説明

スペアヒューズの保持構造

【課題】所謂低背ミニヒューズであっても容易に保持部に取り付けることができるスペアヒューズの保持構造を提供する。
【解決手段】スペアヒューズの保持構造35は内面27aから凸の立設部39と立設部39の先端に設けられた爪部40を備えた係止部36と内面27aから凸の第2立設部42と第2立設部42の先端に設けられた第2爪部43を備えた第2係止部37を備えている。爪部40には第2爪部43に近づくのにしたがって内面27aに近づくように内面27aに対して傾斜した傾斜面41が設けられている。傾斜面41には第2爪部43と内面27aとの間に他の外縁部33bが位置付けられたスペアヒューズ13が重なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体としての自動二輪車などに搭載される電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動二輪車には、一般に、ヘッドランプ及びテールランプなどのランプ類、スタータモータ、などの多種多様な電子機器が搭載されている。
【0003】
前述した多種多様な電子機器に電力を供給するために、前記自動二輪車は、ジャンクションブロックを適宜箇所に配置してきた。前記ジャンクションブロックは、多数のヒューズやリレー等の各種の電気回路ユニットを集約して構成されている。
【0004】
なお、ジャンクションブロックは、ヒューズ、リレー、ブスバーなどを有することもあることから、ヒューズブロック、リレーボックス、又は総称して電気接続箱とも呼ばれる。本明細書では、前述したヒューズブロック、リレーボックス、ジャンクションブロックを、総称して以下電気接続箱(例えば、特許文献1参照)と呼ぶ。
【0005】
特許文献1などに示された電気接続箱は、箱本体と、この箱本体内に収容される複数のバスバと、アッパカバーと、ロアカバーとを備えている。箱本体は、絶縁性の合成樹脂で構成され、その上面にヒューズ、リレーなどの電気部品が取り付けられかつその下面にワイヤハーネスの複数の電線の端末が取り付けられる。バスバは、箱本体内に設けられて、前述したワイヤハーネスの各電線と前述した電気部品とを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続する。
【0006】
アッパカバーは、絶縁性の合成樹脂で構成され、箱本体の上面を覆う状態で当該箱本体に取り付けられる。ロアカバーは、絶縁性の合成樹脂で構成され、箱本体の下面を覆う状態で当該箱本体に取り付けられる。
【0007】
前述した電気接続箱は、電源からの電力が電源ケーブルにより供給され、この電力をバスバなどにより分岐し、前述したヒューズやリレーを通した後に、ワイヤハーネスの電線を介して、各種の電子機器に供給する。
【0008】
また、前述したアッパカバーには、前述した箱本体の上面に取り付けられたヒューズの可溶体が溶断した際に用いられるスペアヒューズを保持するスペアヒューズ保持構造としての保持部が設けられている。勿論、スペアヒューズは、可溶体が溶断したヒューズと交換される。ヒューズ及びスペアヒューズは、互いに平行な一対の端子と、これら端子の一端部同士を連結しかつ所定の電流値で溶断する可溶体と、前記端子の一端部と前記可溶体とを収容するハウジングとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−185009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述した特許文献1に示された電気接続箱では、互いに平行な一対のブレード状の端子と、端子の一端部同士を連結した可溶体と、前記端子の他端部を外縁から突出させかつ端子の一端部及び可溶体を収容した扁平な箱状のハウジングとを備えた所謂ミニヒューズを前述した保持部に保持している。しかしながら、前述したヒューズとして、端子の他端部をハウジングの外縁から殆ど突出させずにハウジングに端子の他端部を露出させる切欠きを設けた所謂低背ミニヒューズが用いられることがある。このような所謂低背ミニヒューズは、ハウジングの外縁から端子の他端部を殆ど突出させないために、小型化が図れているので、前述した保持部に取り付けることが困難であった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、所謂低背ミニヒューズであっても容易に保持部に取り付けることができるスペアヒューズの保持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のスペアヒューズの保持構造は、壁面から凸の立設部と、この立設部の先端に設けられかつスペアヒューズの一の外縁部に係止する爪部とを備えた係止部と、前記壁面から凸の第2立設部と、この第2立設部の先端に設けられかつスペアヒューズの一の外縁部の反対側の他の外縁部に係止する第2爪部とを備えた第2係止部と、を備え、前記爪部には、前記第2爪部に近づくのにしたがって前記壁面に近づくように前記壁面に対して傾斜しているとともに、前記第2爪部と前記壁面との間に前記他の外縁部が位置付けられたスペアヒューズが重なる傾斜面が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の本発明のスペアヒューズの保持構造は、請求項1記載のスペアヒューズの保持構造において、前記壁面から凸でかつ前記係止部と前記第2係止部との間に設けられて、前記一の外縁部が前記爪部に係止されかつ前記他の外縁部が前記第2爪部に係止されたスペアヒューズが重ねられる凸部を備えたことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の本発明のスペアヒューズの保持構造は、請求項2記載のスペアヒューズの保持構造において、前記凸部の前記第2係止部寄りの縁部には、前記第2立設部に近づくのにしたがって前記壁面に近づくように前記壁面に対して傾斜しているとともに、前記第2爪部と前記壁面との間に前記他の外縁部が位置付けられたスペアヒューズが重なる第2傾斜面が設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載した本発明のスペアヒューズの保持構造によれば、壁面と第2爪部との間に他の外縁部を位置付けると、スペアヒューズが重なる傾斜面を爪部に設けている。このために、壁面と第2爪部との間に他の外縁部を位置付け、かつ傾斜面上にスペアヒューズを重なることで、両爪部で係止する前のスペアヒューズを仮保持する(一時的に保持する)ことができる。このような状態で、一の外縁部を壁面に向かって押圧することで、両爪部がヒューズの外縁部に係止することができる。
【0016】
請求項2に記載した本発明のスペアヒューズの保持構造によれば、係止部間に壁面から凸の凸部を設けているので、傾斜面上のヒューズの一の外縁部を壁面に向かって押圧する際に、当該ヒューズが凸部に接触して、凸部との接触箇所を中心として回転する。
【0017】
請求項3に記載した本発明のスペアヒューズの保持構造によれば、壁面と第2爪部との間に他の外縁部を位置付け、爪部の傾斜面に重なったスペアヒューズが重なる第2傾斜面を凸部に更に設けている。このために、両爪部で係止する前のスペアヒューズをより安定して仮保持する(一時的に保持する)ことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、傾斜面上に重ねて仮保持したヒューズの一の外縁部を壁面に向かって押圧することで、両爪部が外縁部に係止できるので、容易に、ヒューズを保持することができる。よって、所謂低背ミニヒューズであっても容易にヒューズを取り付けることができる。
【0019】
請求項2に記載の本発明は、傾斜面上のヒューズの一の外縁部を壁面に向かって押圧する際に、当該ヒューズの凸部との接触箇所を中心として回転するので、確実に両爪部がヒューズの外縁部を係止することができる。
【0020】
請求項3に記載の本発明は、両爪部で係止する前のスペアヒューズをより安定して仮保持する(一時的に保持する)ことができるので、より容易に、ヒューズを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
【図2】図1に示された電気接続箱の箱本体を分解して示す斜視図である。
【図3】図2に示された電気接続箱の箱本体のブロックの平面図である。
【図4】図3中の矢印IV方向から見た側面図である。
【図5】図3中の矢印V方向から見た側面図である。
【図6】図3中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図1中のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図1に示された電気接続箱のアッパカバーを裏側からみた斜視図である。
【図9】図8中のIX部を拡大して示す斜視図である。
【図10】図9中のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図8に示されたアッパカバーの保持構造がヒューズを保持した状態を裏側からみた斜視図である。
【図12】図11中のXII部を拡大して示す斜視図である。
【図13】図12中のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図14】図9に示された保持構造にヒューズを仮保持した状態を示す斜視図である。
【図15】図14中のXV−XV線に沿う断面図である。
【図16】図1に示された電気接続箱のヒューズの斜視図である。
【図17】図1に示された電気接続箱を備えた自動二輪車の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態にかかるスペアヒューズの保持構造(以下、単に保持構造と呼ぶ)を図1ないし図17に基づいて説明する。本実施形態にかかる保持構造35は、図1に示す電気接続箱1を構成している。電気接続箱1は、移動体としての自動二輪車2(図17に示す)に搭載される。電気接続箱1は、図17に示すように、自動二輪車2のダミータンク型収納ボックス3よりも前方側に配置されたバッテリボックス4内にバッテリ5に隣接して収容されている。
【0023】
電気接続箱1は、図1及び図2に示すように、箱本体6と、アッパカバー7と、前述した保持構造35を備えている。なお、本実施形態では、箱本体6とアッパカバー7とが互いに重なる方向を厚み方向Zとよび、この厚み方向Zに対して交差(図示例では直交)し後述するブロック8同士が並ぶ方向を長手方向Yとよび、前記厚み方向Zと長手方向Yとの双方に対して交差(図示例では直交)する方向を幅方向Xとよぶ。
【0024】
箱本体6は、互いに汲みつけられる複数のブロック8と、図示しないバスバと、を備えている。なお、図示例では、箱本体6は、二つのブロック8を備えており、これら二つのブロック8は互いに同形状に形成されている。
【0025】
ブロック8は、絶縁性の合成樹脂で構成され、箱状に形成されている。ブロック8は、図3乃至図6に示すように、箱状のブロック本体9と、連結部10と、カバー固定部11と、収容凹部12とを備えている。
【0026】
ブロック本体9は、箱状に形成され、かつ図4及び図5中の上方側に位置する表面9a(以下、上面と呼ぶ)に電気部品としてのヒューズ13やリレー14などを装着する装着部15を設け、図4及び図5中の下方側に位置する表面9b(以下、下面と呼ぶ)にワイヤハーネスのコネクタが装着されるコネクタ装着部を設けている。
【0027】
本実施形態では、ヒューズ13は、図16に示すように、一対の導電性の端子32と、当該端子32の長手方向の中央部同士を連結した図示しない可溶体と、絶縁性のハウジング33とを備えている。端子32は、それぞれ帯板状に形成されている。端子32は、互いに間隔をあけて平行に設けられている。可溶体は、端子32間を流れる電流の電流値が所定の値を超えると溶断する。ハウジング33は、絶縁性の合成樹脂で構成されており、扁平な箱状に形成されている。また、ハウジング33には、端子32の一端部と中央部とを露出するように切欠き34が形成されている。また、端子32の一端部はハウジング33から殆ど突出していない。このように、本実施形態で示されたヒューズ13は、端子32の一端部がハウジング33から殆ど突出せずに、当該端子32の一端部と中央部を露出させる切欠き34がハウジング33に設けられた所謂低背ミニヒューズとなっている。
【0028】
連結部10は、ブロック本体9の一方の端部17(ブロック8の一方の端部に相当)に設けられた連結係合部19及びガイド溝部20と、ブロック本体9の他方の端部18(ブロック8の他方の端部に相当)に設けられた連結係合受け部21及びガイド突起22と、を備えている。連結係合部19は、ブロック8のブロック本体9の一方の端部17の端面17aの中央から凸の突起状に形成されている。ガイド溝部20は、前記端面17aの幅方向Xの両端に設けられている。ガイド溝部20は、前記端面17aの表面から凸でかつ互いに幅方向Xに間隔をあけて設けられているとともに厚み方向Zに沿って直線状に延在した一対の凸条壁23を備えている。
【0029】
連結係合受け部21は、ブロック8のブロック本体9の他方の端部18の端面18aの中央に一端が連なった可撓性を有するアーム状に形成されている。ガイド突起22は、前記端面18aの幅方向Xの両端に設けられている。ガイド突起22は、前記端面18aの表面から凸でかつ厚み方向Zに沿って直線状に延在している。
【0030】
前述した構成の連結部10は、ガイド突起22をガイド溝部20の一対の凸条壁23間に通して、ブロック8同士を厚み方向Zに沿って互いに近づくように案内するとともに、連結係合部19が連結係合受け部21に係合することで、ブロック8同士を直列に連結する。
【0031】
カバー固定部11は、図3及び図6に示すように、第2係合部としての引っ掛け部24と、第1係合部としての係合枠部25とを備えている。引っ掛け部24は、ブロック本体9の他方の端部18の端面18aから凸の一対の引っ掛け突起26を備えている。一対の引っ掛け突起26は、ブロック本体9の他方の端部18の端面18aの上面9a寄りの箇所に設けられ、かつ、互いに幅方向Xに間隔をあけて設けられている。
【0032】
係合枠部25は、ブロック本体9の一方の端部17の端面17aに両端が連なった枠状に形成されている。係合枠部25は、ブロック本体9の一方の端部17の端面17aの上面9a寄りの箇所でかつ幅方向Xの中央に設けられている。
【0033】
収容凹部12は、ブロック本体9の他方の端部18の端面18aと上面9aとの双方から凹に形成されており、前記端面18aの幅方向Xの中央に設けられている。収容凹部12は、図7に示すように、連結部10によりブロック8が互いに直列に連結された際に、係合枠部25を内側に収容する。また、収容凹部12は、図7に示すように、内側に収容した係合枠部25上に最も他方の端部18の端面18a寄りの装着部15に装着される電気部品としてのリレー14が重なる位置に設けられている。即ち、収容凹部12は、ブロック8のブロック本体9の係合枠部25をリレー14に重なる位置に位置付けている。
【0034】
バスバは、導電性の板金で構成され、かつブロック本体9内に収容されている。バスバは、装着部15に装着されるヒューズ13やリレー14と、コネクタ装着部に装着されるワイヤハーネスのコネクタとを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続する。
【0035】
前述した構成の箱本体6は、連結部10によりブロック8が互いに直列に連結されて組み立てられる。そして、箱本体6は、装着部15にヒューズ13やリレー14が取り付けられるとともに、コネクタ装着部にワイヤハーネスのコネクタが装着される。そして、箱本体6は、装着部15に装着されるヒューズ13やリレー14と、コネクタ装着部に装着されるワイヤハーネスのコネクタとを予め定められたパターンにしたがって電気的に接続する。
【0036】
アッパカバー7は、絶縁性の合成樹脂からなり、周知の射出成形により成形される。アッパカバー4は、平坦な天井壁27と、この天井壁27の外縁それぞれから立設した四つの周壁28とを備えている。また、アッパカバー7の長手方向Yの一方の端部には、係合爪29が設けられ、アッパカバー7の長手方向Yの他方の端部には、引っ係り部30が設けられている。係合爪29は、アッパカバー7の周壁28の縁から箱本体6に向かって突出した爪状に形成されている。係合爪29は、係合枠部25内に侵入して、当該係合枠部25に係止する。引っ係り部30は、アッパカバー7の周壁28の縁から箱本体6に向かって突出した平板状に形成されかつ引っ掛け突起26が侵入する侵入受け孔31が設けられている。
【0037】
前述した構成のアッパカバー7は、引っ係り部30の侵入受け孔31内に引っ掛け突起26を侵入させて当該引っ掛け突起26を引っ掛ける。そして、アッパカバー7は、係合爪29が係合枠部25に近づくように、侵入受け孔31を中心として回転されて、箱本体6に近づけられる。アッパカバー7は、係合爪29が係合枠部25内に侵入して、当該係合枠部25に係止することで、箱本体6の上面9aを覆う状態で、当該箱本体6に取り付けられる。
【0038】
保持構造35は、アッパカバー7にスペアヒューズ13を保持する構造である。なお、スペアヒューズ13は、前述したヒューズ13と構成が等しいので、同一部分に同一符号を付して説明を省略し、以下、ヒューズ13と呼ぶ。保持構造35は、図8及び図11に示すように、アッパカバー7に四つ設けられている。保持構造35は、アッパカバー7の天井壁27の箱本体6の上面9aに相対する内面27a(壁面に相当)に設けられている。図示例では、保持構造35は、アッパカバー7の長手方向Yに間隔をあけて二つ設けられかつ当該アッパカバー7の幅方向Xに間隔をあけて二つ設けられている。
【0039】
保持構造35は、図9、図10及び図12に示すように、それぞれ、一対の係止部36と、一つの第2係止部37と、凸部38とを備えている。係止部36は、アッパカバー7の幅方向Xに互いに間隔をあけて設けられている。係止部36は、ぞれぞれ、アッパカバー7の内面27aから凸の立設部39と、この立設部39の先端に設けられた爪部40とを一体に備えている。立設部39は、アッパカバー7の内面27aから凸の四角柱状に形成されている。爪部40は、立設部39の先端から第2係止部37に向かって突出している。また、爪部40には、第2係止部37の後述する第2爪部43に近づくのにしたがって徐々に内面27aに近づくように当該内面27aに対して傾斜した傾斜面41が設けられている。係止部36は、図13に示すように、爪部40が内面27aとの間にヒューズ13のハウジング33の一の外縁部33aを位置付けて、当該一の外縁部33aに係止する。
【0040】
第2係止部37は、アッパカバー7の内面27aから凸の第2立設部42と、この第2立設部42の先端に設けられた第2爪部43とを一体に備えている。第2立設部42は、アッパカバー7の内面27aから凸の四角柱状に形成されている。第2爪部43は、第2立設部42の先端から係止部36に向かって突出している。第2係止部37は、図13に示すように、第2爪部43が内面27aとの間にヒューズ13のハウジング33の一の外縁部33aの反対側の他の外縁部33bを位置付けて、当該他の外縁部33bに係止する。
【0041】
凸部38は、係止部36と第2係止部37との間に設けられかつアッパカバー7の内面27aから凸に形成されている。凸部38は、一の外縁部33aが爪部40に係止されかつ他の外縁部33bが第2爪部43に係止されたヒューズ13が表面上に重ねられる。なお、凸部38の表面は、アッパカバー7の内面27aと平行に平坦に形成されている。また、凸部38の第2係止部37寄りの縁部には、第2立設部42に近づくのにしたがって内面27aに近づくように内面27aに対して傾斜した第2傾斜面44が設けられている。
【0042】
前述した構成の保持構造35は、以下のように、ヒューズ13を保持する。まず、ヒューズ13のハウジング33の一の外縁部33aを係止部36寄りに位置付け、かつ、ヒューズ13のハウジング33の他の外縁部33bを第2係止部37寄りに位置付ける。そして、図14及び図15に示すように、ハウジング33の他の外縁部33bを、内面27aと第2爪部43との間に位置付け、ヒューズ13のハウジング33を傾斜面41及び第2傾斜面44に重ねる。このように、傾斜面41,44には、第2爪部43と内面27aとの間に他の外縁部33bが位置付けられたヒューズ13が重なる。こうして、保持構造35は、ヒューズ13を仮保持する。
【0043】
そして、ヒューズ13のハウジング33の一の外縁部33aを内面27aに向かって圧入する。すると、ハウジング33が凸部38との接触箇所を中心として回転して、爪部40がハウジング33の一の外縁部33aから離れる方向に、係止部36の立設部39が一旦弾性変形する。そして、ハウジング33の一の外縁部33aが、内面27aと爪部40との間に位置付けられると、立設部39が弾性復元力により中立状態に復帰して、当該爪部40がハウジング33の一の外縁部33aに係止する。こうして、保持構造35は、ヒューズ13をアッパカバー7に保持する。
【0044】
前述したように構成された電気接続箱1は、バッテリボックス4内にバッテリ5に隣接して収容されて、自動二輪車2に取り付けられる。
【0045】
本実施形態によれば、内面27aと第2爪部43との間に他の外縁部33bを位置付けると、ヒューズ13が重なる傾斜面41を爪部40に設けている。このために、内面27aと第2爪部43との間に他の外縁部33bを位置付け、かつ傾斜面41上にヒューズ13を重なることで、両爪部40,43で係止する前のヒューズ13を仮保持する(一時的に保持する)ことができる。このような状態で、一の外縁部33aを内面27aに向かって押圧することで、両爪部40,43がヒューズ13の外縁部33a,33bに係止することができる。したがって、容易に、ヒューズ13を保持することができる。よって、所謂低背ミニヒューズであっても容易にヒューズ13を取り付けることができる。
【0046】
係止部36,37間に内面27aから凸の凸部38を設けているので、傾斜面41上のヒューズ13の一の外縁部33aを内面27aに向かって押圧する際に、当該ヒューズ13が凸部38に接触して、凸部38との接触箇所を中心として回転する。したがって、確実に両爪部40,43がヒューズ13の外縁部33a,33bを係止することができる。
【0047】
内面27aと第2爪部43との間に他の外縁部33bを位置付け、爪部40の傾斜面41に重なったヒューズ13が重なる第2傾斜面44を凸部38に更に設けている。このために、両爪部40,43で係止する前のヒューズ13をより安定して仮保持する(一時的に保持する)ことができる。よって、より容易に、ヒューズ13を保持することができる。
【0048】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0049】
13 ヒューズ(スペアヒューズ)
27a 内面(壁面)
33a 一の外縁部
33b 他の外縁部
35 スペアヒューズの保持構造
36 係止部
37 第2係止部
38 凸部
39 立設部
40 爪部
41 傾斜面
42 第2立設部
43 第2爪部
44 第2傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面から凸の立設部と、この立設部の先端に設けられかつスペアヒューズの一の外縁部に係止する爪部とを備えた係止部と、
前記壁面から凸の第2立設部と、この第2立設部の先端に設けられかつスペアヒューズの一の外縁部の反対側の他の外縁部に係止する第2爪部とを備えた第2係止部と、を備え、
前記爪部には、前記第2爪部に近づくのにしたがって前記壁面に近づくように前記壁面に対して傾斜しているとともに、前記第2爪部と前記壁面との間に前記他の外縁部が位置付けられたスペアヒューズが重なる傾斜面が設けられていることを特徴とするスペアヒューズの保持構造。
【請求項2】
前記壁面から凸でかつ前記係止部と前記第2係止部との間に設けられて、前記一の外縁部が前記爪部に係止されかつ前記他の外縁部が前記第2爪部に係止されたスペアヒューズが重ねられる凸部を備えたことを特徴とする請求項1記載のスペアヒューズの保持構造。
【請求項3】
前記凸部の前記第2係止部寄りの縁部には、前記第2立設部に近づくのにしたがって前記壁面近づくように前記壁面に対して傾斜しているとともに、前記第2爪部と前記壁面との間に前記他の外縁部が位置付けられたスペアヒューズが重なる第2傾斜面が設けられていることを特徴とする請求項2記載のスペアヒューズの保持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−213288(P2012−213288A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77882(P2011−77882)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】