説明

スペクトル測定装置及びスペクトル測定方法

【課題】極めて微量の液体試料についての光学的測定が可能となされたスペクトル測定装置及びスペクトル測定方法において、予め用意した薬品とその後に導入した液体試料との反応生成物の測定を行うことを可能とし、また、液体試料の蒸発を防止して測定中に亘って必要な量の液体試料を確保することを可能とし、さらに、多数のサンプルを順次的に効率よく測定することができるようにする。
【解決手段】略平板状の回転中心軸Aを有する基体1の内部に、回転中心軸Aに平行な直線状に形成された複数の測定流路2を設ける。測定流路2内に液体試料を充填させ、この液体試料に光束を透過させ、透過光を測定してスペクトルを測定する。基体1を回転中心軸A回りに回転させ、各測定流路2内に充填された液体試料を順次測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な基体中に形成された測定流路に液体試料を充填させ、この液体試料を経た光束を取り込んで測定するようにしたスペクトル測定装置及びスペクトル測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1ml(ミリリットル)以下、例えば、1μl(マイクロリットル)程度の極めて微量の液体試料についての光学的測定を可能とする測定装置の必要が増大している。例えば、動物や、特に人間から、分析が必要な生体組織を大量に得ることは、困難な場合が多い。また、蛋白質、酵素、抗体及びデオキシリボ核酸(DNA)の試料を大量に合成、または、精製することは、多大の費用がかかる。したがって、蛋白質やDNAの試料は、通常、少量の液体試料の状態である。そのため、1μl程度の極めて微量の液体試料についての光学的測定を可能とする測定装置が必要となるのである。
【0003】
従来の吸光分光計においては、極めて少量の液体試料について十分な感度の溶液分析を行うことができなかった。例えば、波長260nmにおける吸光を用いて、DNAについてバックグランド信号から区別できる最低濃度として定義される近似的検出限界は0.5ml程度であり、光路長が10mmの試料キュベットを用いた場合、約250ng(ナノグラム)である。
【0004】
従来、必要な試料キュベットの内容積を小さくする試みもなされているが、このような試みは、光路長の短縮を特徴とするものが多く、光路長の短縮により測定感度の低下が生じていた。10mmの光路長を確保した試料キュベットとして、30μl乃至50μlの範囲の体積の液体を収容するものが提案されている。しかし、内容積を5μlとした場合には、光路長が0.5mmとなってしまい、十分な感度の測定が行えない。
【0005】
特許文献1には、コア領域を形成する毛管を用いて、コア領域に液体試料を封入した測定装置が提案されている。この測定装置においては、いわゆる液体コア法が採用されており、毛管は剛性であって、かつ、液体試料中を伝播される光波に対する屈折率が液体試料より小さくなっている。
【0006】
一方、従来、試料キュベットを用いずに、液体試料の表面張力によって液体試料を水滴状とし、この状態において分光などの光学的測定を行う測定装置が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開平7‐218422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述のような液体コア法を採用した測定装置においては、毛管の屈折率が液体試料より小さくなければならないため、毛管の材質に制約があり、また、毛管内に薬品をコーティングすることが困難である。そのため、例えば、抗原・抗体反応等の測定のように、毛管内に予め抗体等の薬品を付着させた後に液体試料を導入し反応生成物を測定するといったように、毛管内での反応生成物を測定することができないという問題があった。
【0009】
また、試料キュベットを用いない測定装置においては、測定中における液体試料の蒸発が問題となる。この測定装置においては、液体試料が雰囲気に曝されるため、蒸発量が多く、測定中に亘って必要な量の液体試料を確保しておくことが困難となる。
【0010】
さらに、多数のサンプルを順次的に効率よく測定することができるスペクトル測定装置及びスペクトル測定方法の提案が望まれている。
【0011】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、極めて微量の液体試料についての光学的測定が可能となされたスペクトル測定装置及びスペクトル測定方法において、予め用意した薬品とその後に導入した液体試料との反応生成物の測定を行うことができ、また、液体試料の蒸発が防止され、測定中に亘って必要な量の液体試料を確保することが可能となされ、さらに、多数のサンプルを順次的に効率よく測定することができるようになされたスペクトル測定装置及びスペクトル測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前述の課題を解決するため、以下の構成のいずれか一を有するものである。
【0013】
〔構成1〕
略平板状に形成され主面部に垂直な回転中心軸が定められた基体と、この基体の内部に回転中心軸に平行な直線状に形成され該基体の表面部に形成された注入口及び該基体の裏面部に形成された排出口を経て両端側を開口され回転中心軸までの距離が注入口から回転中心軸までの距離及び排出口から回転中心軸までの距離よりも長くなされた複数の測定流路と、出射端を基体のいずれか一方の主面部に対向させて配置され該出射端より出射する光束を基体の一方の主面部より入射させこの光束を一の測定流路内に充填された液体試料中を透過させる第1の光ファイバと、入射端を基体の他方の主面部に対向させて配置され液体試料中を透過して基体の他方の主面部より出射する光束が該入射端より入射されこの光束を測定手段に送る第2の光ファイバと、基体を回転中心軸回りに回転させ他の測定流路内に充填された液体試料を第1の光ファイバの出射端及び第2の光ファイバの入射端の間の光路上に順次位置させる回転操作手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
〔構成2〕
略平板状に形成され主面部に垂直な回転中心軸が定められた基体と、この基体の内部に回転中心軸に平行な直線状に形成され該基体の表面部に形成された注入口及び該基体の裏面部に形成された排出口を経て両端側を開口され回転中心軸までの距離が注入口から回転中心軸までの距離及び排出口から回転中心軸までの距離よりも長くなされた複数の測定流路と、出射端を基体のいずれか一方の主面部に対向させて配置され該出射端より出射する光束を基体の一方の主面部より入射させこの光束を一の測定流路内に充填された液体試料中を透過させる第1の光ファイバと、液体試料中を透過した光束を反射して該液体試料中に戻す反射部材と、入射端を基体の一方の主面部に対向させて配置され液体試料中を透過して基体の一方の主面部より出射する光束が該入射端より入射されこの光束を測定手段に送る第2の光ファイバと、基体を回転中心軸回りに回転させ他の測定流路内に充填された液体試料を第2の光ファイバの入射端に入射される光束の光路上に順次位置させる回転操作手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
〔構成3〕
略平板状に形成され主面部に垂直な回転中心軸が定められた基体と、この基体の内部に回転中心軸に平行な直線状に形成され該基体の表面部に形成された注入口及び該基体の裏面部に形成された排出口を経て両端側を開口され回転中心軸までの距離が注入口から回転中心軸までの距離及び排出口から回転中心軸までの距離よりも長くなされた複数の測定流路と、基体の一方の主面部に一様な照度の光束を照射しこの光束を基体の一方の主面部より入射させこの光束を一の測定流路内に充填された液体試料中を透過させる照明手段と、入射端を基体の他方の主面部に対向させて配置され液体試料中を透過して基体の他方の主面部より出射する光束が該入射端より入射されこの光束を測定手段に送る光ファイバと、基体を回転中心軸回りに回転させ他の測定流路内に充填された液体試料を光ファイバの入射端に入射される光束の光路上に順次位置させる回転操作手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0016】
〔構成4〕
構成1乃至構成3のいずれか一を有するスペクトル測定装置において、光ファイバのコア径は、各測定流路の内径以下となっていることを特徴とするものである。
【0017】
〔構成5〕
構成1乃至構成4のいずれか一を有するスペクトル測定装置において、回転操作手段は、基体を回転操作するとともに、測定流路を、光ファイバの入射端に入射する光路に対する同軸位置に位置決めすることを特徴とするものである。
【0018】
〔構成6〕
構成1乃至構成5のいずれか一を有するスペクトル測定装置において、固定して配置され基体が回転中心軸回りに回転されることにより各注入口に順次対向され対向された注入口を介して測定流路内に液体試料を注入する注入器を備えたことを特徴とするものである。
【0019】
〔構成7〕
構成1乃至構成6のいずれか一を有するスペクトル測定装置において、測定流路の側面部は、遮光性を有することを特徴とするものである。
【0020】
〔構成8〕
構成1乃至構成7のいずれか一を有するスペクトル測定装置において、各測定流路は、2つ以上の注入口を介して、基体の表面部に開口されていることを特徴とするものである。
【0021】
〔構成9〕
構成1乃至構成8のいずれか一を有するスペクトル測定装置において、注入口は、排出口よりも回転中心軸に近い位置に形成されていることを特徴とするものである。
【0022】
〔構成10〕
構成1乃至構成9のいずれか一を有するスペクトル測定装置を用いて、液体試料のスペクトルを測定するスペクトル測定方法であって、一の測定流路内に充填させた液体試料中を透過し基体の他方主面部より出射する光束を光ファイバを介して測定手段に送って測定を行うとともに、基体を回転中心軸回りに回転させて、他の測定流路内に充填させた液体試料の測定を順次行うことを特徴とするものである。
【0023】
〔構成11〕
構成8を有するスペクトル測定装置を用いて、液体試料のスペクトルを測定するスペクトル測定方法であって、一の測定流路に対応する2つ以上の注入口より異なる液体試料を注入し該一の測定流路に到達する前の各液体試料を反応させ、一の測定流路内に充填させた各液体試料の反応生成物中を透過し基体の他方主面部より出射する光束を光ファイバを介して測定手段に送って測定を行うとともに、基体を回転中心軸回りに回転させて他の測定流路内に充填させた反応生成物の測定を順次行うことを特徴とするものである。
【0024】
〔構成12〕
構成10、または、構成11を有するスペクトル測定方法において、注入口より液体試料を注入し基体を回転させることにより、遠心力によって液体試料を測定流路内に移動させ充填させることを特徴とするものである。
【0025】
〔構成13〕
構成10乃至構成12のいずれか一を有するスペクトル測定方法において、測定流路の内面に予め試薬をコーティングしておき、この試薬と液体試料との反応生成物についての測定を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成1を有することにより、回転操作手段が、基体を回転中心軸回りに回転させ、他の測定流路内に充填された液体試料を第1の光ファイバの出射端及び第2の光ファイバの入射端の間の光路上に順次位置させるので、複数の測定流路内に充填された液体試料について、順次的に測定を行うことができる。
【0027】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成2を有することにより、第1の光ファイバから出射され液体試料中を透過した光束は、反射部材により反射されて液体試料中に戻され、第2の光ファイバにより測定手段に送られるので、基体の片側のみからの入射光及び出射光によって、液体試料の測定を行うことができる。
【0028】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成3を有することにより、照明手段によって基体の一方の主面部に一様な照度の光束が照射され、この光束が測定流路内に充填された液体試料中を透過し、光ファイバにより測定手段に送られるので、位置決めが必要な光ファイバを基体の片側のみに設置すればよいので、構成を容易化することができる。
【0029】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成4を有することにより、光ファイバのコア径が、各測定流路の内径以下となっているので、測定流路内の液体試料中を透過した光束のみを光ファイバに入射させることができる。
【0030】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成5を有することにより、回転操作手段は、基体を回転操作するとともに、測定流路を、光ファイバの入射端に入射する光路に対する同軸位置に位置決めするので、測定流路内の液体試料中を透過した光束を確実に光ファイバに入射させることができる。
【0031】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成6を有することにより、固定して配置され基体が回転中心軸回りに回転されることにより各注入口に順次対向され対向された注入口を介して測定流路内に液体試料を注入する注入器を備えているので、各測定流路に対して、順次的に液体試料を迅速に注入することができる。
【0032】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成7を有することにより、測定流路の側面部は、遮光性を有するので、ノイズ成分となる外光が光ファイバに入射することが防止される。
【0033】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成8を有することにより、各測定流路は、2つ以上の注入口を介して、基体の表面部に開口されているので、2以上の異なる液体試料を一の測定流路に注入することができる。
【0034】
本発明に係るスペクトル測定装置は、構成9を有することにより、注入口は、排出口よりも回転中心軸に近い位置に形成されているので、基体を回転中心軸回りに回転させたときに、遠心力により、測定流路内の液体試料を排出口より効率よく排出することができる。
【0035】
本発明に係るスペクトル測定方法は、構成10を有することにより、一の測定流路内に充填させた液体試料中を透過し基体の他方主面部より出射する光束を光ファイバを介して測定手段に送って測定を行うとともに、基体を回転中心軸回りに回転させて、他の測定流路内に充填させた液体試料の測定を順次行うので、複数の測定流路内に充填された液体試料について、順次的に迅速な測定を行うことができる。
【0036】
本発明に係るスペクトル測定方法は、構成11を有することにより、一の測定流路に対応する2つ以上の注入口より異なる液体試料を注入し該一の測定流路に到達する前の各液体試料を反応させ、一の測定流路内に充填させた各液体試料の反応生成物中を透過し基体の他方主面部より出射する光束を光ファイバを介して測定手段に送って測定を行うとともに、基体を回転中心軸回りに回転させて他の測定流路内に充填させた反応生成物の測定を順次行うので、複数の測定流路内に充填された反応生成物について、順次的に迅速な測定を行うことができる。
【0037】
本発明に係るスペクトル測定方法は、構成12を有することにより、注入口より液体試料を注入し基体を回転させることにより、遠心力によって液体試料を測定流路内に移動させ充填させるので、測定流路内への液体試料の充填を容易、かつ、迅速に行うことができる。
【0038】
本発明に係るスペクトル測定方法は、構成13を有することにより、測定流路の内面に予め試薬をコーティングしておき、この試薬と液体試料との反応生成物についての測定を行うので、各測定流路内の試薬と液体試料との反応生成物の測定を順次的に迅速に行うことができる。
【0039】
すなわち、本発明は、極めて微量の液体試料についての光学的測定が可能となされたスペクトル測定装置及びスペクトル測定方法において、予め用意した薬品とその後に導入した液体試料との反応生成物の測定を行うことができ、また、液体試料の蒸発が防止され、測定中に亘って必要な量の液体試料を確保することが可能となされ、さらに、多数のサンプルを順次的に効率よく測定することができるようになされたスペクトル測定装置及びスペクトル測定方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るスペクトル測定装置及びスペクトル測定方法の最良の実施の形態について説明する。
【0041】
〔スペクトル測定装置の第1の実施の形態〕
図1は、本発明に係るスペクトル測定装置の第1の実施の形態における要部の構成を示す平面図である。
【0042】
本発明に係るスペクトル測定装置は、図1に示すように、略平板状に形成され、主面部に垂直な回転中心軸Aが定められた基体1を有している。この実施の形態において、基体1は、円盤状に形成され、回転中心軸Aは円盤の中心部となっている。
【0043】
図2は、本発明に係るスペクトル測定装置の第1の実施の形態における要部の構成を示す縦断面図である。
【0044】
基体1の内部には、図2に示すように、回転中心軸Aに平行な直線状に形成された複数の測定流路2が形成されている。これら測定流路2は、それぞれが回転中心軸Aから等しい位置に形成され、円弧状に配列されている。これら測定流路2は、基体1の表面部に形成された注入口3及び基体1の裏面部に形成された排出口4を経て、両端側を開口されている。また、各測定流路2は、回転中心軸Aまでの距離が、注入口3から回転中心軸Aまでの距離及び排出口4から回転中心軸Aまでの距離よりも長くなされている。すなわち、注入口3及び排出口4は、それぞれ対応する測定流路2よりも、回転中心軸Aに近い位置に形成されている。
【0045】
このような測定流路2、注入口3及び排出口4を有する基体1は、複数の測定流路2が穿設された第1の円盤体1aと、複数の注入口3が穿設された第2の円盤体1bと、複数の排出口4が穿設された第3の円盤体1cとを積層させて構成することができる。すなわち、第1の円盤体1aの上面部に第2の円盤体1bを接合させ、第1の円盤体1aの下面部に第3の円盤体1cを接合させることにより、基体1を構成する。第1の円盤体1aの上面部には、各測定流路2の上側開口端から対応する注入口3に至る溝部が形成されている。また、第1の円盤体1aの下面部には、各測定流路2の下側開口端から対応する排出口4に至る溝部が形成されている。各測定流路2は、上側の溝部及び注入口3を経て基体1の上面側に開口され、下側の溝部及び排出口4を経て基体1の下面側に開口される。
【0046】
この基体1において、少なくとも第2の円盤体1b及び第3の円盤体1cは、透明な材料、例えば、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)(アクリル)により形成されている。なお、基体1の全体を透明材料によって形成してもよい。
【0047】
このような基体1の各測定流路2内には、μlオーダーの微量の液体試料が充填されるようになっている。なお、測定流路2の側面部、または、基体1の側面部は、遮光性を有することが望ましい。
【0048】
図3は、本発明に係るスペクトル測定装置の第1の実施の形態における構成を示す側面図である。
【0049】
そして、このスペクトル測定装置は、図3に示すように、出射端を基体1のいずれか一方の主面部に対向させて配置された第1の光ファイバ5を備えている。この第1の光ファイバ5は、出射端より出射する光束を、基体1の一方の主面部より入射させ、この光束を一の測定流路2内に充填された液体試料中を透過させる。
【0050】
また、このスペクトル測定装置は、入射端を基体1の他方の主面部に対向させて配置された第2の光ファイバ6を有している。この第2の光ファイバ6は、液体試料中を透過して基体1の他方の主面部より出射する光束が入射端より入射され、この光束を図示しない測定手段に送る。
【0051】
さらに、このスペクトル測定装置は、基体1を回転中心軸A回りに回転操作する回転操作手段7を備えている。この回転操作手段7は、基体1を中心部分において支持して回転操作し、各測定流路2内に充填された液体試料を第1の光ファイバ5の出射端及び第2の光ファイバ6の入射端の間の光路上に順次位置させる。すなわち、回転操作手段7は、基体1を回転操作し、各測定流路2を、第2の光ファイバ6の入射端に入射する光路に対する同軸位置に位置決めする。
【0052】
なお、このスペクトル測定装置において、各光ファイバ5,6のコア径は、各測定流路2の内径以下の径となっていることが望ましい。各光ファイバ5,6のコア径を各測定流路2の内径以下の径とすることにより、基体1の屈折率が液体試料の屈折率より大きくとも、液体試料についての光学的測定を支障なく行うことができる。
【0053】
また、このスペクトル測定装置は、各注入口3を介して測定流路2内に液体試料を注入する注入器(マイクロピペット)8を備えている。この注入器8は、固定して配置されており、基体1が回転中心軸A回りに回転されることにより、各注入口3に順次対向され、対向された注入口3に液体試料を注入する。
【0054】
このスペクトル測定装置において、液体試料中を透過した光束においては、入射光のうちの特定の波長成分が液体試料によって吸収されたり、または、入射光によって励起された液体試料が発する蛍光や散乱光等が含まれており、液体試料の組成、特性に応じた特定のスペクトルが表れている。第2の光ファイバ6を介して光束が送られた測定手段は、分光光度計やフォトダイオード等であって、送られた光束における吸収スペクトルや吸光度を測定する。
【0055】
このスペクトル測定装置における液体試料の測定(分析)としては、種々の光学的測定方法を用いることができる。これらの測定方法としては、溶存物質を含む液体中での光の吸収を測定することにより、その溶存物質の組成及び濃度を定量する光学的方法、特に、光度測定法及び分光測定法が代表的なものである。このような光学的測定は、異なる物質が異なる波長の光を吸収するという性質に基づいている。このような光学的測定は、特定の波長の光、あるいは、紫外スペクトル、可視スペクトル、または、赤外スペクトルを含む広域の光スペクトル全体にわたる光を測定することによって行うことができる。
【0056】
このスペクトル測定装置においては、従来のキャピラリチューブ法において生じていた蒸発による光路長の変化及び液面の凹凸の問題がない。蒸発による液体試料の濃度変化については、液体試料が測定流路2内に留まっている状態であれば、外気と触れている部分が注入口3及び排出口4から奥に位置しているので、ほとんど無視することができる。
【0057】
〔スペクトル測定装置の第2の実施の形態〕
本発明に係るスペクトル測定装置は、前述したスペクトル測定装置において、第1の光ファイバ5に代えて、基体1の一方の主面部に一様な照度の光束を照射する照明手段を用いて構成してもよい。この照明手段は、光束を基体1の一方の主面部より入射させ、この光束を測定流路2内に充填された液体試料中に透過させる。この光束は、基体1の他方の主面部より出射し、入射端を基体1の他方の主面部に対向させて配置された光ファイバ6の入射端に入射され、この光ファイバにより、測定手段に送られる。
【0058】
このスペクトル測定装置は、第1の光ファイバ5を照明手段に代えたことの他は、前述した第1の実施の形態におけるスペクトル測定装置と同様の構成を有している。
【0059】
〔スペクトル測定装置の第3の実施の形態〕
図4は、本発明に係るスペクトル測定装置の第3の実施の形態における要部の構成を示す平面図である。
【0060】
本発明に係るスペクトル測定装置は、前述したスペクトル測定装置において、図4に示すように、各測定流路2が、2つ以上の注入口3a,3b,3cを介して、基体1の表面部に開口されているように構成してもよい。この場合には、注入口3a,3b,3cから異なる液体試料を同一の測定流路2に注入することができ、これら各液体試料の反応生成物を測定流路2に注入することができる。
【0061】
注入口3a,3b,3cから測定流路2に至る間の流路には、各液体試料の反応が行われるための拡幅部を設けておくことが望ましい。
【0062】
図5は、本発明に係るスペクトル測定装置の第3の実施の形態における要部の構成を示す縦断面図である。
【0063】
基体1の内部には、図5に示すように、前述した実施の形態におけると同様に、回転中心軸Aに平行な直線状に形成された複数の測定流路2が形成されている。これら測定流路2は、それぞれが回転中心軸Aから等しい位置に形成され、円弧状に配列されている。これら測定流路2は、基体1の表面部に形成された複数の注入口3a,3b,3c及び基体1の裏面部に形成された排出口4を経て、両端側を開口されている。また、各測定流路2は、回転中心軸Aまでの距離が、各注入口3a,3b,3cから回転中心軸Aまでの距離及び排出口4から回転中心軸Aまでの距離よりも長くなされている。すなわち、各注入口3a,3b,3c及び排出口4は、それぞれ対応する測定流路2よりも、回転中心軸Aに近い位置に形成されている。
【0064】
図6は、本発明に係るスペクトル測定装置の第3の実施の形態における構成を示す側面図である。
【0065】
このスペクトル測定装置は、図6に示すように、出射端を基体1のいずれか一方の主面部に対向させて配置された第1の光ファイバ5を備えている。この第1の光ファイバ5は、出射端より出射する光束を、基体1の一方の主面部より入射させ、この光束を一の測定流路2内に充填された反応生成物中を透過させる。
【0066】
また、このスペクトル測定装置は、入射端を基体1の他方の主面部に対向させて配置された第2の光ファイバ6を有している。この第2の光ファイバ6は、反応生成物中を透過して基体1の他方の主面部より出射する光束が入射端より入射され、この光束を図示しない測定手段に送る。
【0067】
このスペクトル測定装置は、前述の実施の形態におけるスペクトル測定装置と同様に、回転操作手段7及び注入器8を備えている。注入器8は、固定して配置されており、基体1が回転中心軸A回りに回転されることにより、各注入口3a,3b,3cに順次対向され、対向された注入口3a,3b,3cに液体試料を注入する。
【0068】
〔スペクトル測定装置の第4の実施の形態〕
図7は、本発明に係るスペクトル測定装置の第4の実施の形態における要部の構成を示す平面図である。
【0069】
そして、本発明に係るスペクトル測定装置は、前述したスペクトル測定装置において、図7に示すように、測定流路2内の液体試料中を透過した光束を反射して液体試料中に戻す反射部材9を設けることによって、第1の光ファイバ5と第2の光ファイバ6とを、ともに基体1の一方の主面部に対向させて配置するようにしてもよい。
【0070】
図8は、本発明に係るスペクトル測定装置の第4の実施の形態における要部の構成を示す縦断面図である。
【0071】
基体1の内部には、図8に示すように、前述した実施の形態におけると同様に、回転中心軸Aに平行な直線状に形成された複数の測定流路2が形成されている。これら測定流路2は、それぞれが回転中心軸Aから等しい位置に形成され、円弧状に配列されている。これら測定流路2は、基体1の表面部に形成された注入口3及び基体1の裏面部に形成された排出口4を経て、両端側を開口されている。また、各測定流路2は、回転中心軸Aまでの距離が、注入口3から回転中心軸Aまでの距離及び排出口4から回転中心軸Aまでの距離よりも長くなされている。すなわち、注入口3及び排出口4は、それぞれ対応する測定流路2よりも、回転中心軸Aに近い位置に形成されている。
【0072】
そして、基体1の裏面部における測定流路2に対応する位置、または、各測定流路2の基体1の裏面側位置には、反射部材9が配置されている。
【0073】
図9は、本発明に係るスペクトル測定装置の第4の実施の形態における構成を示す側面図である。
【0074】
このスペクトル測定装置は、図6に示すように、出射端を基体1の一方の主面部(表面部)に対向させて配置された第1の光ファイバ5を備えている。この第1の光ファイバ5は、出射端より出射する光束を、基体1の一方の主面部より入射させ、この光束を一の測定流路2内に充填された液体試料中を透過させる。
【0075】
また、このスペクトル測定装置は、入射端を基体1の一方の主面部(表面部)に対向させて配置された第2の光ファイバ6を有している。これら第1及び第2の光ファイバ5,6の先端側は、バンドルファイバ、または、ファイバカプラとなされて、一本のファイバとして構成されている。第2の光ファイバ6には、液体試料中を透過して反射部材9により反射され、再び液体試料中を透過して基体1の一方の主面部より出射する光束が入射端より入射される。第2の光ファイバ6は、この光束を図示しない測定手段に送る。
【0076】
このスペクトル測定装置は、前述の実施の形態におけるスペクトル測定装置と同様に、回転操作手段7及び注入器8を備えている。
【0077】
〔スペクトル測定装置の第5の実施の形態〕
図10は、本発明に係るスペクトル測定装置の第5の実施の形態における要部の構成を示す平面図である。
【0078】
そして、本発明に係るスペクトル測定装置は、前述したスペクトル測定装置において、図10に示すように、基体1を円盤状ではなく、矩形の平板状として構成してもよい。この基体1においては、中央部に回転中心軸Aが設定され、両端側にそれぞれ測定流路2が形成されている。
【0079】
図11は、本発明に係るスペクトル測定装置の第5の実施の形態における要部の構成を示す縦断面図である。
【0080】
基体1の内部には、図11に示すように、回転中心軸Aに平行な直線状に形成された一対の測定流路2が形成されている。これら測定流路2は、それぞれが回転中心軸Aから等しい位置に形成されている。これら測定流路2は、基体1の表面部に形成された注入口3及び基体1の裏面部に形成された排出口4を経て、両端側を開口されている。また、各測定流路2は、回転中心軸Aまでの距離が、注入口3から回転中心軸Aまでの距離及び排出口4から回転中心軸Aまでの距離よりも長くなされている。すなわち、注入口3及び排出口4は、それぞれ対応する測定流路2よりも、回転中心軸Aに近い位置に形成されている。
【0081】
図12は、本発明に係るスペクトル測定装置の第5の実施の形態における構成を示す側面図である。
【0082】
このスペクトル測定装置は、図12に示すように、出射端を基体1の一方の主面部に対向させて配置された第1の光ファイバ5を備えている。この第1の光ファイバ5は、出射端より出射する光束を、基体1の一方の主面部より入射させ、この光束を一の測定流路2内に充填された液体試料中を透過させる。
【0083】
また、このスペクトル測定装置は、入射端を基体1の他方の主面部に対向させて配置された第2の光ファイバ6を有している。第2の光ファイバ6には、液体試料中を透過して基体1の他方の主面部より出射する光束が入射端より入射される。第2の光ファイバ6は、この光束を図示しない測定手段に送る。
【0084】
このスペクトル測定装置は、前述の実施の形態におけるスペクトル測定装置と同様に、回転操作手段7及び注入器8を備えている。
【0085】
〔スペクトル測定装置の洗浄について〕
図13は、本発明に係るスペクトル測定装置における測定流路内を洗浄するための洗浄用アタッチメントの構成を示す平面図である。
【0086】
図14は、本発明に係るスペクトル測定装置における測定流路内を洗浄するための洗浄用アタッチメントの構成を示す縦断面図である。
【0087】
このスペクトル測定装置における各測定流路2内を洗浄するには、洗浄用アタッチメントを用いることができる。この洗浄アタッチメント10は、図13及び図14に示すように、円盤状に構成され、上部に洗浄液タンク部11を有している。この洗浄アタッチメント10は、洗浄液タンク部11の下部から下面部に至る複数の洗浄液流路12を有している。これら洗浄液流路12の下端部の開口部は、基体1の各注入口3に対応している。また、この洗浄アタッチメント10の下面部には、回転操作手段7の回転軸が挿入される位置決め孔13が設けられている。
【0088】
図15は、洗浄用アタッチメントを用いて測定流路内を洗浄している状態を示す側面図である。
【0089】
基体1の各測定流路2内を洗浄するには、図15に示すように、洗浄用アタッチメント10を基体1の上部に取り付ける。このとき、位置決め孔13に回転操作手段7の回転軸が挿入させることにより、洗浄用アタッチメント10は、基体1に対する同軸状に位置決めされる。洗浄用アタッチメント10が位置決めされることにより、各洗浄液流路12の下端部の開口部が、各中入口3に対応する位置となる。
【0090】
この状態で、洗浄液タンク部11に洗浄液を注入し、回転操作手段7によって基体1及び洗浄用アタッチメント10を回転させることにより、洗浄液が各測定流路2内を通過し、効率よく各測定流路2内の洗浄を行うことができる。
【0091】
なお、各注入口3は、各排出口4よりも回転中心軸Aに近い位置に形成しておくことが望ましい。各注入口3が各排出口4よりも回転中心軸Aに近いことにより、測定流路2内を通過する洗浄液は、基体1の回転によって生ずる遠心力によって、各排出口4より効率よく排出される。洗浄後に測定流路2内に残留した洗浄液は、各注入口3よりエアを吹き込むことによって排除することができる。
【0092】
〔スペクトル測定方法の実施の形態〕
本発明に係るスペクトル測定方法は、前述した各スペクトル測定装置を用いて、液体試料のスペクトルを測定する方法である。
【0093】
すなわち、前述のスペクトル測定装置において、一の測定流路2内に充填させた液体試料中を透過し基体1の他方主面部より出射する光束を光ファイバを介して測定手段に送ってスペクトルの測定を行うとともに、基体1を回転中心軸A回りに回転させ、他の測定流路2内に充填させた液体試料のスペクトルの測定を順次行うものである。
【0094】
図16は、本発明に係るスペクトル測定方法において、注入口より液体試料を注入した状態を示す縦断面図である。
【0095】
図17は、液体試料が測定流路に到達した状態を示す縦断面図である。
【0096】
このスペクトル測定方法においては、図16に示すように、注入口3より液体試料を注入し、基体1を回転させることにより、図17に示すように、遠心力によって、液体試料を測定流路2内に移動させ充填させることができる。
【0097】
また、このスペクトル測定方法においては、測定流路2の内面に予め試薬や抗体をコーティングしておき、その後に測定流路2内に液体試料や抗体を導入することにより、これら試薬や抗体と、液体試料や抗体との反応生成物についての測定を行うこともできる。
【0098】
さらに、このスペクトル測定方法においては、前述の第3の実施の形態に示したような、各測定流路2が2つ以上の注入口3a,3b,3cを介して基体1の表面部に開口されているように構成したスペクトル測定装置を用いて、一の測定流路2に対応する2つ以上の注入口3a,3b,3cより異なる液体試料を注入し、一の測定流路2に到達する前の各液体試料を反応させ、各測定流路2内に各液体試料の反応生成物を充填させるようにしてもよい。そして、各測定流路2内の反応生成物中を透過した光束を光ファイバを介して測定手段に送って測定を行うとともに、基体1を回転中心軸回りに回転させて他の測定流路2内に充填させた反応生成物の測定を順次行うことができる。
【0099】
〔実施例〕
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0100】
前述したスペクトル測定装置の基体として、直径が1mm、長さが10mmの測定流路を有する基体を作成した。測定流路の内容積は、7.85μlである。
【0101】
そして、注入口より、10μlの液体試料を注入し、測定流路内に充填させた。液体試料は、基体を回転させることにより、遠心力により、測定流路内に充填させた。
【0102】
液体試料としては、濃度の異なるローダミン水溶液(0.001mmol,0.003mmol,0.005mmol)を用い、リファレンスとして、純水を用いた。
【0103】
第1の光ファイバより、白色LEDを光源とする光束を液体試料に入射させ、液体試料を透過した光束を、第2の光ファイバによって取り込み、測定手段となる分光器に導光し、測定を行った。
【0104】
図18は、測定されたローダミン水溶液の吸収スペクトルを示すグラフである。
【0105】
このスペクトル測定方法においては、図18に示すように、約560nm付近に、ローダミン水溶液の濃度に応じた吸収スペクトルが測定され、吸収スペクトルが正しく測定できたことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明に係るスペクトル測定装置の第1の実施の形態における要部の構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係るスペクトル測定装置の第1の実施の形態における要部の構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係るスペクトル測定装置の第1の実施の形態における構成を示す側面図である。
【図4】本発明に係るスペクトル測定装置の第3の実施の形態における要部の構成を示す平面図である。
【図5】本発明に係るスペクトル測定装置の第3の実施の形態における要部の構成を示す縦断面図である。
【図6】本発明に係るスペクトル測定装置の第3の実施の形態における構成を示す側面図である。
【図7】本発明に係るスペクトル測定装置の第4の実施の形態における要部の構成を示す平面図である。
【図8】本発明に係るスペクトル測定装置の第4の実施の形態における要部の構成を示す縦断面図である。
【図9】本発明に係るスペクトル測定装置の第4の実施の形態における構成を示す側面図である。
【図10】本発明に係るスペクトル測定装置の第5の実施の形態における要部の構成を示す平面図である。
【図11】本発明に係るスペクトル測定装置の第5の実施の形態における要部の構成を示す縦断面図である。
【図12】本発明に係るスペクトル測定装置の第5の実施の形態における構成を示す側面図である。
【図13】本発明に係るスペクトル測定装置における測定流路内を洗浄するための洗浄用アタッチメントの構成を示す平面図である。
【図14】本発明に係るスペクトル測定装置における測定流路内を洗浄するための洗浄用アタッチメントの構成を示す縦断面図である。
【図15】洗浄用アタッチメントを用いて測定流路内を洗浄している状態を示す側面図である。
【図16】本発明に係るスペクトル測定方法において、注入口より液体試料を注入した状態を示す縦断面図である。
【図17】液体試料が測定流路に到達した状態を示す縦断面図である。
【図18】測定されたローダミン水溶液の吸収スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0107】
1 基体
2 測定流路
3 注入口
3a 注入口
3b 注入口
3c 注入口
4 排出口
5 第1の光ファイバ
6 第2の光ファイバ
7 回転操作手段
8 注入器
9 反射部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平板状に形成され、主面部に垂直な回転中心軸が定められた基体と、
前記基体の内部に、前記回転中心軸に平行な直線状に形成され、該基体の表面部に形成された注入口及び該基体の裏面部に形成された排出口を経て両端側を開口され、前記回転中心軸までの距離が、前記注入口から前記回転中心軸までの距離及び前記排出口から前記回転中心軸までの距離よりも長くなされた複数の測定流路と、
出射端を前記基体のいずれか一方の主面部に対向させて配置され、該出射端より出射する光束を前記基体の一方の主面部より入射させ、この光束を一の測定流路内に充填された液体試料中を透過させる第1の光ファイバと、
入射端を前記基体の他方の主面部に対向させて配置され、前記液体試料中を透過して前記基体の他方の主面部より出射する前記光束が該入射端より入射され、この光束を測定手段に送る第2の光ファイバと、
前記基体を前記回転中心軸回りに回転させ、他の測定流路内に充填された液体試料を前記第1の光ファイバの出射端及び前記第2の光ファイバの入射端の間の光路上に順次位置させる回転操作手段と
を備えたことを特徴とするスペクトル測定装置。
【請求項2】
略平板状に形成され、主面部に垂直な回転中心軸が定められた基体と、
前記基体の内部に、前記回転中心軸に平行な直線状に形成され、該基体の表面部に形成された注入口及び該基体の裏面部に形成された排出口を経て両端側を開口され、前記回転中心軸までの距離が、前記注入口から前記回転中心軸までの距離及び前記排出口から前記回転中心軸までの距離よりも長くなされた複数の測定流路と、
出射端を前記基体のいずれか一方の主面部に対向させて配置され、該出射端より出射する光束を前記基体の一方の主面部より入射させ、この光束を一の測定流路内に充填された液体試料中を透過させる第1の光ファイバと、
前記液体試料中を透過した前記光束を反射して該液体試料中に戻す反射部材と、
入射端を前記基体の一方の主面部に対向させて配置され、前記液体試料中を透過して前記基体の一方の主面部より出射する前記光束が該入射端より入射され、この光束を測定手段に送る第2の光ファイバと、
前記基体を前記回転中心軸回りに回転させ、他の測定流路内に充填された液体試料を前記第2の光ファイバの入射端に入射される光束の光路上に順次位置させる回転操作手段と
を備えたことを特徴とするスペクトル測定装置。
【請求項3】
略平板状に形成され、主面部に垂直な回転中心軸が定められた基体と、
前記基体の内部に、前記回転中心軸に平行な直線状に形成され、該基体の表面部に形成された注入口及び該基体の裏面部に形成された排出口を経て両端側を開口され、前記回転中心軸までの距離が、前記注入口から前記回転中心軸までの距離及び前記排出口から前記回転中心軸までの距離よりも長くなされた複数の測定流路と、
前記基体の一方の主面部に一様な照度の光束を照射し、この光束を前記基体の一方の主面部より入射させ、この光束を一の測定流路内に充填された液体試料中を透過させる照明手段と、
入射端を前記基体の他方の主面部に対向させて配置され、前記液体試料中を透過して前記基体の他方の主面部より出射する前記光束が該入射端より入射され、この光束を測定手段に送る光ファイバと、
前記基体を前記回転中心軸回りに回転させ、他の測定流路内に充填された液体試料を前記光ファイバの入射端に入射される光束の光路上に順次位置させる回転操作手段と
を備えたことを特徴とするスペクトル測定装置。
【請求項4】
前記光ファイバのコア径は、前記各測定流路の内径以下となっている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載のスペクトル測定装置。
【請求項5】
前記回転操作手段は、前記基体を回転操作するとともに、前記測定流路を、前記光ファイバの入射端に入射する光路に対する同軸位置に位置決めする
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のスペクトル測定装置。
【請求項6】
固定して配置され、前記基体が前記回転中心軸回りに回転されることにより、前記各注入口に順次対向され、対向された注入口を介して、前記測定流路内に液体試料を注入する注入器を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載のスペクトル測定装置。
【請求項7】
前記測定流路の側面部は、遮光性を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載のスペクトル測定装置。
【請求項8】
前記各前記測定流路は、2つ以上の注入口を介して、前記基体の表面部に開口されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載のスペクトル測定装置。
【請求項9】
前記注入口は、前記排出口よりも前記回転中心軸に近い位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか一に記載のスペクトル測定装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一に記載のスペクトル測定装置を用いて、液体試料のスペクトルを測定するスペクトル測定方法であって、
一の測定流路内に充填させた液体試料中を透過し、前記基体の他方主面部より出射する光束を、前記光ファイバを介して測定手段に送って測定を行うとともに、
前記基体を前記回転中心軸回りに回転させて、他の測定流路内に充填させた液体試料の測定を順次行う
ことを特徴とするスペクトル測定方法。
【請求項11】
請求項8記載のスペクトル測定装置を用いて、液体試料のスペクトルを測定するスペクトル測定方法であって、
一の測定流路に対応する2つ以上の注入口より、異なる液体試料を注入し、該一の測定流路に到達する前の各液体試料を反応させ、
一の測定流路内に充填させた前記各液体試料の反応生成物中を透過し、前記基体の他方主面部より出射する光束を、前記光ファイバを介して測定手段に送って測定を行うとともに、
前記基体を前記回転中心軸回りに回転させて、他の測定流路内に充填させた反応生成物の測定を順次行う
ことを特徴とするスペクトル測定方法。
【請求項12】
前記注入口より前記液体試料を注入し、前記基体を回転させることにより、遠心力によって前記液体試料を前記測定流路内に移動させ充填させる
ことを特徴とする請求項10、または、請求項11記載のスペクトル測定方法。
【請求項13】
前記測定流路の内面に、予め試薬をコーティングしておき、この試薬と前記液体試料との反応生成物についての測定を行う
ことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれか一に記載のスペクトル測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−111727(P2008−111727A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295008(P2006−295008)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000147350)株式会社精工技研 (154)
【Fターム(参考)】