スポット型イオナイザの評価方法及びスポット型イオナイザ
【課題】イオンバランスに加え、新たにイオンバランス変動を判定することで、最適な使用距離と空気圧の関係を使用条件として生成する。
【解決手段】チャージプレートモニタ装置24の測定プレート28上にスポット型DCイオナイザ10を離間配置し、ノズル開口に金属網を使用したグリッド12を装着する。空気圧と使用距離Lを所定値に設定し、DCイオナイザ10を動作してチャージプレートモニタ装置24でイオンバランスとイオンバランス変動を測定して各々所定の閾値と比較し合否を判定する。合格の場合に、チャージプレートモニタ装置24により測定プレート28を1000Vから100Vまで除電時間を測定し、閾値時間より長い場合は、空気圧を高くしながら除電時間を測定し、閾値時間以下となる空気圧を設定使用距離での最適空気圧として判定し、グリッドに対し設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成する。
【解決手段】チャージプレートモニタ装置24の測定プレート28上にスポット型DCイオナイザ10を離間配置し、ノズル開口に金属網を使用したグリッド12を装着する。空気圧と使用距離Lを所定値に設定し、DCイオナイザ10を動作してチャージプレートモニタ装置24でイオンバランスとイオンバランス変動を測定して各々所定の閾値と比較し合否を判定する。合格の場合に、チャージプレートモニタ装置24により測定プレート28を1000Vから100Vまで除電時間を測定し、閾値時間より長い場合は、空気圧を高くしながら除電時間を測定し、閾値時間以下となる空気圧を設定使用距離での最適空気圧として判定し、グリッドに対し設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電により発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザの評価方法に関し、特に、イオンバランス及びイオンバランス変動を小さくするためにノズル開口にグリッドを装着して最適使用条件を生成するスポット型イオナイザの評価方法及びスポット型イオナイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスクドライブ製造工程、半導体製造工程、液晶製造工程等においては、クリーンルーム内における静電気障害を防止するためにイオナイザを使用している。
【0003】
静電気除去器として機能するイオナイザは、製品破壊や機器の誤動作などのトラブルの原因となる静電気をイオンで中和し除電を行なう。イオナイザは、イオンを発生させる方式により、AC方式とDC方式に分かれる。ACイオナイザは、交流電圧を放電針に印加してコロナ放電を行い、プラスイオンとマイナスイオンを交互に発生させる。またDCイオナイザは、一対の放電針に直流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを発生し、同時にマイナス側の放電針からマイナスイオンを発生させる。
【0004】
またイオナイザには、発生したプラスイオンとマイナスイオンをファンにより広い範囲に散布する分散型タイプ(特許文献1,2)と、発生したプラスイオンとマイナスイオンを圧縮空気により対象物に向けてスポット的に吹付けるスポット型がある。ハードディスクドライブ製造工程、半導体製造工程、液晶製造工程等においては、微細なデバイス対象物を除電対象物とすることから、イオンバランスが小さく、除電時間の短いスポット型イオナイザが使用されている。
【0005】
このようなイオナイザの性能を評価する指標としては、チャージプレートモニタ装置を使用して測定されるイオンバランスと除電時間が知られている。チャージプレートモニタ装置は、測定プレートと測定器本体から構成されており、測定器本体により測定プレートの電位を測定し、デジタル表示することができる。
【0006】
ここで、イオンバランスとは、測定プレートをアースに接続してプレート電圧の表示を0Vとした後にイオナイザのイオン風を測定プレートに当ててプレート電位を測定した値である。このときイオナイザが発生しているプラスとマイナスのイオンが等しければイオンバランス(プレート電圧)は0V付近で安定している。即ち、イオンバランスが0V付近で安定していればイオナイザの能力が高いということができる。
【0007】
また除電時間とは、測定プレートの電圧を例えば1000Vに上げ、この状態でイオナイザからのイオン風を測定プレートに当て、例えば100Vまで減衰するために掛かった時間である。同様に、除電時間が短かいほどイオナイザの能力が高いということができる。
【0008】
一般に広域除電を行う分散型イオナイザにあっては、イオンバランスは対象物の耐電圧が高いことからそれほど問題にならないが、ハードディスクドライブ製造工程、半導体製造工程、液晶製造工程等で使用するスポット型イオナイザの場合には、デバイスの耐電圧が低いため、イオンバランスを可能な限り下げる必要がある。
【0009】
特に、近年における半導体の高集積度化と高速応答化に伴って電子デバイスの静電気に対する耐電圧が下がっており、半導体製造工程ではイオンバランスとして±5〜±10Vが要求され、更に、ハードディスク製造工程では更に低い±5V以下或いは±3V以下、更には±1V以下のイオンバランスが求められている。
【0010】
ここで、参考文献1,2の従来の分散型のイオナイザにあっては、イオン風の入口及び又は出口に、金属網を使用したグリッドを配置したものもあるが、イオン風の出口から対象物までの距離が1メートル以上とかなり離れていることが多く、これだけの距離があると大気中に存在するイオンとの結合によりイオンバランスが安定し、グリッドを配置した場合と配置しない場合とでイオンバランスに変化は格別みられない。
【特許文献1】特開2000−100596号公報
【特許文献2】特開2003−28472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のスポット型のDCイオナイザにあっては、チャージプレートモニタ装置で測定プレートをアースに接続してプレート電圧の表示を0Vとするゼロ点調整を行った後にイオナイザのイオン風を測定プレートに当ててプレート電位を測定し、デジタル電圧計の表示値から0Vのイオンバランスを確認しているが、このようにイオンバランスを確認した後に対象デバイスにイオン風を当てながら工程作業を行った場合、イオンバランスがとれているにもかかわらず、対象デバイスの静電破壊がある程度の頻度で発生し、イオナイザの性能が必ずしも保証されない問題があった。
【0012】
また、スポット型のACイオナイザにあっては、通常の使用距離として知られた5〜10cm程度では、イオンバランスが20V以上と大きくなり、イオンバランスを±1V以内に下げるために使用距離を30cm以上離して設置する必要がある。しかし、ACイオナイザの使用距離が30cmも離れてしまうと、イオン風が拡散してスポット型として機能しなくなり、除電時間が著しく長くなり、使用限界を越えてしまう。
【0013】
そこで、ACイオナイザに供給する空気圧を例えば1.0MPaというように大幅に高めて十分に短い除電時間を確保している。しかし、このように空気圧を高くしてしまうと、ACイオナイザのノズル口から噴出す圧縮空気により大きな騒音が発生し、作業環境の騒音レベルが著しく大きくなるという別の問題を生じている。
【0014】
本発明は、イオンバランスに加え、新たにイオンバランス変動を判定することで、最適な使用距離と空気圧の関係を使用条件として生成するスポット型イオナイザの評価方法及びスポット型イオナイザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
まず本願発明者は、スポット型イオナイザを評価するパラメータとして、従来のイオンバランスと除電時間に加え、新たにイオンバランス変動というパラメータを導入する。
【0016】
本願発明者にあっては、イオンバランスは風速の強さや吹き出し口から吹き出される空気の乱流によって、微妙に変動するという現場担当者からの情報があったため、実際にチャージプレートモニタ装置にレコーダを接続して、スポット型DCイオナイザについてイオンバランスの変動を連続記録して監視したところ、モニタ装置本体のデジタル電圧計は0V表示でイオンバランスがとれているにも関わらず、レコーダ上の記録波形は、0Vを中心にピーク間電圧Vp−pで約6Vの幅で大きく変動していることを見出した。
【0017】
なお、実際のレコーダ記録波形では、ピーク間電圧Vp−pで約9Vの幅であるが、ゼロ点調整時の記録波形にVp−p=約3Vが現れていることから、この分を差し引いて校正した値がVp−p=約6Vである。
【0018】
この現象がイオンバランス変動であり、従来は、装置本体のデジタル電圧計の表示でイオンバランスを判定していたため、イオンバランス変動を認識していなかったものである。
【0019】
このようにイオンバランスが0Vであっても、イオンバランス変動がVp−pで約6Vもあるため、今後、イオンバランスとして±1.0V以内のオフセットが要求されるハードディスクドライブ製造工程での要求条件が満たされておらず、対象デバイスの静電破壊がイオンバランス変動により発生していたが、原因が不明のままイオナイザの使用距離を離して空気圧を上げるというような対策で対応しており、本質的な解決には至っていなかった。
【0020】
このように対象デバイスの静電破壊がイオンバランス変動によることが究明できたため、本願発明者はイオンバランス変動を測定しながらそれを低減且つ除去する各種の試行錯誤を繰り返し、その中で特許文献1,2の拡散型イオナイザに使用されている金属網のグリッドを使用したところ、DCイオナイザについては、イオンバランス変動を略除去できることが確認できた。
【0021】
またACイオナイザにあっては、グリッドの有無にかかわらず、イオンバランス変動は略ゼロであることが確認され、更に、グリッドを装着したことで、5cm〜10cmの使用距離で空気圧をそれほど高くすることなく、イオンバランスを±1V以内に低減できることが確認された。
【0022】
本発明は、このような本願発明者の新たな知見に基づいて鋭意なされたもので、金属網のグリッドを使用することを前提に、イオンバランス及び除電時間に加え、新たにイオンバランス変動を評価パラメータに採用し、グリッドに対応して最適な使用距離と空気圧の関係を使用条件として生成するスポット型イオナイザの評価方法、更にはスポット型イオナイザそのものを提供するものである。
【0023】
(イオナイザ評価方法)
本発明はスポット型イオナイザの評価方法を提供する。本発明は、放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した空気により放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザの評価方法に於いて、
チャージプレートモニタ装置の測定プレート上にスポット型イオナイザを離間配置し、
イオナイザのノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、
圧縮空気の空気圧を所定値に設定すると共に測定プレートとノズル開口との間の使用距離を所定距離に設定し、
スポットイオナイザを動作してチャージプレートモニタ装置でイオンバランスとイオンバランス変動を測定して各々所定の閾値と比較し、閾値より以下の場合は合格と判定し、閾値より大きい場合は不合格と判定し、
イオンバランス及びイオンバランス変動について合格を判定した場合に、チャージプレートモニタ装置により測定プレートを所定開始電圧に帯電させた状態でイオナイザの動作により所定除電電圧に低下するまでの除電時間を測定し、
除電時間を所定の閾値時間と比較し、閾値時間より長い場合は、空気圧を高くしながら除電時間を測定し、閾値時間以下となる空気圧を設定使用距離での最適空気圧として判定し、
グリッドに対し設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とする。
【0024】
ここで、スポット型イオナイザは、一対の放電針に直流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを発生させると同時にマイナス側の放電針からマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物に吹付けて静電気を中和するDCイオナイザである。
【0025】
またスポット型イオナイザは、放電針に交流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを交互に発生し、外部から供給した圧縮空気により放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物に吹付けて静電気を中和するACイオナイザである。
【0026】
スポット型イオナイザに装着するグリッドとして、例えば網目の開き目Mが0.1mm以上で1.27mm以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に評価処理を繰り返し、各グリッドに対する設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成する。
【0027】
スポット型イオナイザに装着するグリッドとして、例えば網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に評価処理を繰り返し、各グリッドに対する設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成する。
【0028】
グリッドは、銅Cu、銅メッキ、ニッケルNi、ニッケルメッキ、又はステンレスSUS製の金属網である。
【0029】
スポット型イオナイザは、使用距離を5cm以上で10cm以下の範囲に設定し、イオンバランスが±1V以下及びイオンバランス変動が2.0Vp−p以下の場合に合格と判定する。
【0030】
スポット型イオナイザに供給する圧縮空気の空気圧を0.1MPa以上0.4MPa以下の範囲で変化させながら除電時間を測定して最適空気圧を判定する。
【0031】
グリッドをアース接続せずに評価処理を行ってグリッドに対する設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成する。またグリッドをアース接続した状態で評価処理を行ってグリッドに対する設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成しても良い。
【0032】
イオンバランス変動は、測定プレートを接地接続してイオンバランス変動のゼロ調整値を予め測定し、スポット型イオナイザの動作状態で測定したイオンバランス変動からゼロ調整変動を差し引いて校正した値とする。
【0033】
イオンバランス変動は、チャージプレートモニタ装置に接続したレコーダによる測定プレート電位の記録波形から測定する。
【0034】
除電時間の測定は、チャージプレートモニタ装置により測定プレートを所定開始電圧1000Vに帯電させた状態でイオナイザの動作により所定除電電圧5Vに低下するまでの時間を測定する。
【0035】
(スポット型イオナイザ)
本発明はスポット型イオナイザを提供する。本発明は、放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザに於いて、ノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、グリッドは、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にあることを特徴とする。
【0036】
ここで、スポット型イオナイザは、直流電圧の印加によるコロナ放電でプラスイオンとマイナスイオンを同時に発生するDCイオナイザ、又は、交流電圧の印加によるコロナ放電でプラスイオンとマイナスイオンを交互に発生するACイオナイザである。
【0037】
グリッドは、例えば網目の開き目Mが0.1mm以上で1.27mm以下の範囲にある。またグリッドは、銅Cu、銅メッキ、ニッケルNi、ニッケルメッキ、又はステンレスSUS製の金属網を使用する。
【0038】
スポット型イオナイザは、使用距離が5cm以上で10cm以下の範囲、イオンバランスが±1V以下及びイオンバランス変動が2.0Vp−p以下、且つ前記空気圧が01MPa以上で0.4MPa以下の範囲を使用条件とする。また必要に応じてグリッドをアース接続しても良い。
【発明の効果】
【0039】
本発明のスポット型イオナイザの評価方法によれば、網目の開き目、空間率及び材質により複数種類のグリッドを準備し、従来のイオンバランスと除電時間に加え、新たにイオンバランス変動を評価パラメータに加え、グリッドについて例えば5〜10cmの範囲の設定距離と最適空気圧を使用条件とする合格結果を生成し、これにより対象デバイスの静電耐電圧に対応したイオンバランスを例えば±1V以下及びイオンバランス変動を例えばVp−p=2.0V以下とすることが保証され、スポット型イオナイザにより対象デバイスが静電破壊されてしまうことを確実に防止し、ハードディスクドライブ製造工程などでの歩留りを改善し、生産性効率を高めコスト低減を図ることができる。
【0040】
また、スポット型ACイオナイザにあっては、グリッドを装着しただけでイオンバランスを、要求される使用距離5〜10cmであっても、従来の20Vを越える電圧からハードディスクドライブ製造工程で要求される±1V以内に低減できる。その結果、スポット型ACイオナイザについては、従来、30cm程度離し、且つ空気圧を上げたことで大きな騒音を出していた問題を完全に解消することができ、イオナイザを使用した製造工程の環境を著しく改善できる。
【0041】
また本発明は、本発明の評価方法による合格結果をもつノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着したスポット型イオナイザそのものを提供することで、静電耐電圧が例えば1V以内と低い電子デバイスについて静電破壊を起すことなく確実に静電除去を行うこときができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1は本発明によるスポット型DCイオナイザの評価処理を行うシステム構成の説明図である。図1において、本実施形態のイオナイザとしては、スポット型DCイオナイザ10を使用しており、スポット型DCイオナイザ10に対してはDCイオナイザ駆動装置14が接続され、またエアーチューブ22により加圧空気を供給する空気圧供給装置16を接続している。
【0043】
空気圧供給装置16にはモータ18とポンプ20が設けられ、例えば0.1MPa〜0.4MPaの範囲で調整可能な空気圧を供給する。なお、空気圧供給装置16としては専用の装置とせず、クリーンルームなどの製造設備で使用しているエアー供給配管などの空気圧供給設備を利用してもよい。
【0044】
本実施形態で使用するスポット型DCイオナイザ10及びDCイオナイザ駆動装置14としては、例えば春日電機製の「ND−503TL,DC&スポットタイプ」を使用する。本実施形態で評価対象とするスポット型DCイオナイザ10に対しては、イオン風を吹き出すノズル開口に金属網を使用したグリッド12を装着している。
【0045】
グリッド12を装着したスポット型DCイオナイザ10の評価は、チャージプレートモニタ装置24を装置本体として接続したチャージプレート26を使用して行う。チャージプレート26は測定プレート28とグランドプレート30で構成され、測定プレート28及びグランドプレート30は例えば一辺が15cmの薄い矩形形状を持ち、両者を例えば15mm程度の距離を隔てて絶縁部材で平行配置しており、この構造によりチャージプレート26は約20pFの静電容量を持つことになる。
【0046】
チャージプレートモニタ装置24は測定動作モードとして
(1)イオンバランス測定モード
(2)除電時間測定モード
の2つの機能を備えている。
【0047】
イオンバランス測定モードは、測定プレート28を一度アースに接続してプレートの電圧を0Vにするゼロ点調整を行った後にスポット型DCイオナイザ10を動作してイオン風を測定プレート28に当て、そのときのプレート電位を測定し、チャージプレートモニタ装置24に設けているデジタル電圧計(図示せず)に測定電圧を表示させる。
【0048】
またチャージプレートモニタ装置24はイオンバランス測定モードで測定された測定プレート28の測定電圧を外部に出力するアナログ出力端子を備えており、本実施形態にあってはチャージプレートモニタ装置24のアナログ出力端子にレコーダ32を接続し、イオンバランス動作モードにおける測定プレート28の測定電圧をレコーダ32のレコード紙34上に例えばペン書き記録できるようにしている。もちろんレコーダ32としては、レコード紙34にペン書きする以外に、液晶モニタ上に測定電圧のアナログ波形変化を表示出力するものであってもよい。
【0049】
このような本実施形態の評価処理に使用するチャージプレート26を備えたチャージプレートモニタ装置24としては、例えばヒューグルエレクトロニクス社製の「700A」を使用する。
【0050】
図2は図1のスポット型DCイオナイザ10を取り出して示した説明図である。図2に(A)おいて、スポット型DCイオナイザ10は下方に開口した円筒状の部材であり、イオナイザ本体11の上部内にプラス放電針36とマイナス放電針38を配置し、その間に空気圧供給装置16からエアーチューブ22を介して供給される圧縮空気を吹き出すエアー吹出し管40を配置している。
【0051】
更にイオナイザ本体11の先端のノズル開口部には、グリッド12を備えたグリッドアダプタ42を装着している。グリッドアダプタ42は、図2(B)に取り出して示すように装着穴44を備え、装着穴44によりイオナイザ本体11のノズル開口部に対し着脱自在であり、装着穴44の先端側を閉じる形で金属網を使用したグリッド12を配置している。
【0052】
図2(A)のスポット型DCイオナイザ10にあっては、DCイオナイザ駆動装置14からイオナイザ本体11内のプラス放電針36とマイナス放電針38に直流高電圧を印加することでコロナ放電を行い、プラス放電針36からプラスイオンを発生し、同時にマイナス放電針38からマイナスイオンを発生し、このようにして発生した基本的に同数のプラスとマイナスのイオンをエアー吹出し管40からの吹出し空気によりアシストし、グリッド12を介して、図1に示すように使用距離Lを離して配置されたチャージプレート26に向けてイオン風を吹き付ける。
【0053】
図3は本実施形態のスポット型DCイオナイザ10に装着するグリッド12の一覧を示した説明図である。図3において、グリッド一覧46−1はグリッド番号G1〜G11の11種類を例に取っており、それぞれのグリッドは網目に使用している線径φ、メッシュ番号#、1メッシュサイズA、開き目M及び空間率SRを、グリッドを特定するパラメータとして示している。
【0054】
図4は図3のグリッド一覧46−1における線径φ、1メッシュサイズA、開き目M及び空間率SRの説明図である。図3のグリッド12は、線径φを持つ縦と横の線を一定の間隔を保って1本ずつ交互に交わった折り目(JISZ8801)を例に取っており、縦横の線で囲まれた矩形領域につき、2本の線の外側の間隔から線径φを差し引いた長さが1メッシュサイズAであり、両側の線径φを除いた間隔が開き目Mを表わしている。
【0055】
このようなグリッド12につき、図3におけるメッシュ番号#、開き目M及び空間率SRは次式で与えられる。
【0056】
【数1】
図3のグリッド一覧46−1にあっては、開き目Mの小さい順にソートしてグリッド番号G1〜G11を付与している。
【0057】
図5は、図3と同じグリッド番号G1〜G11について、空間率SRの小さい順にソートして配列したグリッド一覧46−2を示している。
【0058】
図6は、図1の実施形態において、図3及び図5におけるグリッド番号G2の開き目M=0.15mm、空間率SR=36.8%でステンレスSUSを使用したグリッドを、図1のようにスポット型DCイオナイザ10のノズル開口に装着して、チャージプレートモニタ装置24をイオンバランス動作モードとして測定した際のレコーダ32によるレコード紙34の記録である。
【0059】
図6のレコード紙34の測定プレート電位の記録波形は、ゼロ点調整区間52−1、グリッドなし除電区間54、接地接続なしのグリッド付き除電区間56、接地接続ありのグリッド付き除電区間58及びゼロ点調整区間52−2を順次行った場合である。
【0060】
ここで測定条件は、図1におけるスポット型DCイオナイザ10のノズル開口からチャージプレート26までの使用距離LをL=5cm、空気圧供給装置16から供給する空気圧PがP=0.1MPaとし、また記録紙の時間分解能となる1目盛り当たりの時間は5sec/divとしている。
【0061】
ここで実際に記録紙からイオンバランス及びイオンバランス変動を測定するためには図6の時間軸分解能5sec/divでは、振幅レベルが正確に捉えられないことから、同じ測定条件で記録紙の時間分解能を1Hour/divというように十分に遅くして記録する必要があり、以下の測定値は1Hour/divの記録結果から得たものである。
【0062】
最初のゼロ点調整区間52−1は、チャージプレートモニタ装置24においてチャージプレート26をアース接続してゼロ点調整した場合であり、このときの記録波形は0Vを中心にイオンバランス変動VP-P=3.0Vを示している。
【0063】
次のグリッドなし除電区間54は、図1においてスポット型DCイオナイザ10のノズル開口からグリッド12を外して従来のイオナイザと同じ条件でイオンバランスを測定しており、デジタル電圧計におけるイオンバランスの値は0Vであるが、レコード紙34の波形記録にあっては0Vを中心に大きなイオンバランス変動を生じており、測定値はイオンバランス変動はVP-P=9.0Vを示している。
【0064】
ここでグリッドなし除電区間54におけるイオンバランス変動VP-P=9.0Vの中にはゼロ点調整区間52−1のゼロ点時におけるイオンバランス変動VP-P=3.0Vが含まれていることから、これを差し引くことで真のグリッドなし除電区間54におけるイオンバランス変動VP-Pは
VP-P=9.0V−3.0V=6.0V
となっている。
【0065】
次のグリッド付き除電区間56にあっては、図1のようにスポット型DCイオナイザ10のノズルにグリッド12を接続し、この場合にはグリッド12をグランドにアース接続なしの状態でイオンバランスを測定している。
【0066】
このグリッド付き除電区間56におけるイオンバランスの測定時にあっては、チャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計の表示は0Vであるが、レコーダ32で記録したレコード紙34の記録波形は0Vを中心にイオンバランス変動VP-PとしてVP-P=3.5Vとなっている。この場合にも、真のイオンバランス変動はゼロ点調整区間52−1のイオンバランス変動を差し引くことで
VP-P=3.5V−3.0V=0.5V
である。
【0067】
次のグリッド12をグランドにアース接続した状態でイオンバランスを測定したグリッド付き除電区間58については、チャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計の表示は0Vであるが、レコーダ32で記録したレコード紙34の記録波形は0Vを中心にイオンバランス変動VP-PとしてVP-P=3.0Vであり、真のイオンバランス変動はゼロ点調整区間52−1のイオンバランス変動を差し引くことで
VP-P=3.5V−3.0V=0.0V
であった。この場合、グリッド12をアース接続したことで、イオンバランス変動に改善がみられたが、他のグリッドにあっては、アース接続の影響は見られないケースが多かった。
【0068】
このようにスポット型DCイオナイザ10のノズル開口にグリッド12を装着することで、グリッドがない場合のイオンバランス変動VP-P=3.0Vに対し、グリッド12を装着したことでVP-P=0.5V以下に減少することができた。
【0069】
本実施形態にあっては、図3及び図5のグリッド一覧46−1,46−2に示したグリッド番号G2のグリッド12のイオンバランス測定を例に示したように、残りのグリッド番号G1,G3〜G11についても、同様に図1のようにスポット型DCイオナイザ10のノズル開口にグリッド12として装着し、イオンバランスを使用対象とする例えばハードディスクドライブの製造工程に必要なイオンバランス±1.0V以下で、空気圧Pの使用条件である0.1MPa〜0.4MPaの範囲の使用条件を満たす合格品か否か判定し、合格品と判定した場合には使用予定距離であるL=5cm〜10cmの範囲内の使用距離と最適な空気圧Pの組合せを合格結果の使用条件に付加して生成する。
【0070】
ここで本実施形態に使用するグリッド12の金属網の材質としては、図6のグリッド番号G2のグリッドについてはステンレスSUSを使用しているが、これ以外に銅Cuまたは銅メッキ、あるいはニッケルNiまたはニッケルメッキであってもよい。
【0071】
図7は本実施形態によるスポット型DCイオナイザの評価処理の手順を示したフローチャートである。図7の評価処理を図1を参照して説明すると次のようになる。
【0072】
まず評価処理に際し、例えば図3のグリッド一覧46−1に示したようなグリッド番号G1〜G11の異なったパラメータのグリッド12を準備し、ステップS1でその中から1つグリッドを選択して図1のようにスポット型DCイオナイザ10のノズル開口に装着する。
【0073】
続いてステップS2で、スポット型DCイオナイザ10とチャージプレート26の使用距離Lを実際のハードディスクドライブ製造工程のクリーンルームにおける使用距離として予定された5.0〜10.0cmの範囲内に定めた特定の仕様距離Liに設定する。本実施形態にあっては、使用距離LiとしてL1=5.0cm、L2=7.5cm、L3=10.0cmの3つを準備している。もちろん、更に短い距離間隔で使用距離Liを設定してもよい。
【0074】
続いてステップS3で空気圧Pを任意の空気圧Piに設定する。本実施形態で使用する空気圧Pの範囲は0.1MPa〜0.4MPaの範囲としており、ステップS3にあっては最も小さい空気圧であるPi=0.1MPaに設定する。
【0075】
続いてステップS4でイオンバランスVを測定する。まずチャージプレートモニタ装置24の電源を投入して動作状態とし、イオンバランスを測定する。イオンバランスの測定は、チャージプレートモニタ装置24でチャージプレート26をグランドに接続して測定プレート28の電位を0Vとするゼロ点調整を行った後、スポット型DCイオナイザ10を動作してイオン風を測定プレート28に当て、そのときチャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計に表示される電圧を読み取り、これをイオンバランスの測定値Vとする。
【0076】
次にステップS5で、測定されたイオンバランス測定値Vが所定の閾値Vth以下か否かチェックする。この閾値Vthとしては、例えばVth=±1Vとし、チャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計の表示が±1V以内であればイオンバランスは適正と判断し、ステップS6に進む。
【0077】
これに対しステップS5でイオンバランスが閾値Vth=±1Vを越えるの電圧を示した場合には、このとき使用しているグリッド12は不適切であることから、ステップS12に進み、現在装着しているグリッド12について、現在設定した使用距離Liと空気圧Piでは使用不可であることを示す不合格を確定する。
【0078】
ステップS5でイオンバランスが閾値以下となって合格した場合には、ステップS6に進み、イオンバランス変動VP-Pを測定する。このイオンバランス変動VP-Pの測定は、ステップS4のイオンバランスVの測定値にチャージプレートモニタ装置24から出力された測定プレート28の電圧波形をレコーダ32で記録していることから、レコーダ32のレコード紙34の記録波形からイオンバランス変動VP-Pを測定する。
【0079】
具体的には、レコーダ32のレコード紙34には図6に示したように、ゼロ点調整区間52−1に続いて例えばグリッドの接地接続なしのグリッド付き除電区間56の波形が記録されていることから、ゼロ点調整区間52−1のイオンバランス変動(VP-P)0とグリッド付き除電区間56のイオンバランス変動(VP-P)Sを求め、真のイオンバランス変動VP-Pとして
VP-P=(VP-P)S−(VP-P)0
として校正されたイオンバランス変動を求める。ただし、レコード紙の時間分解能は1Hour/divとしている。
【0080】
続いてステップS7で校正の済んだイオンバランス変動が閾値(VP-P)th以下か否か判定する。ここでイオンバランス変動の閾値(VP-P)thは、例えばハードディスクドライブ製造工程で要求される(VP-P)th=2.0Vp−pに設定されている。
【0081】
ステップS7でイオンバランス変動が閾値以下であった場合には、このグリッドは合格品として次のステップS8の処理に進む。一方、イオンバランス変動が閾値を超えていた場合には、現在装着しているグリッドは不適切であることから、ステップS12に進み、現在設定している使用距離Liと空気圧Piではこのグリッドは使用不可として不合格品としての判断を確定する。
【0082】
ステップS7でイオンバランス変動が閾値以下であった場合にはステップS8に進み、除電時間Tを測定する。除電時間Tの測定は図1のチャージプレートモニタ装置24を除電時間測定モードとすることで測定できる。
【0083】
この除電時間測定モードにあっては、チャージプレートモニタ装置24は内部の高圧電源から測定プレート28の電圧を例えば+1000Vに上げて帯電させ、この帯電状態でスポット型DCイオナイザ10を動作してイオン風を測定プレート28に当て、このイオン風を受けて測定プレート28の電圧が減衰を始めることから、プレート電圧が5Vまで減衰するにかかった時間を除電時間Tとして測定し、測定結果を表示する。
【0084】
ステップS8で除電時間Tが測定できたならば、ステップS9で除電時間は閾値時間Tth以下か否かチェックする。閾値時間Tthとしては例えばTth=5秒が設定される。
【0085】
ステップS9で除電時間Tが閾値時間Tth以下であれば、現在装着しているグリッドについて、イオンバランスV、イオンバランス変動VP-P及び除電時間Tの全てについて設定している閾値による条件を満足していることから、合格品と判定し、ステップS11で使用距離Liと空気圧Piの組合せを使用条件として合格結果を生成し、合格品として確定する。
【0086】
一方、ステップS9で除電時間Tが閾値時間Tthより長かった場合には、ステップS10で現在の空気圧を所定値ΔPだけ増加させ、ステップS8で再度、除電時間Tを測定する。これは除電時間が閾値時間以下とならない原因がチャージプレート26に当たるイオン風の度合、即ちプラスとマイナスのイオンの量が少ないことから、空気圧が不足していると判断でき、空気圧を上げることで除電時間Tを短縮させる。
【0087】
ステップS10で空気圧を増加させた後に除電時間を測定して、ステップS9で再び閾値以下になるか否か判定し、閾値時間以下となれば、ステップS11でそのときの使用距離Liと増加した空気圧Piの組合せを使用条件としてグリッドが合格品であることを確定する。
【0088】
ステップS9,S10,S8の空気圧を増加した除電時間の測定処理の繰返しサイクルで空気圧Pが上限である0.4MPaとなっても除電時間が閾値時間以下とならない場合には、イオンバランスV及びイオンバランス変動VP-Pについては合格しているが、除電時間Tについては不合格であることから、この場合には合格品と不合格品のちょうど中間となる使用条件を一部満足するグリッドであるとの評価、即ち予備的合格品としての判定結果を確定する。なお、この使用条件一部満足の評価については図7のフローチャートでは省略している。
【0089】
ステップS11の合格品として評価結果の確定、またはステップS12の不合格品として評価結果の確定が済むと、ステップS13で全ての使用距離について処理済みか否かチェックし、未処理であればステップS14で次の使用距離例えば最小Li=5.0cmであればΔL=2.5cmを加えたLi=7.5cmに設定し、再びステップS3に戻り、同様な評価処理を繰り返す。
【0090】
この結果、1つのグリッドについて3つの使用距離L1=5.0cm、L2=7.5cm、及びL3=10.0cmのそれぞれについて、グリッドが合格品か不合格品かの評価結果が得られ、合格品の評価結果については使用距離と最適空気圧の組合せが使用条件として含まれている。
【0091】
ステップS13で現在装着しているグリッドについて全ての使用距離での処理が済むと、ステップS15に進み、全グリッドの処理が済んだか否かチェックし、未処理であればステップS16で次のグリッドを選択してスポット型DCイオナイザに装着し、ステップS1からの処理を繰り返すことになる。
【0092】
図8は図3のグリッド一覧46−1に示したグリッド番号G1〜G11について、図7の評価処理を行って得た評価結果一覧48である。
【0093】
評価結果一覧48は、使用距離Lを5.0cm、7.5cm、10.0cmの3段階に設定して評価しており、空気圧Pについても0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPaの4段階に分けて評価している。
【0094】
このような使用距離と空気圧につき、グリッド番号G1〜G11の○印がイオンバランスV、イオンバランス変動VP-P、除電時間Tの3つの評価条件を満足した合格品を示し、×印はイオンバランスV、イオンバランス変動VP-Pのいずれか一方または両方の評価条件を満足しない不合格品であり、更に△印はイオンバランスVとイオンバランス変動VP-Pの評価条件は満足するが除電時間Tの評価条件を満足しない評価条件一部満足した予備的合格品を示している。
【0095】
図8の評価結果一覧48における合格品、予備的合格品、不合格品の分布を見ると、開き目Mが3.03mm、4.08mm、4.95mmと大きいグリッドG9〜G11が、不合格品あるいは予備的合格品となっている。一方、開き目Mが0.10mm、0.15mm、0.20mmと小さいグリッド番号G1〜G3については、使用距離Lが小さければ不合格品はほとんどないが、使用距離が長くなると開き目Mが小さいことで十分なイオン風を当てることができず、0.1MPa側の低い空気圧Pについて不合格品や予備合格品が発生していることが分かる。
【0096】
図9は図1のようにスポット型DCイオナイザ10にグリッドを装着して測定したイオンバランス変動と放電時間の測定結果一覧50を示している。ここで測定結果一覧50の使用条件としては、使用距離L=5.0cm、空気圧P=0.1MPaとしている。
【0097】
図9において、測定結果一覧50は、ケース番号A〜Kの11種類のグリッドを例に取っており、ケース番号A,B,Cのグリッドは、開き目Mが同じM=0.15mmであるが、材質が銅CU、ニッケルNi、ステンレスSUSと異なっている。
【0098】
この材質が異なるケース番号A〜Cのグリッドにつき、イオンバランス変動VP-P及び除電時間Tについて、それぞれグリッドをグランド接続なしの場合とグランド接続ありの場合について測定している。
【0099】
イオンバランス変動VP-Pについは、ケースA,Bの銅Cu、ニッケルNiについてはグランド接続の有無に関わらずイオンバランス変動VP-P=0.5Vとなっている。ケース番号CのステンレスSUSについては、グランド接続なしでイオンバランス変動VP-Pは0.5V、グランド接続ありでは0.0Vと改善している。一方、除電時間Tについては、グランド接続なしに対しグランド接続ありの方が短い時間であり、グランド接続による除電時間の短縮効果が見られる。
【0100】
ケース番号D〜Gについては、グリッド開き目Mを順次増加させており、グリッド開き目Mの増加に伴い、イオンバランス変動VP-Pは増加傾向を持つが、最大でもVP-P=2.0V以内のハードディスクドライブ製造工程の閾値を満足している。一方、除電時間Tについては開き目Mが大きくなるほど時間が短くなる傾向にあり、これは開き目Mが大きくなることでイオン風の量が増加することに起因している。
【0101】
更に、イオンバランスについては、全てのケースにつき、略0Vで±1.0V以下の閾値条件をみたしていることから、一覧には示していない。
【0102】
このようなグリッドを装着したスポット型DCイオナイザの例えばハードディスクドライブ製造工程での使用を予定したグリッドの条件としては、次の条件でよいことが確認できた。
(1)材質 銅Cu又は銅メッキ、ニッケルNi又はニッケルメッキ、ステンレスSUS
(2)網目の開き目M 0.1mm≦M≦1.27mm
(3)網目の空間率SR 35%≦SR≦65%
(4)グリッドの接地接続 接地接続してもしなくてもよい
【0103】
また、このようなグリッドを装着したスポット型DCイオナイザの使用条件としては、
(1)5cm≦L≦10cm
(2)空気圧P 0.1MPa≦P≦0.4MPa
である。
【0104】
図10は本発明によるスポット型ACイオナイザの評価処理を行うシステム構成の説明図である。図10において、スポット型ACイオナイザ60に対しては、ACイオナイザ駆動装置64と空気圧供給装置16が設けられている。
【0105】
ACイオナイザ駆動装置64は数kHzの高周波の交流電圧を駆動電圧としてスポット型ACイオナイザ60に供給し、コロナ放電によりプラスイオンとマイナスイオンを交互に発生する。このイオナイザ内で発生したプラスイオンとマイナスイオンは、空気圧供給装置16からエアーチューブ22を介して供給された圧縮空気によるアシストを受けてイオン風を放出する。
【0106】
なお空気圧供給装置16としては、図1の実施形態と同様、クリーンルームなどの設備に予め準備されているエアー配管などからの加圧空気を利用することも可能である。チャージプレート26を接続したチャージプレートモニタ装置24及びレコーダ32は、図1の実施形態と同じものである。
【0107】
スポット型ACイオナイザ60は、評価処理の際にチャージプレート26に対し使用距離Lを離して配置され、ノズル開口部分に金属網を使用したグリッド62を装着している。
【0108】
本実施形態で使用するスポット型ACイオナイザ60としては、例えばコガネイ製の「DTRY−LCE」を使用する。
【0109】
図11は図10のスポット型ACイオナイザ60を取り出して示している。スポット型ACイオナイザ60は本体66とノズル68で構成される。本体66に対してはACイオナイザ駆動装置64が信号線接続され、更にエアーチューブ22により空気圧供給装置16が接続されている。
【0110】
本体66の出口側には放電針70が内蔵されており、ACイオナイザ駆動装置64から数kHzの交流電圧を印加することでコロナ放電を行い、プラスとマイナスのイオンを交互に発生させる。本体66で発生したプラスとマイナスのイオンは、空気圧供給装置16からの空気圧によりノズル68を通って開口部から外部にイオン風を放出する。
【0111】
ノズル68の先端にはグリッドアダプタ72が装着され、グリッドアダプタ72は開口側に金属網を用いたグリッド62を装着している。このスポット型ACイオナイザ60でグリッドアダプタ72に装着して着脱自在に使用するグリッド62としては、図1のスポット型DCイオナイザ10に使用しているグリッド12と同じものが使用でき、例えば図3に示したグリッド一覧46−1のグリッド番号G1〜G11に示すグリッドを使用することができる。
【0112】
図12は図10のスポット型ACイオナイザ60におけるイオンバランス動作モードでの測定処理により得られたレコーダ32による記録波形の説明図である。ここで、レコード記録波形は記録紙の時間分解能となる1目盛り当たりの時間を5sec/divとした場合を示しているが、振幅レベルが正確に捉えるためには、同じ測定条件で記録紙の時間分解能を1Hour/divというように十分に遅くして記録する必要があり、以下の測定値は時間分解能を1Hour/divの記録結果から得たものである。
【0113】
図12(A)はスポット型ACイオナイザ60の使用距離LをL=30cmとした場合のレコード紙34−1の記録波形であり、また図12(B)は使用距離L=5cmとした場合のレコード紙34−2の記録波形である。また図12の波形記録を得る際のスポット型ACイオナイザ60の空気圧Pは、P=0.4MPaとしている。
【0114】
図12(A)のレコード紙34−1の記録波形は、ゼロ点調整区間74−1、グリッドなし除電区間76−1、グリッドをアース接続していないグリッド付き除電区間78−1、グリッドをアース接続しているグリッド付き除電区間80−1及びゼロ点調整区間82−1に分けて波形記録している。
【0115】
この点は図12(B)のレコード紙34−2の波形記録についても同様であり、ゼロ点調整区間74−2、グリッドなし除電区間76−2、グリッドをアース接続していないグリッド付き除電区間78−2、グリッドをアース接続しているグリッド付き除電区間80−2、更にゼロ点調整区間82−2としている。
【0116】
まず図12(A)の使用距離LをL=30cmと、本実施形態の使用する使用距離L=5〜10cmに対しかなり離した場合のイオンバランス測定モードでの記録波形にあっては、チャージプレート26を接地接続して測定プレート28を0Vとしたゼロ点調整区間74−1にあっては、記録波形は0Vを中心にイオンバランス変動VP-P=3.0Vを生じている。
【0117】
次のグリッドなし除電区間76−1はグリッド62を外してイオンバランスを測定した場合であり、これはグリッド62を使用しない従来のスポット型ACイオナイザの記録波形となる。この場合、使用距離がL=30cmと十分離れているため、イオンバランスはチャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計でゼロVを示し、イオンバランス変動VP-Pもゼロ点調整区間における初期値で校正すると、VP-P=0.0Vと満足する値に収まっている。
【0118】
このことから、グリッド62を設けていなくても十分に使用距離を離していれば、イオンバランス変動が適切な値に抑えられることが分かる。しかしながら図12(A)の放電距離L=30cmと離した場合には、このときの空気圧P=0.4MPaでは、除電時間Tの測定時間が、時間がいくら経過しても1000Vから5Vに低下せず、T=∞となり、このままの空気圧ではイオナイザの性能が発揮できない状況にある。
【0119】
したがって、L=30cmとした場合には、空気圧Pを除電時間Tが十分短くなるように極端に高くする使い方をしなければならず、これが従来のACイオナイザの問題となっている。
【0120】
次のグリッドを装着し且つグリッドをアース接続していないグリッド付き除電区間78−1にあっては、イオンバランスVがプラス側に変移しており、イオンバランスVが0Vとならない問題がある。次のグリッドをアース接続したグリッド付き除電区間80−1にあっては、イオンバランスVのオフセットはなくなり、V=0にほぼ落ち着いている。
【0121】
図12(B)は本実施形態の使用距離であるL=5cm〜10cmの範囲における使用例であり、L=5cmとした場合である。この場合のゼロ点調整区間74−2にあっては、0Vを中心にイオンバランス変動VP-P=3Vを生じており、このゼロ点調整時のイオンバランス変動VP-Pが実際のイオンバランスの測定値から除去する校正のために使用する。
【0122】
グリッドなし除電区間76−2については、グリッドを装着していないことでイオンバランスVがプラス側に大きくオフセットしていることが分かる。これが使用距離L=5cmとした場合の従来のACイオナイザのイオンバランスが大きくなることを裏付ける測定結果である。
【0123】
これに対しアース接続なしのグリッドを装着した場合には、グリッド付き除電区間78−2のように、グリッドを装着しただけでイオンバランスは0Vとなる。
【0124】
またイオンバランス変動については、記録波形から読み取ったイオンバランス変動(VP-P)Sが3.0Vであり、これからゼロ点調整区間74−2で測定したゼロ点調整時のイオンバランス変動(VP-P)0である3Vを差し引いて校正した値が正しいイオンバランス変動VP-Pであることから、
VP-P=(VP-P)S−(VP-P)0=3.0V3.0V=0V
となっている。
【0125】
グリッド付き除電区間80−2については、記録波形からはイオンバランスは0Vに対しプラス側に若干オフセットしているが、装置本体のデジタル電圧計の表示は0Vを示しており、同様に、グリッドを装着しただけでイオンバランスは略0Vに低下している。なお、イオンバランス変動も、VP-P=0Vであり、グリッドを接地接続するかしないかの如何に関わらず、イオンバランス変動VP-Pをほぼ完全に0Vであることが確認できる。
【0126】
図10のスポット型ACイオナイザ60における本実施形態の評価処理の手順は、図7に示したスポット型DCイオナイザ10の場合と全く同様にして行うことになる。
【0127】
図7の手順に従った評価処理において、スポット型ACイオナイザ60に固有な点は、イオンバランス変動については、グリッドの有無に関わらず略0Vにあることから、ステップS6,S7によるイオンバランス変動の測定と閾値との比較による評価は必ず合格となる点である。
【0128】
このためスポット型ACイオナイザの場合、イオンバランス変動は最初から合格とし、ステップS6,S7の処理はスキップしていも良い。
【0129】
スポット型ACイオナイザの評価処理にあっては、ステップS4でイオンバランスを測定し、ステップS5で閾値以下と判定されて合格すると、ステップS8〜S10において、そのとき設定している使用距離Liと空気圧Pにより除電時間Tを測定して閾値時間以下となるかどうかを判定し、もし除電時間が閾値時間より大きければ空気圧Pを増加させ、除電時間が閾値時間以下となる空気圧を最適空気圧として決定することになる。
【0130】
この結果、スポット型ACイオナイザ60の場合、図7の評価処理により得られる評価結果は、イオンバランスV及びイオンバランス変動VP-Pの評価条件については、ほとんどのグリッドが合格品となるが、空気圧Pが低く開き目が小さいグリッドについて、除電時間Tが閾値以下とならないことで予備的合格となる場合が発生することが確認された。
【0131】
したがって、図7の評価処理で得られた合格品の中から使用圧力Pが小さく且つ除電時間Tが短いという条件に基づいて優先度を付けて、優先度の高いものを最適なグリッドとして選択して使用すればよいことが分かる。
【0132】
図13及び図14は、図10のスポット型ACイオナイザ60にグリッドを装着してイオンバランス測定モードで測定処理を行ったときの測定結果一覧の説明図である。
【0133】
図13(A)〜(C)及び図14(D)〜(E)の測定結果一覧84−1〜84−5における測定条件としては、ケース番号Aがグリッドなしの従来相当品であり、ケース番号B〜Hにつき、グリッドを装着し、その開き目Mを順次増加させたものを使用している。また測定条件として使用距離LはL=5.0cmであり、グリッドの材質はステンレスSUSであり、更にグリッドをアース接続している。
【0134】
更に測定結果一覧84−1〜84−4は、空気圧PをP=0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPaと増加させた場合である。また図14(E)の測定結果一覧84−5は、図14(D)の測定結果一覧84−4の空気圧P=0.4MPaと同じ条件でグリッドのアース接続をなしとした場合の測定結果である。
【0135】
まず図13(A)の測定結果一覧84−1を見ると、これは空気圧Pを0.1MPaと最も低くした場合である。このとき従来品に相当するグリッドなしのケース番号Aについては、イオンバランスVは17Vと大きくオフセットしており、イオンバランス変動VP-Pは0Vであり、除電時間Tは無限となっており、使用不可である。
【0136】
次にケース番号Bのように、開き目M=0.15mmの目の細かいグリッドを装着した場合、イオンバランスは4Vに低下するが、1Vを越えており、除電時間Tも閾値時間5秒を越えて12.6秒とながいため、これは不合格品である。
【0137】
ケース番号C〜FについてはイオンバランスVは1Vを越えており、イオンバランス変動VP-Pは0Vであるが、除電時間が8〜9秒台と比較的長くかかっており、これは不合格品である。
【0138】
残りのケース番号G,HについてはイオンバランスVは1V以下に収まり、イオンバランス変動VP-Pも0Vであるが、除電時間が8〜9秒台と比較的長くかかっており、予備的合格品相当ということができる。
【0139】
図13(B)の測定結果一覧84−2にあっては、空気圧Pが0.2MPaに増加したことでイオンバランスVが1〜3Vと若干改善し、除電時間Tについては測定結果84−1の場合に比べほぼ半分の時間に短縮しており、閾値時間5秒以下であることから予備的合格品といえる。
【0140】
また図13(C)の測定結果一覧84−3にあっては、空気圧Pが更に高い0.3MPaに上がることでイオンバランスVが改善し、除電時間についてはほぼ3秒前後に短縮され、ケース番号B〜D,Gは予備合格品、ケース番号E,F,Hは合格品である。
【0141】
また図14(D)の測定結果一覧84−4にあっては、空気圧Pを0.4MPaに高めたことでイオンバランスVが改善し、除電時間Tについても1.9〜2.3秒の範囲に改善され、厳密には、ケース番号B,D,F,Hは予備合格品、ケース番号C,E,Gが合格品であるが、実用上は、全て合格品として扱うことができる。
【0142】
更に図14(E)のグリッドをアース接続しない場合の測定結果一覧84−5にあっては、アース接続した場合の測定結果一覧84−4と対比すると、イオンバランスVについてはほとんど同じであり、除電時間Tは2.0〜2.5秒と若干長くなっているが、ほとんど差異はない。この場合にも、厳密には、ケース番号C,Eは予備合格品、ケース番号B,D,F〜Hが合格品であるが、実用上は、全て合格品として扱うことができる。
【0143】
この図13及び図14の測定結果一覧から、スポット型ACイオナイザ60としては、空気圧PとしてP=0.4MPaの使用条件とすることが望ましいことが分かる。もちろん、空気圧P=0.1〜0.3MPaについても、イオンバランスVがハードディスクドライブ製造工程で要求される±1V以内の条件を満たしたグリッドについては、合格品として使用することができる。
【0144】
実際の使用に際しては、スポット型ACイオナイザ60に使用するグリッドの条件としてはスポット型DCイオナイザ10について設定した(1)〜(3)の条件が適用でき、また使用条件についてもスポット型DCイオナイザ10について設定した(1)(2)の使用条件を適用することができる。但し、空気圧Pについては、スポット型ACイオナイザ60にあっては0.1MPaでは除電時間が長過ぎることから、0.2〜0.4MPaの使用条件とすることが望ましい。
【0145】
なお上記の実施形態にあっては金網をノズル開口部に1枚配置したグリッドを装着しているが、金網を2枚重ねて配置したダブルグリッドとしてもよい。
【0146】
またイオナイザに装着して使用するグリッドの合否の判断は、使用するスポット型イオナイザの種類により一義的には定まらないことから、それぞれのイオナイザにつき図7のフローチャートに示した評価処理を行って合格品か不合格品かの判定を行い、合格品として得られたグリッドの使用距離と空気圧の使用条件を評価結果として得る必要がある。
【0147】
更に上記の実施形態に示したグリッドの条件及びグリッドを装着したイオナイザの使用条件は1つの例に過ぎず、どのような網目のグリッドをどのような使用条件で使用するかは図7に示した評価処理を適用することで決めることになる。
【0148】
更に、図7の評価処理は人為的な測定評価処理以外に、コンピュータのプログラムにより自動的に行う評価処理としてもよい。この自動評価処理のためには、図1又は図10の測定システムのDCイオナイザ駆動装置14又はACイオナイザ駆動装置64、空気圧供給装置16、チャージプレートモニタ装置24に対しコントローラとして機能するコンピュータを適宜のインタフェースで接続し、コンピュータで図7のフローチャートに対応したプログラムを実行して自動的に評価する。
【0149】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0150】
ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の付記のようになる。
(付記)
(付記1)
放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザの評価方法に於いて、
チャージプレートモニタ装置の測定プレート上に前記スポット型イオナイザを離間配置し、
前記イオナイザのノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、
前記圧縮空気の空気圧を所定値に設定すると共に前記測定プレートとノズル開口との間の使用距離を所定距離に設定し、
前記スポットイオナイザを動作して前記チャージプレートモニタ装置でイオンバランスとイオンバランス変動を測定して各々所定の閾値と比較し、前記閾値より以下の場合は合格と判定し、前記閾値より大きい場合は不合格と判定し、
前記イオンバランス及びイオンバランス変動について合格を判定した場合に、前記チャージプレートモニタ装置により前記測定プレートを所定開始電圧に帯電させた状態で前記イオナイザの動作により所定除電電圧に低下するまでの除電時間を測定し、
前記除電時間を所定の閾値時間と比較し、前記閾値時間より長い場合は、前記空気圧を高くしながら前記除電時間を測定し、前記閾値時間以下となる空気圧を前記設定使用距離での最適空気圧として判定し、
前記グリッドに対し前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするイオナイザの評価方法。(1)
【0151】
(付記2)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザは、一対の放電針に直流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを発生させると同時にマイナス側の放電針からマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物に吹付けて静電気を中和するDCイオナイザであることを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0152】
(付記3)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザは、放電針に交流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを交互に発生し、外部から供給した圧縮空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物に吹付けて静電気を中和するACイオナイザであることを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0153】
(付記4)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドとして、網目の開き目Mが0.1mm以上で1.27mm以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に前記評価処理を繰り返し、各グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0154】
(付記5)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドとして、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に前記評価処理を繰り返し、各グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。(2)
【0155】
(付記6)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドは、銅Cu、銅メッキ、ニッケルNi、ニッケルメッキ、又はステンレスSUS製の金属網であることを特徴とするDCイオナイザの評価方法。(4)
【0156】
(付記7)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザの使用距離を5cm以上で10cm以下の範囲に設定し、イオンバランスが±1V以下及びイオンバランス変動が2.0Vp−p以下の場合に合格と判定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。(3)
【0157】
(付記8)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザに供給する圧縮空気の空気圧を0.1MPa以上0.4MPa以下の範囲で変化させながら前記除電時間を測定して最適空気圧を判定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。(4)
【0158】
(付記9)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドをアース接続せずに前記評価処理を行って前記グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0159】
(付記10)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドをアース接続した状態で前記評価処理を行って前記グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0160】
(付記11)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記イオンバランス変動は、前記測定プレートを接地接続してイオンバランス変動のゼロ調整値を予め測定し、前記スポット型イオナイザの動作状態で測定したイオンバランス変動から前記ゼロ調整値を差し引いて校正した値であることを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0161】
(付記12)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記イオンバランス変動は、前記チャージプレートモニタ装置に接続したレコーダによる前記測定プレート電位の記録波形から測定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0162】
(付記13)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記除電時間の測定は、前記チャージプレートモニタ装置により前記測定プレートを所定開始電圧1000Vに帯電させた状態で前記イオナイザの動作により所定除電電圧5Vに低下するまでの時間を測定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0163】
(付記14)
放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザに於いて、
前記ノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、前記グリッドは、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にあることを特徴とするスポット型イオナイザ。(5)
【0164】
(付記15)
付記14記載のスポット型イオナイザに於いて、前記スポット型イオナイザは、直流電圧の印加によるコロナ放電でプラスイオンとマイナスイオンを同時に発生するDCイオナイザ、又は、交流電圧の印加によるコロナ放電でプラスイオンとマイナスイオンを交互に発生するACイオナイザであることを特徴とするスポット型イオナイザ。
【0165】
(付記16)
付記14記載のスポット型イオナイザに於いて、前記グリッドは、網目の開き目Mが0.1mm以上で1.27mm以下の範囲にあることを特徴とするスポット型イオナイザ。
【0166】
(付記17)
付記14記載のスポット型イオナイザに於いて、前記グリッドは、銅Cu、銅メッキ、ニッケルNi、ニッケルメッキ、又はステンレスSUS製の金属網を使用したことを特徴とするスポット型イオナイザ。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明によるスポット型DCイオナイザの評価処理のシステム構成の説明図
【図2】図1のスポット型DCイオナイザを取出して示した説明図
【図3】本発明で評価する開き目でソートしたグリッド一覧の説明図
【図4】グリッドの網目を拡大して示した説明図
【図5】本発明で評価する空間率でソートしたグリッド一覧の説明図
【図6】図1の評価処理で得られたレコーダ記録の説明図
【図7】本発明による評価処理の手順を示したフローチャート
【図8】スポット型DCイオナイザにグリッドを装着した場合の評価結果一覧の説明図
【図9】スポット型DCイオナイザにグリッドを装着した場合の測定結果一覧の説明図
【図10】本発明によるスポット型ACイオナイザの評価処理のシステム構成の説明図
【図11】図10のスポット型ACイオナイザを取出して示した説明図
【図12】図10の評価処理で得られたレコーダ記録の説明図
【図13】スポット型ACイオナイザにグリッドを装着した場合の測定結果一覧の説明図
【図14】図13に続く測定結果一覧の説明図
【符号の説明】
【0168】
10:スポット型DCイオナイザ
12,62:グリッド
14:DCイオナイザ駆動装置
16:空気圧供給装置
18:モータ
20:ポンプ
22:エアーチューブ
24:チャージプレートモニタ装置
26:チャージプレート
28:測定プレート
30:グランドプレート
32:レコーダ
34,34−1,34−2:レコード紙
36:プラス放電針
38:マイナス放電針
40:エアー吹出管
42,72:グリッドアダプタ
44:装着穴
46−1,46−2:グリッド一覧
48:評価結果一覧
50:測定結果一覧
52−1,52−2,74−1,74−2,82−1,82−2:ゼロ点調整区間
54,76−1,76−2:グリッドなし除電区間
56,58,78−1,78−2,80−1,80−2:グリッド付き除電区間
60:スポット型ACイオナイザ
64:ACイオナイザ駆動装置
66:本体
68:ノズル
70:放電針
84−1〜84−5:測定結果一覧
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電により発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザの評価方法に関し、特に、イオンバランス及びイオンバランス変動を小さくするためにノズル開口にグリッドを装着して最適使用条件を生成するスポット型イオナイザの評価方法及びスポット型イオナイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスクドライブ製造工程、半導体製造工程、液晶製造工程等においては、クリーンルーム内における静電気障害を防止するためにイオナイザを使用している。
【0003】
静電気除去器として機能するイオナイザは、製品破壊や機器の誤動作などのトラブルの原因となる静電気をイオンで中和し除電を行なう。イオナイザは、イオンを発生させる方式により、AC方式とDC方式に分かれる。ACイオナイザは、交流電圧を放電針に印加してコロナ放電を行い、プラスイオンとマイナスイオンを交互に発生させる。またDCイオナイザは、一対の放電針に直流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを発生し、同時にマイナス側の放電針からマイナスイオンを発生させる。
【0004】
またイオナイザには、発生したプラスイオンとマイナスイオンをファンにより広い範囲に散布する分散型タイプ(特許文献1,2)と、発生したプラスイオンとマイナスイオンを圧縮空気により対象物に向けてスポット的に吹付けるスポット型がある。ハードディスクドライブ製造工程、半導体製造工程、液晶製造工程等においては、微細なデバイス対象物を除電対象物とすることから、イオンバランスが小さく、除電時間の短いスポット型イオナイザが使用されている。
【0005】
このようなイオナイザの性能を評価する指標としては、チャージプレートモニタ装置を使用して測定されるイオンバランスと除電時間が知られている。チャージプレートモニタ装置は、測定プレートと測定器本体から構成されており、測定器本体により測定プレートの電位を測定し、デジタル表示することができる。
【0006】
ここで、イオンバランスとは、測定プレートをアースに接続してプレート電圧の表示を0Vとした後にイオナイザのイオン風を測定プレートに当ててプレート電位を測定した値である。このときイオナイザが発生しているプラスとマイナスのイオンが等しければイオンバランス(プレート電圧)は0V付近で安定している。即ち、イオンバランスが0V付近で安定していればイオナイザの能力が高いということができる。
【0007】
また除電時間とは、測定プレートの電圧を例えば1000Vに上げ、この状態でイオナイザからのイオン風を測定プレートに当て、例えば100Vまで減衰するために掛かった時間である。同様に、除電時間が短かいほどイオナイザの能力が高いということができる。
【0008】
一般に広域除電を行う分散型イオナイザにあっては、イオンバランスは対象物の耐電圧が高いことからそれほど問題にならないが、ハードディスクドライブ製造工程、半導体製造工程、液晶製造工程等で使用するスポット型イオナイザの場合には、デバイスの耐電圧が低いため、イオンバランスを可能な限り下げる必要がある。
【0009】
特に、近年における半導体の高集積度化と高速応答化に伴って電子デバイスの静電気に対する耐電圧が下がっており、半導体製造工程ではイオンバランスとして±5〜±10Vが要求され、更に、ハードディスク製造工程では更に低い±5V以下或いは±3V以下、更には±1V以下のイオンバランスが求められている。
【0010】
ここで、参考文献1,2の従来の分散型のイオナイザにあっては、イオン風の入口及び又は出口に、金属網を使用したグリッドを配置したものもあるが、イオン風の出口から対象物までの距離が1メートル以上とかなり離れていることが多く、これだけの距離があると大気中に存在するイオンとの結合によりイオンバランスが安定し、グリッドを配置した場合と配置しない場合とでイオンバランスに変化は格別みられない。
【特許文献1】特開2000−100596号公報
【特許文献2】特開2003−28472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、従来のスポット型のDCイオナイザにあっては、チャージプレートモニタ装置で測定プレートをアースに接続してプレート電圧の表示を0Vとするゼロ点調整を行った後にイオナイザのイオン風を測定プレートに当ててプレート電位を測定し、デジタル電圧計の表示値から0Vのイオンバランスを確認しているが、このようにイオンバランスを確認した後に対象デバイスにイオン風を当てながら工程作業を行った場合、イオンバランスがとれているにもかかわらず、対象デバイスの静電破壊がある程度の頻度で発生し、イオナイザの性能が必ずしも保証されない問題があった。
【0012】
また、スポット型のACイオナイザにあっては、通常の使用距離として知られた5〜10cm程度では、イオンバランスが20V以上と大きくなり、イオンバランスを±1V以内に下げるために使用距離を30cm以上離して設置する必要がある。しかし、ACイオナイザの使用距離が30cmも離れてしまうと、イオン風が拡散してスポット型として機能しなくなり、除電時間が著しく長くなり、使用限界を越えてしまう。
【0013】
そこで、ACイオナイザに供給する空気圧を例えば1.0MPaというように大幅に高めて十分に短い除電時間を確保している。しかし、このように空気圧を高くしてしまうと、ACイオナイザのノズル口から噴出す圧縮空気により大きな騒音が発生し、作業環境の騒音レベルが著しく大きくなるという別の問題を生じている。
【0014】
本発明は、イオンバランスに加え、新たにイオンバランス変動を判定することで、最適な使用距離と空気圧の関係を使用条件として生成するスポット型イオナイザの評価方法及びスポット型イオナイザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
まず本願発明者は、スポット型イオナイザを評価するパラメータとして、従来のイオンバランスと除電時間に加え、新たにイオンバランス変動というパラメータを導入する。
【0016】
本願発明者にあっては、イオンバランスは風速の強さや吹き出し口から吹き出される空気の乱流によって、微妙に変動するという現場担当者からの情報があったため、実際にチャージプレートモニタ装置にレコーダを接続して、スポット型DCイオナイザについてイオンバランスの変動を連続記録して監視したところ、モニタ装置本体のデジタル電圧計は0V表示でイオンバランスがとれているにも関わらず、レコーダ上の記録波形は、0Vを中心にピーク間電圧Vp−pで約6Vの幅で大きく変動していることを見出した。
【0017】
なお、実際のレコーダ記録波形では、ピーク間電圧Vp−pで約9Vの幅であるが、ゼロ点調整時の記録波形にVp−p=約3Vが現れていることから、この分を差し引いて校正した値がVp−p=約6Vである。
【0018】
この現象がイオンバランス変動であり、従来は、装置本体のデジタル電圧計の表示でイオンバランスを判定していたため、イオンバランス変動を認識していなかったものである。
【0019】
このようにイオンバランスが0Vであっても、イオンバランス変動がVp−pで約6Vもあるため、今後、イオンバランスとして±1.0V以内のオフセットが要求されるハードディスクドライブ製造工程での要求条件が満たされておらず、対象デバイスの静電破壊がイオンバランス変動により発生していたが、原因が不明のままイオナイザの使用距離を離して空気圧を上げるというような対策で対応しており、本質的な解決には至っていなかった。
【0020】
このように対象デバイスの静電破壊がイオンバランス変動によることが究明できたため、本願発明者はイオンバランス変動を測定しながらそれを低減且つ除去する各種の試行錯誤を繰り返し、その中で特許文献1,2の拡散型イオナイザに使用されている金属網のグリッドを使用したところ、DCイオナイザについては、イオンバランス変動を略除去できることが確認できた。
【0021】
またACイオナイザにあっては、グリッドの有無にかかわらず、イオンバランス変動は略ゼロであることが確認され、更に、グリッドを装着したことで、5cm〜10cmの使用距離で空気圧をそれほど高くすることなく、イオンバランスを±1V以内に低減できることが確認された。
【0022】
本発明は、このような本願発明者の新たな知見に基づいて鋭意なされたもので、金属網のグリッドを使用することを前提に、イオンバランス及び除電時間に加え、新たにイオンバランス変動を評価パラメータに採用し、グリッドに対応して最適な使用距離と空気圧の関係を使用条件として生成するスポット型イオナイザの評価方法、更にはスポット型イオナイザそのものを提供するものである。
【0023】
(イオナイザ評価方法)
本発明はスポット型イオナイザの評価方法を提供する。本発明は、放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した空気により放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザの評価方法に於いて、
チャージプレートモニタ装置の測定プレート上にスポット型イオナイザを離間配置し、
イオナイザのノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、
圧縮空気の空気圧を所定値に設定すると共に測定プレートとノズル開口との間の使用距離を所定距離に設定し、
スポットイオナイザを動作してチャージプレートモニタ装置でイオンバランスとイオンバランス変動を測定して各々所定の閾値と比較し、閾値より以下の場合は合格と判定し、閾値より大きい場合は不合格と判定し、
イオンバランス及びイオンバランス変動について合格を判定した場合に、チャージプレートモニタ装置により測定プレートを所定開始電圧に帯電させた状態でイオナイザの動作により所定除電電圧に低下するまでの除電時間を測定し、
除電時間を所定の閾値時間と比較し、閾値時間より長い場合は、空気圧を高くしながら除電時間を測定し、閾値時間以下となる空気圧を設定使用距離での最適空気圧として判定し、
グリッドに対し設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とする。
【0024】
ここで、スポット型イオナイザは、一対の放電針に直流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを発生させると同時にマイナス側の放電針からマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物に吹付けて静電気を中和するDCイオナイザである。
【0025】
またスポット型イオナイザは、放電針に交流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを交互に発生し、外部から供給した圧縮空気により放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物に吹付けて静電気を中和するACイオナイザである。
【0026】
スポット型イオナイザに装着するグリッドとして、例えば網目の開き目Mが0.1mm以上で1.27mm以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に評価処理を繰り返し、各グリッドに対する設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成する。
【0027】
スポット型イオナイザに装着するグリッドとして、例えば網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に評価処理を繰り返し、各グリッドに対する設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成する。
【0028】
グリッドは、銅Cu、銅メッキ、ニッケルNi、ニッケルメッキ、又はステンレスSUS製の金属網である。
【0029】
スポット型イオナイザは、使用距離を5cm以上で10cm以下の範囲に設定し、イオンバランスが±1V以下及びイオンバランス変動が2.0Vp−p以下の場合に合格と判定する。
【0030】
スポット型イオナイザに供給する圧縮空気の空気圧を0.1MPa以上0.4MPa以下の範囲で変化させながら除電時間を測定して最適空気圧を判定する。
【0031】
グリッドをアース接続せずに評価処理を行ってグリッドに対する設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成する。またグリッドをアース接続した状態で評価処理を行ってグリッドに対する設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成しても良い。
【0032】
イオンバランス変動は、測定プレートを接地接続してイオンバランス変動のゼロ調整値を予め測定し、スポット型イオナイザの動作状態で測定したイオンバランス変動からゼロ調整変動を差し引いて校正した値とする。
【0033】
イオンバランス変動は、チャージプレートモニタ装置に接続したレコーダによる測定プレート電位の記録波形から測定する。
【0034】
除電時間の測定は、チャージプレートモニタ装置により測定プレートを所定開始電圧1000Vに帯電させた状態でイオナイザの動作により所定除電電圧5Vに低下するまでの時間を測定する。
【0035】
(スポット型イオナイザ)
本発明はスポット型イオナイザを提供する。本発明は、放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザに於いて、ノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、グリッドは、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にあることを特徴とする。
【0036】
ここで、スポット型イオナイザは、直流電圧の印加によるコロナ放電でプラスイオンとマイナスイオンを同時に発生するDCイオナイザ、又は、交流電圧の印加によるコロナ放電でプラスイオンとマイナスイオンを交互に発生するACイオナイザである。
【0037】
グリッドは、例えば網目の開き目Mが0.1mm以上で1.27mm以下の範囲にある。またグリッドは、銅Cu、銅メッキ、ニッケルNi、ニッケルメッキ、又はステンレスSUS製の金属網を使用する。
【0038】
スポット型イオナイザは、使用距離が5cm以上で10cm以下の範囲、イオンバランスが±1V以下及びイオンバランス変動が2.0Vp−p以下、且つ前記空気圧が01MPa以上で0.4MPa以下の範囲を使用条件とする。また必要に応じてグリッドをアース接続しても良い。
【発明の効果】
【0039】
本発明のスポット型イオナイザの評価方法によれば、網目の開き目、空間率及び材質により複数種類のグリッドを準備し、従来のイオンバランスと除電時間に加え、新たにイオンバランス変動を評価パラメータに加え、グリッドについて例えば5〜10cmの範囲の設定距離と最適空気圧を使用条件とする合格結果を生成し、これにより対象デバイスの静電耐電圧に対応したイオンバランスを例えば±1V以下及びイオンバランス変動を例えばVp−p=2.0V以下とすることが保証され、スポット型イオナイザにより対象デバイスが静電破壊されてしまうことを確実に防止し、ハードディスクドライブ製造工程などでの歩留りを改善し、生産性効率を高めコスト低減を図ることができる。
【0040】
また、スポット型ACイオナイザにあっては、グリッドを装着しただけでイオンバランスを、要求される使用距離5〜10cmであっても、従来の20Vを越える電圧からハードディスクドライブ製造工程で要求される±1V以内に低減できる。その結果、スポット型ACイオナイザについては、従来、30cm程度離し、且つ空気圧を上げたことで大きな騒音を出していた問題を完全に解消することができ、イオナイザを使用した製造工程の環境を著しく改善できる。
【0041】
また本発明は、本発明の評価方法による合格結果をもつノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着したスポット型イオナイザそのものを提供することで、静電耐電圧が例えば1V以内と低い電子デバイスについて静電破壊を起すことなく確実に静電除去を行うこときができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1は本発明によるスポット型DCイオナイザの評価処理を行うシステム構成の説明図である。図1において、本実施形態のイオナイザとしては、スポット型DCイオナイザ10を使用しており、スポット型DCイオナイザ10に対してはDCイオナイザ駆動装置14が接続され、またエアーチューブ22により加圧空気を供給する空気圧供給装置16を接続している。
【0043】
空気圧供給装置16にはモータ18とポンプ20が設けられ、例えば0.1MPa〜0.4MPaの範囲で調整可能な空気圧を供給する。なお、空気圧供給装置16としては専用の装置とせず、クリーンルームなどの製造設備で使用しているエアー供給配管などの空気圧供給設備を利用してもよい。
【0044】
本実施形態で使用するスポット型DCイオナイザ10及びDCイオナイザ駆動装置14としては、例えば春日電機製の「ND−503TL,DC&スポットタイプ」を使用する。本実施形態で評価対象とするスポット型DCイオナイザ10に対しては、イオン風を吹き出すノズル開口に金属網を使用したグリッド12を装着している。
【0045】
グリッド12を装着したスポット型DCイオナイザ10の評価は、チャージプレートモニタ装置24を装置本体として接続したチャージプレート26を使用して行う。チャージプレート26は測定プレート28とグランドプレート30で構成され、測定プレート28及びグランドプレート30は例えば一辺が15cmの薄い矩形形状を持ち、両者を例えば15mm程度の距離を隔てて絶縁部材で平行配置しており、この構造によりチャージプレート26は約20pFの静電容量を持つことになる。
【0046】
チャージプレートモニタ装置24は測定動作モードとして
(1)イオンバランス測定モード
(2)除電時間測定モード
の2つの機能を備えている。
【0047】
イオンバランス測定モードは、測定プレート28を一度アースに接続してプレートの電圧を0Vにするゼロ点調整を行った後にスポット型DCイオナイザ10を動作してイオン風を測定プレート28に当て、そのときのプレート電位を測定し、チャージプレートモニタ装置24に設けているデジタル電圧計(図示せず)に測定電圧を表示させる。
【0048】
またチャージプレートモニタ装置24はイオンバランス測定モードで測定された測定プレート28の測定電圧を外部に出力するアナログ出力端子を備えており、本実施形態にあってはチャージプレートモニタ装置24のアナログ出力端子にレコーダ32を接続し、イオンバランス動作モードにおける測定プレート28の測定電圧をレコーダ32のレコード紙34上に例えばペン書き記録できるようにしている。もちろんレコーダ32としては、レコード紙34にペン書きする以外に、液晶モニタ上に測定電圧のアナログ波形変化を表示出力するものであってもよい。
【0049】
このような本実施形態の評価処理に使用するチャージプレート26を備えたチャージプレートモニタ装置24としては、例えばヒューグルエレクトロニクス社製の「700A」を使用する。
【0050】
図2は図1のスポット型DCイオナイザ10を取り出して示した説明図である。図2に(A)おいて、スポット型DCイオナイザ10は下方に開口した円筒状の部材であり、イオナイザ本体11の上部内にプラス放電針36とマイナス放電針38を配置し、その間に空気圧供給装置16からエアーチューブ22を介して供給される圧縮空気を吹き出すエアー吹出し管40を配置している。
【0051】
更にイオナイザ本体11の先端のノズル開口部には、グリッド12を備えたグリッドアダプタ42を装着している。グリッドアダプタ42は、図2(B)に取り出して示すように装着穴44を備え、装着穴44によりイオナイザ本体11のノズル開口部に対し着脱自在であり、装着穴44の先端側を閉じる形で金属網を使用したグリッド12を配置している。
【0052】
図2(A)のスポット型DCイオナイザ10にあっては、DCイオナイザ駆動装置14からイオナイザ本体11内のプラス放電針36とマイナス放電針38に直流高電圧を印加することでコロナ放電を行い、プラス放電針36からプラスイオンを発生し、同時にマイナス放電針38からマイナスイオンを発生し、このようにして発生した基本的に同数のプラスとマイナスのイオンをエアー吹出し管40からの吹出し空気によりアシストし、グリッド12を介して、図1に示すように使用距離Lを離して配置されたチャージプレート26に向けてイオン風を吹き付ける。
【0053】
図3は本実施形態のスポット型DCイオナイザ10に装着するグリッド12の一覧を示した説明図である。図3において、グリッド一覧46−1はグリッド番号G1〜G11の11種類を例に取っており、それぞれのグリッドは網目に使用している線径φ、メッシュ番号#、1メッシュサイズA、開き目M及び空間率SRを、グリッドを特定するパラメータとして示している。
【0054】
図4は図3のグリッド一覧46−1における線径φ、1メッシュサイズA、開き目M及び空間率SRの説明図である。図3のグリッド12は、線径φを持つ縦と横の線を一定の間隔を保って1本ずつ交互に交わった折り目(JISZ8801)を例に取っており、縦横の線で囲まれた矩形領域につき、2本の線の外側の間隔から線径φを差し引いた長さが1メッシュサイズAであり、両側の線径φを除いた間隔が開き目Mを表わしている。
【0055】
このようなグリッド12につき、図3におけるメッシュ番号#、開き目M及び空間率SRは次式で与えられる。
【0056】
【数1】
図3のグリッド一覧46−1にあっては、開き目Mの小さい順にソートしてグリッド番号G1〜G11を付与している。
【0057】
図5は、図3と同じグリッド番号G1〜G11について、空間率SRの小さい順にソートして配列したグリッド一覧46−2を示している。
【0058】
図6は、図1の実施形態において、図3及び図5におけるグリッド番号G2の開き目M=0.15mm、空間率SR=36.8%でステンレスSUSを使用したグリッドを、図1のようにスポット型DCイオナイザ10のノズル開口に装着して、チャージプレートモニタ装置24をイオンバランス動作モードとして測定した際のレコーダ32によるレコード紙34の記録である。
【0059】
図6のレコード紙34の測定プレート電位の記録波形は、ゼロ点調整区間52−1、グリッドなし除電区間54、接地接続なしのグリッド付き除電区間56、接地接続ありのグリッド付き除電区間58及びゼロ点調整区間52−2を順次行った場合である。
【0060】
ここで測定条件は、図1におけるスポット型DCイオナイザ10のノズル開口からチャージプレート26までの使用距離LをL=5cm、空気圧供給装置16から供給する空気圧PがP=0.1MPaとし、また記録紙の時間分解能となる1目盛り当たりの時間は5sec/divとしている。
【0061】
ここで実際に記録紙からイオンバランス及びイオンバランス変動を測定するためには図6の時間軸分解能5sec/divでは、振幅レベルが正確に捉えられないことから、同じ測定条件で記録紙の時間分解能を1Hour/divというように十分に遅くして記録する必要があり、以下の測定値は1Hour/divの記録結果から得たものである。
【0062】
最初のゼロ点調整区間52−1は、チャージプレートモニタ装置24においてチャージプレート26をアース接続してゼロ点調整した場合であり、このときの記録波形は0Vを中心にイオンバランス変動VP-P=3.0Vを示している。
【0063】
次のグリッドなし除電区間54は、図1においてスポット型DCイオナイザ10のノズル開口からグリッド12を外して従来のイオナイザと同じ条件でイオンバランスを測定しており、デジタル電圧計におけるイオンバランスの値は0Vであるが、レコード紙34の波形記録にあっては0Vを中心に大きなイオンバランス変動を生じており、測定値はイオンバランス変動はVP-P=9.0Vを示している。
【0064】
ここでグリッドなし除電区間54におけるイオンバランス変動VP-P=9.0Vの中にはゼロ点調整区間52−1のゼロ点時におけるイオンバランス変動VP-P=3.0Vが含まれていることから、これを差し引くことで真のグリッドなし除電区間54におけるイオンバランス変動VP-Pは
VP-P=9.0V−3.0V=6.0V
となっている。
【0065】
次のグリッド付き除電区間56にあっては、図1のようにスポット型DCイオナイザ10のノズルにグリッド12を接続し、この場合にはグリッド12をグランドにアース接続なしの状態でイオンバランスを測定している。
【0066】
このグリッド付き除電区間56におけるイオンバランスの測定時にあっては、チャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計の表示は0Vであるが、レコーダ32で記録したレコード紙34の記録波形は0Vを中心にイオンバランス変動VP-PとしてVP-P=3.5Vとなっている。この場合にも、真のイオンバランス変動はゼロ点調整区間52−1のイオンバランス変動を差し引くことで
VP-P=3.5V−3.0V=0.5V
である。
【0067】
次のグリッド12をグランドにアース接続した状態でイオンバランスを測定したグリッド付き除電区間58については、チャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計の表示は0Vであるが、レコーダ32で記録したレコード紙34の記録波形は0Vを中心にイオンバランス変動VP-PとしてVP-P=3.0Vであり、真のイオンバランス変動はゼロ点調整区間52−1のイオンバランス変動を差し引くことで
VP-P=3.5V−3.0V=0.0V
であった。この場合、グリッド12をアース接続したことで、イオンバランス変動に改善がみられたが、他のグリッドにあっては、アース接続の影響は見られないケースが多かった。
【0068】
このようにスポット型DCイオナイザ10のノズル開口にグリッド12を装着することで、グリッドがない場合のイオンバランス変動VP-P=3.0Vに対し、グリッド12を装着したことでVP-P=0.5V以下に減少することができた。
【0069】
本実施形態にあっては、図3及び図5のグリッド一覧46−1,46−2に示したグリッド番号G2のグリッド12のイオンバランス測定を例に示したように、残りのグリッド番号G1,G3〜G11についても、同様に図1のようにスポット型DCイオナイザ10のノズル開口にグリッド12として装着し、イオンバランスを使用対象とする例えばハードディスクドライブの製造工程に必要なイオンバランス±1.0V以下で、空気圧Pの使用条件である0.1MPa〜0.4MPaの範囲の使用条件を満たす合格品か否か判定し、合格品と判定した場合には使用予定距離であるL=5cm〜10cmの範囲内の使用距離と最適な空気圧Pの組合せを合格結果の使用条件に付加して生成する。
【0070】
ここで本実施形態に使用するグリッド12の金属網の材質としては、図6のグリッド番号G2のグリッドについてはステンレスSUSを使用しているが、これ以外に銅Cuまたは銅メッキ、あるいはニッケルNiまたはニッケルメッキであってもよい。
【0071】
図7は本実施形態によるスポット型DCイオナイザの評価処理の手順を示したフローチャートである。図7の評価処理を図1を参照して説明すると次のようになる。
【0072】
まず評価処理に際し、例えば図3のグリッド一覧46−1に示したようなグリッド番号G1〜G11の異なったパラメータのグリッド12を準備し、ステップS1でその中から1つグリッドを選択して図1のようにスポット型DCイオナイザ10のノズル開口に装着する。
【0073】
続いてステップS2で、スポット型DCイオナイザ10とチャージプレート26の使用距離Lを実際のハードディスクドライブ製造工程のクリーンルームにおける使用距離として予定された5.0〜10.0cmの範囲内に定めた特定の仕様距離Liに設定する。本実施形態にあっては、使用距離LiとしてL1=5.0cm、L2=7.5cm、L3=10.0cmの3つを準備している。もちろん、更に短い距離間隔で使用距離Liを設定してもよい。
【0074】
続いてステップS3で空気圧Pを任意の空気圧Piに設定する。本実施形態で使用する空気圧Pの範囲は0.1MPa〜0.4MPaの範囲としており、ステップS3にあっては最も小さい空気圧であるPi=0.1MPaに設定する。
【0075】
続いてステップS4でイオンバランスVを測定する。まずチャージプレートモニタ装置24の電源を投入して動作状態とし、イオンバランスを測定する。イオンバランスの測定は、チャージプレートモニタ装置24でチャージプレート26をグランドに接続して測定プレート28の電位を0Vとするゼロ点調整を行った後、スポット型DCイオナイザ10を動作してイオン風を測定プレート28に当て、そのときチャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計に表示される電圧を読み取り、これをイオンバランスの測定値Vとする。
【0076】
次にステップS5で、測定されたイオンバランス測定値Vが所定の閾値Vth以下か否かチェックする。この閾値Vthとしては、例えばVth=±1Vとし、チャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計の表示が±1V以内であればイオンバランスは適正と判断し、ステップS6に進む。
【0077】
これに対しステップS5でイオンバランスが閾値Vth=±1Vを越えるの電圧を示した場合には、このとき使用しているグリッド12は不適切であることから、ステップS12に進み、現在装着しているグリッド12について、現在設定した使用距離Liと空気圧Piでは使用不可であることを示す不合格を確定する。
【0078】
ステップS5でイオンバランスが閾値以下となって合格した場合には、ステップS6に進み、イオンバランス変動VP-Pを測定する。このイオンバランス変動VP-Pの測定は、ステップS4のイオンバランスVの測定値にチャージプレートモニタ装置24から出力された測定プレート28の電圧波形をレコーダ32で記録していることから、レコーダ32のレコード紙34の記録波形からイオンバランス変動VP-Pを測定する。
【0079】
具体的には、レコーダ32のレコード紙34には図6に示したように、ゼロ点調整区間52−1に続いて例えばグリッドの接地接続なしのグリッド付き除電区間56の波形が記録されていることから、ゼロ点調整区間52−1のイオンバランス変動(VP-P)0とグリッド付き除電区間56のイオンバランス変動(VP-P)Sを求め、真のイオンバランス変動VP-Pとして
VP-P=(VP-P)S−(VP-P)0
として校正されたイオンバランス変動を求める。ただし、レコード紙の時間分解能は1Hour/divとしている。
【0080】
続いてステップS7で校正の済んだイオンバランス変動が閾値(VP-P)th以下か否か判定する。ここでイオンバランス変動の閾値(VP-P)thは、例えばハードディスクドライブ製造工程で要求される(VP-P)th=2.0Vp−pに設定されている。
【0081】
ステップS7でイオンバランス変動が閾値以下であった場合には、このグリッドは合格品として次のステップS8の処理に進む。一方、イオンバランス変動が閾値を超えていた場合には、現在装着しているグリッドは不適切であることから、ステップS12に進み、現在設定している使用距離Liと空気圧Piではこのグリッドは使用不可として不合格品としての判断を確定する。
【0082】
ステップS7でイオンバランス変動が閾値以下であった場合にはステップS8に進み、除電時間Tを測定する。除電時間Tの測定は図1のチャージプレートモニタ装置24を除電時間測定モードとすることで測定できる。
【0083】
この除電時間測定モードにあっては、チャージプレートモニタ装置24は内部の高圧電源から測定プレート28の電圧を例えば+1000Vに上げて帯電させ、この帯電状態でスポット型DCイオナイザ10を動作してイオン風を測定プレート28に当て、このイオン風を受けて測定プレート28の電圧が減衰を始めることから、プレート電圧が5Vまで減衰するにかかった時間を除電時間Tとして測定し、測定結果を表示する。
【0084】
ステップS8で除電時間Tが測定できたならば、ステップS9で除電時間は閾値時間Tth以下か否かチェックする。閾値時間Tthとしては例えばTth=5秒が設定される。
【0085】
ステップS9で除電時間Tが閾値時間Tth以下であれば、現在装着しているグリッドについて、イオンバランスV、イオンバランス変動VP-P及び除電時間Tの全てについて設定している閾値による条件を満足していることから、合格品と判定し、ステップS11で使用距離Liと空気圧Piの組合せを使用条件として合格結果を生成し、合格品として確定する。
【0086】
一方、ステップS9で除電時間Tが閾値時間Tthより長かった場合には、ステップS10で現在の空気圧を所定値ΔPだけ増加させ、ステップS8で再度、除電時間Tを測定する。これは除電時間が閾値時間以下とならない原因がチャージプレート26に当たるイオン風の度合、即ちプラスとマイナスのイオンの量が少ないことから、空気圧が不足していると判断でき、空気圧を上げることで除電時間Tを短縮させる。
【0087】
ステップS10で空気圧を増加させた後に除電時間を測定して、ステップS9で再び閾値以下になるか否か判定し、閾値時間以下となれば、ステップS11でそのときの使用距離Liと増加した空気圧Piの組合せを使用条件としてグリッドが合格品であることを確定する。
【0088】
ステップS9,S10,S8の空気圧を増加した除電時間の測定処理の繰返しサイクルで空気圧Pが上限である0.4MPaとなっても除電時間が閾値時間以下とならない場合には、イオンバランスV及びイオンバランス変動VP-Pについては合格しているが、除電時間Tについては不合格であることから、この場合には合格品と不合格品のちょうど中間となる使用条件を一部満足するグリッドであるとの評価、即ち予備的合格品としての判定結果を確定する。なお、この使用条件一部満足の評価については図7のフローチャートでは省略している。
【0089】
ステップS11の合格品として評価結果の確定、またはステップS12の不合格品として評価結果の確定が済むと、ステップS13で全ての使用距離について処理済みか否かチェックし、未処理であればステップS14で次の使用距離例えば最小Li=5.0cmであればΔL=2.5cmを加えたLi=7.5cmに設定し、再びステップS3に戻り、同様な評価処理を繰り返す。
【0090】
この結果、1つのグリッドについて3つの使用距離L1=5.0cm、L2=7.5cm、及びL3=10.0cmのそれぞれについて、グリッドが合格品か不合格品かの評価結果が得られ、合格品の評価結果については使用距離と最適空気圧の組合せが使用条件として含まれている。
【0091】
ステップS13で現在装着しているグリッドについて全ての使用距離での処理が済むと、ステップS15に進み、全グリッドの処理が済んだか否かチェックし、未処理であればステップS16で次のグリッドを選択してスポット型DCイオナイザに装着し、ステップS1からの処理を繰り返すことになる。
【0092】
図8は図3のグリッド一覧46−1に示したグリッド番号G1〜G11について、図7の評価処理を行って得た評価結果一覧48である。
【0093】
評価結果一覧48は、使用距離Lを5.0cm、7.5cm、10.0cmの3段階に設定して評価しており、空気圧Pについても0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPaの4段階に分けて評価している。
【0094】
このような使用距離と空気圧につき、グリッド番号G1〜G11の○印がイオンバランスV、イオンバランス変動VP-P、除電時間Tの3つの評価条件を満足した合格品を示し、×印はイオンバランスV、イオンバランス変動VP-Pのいずれか一方または両方の評価条件を満足しない不合格品であり、更に△印はイオンバランスVとイオンバランス変動VP-Pの評価条件は満足するが除電時間Tの評価条件を満足しない評価条件一部満足した予備的合格品を示している。
【0095】
図8の評価結果一覧48における合格品、予備的合格品、不合格品の分布を見ると、開き目Mが3.03mm、4.08mm、4.95mmと大きいグリッドG9〜G11が、不合格品あるいは予備的合格品となっている。一方、開き目Mが0.10mm、0.15mm、0.20mmと小さいグリッド番号G1〜G3については、使用距離Lが小さければ不合格品はほとんどないが、使用距離が長くなると開き目Mが小さいことで十分なイオン風を当てることができず、0.1MPa側の低い空気圧Pについて不合格品や予備合格品が発生していることが分かる。
【0096】
図9は図1のようにスポット型DCイオナイザ10にグリッドを装着して測定したイオンバランス変動と放電時間の測定結果一覧50を示している。ここで測定結果一覧50の使用条件としては、使用距離L=5.0cm、空気圧P=0.1MPaとしている。
【0097】
図9において、測定結果一覧50は、ケース番号A〜Kの11種類のグリッドを例に取っており、ケース番号A,B,Cのグリッドは、開き目Mが同じM=0.15mmであるが、材質が銅CU、ニッケルNi、ステンレスSUSと異なっている。
【0098】
この材質が異なるケース番号A〜Cのグリッドにつき、イオンバランス変動VP-P及び除電時間Tについて、それぞれグリッドをグランド接続なしの場合とグランド接続ありの場合について測定している。
【0099】
イオンバランス変動VP-Pについは、ケースA,Bの銅Cu、ニッケルNiについてはグランド接続の有無に関わらずイオンバランス変動VP-P=0.5Vとなっている。ケース番号CのステンレスSUSについては、グランド接続なしでイオンバランス変動VP-Pは0.5V、グランド接続ありでは0.0Vと改善している。一方、除電時間Tについては、グランド接続なしに対しグランド接続ありの方が短い時間であり、グランド接続による除電時間の短縮効果が見られる。
【0100】
ケース番号D〜Gについては、グリッド開き目Mを順次増加させており、グリッド開き目Mの増加に伴い、イオンバランス変動VP-Pは増加傾向を持つが、最大でもVP-P=2.0V以内のハードディスクドライブ製造工程の閾値を満足している。一方、除電時間Tについては開き目Mが大きくなるほど時間が短くなる傾向にあり、これは開き目Mが大きくなることでイオン風の量が増加することに起因している。
【0101】
更に、イオンバランスについては、全てのケースにつき、略0Vで±1.0V以下の閾値条件をみたしていることから、一覧には示していない。
【0102】
このようなグリッドを装着したスポット型DCイオナイザの例えばハードディスクドライブ製造工程での使用を予定したグリッドの条件としては、次の条件でよいことが確認できた。
(1)材質 銅Cu又は銅メッキ、ニッケルNi又はニッケルメッキ、ステンレスSUS
(2)網目の開き目M 0.1mm≦M≦1.27mm
(3)網目の空間率SR 35%≦SR≦65%
(4)グリッドの接地接続 接地接続してもしなくてもよい
【0103】
また、このようなグリッドを装着したスポット型DCイオナイザの使用条件としては、
(1)5cm≦L≦10cm
(2)空気圧P 0.1MPa≦P≦0.4MPa
である。
【0104】
図10は本発明によるスポット型ACイオナイザの評価処理を行うシステム構成の説明図である。図10において、スポット型ACイオナイザ60に対しては、ACイオナイザ駆動装置64と空気圧供給装置16が設けられている。
【0105】
ACイオナイザ駆動装置64は数kHzの高周波の交流電圧を駆動電圧としてスポット型ACイオナイザ60に供給し、コロナ放電によりプラスイオンとマイナスイオンを交互に発生する。このイオナイザ内で発生したプラスイオンとマイナスイオンは、空気圧供給装置16からエアーチューブ22を介して供給された圧縮空気によるアシストを受けてイオン風を放出する。
【0106】
なお空気圧供給装置16としては、図1の実施形態と同様、クリーンルームなどの設備に予め準備されているエアー配管などからの加圧空気を利用することも可能である。チャージプレート26を接続したチャージプレートモニタ装置24及びレコーダ32は、図1の実施形態と同じものである。
【0107】
スポット型ACイオナイザ60は、評価処理の際にチャージプレート26に対し使用距離Lを離して配置され、ノズル開口部分に金属網を使用したグリッド62を装着している。
【0108】
本実施形態で使用するスポット型ACイオナイザ60としては、例えばコガネイ製の「DTRY−LCE」を使用する。
【0109】
図11は図10のスポット型ACイオナイザ60を取り出して示している。スポット型ACイオナイザ60は本体66とノズル68で構成される。本体66に対してはACイオナイザ駆動装置64が信号線接続され、更にエアーチューブ22により空気圧供給装置16が接続されている。
【0110】
本体66の出口側には放電針70が内蔵されており、ACイオナイザ駆動装置64から数kHzの交流電圧を印加することでコロナ放電を行い、プラスとマイナスのイオンを交互に発生させる。本体66で発生したプラスとマイナスのイオンは、空気圧供給装置16からの空気圧によりノズル68を通って開口部から外部にイオン風を放出する。
【0111】
ノズル68の先端にはグリッドアダプタ72が装着され、グリッドアダプタ72は開口側に金属網を用いたグリッド62を装着している。このスポット型ACイオナイザ60でグリッドアダプタ72に装着して着脱自在に使用するグリッド62としては、図1のスポット型DCイオナイザ10に使用しているグリッド12と同じものが使用でき、例えば図3に示したグリッド一覧46−1のグリッド番号G1〜G11に示すグリッドを使用することができる。
【0112】
図12は図10のスポット型ACイオナイザ60におけるイオンバランス動作モードでの測定処理により得られたレコーダ32による記録波形の説明図である。ここで、レコード記録波形は記録紙の時間分解能となる1目盛り当たりの時間を5sec/divとした場合を示しているが、振幅レベルが正確に捉えるためには、同じ測定条件で記録紙の時間分解能を1Hour/divというように十分に遅くして記録する必要があり、以下の測定値は時間分解能を1Hour/divの記録結果から得たものである。
【0113】
図12(A)はスポット型ACイオナイザ60の使用距離LをL=30cmとした場合のレコード紙34−1の記録波形であり、また図12(B)は使用距離L=5cmとした場合のレコード紙34−2の記録波形である。また図12の波形記録を得る際のスポット型ACイオナイザ60の空気圧Pは、P=0.4MPaとしている。
【0114】
図12(A)のレコード紙34−1の記録波形は、ゼロ点調整区間74−1、グリッドなし除電区間76−1、グリッドをアース接続していないグリッド付き除電区間78−1、グリッドをアース接続しているグリッド付き除電区間80−1及びゼロ点調整区間82−1に分けて波形記録している。
【0115】
この点は図12(B)のレコード紙34−2の波形記録についても同様であり、ゼロ点調整区間74−2、グリッドなし除電区間76−2、グリッドをアース接続していないグリッド付き除電区間78−2、グリッドをアース接続しているグリッド付き除電区間80−2、更にゼロ点調整区間82−2としている。
【0116】
まず図12(A)の使用距離LをL=30cmと、本実施形態の使用する使用距離L=5〜10cmに対しかなり離した場合のイオンバランス測定モードでの記録波形にあっては、チャージプレート26を接地接続して測定プレート28を0Vとしたゼロ点調整区間74−1にあっては、記録波形は0Vを中心にイオンバランス変動VP-P=3.0Vを生じている。
【0117】
次のグリッドなし除電区間76−1はグリッド62を外してイオンバランスを測定した場合であり、これはグリッド62を使用しない従来のスポット型ACイオナイザの記録波形となる。この場合、使用距離がL=30cmと十分離れているため、イオンバランスはチャージプレートモニタ装置24のデジタル電圧計でゼロVを示し、イオンバランス変動VP-Pもゼロ点調整区間における初期値で校正すると、VP-P=0.0Vと満足する値に収まっている。
【0118】
このことから、グリッド62を設けていなくても十分に使用距離を離していれば、イオンバランス変動が適切な値に抑えられることが分かる。しかしながら図12(A)の放電距離L=30cmと離した場合には、このときの空気圧P=0.4MPaでは、除電時間Tの測定時間が、時間がいくら経過しても1000Vから5Vに低下せず、T=∞となり、このままの空気圧ではイオナイザの性能が発揮できない状況にある。
【0119】
したがって、L=30cmとした場合には、空気圧Pを除電時間Tが十分短くなるように極端に高くする使い方をしなければならず、これが従来のACイオナイザの問題となっている。
【0120】
次のグリッドを装着し且つグリッドをアース接続していないグリッド付き除電区間78−1にあっては、イオンバランスVがプラス側に変移しており、イオンバランスVが0Vとならない問題がある。次のグリッドをアース接続したグリッド付き除電区間80−1にあっては、イオンバランスVのオフセットはなくなり、V=0にほぼ落ち着いている。
【0121】
図12(B)は本実施形態の使用距離であるL=5cm〜10cmの範囲における使用例であり、L=5cmとした場合である。この場合のゼロ点調整区間74−2にあっては、0Vを中心にイオンバランス変動VP-P=3Vを生じており、このゼロ点調整時のイオンバランス変動VP-Pが実際のイオンバランスの測定値から除去する校正のために使用する。
【0122】
グリッドなし除電区間76−2については、グリッドを装着していないことでイオンバランスVがプラス側に大きくオフセットしていることが分かる。これが使用距離L=5cmとした場合の従来のACイオナイザのイオンバランスが大きくなることを裏付ける測定結果である。
【0123】
これに対しアース接続なしのグリッドを装着した場合には、グリッド付き除電区間78−2のように、グリッドを装着しただけでイオンバランスは0Vとなる。
【0124】
またイオンバランス変動については、記録波形から読み取ったイオンバランス変動(VP-P)Sが3.0Vであり、これからゼロ点調整区間74−2で測定したゼロ点調整時のイオンバランス変動(VP-P)0である3Vを差し引いて校正した値が正しいイオンバランス変動VP-Pであることから、
VP-P=(VP-P)S−(VP-P)0=3.0V3.0V=0V
となっている。
【0125】
グリッド付き除電区間80−2については、記録波形からはイオンバランスは0Vに対しプラス側に若干オフセットしているが、装置本体のデジタル電圧計の表示は0Vを示しており、同様に、グリッドを装着しただけでイオンバランスは略0Vに低下している。なお、イオンバランス変動も、VP-P=0Vであり、グリッドを接地接続するかしないかの如何に関わらず、イオンバランス変動VP-Pをほぼ完全に0Vであることが確認できる。
【0126】
図10のスポット型ACイオナイザ60における本実施形態の評価処理の手順は、図7に示したスポット型DCイオナイザ10の場合と全く同様にして行うことになる。
【0127】
図7の手順に従った評価処理において、スポット型ACイオナイザ60に固有な点は、イオンバランス変動については、グリッドの有無に関わらず略0Vにあることから、ステップS6,S7によるイオンバランス変動の測定と閾値との比較による評価は必ず合格となる点である。
【0128】
このためスポット型ACイオナイザの場合、イオンバランス変動は最初から合格とし、ステップS6,S7の処理はスキップしていも良い。
【0129】
スポット型ACイオナイザの評価処理にあっては、ステップS4でイオンバランスを測定し、ステップS5で閾値以下と判定されて合格すると、ステップS8〜S10において、そのとき設定している使用距離Liと空気圧Pにより除電時間Tを測定して閾値時間以下となるかどうかを判定し、もし除電時間が閾値時間より大きければ空気圧Pを増加させ、除電時間が閾値時間以下となる空気圧を最適空気圧として決定することになる。
【0130】
この結果、スポット型ACイオナイザ60の場合、図7の評価処理により得られる評価結果は、イオンバランスV及びイオンバランス変動VP-Pの評価条件については、ほとんどのグリッドが合格品となるが、空気圧Pが低く開き目が小さいグリッドについて、除電時間Tが閾値以下とならないことで予備的合格となる場合が発生することが確認された。
【0131】
したがって、図7の評価処理で得られた合格品の中から使用圧力Pが小さく且つ除電時間Tが短いという条件に基づいて優先度を付けて、優先度の高いものを最適なグリッドとして選択して使用すればよいことが分かる。
【0132】
図13及び図14は、図10のスポット型ACイオナイザ60にグリッドを装着してイオンバランス測定モードで測定処理を行ったときの測定結果一覧の説明図である。
【0133】
図13(A)〜(C)及び図14(D)〜(E)の測定結果一覧84−1〜84−5における測定条件としては、ケース番号Aがグリッドなしの従来相当品であり、ケース番号B〜Hにつき、グリッドを装着し、その開き目Mを順次増加させたものを使用している。また測定条件として使用距離LはL=5.0cmであり、グリッドの材質はステンレスSUSであり、更にグリッドをアース接続している。
【0134】
更に測定結果一覧84−1〜84−4は、空気圧PをP=0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPaと増加させた場合である。また図14(E)の測定結果一覧84−5は、図14(D)の測定結果一覧84−4の空気圧P=0.4MPaと同じ条件でグリッドのアース接続をなしとした場合の測定結果である。
【0135】
まず図13(A)の測定結果一覧84−1を見ると、これは空気圧Pを0.1MPaと最も低くした場合である。このとき従来品に相当するグリッドなしのケース番号Aについては、イオンバランスVは17Vと大きくオフセットしており、イオンバランス変動VP-Pは0Vであり、除電時間Tは無限となっており、使用不可である。
【0136】
次にケース番号Bのように、開き目M=0.15mmの目の細かいグリッドを装着した場合、イオンバランスは4Vに低下するが、1Vを越えており、除電時間Tも閾値時間5秒を越えて12.6秒とながいため、これは不合格品である。
【0137】
ケース番号C〜FについてはイオンバランスVは1Vを越えており、イオンバランス変動VP-Pは0Vであるが、除電時間が8〜9秒台と比較的長くかかっており、これは不合格品である。
【0138】
残りのケース番号G,HについてはイオンバランスVは1V以下に収まり、イオンバランス変動VP-Pも0Vであるが、除電時間が8〜9秒台と比較的長くかかっており、予備的合格品相当ということができる。
【0139】
図13(B)の測定結果一覧84−2にあっては、空気圧Pが0.2MPaに増加したことでイオンバランスVが1〜3Vと若干改善し、除電時間Tについては測定結果84−1の場合に比べほぼ半分の時間に短縮しており、閾値時間5秒以下であることから予備的合格品といえる。
【0140】
また図13(C)の測定結果一覧84−3にあっては、空気圧Pが更に高い0.3MPaに上がることでイオンバランスVが改善し、除電時間についてはほぼ3秒前後に短縮され、ケース番号B〜D,Gは予備合格品、ケース番号E,F,Hは合格品である。
【0141】
また図14(D)の測定結果一覧84−4にあっては、空気圧Pを0.4MPaに高めたことでイオンバランスVが改善し、除電時間Tについても1.9〜2.3秒の範囲に改善され、厳密には、ケース番号B,D,F,Hは予備合格品、ケース番号C,E,Gが合格品であるが、実用上は、全て合格品として扱うことができる。
【0142】
更に図14(E)のグリッドをアース接続しない場合の測定結果一覧84−5にあっては、アース接続した場合の測定結果一覧84−4と対比すると、イオンバランスVについてはほとんど同じであり、除電時間Tは2.0〜2.5秒と若干長くなっているが、ほとんど差異はない。この場合にも、厳密には、ケース番号C,Eは予備合格品、ケース番号B,D,F〜Hが合格品であるが、実用上は、全て合格品として扱うことができる。
【0143】
この図13及び図14の測定結果一覧から、スポット型ACイオナイザ60としては、空気圧PとしてP=0.4MPaの使用条件とすることが望ましいことが分かる。もちろん、空気圧P=0.1〜0.3MPaについても、イオンバランスVがハードディスクドライブ製造工程で要求される±1V以内の条件を満たしたグリッドについては、合格品として使用することができる。
【0144】
実際の使用に際しては、スポット型ACイオナイザ60に使用するグリッドの条件としてはスポット型DCイオナイザ10について設定した(1)〜(3)の条件が適用でき、また使用条件についてもスポット型DCイオナイザ10について設定した(1)(2)の使用条件を適用することができる。但し、空気圧Pについては、スポット型ACイオナイザ60にあっては0.1MPaでは除電時間が長過ぎることから、0.2〜0.4MPaの使用条件とすることが望ましい。
【0145】
なお上記の実施形態にあっては金網をノズル開口部に1枚配置したグリッドを装着しているが、金網を2枚重ねて配置したダブルグリッドとしてもよい。
【0146】
またイオナイザに装着して使用するグリッドの合否の判断は、使用するスポット型イオナイザの種類により一義的には定まらないことから、それぞれのイオナイザにつき図7のフローチャートに示した評価処理を行って合格品か不合格品かの判定を行い、合格品として得られたグリッドの使用距離と空気圧の使用条件を評価結果として得る必要がある。
【0147】
更に上記の実施形態に示したグリッドの条件及びグリッドを装着したイオナイザの使用条件は1つの例に過ぎず、どのような網目のグリッドをどのような使用条件で使用するかは図7に示した評価処理を適用することで決めることになる。
【0148】
更に、図7の評価処理は人為的な測定評価処理以外に、コンピュータのプログラムにより自動的に行う評価処理としてもよい。この自動評価処理のためには、図1又は図10の測定システムのDCイオナイザ駆動装置14又はACイオナイザ駆動装置64、空気圧供給装置16、チャージプレートモニタ装置24に対しコントローラとして機能するコンピュータを適宜のインタフェースで接続し、コンピュータで図7のフローチャートに対応したプログラムを実行して自動的に評価する。
【0149】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0150】
ここで本発明の特徴をまとめて列挙すると次の付記のようになる。
(付記)
(付記1)
放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザの評価方法に於いて、
チャージプレートモニタ装置の測定プレート上に前記スポット型イオナイザを離間配置し、
前記イオナイザのノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、
前記圧縮空気の空気圧を所定値に設定すると共に前記測定プレートとノズル開口との間の使用距離を所定距離に設定し、
前記スポットイオナイザを動作して前記チャージプレートモニタ装置でイオンバランスとイオンバランス変動を測定して各々所定の閾値と比較し、前記閾値より以下の場合は合格と判定し、前記閾値より大きい場合は不合格と判定し、
前記イオンバランス及びイオンバランス変動について合格を判定した場合に、前記チャージプレートモニタ装置により前記測定プレートを所定開始電圧に帯電させた状態で前記イオナイザの動作により所定除電電圧に低下するまでの除電時間を測定し、
前記除電時間を所定の閾値時間と比較し、前記閾値時間より長い場合は、前記空気圧を高くしながら前記除電時間を測定し、前記閾値時間以下となる空気圧を前記設定使用距離での最適空気圧として判定し、
前記グリッドに対し前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするイオナイザの評価方法。(1)
【0151】
(付記2)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザは、一対の放電針に直流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを発生させると同時にマイナス側の放電針からマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物に吹付けて静電気を中和するDCイオナイザであることを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0152】
(付記3)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザは、放電針に交流電圧を印加してコロナ放電を行い、プラス側の放電針からプラスイオンを交互に発生し、外部から供給した圧縮空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物に吹付けて静電気を中和するACイオナイザであることを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0153】
(付記4)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドとして、網目の開き目Mが0.1mm以上で1.27mm以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に前記評価処理を繰り返し、各グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0154】
(付記5)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドとして、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に前記評価処理を繰り返し、各グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。(2)
【0155】
(付記6)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドは、銅Cu、銅メッキ、ニッケルNi、ニッケルメッキ、又はステンレスSUS製の金属網であることを特徴とするDCイオナイザの評価方法。(4)
【0156】
(付記7)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザの使用距離を5cm以上で10cm以下の範囲に設定し、イオンバランスが±1V以下及びイオンバランス変動が2.0Vp−p以下の場合に合格と判定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。(3)
【0157】
(付記8)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザに供給する圧縮空気の空気圧を0.1MPa以上0.4MPa以下の範囲で変化させながら前記除電時間を測定して最適空気圧を判定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。(4)
【0158】
(付記9)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドをアース接続せずに前記評価処理を行って前記グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0159】
(付記10)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドをアース接続した状態で前記評価処理を行って前記グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0160】
(付記11)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記イオンバランス変動は、前記測定プレートを接地接続してイオンバランス変動のゼロ調整値を予め測定し、前記スポット型イオナイザの動作状態で測定したイオンバランス変動から前記ゼロ調整値を差し引いて校正した値であることを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0161】
(付記12)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記イオンバランス変動は、前記チャージプレートモニタ装置に接続したレコーダによる前記測定プレート電位の記録波形から測定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0162】
(付記13)
付記1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記除電時間の測定は、前記チャージプレートモニタ装置により前記測定プレートを所定開始電圧1000Vに帯電させた状態で前記イオナイザの動作により所定除電電圧5Vに低下するまでの時間を測定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【0163】
(付記14)
放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザに於いて、
前記ノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、前記グリッドは、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にあることを特徴とするスポット型イオナイザ。(5)
【0164】
(付記15)
付記14記載のスポット型イオナイザに於いて、前記スポット型イオナイザは、直流電圧の印加によるコロナ放電でプラスイオンとマイナスイオンを同時に発生するDCイオナイザ、又は、交流電圧の印加によるコロナ放電でプラスイオンとマイナスイオンを交互に発生するACイオナイザであることを特徴とするスポット型イオナイザ。
【0165】
(付記16)
付記14記載のスポット型イオナイザに於いて、前記グリッドは、網目の開き目Mが0.1mm以上で1.27mm以下の範囲にあることを特徴とするスポット型イオナイザ。
【0166】
(付記17)
付記14記載のスポット型イオナイザに於いて、前記グリッドは、銅Cu、銅メッキ、ニッケルNi、ニッケルメッキ、又はステンレスSUS製の金属網を使用したことを特徴とするスポット型イオナイザ。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明によるスポット型DCイオナイザの評価処理のシステム構成の説明図
【図2】図1のスポット型DCイオナイザを取出して示した説明図
【図3】本発明で評価する開き目でソートしたグリッド一覧の説明図
【図4】グリッドの網目を拡大して示した説明図
【図5】本発明で評価する空間率でソートしたグリッド一覧の説明図
【図6】図1の評価処理で得られたレコーダ記録の説明図
【図7】本発明による評価処理の手順を示したフローチャート
【図8】スポット型DCイオナイザにグリッドを装着した場合の評価結果一覧の説明図
【図9】スポット型DCイオナイザにグリッドを装着した場合の測定結果一覧の説明図
【図10】本発明によるスポット型ACイオナイザの評価処理のシステム構成の説明図
【図11】図10のスポット型ACイオナイザを取出して示した説明図
【図12】図10の評価処理で得られたレコーダ記録の説明図
【図13】スポット型ACイオナイザにグリッドを装着した場合の測定結果一覧の説明図
【図14】図13に続く測定結果一覧の説明図
【符号の説明】
【0168】
10:スポット型DCイオナイザ
12,62:グリッド
14:DCイオナイザ駆動装置
16:空気圧供給装置
18:モータ
20:ポンプ
22:エアーチューブ
24:チャージプレートモニタ装置
26:チャージプレート
28:測定プレート
30:グランドプレート
32:レコーダ
34,34−1,34−2:レコード紙
36:プラス放電針
38:マイナス放電針
40:エアー吹出管
42,72:グリッドアダプタ
44:装着穴
46−1,46−2:グリッド一覧
48:評価結果一覧
50:測定結果一覧
52−1,52−2,74−1,74−2,82−1,82−2:ゼロ点調整区間
54,76−1,76−2:グリッドなし除電区間
56,58,78−1,78−2,80−1,80−2:グリッド付き除電区間
60:スポット型ACイオナイザ
64:ACイオナイザ駆動装置
66:本体
68:ノズル
70:放電針
84−1〜84−5:測定結果一覧
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザの評価方法に於いて、
チャージプレートモニタ装置の測定プレート上に前記スポット型イオナイザを離間配置し、
前記イオナイザのノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、
前記圧縮空気の空気圧を所定値に設定すると共に前記測定プレートとノズル開口との間の使用距離を所定距離に設定し、
前記スポットイオナイザを動作して前記チャージプレートモニタ装置でイオンバランスとイオンバランス変動を測定して各々所定の閾値と比較し、前記閾値より以下の場合は合格と判定し、前記閾値より大きい場合は不合格と判定し、
前記イオンバランス及びイオンバランス変動について合格を判定した場合に、前記チャージプレートモニタ装置により前記測定プレートを所定開始電圧に帯電させた状態で前記イオナイザの動作により所定除電電圧に低下するまでの除電時間を測定し、
前記除電時間を所定の閾値時間と比較し、前記閾値時間より長い場合は、前記空気圧を高くしながら前記除電時間を測定し、前記閾値時間以下となる空気圧を前記設定使用距離での最適空気圧として判定し、
前記グリッドに対し前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするイオナイザの評価方法。
【請求項2】
請求項1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドとして、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に前記評価処理を繰り返し、各グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【請求項3】
請求1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザの使用距離を5cm以上で10cm以下の範囲に設定し、イオンバランスが±1V以下及びイオンバランス変動が2.0Vp−p以下の場合に合格と判定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【請求項4】
請求項1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザに供給する圧縮空気の空気圧を0.1MPa以上0.4MPa以下の範囲で変化させながら前記除電時間を測定して最適空気圧を判定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【請求項5】
放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザに於いて、
前記ノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、前記グリッドは、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にあることを特徴とするスポット型イオナイザ。
【請求項1】
放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザの評価方法に於いて、
チャージプレートモニタ装置の測定プレート上に前記スポット型イオナイザを離間配置し、
前記イオナイザのノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、
前記圧縮空気の空気圧を所定値に設定すると共に前記測定プレートとノズル開口との間の使用距離を所定距離に設定し、
前記スポットイオナイザを動作して前記チャージプレートモニタ装置でイオンバランスとイオンバランス変動を測定して各々所定の閾値と比較し、前記閾値より以下の場合は合格と判定し、前記閾値より大きい場合は不合格と判定し、
前記イオンバランス及びイオンバランス変動について合格を判定した場合に、前記チャージプレートモニタ装置により前記測定プレートを所定開始電圧に帯電させた状態で前記イオナイザの動作により所定除電電圧に低下するまでの除電時間を測定し、
前記除電時間を所定の閾値時間と比較し、前記閾値時間より長い場合は、前記空気圧を高くしながら前記除電時間を測定し、前記閾値時間以下となる空気圧を前記設定使用距離での最適空気圧として判定し、
前記グリッドに対し前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするイオナイザの評価方法。
【請求項2】
請求項1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記グリッドとして、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にある複数のグリッドを準備し、各グリッド毎に前記評価処理を繰り返し、各グリッドに対する前記設定使用距離と最適空気圧の組合せを使用条件とする合格結果を生成することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【請求項3】
請求1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザの使用距離を5cm以上で10cm以下の範囲に設定し、イオンバランスが±1V以下及びイオンバランス変動が2.0Vp−p以下の場合に合格と判定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【請求項4】
請求項1記載のスポット型イオナイザの評価方法に於いて、前記スポット型イオナイザに供給する圧縮空気の空気圧を0.1MPa以上0.4MPa以下の範囲で変化させながら前記除電時間を測定して最適空気圧を判定することを特徴とするスポット型イオナイザの評価方法。
【請求項5】
放電針に駆動電圧を印加してコロナ放電を行ってプラスイオンとマイナスイオンを発生し、外部から供給した圧縮空気により前記放電針から発生したプラスイオンとマイナスイオンを含むイオン風をノズル開口から対象物にスポット的に吹付けて静電気を中和するスポット型イオナイザに於いて、
前記ノズル開口に金属網を使用したグリッドを装着し、前記グリッドは、網目の空間率SRが35%以上で65%以下の範囲にあることを特徴とするスポット型イオナイザ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−41345(P2008−41345A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211827(P2006−211827)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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