説明

スピーカ構造

【課題】音源となる振動部からの振動を効率よく振動板に伝えることができる事を特徴としたスピーカ構造に関する。
【解決手段】電気信号によって振動する振動部と、振動部を固定する振動部固定部と、密閉室が設けられているスピーカ筐体とで構成されており、振動部固定部は、振動部の外周部と接続固定されると共に、スピーカ筐体の密閉室のスピーカ内壁に固定し、振動部の振動表面と密閉室で囲まれた空間に流体物質で充填し、振動部の振動表面に対向するスピーカ筐体のスピーカ筐体前面は、振動部の振動によって振動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスピーカ構造に係り、特に、音源となる振動部からの振動を効率よく振動板に伝えることができる事を特徴としたスピーカ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、公共施設等に設置され、屋外の人物に連絡をするための拡声スピーカが知られている。例えば、特許文献1のように、駅ホームにおいて、電車の入出線時や扉開閉時等の乗客の安全を図るため、駅員は駅ホームに設置されたスピーカを通じて各種案内放送を行っている。このスピーカは、駅ホームにいる乗客、駅員に確実に案内放送が届くように、大音量出力の物が用いられ、更に広範囲のエリアにも届くよう複数設置されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−064723
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のスピーカは、大音量出力の物、且つ広範囲のエリアの人物にも届くように複数設置されているため、駅員、乗客のみならず、近隣にも各種案内放送が届いてしまい、迷惑となってしまっていた。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑み、駅員・乗客のみに各種案内放送を伝えるため、指向性の高い音声を出力させることができるスピーカ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、電気信号によって振動する振動部と、振動部を固定する振動部固定部と、密閉室が設けられているスピーカ筐体とで構成されており、振動部固定部は、振動部の外周部と接続固定されると共に、スピーカ筐体の密閉室のスピーカ内壁に固定し、振動部の振動表面と密閉室で囲まれた空間に流体物質で充填し、振動部の振動表面に対向するスピーカ筐体のスピーカ筐体前面は、振動部の振動によって振動することを特徴とする。
また、請求項2の発明は、電気信号によって伸縮振動する伸縮部と、密閉室が設けられているスピーカ筐体とで構成されており、伸縮部は、磁界を発生させるコイルと、コイルから発生した磁界によって素子寸法が変化する磁歪素子とで構成され伸縮部は、スピーカ筐体の密閉室の内側壁面に固定し、伸縮部を含む密閉室に流体物質で充填し、伸縮部を固定したスピーカ内壁に対向するスピーカ筐体のスピーカ筐体前面は、伸縮部の伸縮によって振動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスピーカ構造によれば、筐体内部に流体物質を充填することによって、音波の伝播速度が上がり、点音源からの音波が筐体前面に均一に加わることで平面波を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る第1のスピーカ構造の構造図である。
【図2】本発明に係る第2のスピーカ構造の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のスピーカ構造を好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施例によるスピーカ構造であり、電気信号によって振動する振動部101と、振動部101を固定する振動部固定部103と、密閉室1001が設けられているスピーカ筐体100と、振動部101の振動をスピーカ筐体100のスピーカ内壁1002に伝達するための流体物質102で構成されている。この振動部101の外周部は振動部固定部103と接続固定されており、振動部固定部103はスピーカ筐体100の密閉室1001のスピーカ内壁1002に固定されている。流体物質102は、振動部101の振動表面1011とスピーカ筐体100の密閉室1001で囲まれた空間に充填されている。
【0010】
本発明の第1の実施例の動作原理の説明を行う。
配線(不図示)から音声信号が振動部101に送られると、振動部101の振動表面1011が振動する。すると振動表面1011の振動によって、密閉室1001に充填された流体物質102、例えば水等の密度の高い流体物質に振動が伝わる。このとき、流体物質102は密閉室1001と振動部固定部103で囲まれた空間からスピーカ筐体内壁1002へ圧力が加わることとなる。すると、スピーカ筐体内壁1002のスピーカ筐体前面1003箇所は、スピーカ筐体100の他の部分よりも振動しやすくなっているため、流体物質102からの圧力が伝わり音となって出力される。このとき、流体物質102で充填されることで音の伝播速度が上がるため、スピーカ筐体前面1003のスピーカ内壁1002に均一に圧力がかかり、平面音波が出力される。なお、流体物質102が充填されていない密閉室1001の空間(空気)からスピーカ内壁1002に圧力がかかるが、スピーカ筐体前面1003を除いたスピーカ筐体100は振動しにくいため、音が出力されることはない。
【0011】
図2(a)(b)は、本発明の第2の実施例によるスピーカ構造であり、電気信号によって伸縮振動する伸縮部104と、密閉室1001が設けられているスピーカ筐体100と、伸縮部104の振動をスピーカ筐体100のスピーカ内壁1002に伝達するための流体物質102で構成されている。流体物質102は、伸縮部104とスピーカ筐体100の密閉室1001で囲まれた空間に充填されている。また、伸縮部104は、磁界によって伸縮する超磁歪素子1042と、配線(不図示)からの電気信号から磁界を発生させるコイル1042とから構成されている。
【0012】
本発明の第2の動作原理の説明を行う。
配線(不図示)から音声信号が伸縮部104に送られると、伸縮部104自体の体積が伸縮する。すると伸縮部104の伸縮によって、密閉室1001に充填された流体物質102、例えば水等の密度の高い流体物質に圧力が加わると、流体物質102はスピーカ筐体内壁1002へ圧力がかかることとなる。すると、スピーカ筐体内壁1002のスピーカ筐体前面1003箇所は、スピーカ筐体100の他の部分よりも振動しやすくなっているため、流体物質102からの圧力が伝わり音となって出力される。このとき、流体物質102はスピーカ筐体前面1003のスピーカ内壁1002に均一に圧力がかかるため、平面音波が出力される。なお、流体物質102が充填されていない密閉室1001の空間(空気)からスピーカ内壁1002に圧力がかかるが、スピーカ筐体前面1003を除いたスピーカ筐体100は振動しにくいため、音が出力されることはない。
【0013】
上記のようなスピーカを用いることによって、指向性の高い音声を出力することができる。
【符号の説明】
【0014】
100・・・ スピーカ筐体
1001・・・ 密閉室
1002・・・ スピーカ内壁
1003・・・ スピーカ筐体前面
101・・・ 振動部
1011・・・ 振動表面
102・・・ 流体物質
103・・・ 振動部固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号によって振動する振動部(101)と、前記振動部を固定する振動部固定部(103)と、密閉室(1001)が設けられているスピーカ筐体(100)とで構成されており、
前記振動部固定部は、前記振動部の外周部と接続固定されると共に、前記スピーカ筐体の前記密閉室のスピーカ内壁(1002)に固定し、
前記振動部の振動表面(1011)と前記密閉室で囲まれた空間に流体物質(102)で充填し、
前記振動部の前記振動表面に対向する前記スピーカ筐体のスピーカ筐体前面(1003)は、前記振動部の振動によって振動することを特徴とするスピーカ構造。
【請求項2】
電気信号によって伸縮振動する伸縮部(104)と、密閉室が設けられているスピーカ筐体(100)とで構成されており、
前記伸縮部は、磁界を発生させるコイル(1041)と、前記コイルから発生した磁界によって素子寸法が変化する磁歪素子(1042)とで構成され
前記伸縮部は、前記スピーカ筐体の密閉室(1001)の内側壁面に固定し、
前記伸縮部を含む前記密閉室に流体物質(102)で充填し、
前記伸縮部を固定したスピーカ内壁(1002)に対向する前記スピーカ筐体のスピーカ筐体前面(1003)は、前記伸縮部の伸縮によって振動することを特徴とするスピーカ構造。

【図1】
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【図2】
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