説明

スプリンクラヘッド

【課題】半田に常時かかる荷重によって半田が横方向に広がろうとして感熱板にその力が作用しても感熱板の変形が抑制され、且つ効率良く半田を加熱することを可能にしたスプリンクラヘッドを得る。
【解決手段】フランジ52aが形成されたプランジャ52と、プランジャ52のフランジ52a上に設けられた半田55と、半田55の上部に取り付けられ、シリンダを構成する感熱板53とからなる感熱部51を有するスプリンクラヘッド1において、感熱板53の垂直部53aの外周に設けられ、感熱板53の垂直部53aの半径方向に広がりを抑制する筒状の補強部材80を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスプリンクラヘッドには、例えば、半田がピストンとシリンダとの間に挟まれるように設けられ、シリンダの下端外周部には、円板状の感熱板が設けられ、その感熱板の上方には薄い感熱板が設けられ、熱気流を受けて半田の溶融を促進するようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。このスプリンクラへッドにおいて、直接半田に接し、シリンダと一体化されている最下層の感熱板は、直接半田に接し、上方にある他の2枚の感熱板よりも板厚が厚いものが使用されている。これは、半田に常時加わる荷重によって感熱板が変形するのを防止するためである。この点について更に詳細に説明する。
【0003】
スプリンクラヘッドには常時半田に荷重がかかっている。この荷重自体は半田を上下方向に押しつぶす方向に加わっているが、半田がつぶれる(横方向に広がる)ときには横方向の力が生じる。半田が上から押された場合には、半田の下側及び内周側にはある程度肉厚があって強度が高いピストンがあるため、その方向には変形できないことから、半田は外周側に変形しようと(広がろうと)する。その広がろうとする力を抑えるために、最下層の感熱板には所定の厚みが必要となる。この感熱板が薄いと、外側に広がろうとする力を抑えきれず感熱板もろとも変形(広がる)してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−243032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスプリンクラヘッドにおいては、荷重によってクリープを起こす半田に対して、板厚が厚い感熱板は、強度の上では好ましいが、熱容量が大きく、熱気流があたっても効率良く半田を加熱することができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、常時半田にかかる荷重によって半田が横方向に広がろうとして感熱板にその力が作用しても感熱板の変形が抑制され、且つ効率良く半田を加熱することを可能にしたスプリンクラヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスプリンクラヘッドは、下端にフランジが形成されたプランジャと、該プランジャのフランジ上に設けられた半田と、該半田の上部に取り付けられ、シリンダを構成する下層感熱板とからなる感熱部を有するスプリンクラヘッドにおいて、前記下層感熱板の垂直部の外周に設けられ、前記下層感熱板の垂直部の半径方向への広がりを抑制する筒状の補強部材を備えたものである。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドにおいて、前記感熱部は、前記下層感熱板の上方に設けられた上層感熱板を備え、前記下層感熱板の板厚を前記上層感熱板の板厚とほぼ同じ厚さにし、前記補強部材の厚みを、前記下層感熱板の板厚よりも厚くしたものである。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドにおいて、前記補強部材の高さは、前記下層感熱板と前記上層感熱板との間隔と同じである。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドは、下端にフランジが形成されたプランジャと、該プランジャのフランジ上に設けられた半田と、該半田の上部に取り付けられ、シリンダを構成する下層感熱板とからなる感熱部を有するスプリンクラヘッドにおいて、前記下層感熱板は、その垂直部の厚さを水平部分の厚さよりも厚く形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスプリンクラヘッドによれば、半田にかかる常時荷重によって半田が横方向に広がろうとして感熱板にその力が作用しても、筒状の補強部材を設けたことにより、感熱板の外周方向への変形が抑制される。また、感熱板の板厚を厚くする必要が無いことから熱容量が大きくならず、効率良く半田を加熱することができる。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドによれば、感熱板の変形が補強部材によって抑制されることから、下層感熱板の板厚を薄くすることが可能となり、それによりスプリンクラヘッドの感度が向上する。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドによれば、補強部材は、その高さが下層感熱板と上層感熱板との間隔と同じであることから、下層感熱板に下から外力がかかっても、その力を補強部材を介して上層感熱板側へ伝えることができるので、下層感熱板の変形を抑制することができる。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドによれば、下層感熱板は、その垂直部の厚さが水平部分の厚さよりも厚く形成されているので、感熱板の外周方向への変形が抑制される。
また、本発明に係るスプリンクラヘッドによれば、感熱板は垂直部の厚さだけが厚いので、その部分に関しては熱容量は大きくなるが、感熱板全体としては熱容量の程度を少なくおえることができ、効率良く半田を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に係るスプリンクラヘッドの縦断面図である。
【図2】スプリンクラヘッドの動作状態を示す断面図である。
【図3】図1の感熱部の断面図である。
【図4】補強部材平面図及び縦断面図である。
【図5】本発明の実施形態2に係るスプリンクラヘッドの加熱部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1に係るスプリンクラヘッドの縦断面図である。
このスプリンクラヘッド1は、ヘッド本体10、フレーム20、弁体30、散水部40及び弁体支持機構50を備えている。
【0011】
ヘッド本体10は、中心部が開口されている。この開口部11は、後述の放水筒16とともに放水口12を形成する。ヘッド本体10の外周部にはフランジ13が形成されており、フランジ13の上側のヘッド本体10の外周部には給水管に接続されるねじ部14が形成されており、また、フランジ13の下側の内周部には、後述するフレーム20が取り付けられるためのねじ部15が形成されている。ヘッド本体10の内側には円筒状の放水筒16が下方に突出して形成されている。また、放水筒16の下端部には、例えば、平らに形成された弁座17が形成されており、弁座17に皿ばね32の上面側が当接するように配置されている。なお、ヘッド本体10は、フランジ13の下側の内周部と放水筒16との間に略穴状または略リング状の空間18が形成されており、この空間18には後述のガイドロッド42が収納される。
【0012】
フレーム20は、円筒状に形成されている。フレーム20の上部の外周部にはねじ部21が形成され、ヘッド本体10の下部側に形成されたねじ部15に取付けられる。フレーム20の下部には、内側に突出した係止段部22が設けられ、係止段部22には後述のボール61が係止される。
【0013】
弁体30は、フランジ部31を有し、このフランジ部31の上側には皿ばね32が配置されており、この皿ばね32とともにヘッド本体10の放水筒16を塞いでいる。なお、皿ばね32にはテフロン(登録商標)シートが設けられるか、テフロン(登録商標)コーティングが施される。弁体30の下部には後述のセットスクリュー65の頭部が当接されている。弁体30は、後述する弁体支持機構50によって支えられている。
【0014】
散水部40は、デフレクタ41、ガイドロッド42、ストッパリング43(及び弁体30)を備えている。デフレクタ41は、中央に開口部を有する円板によって構成されており、その開口部に弁体30の下部が挿入された状態で、弁体30のフランジ部31下面に取り付けられている(固定されている)。また、デフレクタ41には、ガイドロッド42(例えば3本)が挿入される挿入穴(例えば3個)が設けられており、ガイドロッド42の下端は、その挿入穴から突出した状態でデフレクタ41に固着されている。したがって、これらの弁体30、デフレクタ41及びガイドロッド42は一体的に構成されている。
【0015】
通常時は、ストッパリング43は、図1に示される位置にあるが、放水動作時には、デフレクタ41、ガイドロッド42及びストッパリング43が下降する(後述の図2参照)。ストッパリング43の外径は、フレーム20の係止段部22の内径よりも大きく形成され、放水動作時に、弁体支持機構50が落下すると、ストッパリング43はフレーム20の係止段部22まで下降する。
【0016】
ストッパリング43の中央に設けられた穴の内径は、放水筒16の外径よりわずかに大きく形成されており、そして、その穴の周囲に縁に下方に突起したガイド部43aが設けられている。ストッパリング43は降下する際には、このガイド部43aにより、ヘッド本体10の下部に形成された放水筒16の外周にガイドされる。
【0017】
弁体支持機構50は、感熱部51、ボール保持機構60及びセットスクリュー65を備えている。
【0018】
感熱部51は、プランジャ52、感熱板53、71、72及び断熱材54を備えている。プランジャ52は、円筒状に形成され、下部にフランジ52aが形成されている。プランジャ52の内部には、雌ねじ52bが形成され、セットスクリュー65の脚部にある雄ねじがねじ込まれ両者は結合している。プランジャ52の上部からドーナツ状の半田55が挿入され、プランジャ52のフランジ52a上に載っている。この半田55の上部に、円板状であって、断面クランク型であってシリンダーを構成する感熱板53が設けられている。即ち、この感熱板53は、プランジャ52のフランジ52aに設けられた半田55を覆う突部(垂直部)53aと、この突部53aに連続し、ヘッド本体10の軸芯に対して直交する方向に延びた円板部53bとを備えている。そして、感熱板53には、後述するボール保持機構60によって半田55を圧縮するように力がかかっている。感熱板53の突部(垂直部)53aには、筒状の補強部材80が装着されている。なお、この補強部材80についての詳細は後述する(図3参照)。
【0019】
感熱板72の上部には、ドーナツ状の断熱材54が設けられ、感熱板53で受熱した熱が後述するバランサー63側に逃げないようにしてある。また、断熱材54と感熱板53との間には、別の感熱板71、72が設けられている。
【0020】
ボール保持機構60は、ボール61、スライダー62及びバランサー63を備えている。なお、バランサー63は半田55を圧縮する機能を有することからピストンに相当する機能を果たす。
ボール61の外周下部は、フレーム20の係止段部22に係止されている。この状態で、ボール61を上から押さえるのがスライダー62であり、スライダー62からボール61に力がかかることで、ボール61には内側に入り込む方向に力が作用する。バランサー63は、ボール61の内側に設けられ、この内側に入りこもうとするボール61の動きを規制する。スライダー62及びバランサー63ともに円板状に形成され、中央には貫通穴があり、バランサー63の貫通穴にはセットスクリュー65が貫通している。バランサー63の貫通穴はセットスクリュー65の外径よりも僅かに大きく、両者は結合していない。
【0021】
バランサー63は、貫通穴を有する筒部と、その筒部の上方に設けられた円板部とを組み合わせた形状となっている。バランサー63の外周下部には段部が形成されている。この外周下部の段部は、フレーム20の係止段部22の内周下部にある段部に、当接するように構成されており、バランサー63の下側から外力がかかった場合には、この部分で衝撃を吸収する。また、バランサー63の筒部の下部であって中央の貫通穴の周りには、断熱材54がはまる段部63aが突出し、バランサー63の円板部の上部には、ボール61があたる傾斜部63bが突出して形成されている。
【0022】
スライダー62の外周側下部には凹部62aが形成され、その凹部62aのボール61が接する面は、下方に向かって内側に傾斜するようにテーパー状(傾斜部)に形成されている。
【0023】
ボール61には、皿ばね32のバネ力が、弁体30、セットスクリュー65をスライダー62を介して伝達され、常に内側に移動するように力がかかり、その結果、また、バランサー63を下方に移動させるように力が作用する。従って、半田55が溶融して流出すれば、バランサー63が下方に移動し、それに伴って、ボール61が内側に入り込み、フレーム20の係止段部22との係止状態が解除されるので、ボール保持機構60は感熱部51と共に落下する。ボール保持機構60が落下すれば、それに伴って、散水部40を構成する弁体30、ストッパリング43等が落下して、放水が行われることになる。
【0024】
セットスクリュー65は、頭部と脚部とからなるボルトであって、その脚部の下部がプランジャ52の上部と結合することで、ボール保持機構60としてのバランサー63、スライダー62及び感熱部51を一体化している。
【0025】
上記のようなスプリンクラヘッド1には、図1の状態においては、放水口12の消火水の水圧や部品の組立荷重がボール61に作用し、ボール61は内側(中心側)に移動しようとするが、ボール61は、バランサー63によってその移動が阻止されており、ボール保持機構60はボール61を保持している。そして、この状態においては、弁体30及び皿ばね32がヘッド本体10の放水口12を封止している。このため、スプリンクラヘッド1には、加圧された消火水が供給されるが、消火水は漏れない。また、散水部40は、弁体30にデフレクタ41が固定され、デフレクタ41にガイドロッド42が固定されており、弁体30が放水口12を封止している状態では、ガイドロッド42がヘッド本体10の空間18に収納された状態になっている。
【0026】
次に、図1のスプリンクラヘッド1の動作を説明する。
図2は、図1のスプリンクラヘッド1の動作説明図である。
(a)スプリンクラヘッド1の監視状態においては、ヘッド本体10の放水口12には加圧された消火水が供給されており、弁体30には消火水の圧力が加えられている(図1参照)。火災が発生し、その熱気流が感熱板53、71、72に当たると加熱され、感熱板53、71、72の熱は半田55へ伝播する。そして、半田55が周囲から加熱されて溶融し始めると、溶融した半田55はプランジャ52と感熱板53(突部53a)との間に形成された隙間から流出してその体積が減少する。このときバランサー63によって上方から押されたボール61が内側に移動することになるが、ボール61が移動しても皿ばね32は弁座17に圧接されて、弁体30及び皿ばね32は放水口12を塞いだ状態を維持する。
【0027】
(b)半田55が溶融して外部に流出すると、感熱板53、71、72は半田55の流出量に対応して降下する。感熱板53、71、72が降下すると、感熱板53、71、72の上に取り付けられている断熱材54及びバランサー63が降下する。バランサー63が降下すると、バランサー63とスライダー62との間の間隙が広がり、内側に付勢されているボール61がバランサー63の段部63bを越えて内側に移動し、フレーム20の係止段部22とボール61との係合が解かれる。それによって、弁体30及び弁体支持機構50は降下する。
【0028】
(c)弁体30の下に配置されている皿ばね32を含む弁体支持機構50は落下すると、弁体30が降下する。また、弁体30の降下に伴って、弁体30に取り付けられているデフレクタ41、デフレクタ41に取り付けられているガイドロッド42、及びストッパリング43が降下する。ガイドロッド42が降下すると、ストッパリング43はフレーム20の係止段部22に係止され、弁体30及びデフレクタ41がガイドロッド42によりフレーム20から吊り下げられた状態になる。即ち、図2に示される状態になる。
【0029】
本実施の形態では、放水動作時において、デフレクタ41は、ガイド部43aによりガイドされながらガイドロッド42と共に下降するので、デフレクタ41の下降動作が円滑に行われる。
【0030】
(d)以上のようにして、弁体30が降下すると放水口12は開放され、加圧された消火水がデフレクタ41から散水されて火災を消火する。
【0031】
次に、本実施の形態の特徴部分の構成について説明する。
図3は、感熱部の断面図であり、図4(A)(B)は、補助部材の平面図及び縦断面図である。
このスプリンクラヘッドの感熱部51は、プランジャ52と、プランジャ52のフランジ52a上に設けられた半田55と、感熱板53、71、72を備えている。感熱板53は本発明の下層感熱板として機能するものであり、その突部(垂直部)53aの外周に、図4に示される筒状の補強部材80が装着されている。感熱板71、72は本発明の上層感熱板として機能するものである。補強部材80の高さは、例えば感熱板(下層感熱板)53と感熱板(上層感熱板)71、72との間隔に相当するものとなっている。感熱板53、71、72は厚さが同じ厚さとなっているが、補強部材80の厚み(肉厚)は、これらの感熱板53、71、72の厚さよりも厚く設定されている。
【0032】
以上のように、感熱部51は上記の補強部材80を備えているので、半田55にかかる荷重によって半田が広がろうして感熱板53の突部53aにその力が作用しても、感熱板53の外周方向への変形が防止される。このように感熱板53の変形が補強部材80によって防止されるので、感熱板(下層感熱板)53の板厚を薄くすることが可能になっており、それによってスプリンクラヘッド1の感度が向上する。更に、補強部材80の高さが、感熱板(下層感熱板)53と感熱板(上層感熱板)71、72との間隔と同じであるから、感熱板(下層感熱板)53に下から外力がかかっても、その力を補強部材80を介して感熱板(上層感熱板側)71、72に伝えることができるので、感熱板(下層感熱板)53の変形を抑制することができる。
【0033】
本実施形態においては、補助部材を、感熱板の変形を抑制する位置に設けることで、感熱板の板厚を、感度の点で最適な厚みにすることができ、高感度化が可能となる。なお、この補助部材は、熱気流が良好にあたる場合には、熱伝導率の高い材質を使用して吸熱の働きをもたせ、そうでない場合には、熱伝導率の低い材質を使用して、感熱板からは断熱することで熱容量を増加させない。
【0034】
ところで、この感熱部51は、下層の感熱板53がプランジャ52の下端よりも下方に位置するようにし、そして、補強部材80がプランジャ52の下端よりも下方に延ばした形状になっている。このように、補強部材80をプランジャ52の下端よりも下方に延ばしたことにより、例えば斜め下からの外力に対する保護効果も得られ、感熱板53のプランジャ52への噛み込みを防止することができる。
【0035】
図3において、感熱部51は、下層の感熱板53の補強部材80に加えて、上層の感熱板72の上部とバランサ73との間にも別の補強部材を配置するようにしてもよい。このように感熱板53及び感熱板72にそれぞれ補強部材80設けたことにより、鉛直方向の外力から、プランジャ52、半田55及び断熱材54を保護することができ、それらの変形を防止することができる。これによりプランジャ52や感熱板の薄肉化が可能になっており、感度も向上する。
【0036】
なお、本実施の形態においては、補強部材80が上記の構成の感熱部51に設けられた例について説明したが、感熱部51は他の構成であっても良い。
【0037】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る係るスプリンクラヘッドの感熱部の断面図である。上記の実施の形態1においては補強部材80を設けた例について説明したが、本実施の形態2においては補強部材を用いない例について説明する。
本実施の形態2の感熱部51は、感熱板(下層感熱板)53の垂直部分の肉厚を水平部分である円板部53bの肉厚よりも厚くすることで、補強部材の機能を果たすことができる。
【0038】
本実施形態では、感熱板の垂直部の変形を防ぐために、感熱板の全体の板厚を調整するのではなく、半田からの応力がかかって変形しやすい部分である垂直部のみを強度が必要な部分として、その板厚を応力によっても変形しない厚みに調整している。そして、その垂直部以外の他の部分である水平部分に関しては、受熱効率が高まるように板厚が薄くなるように形成したので、感熱板全体の板厚を厚くすることによる熱容量の問題を最低限に抑えることができ、スプリンクラヘッドの高感度化をはかることが可能となる。
なお、感熱板の水平部分の板厚を、均等な厚みにせず、外周に向かうほど板厚が薄くなるように形成してもよく、このようにすることで、より熱容量を抑えることも可能である。また、このような感熱板は、筒素材をプレス成型することで低いプレス圧で加工することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 スプリンクラヘッド、10 ヘッド本体、11 開口部、12 放水口、13 フランジ、14、15 ねじ部、16 放水筒、17 弁座、18 空間、20 フレーム、21 ねじ部、22 係止段部、30 弁体、31 フランジ部、32 皿ばね、40 散水部、41 デフレクタ、41a 挿入穴、42 ガイドロッド、42a 段部、43 ストッパリング、43a ガイド部、50 弁体支持機構 、51 感熱部、52 プランジャ、52a フランジ、52b 雌ねじ、53 感熱板、54 断熱材、55 半田、60 ボール保持機構、61 ボール、62 スライダー、62a 凹部、63 バランサー、64 皿ばね、65 セットスクリュー、71、72 感熱板、80 補強部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端にフランジが形成されたプランジャと、
該プランジャのフランジ上に設けられた半田と、
該半田の上部に取り付けられ、シリンダを構成する下層感熱板と
からなる感熱部を有するスプリンクラヘッドにおいて、
前記下層感熱板の垂直部の外周に設けられ、前記感熱板の垂直部の半径方向への広がりを抑制する筒状の補強部材を備えたことを特徴とするスプリンクラヘッド。
【請求項2】
前記感熱部は、前記感熱板の上方に設けられた上層感熱板を備え、
前記下層感熱板の板厚を前記上層感熱板の板厚とほぼ同じ厚さにし、
前記補強部材の厚みを、前記下層感熱板の板厚よりも厚くしたことを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラヘッド。
【請求項3】
前記補強部材の高さは、前記下層感熱板と前記上層感熱板との間隔と同じであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプリンクラヘッド。
【請求項4】
下端にフランジが形成されたプランジャと、
該プランジャのフランジ上に設けられた半田と、
該半田の上部に取り付けられ、シリンダを構成する下層感熱板と
からなる感熱部を有するスプリンクラヘッドにおいて、
前記下層感熱板は、その垂直部の厚さを、水平部分の厚さよりも厚くしたことを特徴とするスプリンクラヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−213443(P2012−213443A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79289(P2011−79289)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】