説明

スプライス継ぎ目

【課題】多様の織物部分を接合するスプライス継ぎ目を提供する。
【解決手段】多様の織物部分を接合するスプライス継ぎ目が開示されており、織物部分102,104は初めにそれらの構成層106A,106B,108A,108Bに離層される。その後、各織物部分に関連した層120A,120B,130A,130Bは、互いに挟み込まれ、一緒に結合される。挟み込まれた層の各々の面積の量は、織物部分の間での荷重支持強度を所望のレベルに達成させるために調節することができる。その上、スプライス継ぎ目100は、出来上がった継ぎ目の強度を高めるために外部及び/又は内部継ぎ目テープを利用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、織物の部分を接合するために使用される継ぎ目に関する。より詳細には、本発明は、飛行船用の気嚢を作成するために2つ以上の織物部分を一緒に接合するためのスプライス継ぎ目に関する。特に、本発明は、継ぎ目接合部を横切って加えられる荷重を平衡させる一方で、その周辺での応力集中を低減させるスプライス継ぎ目に向けられている。
【背景技術】
【0002】
小型軟式飛行船、軽航空機、飛行船、空気より軽い乗り物及び高高度飛行船と呼ばれる従来の飛行船は、ヘリウムのような多量の揚力ガスを含む不浸透性気嚢を有する。気嚢は、典型的には、多様な継ぎ目によって接合される織物の多様な部分を含む。飛行船のサイズのために、要求される継ぎ目の数は重要である。
【0003】
ほとんどの飛行船の気嚢を形成するために一般に使用される1つのタイプの先行技術の継ぎ目は、図面の図1に示されるように、総括的に符号10で参照される突合せ接合継ぎ目である。突合せ接合継ぎ目10は、飛行船の作動要件に適合するための弾力性及び許容可能な耐久性を有することがわかっている。突合せ接合継ぎ目10は、織物の少なくとも第1及び第2の対向する部分12及び14を準備し、これら部分の対向する縁部を互いに近接して位置させることにより形成され、その結果、縁部が当接するか僅かに離間されて接合区域15を形成する。代わりとして、織物の縁部12及び14は、接合区域15を形成するように僅かに互いにオーバーラップしてもよいが、そのような配置は典型的には回避される。織物部分12及び14の各々は、一緒に接着積層される直線層16A,16Bとフィルム/バイアス層18A,18Bとから成っていてよい。ここで用いられているように、接尾辞Aは織物部分12に関連し、接尾辞Bは織物部分14に関連する。飛行船に組み入れられた時、直線層16A,16Bは気嚢の内側容積に面する一方、フィルム/バイアス層18A,18Bは外側環境に面する。さらに、織物部分12,14の各々は外側及び内側接着面20及び22をそれぞれ備える。織物部分12及び14は、外側接着面20及び内側接着面22にそれぞれ接着積層される接着剤付カバーテープ24及び接着剤付継ぎ目テープ26を用いて接合される。換言すれば、カバーテープ24は外側面20に接着配置される一方、継ぎ目テープ26は積層態様で内側面22に適用される。継ぎ目テープ26は、継ぎ目10に加えられる力により生じる荷重を分散するのに対し、カバーテープ24は、直線層16A,16B及びフィルム/バイアス層18A,18Bの露出した縁部をUV放射のような環境的影響力から保護する一方で、気嚢の揚力ガス保持特性を高める。さらに、フィルム/バイアス層18A,18Bの外側面20及びカバーテープ24はアルミニウム皮膜を維持しており、この皮膜は、飛行船の気嚢を構成する織物部分12,14及び継ぎ目10を通る揚力ガスの浸出を低減させる役目をする。
【0004】
上述した突合せ接合継ぎ目10は単一の継ぎ目テープ26を利用しているが、継ぎ目10の強度及び耐久性をさらに高めることは有益である。この強度の増大を達成する1つの方法は、カバーテープ24を他の継ぎ目テープ26に取り替えることにより、二重テープ突合せ接合継ぎ目を形成することである。残念ながら、第2の継ぎ目テープが取り付けられるフィルム/バイアス層18A,18Bは、飛行船の主荷重支持方向(フープ(hoop)及び軸方向)における継ぎ目10の荷重支持部材ではないので、フィルム/バイアス層18A,18Bへの継ぎ目テープ26の利用は、継ぎ目10にかなりの強度を付加することはない。従って、従来の継ぎ目配置を使用する飛行船の設計者は、一般に、単一の継ぎ目テープ26を利用する突合せ接合の使用により達成される強度に制限されている。
【0005】
その上、突合せ接合継ぎ目10が飛行船の気嚢の形成におけるような織物の大きな部分を接合するために使用される場合、著しい量の継ぎ合わせ区域が生成され、構造テープ26及びカバーテープ24の使用により、飛行船に望ましくない重量を与える。さらに、突合せ接合継ぎ目10が形成される際、突合せ接合継ぎ目10の継ぎ目テープ26が単に織物部分12,14の内側面22に適用されるので、継ぎ目10に加えられた荷重は、不均衡な態様で継ぎ目の内側面を横切って分配される。その上、不均衡な分配のために、突合せ接合継ぎ目10の内側面は、接合部15のまわりで織物部分12,14の接着境界に存在し得る欠陥のためのバックアップを備えることなしに、応力集中を生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、継ぎ目の重量を減らすために、継ぎ目テープやカバーテープを利用しないか、あるいは、カバーテープだけを省いたスプライス継ぎ目を必要とされている。その上、スプライス継ぎ目の接合部を横切って適用荷重からの力を均一に分配できるスプライス継ぎ目を必要とされている。さらに、荷重が加えられたときに応力集中を軽減するスプライス継ぎ目を必要とされている。さらになお、ヘリウム浸出性を低減したスプライス継ぎ目を必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記に鑑みて、スプライス継ぎ目のためのシステム及び方法を提供することが、本発明の第1の様相である。
【0008】
本発明の他の他の様相は、各々がバリヤー層及び直線層を含む第1及び第2の織物部分を包含し、バリヤー層が内側及び外側バリヤー面を有し、直線層がそれぞれ内側及び外側面を有しているスプライス継ぎ目において、第2の織物部分の直線層及びバリヤー層は、第2の織物部分のバリヤー層の外側バリヤー面が第1の織物部分のバリヤー層の内側バリヤー面に隣接し、且つ第2の織物部分の直線層の内側面が第1の織物部分の直線層の外側面に隣接するように、第1の織物部分の直線層及びバリヤー層の間に配置され、層の各々が隣接した層に接着剤で結合される、スプライス継ぎ目である。
【0009】
本発明のさらに他の様相は、各々がバリヤー層及び直線層を含む第1及び第2の織物部分を包含し、バリヤー層が内側及び外側バリヤー面を有し、直線層が内側及び外側面を有しているスプライス継ぎ目において、第1及び第2の織物部分のバリヤー層が第1の接着領域で接着配置され、第2の織物部分の直線層及びバリヤー層が第2の接着領域で結合され、第1及び第2の織物部分の直線層が第3の接着領域で結合される、スプライス継ぎ目である。
【0010】
本発明のさらなる他の様相は、継ぎ目を形成するようにそれらの縁部で当接し、外側及び内側直線面を有する少なくとも2つの直線層;内側テープ面及び外側テープ面を有し、直線層を接合するように継ぎ目を横切って外側直線面に接着配置される内部継ぎ目テープ;及び、第1のバリヤー層が内部継ぎ目テープの外側テープ面に接着配置されるとともに、第2のバリヤー層が第1のバリヤー層に接着配置される少なくとも2つのバリヤー層を包含する、スプライス継ぎ目である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、下記説明、特許請求の範囲及び添付図面に関して一層よく理解されるであろう。
【0012】
本発明の概念によるスプライス継ぎ目は、図面の図2A及び2Bに示されるように総括的に符号100で参照される。スプライス継ぎ目100の特有の形態について述べる前に、継ぎ目に使用される構成要素について全般的に述べる。以下の説明のため、使用される用語「直線層」は、互いに実質的に垂直をなすたて糸及びよこ糸で構成された織物を指す一方、ここに使用される用語「バリヤー層」あるいは「バイアス層」は、互いに対して垂直をなすが、直線層織物の糸に対して約45度の角度をなすように直線層織物に積層されるたて糸及びよこ糸で構成された織物を指す。しかしながら、バイアス方位を持っていても持っていなくても、また織り繊維や不織繊維を使用する織物を使用できることが認識されよう。ここに示された図面のすべては、継ぎ目の分解図であることが認識されるべきである。分解図は、多種の継ぎ目構成要素の位置関係を明確に示すために使用されている。組み立てられた継ぎ目の多種の構成要素は、示された位置の方位において互いに接触関係にあることが認識されよう。また、比較的大きな織物部分が飛行船気嚢あるいは他の同様の構造物を形成するために互いに接合されるので、継ぎ目の一部分だけの図が示されていることが認識されよう。
【0013】
スプライス継ぎ目100は、織物102及び104の2つの部分から形成される。各織物部分102/104は、互いに接着積層されるバリヤー層106A/106B及び直線層108A/108Bを含む。ここに使用されているように、参照文字Aは織物部分102に関連する構成要素を識別する一方、参照文字Bは織物部分104に関連する構成要素を識別するために使用される。バリヤー層106A/Bと直線層108A/Bを一緒に結合するのに使用される接着剤は、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)あるいは、例えば熱硬化性接着剤を含む他の適切な接着剤から成ることが認識されるべきである。バリヤー層106A及び106Bはそれぞれ、例えば熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)のような適切な接着剤により一緒に積層されるバリヤーフィルム110A/110B及び布バイアス層112A/112Bを含む。バリヤーフィルム110A/110Bは、KAPTON(登録商標)のブランドのフィルム材料あるいは揚力ガスを通さない他の同様な材料から成る一方、直線層108A/108B及び/又はバイアス層112A/112Bは、例えばVECTRAN(登録商標)のブランドの糸から形成される織物のような任意の高引張応力・高強度・低伸度の織物から成っていてよい。その上、織物102/104の一般的な構造は、ここで参照される米国特許出願第11/231,569号において述べてある。続いて、バリヤー層106A/106Bはそれぞれ縁部120A/120Bを有する一方、直線層108A/108Bはそれぞれ縁部130A/130Bを有する。さらに、直線層108A/108B及び/又はバイアス層112A/112Bは、高引張応力・高強度・低伸度の織物を使用して形成されるが、低引張応力及び/又は低強度及び/又は高伸度を有する他の織物が採用され得ることが認識されるべきである。
【0014】
継ぎ目100を形成するために、織物部分102及び104は最初に部分的に離層され、それにより、バリヤー層106A/106B及び対応する直線層108A/108Bはお互いに分離されて、完成したスプライス継ぎ目100を形成するために使用される多様の対向面を作る。離層工程は、織物部分102,104へ熱を加えることから始められ、バリヤー層106A/106Bと直線層108A/108Bとの間に配置された接着剤が流れるかさもなければ溶け始めて、層106A/106B及び108A/108Bの各々を別個に分離できるまで、行われる。また、直線層108A/108B及びバリヤー層106A/106Bは、完成した織物部分102及び104を形成するために最初に接着積層することなしに、別個に提供されてよいことが考えられる。しかしながら、直線層108A/108B及びバリヤー層106A/106Bは、典型的には、継ぎ目形成の効率及び速度を高めるように、ここで述べる多様の継ぎ目を形成する以前に接着積層される。
1つの様相では、層106A/B,108A/Bは、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)あるいは、例えば熱硬化性接着剤を含む他の適切な接着剤例えば熱硬化性接着剤を使用して、一緒に結合されてよい。
【0015】
一度織物部分102及び104が離層され分離されると、直線層108A/108Bはそれぞれ外側対向面140A/140B及び内側対向面142A/142Bを露出する。これに対し、バリヤー層106A及び106Bはそれぞれ外側バリヤー面144A/144B及び内側バリヤー面146A/146B146を露出する。次に、第1の織物部分102のバリヤー層106A及び直線層108Aは、第2の織物部分104のバリヤー層106B及び直線層108Bを挟み込む。この挟み込み配置を達成するために、直線層108B部分におけるバリヤー層106Bは、直線層108Bの外側直線対向面140Bに接着面152が露出されるように変更される。バリヤー層106Bのこの変更は、バリヤー層106Bの縁部120Bから一部分を切り取ることにより、あるいは、バリヤー層106Bを直線層108Bに結合する接着剤を加熱し直線層108Bの縁部130Bから離してバリヤー層106Bの縁部120Bを切り取って接着面152を露出させることによって、遂行され得る。次に、第1の織物部分102のバリヤー層106A及び直線層108Aは、第2の織物部分104のバリヤー層106B及び直線層108Bをそれらの間に挟入できるように分離される。特に、この挟み込み配置は、直線層108Bの内側対向面142Bが直線層108Aの外側対向面面140Aに隣接する一方、直線層108Bの外側対向面140Bがバリヤー層106Bの内側バリヤー面146Bに隣接するように構成されている。最後に、外側対向面140Bに設けられた接着面152はバリヤー層106Aの内側バリヤー面146Aに隣接する一方、バリヤー層106Bの外側バリヤー面144Bはバリヤー層106Aの内側バリヤー面146Aに隣接するようにして、継ぎ目100は完成する。
【0016】
図2Aに、そしてより明確には図2Bに示されるように、第1及び第2の織物部分102,104を挟み込んだ後、バリヤー層106B及び直線層108A,108Bの縁部120B及び130A−130Bにより多数の段部162,164,170,180及び182が形成される。さらに、ここで述べた多様の構造段部は多種の層106A−B,108A−Bの縁部に起因するが、バリヤー層106A,106B及び直線層108A,108Bの相対的な厚さのため、実際の継ぎ目における多様の段部は一般に物理的に明瞭なものではないことが認識されるべきである。続いて、多様の段部領域と縁部との相対的間隔(すなわちオーバラップ)は、第1及び第2の織物部分102及び104の間で生起される結合強度の量を限定する。従って、バリヤー層106A/106Bと直線層108A,108Bが上述したように挟み込まれると、層106A−B,108A−Bの各々は、織物部分102,104の間での所望レベルの結合を達成するために、それらの段部162,164,170,180,182と縁部120A/B及び130A/Bに関して横方向に整えられてよい。そのため、縁部130Aと縁部130Bとの距離は、直線層108A及び108Bの間の接着領域190を限定する。同様に、縁部120Bと段部170との距離は、直線層108Bとバリヤー層106Bとの間の他の接着領域192を限定する一方、段部182と段部180との距離は、直線層108Bとバリヤー層106Aとの間の接着領域194を限定する。最後に、段部180と縁部120Aとの距離は、バリヤー層106B及び106Aの間の接着領域196を限定する。図2A及び2Bから明らかなように、各接着領域190−196によって確立される距離は、第1及び第2の織物部分102及び104の間での所望の結合力を達成するように横方向に調節されてよい。
【0017】
一度層106A/B及び108A/Bが上述した方法で方向付けされると、これらの層はその接着領域190−196で一緒に結合される。しかしながら、第1及び第2の織物部分102,104を形成するバリヤー層106A,B及び直線層108A,Bは、あらかじめ接着剤を積層されているので、スプライス継ぎ目100を形成するために追加の接着剤を継ぎ目100の対向する面の各々に配置する必要は恐らくない。換言すれば、離層工程からの残余の接着剤は再度使用される。1つの様相では、直線層108A及び108Bの間の接着領域190の幅は、約6.35センチメートル(2.5インチ)でよいが、必須ではない。直線層108A及び108Bは荷重支持層であるので、接着領域190の幅は、それに加わる荷重の力分配を充分に与えるように寸法付けされる。
同様に、バリヤー層106A及び106Bの接着領域196の幅は、例えば約2.54センチメートル(1.0インチ)でよい。さらに、フィルム/バイアス層106A及び106Bは荷重を支持しないので、接着領域196の幅は、荷重を支持する接着領域190の幅よりも小さく形成されてよい。
【0018】
本発明の他の様相において、総括的に符号200で指定された代りのスプライス継ぎ目は、図面の図3A及び3Bに示されている。スプライス継ぎ目200は、縁部130Bがバリヤー層106Bの縁部120Bを越えて延びていないこと及び外部継ぎ目テープ202が導入されていることを除き、スプライス継ぎ目100と実質的に同じである。継ぎ目テープ202は内側及び外側テープ面204及び206を有し、直線層108A/108Bを構成する同じ織物から成っていてよく、飛行船の気嚢を形成するのに適したあらゆる材料が利用されてもよい。外部継ぎ目テープ202の外側テープ面206は、テープ202の中心線が直線層108Aの縁部130Aと整合するように、両直線層108A及び108Bの内側対向面142A及び142Bに積層態様で接着配置される。バリヤー層106B及び直線層108Bの縁部120B及び130Bは互いに整合するので、図2A及び2Bに示されている接着領域194及び接着面152は不要である。外部継ぎ目テープ202の幅により限定された接着領域210は、外部継ぎ目テープ202と直線層108A及び108Bの間で生起される。外部継ぎ目テープ202のこのような方向付けは、直線層108A及び108Bの間で追加の結合力を与える一方、各直線層108A及び108Bの間で継ぎ目200に加えられる力を均一に平衡させる役目をする。従って、図3A及び3Bに示されるようなスプライス継ぎ目200は、図1に示されるような先行技術の突合せ接合継ぎ目よりも2倍の荷重支持能力を備えることができる。1つの様相では、接着領域210は、例えば約6.35センチメートル(2.5インチ)の幅を有していてよい。接着領域196は約3.18センチメートル(1.25インチ)の幅を有していてよく、また接着領域190及び192も約3.18センチメートル(1.25インチ)の幅を有していてよい。
【0019】
図4A及び4Bに示されるように、代りのスプライス継ぎ目は、総括的に符号300で指定されている。継ぎ目30は、織物部分102,104の層106A/B及び108A/Bを一緒に結合するのに初めに使用されていた接着剤を露出させるように織物部分102,104を離層することにより、前述したように形成されてよい。特に、スプライス継ぎ目300は、第1及び第2の直線層108A及び108Bがそれぞれの縁部130A及び130Bに沿って当接されて接合部310を形成するように構成されている。換言すれば、各織物部分102,104は、当接するか僅かに離間するように互いに隣接して位置される対向縁部を有する。接合部310の両側で外側対向面140A及び140Bには、外側積層帯域312A及び312Bが限定される。直線層108A及びBを接合するため、外側テープ面322及び内側テープ面324を有する内部継ぎ目テープ320が使用される。特に、内部継ぎ目テープ320の外側テープ面322は、直線層108A,108Bを一緒に接合するように積層帯域312A及び312B上に配置される。積層帯域312A及び312Bの幅を変えることによって、直線層108A/108Bと内部継ぎ目テープ320との間で多様の結合力を実現できることが認識されるべきである。その上、バリヤー層106A及び106Bは、第1のバリヤー層106Aの内側バリヤー面146Aが内部継ぎ目テープ320の外側テープ面322に配置される一方、バリヤー層106Bの内側バリヤー面146Bが第1のバリヤー層106Aの外側バリヤー面144Aに配置されて、継ぎ目300を完成するように、方向付けされている。
【0020】
一度バリヤー層106A及びBと直線層108A及びBとが内部継ぎ目テープ320に配置されると、一対の段部340及び342が第1及び第2のバリヤー層106A及び106Bに形成される。そのため、縁部120Aと段部340との距離により限定される接着領域330が、バリヤー層106A及び106Bの間で形成される一方、縁部120Bと段部342との距離により限定される接着領域332が、内部継ぎ目テープ320とバリヤー層106Aとの間で形成される。従って、接着領域330及び332の幅を変えることによって、第1及び第2の織物部分102及び104の間での多様の結合力が実現され得る。1つの様相では、継ぎ目300は、内部継ぎ目テープ320が約6.35センチメートル(2.5インチ)の幅を有し、また接着領域332が約3.18センチメートル(1.25インチ)の幅を有するように構成されてよい。
【0021】
本発明の他の実施例において、総括的に符号400で参照されるスプライス継ぎ目は、図面の図5A及び5Bに示されている。スプライス継ぎ目400は、外部継ぎ目テープ202を追加されていることを除き、図4A及び4Bに示される上述のスプライス継ぎ目300と実質的に同じである。接合部310の両側で直線層108A及び108Bの内側対向面142A及び142Bには、内側積層帯域410A及び410Bが限定される。継ぎ目400を完成するため、外部継ぎ目テープ202の外側テープ面206は、それぞれの直線層108A及び108Bを接合するように内側積層帯域410A及び410Bに接着積層される。従って、内部継ぎ目テープ320と共に外部継ぎ目テープ202を利用することによって、継ぎ目400は接合部310を横切って加えられる荷重を有効に平衡させる一方、接合部310のまわりでの応力集中を軽減させ信頼性を増加させることができる。
【0022】
本発明の概念に従うスプライス継ぎ目の他の実施例は、図面の図6A及び6Bに示されるように総括的に符号500で参照される。本実施例のスプライス継ぎ目500は、図5A及び5Bに示されるスプライス継ぎ目400と実質的に同じであるが、内部継ぎ目テープ320の使用を省き外部継ぎ目テープ202だけを利用すように変更されている。継ぎ目500は、初めに織物部分102及び104をそれらの構成層106A/B及び108A/Bに離層することによって、形成される。次に、バリヤー層106A/Bと直線層108A/Bは、直線層108A及び108Bがそれらの縁部130A及び130Bで当接し接合部310により離間されるように、挟み込まれる。外側テープ202は、図5A及び5Bに示される継ぎ目400に関して前述したように、積層帯域410A及び410Bに接着配置される。バリヤー層106A/Bと直線層108A/Bは、バリヤー層106Aの内側バリヤー面146Aが直線層108A及び108Bの外側対向面140A及び140Bに隣接するように構成されている。そして、バリヤー層106Aの外側バリヤー面144Aの一部分は、バリヤー層106Bの内側バリヤー面146Bに隣接する。その上、バリヤー層106Aの縁部120Aは接合部310を越えて延び、その結果、接着領域420はバリヤー層106Aと両直線層108A及び108Bとの間で生起される。さらに、バリヤー層106Bの縁部120Bと段部520との距離は、バリヤー層106Aの外側バリヤー面144Aとバリヤー層106Bの内側バリヤー面146Bとの間の接着領域422を限定する。
【0023】
外部継ぎ目テープ202は、継ぎ目500を完成するように外側積層帯域410A−Bを介して直線層108A/108Bに接着積層される。さらに、積層帯域410A−B及び420は、直線層108A,108Bと外部継ぎ目テープ202との間の結合力を変えるように調節されてよい。1つの様相では、外部テープ202は約6.35センチメートル(2.5インチ)の幅でよく、また接着領域422は約2.54センチメートル(1.0インチ)の幅でよい。
【0024】
図7Aと7Bは、本発明の概念によるスプライス継ぎ目の他の実施例を示し、総括的に符号600で参照される。継ぎ目600は、離層された時にバリヤー層106A,106B及び直線層108A,108Bの多様の面を露出される織物部分102及び104を包含する。一度離層されると、織物部分102のバリヤー層106A及び直線層108Aは、織物部分104のバリヤー層106Bと直線層108Bとの間に配置される。織物部分102及び104を挟み込む前に、内部継ぎ目テープ320は、内部継ぎ目テープの略中心線が直線層108Aの縁部130Aと整合するように、バリヤー層106A−Bと直線層108A−Bとの間に配置される。換言すれば、挟み込まれた層106A−B及び108A−Bと内側継ぎ目テープ320は、外側テープ面322がバリヤー層106A−Bの内側バリヤー面146A及び146Bの一部分に隣接するとともに、内側テープ面324が直線層108A及び108Bの外側対向面140A及び140Bに隣接するように、方向付けされる。一度、バリヤー層106A−B、直線層108A−B及び内側継ぎ目テープ320が上述し図示のように方向付けされると、これらは前述したように一緒に接着積層される。
【0025】
内部継ぎ目テープ320と多様の層106A/B,108A/Bと内側継ぎ目テープ320との挟み込み方向付けは、第2のバリヤー層106Bに段部510及び512を生起する一方、第1のバリヤー層106A及び第2の直線層108Bにはそれぞれ段部514及び段部516が形成される。さらに、内部継ぎ目テープ320の略中心線が第1の直線層108Aの縁部130Aと大体整合するので、内部継ぎ目テープ320は、多様の織物縁部120A−B,130A−B及び段部510−516によりそれぞれ限定される4つの接着領域520,522.524,526に配分される。接着領域520及び522は、内部継ぎ目テープ320の外側テープ面322とバリヤー層106A/Bのそれぞれの内側バリヤー面146A及び146Bとの間で方向付けされる。従って、縁部120Bと段部510との距離は、内側バリヤー面146Bと外側バリヤー面144Aとの間の接着領域520を限定する。その上、段部510及び512の距離は、バリヤー層106Bの内側バリヤー面146Bと内部継ぎ目テープ320の外側テープ面322との間の接着領域522を限定する。接着領域524及び526は、内部継ぎ目テープ320の内側テープ面324と直線層108A/Bのそれぞれの外側対向面140A及び140Bとの間で方向付けされる。従って、直線層108Aの縁部130Aと段部514との距離は、直線層108Aの外側対向面140Aと内部継ぎ目テープ320の内側テープ面324との間の接着領域524を限定する。その上、段部516と段部512との距離は、直線層108Bの外側対向面140Bと内部継ぎ目テープ320の内側テープ面324との間の接着領域526を限定する。前述したように、接着領域520−526の距離を変えることによって、織物部分102及び104の間の結合強度の量が変更され得る。
【0026】
従って、本発明の1つ以上の実施例における1つの利点は、飛行船を作るのに使用されるスプライス継ぎ目が継ぎ目テープの使用を排除し、出来上がった継ぎ目の重量を軽減できることであることが認識されよう。本発明の概念によるスプライス継ぎ目の他の利点は、飛行船の気嚢を形成するのに利用される垂直継ぎ目のような継ぎ目のまたぎ(crossover)を防ぐために、スプライス継ぎ目のバリヤー層と直線層との間で継ぎ目テープが利用できることである。ここに記載された多様のスプライス継ぎ目の実施例を飛行船の構造に使用することは、ヘリウム浸出性(より少ないヘリウムの漏れ)を低減し、そして望ましくない応力集中を軽減する。また、記載されたスプライス継ぎ目は、先行技術の同じ幅の突合せ接合継ぎ目に対して約2倍の強度を備えていると信じられる。
【0027】
本発明を幾つかの実施例に関して相当詳細に説明したが、他の実施例も可能である。
従って、特許請求の範囲の精神及び範囲は、ここに含まれる実施例の記載に制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】先行技術の突合せ接合継ぎ目の部分的に破断した斜視図である。
【図2A】本発明の概念に従うスプライス継ぎ目の部分的に破断した分解斜視図である。
【図2B】本発明の概念による図2Aに示したスプライス継ぎ目の分解正面図である。
【図3A】本発明の概念に従い、外部継ぎ目テープを利用するスプライス継ぎ目の一実施例の部分的に破断した分解斜視図である。
【図3B】本発明の概念による図3Aに示したスプライス継ぎ目の分解正面図である。
【図4A】本発明の概念に従い、内部継ぎ目テープを利用するスプライス継ぎ目の他の実施例の部分的に破断した分解斜視図である。
【図4B】本発明の概念による図4Aに示したスプライス継ぎ目の分解正面図である。
【図5A】本発明の概念に従い、内部及び外部継ぎ目テープを利用するスプライス継ぎ目のさらに他の実施例の部分的に破断した分解斜視図である。
【図5B】本発明の概念による図5Aに示したスプライス継ぎ目の分解正面図である。
【図6A】本発明の概念に従い、第1及び第2の突合せ直線織物部分及び外部継ぎ目テープを利用するスプライス継ぎ目の更なる他の実施例の部分的に破断した分解斜視図である。
【図6B】本発明の概念による図6Aに示したスプライス継ぎ目の分解正面図である。
【図7A】本発明の概念に従い、内部継ぎ目テープを利用するスプライス継ぎ目の更なる実施例の部分的に破断した分解斜視図である。
【図7B】本発明の概念による図7Aに示したスプライス継ぎ目の分解正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がバリヤー層及び直線層を含む第1及び第2の織物部分を包含し、前記バリヤー層が内側及び外側バリヤー面を有し、前記直線層がそれぞれ内側及び外側面を有しているスプライス継ぎ目において、
前記第2の織物部分の前記直線層及び前記バリヤー層は、前記第2の織物部分の前記バリヤー層の前記外側バリヤー面が前記第1の織物部分の前記バリヤー層の前記内側バリヤー面に隣接し、且つ前記第2の織物部分の前記直線層の前記内側面が前記第1の織物部分の前記直線層の前記外側面に隣接するように、前記第1の織物部分の前記直線層及び前記バリヤー層の間に配置され、前記層の各々が隣接した層に接着剤で結合される、スプライス継ぎ目。
【請求項2】
前記バリヤー層がバリヤーフィルム及びバイアス布を含む、請求項1記載のスプライス継ぎ目。
【請求項3】
前記第1及び第2の織物部分の前記直線層の外側面に接着配置される外部継ぎ目テープをさらに包含する、請求項1記載のスプライス継ぎ目。
【請求項4】
内側継ぎ目面及び外側継ぎ目面を有し、前記第1及び第2の織物部分の前記バリヤー層及び前記直線層の間で接着配置される内部継ぎ目テープをさらに包含する、請求項1記載のスプライス継ぎ目。
【請求項5】
各々がバリヤー層及び直線層を含む第1及び第2の織物部分を包含し、前記バリヤー層が内側及び外側バリヤー面を有し、前記直線層が内側及び外側面を有しているスプライス継ぎ目において、
前記第1及び第2の織物部分の前記バリヤー層が第1の接着領域で接着配置され、前記第2の織物部分の前記直線層及び前記バリヤー層が第2の接着領域で結合され、前記第1及び第2の織物部分の前記直線層が第3の接着領域で結合される、スプライス継ぎ目。
【請求項6】
前記第1の接着領域において、前記第2の織物部分の前記バリヤー層の前記外側バリヤー面が前記第1の織物部分の前記バリヤー層の前記内側バリヤー面に隣接する、請求項5記載のスプライス継ぎ目。
【請求項7】
前記第2の接着領域において、前記第1の織物部分の前記直線層の内側直線面が前記第1の織物部分の前記直線層の前記外側直線面に隣接する、請求項6記載のスプライス継ぎ目。
【請求項8】
第3の接着領域において、前記第2の織物部分の前記内側バリヤー面及び前記外側直線面が互いに隣接する、請求項7記載のスプライス継ぎ目。
【請求項9】
継ぎ目を形成するようにそれらの縁部で当接し、外側及び内側直線面を有する少なくとも2つの直線層;
内側テープ面及び外側テープ面を有し、前記直線層を接合するように前記継ぎ目を横切って前記外側直線面に接着配置される内部継ぎ目テープ;及び
第1のバリヤー層が前記内部継ぎ目テープの前記外側テープ面に接着配置されるとともに、第2のバリヤー層が前記第1のバリヤー層に接着配置される少なくとも2つのバリヤー層を包含する、スプライス継ぎ目。
【請求項10】
継ぎ目を横切って前記少なくとも2つの直線層の外側直線面に接着配置される外部継ぎ目テープをさらに包含する、請求項9記載のスプライス継ぎ目。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2008−255553(P2008−255553A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−1126(P2008−1126)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(596134851)ロッキード・マーチン・コーポレーション (30)
【Fターム(参考)】