説明

スピーカーのような音響振動部材

【課題】 スピーカーのような音響振動部材から発せられる音の音域内にあって、少なくともかかる音域内にあっては、聴く者の心を所謂「和ませ」、聴く者の生活環境を改善して、生活環境病を和らげなど、健康にも配慮した音が発せられるよう工夫したもの
【解決手段】 天然黒鉛硅石を熱硬化性樹脂に混合して本体の表面に塗着してなる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジオ、テレビその他あらゆる電気、電子部材のスピーカーや、各種楽器などに用いられる音響振動部材の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より音響振動部材として、仮令えばスピーカーはその背面から出た音を活用してスピーカー音の放射効率を向上させるバスレフ方式のスピーカーシステムは発明されている。(特許文献1参照)
しかし、この種の発明は所謂不快な風切り音を低減させる目的でなされたものであるだけで、スピーカーなどから出た音が、それ自体の音(波)に加え、その音自身が所謂周囲を「和ませ」などの効果がある音響振動部材は提唱されていなかった。
【0003】
【特許文献1】特開平10−243486 要約書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して本発明は、上記スピーカーのような音響振動部材から発せられる音の音域内にあって、少なくともかかる音域内にあっては、聴く者の心を所謂「和ませ」、聴く者の生活環境を改善して、生活環境病を和らげなど、健康にも配慮した音が発せられるよう工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
而して本発明の主な特徴は、上記スピーカーなどの音響振動部材から発せられる音(波)に所謂マイナスイオンが放出されるようにしたことである。
【0006】
即ち、イオンは電気を帯びている小さな物質でその大きさは1/1000mmと言われ、肉眼ではもちろん一般の顕微鏡でさえ見ることの出来ない微粒子である。そしてこのごくごく小さな物質には、プラスの電気を帯びたもの(プラスイオン)とマイナスの電気を帯びたもの(マイナスイオン)の二種類があり、お互いに結びついてさまざまな物質を作っている。
【0007】
そして、人間は細胞の新陳代謝によって生命を維持しているほかに、呼吸を通してイオンを摂取する機能を持っており、摂取されたイオンは細胞へ運ばれ、細胞膜を介してイオン交換が行われるのである。
【0008】
このイオン交換とは、すなわち細胞内の老廃物や炭酸ガスを出して、必要な酸素や栄養素を取り入れるシステムで、そのイオンのバランスによって体のコンディションは大いに左右されるのであるが、現代社会は様々な形でプラスイオンの多い環境を作り上げてしまったのである。具体的には、日々、自動車がまき散らす排気ガスがその代表であり、これはプラスイオンを増殖させる最たるものである。
【0009】
そのほか、工場などから排出される各種の煤煙、汚染された河川や酸性雨、ゴミの焼却時に出るダイオキシン、農薬、各種食品添加物(化学物質)、毒性を持った新建材の接着剤(ホルムアルデヒド)、その他もろもろの日用品に使用される有機リン化合物質、宇宙の果てから放射されてくる放射線の類もプラスイオンを増やす元凶である。
【0010】
さらに破壊されたオゾン層から降り注がれる紫外線も、プラスイオンを作り出す大きなファクターになっている。また、近年、急速に普及したテレビやコンピュータ、電子レンジなどの各種電気・電子機器から放出される「電磁波」もプラスイオンの仲間であり、これらの重層的な影響で、マイナスイオンは激減し、プラスイオンばかりが目立って多い大気環境が作り出されたのであり、このようにしてわずか数10年の間に空気中のイオンバランスは崩れてしまったのである。
【0011】
そんな中で、マイナスイオンの多い空気は、人体の酸化物をアルカリ性に中和して、細胞内に酸素と栄養素を吸収しやすくする。しかも老廃物を排出しやすくして細胞を活性化する。つまり、人体の生理作用を快調にするとともに、人間が本来持っている自然治癒力を高める働きがあるのである。
【0012】
具体的にマイナスイオンの環境への主な作用は、科学的・電気的・放射性物質などが原因の空気汚染を浄化、新建材などから室内に気化して出てくる有害物質(ホルムアルデヒド)などを浄化、タバコの煙や不快なにおいを分解・消臭、殺菌作用(ダニの死骸・糞)による空気汚染の防止、カビの発生防止や臭いの除去、小害虫(蝦・シロアリ)の侵入防止、鉢植え植物の成長を促進が挙げられる。
【0013】
さらにマイナスイオンは人体組織を活性化して生体作用に抜群の効果として、体内細胞の酸性物質(毒素)を排泄し、アルカリ性に変えて血液の循環を高めたり、細胞の活性化作用、血液の浄化作用、アレルギー体質の改善作用、鎮痛作用があるのである。
【0014】
即ち、マイナスイオンの作用効果は、血管は拡張され、血圧は正常になり、血液はアルカリ性傾向になこと、骨は丈夫にし、利尿作用が促進され、呼吸は静減し楽になり、さらに脈拍を減少させ、疲労の回復を促進させ、自律神経機能を鎮静化するおよび、身体の発育を促進し、良好なものとするなど、特に現代生活を過ごすにあたって良い事づくめである。
【0015】
より理解を得るために、安眠を例にとったマイナスイオン効果としては、当該マイナスイオンの発生により、酸化した体内が還元され、気分が穏やかになり、その沈静効果で、興奮した神経も休まり、グッスリ眠れるのである。安眠は、ストレスの解消にもつながり、副交感神経活性の働きを助けるものとなるのである。
【0016】
よって、叙上の目的を達成するために本発明がなした手段は、天然黒鉛硅石を熱硬化性樹脂に混合して音響振動板本体の表面に塗布したということ、上記天然黒鉛硅石混合樹脂と、必要ならガラス長繊維とで音響振動板本体の表面に樹脂層を形成したということなどである。
【0017】
また、精神安定作用としてのマイナスイオンは、気持ちを落ち着かせ幸せ感を増幅させるベーター・エンドルフィンを活性化させるのである。そして脳内ベーター・エンドルフィンは、精神安定に作用し免疫力を高め、病気に打ち勝つ力を与える。
【0018】
さらに自律神経調整作用としては、不眠・頭痛・ゼンソク・リウマチ・肩凝り・腰痛・慢性疲労・神経痛・イライラ等々これらの症状はプラスイオンが影響していると言われ、自律神経のバランスをとり、頭脳は沈着冷静となり、手足は暖かい、「頭寒足熱」の健康的な体に改善するのであり、このとき血液の浄化作用としてのマイナスイオンは、この酸性血液を中和し、健全な抵抗力のある弱アルカリ性の血液に変える作用をなすのである。
【0019】
然るに本発明は、このような優れたマイナスイオンをスピーカーのような音響部材によって音(波)が発生すると同時に誘発するようにしたことである。
【0020】
そして本発明者は、先に天然黒鉛珪石(通称ブラックシリカ)が、遠赤外線を発すると同時に優れたマイナスイオンを発生する物質であることをみいだし、この天然物の黒鉛珪石は、少しの振動を与えることにより、常温でその周囲にマイナスイオンを放射するという事実に鑑みて、この黒鉛珪石の粉末を熱硬化性の樹脂に配合したことも特徴とするのである。
【0021】
なお、この場合、製品重量に対して黒鉛珪石の粉末の重量割合は0.1〜99.9重量パーセントとすることがよい。
【この発明の最良の実施例】
【0022】
この実施例で使用される黒鉛珪石(通称ブラックシリカ)は北海道の上ノ国町で天然に産され、その組成は、C :5%,シリカ(SiO):80%,Al:5%,Fe:2%,Ca, Mg 他:2%である。
【0023】
また、この黒鉛珪石を合成樹脂に配合する手段は、不飽和ポリエテテル樹脂(積層用樹脂)に黒鉛珪石の粉末を混練し均一に分散させたものである。
この天然黒鉛硅石混合樹脂を、音響振動板の内外面150〜200ミクロン位の厚さに吹付け塗装した。
【0024】
而して、この音響振動板は、天然黒鉛硅石の含有により、音響振動板のアルカリ分溶出が見られず、かつ天然黒鉛硅石中のミネラルをブリードし続け、好結果を得ている。なお、熱硬化性樹脂は、不飽和ポリエステル樹脂のほか、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等が使用可能であり、使用法は不飽和ポリエステル樹脂の場合と同様である。
【実施例】
【0025】
熱硬化性樹脂(実施例1と同様にPHが調整製造された不飽和ポリエステル樹脂)100部にナフテン酸コバルト0.5部とメチルエチルケトンパーオキサイド1部とを加えて十分混合し、その混合物に、北海道上ノ国町で産出される天然黒鉛硅石(実施例1と同様の通称及び同様の組成)30部を200メッシュ以下に粉砕して配合し、十分混合した。
【0026】
上記配合・成形方法において、不飽和ポリエステル樹脂と黒鉛珪石の粉末の重量比を99:1,95:5,90:10,67:33の各配合で混練成形した樹脂板(たて5cm×横5cm×厚さ0.5cm)について、徳島県立工業技術センターにおいて測定装置(日本電子 (株) FT−IR6500)によって39.9°Cでマイナスイオン放射率を測定した結果は下記表1及び図1のグラフに示すとおりである。これにより、黒鉛珪石を樹脂化して成形した板が常温において、マイナスイオンを放射することを確認した。
【0027】
【表1】

【0028】
図2乃至4では、本発明によって得られた天然黒鉛硅石(以下ブラックシリカという)と熱硬化性樹脂を混合してできた配合材(1)を音響スピーカーのような音響振動部材(2)の表面(3)あるいは裏面(4)に羽毛で塗布するか、あるいはスプレーガンのような器具で塗布するか、または静電塗装のような溶着などの手段で塗着する。
この場合、たとえば図4に示すようにスピーカーのような音響振動部材(2)がスピーカーボックス(5)に収容されているような場合、かかる部位にも上記配合材(1)を塗着するとよい。
【0029】
またこの実施例では、音響振動部材(2)としてスピーカーを挙げたが、勿論これに限ることはなく、たとえばギターにおけるボディーやピアノその他に使用されている所謂振動板に応用しても本発明の技術的 範疇にあるものである。
【0030】
而して、この発明に実施におけるスピーカーのような音響振動部材(2)に、電気的な作用によって音が伝えられ、その結果当該部材(2)は繰り返し振動し、所謂「音」を発するのであるが、かかる振動によって塗着されていたブラックシリカのマイナスイオン発生作用が俄かに増殖され、その結果、その音域(波)の範囲にマイナスイオンの環境を作り、これにより上記の優れた効果が生まれたのである。
【0031】
総じてこの発明に係る樹脂は、常温で遠赤外線放射機能を有する黒鉛珪石を配合したため、黒鉛珪石の遠赤外線放射機能によって樹脂全体から常温でマイナスイオンが放射されるものである。
【0032】
よって、この樹脂をスピーカー等の音響振動部材に使用すれば、常温の一般的な使用態様において簡易にマイナスイオンおよび遠赤外線の効能を享受することがでたのである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】マイナスイオンの推移を示すグラフ
【図2】スピーカーの正面斜視図
【図3】図1の矢印切断面図
【図4】スピーカーボックスの側面図
【符号の説明】
【0034】
1,配合材
2,音響振動部材
3,表面
4,裏面
5,スピーカーボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然黒鉛硅石を熱硬化性樹脂に混合して本体の表面に塗着したことを特徴とするスピーカーのような音響振動部材

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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