説明

スポットライト用アーム,スポットライト,及び天井埋込型スポットライトユニット

【課題】スポットライトによる光の照射可能範囲を拡大することのできるスポットライト用アームを提供することで,このアームを備えたスポットライトを天井埋込型とすることで,天井板に形成する開口の小型化を可能とする。
【解決手段】光源であるランプを備えたスポットライト本体3と,前記スポットライト本体3を先端部に保持するアーム2を備えたスポットライト1において,前記アーム2を,アーム本体21と,前記アーム本体21の先端に擺動可能に一端22aを連結された連結杆22によって形成すると共に,前記連結杆22の他端22bに前記スポットライト本体3を擺動可能に保持する。上記構成により,連結杆22の擺動と,スポットライト本体3の擺動との組合せにより,このアーム2を備えたスポットライト1の照射可能範囲を大幅に拡大することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,スポットライト用アーム,スポットライト,及び天井埋込型スポットライトユニットに関し,より詳細には,光源を備えたスポットライト本体を先端部に保持するスポットライト用アームにおいて,スポットライトの照射可能範囲を拡大することのできるスポットライト用アーム,前記スポットライト用アームを備えたスポットライト,及び,前記スポットライトと,該スポットライトを天井に形成された開口内に埋込設置する収容箱の組合せから成る天井埋込型スポットライトユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の展示物や商品等のライトアップ,壁面に対する光の照射による間接照明,その他の各種用途において,スポットライトは展示場,店舗,ホテル等の宿泊施設等において使用される他,一般家庭用の照明として使用される場面も増えている。
【0003】
このようなスポットライトは,一般に外殻を成すボディー内に光源であるランプや反射鏡を収容し,このボディーの前面開口を透光性を有するガラス板等の透明板で覆うことにより形成されたスポットライト本体と,このスポットライト本体を先端部に擺動可能に保持するアームを備え,このアームの基端部を壁面や天井板上の所望の位置に例えばネジ止め等によって取り付けると共に,前記アームの先端に保持されたスポットライト本体を擺動させて光軸を所定の方向に向けることにより照射方向を調整することができるように構成されている。
【0004】
このようなスポットライトにおいて,アームの基端部を直接壁面や天井等に取り付ける場合,壁面や天井よりスポットライトが室内空間に突設された状態となり,スポットライトの存在によって室内の景観やデザイン性が損なわれる場合がある。
【0005】
そこで,このような室内の景観やデザイン性を向上させるために,天井板に形成された開口内にスポットライトを埋め込み設置することにより,スポットライトが室内側より直接看者の目に触れることがないように設置することも提案されている。
【0006】
このように,スポットライトを天井内に埋め込んだ状態で設置するために,一例として図14に示すように,天井裏に天井板170に形成した開口171に向けて下向きに開口する収容箱150を配置し,この収容箱150の天板に,スポットライト100に設けたアーム120の基端部122を取り付けることにより,前記スポットライト100を収容箱150内の空間に収容可能としたものがある。
【0007】
なお,このようなスポットライトと前記収容箱との組合せによりスポットライトを天井に埋め込み設置可能としたものを,本明細書において「天井埋込型スポットライトユニット」という。
【0008】
ここで,上記のように構成された天井埋込型のスポットライトユニットにおいて,スポットライト本体130からの照射光は,天井板170に形成された開口171,又はこれを縁取る収容箱150の開口を介して天井裏側から室内側に照射されるものであり,その結果,スポットライト100による光の照射範囲がこの収容箱150の開口の大きさによって制約されることに鑑み,前記収容箱150の天板に対してアーム120の基端部122を水平方向に回動可能に取り付けると共に,このアーム120を垂線に対して所定の角度傾斜させることにより,基端部122を中心としてアーム120を回動させることにより,スポットライト100による照射方向を可変とすることも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−26100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のように,天井裏に配置された収容箱150内にスポットライト100を収容配置する前述の天井埋込型のスポットライトユニットにおいて,収容箱150内に収容されたスポットライト100の光は,前述のように収容箱150の開口を介して室内に照射されることから,収容箱150の開口サイズが小さくなれば,その分,光の照射範囲は狭いものとなる。
【0011】
このような照射範囲の狭さを補おうとすれば,天井埋込型スポットライトユニットの設置数を増やす必要があり,照明器具の設置のための工期や費用が増加するばかりでなく,天井板に多数の開孔が形成される結果,室内側から見た天井部分の見栄えが悪いものとなる。
【0012】
一方,天井板に形成する開口のサイズを大きくし,これに伴い収容箱の開口サイズを大きくとれば,収容箱内に収容されたスポットライトによる光の照射範囲もこれを拡大することができる。
【0013】
しかし,天井板に形成した大きな開口の存在は,室内から見た天井部分の見栄えを悪くするだけでなく,天井に形成する開口を大きくすれば,折角天井裏に隠して設置したスポットライトが,この開口を介して室内側からの視界に入ることとなる。
【0014】
このような問題に対し,前掲の特許文献1に記載の発明にあっては,スポットライト100のアーム120の基端部122を,収容箱150の天板に水平方向に回動可能に取り付けると共に,アーム120を垂線に対して傾斜させたことにより,図14に示すように,基端部122を支点としたアーム120の回動と,アーム120の先端部121に保持されたスポットライト本体130の擺動によって,スポットライト100の照射可能範囲を拡大することができるものとなっている。
【0015】
しかし,上記特許文献1に記載の構成において,例えばアーム120の回動位置が平面視において図16(A)に示す位置にあるとき,このスポットライト100の照射方向は,スポットライト本体130の擺動によって天井板に形成した開口の長さ方向(図中上下方向)に傾けることができたとしても,開口の幅方向(図中の左右方向)に傾けることができない。
【0016】
そこで,例えば図16(A)中に矢印Aで示した方向に光軸を傾斜させたい場合には,先ず,アーム120を図16(B)に示す位置に回動させ,この状態でスポットライト本体130を図14に示すように傾けることとなるが,傾斜したアーム120を備えたスポットライト100との組合せにおいて,収容箱150の開口幅を狭く形成した場合,図16(B)に示すアーム120の回動位置において,スポットライト本体130は,天井板170の真上に配置されることとなる(図15参照)。
【0017】
その結果,必要とする光軸の傾きが図14に示すように比較的大きな角度(一例として垂線に対して45°)であれば,開口171を介して効率良く光の照射を行うことができるが,垂線に対する光軸の傾きがより鋭角的になればなる程,図15に示すようにスポットライト100からの照射光は,その多くが収容箱150の開口縁によって遮られてしまうこととなるために,図16中に示す矢印A方向に光軸を僅かに傾けたい場合,図14及び図15に示す構造の天井埋込型スポットライトユニットではこれに対応することができない。
【0018】
また,特許文献1に記載の構成にあっては,光の照射方向を変更する際に,スポットライト100を前記アーム120の基端部を中心として回動させる必要があるが,前述のように特許文献1に記載の構成では,アームを傾斜させた構成となっているために,スポットライト本体130の回転軌道が比較的大きく,その結果,このようなスポットライト100を収容する前述の収容箱150内の空間が大きくなり,天井裏に設置する収容箱150が大型化する。
【0019】
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,限られた空間内におけるアームの変形によって,スポットライトによる光の照射可能範囲を拡大することのできるスポットライト用アーム,及びこのスポットライト用アームを備えたスポットライトを提供すること,更に,前記スポットライト用アームを備えたスポットライトと,収容箱の組み合わせにより,天井板に形成する開口を比較的小さなものとし,かつ,前記収容箱の大型化を伴うことなく,収容箱内に収容されたスポットライトの室内に対する照射可能範囲を拡大可能とすることができる天井埋込型スポットライトユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために,本発明のスポットライト用アーム2は,アーム本体21と,前記アーム本体21の先端に擺動可能に一端22aを連結された連結杆22によって構成され,前記連結杆22の他端22bに,光源であるランプを備えたスポットライト本体3を擺動可能に保持することを特徴とする(請求項1)。
【0021】
また,本発明のスポットライト1は,光源であるランプを備えたスポットライト本体3と,前記スポットライト本体3を先端部に保持するアーム2を備えたスポットライト1において,
前記アーム2を,アーム本体21と,前記アーム本体21の先端に擺動可能に一端22aを連結された連結杆22によって形成すると共に,前記連結杆22の他端22bに前記スポットライト本体3を擺動可能に保持したことを特徴とする(請求項2)。
【0022】
更に,本発明の天井埋込型スポットライトユニットは,アーム2の先端部に光源であるランプを備えたスポットライト本体3を保持したスポットライト1と,天井板7に形成された開口71に向かって開口する箱型形状を成し,前記スポットライト1を収容する室を天井裏に画成する収容箱5の組合せによって構成されるものであり,前記同様,スポットライト1のアーム2を,アーム本体21と,前記アーム本体21の先端に擺動可能に一端22aを連結された連結杆22によって構成し,前記連結杆22の他端22bに前記スポットライト本体3を擺動可能に保持すると共に,前記アーム本体21の基端部(ベース部211)を前記収容箱5の天板に回動可能に取り付けたことを特徴とする(請求項3)。
【0023】
前記構成の天井埋込型スポットライトユニットにおいて,好ましくは前記収容箱5の天板に,前記アーム本体21の基端部(ベース部211)を前記収容箱5の長さ方向にスライド可能に取り付ける(請求項4)。
【発明の効果】
【0024】
以上説明した本発明の構成より,本発明のスポットライト用アーム2を備えたスポットライト1,及びこのスポットライト1と収容箱5を組合せて成る天井埋込型スポットライトユニットにあっては,スポットライト用アーム2を,アーム本体21と,このアーム本体21の先端に一端22aを擺動可能に連結された連結杆22とによって形成すると共に,前記連結杆22の他端22bにスポットライト本体を擺動可能に保持したことにより,連結杆22の擺動によってアーム2が変形し,これによりスポットライト本体3の配置を,前記連結杆22の回転軌道上の所望の位置に配置することができた。
【0025】
その結果,前記連結杆22の擺動位置の調整と,この連結杆22の他端22bに擺動可能に保持されたスポットライト本体3の擺動との組合せにより,比較的狭い空間内におけるアーム2の変形によってスポットライト本体3の光軸を,多種多様な方向に向けることができた。
【0026】
その結果,該スポットライト用アームを備えたスポットライトの照射可能範囲を大幅に拡大することができ,また,このようなスポットライト1を天井埋込型として使用した場合には,収容箱5の開口幅を狭く形成し,また,収容箱5内の空間を狭く形成して収容箱5の小型化を図った場合であっても,スポットライト1の照射範囲を拡大することができた。
【0027】
特に,アーム本体21の基端部(ベース部211)を,収容箱5の天板に回動可能に取り付けた構成,収容箱5の長さ方向にスライド可能に取り付けた構成にあっては,連結杆22の擺動に伴うアーム2の変形と,スポットライト本体3の擺動のみならず,アームの回動,スライドとの組合せによって,スポットライト1による照射可能範囲をより一層拡大することができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のスポットライト用アームを備えたスポットライトの斜視図。
【図2】本発明のスポットライト用アームを備えたスポットライトの正面図。
【図3】本発明のスポットライト用アームを備えたスポットライトの一部分解状態を示す右側面図。
【図4】本発明のスポットライト用アームを備えたスポットライトの一部断面右側面図。
【図5】アームの変形状態の説明図。
【図6】本発明のスポットライト用アームの斜視図。
【図7】本発明のスポットライト用アームの先端部の拡大図。
【図8】本発明のスポットライト用アームの右側面図(連結杆を腕部延長上に擺動させた状態)。
【図9】本発明のスポットライト用アームの右側面図(連結杆を腕部と重なる位置に擺動させた状態)。
【図10】本発明のスポットライト用アームの右側面図(連結杆を腕部と直交方向に擺動させた状態)。
【図11】本発明の天井埋込型スポットライトユニットの説明図。
【図12】本発明の天井埋込型スポットライトユニットの説明図。
【図13】連結杆の擺動位置と光の照射範囲の変更状態の関係を示した説明図であり,(A),(B)は照射角の範囲の変化を,(C),(D)は,光軸を同一傾斜角とした場合における光量乃至は照射範囲の変化の説明図である。
【図14】従来の天井埋込型スポットライトユニットの説明図(光軸を傾斜した状態)。
【図15】従来の天井埋込型スポットライトユニットの説明図(光軸を垂直方向とした状態)。
【図16】従来のスポットライト用アームを備えたスポットライトの説明図であり,(A)は,天井に形成した開口の長さ方向に対して光軸を傾斜させる場合の配置,(B)は,開口の長さ方向に対して直交方向に光軸を傾斜させる場合の配置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0030】
〔スポットライト〕
図1〜図5中の符号1は,本発明のスポットライト用アーム2を備えたスポットライトであり,このスポットライト1は,前記スポットライト用アーム2と,このスポットライトアーム2の先端部に擺動可能に保持されたスポットライト本体3によって構成されている。
【0031】
このスポットライト本体3は,図4に示すように,その外殻を構成するボディー31内に,光の照射に必要な各種の構成機器を収容して形成されたものであり,図4に示す実施形態にあっては,放熱口311の形成されたボディー31内に,光源であるランプ32を取り付けるためのソケット33,前記ソケット33に取り付けられるランプ32,及び前記ランプ32によって発生した光を所定の方向に反射するミラー34を収容し,前記ボディー31の前面開口部を,ガラス板等の透明板を備えたフード35によって覆うことで,前記スポットライト本体3を一体的に形成している。
【0032】
前述のソケット33は,このソケット33に取り付けられたランプ32を電源に接続するためのケーブル36を備えていると共に,その外周に放熱フィン37が設けられており,前記ランプ32の点灯によって生じた熱をボディー31に設けた放熱口311を介して外気と熱交換することにより放熱することができるように構成されている。
【0033】
また,このソケット33に取り付けられたランプ32の先端には,図2〜4に示すように防眩キャップ38が取り付けられており,ランプ32によって発生した光がミラー34によって反射されることなく直接視界に入ることによる眩しさを低減している。
【0034】
以上のように構成されたスポットライト本体3には,このスポットライト本体3を後述するスポットライト用アーム2の先端に擺動可能に保持するための構造が設けられており,本実施形態にあっては,スポットライト本体3のボディー31の幅方向における対称位置に,図1に示すように舌片状のステー312を設け,このステー312に形成したピン孔(図示せず)を介してスポットライト用アーム2の先端に取り付け可能としている。
【0035】
もっとも,スポットライト本体3のアーム2先端に対する取り付けは,アーム2の先端にスポットライト本体3を擺動可能に保持し得るものであれば如何なる構造によって取り付けるものとしても良く,図示の実施形態に限定されない。
【0036】
また,スポットライト本体3の構成についても,光源であるランプ32によって発生した光を所定の方向に照射し得るものであれば既知の各種構造のものも適用可能であり,例えば,スポットライト本体3を全体として角筒状に形成し,又は使用するランプの種類によっては前面を覆う透明板を省略する等しても良く,各種構造の変更が可能であり,図示の実施形態に限定されない。
【0037】
以上のように構成されたスポットライト本体3を保持する本発明のスポットライト用アーム2は,アーム本体21と,前記アーム本体21の先端に一端22aを擺動可能に連結された連結杆22を備えており,前記連結杆22の他端22bに前述したスポットライト本体3を擺動可能に取り付けることができるように構成されている(図6〜10参照)。
【0038】
図示の実施形態において,このアーム本体21は,図1,2及び図6に示すように帯状の金属板の長さ方向における中央側の二箇所を曲折して図2に示すように正面視において略下向きコ字状に形成されており,中央部に形成された,アーム本体21の基端部となるベース部211と,前記ベース部211の両端にそれぞれ連続して形成された2本の腕部212を備えた形状に形成されている。
【0039】
アーム本体21の各腕部212は,図3に示すように側面視において,後述する嵌合部材23を中心としたアーム2の回転中心Oに対してその中心が重なるように形成されており,従来技術として説明した図14及び図15に示したアームのような傾斜は,腕部212に設けられていない。
【0040】
前述のベース部211には,前記腕部212の突出側とは反対側の面(図2中の上面)に,後述する収容箱5の天板に設けられたガイドレール6にこのベース部211を回転可能で,かつ,前記ガイドレール6の長さ方向に移動可能に取り付けるための嵌合部材23が取り付けられており,この嵌合部材23と,前記ガイドレール6との組合せによって,アーム2を回転可能となす回転機構,及びアーム2を収容箱5の長さ方向の所定の位置に移動可能と成すスライド機構がそれぞれ構成されている。
【0041】
後述するように,断面C字状に形成されたガイドレール6を使用する本実施形態の構成にあっては,図2に示すように円周方向に溝231が形成された円柱状を成し,前記溝231の形成部分の上方にフランジ部232が形成された嵌合部材23を設け,前記嵌合部材23の前記フランジ部232を前記ガイドレール6に形成された嵌合溝61内に嵌合することにより(図11参照),前記ガイドレール6に対しアーム2を回転可能で,かつ,スライド可能な状態に取り付け可能としている。
【0042】
この嵌合部材23には,図2中の円内に示す要部拡大断面図のように,その中心を貫通する内周に雌ネジが形成されたネジ孔233が形成されていると共に,このネジ孔の形成位置に対応して,アーム本体21の前記ベース部211に,前記ベース部211の肉厚を貫通する貫通孔211aを形成し(図6参照),前記嵌合部材23の取り付け側とは反対面側より前記ベース部211の貫通孔211aに固定ボルト24の先端を挿入して前記嵌合部材23のネジ孔233に螺合し,その先端を前記嵌合部材23の上端より突設可能に構成している。
【0043】
このように構成したことにより,後述するガイドレール6に前記嵌合部材23のフランジ部232を嵌合させた状態で前記固定用ボルト24を締め込んで行き,その先端を前記嵌合部材23の上端より突出させると,このボルト24の先端が,ガイドレール6の嵌合溝61の内壁に圧接され,これによりガイドレール6の所定の位置にアーム2を固定することができるように構成されている。
【0044】
なお,このボルト24の後端には,図2に示すように例えばハンドル25を取り付け,このハンドル25の回転操作によって前記ボルト24の螺合を行うことにより,工具等を使用することなくガイドレール6上の所定位置に前記アーム2を固定することができるように構成しても良い。
【0045】
ベース部211の両端に連続して形成された前述の腕部212,212は,その先端部間を保持対象とするスポットライト本体3の幅に対して若干幅広に形成されており,このように形成された腕部212,212の先端間に連結杆22,22を介してスポットライト本体3が取り付けられる(図2参照)。
【0046】
この腕部212,212は,ベース部211との連結側端部から,前記先端に至る迄の全長に亘り,2本の腕部212,212を平行の配置とすることもできるが,図示の実施形態にあっては,両腕部212,212はベース部211との連結側の端部より先端側(図2,図6中の下側)に向かう所定の長さの範囲で両腕部間の間隔を徐々に拡げる形状を有すると共に,その後,両腕部212,212の間隔を一定幅で平行となるように形成して,図2に示すように正面視において前記ベース部211と腕部212,212とによって全体として略台形状となるように形成した。
【0047】
このように形成されたアーム本体21の腕部212,212の先端には,それぞれ前述した連結杆22,22の一端22aが擺動可能に連結されており,この連結杆22,22の他端22bに前述したスポットライト本体3のボディー31に設けたステー312(図1参照)を連結可能としている。
【0048】
このスポットライト本体3と前記アーム本体21の先端間を連結する前述の連結杆22,22は,図2及び図7に示す例において金属板をZ字乃至はS字状に曲折させて,前記アーム本体21の先端に連結される平坦部と,スポットライト本体3のボディー31に設けたステー312に取り付けられる平坦部,及び両平坦部間を連結する傾斜部を備えたクランク状に形成すると共に,この連結杆22の一端22a側における平坦部を,他方の腕部との対向面と面接触させた状態で各腕部212,212の先端にピン26によって回転可能に支承し,この連結杆22,22の他端22bに,スポットライト本体3のボディー31に設けたステー312をピン27によって回転可能に支承することにより,連結杆22,22の前記クランク形状により,スポットライト本体3を回転可能に取り付けるピン27の頭部等が,連結杆22の回転に際しアーム本体21の腕部212と干渉することが防止されている。
【0049】
なお,この連結杆22は,必ずしもこれを図示の実施形態に示したようなクランク状に形成する必要はなく,例えば平坦な板状のものを使用するものとしても良い。
【0050】
なお,連結杆22をこのような平坦な板状として形成した場合,連結杆22の回転時における連結杆22やピン27頭部と腕部212との干渉を回避すべく,連結杆22の一端22aと腕部212の先端間に例えばスペーサを配置した状態で両者をピン26により固定する等しても良く,図示の実施形態に限定されず各種の変形が可能である。
【0051】
また,図1,図2及び図6では,前述のようにアーム本体21を略下向きコ字状に形成して2本の腕部212,212を設け,この2本の腕部212,212のそれぞれの先端に前記連結杆22を介してスポットライト本体3を擺動可能に取り付けるものとして説明したが,この構成に代え,例えば図2に示すアーム本体の腕部のうちの一方を設けることなく省略し,アーム本体21をベース部と一方の腕部212のみによって形成された略逆L字状に形成し,この腕部212の先端に連結杆22を介してスポットライト本体3を擺動可能に固定して,スポットライト本体3を片持ちとする構造としても良く,その構成は,図示の例に限定されない。
【0052】
〔天井埋込型スポットライトユニット〕
以上のように構成されたスポットライト用アーム2を備えたスポットライト1は,前記アーム本体21と連結杆22の組合せによるアームの変形によって,このスポットライト用アーム2を備えたスポットライト1を単独で使用した場合であっても,このスポットライト1による光の照射可能範囲を拡大することができ,例えば前記アーム本体21のベース部211に設けた前記嵌合部材23の形成を省略し,このベース部211を壁や天井等の壁面等に直接取り付けて使用しても良く,又は,天井に取り付けたガイドレール6や,天井から所定の位置に吊り下げ配置されたガイドレール6に,アーム本体21のベース部211に設けた前記嵌合部23を嵌合して取り付けることにより使用するものとしても良い(図示せず)。
【0053】
もっとも,前記構成のスポットライト用アーム2を備えたスポットライト1は,これを天井埋込型のものとして使用することにより,天井板7に形成された開口71を介して室内側に光を照射するものであるに拘わらず,光の照射方向の変更等に際し,天井板7に形成した開口71のサイズ等による制約を受け難いものとすることができる。
【0054】
このように,スポットライト1を天井埋込型として使用する場合,前述したスポットライト1の他に,このスポットライト1を収容する収容箱5を用意し,スポットライト1の取り付け位置における天井板7に開口71を形成すると共に,この開口71の形成位置における天井裏に前述の収容箱5を設置し,この収容箱5内に前記スポットライト1を取り付けることで,前記構成のスポットライト1を天井に埋め込んだ状態で設置可能としている。
【0055】
このように,天井裏にスポットライト1の収容空間を形成する前述の収容箱5は,天井板7に形成した前述の開口71に向かって下向きに開口する箱状を成すもので,一例として,図11及び図12に示すように天井に形成された開口71の周縁に取り付けられる枠体51と,前記枠体51の上部を覆う断面下向きコ字状のフード52,及び,前記枠体51を天井裏の所定の位置に固定するブラケット53を備えている。
【0056】
この収容箱5は,天井板7の施工(取り付け)前に,天井裏となる位置に予め設置しておく。
【0057】
収容箱5に設けた前述の枠体51は,天井板7に形成すべき開口71のサイズに対応した所定の寸法に切断された断面略L字状に形成された金属製の長尺部材からなり,収容箱5に設けられた前記枠体51に沿って天井板7の施工(取り付け)を行うことにより,施工された天井には,開口縁の長さ方向の少なくとも二辺が前記枠体51によって画成された開口71が形成される。
【0058】
図示の実施形態において,この枠体51は,開口71縁部から所定の範囲における天井板7上に配置される水平部511と,前記水平部511に対して直交方向上方に立ち上がる垂直部512を備えている。
【0059】
この水平部511には,天井板7の開口71縁を覆う屈曲部511aが形成されていると共に,前記屈曲部511aより開口71の内周方向に水平方向に突出した部分によって,収容箱5の開口縁が形成されている。
【0060】
このようにして,天井板7に形成された開口71の内周側に突出した部分の水平部511には,突出方向先端側の端部より開口の外周側に向かって上向きに傾斜した傾斜部511bが設けられており,この傾斜部511bの表面に鋸歯形状の多数の凹凸を形成し,この部分に当たった光をカットさせることで,開口縁が反射光によって光って見えることによる美観の低下を防止することができるように構成されている。
【0061】
この枠体51の前記垂直部512には,前記水平部511の突設側とは反対側の面において,突出方向に幅を拡げる楔型の嵌合突起512aが,高さ方向に所定間隔毎に形成されており,前記嵌合突起512a間に,前記嵌合突起512aの断面形状を水平方向に反対させた形状の嵌合凹部が形成されている(図11中の拡大図参照)。
【0062】
この枠体51の天井裏に対する取り付けは,断面逆L字状に形成されたブラケット53の垂直部532に,前記枠体51の垂直部512に設けた前述の嵌合突起512aに対応する形状の嵌合突起532aを形成し,このブラケット53の垂直部532に設けた嵌合突起532a間に前記枠体51の垂直部512に設けた嵌合突起512aを嵌合すると共に,枠体51の垂直部512に設けた嵌合突起512a間の間隔に前記ブラケット53の垂直部532に設けた嵌合突起532aを嵌合して両者を連結し,この状態でブラケット53を天井裏の所定の位置に取り付けることにより,枠体51を天井裏の所定の位置に取り付けることができると共に,両突起512a,532aの係合位置を上下方向に変更することと,前記ブラケット53の取り付け位置を調整することにより,天井裏における前記枠体51の高さ方向における位置調整とを行うことができ,室内側における天井板7の表面と,枠体51の前記開口71内に突出した部分の下面とが,同一平面上に配置されるように調整されている。
【0063】
この枠体51の垂直部512であって,前記嵌合突起512aの形成側とは反対側の面には,前述したように下向きに開口するフード52が取り付けられ,これにより,前記フード52によって枠体51上部が覆われて,下向きに開口する収容箱5が形成されている。
【0064】
該収容箱5の天板を成す前記フード52の内壁(天板)には,前記収容箱5の長さ方向を長さ方向とするガイドレール6が取り付けられており,このガイドレール6に対して前述したスポットライト1のアーム2に設けた嵌合部材23を嵌合することにより,収容箱5内に前述したスポットライト1を取り付けることができるように構成されている。
【0065】
このガイドレールは,図11中に拡大図で示すように下向きに開口する断面略C字状に形成されており,これにより内部に前記嵌合部材23のフランジ部232が嵌合される嵌合溝61が形成されており,この嵌合溝61の開口縁61aが,前記嵌合部材23の周方向に形成された溝231内に嵌合するように,前記嵌合部材23のフランジ部232を前記嵌合溝61内に挿入することで,嵌合部材23を下方に抜き取ることができなくなると共に,前記ガイドレール6の長さ方向に前記嵌合部材23をスライドさせることができ,かつ,前記嵌合部材23,従ってアーム2及びこれに取り付けられたスポットライト本体3を嵌合部材23の中心を中心として回動させることができるよう構成されている。
【0066】
なお,図11,12に示す実施形態において,図11において収容箱5の高さを比較的低く,図12において収容箱5の高さを比較的高く形成しているが,例えば天井裏の高さに制限がある場合や,スポットライト1からの光を開口縁で遮ることなく照射したい場合,更には,スポットライトの一部を開口71より露出させる等して使用したい場合には,図11に示すように比較的高さの低い防音箱5を使用してスポットライト本体3を開口71に近付けて配置するものとしても良く,また,内部に収容されるスポットライト1の存在を室内側より認識され難くしたい場合等では,図12に示すように比較的高さの高い収容箱5を使用して,スポットライト本体3を開口71より遠ざける等,用途や目的等によって収容箱5の高さを変更することもできる。
【0067】
〔作用〕
以上のように構成された本発明のスポットライト用アーム2は,アーム本体21の先端とスポットライト本体3間を前述のように連結杆22によって連結していることから,図5及び図8〜10に示すように連結杆22の他端22bの擺動範囲である円軌道上のいずれの位置に対してもスポットライト本体3の軸止位置を移動させることが可能であり,かつ,この連結杆22の他端22bの擺動位置においてスポットライト本体3を擺動させることで,前記円軌道上の各位置から,それぞれ360°全方向にスポットライト本体3の照射方向を向けることが可能である。
【0068】
特に,アーム本体21の基端部(ベース部211)に設けた嵌合部材23を,ガイドレール6に対して回動可能に嵌合する場合には,前記嵌合部材23を中心としてアーム2を回動させることで,平面視における360°全方向に照射方向が可変であり,これらの組合せによって,スポットライト1の照射方向を多種多様な方向に変更することが可能である。
【0069】
このように,本発明のスポットライト用アーム2は,アーム本体21と連結杆22との連結部を介してアームが変形すると共に,連結杆22の他端22bに保持されたスポットライト本体3が擺動可能であること,更には,前記アーム2をガイドレール6に回転可能に取り付けたことにより,このようなスポットライト用アーム2を備えたスポットライト1を,収容箱5と組合せて天井埋込型のスポットライトユニットとして構成した場合,収容箱5内の空間を拡大することなく,しかも,開口71のサイズを可及的に小さなものとしながら,スポットライト1による照射可能範囲を拡大することが可能である。
【0070】
ここで,図13(A)〜図13(D)は,側面視における本発明のスポットライト用アーム2と収容箱5(特に開口)との位置関係を模式的に示した説明図であり,連結杆22がアーム本体21の腕部と重なる位置に配置された図13(A)に示す状態において,スポットライト本体3を擺動させることにより可変となる光の照射範囲は図中の角度θ1である。
【0071】
これに対し,照射範囲を更に広角のθ2とする場合には,前記連結杆22をアーム本体21の延長上に配置した図13(B)に示す状態でスポットライト本体3を擺動させることにより,スポットライトの照射角を,図13(A)の位置における照射範囲に対して広角にすることができ,しかもこのようなアーム2の変形に際し,収容箱内に広い空間を必要としない。
【0072】
また,スポットライト本体3を傾斜させることにより照射方向を傾ける際,同じ傾斜角で光を照射する場合であっても,図13(C),図13(D)に示すように,連結杆22の円軌道上におけるいずれの位置にスポットライト本体3を配置するかにより,開口縁との相対的な位置関係を調整することができ,これにより同じ傾斜角で照射される光であっても,開口縁によって遮られることなく照射し〔図13(C)〕,又は必要に応じて開口縁によって照射光の一部を遮ることにより〔図13(D)〕,明るさ,照射範囲等を調整した状態で対象をライトアップすることができる等,従来の天井埋込型のスポットライトユニットによっては達成し得ない照明による各種の演出等も可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 スポットライト
2 スポットライト用アーム
21 アーム本体
211 ベース部
211a 開孔
212 腕部
22 連結杆
22a 一端
22b 他端
23 嵌合部材
231 溝
232 フランジ部
233 ネジ孔
24 固定ボルト
25 ハンドル
26,27 ピン
3 スポットライト本体
31 ボディー
311 放熱口
312 ステー
32 ランプ
33 ソケット
34 ミラー
35 フード
36 ケーブル
37 放熱フィン
38 防眩キャップ
5 収容箱
51 枠体
511 水平部
511a 屈曲部
511b 傾斜部
512 垂直部
512a 嵌合突起
52 フード
53 ブラケット
532 垂直部
532a 嵌合突起
6 ガイドレール
61 嵌合溝
61a 開口縁
7 天井板
71 開口
100 スポットライト
120 スポットライト用アーム
121 先端部
122 基端部
130 スポットライト本体
150 収容箱
170 天井板
171 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム本体と,前記アーム本体の先端に擺動可能に一端を連結された連結杆によって構成され,前記連結杆の他端に,光源であるランプを備えたスポットライト本体を擺動可能に保持することを特徴とするスポットライト用アーム。
【請求項2】
光源であるランプを備えたスポットライト本体と,前記スポットライト本体を先端部に保持するアームを備えたスポットライトにおいて,
前記アームを,アーム本体と,前記アーム本体の先端に擺動可能に一端を連結された連結杆によって形成すると共に,前記連結杆の他端に前記スポットライト本体を擺動可能に保持したことを特徴とするスポットライト。
【請求項3】
アームの先端部に光源であるランプを備えたスポットライト本体を保持したスポットライトと,天井板に形成された開口に向かって開口する箱型形状を成し,前記スポットライトを収容する室を天井裏に画成する収容箱の組合せによって構成された天井埋込型スポットライトユニットにおいて,
前記スポットライトの前記アームを,アーム本体と,前記アーム本体の先端に擺動可能に一端を連結された連結杆によって構成し,前記連結杆の他端に前記スポットライト本体を擺動可能に保持すると共に,
前記アーム本体の基端部を前記収容箱の天板に回動可能に取り付けたことを特徴とする天井埋込型スポットライトユニット。
【請求項4】
前記収容箱の天板に,前記アーム本体の基端部を前記収容箱の長さ方向にスライド可能に取り付けたことを特徴とする請求項3記載の天井埋込型スポットライトユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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