説明

スプリンクラー取付機構

【課題】スプリンクラーヘッドを接続するスプリンクラー配管をより強固に固定できるスプリンクラー取付機構を提供することを目的とする。
【解決手段】当て具30の二つの板31、32の間にブラッケット20の側面部22を配置し、上面孔24と下面孔25にスリーブ110を通し、スリーブ110と第2板32の間に角バー150を配置して、ボルト140を当て具30の通し孔34に通してブラッケット20の雌ねじ27aに螺合させて、ボルト140を締めると、ボルト140の先端が第2板32に当接して、第2板32は角バーに当接して、角バー150はスリーブ110に当接して、スリーブ110はブラケット20の上面孔24及び下面孔25の側面に当接して固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプリンクラー取付機構に関し、特に、スプリンクラーヘッドを接続するスプリンクラー配管をより強固に固定できるスプリンクラー取付機構に関する。
【背景技術】
【0002】
消防用のスプリンクラーは、火災発生時の初期消火を図る設備として有効な手段であると広く認識されている。スプリンクラーは、水源と加圧送水装置、配管、制御弁、流水検知装置(アラーム弁)、スプリンクラー配管、スプリンクラーヘッドから構成されている。スプリンクラー配管は送水本管から分岐されたスプリンクラー配管が天井裏に配管され、天井に設置されるスプリンクラーヘッドに接続される。スプリンクラーヘッドがねじ込み固定されるスプリンクラー配管端は、固定金具により角バーと呼ばれる、例えば、肉厚0.6mm程度の断面16mm×16mmの矩形のパイプに固定され、角バーは天井取付けフレームに固定された取付け座となるフレームに水平に固定される。
【0003】
最新の高層建築物では、枝管まで消火水が充填されない乾式や予作動式スプリンクラーシステムが採用される事例が増加している。センサーの誤動作等により止水栓が開放されスプリンクラーヘッドまで消火水が充填される事例が少なからず発生している。その場合、スプリンクラーのメンテナンス業者はその都度スプリンクラーヘッドの水抜き作業を行う必要がある。また、調理作業場に取り付けられているスプリンクラーヘッドも高い湿度、雰囲気中の油分等により錆が発生しやすいので、定期的にスプリンクラーヘッドの交換作業が必要となる。これらの理由により、以前と比較してスプリンクラーシステムの据付後のメンテナンス作業の中でスプリンクラーヘッドの脱着作業の頻度が格段に増加している。
【0004】
角バーとスプリンクラー配管は固定金具の中に設けた空間を互いに直交接触しながら貫通し、固定金具に付属するボルトで押され固定金具に対して押し当てられ接触・固定される方法が一般的である。
【0005】
図6は、従来のスプリンクラー取付機構を示す斜視図である。スリーブ110は外面が多角形で内側にスプリンクラー配管160を通すことができる筒状形状である。スプリンクラー配管160の先端には、スプリンクラーヘッド170が取り付けられる。ブラケット120は、コの字形状であり上面と下面に孔121を有しており、ここにスリーブ110を通過可能となっている。また、コの字の内側にはスリーブ110より中側に角バー150を配置することができる。さらに、蝶ボルト140は、コの字の側面122に有する雌ねじに螺合して貫通可能となっている。これにより、蝶ボルト140を回すと、蝶ボルト140先端が角バー150を押し、さらに、角バー150はスリーブ110を押す。そして、スリーブ110は、ブラケット120の孔121の(角バーと反対側の)側面に当接して全体が固定されるようになっている。
【0006】
また、例えば、特許文献1には、蝶ボルトを用いたスプリンクラーヘッド取付部品の固定金具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
スプリンクラーヘッドの脱着作業のコストを抑えるためには、天井下からすべての作業を完遂することが最良であることは自明である。しかしながら、スプリンクラーヘッド本体しか露出しておらず、天井下からはスプリンクラーヘッドに脱着用工具を掛けることは出来るが、スプリンクラーヘッドがねじ込まれているスプリンクラー配管には工具を掛けることは出来ない。スプリンクラーヘッドを緩める際にスプリンクラーヘッドのねじ込まれているスプリンクラー配管にもねじるトルクが掛かるが、スプリンクラー配管を固定している固定金具がスプリンクラーヘッドの脱着トルクに抗してスプリンクラー配管を固定する機能を十分発揮しない場合は、スプリンクラーヘッドをねじった際にスプリンクラー配管も共回りしてしまい、天井下からのスプリンクラーヘッドの脱着作業は困難となる。その場合、天井下で作業者がスプリンクラーヘッドを脱着する際に、補助作業者が天井裏に上がってスプリンクラー配管を工具で固定する必要がある。単独作業者で工事が出来ないので、作業時間・コストが増加することは避けられない。
【0009】
現在、一般に市販されているスプリンクラー配管の固定金具はスプリンクラーヘッドの脱着の指定トルクである20−30N・mに抗してスプリンクラー配管の供回りが起きない強固に固定できる製品は存在せず、スプリンクラー配管の供回りを起こさない固定金具の開発が望まれている。
【0010】
またスプリンクラー配管の固定と同時にスプリンクラー配管の垂直な固定の維持も重要である。スプリンクラー散水はスプリンクラーヘッドを中心に円盤状の範囲に為されるので、個々のスプリンクラーの散水範囲に基づいて対象スペースに満遍なく散水できるように設置位置を計画される。しかしながら、一部のスプリンクラーが垂直に設置されていない場合、その散水エリアが移動、変形して、散水されないスペースが発生する可能性が生じる。また、工事監修者から工事施行後の美観が重要視される傾向があり、脱着工事後の検収の際にスプリンクラーヘッドが不作為に傾斜している場合は、工事のやり直しを求められる事例も発生している。
【0011】
また、角バーは他の部材と比較して板厚が非常に薄く、スプリンクラー配管にねじりの力が加わると、角バーをボルトに押し返す力が発生し、角バーのボルトに当たっている部分が凹んでしまう。角バーが凹むとボルトとの間に新たな隙間が発生して固定金具の中の圧縮による固定状態が解消されてしまい、スプリンクラー配管はまったく固定されていない状態になる。スプリンクラー配管の固定状態が解除されると、スプリンクラーヘッドの取付けが垂直を保持することが、難しく、火災発生時の放水の際の反作用によりスプリンクラーヘッドがスプリンクラー配管の長手方向に激しく振動を起こし、最悪の場合は天井裏に入り込んでしまい、所定の初期消火の機能が果たせない場合も想定される。
【0012】
取付け時に固定具がスプリンクラー配管を正確に垂直に固定出来ずスプリンクラーヘッドがある方向にある角度を持って取り付けられている場合やスプリンクラーヘッドの脱着時のトルクにより固定金具によるスプリンクラー配管の固定が緩み、スプリンクラーヘッドが傾く状態が発生した場合、防災上の重大な問題となりうる。
【0013】
市販されている固定金具の多くはボルトが直接角バーを押す構造になっているが、スプリンクラー配管を回転させる力が加わる際にスプリンクラー配管の周囲が回り防止のために多角形状になっていると多角形の角の部分が角バーをボルトに向かって押し返す動作が発生し、角バーの板厚が薄いのでボルトの先端に押されて容易に凹んでしまう。角バーの板厚を厚くすれば凹む問題は容易に解決するが、製品コストを抑えるために板厚0.6mmが基準寸法で世間一般に広く流通しているため、この板厚の角バーを使用することを前提に対策を講じる必要がある。
【0014】
例えば、図6で示した従来のスプリンクラー取付機構においては、蝶ボルト140で角バー150を固定しているため、スプリンクラーヘッド170をねじ込む際等に、ブラケット120の全体に負荷がかかると、図7に示すように角バー150にボルト140の先端が押圧することにより生じたキズやヘコミ200の変形により隙間が生じる。これにより固定が不安定となる可能性がある。また、スリーブ110の多角形の外側の3側面がブラケット120の孔121の(角バー150の反対側の)3辺で接するように設計されていると、実際の精度では、3辺が均一にスリーブ110の側面に接触することなく、1辺に集中して接することになり、スリーブ110を安定的に支える反作用が生じないので、金具の保持力が低下する。
【0015】
このように、スプリンクラーノズルをねじ込む際や、緩める際に発生する、ねじりトルクに耐えてスプリンクラー配管が供回りせず、強固に固定する金具、固定方法については開発されてこなかった。そのため、最悪の場合、天井ボードを外したり、天井裏に作業員が潜って配管端にパイプレンチを掛けて配管がねじれない様に固定してノズルを工具で緩めたりねじ込んだりする作業が必要となり、大幅に作業が増える状況が頻発している。そのため、配管を工具等で固定することなく天井の下側からスプリンクラーノズルに専用工具を掛けて脱着作業をした際にスプリンクラー配管が供回りしないことの要求が高まってきている。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みて、スプリンクラーヘッドを接続するスプリンクラー配管をより強固に固定できるスプリンクラー取付機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、本発明のスプリンクラー取付機構は、スプリンクラーヘッドを接続するスプリンクラー配管を内部に保持する筒状のスリーブを角バーに固定するスプリンクラー取付機構において、ブラケットと、当て具と、ボルトとを備え、前記ブラッケットは、上面孔を有する上面部と、雌ねじが形成される側面部と、下面孔を有する下面部とによるコの字状形状であり、前記当て具は、一定間隔をおいて向かい合って配置された、通し孔を有する第1板と、第2板とを有し、これらの板の少なくとも一端が接続され、前記当て具の二つの板の間に前記ブラッケットの側面部を配置し、前記上面孔と前記下面孔に前記スリーブを通し、前記スリーブと前記第2板の間に前記角バーを配置して、前記ボルトを前記当て具の通し孔に通して前記ブラッケットの雌ねじに螺合させて、前記ボルトを締めると、前記ボルトの先端が前記第2板に当接して、前記第2板は前記角バーに当接して、前記角バーは前記スリーブに当接して、前記スリーブは前記ブラケットの上面孔及び下面孔の側面に当接して固定されることを特徴とする。
【0018】
さらに本発明のスプリンクラー取付機構は、前記スリーブの外側は多角形で形成され、前記ブラケットの上面孔及び下面孔は、固定の際に前記スリーブの多角形の2側面のみを当接させるようにすることを特徴とする。
さらに本発明のスプリンクラー取付機構は、前記当て具は、U字状、コの字状又はロの字状の形状であることを特徴とする
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、スプリンクラー取付機構において、スプリンクラーヘッドを接続するスプリンクラー配管をより強固に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のスプリンクラー取付機構の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】スリーブの一例を示す斜視図である。
【図3】ブラケットの一例を示す斜視図である。
【図4】当て具の一例を示す斜視図である。
【図5】本発明のスプリンクラー取付機構の一実施形態を示す平面図である。
【図6】従来のスプリンクラー取付機構を示す斜視図である。
【図7】従来のスプリンクラー取付機構による蝶ボルトの跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明のスプリンクラー取付機構の一実施形態を示す斜視図である。図2〜図4は、スリーブ110、ブラケット20、当て具30の例を示している。また、図5は、本発明のスプリンクラー取付機構の一実施形態を示す平面図である。
【0023】
スリーブ110は、スプリンクラー配管60を被うもので、外側112が多角形で形成され、内側111は中空となっており、中にスプリンクラー配管60を保持すことができる筒状形状である。スプリンクラー配管60は近くにスプリンクラーヘッド70を接続するための取り付け口を有している。本実施形態では、外側は正8角形による例を示している。材料としては、例えば、アルミ、鉄、鉄鋳物、その他金属、樹脂等が挙げられる。なお、スプリンクラー配管60には配管継手も含まれている。
【0024】
ブラケット20は、コの字形状であって、上面部21と、側面部22と、下面部23を有している。
【0025】
上面部21と下面部23には、上面孔24と下面孔25を有しており、これらの孔は、図5に示すように、それぞれ、第1当接辺24a、25aと第2当接辺24b、25bを有している。これは、スリーブ110の外側112の多角形の2側面が(側面部22と反対側で)当接するようになっている。また、第1当接辺24a、25aと第2当接辺24b、25bの間には逃げ部24c、25cを有し、スリーブ110の外側側面が当接しないようになっている。また、側面部22側の第1当接辺24a、25aと第2当接辺24b、25bを結ぶ接続辺24d、25dは、スプリンクラーヘッド70や大きさや形状が異なるスリーブでも入るように余裕をもった形状となっている。
【0026】
側面部22の中央付近には、ボルト孔26を有し、その奥(内側)には、雌ねじ部27aを有するナット27が溶接等で固定されている。ナット27は表(外側)とすることも出来る。なお、ボルト孔26自体をネジ穴加工として雌ねじ部27aとすることもできる。
【0027】
ブラケット20は、金属製として、プレス加工等により作成することができる。また、ブラケット20の上面部21及び下面部23の少なくとも一方には、内側(角バー150側)へふくらむ凸部28を有することができる。これは、角バーとの間隔を極力小さくすることで、角バー150のブラケット20に対する回転の動きを規制するものである。なお、凸部28は図3で示される数や大きさに限定されるものではなく、角バー150を全面でおさえるような構造でもよい。
【0028】
ブラケット20の具体例をあげれば、1.6mm程度の厚みの板状の金属板を折り曲げ加工をしてコの字形状に折り曲げ加工し、板は2箇所で90度に折り曲げられて3面で構成する。対向する部分(上面部21と下面部23)は互いに平行を保ち、対抗部分の間の間隔は16mm×16mmの角バーがスムーズに通すことが出来る17mm前後に設定される。折り曲げられた長辺部分2面(上面部21と下面部23)の中央部に夫々同一形状の孔(上面孔24と下面孔25)が同芯上に空けられ、その孔の内径はスプリンクラーヘッド170やスリーブ110(約φ37mm)より若干大きいので、スプリンクラー配管60と配管にネジ込まれたスプリンクラーヘッド70が貫通できる。
【0029】
当て具30は、一定間隔をおいて向かいあって配置された第1板31と第2板32の一端(又は両端)を接続部33で接続した形状である。全体の形状は、U字状やコの字形状、もしくは、ロの字状の形状でもよく、図では、全体をU字状形状とし、第1板31と第2板32はほぼ平行に配置されている。U字状形状とすれば、材質を金属として、プレス加工で一体に作成することができる。また、第1板31には、中央付近に通し孔34を有し、蝶ボルト140のボルト部141が挿入可能となっている。なお、蝶ボルト140からの力を受けることを考慮すると、第2板32の板厚(もしくは当て具30全体の板厚)は角バー150の板厚より厚くすれば、とりわけ有効である。例えば、0.6mm弱厚の角バー150であれば、3mm厚程度の板厚とすることが挙げられる。
【0030】
角バー150は、規格化された角パイプ等の角状材料であり、前述したように、例えば、肉厚0.6mm程度の断面で、16mm×16mmの矩形のパイプが挙げられる。角バー150は、天井裏等に設置されている既存のものが適用できる。例えば、天井取り付けフレームに固定された取り付けフレームに設置されるなどしてスプリンクラーの設置位置に合わせて取り付けられている。本発明は、この角バー150にスリーブ110を介してスプリンクラー配管60やスプリンクラーヘッド70を固定するものである。
【0031】
スプリンクラーヘッド70は、スプリンクラー配管60に螺合などにより取り付けられている。スプリンクラー配管60は、スリーブ110の内側に配置され、巻き出し配管継手でも適用できる。
【0032】
蝶ボルト140は、雄ねじを有する軸部141と手で回転させることが可能な頭部142から構成される。なお、蝶ボルト140は、手で回すことができる利点があるが、工具を使う他の種類のボルトでも適用可能である。
【0033】
次に、本発明のスプリンクラー取付機構の取り付けについて説明する。
【0034】
ブラケット20の側面部22の横側から、当て具30を差し込み、第1板31と第2板32の間に側面部22が配置され、第1板31がブラケット20の外側、第2板32がブラケット20の内側に位置するようにする。そして、ボルト孔26と通し孔34を合わせて、通し孔34に蝶ボルト140の軸部141を挿入し、雌ねじ部27aと螺合させ貫通させる。一方、スリーブ110をブラケット20の上面孔24と下面孔25を通して配置される。さらに、当て具30の第2板32とスリーブ110の間には角バー150が配置される。角バー150は、ブラケット20の側面部22と平行に、ブラケット20のコの字の内側を通っている。
【0035】
この状態で、蝶ボルト140の頭部142を締め付ける方向に回転させると、軸部141の先端が、当て具30の第2板32に当接しながら押す。さらに、第2板32は、角バー150に当接しながら押し、さらに、角バー150は、スリーブ110の(角バー150側の)1側面に当接しながら押し、さらに、スリーブ110の反対側の2面がブラケット20の上面孔24の第1当接辺24aと第2当接辺24b、及び、下面孔25の第1当接辺25aと第2当接辺25bに当接する。このことにより、全体が固定される。
【0036】
この固定は、当て具30の第2板32で蝶ボルト140の先端を受けて、第2板32で角バー150と面接触して押すことにより、接触する面積を広げて面圧を下げて押し込むことができる。これにより、ボルトにより強い圧力をかけても角バー150が変形することなく、角バー150のキズやヘコミを防止できる。
【0037】
第1当接辺24a、25aと第2当接辺24b、25bは、ハの字に構成されていると、図5に示すように、8角形のスリーブ110は、角バー150と反対側に位置する2つの2側面が当接する。この2つの2側面は、1つの側面を挟んでいる。このとき、蝶ボルト140を締めることで伝わる角バー150からの力Aは、力aと力a´に分解される。これに対して、ブラケット120からの反力b、b´が、接触しているスリーブ110の2側面へ伝わる。これにより、スリーブ110には、孔24、25の幅を狭める力cとc´が働く。スリーブ110をひねる力が働くとスリーブ110の角(図5の丸印部分)がブラケット20の孔24、25を押し拡げようとするが、力c、c´が穴の広がるのを押さえ、強固にスリーブ110の回転を止める作用として働く。これらの力により、スプリンクラーヘッド70を取り付け取り外しの際に生じるねじる力に対向し、強固にスリーブ110を保持する。なお、図5では、正八角形に対応するため90°挟み角度を有するハの字となっている。
【0038】
また、当て具30は、全体又は接続部33を弾性体として、蝶ボルト140を締めたときに、第1板31と第2板32の距離が離れる方向に力が作用させておくようにすれば、第1板31から蝶ボルト140の頭部142側に力がかかり蝶ボルト140のゆるみ止めとなる。同時に第2板32から角バー150にも力がさらにかかり、締め付け力を増すことができる。また、当て具30の通し孔34に蝶ボルト140を通しておくことは、ボルトがゆるんだときの当て具30の落下防止の効果も発揮する。さらに、この構造により、あらかじめ蝶ボルト140と当て具30を取り付けた状態としておくことができるので、スプリンクラー配管の取り付け工事の際に当て板を現場で組み込む手間が不要になる。
【0039】
本発明に基づき実際にブラケット20や当て具30を上述した具体的な寸法で製作し、スプリンクラーヘッド70の脱着作業の指定トルクである20−30N・mで耐トルク試験を具体的に行った。その結果、スプリンクラー配管の回りは発生せず、ブラケット20、角バー150の変形も生じなかった。また、40N・mを越えるトルク試験でも同様の結果を得た。耐トルク試験を複数回繰り返しても回り止めの性能は維持され、ブラケット20、角バー150、スリーブ110等に変形が生じないことを確認された。角バー150が水平に設置されている場合、角バー150の長さ方向、角バー150に直交する方向の両方向についてスプリンクラー配管60を垂直に固定出来ることを確認できた。
【符号の説明】
【0040】
20 ブラケット
21 上面部
22 側面部
23 下面部
24 上面孔
24a 上面孔第1当接辺
24b 上面孔第2当接辺
25 下面孔
25a 下面孔第1当接辺
25b 下面孔第2当接辺
27a 雌ねじ部
30 当て具
31 第1板
32 第2板
33 接続部
34 通し孔
60 スプリンクラー配管
70 スプリンクラーヘッド
110 スリーブ
140 蝶ボルト
141 ボルト部
142 頭部
150 角バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラーヘッドを接続するスプリンクラー配管を内部に保持する筒状のスリーブを角バーに固定するスプリンクラー取付機構において、
ブラケットと、当て具と、ボルトとを備え、
前記ブラッケットは、上面孔を有する上面部と、雌ねじが形成される側面部と、下面孔を有する下面部とによるコの字状形状であり、
前記当て具は、一定間隔をおいて向かい合って配置された、通し孔を有する第1板と、第2板とを有し、これらの板の少なくとも一端が接続され、
前記当て具の二つの板の間に前記ブラッケットの側面部を配置し、前記上面孔と前記下面孔に前記スリーブを通し、前記スリーブと前記第2板の間に前記角バーを配置して、前記ボルトを前記当て具の通し孔に通して前記ブラッケットの雌ねじに螺合させて、前記ボルトを締めると、前記ボルトの先端が前記第2板に当接して、前記第2板は前記角バーに当接して、前記角バーは前記スリーブに当接して、前記スリーブは前記ブラケットの上面孔及び下面孔の側面に当接して固定されることを特徴とするスプリンクラー取付機構。
【請求項2】
請求項1に記載のスプリンクラー取付機構において、
前記スリーブの外側は多角形で形成され、前記ブラケットの上面孔及び下面孔は、固定の際に前記スリーブの多角形の2側面のみを当接させるようにすることを特徴とするスプリンクラー取付機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のスプリンクラー取付機構において、
前記当て具は、U字状、コの字状又はロの字状の形状であることを特徴とするスプリンクラー取付機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−10833(P2012−10833A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−148620(P2010−148620)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(593000971)株式会社テクノフレックス (12)
【Fターム(参考)】