.38〜約1.95重量%の量のCaOと、
約0.15〜約0.43重量%の量のMgOとを含み、
前記ガラス形成体は、約1.87〜約2.28重量%の量のSiO2を含む、請求項3に記載のセラミック。
【請求項7】
約95.67重量%の量の前記アルミナと、
約0.31重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約3.94重量%の量の前記酸化混合物とを含む、請求項6に記載のセラミック。
【請求項8】
前記酸化混合物は、
約1.55重量%の量の前記CaOと、
約0.27重量%の量の前記MgOと、
約2.12重量%の量の前記SiO2とを含む、請求項7に記載のセラミック。
【請求項9】
合計で約0.07〜0.30重量%の量である、Fe23、TiO2、P25およびK2Oのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項8に記載のセラミック。
【請求項10】
約0.04〜0.20重量%までの量のFe23と、
約0.01〜0.05重量%までの量のTiO2と、
約0.01重量%までの量のP25と、
約0.01〜0.04重量%までの量のK2Oとを含む、請求項9に記載のセラミック。
【請求項11】
約95.55重量%の量の前記アルミナと、
約0.31重量%の量のジルコニアを含む前記ジルコニウム含有化合物と、
約2.04重量%の量のCaOと、
約2.02重量%の量のSiO2とを含む、請求項3に記載のセラミック。
【請求項12】
約0.01重量%までの量のK2Oと、
約0.02重量%までの量のTiO2と、
約0.01重量%までの量のP25と、
約0.03重量%までの量のFe23とをさらに含む、請求項11に記載のセラミック。
【請求項13】
前記網目修飾体は、MgO、CaO、SrOおよびBaOのうちの少なくとも1つを含み、
前記ガラス形成体はSiO2を含み、
前記酸化混合物は、以下のモル式、
【数1】

によって説明され、
この場合、V+W+X+Y=1であり、
0.8≦Z≦1.2である、請求項1に記載のセラミック。
【請求項14】
前記酸化混合物はカルシウムアルミノ珪酸塩ガラスを含み、
前記ジルコニウム含有化合物は、約0.05〜0.5%の量のZrO2である、請求項1に記載のセラミック。
【請求項15】
前記カルシウムアルミノ珪酸塩ガラスは、
約40重量%までの量のアルミナと、
約10重量%までの量のMgOと、
約50〜約99重量%の量のCaOおよびSiO2の残余とを含む、請求項14に記載のセラミック。
【請求項16】
前記SiO2は、約40〜約60重量%の前記CaOおよびSiO2の残余を含む、請求項15に記載のセラミック。
【請求項17】
約95.84重量%の量の前記アルミナと、
約2.05重量%の量のCaOと、
約2.03重量%の量のSiO2とを含む、請求項3に記載のセラミック。
【請求項18】
約0.01%までの量のK2Oと、
約0.02%までの量のTiO2と、
約0.01%までの量のP25と、
約0.03%までの量のFe23とをさらに含む、請求項17に記載のセラミック。
【請求項19】
スパークプラグであって、
中心電極と、
金属シェルと、
前記中心電極と前記金属シェルとの間に配置された絶縁体とを含み、
前記絶縁体は、
約90〜99重量%のアルミナと、
約0.01〜1重量%のジルコニウム含有化合物と、
約1〜10重量%の酸化混合物とを含み、前記酸化混合物は、
ガラス形成体と、
網目修飾体とを含み、
ガラス形成体と網目修飾体とのモル比は約0.8:1〜1.2:1の範囲である、スパークプラグ。
【請求項20】
約94〜約97重量%の量の前記アルミナと、
約0.1〜約0.5重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約2.5〜約5.9重量%の量の前記酸化混合物とを含み、
前記ガラス形成体と前記網目修飾体とのモル比は約0.9:1〜1.1:1に等しい、請求項19に記載のスパークプラグ。
【請求項21】
約95〜約96.5重量%の量の前記アルミナと、
約0.25〜約0.35重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約3.15〜約4.75重量%の量の前記酸化混合物とを含み、前記網目修飾体は、MgO、CaO、SrO、BaO、Na2O、K2OおよびLi2Oのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載のスパークプラグ。
【請求項22】
前記網目修飾体は、
約0.7〜0.9モル分率の量のCaOと、
約0.1〜0.3モル分率の量のMgOとを含む、請求項21に記載のスパークプラグ。
【請求項23】
前記網目修飾体は、
約0.8モル分率の量の前記CaOと、
約0.2モル分率の量の前記MgOとを含む、請求項22に記載のスパークプラグ。
【請求項24】
前記網目修飾体は、
約1.38〜約1.95重量%の量のCaOと、
約0.15〜約0.43重量%の量のMgOとを含み、
前記ガラス形成体は、約1.87〜約2.28重量%の量のSiO2を含む、請求項21に記載のスパークプラグ。
【請求項25】
約95.67重量%の量の前記アルミナと、
約0.31重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約3.94重量%の量の前記酸化混合物とを含む、請求項24に記載のスパークプラグ。
【請求項26】
前記酸化混合物は、
約1.55重量%の量の前記CaOと、
約0.27重量%の量の前記MgOと、
約2.12重量%の量の前記SiO2とを含む、請求項25に記載のスパークプラグ。
【請求項27】
合計で約0.07重量%の量である、Fe23、TiO2、P25およびK2Oのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項26に記載のスパークプラグ。
【請求項28】
約0.04重量%までの量のFe23と、
約0.01重量%までの量のTiO2と、
約0.01重量%までの量のP25と、
約0.01重量%までの量のK2Oとを含む、請求項27に記載のスパークプラグ。
【請求項29】
約95.55重量%の量の前記アルミナと、
約0.31重量%の量のジルコニアを含む前記ジルコニウム含有化合物と、
約2.04重量%の量のCaOと、
約2.02重量%の量のSiO2とを含む、請求項21に記載のスパークプラグ。
【請求項30】
約0.01重量%までの量のK2Oと、
約0.02重量%までの量のTiO2と、
約0.01重量%までの量のP25と、
約0.03重量%までの量のFe23とをさらに含む、請求項29に記載のスパークプラグ。
【請求項31】
前記網目修飾体は、MgO、CaO、SrO、BaO、Na2O、K2OおよびLi2Oのうちの少なくとも1つを含み、
前記ガラス形成体はSiO2を含み、
前記酸化混合物は以下のモル式
【数2】

によって説明され、
この場合、V+W+X+Y=1であり、
0.8≦Z≦1.2である、請求項19に記載のスパークプラグ。
【請求項32】
前記酸化混合物はカルシウムアルミノ珪酸塩ガラスであり、
前記ジルコニウム含有化合物は、約0.05〜0.5%の量のZrO2である、請求項19に記載のスパークプラグ。
【請求項33】
前記カルシウムアルミノ珪酸塩ガラスは、
約40重量%までの量のアルミナと、
約10重量%までの量のMgOと、
約50〜約99重量%の量のCaOおよびSiO2の残余とを含む、請求項32に記載のスパークプラグ。
【請求項34】
前記SiO2は、約40〜約60重量%の前記CaOおよびSiO2の残余を含む、請求項33に記載のスパークプラグ。
【請求項35】
約95.84重量%の量の前記アルミナと、
約2.05重量%の量のCaOと、
約2.03重量%の量のSiO2とを含む、請求項21に記載のスパークプラグ。
【請求項36】
約0.01重量%までの量のK2Oと、
約0.02重量%までの量のTiO2と、
約0.01重量%までの量のP25と、
約0.03重量%までの量のFe23とをさらに含む、請求項35に記載のスパークプラグ。
【請求項37】
スパークプラグであって、
金属シェルと、
中心電極と、
前記金属シェルに配置され、中心ボアを有する絶縁体とを含み、前記中心電極が前記中心ボアに配置されており、前記絶縁体はアルミナを含み、華氏1000度で1000メガオームを上回るシャント抵抗を有する、スパークプラグ。
【請求項38】
前記絶縁体は、
約90〜99重量%のアルミナと、
約0.01〜1重量%のジルコニウム含有化合物と、
約1〜10重量%の酸化混合物とを含み、前記酸化混合物は、
ガラス形成体と、
網目修飾体とを含み、
ガラス形成体と網目修飾体とのモル比は約0.8:1〜1.2:1の範囲である、請求項37に記載のスパークプラグ。
【請求項39】
約94〜約97重量%の量の前記アルミナと、
約0.1〜約0.5重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約2.5〜約5.9重量%の量の前記酸化混合物とを含み、
前記ガラス形成体と前記網目修飾体とのモル比は約0.9対1〜1.1対1に等しい、請求項38に記載のスパークプラグ。
【請求項40】
約95〜約96.5重量%の量の前記アルミナと、
約0.25〜約0.35重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約3.15〜約4.75重量%の量の前記酸化混合物とを含み、前記網目修飾体は、MgO、CaO、SrO、BaO、Na2O、K2OおよびLi2Oのうちの少なくとも1つを含む、請求項39に記載のスパークプラグ。
【請求項41】
前記網目修飾体は、
約0.7〜0.9モル分率の量のCaOと、
約0.1〜0.3モル分率の量のMgOとを含む、請求項40に記載のスパークプラグ。
【請求項42】
前記網目修飾体は、
約0.8モル分率の量の前記CaOと、
約0.2モル分率の量の前記MgOとを含む、請求項41に記載のスパークプラグ。
【請求項43】
前記網目修飾体は、
約1.38〜約1.95重量%の量のCaOと、
約0.15〜約0.43重量%の量のMgOとを含み、
前記ガラス形成体は、約1.87〜約2.28重量%の量のSiO2を含む、請求項40に記載のスパークプラグ。
【請求項44】
約95.67重量%の量の前記アルミナと、
約0.31重量%の量の前記ジルコニウム含有化合物と、
約3.94重量%の量の前記酸化混合物とを含む、請求項43に記載のスパークプラグ

【請求項45】
前記酸化混合物は、
約1.55重量%の量の前記CaOと、
約0.27重量%の量の前記MgOと、
約2.12重量%の量の前記SiO2とを含む、請求項44に記載のスパークプラグ。
【請求項46】
合計で約0.07重量%の量である、Fe23、TiO2、P25およびK2Oのうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項45に記載のスパークプラグ。
【請求項47】
約0.04重量%までの量のFe23と、
約0.01重量%までの量のTiO2と、
約0.01重量%までの量のP25と、
約0.01重量%までの量のK2Oとを含む、請求項46に記載のスパークプラグ。
【請求項48】
約95.55重量%の量の前記アルミナと、
約0.31%の量のジルコニアを含む前記ジルコニウム含有化合物と、
約2.04重量%の量のCaOと、
約2.02重量%の量のSiO2とを含む、請求項40に記載のスパークプラグ。
【請求項49】
約0.01重量%までの量のK2Oと、
約0.02重量%までの量のTiO2と、
約0.01重量%までの量のP25と、
約0.03重量%までの量のFe23とをさらに含む、請求項48に記載のスパークプラグ。
【請求項50】
前記網目修飾体は、MgO、CaO、SrO、BaO、Na2O、K2OおよびLi2Oのうちの少なくとも1つを含み、
前記ガラス形成体はSiO2を含み、
前記酸化混合物は以下のモル式
【数3】

によって説明され、
この場合、V+W+X+Y=1であり、
0.8≦Z≦1.2である、請求項38に記載のスパークプラグ。
【請求項51】
前記酸化混合物はカルシウムアルミノ珪酸塩ガラスであり、
前記ジルコニウム含有化合物は、約0.05〜0.5%の量のZrO2である、請求項38に記載のスパークプラグ。
【請求項52】
前記カルシウムアルミノ珪酸塩ガラスは、
約40重量%までの量のアルミナと、
約10重量%までの量のMgOと、
約50〜約99重量%の量のCaOおよびSiO2の残余とを含む、請求項51に記載のスパークプラグ。
【請求項53】
前記SiO2は、約40〜約60重量%の前記CaOおよびSiO2の残余を含む、請求項52に記載のスパークプラグ。
【請求項54】
約95.84重量%の量の前記アルミナと、
約2.05重量%の量のCaOと、
約2.03重量%の量のSiO2とを含む、請求項40に記載のスパークプラグ。
【請求項55】
約0.01%までの量のK2Oと、
約0.02%までの量のTiO2と、
約0.01%までの量のP25と、
約0.03%までの量のFe23とをさらに含む、請求項54に記載のスパークプラグ。
【請求項56】
前記絶縁体は、華氏1000度で4ギガオームを上回るシャント抵抗を示す、請求項37に記載のスパークプラグ。
【請求項57】
前記絶縁体は、華氏1000度で5ギガオームを上回るシャント抵抗を示す、請求項56に記載のスパークプラグ。
【請求項58】
前記絶縁体は、華氏1000度で6ギガオームを上回るシャント抵抗を示す、請求項57に記載のスパークプラグ。
【請求項59】
前記絶縁体は、華氏1000度で少なくとも7ギガオームのシャント抵抗を示す、請求項58に記載のスパークプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−510617(P2007−510617A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539761(P2006−539761)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/037401
【国際公開番号】WO2005/049523
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】