説明

スピーカ

【課題】スピーカにおいて、被取付体への取付けに必要なスペースを小さくする。
【解決手段】スピーカ1は、スピーカ本体10と、スピーカ本体10を被取付体(例えばテレビジョン受像機等の電子機器装置の筐体)に取付けるための取付部30とを備える。スピーカ1は、取付部30の嵌込孔30oが被取付体の突出部に嵌込まれて、被取付体に取付けられる。取付部30は、金属板によりスピーカ本体10のフレーム14と一体的に形成されており、フレーム14の側端(スピーカ本体10の側端)からスピーカ本体10の背後側に折り曲げられた後方延出部31と、後方延出部31からスピーカ本体10の内側に折り曲げられた内方延出部32とを有する。内方延出部32の一部が、スピーカ本体10の背後側において、スピーカ本体10に重なっている。内方延出部32に、嵌込孔30oが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテレビジョン受像機等の電子機器装置に搭載され、電気信号を音に変換して出力するスピーカに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スピーカにおいて、図5(a)(b)、図6(a)(b)、図7(a)(b)に示す構成のものが知られている。このスピーカ80は、スピーカ本体81を被取付体90に取付けるための取付部82を備えており、取付部82に設けられた嵌込孔82oを被取付体90に設けられた突出部91に嵌込むことにより、被取付体90に取付けられる。被取付体90は、例えばテレビジョン受像機等の電子機器装置の筐体である。
【0003】
スピーカ80は、スピーカ本体81の正面側を被取付体90の前壁92に設けられた通音部92oに対向させた姿勢で、被取付体90に取付けられる。スピーカ本体81の正面側の部位と被取付体90の前壁92との間には、取付用厚紙87及び取付用スポンジ88が介在される。取付用スポンジ88は、取付用厚紙87と被取付体90の前壁92との間に介在されて、スピーカ本体81によって取付用厚紙87を介して前壁92に押付けられる。また、取付部82に設けられた嵌込孔82oと被取付体90に設けられた突出部91との間には、取付用ゴム89が介在される。
【0004】
取付部82は、スピーカ本体81の長手方向(図中矢印Xで示す方向と平行な方向)における両側端から、スピーカ本体81の長手方向における外側に突出した位置に設けられている。取付部82は、金属板によりスピーカ本体81のフレーム83と一体的に形成されており、側方延出部84と、後方折曲部85とを有する。側方延出部84は、フレーム83からスピーカ本体81の長手方向における外側に延出している。後方折曲部85は、側方延出部84からスピーカ本体81の背後側に折り曲げられている。すなわち、後方折曲部85は、折り曲げによる折り目のラインがスピーカ本体81の背後側から正面側に向かう方向(図中矢印Zで示す方向)と交差するように(スピーカ本体81の長手方向と平行となるように)、側方延出部84からスピーカ本体81の背後側に90度の折り曲げ角度で折り曲げられている。後方折曲部85に嵌込孔82oが設けられている。
【0005】
また、金属板によりスピーカ本体のフレームと一体的に形成された取付部を備え、この取付部は、スピーカ本体の長手方向の両側端からスピーカ本体の長手方向における外側に折り曲げられて、スピーカ本体の長手方向における外側に延出する部分を有し、この外側に延出する部分に、スピーカ本体を被取付体に取付けるための孔を設けたスピーカが知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−19170号公報
【特許文献2】特開2008−258753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来のスピーカ80においては、取付部82は、スピーカ本体81の長手方向における両側端から、スピーカ本体81の長手方向における外側に突出した位置に設けられている。このため、スピーカ80の長手方向のサイズが大きくなってしまう。その結果、スピーカ80を搭載する電子機器装置の設計の自由度が低く、スピーカ80を搭載する電子機器装置のデザイン性を向上するのが困難であった。
【0008】
また、取付部82における嵌込孔82oの設けられている後方折曲部85は、折り曲げによる折り目のラインがスピーカ本体81の背後側から正面側に向かう方向と交差するように、折り曲げられている。このため、後方折曲部85の折り曲げ精度が悪くて、後方折曲部85の折り曲げ角度が適正な角度(90度)からずれている場合や、スピーカ80を被取付体90に取付けるときに不要な力が加わって、後方折曲部85の折り曲げ角度が適正な角度から変化してしまった場合には、スピーカ本体81は、スピーカ本体81の背後側から正面側に向かう方向が被取付体90の前壁92に対して垂直とならない不適正な姿勢で、被取付体90に取付けられてしまう。このような不適正な姿勢でスピーカ本体81が被取付体90に取付けられてしまうと、被取付体90の前壁92と取付用スポンジ88との間に隙間ができたり、取付用スポンジ88が不均一な力で被取付体90の前壁92に押付けられることになり、その結果、スピーカ80から出力される音質や音圧が劣化してしまう。なお、上述した特許文献1及び特許文献2に開示の内容を適用したとしても、上記の問題を解決することはできない。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、被取付体への取付けに必要なスペースを小さくすることができるスピーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、永久磁石、ボイスコイル、及び振動板がフレームに支持された構成のスピーカ本体と、このスピーカ本体を被取付体に取付けるための取付部とを備え、取付部に設けられた嵌込孔が被取付体に設けられた突出部に嵌込まれて、被取付体に取付けられるスピーカにおいて、取付部は、その少なくとも一部がスピーカ本体の背後側においてスピーカ本体に重なるように設けられているものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載のスピーカにおいて、スピーカ本体を被取付体に取付けるために用いる付属部品として、スピーカ本体の正面側の部位と被取付体との間に介在される取付用スポンジをさらに備えるものである。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載のスピーカにおいて、スピーカ本体を被取付体に取付けるために用いる付属部品として、取付部に設けられた嵌込孔と被取付体に設けられた突出部との間に介在される取付用ゴムをさらに備えるものである。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のスピーカにおいて、取付部は、金属板により形成されており、スピーカ本体の背後側に延出する後方延出部と、折り曲げによる折り目のラインが後方延出部の延出方向と平行となるように、後方延出部からスピーカ本体の内側に折り曲げられて、スピーカ本体の背後側においてスピーカ本体の内側に延出する内方延出部とを有し、内方延出部の少なくとも一部がスピーカ本体の背後側においてスピーカ本体に重なり、内方延出部に嵌込孔が設けられているものである。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のスピーカにおいて、フレームは、金属板により形成されており、取付部は、金属板によりフレームと一体的に形成されており、フレームからスピーカ本体の背後側に折り曲げられて、スピーカ本体の背後側に延出する後方延出部と、折り曲げによる折り目のラインが後方延出部の延出方向と平行となるように、後方延出部からスピーカ本体の内側に折り曲げられて、スピーカ本体の背後側においてスピーカ本体の内側に延出する内方延出部とを有し、内方延出部の少なくとも一部がスピーカ本体の背後側においてスピーカ本体に重なり、内方延出部に嵌込孔が設けられているものである。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のスピーカにおいて、スピーカ本体は、該スピーカ本体の背後側から正面側に向かって該スピーカ本体の中心を通る直線を中心線とし、該中心線を回転軸とした180度の回転について、回転対称な形状に構成されており、取付部は、一対のものがあり、一対の取付部の各々に嵌込孔が設けられており、一対の取付部は、本スピーカの所定の第1の姿勢において、一対の取付部の各々に設けられた嵌込孔が被取付体に設けられた一対の突出部に嵌込まれ得ると共に、本スピーカを第1の姿勢に対して中心線を回転軸として180度回転させた本スピーカの第2の姿勢においても、一対の取付部の各々に設けられた嵌込孔が被取付体に設けられた一対の突出部に嵌込まれ得る、ように構成されているものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至請求項3の発明によれば、取付部の少なくとも一部がスピーカ本体の背後側においてスピーカ本体に重なるように設けられているため、スピーカのサイズを小型化することができ、被取付体への取付けに必要なスペースを小さくすることができる。これにより、スピーカを搭載する電子機器装置の設計の自由度が高まり、スピーカを搭載する電子機器装置のデザイン性を向上することができる。
【0017】
請求項4及び請求項5の発明によれば、取付部における嵌込孔の設けられている内方延出部は、折り曲げによる折り目のラインが後方延出部の延出方向(すなわち、スピーカ本体の背後側から正面側に向かう方向)と平行となるように、折り曲げられている。このため、内方延出部の折り曲げ精度が悪くて、内方延出部の折り曲げ角度が適正な角度からずれている場合や、内方延出部の嵌込孔を被取付体の突出部に嵌込むときに不要な力が加わって、内方延出部の折り曲げ角度が適正な角度から変化してしまった場合でも、スピーカ本体は、スピーカ本体の背後側から正面側に向かう方向が適正な方向となる適正な姿勢で、被取付体に取付けられる。これにより、スピーカ本体の正面側の部位と被取付体との間に取付用スポンジが介在される構成において、取付用スポンジを均一な力で被取付体に押付けることができて、スピーカから出力される音質や音圧の劣化を防ぐことができ、安定した音質や音圧を確保することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、電子機器装置に左右2つのスピーカを搭載する場合に、これらのスピーカとして同種のスピーカを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に係るスピーカ及び被取付体の概略構成を示す、スピーカを被取付体に取付けた状態の斜視図、(b)は同スピーカを被取付体から取外した状態の斜視図。
【図2】(a)は同スピーカの背後側から見た斜視図、(b)は同スピーカの背後側から見た分解斜視図。
【図3】(a)は同スピーカの正面側から見た斜視図、(b)は同スピーカの正面側から見た分解斜視図。
【図4】(a)は同スピーカの背後側から見た分平面図、(b)は同スピーカの側面図、(c)は同スピーカの別の方向から見た側面図。
【図5】(a)は従来のスピーカ及び被取付体の概略構成を示す、スピーカを被取付体に取付けた状態の斜視図、(b)は同スピーカを被取付体から取外した状態の斜視図。
【図6】(a)は同スピーカの背後側から見た斜視図、(b)は同スピーカの正面側から見た分解斜視図。
【図7】(a)は同スピーカの正面側から見た斜視図、(b)は同スピーカの正面側から見た分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態によるスピーカについて図面を参照して説明する。図1(a)(b)、図2(a)(b)、図3(a)(b)、図4(a)(b)(c)は、本実施形態によるスピーカの構成を示す。スピーカ1は、例えばテレビジョン受像機等の電子機器装置に搭載され、電気信号を音に変換して出力する装置である。スピーカ1は、被取付体70に取付けられて、電子機器装置に搭載される。被取付体70は、例えば電子機器装置の筐体である。
【0021】
スピーカ1は、電気信号を音に変換して出力するためのスピーカ本体10と、音に変換する電気信号を入力するための電気信号入力部20と、スピーカ本体10を被取付体70に取付けるための一対の取付部30(30a、30b)とを備える。
【0022】
スピーカ本体10は、永久磁石11と、ボイスコイル12と、振動板13と、フレーム14とを有しており、永久磁石11、ボイスコイル12、及び振動板13がフレーム14に支持された構成になっている。
【0023】
フレーム14は、金属板により形成されている。フレーム14は、振動板13を囲む形状に形成されており、振動板13は、フレーム14に囲まれた空間内に配置されている。フレーム14には、振動板13の振動により発生した音をスピーカ1の外部に放つための放音口14oが形成されている。放音口14oは、振動板13の正面側に設けられており、振動板13の正面側が放音口14oに臨んでいる。永久磁石11、ボイスコイル12は、振動板13の背後側に設けられている。振動板13の振動により発生した音は、放音口14oからスピーカ1の外部に放たれる。
【0024】
スピーカ本体10において、放音口14oの設けられている側(振動板13が放音口14oに臨んでいる側であって、振動板13の振動により発生した音が放音口14oから放たれる側)がスピーカ本体10の正面側であり、スピーカ本体10の正面側と反対側(永久磁石11の設けられている側)がスピーカ本体10の背後側である。スピーカ本体10の正面側の表面(フレーム14の正面側の表面)は、平面状に形成されており、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かう方向に対して垂直な平面になっている。図中矢印Zで示す方向が、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かう方向である。
【0025】
スピーカ本体10は、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かう方向に垂直な面内において、長手方向、及び短手方向を有する形状に構成されている。すなわち、スピーカ本体10は、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かう方向に垂直な面内において、ある方向(長手方向)に長いと共にその方向と直交する方向(短手方向)に短い形状に構成されている。図中矢印Xで示す方向と平行な方向が、スピーカ本体10の長手方向であり、図中矢印Yで示す方向と平行な方向が、スピーカ本体10の短手方向である。
【0026】
また、スピーカ本体10は、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かってスピーカ本体10の中心を通る直線を中心線Cとすると、中心線Cを回転軸とした180度の回転について、回転対称な形状に構成されている。
【0027】
電気信号入力部20は、導電性の入力端子21が絶縁性の端子台22に設けられた構成になっており、フレーム14に取付けられている。電気信号入力部20は、スピーカ本体10の背後側において、スピーカ本体10の長手方向における永久磁石11の側方に配置されている。入力端子21とボイスコイル12との間には、音に変換する電気信号を入力端子21からボイルコイル12に伝達するための伝達用電気信号線(不図示)が接続されている。入力端子21には、音に変換する電気信号をスピーカ1に入力するための入力用電気信号線(不図示)が接続される。
【0028】
取付部30aは、スピーカ本体10の長手方向における一方側の側端に設けられており、取付部30bは、スピーカ本体10の長手方向における他方側の側端に設けられている。取付部30a、30bは、各々、その一部がスピーカ本体10の背後側において、スピーカ本体10に重なるように設けられている。取付部30a、30bには、各々、被取付体70に設けられた突出部71に嵌込むための嵌込孔30oが設けられている。
【0029】
取付部30a、30bは、各々、後方延出部31と、内方延出部32とを有する。後方延出部31は、スピーカ本体10の長手方向におけるフレーム14の側端からスピーカ本体10の背後側に延出している。内方延出部32は、スピーカ本体10の背後側において、後方延出部31からスピーカ本体10の内側に延出している。内方延出部32の一部が、スピーカ本体10の背後側において、スピーカ本体10に重なっている。内方延出部32に、嵌込孔30oが設けられている。
【0030】
後方延出部31及び内方延出部32(すなわち、取付部30a、30b)は、金属板によりフレーム14と一体的に形成されている。後方延出部31は、スピーカ本体10の長手方向におけるフレーム14の側端からスピーカ本体10の背後側に90度の折り曲げ角度で折り曲げられて形成されている。内方延出部32は、折り曲げによる折り目のラインが後方延出部31の延出方向(すなわち、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かう方向)と平行となるように、後方延出部31からスピーカ本体10の内側に90度の折り曲げ角度で折り曲げられて形成されている。
【0031】
取付部30aの嵌込孔30oと取付部30bの嵌込孔30oは、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かう方向と平行な方向に関して、スピーカ本体10の正面(フレーム14の正面)からの距離が等しい位置に設けられている。また、取付部30aの嵌込孔30oと取付部30bの嵌込孔30oは、スピーカ本体10の長手方向に関して、対称な位置に設けられている。すなわち、取付部30aの嵌込孔30oと取付部30bの嵌込孔30oは、スピーカ本体10の長手方向に関して、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かってスピーカ本体10の中心を通る中心線Cからの距離が等しい位置に設けられている。また、取付部30aの嵌込孔30oと取付部30bの嵌込孔30oは、共に、スピーカ本体10の短手方向に関して、スピーカ本体10の短手方向におけるセンター位置に設けられている。
【0032】
従って、取付部30aの嵌込孔30oと取付部30bの嵌込孔30oは、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かってスピーカ本体10の中心を通る中心線Cを回転軸とした180度の回転について、回転対称な位置に設けられている。
【0033】
ここで、被取付体70について説明する。被取付体70は、一対の突出部71(71a、71b)と、底壁72と、前壁73とを備える。上述のように、被取付体70は、例えば電子機器装置の筐体である。一対の突出部71(71a、71b)、底壁72、及び前壁73は、樹脂により一体的に形成されている。
【0034】
前壁73は、底壁72から垂直に立ち上がっている。前壁73には、スピーカ1から放たれた音を通すための多数の微細孔から成る通音部73oが形成されている。通音部73oは、通音部73oの中心から底壁72までの距離がスピーカ本体10の中心からスピーカ本体10(フレーム14)の短手方向の端縁までの距離と等しくなるように形成されている。
【0035】
突出部71a、71bは、各々、底壁72から垂直に突出している。すなわち、突出部71a、71bは、互いに平行に延びており、また、前壁73とも平行に延びている。突出部71aと突出部71bとの間隔は、スピーカ1の取付部30aの嵌込孔30oと取付部30bの嵌込孔30oとの間隔と等しく、突出部71a、71bの長さ(底壁72から先端までの距離)は、スピーカ本体10の短手方向のいずれの端縁から取付部30a、30bの嵌込孔30oまでの距離よりも長い。
【0036】
また、突出部71a、71bは、前壁73に平行に並んで設けられており、前壁73に垂直な方向に関して、前壁73からの距離が等しい位置に設けられている。また、突出部71a、71bは、突出部71a、71bの並び方向(底壁72と前壁73の両方に平行な方向)に関して、通音部73oの位置を基準として、対称な位置に設けられている。すなわち、突出部71aと突出部71bは、突出部71a、71bの並び方向に関して、前壁73に垂直に通音部73oの中心を通る直線Fからの距離が等しい位置に設けられている。
【0037】
スピーカ1は、スピーカ本体10の正面側を被取付体70の前壁73(通音部73o)に対向させた姿勢で、取付部30a、30bの嵌込孔30oが被取付体70の突出部71に嵌込まれて、被取付体70に取付けられる。
【0038】
上記取付部30a、30bの嵌込孔30oの構成、及び上記突出部71a、71bの構成により、取付部30a、30bの嵌込孔30oは、スピーカ1の姿勢が異なる第1、第2の2通りの嵌込み方で、被取付体70の突出部71a、71bに嵌込むことが可能になっている。
【0039】
第1の嵌込み方は、取付部30aの嵌込孔30oを被取付体70の突出部71aに嵌込むと共に、取付部30bの嵌込孔30oを被取付体70の突出部71bに嵌込む嵌込み方である。この嵌込み方におけるスピーカ1の姿勢を第1の姿勢とする。第2の嵌込み方は、取付部30bの嵌込孔30oを被取付体70の突出部71aに嵌込むと共に、取付部30aの嵌込孔30oを被取付体70の突出部71bに嵌込む嵌込み方である。この嵌込み方におけるスピーカ1の姿勢を第2の姿勢とする。第2の姿勢は、スピーカ1を第1の姿勢に対して中心線Cを回転軸として180度回転させた姿勢である。
【0040】
すなわち、一対の取付部30a、30bは、スピーカ1の第1の姿勢において、一対の取付部30a、30bの各々に設けられた嵌込孔30oが被取付体70に設けられた一対の突出部71a、71bに嵌込まれ得ると共に、スピーカ1を第1の姿勢に対して中心線Cを回転軸として180度回転させたスピーカ1の第2の姿勢において、一対の取付部30a、30bの各々に設けられた嵌込孔30oが被取付体70に設けられた一対の突出部71a、71bに嵌込まれ得る、ように構成されている。
【0041】
また、スピーカ1は、スピーカ本体10を被取付体70に取付けるために用いる付属部品として、取付用厚紙40と、取付用スポンジ50と、取付用ゴム60とを備える。
【0042】
取付用厚紙40、及び取付用スポンジ50は、スピーカ1を被取付体70に取付けたときに、スピーカ本体10の正面側の部位(フレーム14の正面側の部位)と被取付体70の前壁73との間に隙間を生じさせないように、スピーカ本体10の正面側の部位(フレーム14の正面側の部位)と被取付体70の前壁73との間に介在させる部材である。
【0043】
取付用厚紙40は、均一の厚みに形成されており、中央に開口40oが形成されている。取付用厚紙40は、開口40oがフレーム14の放音口14oに合わさるように、スピーカ本体10の正面側の部位(フレーム14の正面側の部位)に接着されている。
【0044】
取付用スポンジ50は、均一の厚みに形成されており、中央に開口50oが形成されている。取付用スポンジ50は、開口50oが取付用厚紙40の開口40oに合わさるように、取付用厚紙40に接着されている。すなわち、取付用スポンジ50は、開口50oがフレーム14の放音口14oに合わさるように、取付用厚紙40を介して、スピーカ本体10の正面側の部位(フレーム14の正面側の部位)に接着されている。
【0045】
取付用厚紙40、及び取付用スポンジ50の厚みは、スピーカ1を被取付体70に取付けたときに、取付用スポンジ50がスピーカ本体10によって取付用厚紙40を介して被取付体70の前壁73に押付けられる寸法に設計されている。
【0046】
取付用ゴム60は、スピーカ1を被取付体70に取付けたときに、取付部30の嵌込孔30oと被取付体70の突出部71との間に隙間を生じさせないように、取付部30の嵌込孔30oと被取付体70の突出部71との間に介在させる部材である。取付用ゴム60は、円筒状に形成されており、貫通孔60oが形成されている。取付用ゴム60は、変形させることにより、取付部30の嵌込孔30oに着脱されるようになっている。
【0047】
次に、スピーカ1の被取付体70への取付方法について説明する。スピーカ1は、以下のようにして、被取付体70に取付けられる。
【0048】
まず、取付用ゴム60を取付部30の嵌込孔30oに嵌込んで、取付用ゴム60を取付部30に取付ける。続いて、取付用ゴム60を取付部30に取付けた状態で、取付部30の嵌込孔30oを被取付体70の突出部71に嵌込む。すなわち、取付部30に取付けられた取付用ゴム60の貫通孔60oを被取付体70の突出部71に嵌込む。このとき、スピーカ本体10の正面側を被取付体70の前壁73(通音部73o)に対向させて、第1の姿勢又は第2の姿勢で、取付用スポンジ50を被取付体70の前壁73に押し付けながら、取付部30に取付けられた取付用ゴム60の貫通孔60oを被取付体70の突出部71に嵌込む。
【0049】
そして、取付部30に取付けられた取付用ゴム60の貫通孔60oを被取付体70の突出部71に嵌込んだ状態で、スピーカ1を底壁72側に押し込んで、スピーカ本体10(フレーム14)の短手方向の端縁を被取付体70の底壁72に当接させる。これにより、スピーカ1が被取付体70に取付けられる。スピーカ1は、このようにして、被取付体70に取付けられる。
【0050】
スピーカ1が被取付体70に取付けられた状態では、スピーカ本体10の正面側の部位(フレーム14の正面側の部位)と被取付体70の前壁73との間に、取付用スポンジ50が圧縮された状態で介在され、取付部30に設けられた嵌込孔30oと被取付体70に設けられた突出部71との間に、取付用ゴム60が介在される。
【0051】
なお、図1(a)(b)では、スピーカ1を第1の姿勢で(取付部30aの嵌込孔30oを突出部71aに嵌込むと共に、取付部30bの嵌込孔30oを突出部71bに嵌込んで)被取付体70に取付けた場合を図示している。スピーカ1を第2の姿勢で(取付部30bの嵌込孔30oを突出部71aに嵌込むと共に、取付部30aの嵌込孔30oを突出部71bに嵌込んで)被取付体70に取付けた場合には、電気信号入力部20の位置(及び向き)が、第1の姿勢で取付けた場合と逆になる。
【0052】
このような構成のスピーカ1によれば、取付部30の一部がスピーカ本体10の背後側においてスピーカ本体10に重なるように設けられているため、スピーカ1のサイズを小型化することができ、被取付体70への取付けに必要なスペースを小さくすることができる。これにより、スピーカ1を搭載する電子機器装置の設計の自由度が高まり、スピーカ1を搭載する電子機器装置のデザイン性を向上することができる。
【0053】
しかも、取付部30における嵌込孔30oの設けられている内方延出部32は、折り曲げによる折り目のラインが後方延出部31の延出方向(すなわち、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かう方向)と平行となるように、折り曲げられている。このため、内方延出部32の折り曲げ精度が悪くて、内方延出部32の折り曲げ角度が適正な角度(90度)からずれている場合や、内方延出部32の嵌込孔30oを被取付体70の突出部71に嵌込むときに不要な力が加わって、内方延出部32の折り曲げ角度が適正な角度から変化してしまった場合でも、スピーカ本体10は、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かう方向が適正な方向(前壁73に対して垂直な方向)となる適正な姿勢で、被取付体70に取付けられる。これにより、取付用スポンジ50を均一な力で被取付体70の前壁73に押付けることができて、スピーカ1から出力される音質や音圧の劣化を防ぐことができ、安定した音質や音圧を確保することができる。
【0054】
また、スピーカ本体10は、スピーカ本体10の背後側から正面側に向かってスピーカ本体10の中心を通る中心線Cを回転軸とした180度の回転について、回転対称な形状に構成されている。そして、一対の取付部30a、30bは、スピーカ1の所定の第1の姿勢において、一対の取付部30a、30bの各々に設けられた嵌込孔30oが被取付体70に設けられた一対の突出部71a、71bに嵌込まれ得ると共に、スピーカ1を第1の姿勢に対して中心線Cを回転軸として180度回転させた第2の姿勢において、一対の取付部30a、30bの各々に設けられた嵌込孔30oが被取付体70に設けられた一対の突出部71a、71bに嵌込まれ得る、ように構成されている。これにより、電子機器装置に左右2つのスピーカ1を搭載する場合に、スピーカ1を左右で共用することができる。すなわち、電子機器装置に左右2つのスピーカ1を搭載する場合に、これらのスピーカ1として同種のスピーカを用いることができる。
【0055】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、取付部は、樹脂により形成されたものがスピーカ本体のフレームに取付けられていてもよい。また、スピーカ本体のフレームは、樹脂により形成されていてもよい。この場合、取付部は、樹脂によりフレームと一体的に形成されていてもよいし、金属板により形成されたものがフレームに取付けられていてもよい。
【0056】
また、取付用スポンジは、被取付体の一部として、被取付体の前壁に接着されていてもよい。この場合、取付用厚紙は、スピーカ本体の正面側の部位(フレームの正面側の部位)に接着されていてもよいし、被取付体の一部として、被取付体の前壁に接着された取付用スポンジに接着されていてもよい。また、取付用厚紙は、設けられていなくてもよい。この場合、取付用スポンジは、スピーカ本体の正面側の部位(フレームの正面側の部位)に直接に接着されていてもよいし、被取付体の一部として、被取付体の前壁に接着されていてもよい。また、取付用ゴムは、被取付体の一部として、被取付体の突出部に設けられていてもよい。この場合、取付用ゴムは、突出部の一部として、突出部と一体的に形成されていてもよい。また、被取付体は、電子機器装置の筐体とは別体に構成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 スピーカ
10 スピーカ本体
11 永久磁石
12 ボイスコイル
13 振動板
14 フレーム
14o 放音口
20 電気信号入力部
21 入力端子
22 端子台
30、30a、30b 取付部
30o 嵌込孔
31 後方延出部
32 内方延出部
40 取付用厚紙
40o 開口
50 取付用スポンジ
50o 開口
60 取付用ゴム
60o 貫通孔
70 被取付体
71、71a、71b 突出部
72 底壁
73 前壁
73o 通音部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石、ボイスコイル、及び振動板がフレームに支持された構成のスピーカ本体と、このスピーカ本体を被取付体に取付けるための取付部とを備え、
前記取付部に設けられた嵌込孔が前記被取付体に設けられた突出部に嵌込まれて、前記被取付体に取付けられるスピーカにおいて、
前記取付部は、その少なくとも一部が前記スピーカ本体の背後側において前記スピーカ本体に重なるように設けられている、ことを特徴とするスピーカ。
【請求項2】
前記スピーカ本体を前記被取付体に取付けるために用いる付属部品として、前記スピーカ本体の正面側の部位と前記被取付体との間に介在される取付用スポンジをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記スピーカ本体を前記被取付体に取付けるために用いる付属部品として、前記取付部に設けられた嵌込孔と前記被取付体に設けられた突出部との間に介在される取付用ゴムをさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記取付部は、
金属板により形成されており、
前記スピーカ本体の背後側に延出する後方延出部と、
折り曲げによる折り目のラインが前記後方延出部の延出方向と平行となるように、前記後方延出部から前記スピーカ本体の内側に折り曲げられて、前記スピーカ本体の背後側において前記スピーカ本体の内側に延出する内方延出部とを有し、
前記内方延出部の少なくとも一部が前記スピーカ本体の背後側において前記スピーカ本体に重なり、
前記内方延出部に前記嵌込孔が設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のスピーカ。
【請求項5】
前記フレームは、金属板により形成されており、
前記取付部は、
前記金属板により前記フレームと一体的に形成されており、
前記フレームから前記スピーカ本体の背後側に折り曲げられて、前記スピーカ本体の背後側に延出する後方延出部と、
折り曲げによる折り目のラインが前記後方延出部の延出方向と平行となるように、前記後方延出部から前記スピーカ本体の内側に折り曲げられて、前記スピーカ本体の背後側において前記スピーカ本体の内側に延出する内方延出部とを有し、
前記内方延出部の少なくとも一部が前記スピーカ本体の背後側において前記スピーカ本体に重なり、
前記内方延出部に前記嵌込孔が設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のスピーカ。
【請求項6】
前記スピーカ本体は、該スピーカ本体の背後側から正面側に向かって該スピーカ本体の中心を通る直線を中心線とし、該中心線を回転軸とした180度の回転について、回転対称な形状に構成されており、
前記取付部は、一対のものがあり、
前記一対の取付部の各々に前記嵌込孔が設けられており、
前記一対の取付部は、本スピーカの所定の第1の姿勢において、前記一対の取付部の各々に設けられた前記嵌込孔が前記被取付体に設けられた一対の突出部に嵌込まれ得ると共に、本スピーカを前記第1の姿勢に対して前記中心線を回転軸として180度回転させた本スピーカの第2の姿勢においても、前記一対の取付部の各々に設けられた前記嵌込孔が前記被取付体に設けられた一対の突出部に嵌込まれ得る、ように構成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のスピーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−70160(P2013−70160A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206098(P2011−206098)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】