説明

スプレー塗装シミュレートシステム

【課題】塗料の噴射圧や広がりがそれぞれ異なる多様な塗料ノズルに対応したスプレー塗装をシミュレートすることができるスプレー塗装シミュレートシステムを提供すること。
【解決手段】3次元画像を表示するための3次元表示装置10と、3次元画像が表す被塗物を3次元に視認するために利用者に装着される3次元視認装置11と、3次元視認装置11の位置および姿勢から見た被塗物を表す3次元画像を表示させるように3次元表示装置10を制御する表示制御装置12と、被塗物を擬似的に塗装するための擬似塗装装置13とを備え、表示制御装置12は、塗料ノズルに対応する塗布パターンを格納しておき、擬似塗装装置13によって擬似的な塗装が行われている間、擬似的な塗装が行われている時間と、塗料ノズルに対応する塗布パターンと、擬似塗装装置13の位置および姿勢とに基づいて、塗装された被塗物を表すよう3次元画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元の被塗物に対するスプレー塗装をシミュレートするスプレー塗装シミュレートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元の被塗物に対するスプレー塗装をシミュレートするスプレー塗装シミュレートシステムとして、塗料ノズルと被塗物との関係を光源と被照射体との関係に置き換えたのち光照射シミュレーションを行うものがある。
【0003】
この従来のスプレー塗装シミュレートシステムは、被塗物の3次元形状と、塗料ノズルの特性を数学的に近似した光源モデルと、塗装条件とともに観測画像条件を3次元グラフィックス装置の入力形式に合致するよう書式変換装置を用いて変更したのち3次元グラフィックス装置に入力することにより、塗装処理を行った被塗物の塗着状態を3次元画像として出力するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−324798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような従来の技術では、塗料ノズルと被塗物との関係を光源と被照射体との関係に置き換えることによりスプレー塗装をシミュレートするため、塗料の噴射圧や広がりがそれぞれ異なる多様な塗料ノズルに対応したスプレー塗装をシミュレートすることができないといった課題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、塗料の噴射圧や広がりがそれぞれ異なる多様な塗料ノズルに対応したスプレー塗装をシミュレートすることができるスプレー塗装シミュレートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、3次元の被塗物に対するスプレー塗装をシミュレートするスプレー塗装シミュレートシステムにおいて、3次元画像を表示するための3次元表示装置と、前記3次元画像が表す被塗物を3次元に視認するために利用者に装着される3次元視認装置と、前記3次元視認装置の位置および姿勢から見た前記被塗物を表す3次元画像を表示させるように前記3次元表示装置を制御する表示制御装置と、前記被塗物を擬似的に塗装するための擬似塗装装置と、を備え、前記表示制御装置は、前記擬似塗装装置が擬似する塗装装置の塗布口に装着される塗料ノズルに対して、前記擬似塗装装置から予め定められた基準位置にある平面に垂直に塗料を塗布したときの塗料の分布を表す塗布パターンを格納するパターン情報格納部と、前記塗料ノズルが選択されるノズル選択部と、前記3次元視認装置の位置および姿勢から見た前記被塗物を表す3次元画像を生成する3次元画像生成部と、を有し、前記3次元画像生成部は、前記擬似塗装装置によって擬似的な塗装が行われている間、前記擬似的な塗装が行われている時間と、前記ノズル選択部によって選択された塗料ノズルに対応して前記パターン情報格納部に格納されている塗布パターンと、前記擬似塗装装置の位置および姿勢とに基づいて、塗装された前記被塗物を表すよう前記3次元画像を生成する構成を有している。
【0008】
この構成により、本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、塗料ノズルと塗布パターンとを対応させて格納しておき、選択された塗料ノズルに対応した塗布パターンに基づいて、スプレー塗装をシミュレートするため、塗料の噴射圧や広がりがそれぞれ異なる多様な塗料ノズルに対応したスプレー塗装をシミュレートすることができる。
【0009】
なお、前記塗布パターンは、前記擬似塗装装置の水平方向の塗料の厚みの分布と、前記擬似塗装装置の垂直方向の塗料の厚みの分布とによって構成されていてもよい。
【0010】
この構成により、本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、擬似塗装装置の水平方向の塗料の厚みの分布と、擬似塗装装置の垂直方向の塗料の厚みの分布とを調整することにより、塗料の噴射圧や広がりがそれぞれ異なる多様な塗料ノズルの塗布パターンを設定することができる。
【0011】
また、前記3次元画像生成部は、累積した塗料の厚みの分布に応じた濃さで前記3次元画像が表す被塗物を着色するようにしてもよい。
【0012】
この構成により、本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、3次元画像が表す被塗物に着色された色の濃淡で、被塗物に塗布された塗料の厚みを表現することができる。
【0013】
また、前記3次元画像生成部は、累積した塗料の厚みの分布に応じた配色で前記3次元画像が表す被塗物を着色するようにしてもよい。
【0014】
この構成により、本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、3次元画像が表す被塗物に着色された色で、被塗物に塗布された塗料の厚みを表現することができる。
【0015】
また、前記3次元画像生成部は、前記被塗物を展開した展開図と、適切に塗装された前記被塗物の基準展開図とを表す画像を生成するようにしてもよい。
【0016】
この構成により、本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、被塗物に対する塗装を視覚的に評価させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、塗料の噴射圧や広がりがそれぞれ異なる多様な塗料ノズルに対応したスプレー塗装をシミュレートすることができるスプレー塗装シミュレートシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムを構成する表示制御装置のハードウェア構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムを構成する表示制御装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムを構成する表示制御装置によって参照される塗料ノズルと、塗布パターンとの対応関係を示す概念図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムを構成する表示制御装置によって参照される塗布パターンを示す概念図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムを構成する表示制御装置によって生成される3次元画像が表す被塗物を示す概念図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムを構成する表示制御装置によって生成された3次元画像が表す被塗物に対する塗装を説明するための概念図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムを構成する表示制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステムを構成する表示制御装置によって生成される他の画像を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態おけるスプレー塗装シミュレートシステムについて、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステム1は、3次元画像を表示するための3次元表示装置10と、3次元画像が表す被塗物を3次元に視認するために利用者に装着される3次元視認装置11と、3次元視認装置11の位置および姿勢から見た被塗物を表す3次元画像を表示させるように3次元表示装置10を制御する表示制御装置12と、被塗物を擬似的に塗装するための擬似塗装装置13とを備えている。
【0021】
3次元表示装置10は、左目用および右目用の映像をそれぞれ照射するためのプロジェクタ10a、10bと、透過性スクリーン10cとによって構成されている。プロジェクタ10a、10bのレンズには、互いに異なる周りに円偏光させるための円偏光フィルタがそれぞれ装着されている。ここで、プロジェクタ10a、10bおよび透過性スクリーン10cの位置および姿勢は、スプレー塗装シミュレートシステム1において既知とする。
【0022】
3次元視認装置11は、3次元表示装置10によって円偏光された左目用の映像と右目用の映像とを左右の目でそれぞれ見られるように円偏光フィルタが設けられた偏光メガネによって構成されている。
【0023】
3次元視認装置11には、その位置および姿勢を検知するセンサ20が設けられている。センサ20は、超音波センサおよびジャイロを有している。このため、本実施の形態において、スプレー塗装シミュレートシステム1は、超音波を発する3つの超音波発生源をそれぞれ有する3つの超音波発生器21a乃至21cを備えている。
【0024】
なお、超音波発生器21a乃至21cは、透過性スクリーン10cの左端、右端および上端にそれぞれ設けられているものとするが、これらの設置位置は、スプレー塗装シミュレートシステム1において既知であれば、任意である。
【0025】
また、図1において、3つの超音波発生器21a乃至21cが示されているが、スプレー塗装シミュレートシステム1は、更に多くの超音波発生器を備えるようにしてもよい。また、各超音波発生器21a乃至21cは、少なくとも1つの超音波発生源を有していればよい。
【0026】
スプレー塗装シミュレートシステム1は、これら超音波発生器21a乃至21cを制御することによってセンサ20の位置を算出するとともにセンサ20の姿勢を取得し、これらセンサ20の位置および姿勢を表示制御装置12に伝達するトラッキングコントローラ22を備えている。すなわち、トラッキングコントローラ22は、3次元視認装置11の位置および姿勢を表示制御装置12に伝達するようになっている。
【0027】
表示制御装置12は、例えば、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)30と、RAM(Random Access Memory)31と、ROM(Read Only Memory)32と、ハードディスク装置33と、キーボード装置やポインティングデバイス等よりなる入力装置34と、表示装置35と、3次元表示装置10やトラッキングコントローラ22等の外部装置および各種センサと通信するための入出力ポート36とを備えた一般的なコンピュータ装置によって構成されている。
【0028】
ROM32やハードディスク装置33には、当該コンピュータ装置を表示制御装置12として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPU30がRAM31を作業領域としてROM32やハードディスク装置33に記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、表示制御装置12として機能する。
【0029】
図1において、擬似塗装装置13は、例えば、実際にスプレー塗装に用いられる塗装スプレーによって構成されている。この塗装スプレーは、実際に塗料を噴射しないように、塗料が補充されることなく使用される。
【0030】
擬似塗装装置13には、その位置および姿勢を検知するセンサ23が設けられている。センサ23は、超音波センサおよびジャイロを有している。トラッキングコントローラ22は、超音波発生器21a乃至21cを制御することによってセンサ23の位置を算出するとともにセンサ23の姿勢を取得し、これらセンサ23の位置および姿勢を表示制御装置12に伝達するようになっている。すなわち、トラッキングコントローラ22は、擬似塗装装置13の位置および姿勢を表示制御装置12に伝達するようになっている。
【0031】
また、擬似塗装装置13には、擬似的な塗装の開始および終了を検知するセンサ24が設けられている。センサ24は、擬似的な塗装の開始および終了を表す信号を表示制御装置12に出力するようになっている。
【0032】
図3に示すように、表示制御装置12は、擬似塗装装置13が擬似する塗装装置の塗布口に装着される塗料ノズルに対して、擬似塗装装置13から予め定められた基準位置にある平面に垂直に塗料を塗布したときの塗料の厚みの分布を表す塗布パターンを格納するパターン情報格納部40と、塗料ノズルが選択されるノズル選択部41と、被塗物を3次元表示するための被塗物情報を格納する被塗物情報格納部42と、被塗物を表す3次元画像を生成する3次元画像生成部43とを有している。
【0033】
パターン情報格納部40は、ハードディスク装置33によって構成され、擬似塗装装置13が擬似する塗装装置の塗布口に装着される塗料ノズルと、擬似塗装装置13から予め定められた基準位置にある平面に垂直に塗料を塗布したときの塗料の厚みの分布を表す塗布パターンとを対応させて格納するようになっている。
【0034】
例えば、図4に示すように、パターン情報格納部40には、塗料ノズルの製品番号と、塗布パターンとが対応して格納されている。本実施の形態において、塗布パターンは、図5に示すように、擬似塗装装置13の水平方向の塗料の厚みの分布50と、擬似塗装装置13の垂直方向の塗料の厚みの分布51とによって構成されている。
【0035】
図3において、ノズル選択部41は、CPU30、入力装置34および表示装置35によって構成され、パターン情報格納部40に格納された塗料ノズルの製品番号の一覧を表示装置35に表示し、表示装置35に表示した塗料ノズルの製品番号の一覧から入力装置34を介して1つの塗料ノズルの製品番号を選択させるようになっている。
【0036】
なお、ノズル選択部41をCPU30、擬似塗装装置13および3次元表示装置10によって構成してもよい。すなわち、ノズル選択部41は、パターン情報格納部40に格納された塗料ノズルの製品番号の一覧を3次元表示装置10に表示させ、3次元表示装置10に表示された塗料ノズルの製品番号の一覧から擬似塗装装置13を用いて1つの塗料ノズルの製品番号を選択させるようにしてもよい。
【0037】
被塗物情報格納部42は、ハードディスク装置33によって構成され、被塗物情報格納部42には、少なくとも1つの被塗物を3次元表示するための被塗物情報が格納されている。本実施の形態において、被塗物情報は、被塗物を再現するための3次元座標の集合を含んでいる。
【0038】
なお、表示制御装置12は、被塗物情報格納部42に格納された被塗物情報を表す画像の一覧を表示装置35に表示させ、表示装置35に表示させた画像の一覧から入力装置34を介して1つの被塗物情報に対応する画像を選択させるようにしてもよい。
【0039】
また、表示制御装置12は、被塗物情報格納部42に格納された被塗物情報を表す画像の一覧を3次元表示装置10に表示させ、3次元表示装置10に表示させた画像の一覧から擬似塗装装置13を用いて1つの被塗物情報に対応する画像を選択させるようにしてもよい。
【0040】
3次元画像生成部43は、CPU30によって構成され、センサ20によって検出された3次元視認装置11の位置および姿勢と、被塗物情報格納部42に格納された被塗物情報とに基づいて、図6に示すような被塗物を3次元視認装置11の位置および姿勢から見た3次元画像を生成するようになっている。
【0041】
ここで、3次元画像は、左目用の画像と右目用の画像とによって構成され、3次元画像生成部43は、各画像をプロジェクタ10a、10bに入出力ポート36を介してそれぞれ出力するようになっている。
【0042】
また、3次元画像生成部43は、擬似塗装装置13によって擬似的な塗装が行われていることがセンサ24よって検知されている間、擬似的な塗装が行われている時間と、ノズル選択部41によって選択された塗料ノズルに対応してパターン情報格納部40に格納されている塗布パターンと、センサ23によって検知された擬似塗装装置13の位置および姿勢とに基づいて、被塗物60を擬似的に塗装するようになっている。
【0043】
具体的には、3次元画像生成部43は、図7に示すように、センサ23によって検知された擬似塗装装置13の位置および姿勢から、基準位置にある塗布パターンを被塗物60に射影する形で被塗物60を擬似的に塗装するようになっている。
【0044】
例えば、3次元画像生成部43は、センサ23によって検知された擬似塗装装置13の位置と基準位置との間の距離Dと、センサ23によって検知された擬似塗装装置13の位置と塗布パターンが射影される被塗物60の各画素の位置との間の距離dとに基づいて、当該塗布パターンのサイズをd/D倍拡大し、拡大した塗布パターンの画素のうち、該当画素に塗布された塗料の厚みを算出し、算出した塗料の厚みを画素毎に累積していくことにより、被塗物60を擬似的に塗装するようになっている。
【0045】
なお、3次元画像生成部43は、累積した塗料の厚みの分布に応じた濃さで被塗物60を着色するようにしてもよく、累積した塗料の厚みの分布に応じた配色で被塗物60を着色するようにしてもよい。
【0046】
ここで、3次元画像生成部43が塗料の厚みの分布に応じた配色で被塗物60を着色する場合には、3次元画像生成部43は、塗料の厚みを段階的に分類し、分類した段階毎に例えば、白色、黄色、緑色、青色といったように配色する。
【0047】
このように、3次元画像生成部43は、塗装された被塗物60を3次元視認装置11から見た3次元画像を生成するようになっている。
【0048】
以上のように構成された表示制御装置12の動作を図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0049】
まず、擬似塗装装置13によって擬似的な塗装が行われているか否かが3次元画像生成部43によって判断される(ステップS1)。
【0050】
ここで、擬似的な塗装が行われていると判断された場合には、3次元画像生成部43によって、ノズル選択部41で選択された塗料ノズルに対応する塗布パターンと、擬似塗装装置13の位置および姿勢とに基づいて、3次元画像が表す被塗物が擬似的に塗装される(ステップS2)。
【0051】
一方、擬似的な塗装が行われていないと判断された場合、または、ステップS2における処理が完了した場合には、3次元視認装置11の位置および姿勢に基づいて、被塗物を3次元視認装置11から見た3次元画像が3次元画像生成部43によって生成され(ステップS3)、生成された3次元画像が3次元表示装置10に出力される(ステップS4)。
【0052】
ここで、入力装置34等を介してシミュレーションの停止が指示されている場合には、表示制御装置12の動作は、終了し、シミュレーションの停止が指示されていない場合には、表示制御装置12の動作は、ステップS1に戻る(ステップS5)。
【0053】
このように、本発明の一実施の形態に係るスプレー塗装シミュレートシステム1は、塗料ノズルと塗布パターンとを対応させて格納しておき、選択された塗料ノズルに対応した塗布パターンに基づいて、スプレー塗装をシミュレートするため、塗料の噴射圧や広がりがそれぞれ異なる多様な塗料ノズルに対応したスプレー塗装をシミュレートすることができる。
【0054】
なお、被塗物情報格納部42に格納されている被塗物情報に、被塗物を展開した展開図と、適切に塗装された被塗物の基準展開図とを含め、シミュレーションの停止後に、3次元画像生成部43が、図9に示すように、擬似的に塗装された被塗物を展開した展開図70と、適切に塗装された被塗物の基準展開図71とを3次元表示装置10または表示装置35に表示するようにしてもよい。
【0055】
このように構成することにより、表示制御装置12は、被塗物に対する塗装を視覚的に評価させることができる。また、表示制御装置12は、展開図70と基準展開図71との対応する画素を比較していくことにより、被塗物に対する塗装を数値で評価することができる。
【0056】
また、本実施の形態においては、3次元表示装置10をプロジェクタ10a、10bと、透過性スクリーン10cとによって構成した例について説明したが、本発明においては、3次元表示装置10は、3次元表示が可能なものであればよく、例えば、3次元画面を有する大型のディスプレイ装置によって構成してもよい。この場合には、3次元視認装置11は、3次元表示装置10の構成により、その構成が適宜変更される。
【0057】
また、本実施の形態においては、3次元視認装置11の位置および姿勢を検知するセンサ20を超音波センサおよびジャイロによって構成した例について説明したが、本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、モーションキャプチャ等の他の態様で3次元視認装置11の位置および姿勢を検知するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施の形態においては、擬似塗装装置13の位置および姿勢を検知するセンサ23を超音波センサおよびジャイロによって構成した例について説明したが、本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、モーションキャプチャ等の他の態様で擬似塗装装置13の位置および姿勢を検知するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のスプレー塗装シミュレートシステムは、船舶や航空機の一部等のような3次元の被塗物に対するスプレー塗装をシミュレートするシミュレータとして利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 スプレー塗装シミュレートシステム
10 3次元表示装置
10a、10b プロジェクタ
10c 透過性スクリーン
11 3次元視認装置
12 表示制御装置
13 擬似塗装装置
20、23、24 センサ
21a〜21c 超音波発生器
22 トラッキングコントローラ
30 CPU
31 RAM
32 ROM
33 ハードディスク装置
34 入力装置
35 表示装置
36 入出力ポート
40 パターン情報格納部
41 ノズル選択部
42 被塗物情報格納部
43 3次元画像生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の被塗物に対するスプレー塗装をシミュレートするスプレー塗装シミュレートシステムにおいて、
3次元画像を表示するための3次元表示装置と、
前記3次元画像が表す被塗物を3次元に視認するために利用者に装着される3次元視認装置と、
前記3次元視認装置の位置および姿勢から見た前記被塗物を表す3次元画像を表示させるように前記3次元表示装置を制御する表示制御装置と、
前記被塗物を擬似的に塗装するための擬似塗装装置と、を備え、
前記表示制御装置は、
前記擬似塗装装置が擬似する塗装装置の塗布口に装着される塗料ノズルに対して、前記擬似塗装装置から予め定められた基準位置にある平面に垂直に塗料を塗布したときの塗料の分布を表す塗布パターンを格納するパターン情報格納部と、
前記塗料ノズルが選択されるノズル選択部と、
前記3次元視認装置の位置および姿勢から見た前記被塗物を表す3次元画像を生成する3次元画像生成部と、を有し、
前記3次元画像生成部は、前記擬似塗装装置によって擬似的な塗装が行われている間、前記擬似的な塗装が行われている時間と、前記ノズル選択部によって選択された塗料ノズルに対応して前記パターン情報格納部に格納されている塗布パターンと、前記擬似塗装装置の位置および姿勢とに基づいて、塗装された前記被塗物を表すよう前記3次元画像を生成することを特徴とするスプレー塗装シミュレートシステム。
【請求項2】
前記塗布パターンは、前記擬似塗装装置の水平方向の塗料の厚みの分布と、前記擬似塗装装置の垂直方向の塗料の厚みの分布とによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスプレー塗装シミュレートシステム。
【請求項3】
前記3次元画像生成部は、累積した塗料の厚みの分布に応じた濃さで前記3次元画像が表す被塗物を着色することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスプレー塗装シミュレートシステム。
【請求項4】
前記3次元画像生成部は、累積した塗料の厚みの分布に応じた配色で前記3次元画像が表す被塗物を着色することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスプレー塗装シミュレートシステム。
【請求項5】
前記3次元画像生成部は、前記被塗物を展開した展開図と、適切に塗装された前記被塗物の基準展開図とをそれぞれ表す画像を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のスプレー塗装シミュレートシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−63990(P2012−63990A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207881(P2010−207881)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(599033368)旭エレクトロニクス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】