説明

スプリンクラー保護装置

【課題】スプリンクラーを効果的に保護でき、かつ、交換の際の費用や手間を低減可能なスプリンクラー保護装置を提供する。
【解決手段】地中に埋設したスプリンクラー13の周囲を囲んで円筒状の保護ベース体21を地中12に埋設する。保護ベース体21の上端部に保護キャップ体22の装着部32を装着する。保護キャップ体22の外方へと突出する鍔部31を地上に沿わせて配置する。芝刈機によって周囲の芝Gの手入れをした際に、芝刈機の刃Cが直接スプリンクラー13に接触することを保護キャップ体22によって防止でき、スプリンクラー13を効果的に保護できる。仮に保護キャップ体22が芝刈機の刃Cにより破損した場合でも、地面を掘り返したり埋め戻したりすることなく地上から保護キャップ体22のみを取り外して交換できるので、交換の際の費用や手間を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば植物散水用のスプリンクラーを保護するスプリンクラー保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般にゴルフ場などでは、芝などの植物の維持管理のために、ゴルフコース上に一定間隔でスプリンクラーを設置し、このスプリンクラーによって植物へと散水している。
【0003】
そして、これらスプリンクラーは、プレーの邪魔にならないように、通常時には地面と略面一に収納されており、水圧を与えることにより散水部であるスプリンクラーヘッドが上方へと突出(ポップアップ)して植物に対して散水するように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−161137号公報(第5−9頁、図1および図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴルフ場などでは、芝を所定の長さに切り揃えるために、刈払機すなわち芝刈機などを用いて芝を刈ることがある。このとき、スプリンクラーの周囲の芝を芝刈機で刈ろうとすると、芝刈機の刃がスプリンクラーに接触してこのスプリンクラーを破損させてしまうことがある。
【0006】
そして、このようにスプリンクラーを破損させた場合、スプリンクラーを修理する必要があり、その都度高価な部品が必要になるだけでなく、地面を一旦掘り返して修理を施した後、再度埋め戻さなければならないなど、修理に手間が掛かるという問題点を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、スプリンクラーを効果的に保護でき、かつ、交換の際の費用や手間を低減可能なスプリンクラー保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のスプリンクラー保護装置は、地中に埋設された植物散水用のスプリンクラーの周囲を囲んで地中に埋設された筒状のベース体と、外方へと突出して地上側に沿って配置される鍔部を一端側に有し前記ベース体の上端部に着脱可能な装着部を他端側に有するキャップ本体、および、このキャップ本体の両端間を貫通して形成され前記スプリンクラーを露出させる開口部を備えた筒状のキャップ体とを具備したものである。
【0009】
請求項2記載のスプリンクラー保護装置は、請求項1記載のスプリンクラー保護装置において、ベース体は、円筒状に形成された管体であり、キャップ体の装着部は、ベース体の上端部を着脱可能な装着溝を備え、前記装着溝は、前記ベース体の上端側の内径以下の径寸法を有する内壁と、前記ベース体の上端側の外径以上の径寸法を有する外壁との間に区画されているものである。
【0010】
請求項3記載のスプリンクラー保護装置は、請求項2記載のスプリンクラー保護装置において、内壁と外壁との少なくともいずれか一方は、装着溝の両端側からそれぞれ中央側へと徐々に他方に向けて突出するように形成されているものである。
【0011】
請求項4記載のスプリンクラー保護装置は、請求項1ないし3いずれか一記載のスプリンクラー保護装置において、キャップ体は、装着部と鍔部との間に亘って湾曲状に連続する湾曲面を備えているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、地中に埋設したスプリンクラーの周囲を囲んで地中に埋設した筒状のベース体の上端部にキャップ体の装着部を装着し、このキャップ体の外方へと突出する鍔部を地上に沿わせて配置することにより、例えば刈払機などによって周囲の植物の手入れをした際に、この刈払機の刃などが直接スプリンクラーに接触することをキャップ体によって防止でき、スプリンクラーを効果的に保護できるとともに、仮にキャップ体が刈払機により破損した場合でも、例えば地面を掘り返したり埋め戻したりすることなく地上からキャップ体のみを取り外して交換できるので、交換の際の費用や手間を低減できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、ベース体の上端側の内径以下の径寸法を有する内壁と、ベース体の上端側の外径以上の径寸法を有する外壁との間にベース体の上端部を着脱可能な装着溝を形成することにより、キャップ体をベース体に対して容易に着脱可能となる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、内壁と外壁との少なくともいずれか一方を、装着溝の両端側からそれぞれ中央側へと徐々に他方へと突出するように形成することにより、例えばスプリンクラーを埋設した地面が傾斜していることによりベース体が地面に対して傾斜している場合などでも、装着溝の内壁あるいは外壁の形状によってキャップ体をベース体に対して確実に装着できる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、装着部と鍔部との間に亘って湾曲面を湾曲状に連続させることにより、周囲の植物が成長してきた際にこの植物を湾曲面によってキャップ体の鍔部の外側へと誘導して、キャップ体が植物の成長によって押し上げられてベース体から外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態のスプリンクラー保護装置を水平地に対して取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図2】同上スプリンクラー保護装置の図1の状態からキャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。
【図3】同上スプリンクラー保護装置を傾斜地に対して取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図4】同上スプリンクラー保護装置の図3の状態からキャップ体を取り外した状態を示す縦断面図である。
【図5】同上キャップ体を示す縦断面図である。
【図6】同上キャップ体を示す平面図である。
【図7】同上キャップ体を示す側面図である。
【図8】同上キャップ体を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態の構成を図1ないし図8を参照して説明する。
【0018】
図1ないし図8において、11はスプリンクラー保護装置を示し、このスプリンクラー保護装置11は、植物、例えば芝Gが植設されたゴルフ場などの地中12に埋設された散水用のスプリンクラー13を保護するためのものである。
【0019】
ここで、図1ないし図4に示すように、スプリンクラー13は、円筒状のスプリンクラー本体13aと、このスプリンクラー本体13aから上方へと突出(ポップアップ)可能な散水部としてのスプリンクラーヘッド13bとを備えている。そして、このスプリンクラー13は、鉛直方向に沿って地中12に埋設されている。すなわち、このスプリンクラー13は、図1に示すように、水平状の地面12aに対しては略垂直に配置されており、図3に示すように傾斜状の地面12bに対しては相対的に傾斜状に配置されている。
【0020】
スプリンクラー本体13aは、例えば金属などにより円筒状に形成されている。
【0021】
スプリンクラーヘッド13bは、例えば円筒状に形成されており、側部に散水口13cが開口形成されている。そして、このスプリンクラーヘッド13bは、スプリンクラー13を使用しないときにはスプリンクラー本体13aに収納されて上端部がスプリンクラー本体13aの上端部と略面一となっているとともに、使用時には、図1および図3の想像線に示すようにスプリンクラー本体13aから上方へと突出して散水口13cから散水可能に構成されている。
【0022】
そして、図1ないし図8に示すように、スプリンクラー保護装置11は、ベース体としての円筒状の保護ベース体21と、この保護ベース体21よりも軟質でこの保護ベース体21に対して着脱可能なキャップ体としての保護キャップ体22とを備えている。なお、以下、スプリンクラー保護装置11は、単に保護装置11というものとする。
【0023】
保護ベース体21は、図1および図3に示すように、スプリンクラー13のスプリンクラー本体13aの周囲を囲んで地中12に埋設される直管状の管体であり、スプリンクラー本体13aの外径よりも大きい内径を有している。この保護ベース体21は、スプリンクラー本体13aに対して略同軸状に配置されている。したがって、この保護ベース体21も、図1に示すように、水平状の地面12aに対しては略垂直に埋め込まれており、図3に示すように傾斜状の地面12bに対しては相対的に傾斜状に埋め込まれている。また、この保護ベース体21の上端側は、スプリンクラー本体13aの上端側の周囲に沿って地面12a,12bに対して垂直状に凹設された溝部25から地面12a,12bよりも下側の位置に露出している。すなわち、保護ベース体21の上端側を除く部分の内周側とスプリンクラー本体13aの外周との間には、地中12を構成する土あるいは砂などが充填されており、これらの間に隙間が形成されないように構成されている。
【0024】
また、保護キャップ体22は、保護ベース体21の上端部に対して着脱可能となっている。そして、この保護キャップ体22は、図5ないし図8に示すように、保護部であるキャップ本体27と、このキャップ本体27の両端間すなわち上下端間を貫通する開口部としての挿通部28とを有する円環状(円筒状)に形成されている。
【0025】
キャップ本体27は、一端側である上端側に鍔部31を有し、他端側である下端側に装着部32を有しており、これら鍔部31と装着部32との間に亘って、湾曲状の湾曲面33が形成されている。
【0026】
鍔部31は、キャップ本体27の全周に亘ってこのキャプ本体27から外方へと突出して形成されており、保護キャップ体22中で最も外側に突出した部分となっている。また、この鍔部31は、図1および図3に示すように、保護ベース体21上に保護キャップ体22を取り付けた状態で、地上側に沿って、すなわち地面12a,12bと略平行に芝G上に沿って配置される。このため、この鍔部31により、保護キャップ体22が地上において平面視で保護ベース体21およびスプリンクラー本体13aよりも外周側に大きく突出するように露出している。また、この鍔部31の外周端には、地面12a,12b側へと傾斜する傾斜面31aが全周に亘って形成されている。この傾斜面31aは、人間の足、あるいはゴルフクラブなどとの接触によって保護キャップ体22が保護ベース体21から捲れ上がりにくくするためのものである。
【0027】
また、装着部32は、保護ベース体21の上端部を着脱可能な装着溝32aが下端部に凹設されている。この装着溝32aは、保護ベース体21の上端側の内径以下の径寸法を有する内壁32bと、保護ベース体21の上端側の外径以上の径寸法を有する外壁32cとの間に区画されている。
【0028】
装着溝32aは、保護ベース体21の厚みよりも若干大きい幅寸法を有している。また、この装着溝32aは、キャップ本体27の軸方向に沿って形成されており、キャップ本体27(保護キャップ体22)の軸方向(上下方向)の略中間位置程度まで伸びている。すなわち、この装着溝32aは、キャップ本体27(保護キャップ体22)の下側の部分に配置されている。
【0029】
内壁32bは、挿通部28に略平行に形成されている。すなわち、この内壁32bは、装着溝32aの上端から下端に亘って、略等しい径寸法を有している。
【0030】
また、外壁32cは、装着溝32a側が、上下両端から上下方向の中央側へと徐々に内壁32bに向けて突出するように形成されている。すなわち、外壁32cは、上端から中央側へと徐々に縮径されて内壁32b側に接近し、この中央側から下端へと徐々に拡径されて内壁32bから離隔されている。このため、外壁32cは、断面視で内壁32b側へと凸弧状に湾曲した形状となっており、中央側がキャップ本体27(保護キャップ体22)の中心軸側へと膨出している。
【0031】
また、湾曲面33は、装着部32側である下側から鍔部31側である上側へと徐々に拡径されるようになだらかな円弧状に形成されている。したがって、キャップ本体27(保護キャップ体22)は、この湾曲面33に対応する位置において、最も厚みが大きくなっている。換言すれば、湾曲面33により、キャップ本体27(保護キャップ体22)の厚みが増加されている。この湾曲面33は、周囲の芝Gが成長してきた際にこの芝Gを保護キャップ体22の外側へと誘導するためのものである。
【0032】
一方、挿通部28は、スプリンクラー13のスプリンクラー本体13aの外径以上の内径を有しキャップ本体27の軸方向に沿ってキャップ本体27の下端側から鍔部31よりも若干下側の位置に亘って直線状に形成された開口部本体である挿通部本体28aと、この挿通部本体28aの上端側からキャップ本体27の上端部に亘って連続し上側へと徐々に拡径された拡径部28bとを一体に備えており、図1および図3に示すように、保護ベース体21上に保護キャップ体22を取り付けた状態で、スプリンクラー本体13aが内部に挿通されている。すなわち、この挿通部28は、スプリンクラー本体13aを地上に露出させている。
【0033】
ここで、この挿通部28の内径、すなわち挿通部本体28aの内径は、スプリンクラー本体13aの外径と略等しく形成してスプリンクラー本体13aの外周との間に隙間が形成されていない方が見栄えがよいものの、例えば図3に示すように傾斜地にスプリンクラー13を設置している場合などの融通性を考慮して、スプリンクラー本体13aの外径に対して例えば片側1〜3mm程度の所定の隙間を有する方が好ましい。なお、この隙間は、例えばゴルフボールなどが止まらない程度の隙間であれば実際の使用上問題ない。また、この隙間により見栄えが低下する場合、あるいはゴルフボールなどが止まってしまうおそれがある場合の施工としては、隙間に砂などを埋めることで対応してもよい。この場合には、隙間に埋めた砂などから生えてくる少量の芝、あるいは雑草などは、人手で手入れすることとなる。
【0034】
なお、保護ベース体21および保護キャップ体22は、品質とコストとを考慮して、保護ベース体21が合成樹脂、例えば塩化ビニル樹脂などにより形成され、保護キャップ体22が弾性体、例えばEPDMとSBRとの混合物などの合成ゴムなどにより形成されている。
【0035】
次に、上記一実施の形態の作用を説明する。
【0036】
保護装置11の施工の際には、スプリンクラー13のスプリンクラー本体13aの周囲を掘削し、保護ベース体21をスプリンクラー本体13aの周囲に配置した後、この保護ベース体21を、溝部25から上方へと上端側が突出する程度にまで埋め戻す(図2および図4)。
【0037】
そして、この溝部25から露出した保護ベース体21の上端部に対して保護キャップ体22の装着溝32aを嵌着させ、鍔部31を芝Gに沿わせてスプリンクラー本体13aを挿通部28に挿通させて保護キャップ体22を配置する(図1および図3)。
【0038】
このとき、図1に示すように水平地にスプリンクラー13および保護装置11を設置した状態では、保護ベース体21(スプリンクラー13)と保護キャップ体22とのそれぞれの軸方向が略一致し、保護ベース体21の上端部が保護キャップ体22の装着溝32aに対して直線状に(保護キャップ体22の軸方向に沿って)挿入されて装着溝32aの上壁に当接している。また、図3に示すように傾斜地にスプリンクラー13および保護装置11を設置した状態では、保護キャップ体22が地面12bに沿って傾斜することにより保護ベース体21と保護キャップ体22とのそれぞれの軸方向が互いに傾斜し、保護ベース体21の上端部が保護キャップ体22の装着溝32aに対して外壁32cの湾曲形状に沿って傾斜状に挿入され、相対的に高さが低い側(図中右側)が装着溝32aの上壁に当接し、相対的に高さが高い側(図中左側)が装着溝32aの下端近傍に保持されている。
【0039】
本実施の形態において、図1に示す状態では、スプリンクラー13の上端部が、挿通部28の挿通部本体28aと拡径部28bとの境界近傍に位置する程度となっている。また、図3に示す状態では、スプリンクラー13の上端部が、相対的に高さが低い側(図中右側)では拡径部28b近傍まで挿入され、相対的に高さが高い側(図中左側)では挿通部本体28a中に位置している。すなわち、いずれの場合でも、スプリンクラー13の上端部は保護キャップ体22の上面よりも上方に突出していない。また、スプリンクラー本体13aの外周と保護キャップ体22の挿通部28の内周とは、密着、もしくは若干の隙間を持った状態となっている。
【0040】
なお、スプリンクラー13の上端部が保護キャップ体22の鍔部31よりも低いほど保護装置11によるスプリンクラー13の保護性能が向上するものの、同時に見栄えが低下するので、これらのバランスを考慮して設置することが好ましい。
【0041】
そして、この状態で、スプリンクラー13を動作させる際には、図示しない給水部から地中12に埋設された図示しない配管を介してスプリンクラーヘッド13bへと給水することにより、水圧でスプリンクラーヘッド13bがスプリンクラー本体13aに対して上方へと突出し、地面12a,12bの上方に位置する散水口13cから芝Gへと散水する。
【0042】
芝Gの手入れの際には、刈払機である芝刈機を用いて芝Gを所定の長さに切り揃える。このとき、スプリンクラー13の周囲の芝Gの生え際部分を刈るために、図5および図6に示すように芝刈機の刃Cをスプリンクラー13に接近させた際に作業者が誤って芝刈機の刃Cをスプリンクラー13側に接近させすぎた場合でも、この刃Cが保護キャップ体22のキャップ本体27の鍔部31、あるいは鍔部31よりも下側の装着部32などに接触して保護キャップ体22を破損させるに過ぎず、スプリンクラー13および保護ベース体21は保護される。
【0043】
なお、破損した保護キャップ体22は、保護ベース体21から取り外して新規の保護キャップ体22に容易に交換できる。
【0044】
上述したように、上記一実施の形態では、スプリンクラー13の周囲を囲んで地中に埋設した円筒状の保護ベース体21の上端部に保護キャップ体22の装着部32を装着し、この保護キャップ体22の外方へと突出する鍔部31を地上に沿わせて配置する構成とした。
【0045】
ここで、スプリンクラー13を芝刈機によって破損する場合とは、芝Gのスプリンク13の生え際部分に芝刈機を持ってきたときに、芝刈機が行きすぎて刃Cがスプリンクラー13に接触してしまう場合である。このため、上記一実施の形態では、鍔部31がスプリンクラー13の周囲で地上に露出していることから、芝刈機によって周囲の植物の手入れをした際に、この芝刈機の刃Cが直接スプリンクラー13に接触することを保護キャップ体22によって防止でき、スプリンクラー13を効果的に保護できるとともに、仮に保護キャップ体22が芝刈機の刃Cにより破損した場合でも、例えば地面を掘り返したり埋め戻したりすることなく地上から保護キャップ体22のみを取り外して交換できるので、交換の際の費用や手間を低減できる。
【0046】
また、保護ベース体21の上端側の内径以下の径寸法を有する内壁32bと、保護ベース体21の上端側の外径以上の径寸法を有する外壁32cとの間に、保護ベース体21の上端部を着脱可能な装着溝32aを区画形成することにより、この装着溝32aに保護ベース体21を着脱させるだけで、保護キャップ体22を保護ベース体21に対して容易に着脱可能となる。
【0047】
さらに、装着溝32aを区画する外壁32cを、装着溝32aの両端側からそれぞれ中央側へと徐々に他方へと突出するように形成することにより、例えば図3および図4に示すようにスプリンクラー13を埋設した地面12bが傾斜していることにより保護ベース体21が地面12aに対して傾斜して、保護キャップ体22が保護ベース体21に対して傾斜する場合などでも、保護ベース体21の上端部を外壁32cの形状によって装着溝32aに確実に装着させることができ、保護キャップ体22を保護ベース体21に対して確実に装着できる。
【0048】
すなわち、保護キャプ体22は、ゴムなどの弾性体により形成されることが好ましいため、保護ベース体21と保護キャップ体22とのそれぞれの軸方向が互いに傾斜している場合、保護ベース体21の上端部を、装着溝32aを変形させるようにこの装着溝32aに対して無理に挿入させても、保護キャップ体22自身の弾性によって装着溝32aの変形が戻るおそれがあり、このような場合、保護キャップ体22が保護ベース体21から浮き上がってしまう。このため、外壁32cを装着溝32aの両端側からそれぞれ中央側へと徐々に他方に向けて突出するように形成することにより、この外壁32cの形状に沿って保護ベース体21の上端部を装着溝32aに対して傾斜状に挿入させた状態で保持することが可能となり、保護キャップ体22の弾性などによって保護キャップ体22が保護ベース体21から浮き上がることがない。
【0049】
そして、装着部32と鍔部31との間に亘って湾曲面33を湾曲状に連続させることにより、周囲の芝Gが成長してきた際にこの芝Gを湾曲面33によって保護キャップ体22の鍔部31の外側へと誘導して、保護キャップ体22が芝Gの成長によって押し上げられて保護ベース体21から外れることを抑制できる。
【0050】
なお、上記一実施の形態において、外壁32cを装着溝32aの両端側からそれぞれ中央側へと徐々に内壁32bに向けて突出するように形成する構成に代えて、内壁32bを装着溝32aの両端側からそれぞれ中央側へと徐々に外壁32cに向けて突出するように形成する構成、すなわち内壁32bを上端側から中央側へと徐々に拡径し、この中央側から下端側へと徐々に縮径する構成でもよいし、内壁32bと外壁32cとをともに装着溝32aの両端側からそれぞれ中央側へと徐々に互いに向けて突出するように形成する構成としてもよい。
【0051】
また、保護装置11は、ゴルフ場など以外でも地中に埋設されたスプリンクラーに対して適用できる。
【符号の説明】
【0052】
11 スプリンクラー保護装置
13 スプリンクラー
21 ベース体としての保護ベース体
22 キャップ体としての保護キャップ体
27 キャップ本体
28 開口部としての挿通部
31 鍔部
32 装着部
32a 装着溝
32b 内壁
32c 外壁
33 湾曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設された散水用のスプリンクラーの周囲を囲んで地中に埋設された筒状のベース体と、
外方へと突出して地上側に沿って配置される鍔部を一端側に有し前記ベース体の上端部に着脱可能な装着部を他端側に有するキャップ本体、および、このキャップ本体の両端間を貫通して形成され前記スプリンクラーを露出させる開口部を備えた筒状のキャップ体と
を具備したことを特徴としたスプリンクラー保護装置。
【請求項2】
ベース体は、円筒状に形成された管体であり、
キャップ体の装着部は、ベース体の上端部を着脱可能な装着溝を備え、
前記装着溝は、前記ベース体の上端側の内径以下の径寸法を有する内壁と、前記ベース体の上端側の外径以上の径寸法を有する外壁との間に区画されている
ことを特徴とした請求項1記載のスプリンクラー保護装置。
【請求項3】
内壁と外壁との少なくともいずれか一方は、装着溝の両端側からそれぞれ中央側へと徐々に他方に向けて突出するように形成されている
ことを特徴とした請求項2記載のスプリンクラー保護装置。
【請求項4】
キャップ体は、装着部と鍔部との間に亘って湾曲状に連続する湾曲面を備えている
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載のスプリンクラー保護装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−19406(P2011−19406A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164737(P2009−164737)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000201582)前澤化成工業株式会社 (33)
【Fターム(参考)】