スポット打点選別方法およびスポット打点選別プログラム
【課題】車体精度を高める観点から仮付け打点を設定する。
【解決手段】メインボディ工程は、始めに仮付け打点を溶接して車体精度を決定する仮付けステージと、残りの増打ち打点を溶接して車体剛性を高める増打ちステージとを備える。仮付け打点を設定する際には、各溶接ロボットが溶接可能な仮付け打点の処理打点数が演算され(S4)、溶接ロボット毎にスポット打点が仮付け打点の候補として振り分けられる(S5)。続いて、各候補打点に作用する応力が演算され(S7)、最小応力打点が増打ち打点Pcとして設定され(S9)、最小応力打点が候補打点群から削除される(S10)。候補打点数が処理打点数以下となる迄、S7〜S10の処理を繰り返すことにより、応力の小さなスポット打点が仮付け打点の候補から外されて増打ち打点に設定される。そして、処理打点数まで候補打点が絞られると、候補打点群が仮付け打点として設定される(S11)。
【解決手段】メインボディ工程は、始めに仮付け打点を溶接して車体精度を決定する仮付けステージと、残りの増打ち打点を溶接して車体剛性を高める増打ちステージとを備える。仮付け打点を設定する際には、各溶接ロボットが溶接可能な仮付け打点の処理打点数が演算され(S4)、溶接ロボット毎にスポット打点が仮付け打点の候補として振り分けられる(S5)。続いて、各候補打点に作用する応力が演算され(S7)、最小応力打点が増打ち打点Pcとして設定され(S9)、最小応力打点が候補打点群から削除される(S10)。候補打点数が処理打点数以下となる迄、S7〜S10の処理を繰り返すことにより、応力の小さなスポット打点が仮付け打点の候補から外されて増打ち打点に設定される。そして、処理打点数まで候補打点が絞られると、候補打点群が仮付け打点として設定される(S11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接打点群を仮付け打点群と増打ち打点群とに選別するスポット打点選別方法およびスポット打点選別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体の組立ラインは、フロアパネルを組み立てるフロア工程、ボディサイドを組み立てるボディサイド工程、基礎となるフロアパネルにボディサイド等を固定してメインボディを組み立てるメインボディ工程、メインボディにドアやフード等を取り付ける建付け工程等によって構成される。車体骨格を形成するメインボディ工程においては、フロアパネルを治具上に固定した後に、治具によってボディサイドやルーフ等を順次位置決めしながら、フロアパネルに対してボディサイド等を溶接している。このメインボディ工程には、始めにフロアパネルやボディサイドを接合する仮付けステージが設けられるとともに、車体剛性を確保するためにスポット溶接を増打ちする複数の増打ちステージが設けられている。すなわち、始めの仮付けステージにおいて、フロアパネルやボディサイド等を位置決め固定した後に、続く増打ちステージにおいて、設計された車体剛性が確保されるようになっている。このように製造される車体の精度は、仮付けステージにおいて構築された車体精度に大きく支配されることになる。
【0003】
このように、仮付けステージにおいて車体精度が決定されることから、仮付けステージにおいて数多くのスポット打点を溶接することが重要であるが、タクトタイムや設備能力の観点から、溶接可能なスポット打点数は制限されている。このため、仮付けステージにて溶接される仮付け打点を設定することは、車体精度の観点から極めて重要であるが、作業者が試行錯誤しながら仮付け打点を設定することが一般的であった。しかしながら、このような仮付け打点の設定手法では、作業者の経験が必要となるだけでなく、仮付け打点の決定に膨大な時間を要することになっていた。そこで、仮付け打点の配置を検討するため、スポット打点に溶接を施したときの変形量を算出するとともに、この変形量が基準値を下回るスポット打点を仮付け打点として決定するシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−290932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるシステムは、単に変形量の少ないスポット打点を仮付け打点として設定するシステムであるため、必ずしも車体精度を確保する観点から最適な仮付け打点を設定するシステムではなかった。
【0006】
本発明の目的は、ワークの組立精度を高める観点から仮付け打点を設定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスポット打点選別方法は、複数のワークを接合する際に溶接される溶接打点群から、前記ワークの位置決め後に溶接される仮付け打点群と、前記仮付け打点群の後に溶接される増打ち打点群とを選別するスポット打点選別方法であって、前記溶接打点群を溶接した状態のもとで、前記溶接打点群を構成する溶接打点のそれぞれに作用する応力を演算する応力演算ステップと、前記溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、前記溶接打点のそれぞれを前記仮付け打点群の仮付け打点または前記増打ち打点群の増打ち打点に設定する打点設定ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
本発明のスポット打点選別方法は、前記打点設定ステップは、応力の大きい方から所定数の前記溶接打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とする。
【0009】
本発明のスポット打点選別方法は、前記打点設定ステップは、応力の小さい方から所定数の前記溶接打点を前記増打ち打点に設定することを特徴とする。
【0010】
本発明のスポット打点選別方法は、前記溶接打点群の設計情報に基づいて、前記溶接打点群から前記仮付け打点の候補打点群を設定する候補設定ステップを有し、前記応力演算ステップは、前記候補打点群を溶接した状態のもとで、前記候補打点のそれぞれに作用する応力を演算し、応力の小さい方から所定数の前記候補打点を前記候補打点群から削減する候補更新ステップを有し、前記打点設定ステップは、前記応力演算ステップと前記候補更新ステップとを繰り返して前記候補打点群を所定数まで削減し、残る前記候補打点群の前記候補打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とする。
【0011】
本発明のスポット打点選別プログラムは、複数のワークを接合する際に溶接される溶接打点群から、前記ワークの位置決め後に溶接される仮付け打点群と、前記仮付け打点群の後に溶接される増打ち打点群とを選別するスポット打点選別プログラムであって、前記溶接打点群を溶接した状態のもとで、前記溶接打点群を構成する溶接打点のそれぞれに作用する応力を演算する応力演算ステップと、前記溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、前記溶接打点のそれぞれを前記仮付け打点群の仮付け打点または前記増打ち打点群の増打ち打点に設定する打点設定ステップとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のスポット打点選別プログラムは、前記打点設定ステップは、応力の大きい方から所定数の前記溶接打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とする。
【0013】
本発明のスポット打点選別プログラムは、前記打点設定ステップは、応力の小さい方から所定数の前記溶接打点を前記増打ち打点に設定することを特徴とする。
【0014】
本発明のスポット打点選別プログラムは、前記溶接打点群の設計情報に基づいて、前記溶接打点群から前記仮付け打点の候補打点群を設定する候補設定ステップを有し、前記応力演算ステップは、前記候補打点群を溶接した状態のもとで、前記候補打点のそれぞれに作用する応力を演算し、応力の小さい方から所定数の前記候補打点を前記候補打点群から削減する候補更新ステップを有し、前記打点設定ステップは、前記応力演算ステップと前記候補更新ステップとを繰り返して前記候補打点群を所定数まで削減し、残る前記候補打点群の前記候補打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、溶接打点を仮付け打点と増打ち打点とに選別したので、ワークの剛性が確保されるように仮付け打点を設定することが可能となる。これにより、ワークの組立精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自動車の所謂ホワイトボディを製造する車体組立工程を示す概略図である。
【図2】メインボディ工程の一例を示す説明図である。
【図3】シミュレーション装置を示すブロック図である。
【図4】スポット打点群から仮付け打点群と増打ち打点群とを選別する際の手順を示すフローチャートである。
【図5】スポット打点情報の一例を示す説明図である。
【図6】仮付けステージ情報の一例を示す説明図である。
【図7】(a)はスポット打点の振り分け状況を示す説明図であり、(b)はスポット打点リストの一例を示す説明図である。
【図8】(a)および(b)はスポット打点リストの更新状況を示す説明図である。
【図9】(a)および(b)はスポット打点リストの更新状況を示す説明図である。
【図10】仮付け打点の評価手順を示すフローチャートである。
【図11】スポット打点に作用する応力の分布を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は自動車の所謂ホワイトボディ20を製造する車体組立工程10を示す概略図である。図1に示すように、車体組立工程10は、車体の基礎となるフロアパネル(ワーク)21を組み立てるフロア工程11や、車体側壁の主要部品であるボディサイド(ワーク)22を組み立てるボディサイド工程12,13を備えている。また、車体組立工程10は、フロアパネル21にボディサイド22やルーフ23等を固定してメインボディ24を組み立てるメインボディ工程14や、メインボディ24にドア25やフード26等を取り付けてホワイトボディ20を完成させる建付け工程15を備えている。さらに、車体組立工程10には、ホワイトボディ20の車体精度を検査する検査工程16が設けられている。
【0018】
図2はメインボディ工程14の一例を示す説明図である。図2に示すように、メインボディ工程14には仮付けステージ14aが設けられており、この仮付けステージ14aではフロアパネル21に対してボディサイド22やルーフ23が位置決め固定される。仮付けステージ14aにおいては、高精度な治具によってフロアパネル21やボディサイド22が位置決めされるとともに、フロアパネル21やボディサイド22の接合部位に対してスポット溶接が施される。このように、仮付けステージ14aにおいて複数の仮付け打点Pbが溶接されると、メインボディ24は仮付けステージ14aから増打ちステージ14b〜14dに移動し、複数の増打ちステージ14b〜14dを進みながらメインボディ24上の増打ち打点Pcが溶接される。このように、メインボディ工程14において、全ての仮付け打点Pbおよび増打ち打点Pcを溶接することにより、設計上の車体強度が確保されることになる。このように製造されるメインボディ24の車体精度を引き上げるためには、始めにスポット溶接が施される仮付けステージ14aにおいて多くの仮付け打点Pbを溶接することが重要である。しかしながら、溶接可能な仮付け打点数はタクトタイムや設備能力から制限されるため、車体精度の向上に寄与する部位に仮付け打点Pbを設定することが重要となっている。
【0019】
以下、本発明の一実施の形態であるスポット打点選別方法およびスポット打点選別プログラムについて説明する。ここで、図3はシミュレーション装置30を示すブロック図であり、このシミュレーション装置30によってスポット打点選別方法およびスポット打点選別プログラムが実行される。図3に示すように、シミュレーション装置30は、CPUやメモリ等によって構成される演算装置31、キーボード等の入力装置32、液晶ディスプレイ等の表示装置33、磁気ディスク等の記憶装置34を備えている。また、シミュレーション装置30の記憶装置34には、後述するスポット打点情報、仮付けステージ情報、応力演算情報等が格納されている。そして、シミュレーション装置30の演算装置31は、記憶装置34に格納される情報や入力装置32から入力される情報に基づき、設計されたスポット打点群(溶接打点群)から仮付け打点群と増打ち打点群とを選別する。なお、スポット打点群とは複数のスポット打点Paを意味し、仮付け打点群とは複数の仮付け打点Pbを意味し、増打ち打点群とは複数の増打ち打点Pcを意味している。
【0020】
図4はスポット打点群から仮付け打点群と増打ち打点群とを選別する際の手順を示すフローチャートである。図4に示すように、ステップS1では、スポット打点情報が読み込まれる。ここで、図5はスポット打点情報の一例を示す説明図である。図5に示すように、スポット打点情報には、メインボディ工程14において溶接される全スポット打点Paの座標情報や、スポット溶接によって接合されるパネル部品情報が含まれている。続いて、図4に示すように、ステップS2では仮付けステージ情報が読み込まれる。ここで、図6は仮付けステージ情報の一例を示す説明図である。図6に示すように、仮付けステージ情報には、仮付けステージ14aに配置される溶接ロボット数や、これら溶接ロボットに関する溶接可能範囲等の情報が含まれている。また、仮付けステージ情報には、仮付けステージ14aのタクトタイム情報が含まれている。次いで、図4に示すように、ステップS3では応力演算情報が読み込まれる。この応力演算情報には、各パネル部品の質量や形状、溶接ロボットからパネル部品に加えられる把持力、台車がステージ間を移動する際の加速度等が含まれている。
【0021】
このような各種情報が読み込まれると、続くステップS4において、演算装置31は、仮付けステージ14aのタクトタイムや、1スポット打点当たりの所要時間(例えば所要時間=準備時間+移動時間+溶接時間+戻り時間)に基づき、1台の溶接ロボットが仮付けステージ14aで溶接可能なスポット打点数(処理打点数)を演算する。続いて、ステップS5では、各溶接ロボットの溶接可能範囲と各スポット打点Paの座標情報とに基づき、溶接ロボット毎に全スポット打点Paが候補打点として振り分けられ、溶接ロボット毎にスポット打点リストが作成される(候補設定ステップ)。なお、候補打点とは仮付け打点Pbの候補となるスポット打点Paである。ここで、図7(a)はスポット打点Paの振り分け状況を示す説明図であり、図7(b)はスポット打点リストの一例を示す説明図である。図7(a)に示すように、各溶接ロボットの溶接可能範囲とメインボディ24上の各スポット打点Paの座標情報とを比較することにより、図7(b)に示すように、溶接ロボット毎のスポット打点リストが作成される。
【0022】
続いて、図4に示すように、ステップS6に進み、仮付け打点Pbの候補打点数が溶接ロボットの処理打点数以下であるか否かが判定される。ステップS6において、候補打点数が処理打点数以下に絞り込まれていないと判定された場合には、ステップS7に進み、応力演算情報に基づいて、全候補打点を溶接した状態のもとで各候補打点に作用する応力が演算される(応力演算ステップ)。このステップS7においては、各候補打点に作用する応力として、方向を特定せずに大きさのみを示すミーゼス応力(フォンミセス応力,相当応力)が演算されている。また、応力を演算する際には、パネル部品の重量によって各候補打点に作用する応力を演算するだけでなく、溶接ロボットの把持力や台車移動時の加速度等も考慮して応力が演算されている。続いて、ステップS8ではスポット打点リストが応力順に更新され、ステップS9では最小応力の候補打点が増打ち打点Pcとして設定され、ステップS10では最小応力の候補打点が候補打点群から削除される(候補更新ステップ)。そして、ステップS6において、候補打点数が処理打点数以下となるまで、ステップS7〜10の処理が繰り返される。
【0023】
ここで、図8および図9はスポット打点リストの更新状況を示す説明図である。図8(a)に示すように、ステップS7においては各候補打点に作用する応力値が演算される。続いて、図8(b)に示すように、応力値の大きな順に各候補打点が並べ替えられ、最小応力となる候補打点が増打ち打点Pcとして設定されるとともに、最小応力となる候補打点が候補打点群から削減される。そして、削減された候補打点数が処理打点数を上回る場合には、図9(a)に示すように、再び各候補打点に作用する応力値が演算され、図9(b)に示すように、最小応力となる候補打点について候補打点から増打ち打点Pcへの変更が行われる。このように、打点設定ステップとして機能するステップS7〜10の処理を実行する度に、最も応力の掛からないスポット打点Pa、つまり車体剛性に与える影響度の小さなスポット打点Paが、仮付け打点Pbの候補から外されて増打ち打点Pcに設定されることになる。そして、図4に示すように、ステップS6において、候補打点数が処理打点数以下であると判定された場合には、仮付けステージ14aにおいて処理可能な打点数まで候補打点が絞り込まれたため、ステップS11に進み、残る候補打点群が仮付け打点Pbとして設定される(打点設定ステップ)。
【0024】
これまで説明したように、各スポット打点Paに作用する応力の大きさに基づいて、スポット打点Paを仮付け打点Pbと増打ち打点Pcとに振り分けるようにしたので、車体剛性に与える影響度の大きなスポット打点Paを仮付け打点Pbとして設定することが可能となる。すなわち、大きな応力が作用する部位のスポット打点Paを先に溶接することができるため、仮付けステージ14aにおいて車体剛性を早期に高めることができ、車体精度を引き上げることが可能となる。このように、車体精度の観点から適切となる仮付け打点Pbを素早く設定することができるため、何度も試作や評価を繰り返しながら仮付け打点Pbを特定する必要がなく、開発コストを引き下げるとともに開発期間を短縮することが可能となる。
【0025】
また、仮付けステージ14aにおける設備能力の観点から仮付け打点数が制限されることから、シミュレーション装置30は、仮付け打点Pbの評価処理を行うことで設定された仮付け打点Pbが適切であるか否かを判定している。ここで、図10は仮付け打点Pbの評価手順を示すフローチャートである。図10に示すように、ステップS21では、仮付け打点Pbが確定された最終のスポット打点リストに基づき、各仮付け打点Pbの応力値を積算して応力積算値を算出する。続いて、ステップS22に進み、応力積算値が予め設定された設定応力値以上であるか否かが判定される。ステップS22において、応力積算値が設定応力値以上であると判定された場合には、設定された仮付け打点Pbによって十分な車体剛性が確保されていることから、ステップS23に進み、図4のフローチャートに沿って設定された仮付け打点Pbが確定される。一方、ステップS22において、応力積算値が設定応力値を下回ると判定された場合には、設定された仮付け打点Pbによって十分な車体剛性が確保されていないことから、ステップS24に進み、仮付けステージ14aにおける設備増強を指示してルーチンを抜ける。
【0026】
ここで、図11はスポット打点Paに作用する応力の分布を示す線図である。図11に示すように、車体構造によって応力の分布特性が異なることから、仮付け打点Pbとして同じ打点数を溶接した場合であっても、車体構造に応じて応力積算値は異なった値を示すことになる。すなわち、特定のスポット打点Paに応力が集中する車体構造Aと、多くのスポット打点Paに応力が分散する車体構造Bとでは、仮付け打点Pbとして同じ打点数を溶接しても応力積算値が異なるため、打点数だけでなく応力積算値という観点から仮付け打点Pbを検証することが望ましい。このように、応力積算値に基づいて仮付け打点Pbが適切であるか否かを判定することにより、確実に車体剛性を高めて必要な車体精度を確保することが可能となる。
【0027】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前述の説明では、応力値を演算する度に1点ずつスポット打点Paを候補打点から外しているが、2点以上のスポット打点Paを候補打点から外すようにしても良い。また、前述の説明では、応力の小さい方からスポット打点Paを増打ち打点Pcに設定し、残るスポット打点Paを仮付け打点Pbに設定しているが、これに限られることはなく、応力の大きい方からスポット打点Paを仮付け打点Pbに設定し、残るスポット打点Paを増打ち打点Pcに設定しても良い。
【0028】
また、前述の説明では、自動車車体に関するスポット溶接の仮付け打点Pbを設定しているが、自動車車体に限られることはなく、スポット溶接が施される部品であれば他の部品であっても良い。また、シミュレーション装置30は、マイクロコンピュータやパーソナルコンピュータ等の単一のコンピュータを用いて構成しても良く、ネットワークを介して相互に接続される複数のコンピュータを用いて構成しても良い。
【符号の説明】
【0029】
21 フロアパネル(ワーク)
22 ボディサイド(ワーク)
23 ルーフ(ワーク)
Pa スポット打点(溶接打点)
Pb 仮付け打点
Pc 増打ち打点
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接打点群を仮付け打点群と増打ち打点群とに選別するスポット打点選別方法およびスポット打点選別プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車車体の組立ラインは、フロアパネルを組み立てるフロア工程、ボディサイドを組み立てるボディサイド工程、基礎となるフロアパネルにボディサイド等を固定してメインボディを組み立てるメインボディ工程、メインボディにドアやフード等を取り付ける建付け工程等によって構成される。車体骨格を形成するメインボディ工程においては、フロアパネルを治具上に固定した後に、治具によってボディサイドやルーフ等を順次位置決めしながら、フロアパネルに対してボディサイド等を溶接している。このメインボディ工程には、始めにフロアパネルやボディサイドを接合する仮付けステージが設けられるとともに、車体剛性を確保するためにスポット溶接を増打ちする複数の増打ちステージが設けられている。すなわち、始めの仮付けステージにおいて、フロアパネルやボディサイド等を位置決め固定した後に、続く増打ちステージにおいて、設計された車体剛性が確保されるようになっている。このように製造される車体の精度は、仮付けステージにおいて構築された車体精度に大きく支配されることになる。
【0003】
このように、仮付けステージにおいて車体精度が決定されることから、仮付けステージにおいて数多くのスポット打点を溶接することが重要であるが、タクトタイムや設備能力の観点から、溶接可能なスポット打点数は制限されている。このため、仮付けステージにて溶接される仮付け打点を設定することは、車体精度の観点から極めて重要であるが、作業者が試行錯誤しながら仮付け打点を設定することが一般的であった。しかしながら、このような仮付け打点の設定手法では、作業者の経験が必要となるだけでなく、仮付け打点の決定に膨大な時間を要することになっていた。そこで、仮付け打点の配置を検討するため、スポット打点に溶接を施したときの変形量を算出するとともに、この変形量が基準値を下回るスポット打点を仮付け打点として決定するシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−290932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されるシステムは、単に変形量の少ないスポット打点を仮付け打点として設定するシステムであるため、必ずしも車体精度を確保する観点から最適な仮付け打点を設定するシステムではなかった。
【0006】
本発明の目的は、ワークの組立精度を高める観点から仮付け打点を設定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスポット打点選別方法は、複数のワークを接合する際に溶接される溶接打点群から、前記ワークの位置決め後に溶接される仮付け打点群と、前記仮付け打点群の後に溶接される増打ち打点群とを選別するスポット打点選別方法であって、前記溶接打点群を溶接した状態のもとで、前記溶接打点群を構成する溶接打点のそれぞれに作用する応力を演算する応力演算ステップと、前記溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、前記溶接打点のそれぞれを前記仮付け打点群の仮付け打点または前記増打ち打点群の増打ち打点に設定する打点設定ステップとを有することを特徴とする。
【0008】
本発明のスポット打点選別方法は、前記打点設定ステップは、応力の大きい方から所定数の前記溶接打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とする。
【0009】
本発明のスポット打点選別方法は、前記打点設定ステップは、応力の小さい方から所定数の前記溶接打点を前記増打ち打点に設定することを特徴とする。
【0010】
本発明のスポット打点選別方法は、前記溶接打点群の設計情報に基づいて、前記溶接打点群から前記仮付け打点の候補打点群を設定する候補設定ステップを有し、前記応力演算ステップは、前記候補打点群を溶接した状態のもとで、前記候補打点のそれぞれに作用する応力を演算し、応力の小さい方から所定数の前記候補打点を前記候補打点群から削減する候補更新ステップを有し、前記打点設定ステップは、前記応力演算ステップと前記候補更新ステップとを繰り返して前記候補打点群を所定数まで削減し、残る前記候補打点群の前記候補打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とする。
【0011】
本発明のスポット打点選別プログラムは、複数のワークを接合する際に溶接される溶接打点群から、前記ワークの位置決め後に溶接される仮付け打点群と、前記仮付け打点群の後に溶接される増打ち打点群とを選別するスポット打点選別プログラムであって、前記溶接打点群を溶接した状態のもとで、前記溶接打点群を構成する溶接打点のそれぞれに作用する応力を演算する応力演算ステップと、前記溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、前記溶接打点のそれぞれを前記仮付け打点群の仮付け打点または前記増打ち打点群の増打ち打点に設定する打点設定ステップとを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のスポット打点選別プログラムは、前記打点設定ステップは、応力の大きい方から所定数の前記溶接打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とする。
【0013】
本発明のスポット打点選別プログラムは、前記打点設定ステップは、応力の小さい方から所定数の前記溶接打点を前記増打ち打点に設定することを特徴とする。
【0014】
本発明のスポット打点選別プログラムは、前記溶接打点群の設計情報に基づいて、前記溶接打点群から前記仮付け打点の候補打点群を設定する候補設定ステップを有し、前記応力演算ステップは、前記候補打点群を溶接した状態のもとで、前記候補打点のそれぞれに作用する応力を演算し、応力の小さい方から所定数の前記候補打点を前記候補打点群から削減する候補更新ステップを有し、前記打点設定ステップは、前記応力演算ステップと前記候補更新ステップとを繰り返して前記候補打点群を所定数まで削減し、残る前記候補打点群の前記候補打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、溶接打点を仮付け打点と増打ち打点とに選別したので、ワークの剛性が確保されるように仮付け打点を設定することが可能となる。これにより、ワークの組立精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自動車の所謂ホワイトボディを製造する車体組立工程を示す概略図である。
【図2】メインボディ工程の一例を示す説明図である。
【図3】シミュレーション装置を示すブロック図である。
【図4】スポット打点群から仮付け打点群と増打ち打点群とを選別する際の手順を示すフローチャートである。
【図5】スポット打点情報の一例を示す説明図である。
【図6】仮付けステージ情報の一例を示す説明図である。
【図7】(a)はスポット打点の振り分け状況を示す説明図であり、(b)はスポット打点リストの一例を示す説明図である。
【図8】(a)および(b)はスポット打点リストの更新状況を示す説明図である。
【図9】(a)および(b)はスポット打点リストの更新状況を示す説明図である。
【図10】仮付け打点の評価手順を示すフローチャートである。
【図11】スポット打点に作用する応力の分布を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は自動車の所謂ホワイトボディ20を製造する車体組立工程10を示す概略図である。図1に示すように、車体組立工程10は、車体の基礎となるフロアパネル(ワーク)21を組み立てるフロア工程11や、車体側壁の主要部品であるボディサイド(ワーク)22を組み立てるボディサイド工程12,13を備えている。また、車体組立工程10は、フロアパネル21にボディサイド22やルーフ23等を固定してメインボディ24を組み立てるメインボディ工程14や、メインボディ24にドア25やフード26等を取り付けてホワイトボディ20を完成させる建付け工程15を備えている。さらに、車体組立工程10には、ホワイトボディ20の車体精度を検査する検査工程16が設けられている。
【0018】
図2はメインボディ工程14の一例を示す説明図である。図2に示すように、メインボディ工程14には仮付けステージ14aが設けられており、この仮付けステージ14aではフロアパネル21に対してボディサイド22やルーフ23が位置決め固定される。仮付けステージ14aにおいては、高精度な治具によってフロアパネル21やボディサイド22が位置決めされるとともに、フロアパネル21やボディサイド22の接合部位に対してスポット溶接が施される。このように、仮付けステージ14aにおいて複数の仮付け打点Pbが溶接されると、メインボディ24は仮付けステージ14aから増打ちステージ14b〜14dに移動し、複数の増打ちステージ14b〜14dを進みながらメインボディ24上の増打ち打点Pcが溶接される。このように、メインボディ工程14において、全ての仮付け打点Pbおよび増打ち打点Pcを溶接することにより、設計上の車体強度が確保されることになる。このように製造されるメインボディ24の車体精度を引き上げるためには、始めにスポット溶接が施される仮付けステージ14aにおいて多くの仮付け打点Pbを溶接することが重要である。しかしながら、溶接可能な仮付け打点数はタクトタイムや設備能力から制限されるため、車体精度の向上に寄与する部位に仮付け打点Pbを設定することが重要となっている。
【0019】
以下、本発明の一実施の形態であるスポット打点選別方法およびスポット打点選別プログラムについて説明する。ここで、図3はシミュレーション装置30を示すブロック図であり、このシミュレーション装置30によってスポット打点選別方法およびスポット打点選別プログラムが実行される。図3に示すように、シミュレーション装置30は、CPUやメモリ等によって構成される演算装置31、キーボード等の入力装置32、液晶ディスプレイ等の表示装置33、磁気ディスク等の記憶装置34を備えている。また、シミュレーション装置30の記憶装置34には、後述するスポット打点情報、仮付けステージ情報、応力演算情報等が格納されている。そして、シミュレーション装置30の演算装置31は、記憶装置34に格納される情報や入力装置32から入力される情報に基づき、設計されたスポット打点群(溶接打点群)から仮付け打点群と増打ち打点群とを選別する。なお、スポット打点群とは複数のスポット打点Paを意味し、仮付け打点群とは複数の仮付け打点Pbを意味し、増打ち打点群とは複数の増打ち打点Pcを意味している。
【0020】
図4はスポット打点群から仮付け打点群と増打ち打点群とを選別する際の手順を示すフローチャートである。図4に示すように、ステップS1では、スポット打点情報が読み込まれる。ここで、図5はスポット打点情報の一例を示す説明図である。図5に示すように、スポット打点情報には、メインボディ工程14において溶接される全スポット打点Paの座標情報や、スポット溶接によって接合されるパネル部品情報が含まれている。続いて、図4に示すように、ステップS2では仮付けステージ情報が読み込まれる。ここで、図6は仮付けステージ情報の一例を示す説明図である。図6に示すように、仮付けステージ情報には、仮付けステージ14aに配置される溶接ロボット数や、これら溶接ロボットに関する溶接可能範囲等の情報が含まれている。また、仮付けステージ情報には、仮付けステージ14aのタクトタイム情報が含まれている。次いで、図4に示すように、ステップS3では応力演算情報が読み込まれる。この応力演算情報には、各パネル部品の質量や形状、溶接ロボットからパネル部品に加えられる把持力、台車がステージ間を移動する際の加速度等が含まれている。
【0021】
このような各種情報が読み込まれると、続くステップS4において、演算装置31は、仮付けステージ14aのタクトタイムや、1スポット打点当たりの所要時間(例えば所要時間=準備時間+移動時間+溶接時間+戻り時間)に基づき、1台の溶接ロボットが仮付けステージ14aで溶接可能なスポット打点数(処理打点数)を演算する。続いて、ステップS5では、各溶接ロボットの溶接可能範囲と各スポット打点Paの座標情報とに基づき、溶接ロボット毎に全スポット打点Paが候補打点として振り分けられ、溶接ロボット毎にスポット打点リストが作成される(候補設定ステップ)。なお、候補打点とは仮付け打点Pbの候補となるスポット打点Paである。ここで、図7(a)はスポット打点Paの振り分け状況を示す説明図であり、図7(b)はスポット打点リストの一例を示す説明図である。図7(a)に示すように、各溶接ロボットの溶接可能範囲とメインボディ24上の各スポット打点Paの座標情報とを比較することにより、図7(b)に示すように、溶接ロボット毎のスポット打点リストが作成される。
【0022】
続いて、図4に示すように、ステップS6に進み、仮付け打点Pbの候補打点数が溶接ロボットの処理打点数以下であるか否かが判定される。ステップS6において、候補打点数が処理打点数以下に絞り込まれていないと判定された場合には、ステップS7に進み、応力演算情報に基づいて、全候補打点を溶接した状態のもとで各候補打点に作用する応力が演算される(応力演算ステップ)。このステップS7においては、各候補打点に作用する応力として、方向を特定せずに大きさのみを示すミーゼス応力(フォンミセス応力,相当応力)が演算されている。また、応力を演算する際には、パネル部品の重量によって各候補打点に作用する応力を演算するだけでなく、溶接ロボットの把持力や台車移動時の加速度等も考慮して応力が演算されている。続いて、ステップS8ではスポット打点リストが応力順に更新され、ステップS9では最小応力の候補打点が増打ち打点Pcとして設定され、ステップS10では最小応力の候補打点が候補打点群から削除される(候補更新ステップ)。そして、ステップS6において、候補打点数が処理打点数以下となるまで、ステップS7〜10の処理が繰り返される。
【0023】
ここで、図8および図9はスポット打点リストの更新状況を示す説明図である。図8(a)に示すように、ステップS7においては各候補打点に作用する応力値が演算される。続いて、図8(b)に示すように、応力値の大きな順に各候補打点が並べ替えられ、最小応力となる候補打点が増打ち打点Pcとして設定されるとともに、最小応力となる候補打点が候補打点群から削減される。そして、削減された候補打点数が処理打点数を上回る場合には、図9(a)に示すように、再び各候補打点に作用する応力値が演算され、図9(b)に示すように、最小応力となる候補打点について候補打点から増打ち打点Pcへの変更が行われる。このように、打点設定ステップとして機能するステップS7〜10の処理を実行する度に、最も応力の掛からないスポット打点Pa、つまり車体剛性に与える影響度の小さなスポット打点Paが、仮付け打点Pbの候補から外されて増打ち打点Pcに設定されることになる。そして、図4に示すように、ステップS6において、候補打点数が処理打点数以下であると判定された場合には、仮付けステージ14aにおいて処理可能な打点数まで候補打点が絞り込まれたため、ステップS11に進み、残る候補打点群が仮付け打点Pbとして設定される(打点設定ステップ)。
【0024】
これまで説明したように、各スポット打点Paに作用する応力の大きさに基づいて、スポット打点Paを仮付け打点Pbと増打ち打点Pcとに振り分けるようにしたので、車体剛性に与える影響度の大きなスポット打点Paを仮付け打点Pbとして設定することが可能となる。すなわち、大きな応力が作用する部位のスポット打点Paを先に溶接することができるため、仮付けステージ14aにおいて車体剛性を早期に高めることができ、車体精度を引き上げることが可能となる。このように、車体精度の観点から適切となる仮付け打点Pbを素早く設定することができるため、何度も試作や評価を繰り返しながら仮付け打点Pbを特定する必要がなく、開発コストを引き下げるとともに開発期間を短縮することが可能となる。
【0025】
また、仮付けステージ14aにおける設備能力の観点から仮付け打点数が制限されることから、シミュレーション装置30は、仮付け打点Pbの評価処理を行うことで設定された仮付け打点Pbが適切であるか否かを判定している。ここで、図10は仮付け打点Pbの評価手順を示すフローチャートである。図10に示すように、ステップS21では、仮付け打点Pbが確定された最終のスポット打点リストに基づき、各仮付け打点Pbの応力値を積算して応力積算値を算出する。続いて、ステップS22に進み、応力積算値が予め設定された設定応力値以上であるか否かが判定される。ステップS22において、応力積算値が設定応力値以上であると判定された場合には、設定された仮付け打点Pbによって十分な車体剛性が確保されていることから、ステップS23に進み、図4のフローチャートに沿って設定された仮付け打点Pbが確定される。一方、ステップS22において、応力積算値が設定応力値を下回ると判定された場合には、設定された仮付け打点Pbによって十分な車体剛性が確保されていないことから、ステップS24に進み、仮付けステージ14aにおける設備増強を指示してルーチンを抜ける。
【0026】
ここで、図11はスポット打点Paに作用する応力の分布を示す線図である。図11に示すように、車体構造によって応力の分布特性が異なることから、仮付け打点Pbとして同じ打点数を溶接した場合であっても、車体構造に応じて応力積算値は異なった値を示すことになる。すなわち、特定のスポット打点Paに応力が集中する車体構造Aと、多くのスポット打点Paに応力が分散する車体構造Bとでは、仮付け打点Pbとして同じ打点数を溶接しても応力積算値が異なるため、打点数だけでなく応力積算値という観点から仮付け打点Pbを検証することが望ましい。このように、応力積算値に基づいて仮付け打点Pbが適切であるか否かを判定することにより、確実に車体剛性を高めて必要な車体精度を確保することが可能となる。
【0027】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前述の説明では、応力値を演算する度に1点ずつスポット打点Paを候補打点から外しているが、2点以上のスポット打点Paを候補打点から外すようにしても良い。また、前述の説明では、応力の小さい方からスポット打点Paを増打ち打点Pcに設定し、残るスポット打点Paを仮付け打点Pbに設定しているが、これに限られることはなく、応力の大きい方からスポット打点Paを仮付け打点Pbに設定し、残るスポット打点Paを増打ち打点Pcに設定しても良い。
【0028】
また、前述の説明では、自動車車体に関するスポット溶接の仮付け打点Pbを設定しているが、自動車車体に限られることはなく、スポット溶接が施される部品であれば他の部品であっても良い。また、シミュレーション装置30は、マイクロコンピュータやパーソナルコンピュータ等の単一のコンピュータを用いて構成しても良く、ネットワークを介して相互に接続される複数のコンピュータを用いて構成しても良い。
【符号の説明】
【0029】
21 フロアパネル(ワーク)
22 ボディサイド(ワーク)
23 ルーフ(ワーク)
Pa スポット打点(溶接打点)
Pb 仮付け打点
Pc 増打ち打点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワークを接合する際に溶接される溶接打点群から、前記ワークの位置決め後に溶接される仮付け打点群と、前記仮付け打点群の後に溶接される増打ち打点群とを選別するスポット打点選別方法であって、
前記溶接打点群を溶接した状態のもとで、前記溶接打点群を構成する溶接打点のそれぞれに作用する応力を演算する応力演算ステップと、
前記溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、前記溶接打点のそれぞれを前記仮付け打点群の仮付け打点または前記増打ち打点群の増打ち打点に設定する打点設定ステップとを有することを特徴とするスポット打点選別方法。
【請求項2】
請求項1記載のスポット打点選別方法において、
前記打点設定ステップは、応力の大きい方から所定数の前記溶接打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とするスポット打点選別方法。
【請求項3】
請求項1記載のスポット打点選別方法において、
前記打点設定ステップは、応力の小さい方から所定数の前記溶接打点を前記増打ち打点に設定することを特徴とするスポット打点選別方法。
【請求項4】
請求項1または2記載のスポット打点選別方法において、
前記溶接打点群の設計情報に基づいて、前記溶接打点群から前記仮付け打点の候補打点群を設定する候補設定ステップを有し、
前記応力演算ステップは、前記候補打点群を溶接した状態のもとで、前記候補打点のそれぞれに作用する応力を演算し、
応力の小さい方から所定数の前記候補打点を前記候補打点群から削減する候補更新ステップを有し、
前記打点設定ステップは、前記応力演算ステップと前記候補更新ステップとを繰り返して前記候補打点群を所定数まで削減し、残る前記候補打点群の前記候補打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とするスポット打点選別方法。
【請求項5】
複数のワークを接合する際に溶接される溶接打点群から、前記ワークの位置決め後に溶接される仮付け打点群と、前記仮付け打点群の後に溶接される増打ち打点群とを選別するスポット打点選別プログラムであって、
前記溶接打点群を溶接した状態のもとで、前記溶接打点群を構成する溶接打点のそれぞれに作用する応力を演算する応力演算ステップと、
前記溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、前記溶接打点のそれぞれを前記仮付け打点群の仮付け打点または前記増打ち打点群の増打ち打点に設定する打点設定ステップとを有することを特徴とするスポット打点選別プログラム。
【請求項6】
請求項5記載のスポット打点選別プログラムにおいて、
前記打点設定ステップは、応力の大きい方から所定数の前記溶接打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とするスポット打点選別プログラム。
【請求項7】
請求項5記載のスポット打点選別プログラムにおいて、
前記打点設定ステップは、応力の小さい方から所定数の前記溶接打点を前記増打ち打点に設定することを特徴とするスポット打点選別プログラム。
【請求項8】
請求項5または6記載のスポット打点選別プログラムにおいて、
前記溶接打点群の設計情報に基づいて、前記溶接打点群から前記仮付け打点の候補打点群を設定する候補設定ステップを有し、
前記応力演算ステップは、前記候補打点群を溶接した状態のもとで、前記候補打点のそれぞれに作用する応力を演算し、
応力の小さい方から所定数の前記候補打点を前記候補打点群から削減する候補更新ステップを有し、
前記打点設定ステップは、前記応力演算ステップと前記候補更新ステップとを繰り返して前記候補打点群を所定数まで削減し、残る前記候補打点群の前記候補打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とするスポット打点選別プログラム。
【請求項1】
複数のワークを接合する際に溶接される溶接打点群から、前記ワークの位置決め後に溶接される仮付け打点群と、前記仮付け打点群の後に溶接される増打ち打点群とを選別するスポット打点選別方法であって、
前記溶接打点群を溶接した状態のもとで、前記溶接打点群を構成する溶接打点のそれぞれに作用する応力を演算する応力演算ステップと、
前記溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、前記溶接打点のそれぞれを前記仮付け打点群の仮付け打点または前記増打ち打点群の増打ち打点に設定する打点設定ステップとを有することを特徴とするスポット打点選別方法。
【請求項2】
請求項1記載のスポット打点選別方法において、
前記打点設定ステップは、応力の大きい方から所定数の前記溶接打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とするスポット打点選別方法。
【請求項3】
請求項1記載のスポット打点選別方法において、
前記打点設定ステップは、応力の小さい方から所定数の前記溶接打点を前記増打ち打点に設定することを特徴とするスポット打点選別方法。
【請求項4】
請求項1または2記載のスポット打点選別方法において、
前記溶接打点群の設計情報に基づいて、前記溶接打点群から前記仮付け打点の候補打点群を設定する候補設定ステップを有し、
前記応力演算ステップは、前記候補打点群を溶接した状態のもとで、前記候補打点のそれぞれに作用する応力を演算し、
応力の小さい方から所定数の前記候補打点を前記候補打点群から削減する候補更新ステップを有し、
前記打点設定ステップは、前記応力演算ステップと前記候補更新ステップとを繰り返して前記候補打点群を所定数まで削減し、残る前記候補打点群の前記候補打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とするスポット打点選別方法。
【請求項5】
複数のワークを接合する際に溶接される溶接打点群から、前記ワークの位置決め後に溶接される仮付け打点群と、前記仮付け打点群の後に溶接される増打ち打点群とを選別するスポット打点選別プログラムであって、
前記溶接打点群を溶接した状態のもとで、前記溶接打点群を構成する溶接打点のそれぞれに作用する応力を演算する応力演算ステップと、
前記溶接打点に作用する応力の大きさに基づいて、前記溶接打点のそれぞれを前記仮付け打点群の仮付け打点または前記増打ち打点群の増打ち打点に設定する打点設定ステップとを有することを特徴とするスポット打点選別プログラム。
【請求項6】
請求項5記載のスポット打点選別プログラムにおいて、
前記打点設定ステップは、応力の大きい方から所定数の前記溶接打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とするスポット打点選別プログラム。
【請求項7】
請求項5記載のスポット打点選別プログラムにおいて、
前記打点設定ステップは、応力の小さい方から所定数の前記溶接打点を前記増打ち打点に設定することを特徴とするスポット打点選別プログラム。
【請求項8】
請求項5または6記載のスポット打点選別プログラムにおいて、
前記溶接打点群の設計情報に基づいて、前記溶接打点群から前記仮付け打点の候補打点群を設定する候補設定ステップを有し、
前記応力演算ステップは、前記候補打点群を溶接した状態のもとで、前記候補打点のそれぞれに作用する応力を演算し、
応力の小さい方から所定数の前記候補打点を前記候補打点群から削減する候補更新ステップを有し、
前記打点設定ステップは、前記応力演算ステップと前記候補更新ステップとを繰り返して前記候補打点群を所定数まで削減し、残る前記候補打点群の前記候補打点を前記仮付け打点に設定することを特徴とするスポット打点選別プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−200779(P2012−200779A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69654(P2011−69654)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
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