説明

スポット溶接装置

【課題】2枚の厚板に薄板を重ねた被溶接部材をスポット溶接にあたり、安定した溶接品質が得られるスポット溶接装置を提供する。
【解決手段】薄板101、第1厚板102、第2厚板103が順に重ね合わせた被溶接部材100をスポット溶接するにあたり、第2厚板102に当接する固定側電極104と薄板101に当接する可動側電極17及び可動側電極17に隣接して薄板101に当接する制御加圧手段20の被溶接部材押さえ26によって被溶接部材100を挟持加圧する。第2厚板103に固定側電極14による加圧力が付与され、薄板101側に可動側電極17による加圧力と制御加圧付与手段20による制御加圧力が付与され、可動側電極17による加圧力より固定側電極14による加圧力が小さく制御される。薄板101と第1厚板102間の電流密度が高くなり、薄板101から第2厚板103に亘って良好なナゲットが形成され、溶接品質が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板厚の異なる板材を重ね合わせた板組みの被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、重ね合わされた鋼板等の板材の接合には、一対の溶接電極間で挟み加圧力を与えながら両溶接電極間に大電流を一定時間通電し、接合部をほぼ溶融温度まで上げてナゲットを形成するスポット溶接が広く行われている。
【0003】
スポット溶接にあたり、両溶接電極により付与される加圧力及び通電時間が一定の場合には、ナゲット径は電流の増加に従って徐々に増加するが、電流値が過大になると発熱量が過大になり板材間に溶融金属が飛散する散りの発生原因となる。即ち散りは接合部の過熱による溶融金属の爆飛現象で、ナゲットに空孔、割れ等が発生して、ナゲットの形状や金属組織に不連続部が生じ、接合部の板厚の減少と共に著しい強度低下の要因となる。反対に電流が過少の場合にはナゲットが小さくなり十分な接合強度が得られない。また、加圧力が小さいときには板材間の接触面積が少なくなり、電流密度が高くなり過熱による散り発生の原因となる。一方、加圧力が大き過ぎると接合部の接触面積が大きくなり電流密度が低下して発熱量が減少する。この結果、ナゲットが小さく溶接強度が低下する。
【0004】
ここで、図18(a)に示すように、剛性の低い薄板101、薄板101より厚く剛性が高い第1厚板102、第2厚板103の3枚を重ね合わせた被溶接部材100をスポット溶接する場合には、薄板101と第1厚板102の間及び第1厚板102と第2厚板103の間に隙間がなく密着した状態で、可動側電極121と固定側電極122により被溶接部材100を挟んで電源123により通電すると、可動側電極121と固定側電極122間の通電経路における電流密度がほぼ均一となり薄板101から第2厚板103に亘って良好なナゲットが形成されて、必要な溶接強度を得ることができる。
【0005】
しかし、実際には、可動側電極121と固定側電極122によって被溶接部材100を挟んで加圧したときに、剛性の低い薄板101と第1厚板102が上方に撓んで、薄板101と第1厚板102の間及び第1厚板102と第2厚板103との間に隙間が生じる。この場合、可動側電極121と薄板101間の接触面積は薄板101の撓みにより大きくなるのに対して、薄板101と第1厚板102間及び第1厚板102と第2厚板103間の接合部の接触面積は隙間により小さくなる。
【0006】
このため、可動側電極121と固定側電極122の接合部の電流密度が薄板101側に対して第2厚板103側が高くなり、薄板101と第1厚板102間よりも第1厚板102と第2厚板103間の方が局部的な発熱量が多くなる。
【0007】
その結果、図18(a)に示すように先ず第1厚板102と第2厚板103との接合部にナゲット105が形成され、次第にナゲット105が大きくなりやがて図18(b)のように薄板101と第1厚板102間が溶着される。しかし、この薄板101と第1厚板102との間の溶け込み量が小さく溶接強度が不安定で、薄板101が剥離することが懸念され、かつ溶接品質にバラツキがある。この不具合は、特に第1厚板102及び第2厚板103が厚いほど厚板102と薄板101との間にナゲット105が到達しにくく、顕著である。
【0008】
また、同様に薄板101と第1厚板102間の溶け込み量が小さく溶接強度が不安定となる原因としては、薄板101が薄いため、可動側電極121の接触により熱が可動側電極121に奪われ、薄板101側の温度が上がらず、ナゲット105が形成されにくいこともある。
【0009】
この対策として、例えば特許文献1に開示されるスポット溶接方法がある。このスポット溶接方法は、図19に示すように、薄板101、第1厚板102、第2厚板103を重ね合わせた被溶接部材100をスポット溶接するときに、薄板101側に当接する可動側電極121の先端径を、第2厚板103側に当接する固定側電極122の先端径よりも小さくすることで、薄板101と可動側電極121との接触面積を第2厚板103と固定側電極122との接触面積よりも小さくする。これにより、可動側電極121と固定側電極122間の通電経路における電流密度が可動側電極121側から固定側電極122に向かって次第に低くなる。この結果、薄板101と第1厚板102との間において発熱量が多くなり、良好なナゲットが形成されて薄板101と第1厚板102間の溶接強度が向上する。
【0010】
また、特許文献2に開示されるスポット溶接方法は、図20に示すように、薄板101、第1厚板102、第2厚板103の3枚の板材を重ね合わせた被溶接部材100をスポット溶接するときに、薄板101側に位置する可動側電極135の加圧力FUを、第2厚板103側に位置する固定側電極134の加圧力FLより小さくすることで、薄板101と厚板102との間の接触抵抗が大きくなると共に厚板102と103との間の接触抵抗が小さくなり、可動側電極135と固定側電極134間に通電したときに、薄板101と第1厚板102との接合部における発熱量を増加させることができ、薄板101と第1厚板102の溶接強度を高めることができる。
【0011】
この方法の実施に用いられるスポット溶接装置の構成は、図21に示すように、溶接ロボット125の手首部126にスポット溶接装置130が搭載され、溶接ロボット125は、クランパ128によって支持された被溶接部材100の各打点位置にスポット溶接装置130を移動し、被溶接部材100のスポット溶接を行う。
【0012】
スポット溶接装置130は、手首部126に取り付けられた支持ブラケット127に固定されたリニアガイド131によって上下動自在に支持されたベース部132を備え、このベース部132には下方に延びるC形ヨーク133が設けられ、このC形ヨーク133の下端の先端に固定側電極134が設けられる。
【0013】
また、ベース部132の上端には、サーボモータ等の加圧アクチュエータ136が搭載され、加圧アクチュエータ136により上下動するロッド137の下端に固定側電極134と対向して可動側電極135が取り付けられる。支持ブラケット127の上端にサーボモータ138が搭載され、サーボモータ138の作動によりボールねじ機構を介してベース部132が上下動する。
【0014】
ここで、図示しないコントローラに予め記憶されているティーチングデータに従って、薄板101側に位置する可動側電極135による加圧力FUを固定側電極134による加圧力FLよりも小さくする(FU<FL)。
【0015】
このように可動側電極135による加圧力FUを固定側電極134による加圧力FLより小さく(FU<FL)するために、コントローラは、先ず、サーボモータ138によりベース部132を上動させて固定側電極134を被溶接部材100の下面に当接させると共に、加圧アクチュエータ136により可動側電極135を下降させて被溶接部材100の上面に当接させる。この場合、加圧アクチュエータ136の加圧力が可動側電極135とベース部132及びC形ヨーク133を介して固定側電極134とに均等に作用する。
【0016】
次に、サーボモータ138によりベース部132を押し上げる。このベース部132の押し上げにより、固定側電極134の加圧力FLがベース部132の押し上げ分だけ増加し、可動側電極135による加圧力FUが固定側電極134による加圧力FLより小さくなる(FU<FL)。
【0017】
その結果、可動側電極135と固定側電極134との間に通電したときに、薄板101と第1厚板102の接合部における電流密度が高くなり発熱量が第1厚板102と第2厚板103の接合部における発熱量に対して相対的に増加する。これにより、薄板101から第2厚板103に亘って溶け込み量に偏りのない良好なナゲットが形成されて溶接強度を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2003−151468号公報
【特許文献2】特開2003−251469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記特許文献1によると、薄板101に当接する可動側電極121の先端径を第2厚板103に当接する固定側電極122の先端径よりも小さくすることによって、可動側電極121と固定側電極122間の通電経路における電流密度が可動側電極121から固定側電極122に向かって次第に低くなり、薄板101と厚板102間の溶接強度が向上する。
【0020】
しかし、可動側電極121と固定側電極122による加圧力や、薄板101、第1厚板102、第2厚板103の板厚及び被溶接部材100の形状や部位によって、可動側電極121と固定側電極122間の通電経路における電流密度が種々変化し、均一な溶接品質を確保することが困難である。また、薄板101、第1厚板102、第2厚板103の板厚及び被溶接部材100の形状及び部位に応じて先端径の異なる種々の可動側電極121及び固定側電極122を種々取り換えて使用することは、極めて厄介で生産性の大幅な低下が懸念され、現実的ではない。また、先端径が異なる種々の可動側電極121及び固定側電極122を準備し、管理するには多くの管理コストを要する。
【0021】
一方、特許文献2にあっては、クランパ128によって支持された被溶接部材100の各打点位置にスポット溶接装置130を移動し、被溶接部材100の第2厚板103側に固定側電極134を当接させると共に可動側電極135を薄板101に当接させ、更にベース部132を押し上げて固定側電極134側の加圧力FLより可動側電極135側の加圧力FUを小さくすることで、相対的に薄板101と第1厚板102間の電流密度が高くなり、薄板101と第1厚板102の接合部における発熱量が確保でき、溶け込み量が増大して溶接強度が増加する。
【0022】
しかし、被溶接部材100をクランパ128によりクランプ保持された被溶接部材100を固定側電極134と可動側電極135によって挟持加圧した状態でベース部132を移動して固定側電極134の加圧力FLより可動側電極135による加圧力FUを小さくするには、被溶接部材100をクランプ保持するクランパ128に大きな負荷が要求される。一方、クランパ128による被溶接部材100のクランプ位置と溶接位置、即ち溶接打点位置とが離間した状態では、被溶接部材100が撓み変形して固定側電極134による加圧力FLと可動側電極135による加圧力FUにバラツキが生じて安定した薄板101と第1厚板102との間の接触抵抗及び第1厚板102と第2厚板103との間の接触抵抗の確保が困難であり、被溶接部材100の接合部における電流密度にバラツキが生じてスポット溶接の品質低下が懸念される。また、溶接加圧時の反力で移動し得るようロボットの手首とベース部との間にイコライジング機能を備えたスポット溶接装置では使用できず、スポット溶接装置が制限される。
【0023】
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、重ね合わされた2枚の厚板の一方に薄板を重ね合わせた3枚重ねの被溶接部材をスポット溶接する場合に、均一な安定した溶接品質が得られるスポット溶接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成するスポット溶接装置は、薄板、該薄板より板厚が大きい第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接装置において、ヨークに支持されて上記第2厚板に当接する第1溶接電極と、該第1溶接電極と対向して上記薄板に当接する第2溶接電極と、該第2溶接電極に隣接して上記薄板に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段とを備え、上記制御加圧付与手段は、上記ヨークと上記第1溶接電極及び第2溶接電極との間に介在する連結プレートと、該連結プレートに配設される被溶接部材押さえとによって構成し、上記第2溶接電極と上記第1溶接電極と上記被溶接部材押さえによる挟持加圧状態で上記第2溶接電極と第1溶接電極との間で通電してスポット溶接することを特徴とする。
【0025】
これによれば、薄板、第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた3枚重ねの被溶接部材をスポット溶接するにあたり、第2厚板に当接する第1溶接電極とこの第1溶接電極と対向して薄板に当接する第2溶接電極及び該第2溶接電極に隣接して薄板に当接する制御加圧付与手段の連結プレートに配設される被溶接部材押さえによって被溶接部材を挟持加圧することで、第1溶接電極による加圧力が被溶接部材の第2厚板に付与される一方、第2溶接電極による加圧力とこの第2溶接電極に隣接して制御加圧付与手段による制御加圧力が薄板に付与されて薄板側の第2溶接電極による加圧力が第2厚板側の第1溶接電極による加圧力より小さくなる。これにより、この第2溶接電極と第1溶接電極との間に通電したときに、相対的に薄板と第1厚板の接合部の電流密度が高くなり、薄板から第2厚板に亘って溶け込み量に偏りのない良好なナゲットが形成され、被溶接部材に対する溶接品質が向上する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、薄板、第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた3枚重ねの被溶接部材をスポット溶接するにあたり、第2厚板に当接する第1溶接電極とこの第1溶接電極と対向して薄板に当接する第2溶接電極及び該第2溶接電極に隣接して薄板に当接する制御加圧付与手段の連結プレートに配設される被溶接部材押さえとによって被溶接部材を挟持加圧することで、第1溶接電極による加圧力が被溶接部材の第2厚板に付与される一方、第2溶接電極による加圧力とこの第2溶接電極に隣接して制御加圧付与手段による制御加圧力が薄板に付与されて薄板側の第2溶接電極による加圧力が第2厚板側の第1溶接電極による加圧力より小さくなり、この第2溶接電極と第1溶接電極との間に通電したときに、相対的に薄板と第1厚板間の電流密度が大きくなり、薄板から第2厚板に亘って溶け込み量に偏りのない良好なナゲットが形成され、被溶接部材に対する溶接品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態におけるスポット溶接装置の構成図である。
【図2】要部拡大斜視図である。
【図3】スポット溶接装置作動工程図である。
【図4】作動説明図である。
【図5】比較例の作動説明図である。
【図6】スポット溶接装置作動工程図である。
【図7】作動説明図である。
【図8】被溶接部材の展開例を示す図である。
【図9】第1参考例の概要を示す図である。
【図10】要部拡大斜視図である。
【図11】スポット溶接装置作動工程図である。
【図12】第2参考例におけるスポット溶接装置の構成図である。
【図13】要部拡大斜視図である。
【図14】スポット溶接装置作動工程図である。
【図15】作動説明図である。
【図16】作動説明図である。
【図17】被溶接部材の展開例を示す図である。
【図18】従来のスポット溶接の概要を示す説明図である。
【図19】従来のスポット溶接の概要を示す説明図である。
【図20】従来のスポット溶接の概要を示す説明図である。
【図21】従来のスポット溶接の概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図8を参照して説明する。図1はスポット溶接装置の構成図、図2はスポット溶接装置の要部説明図である。
【0029】
図1において、1は溶接ロボット、10は溶接ロボット1に支持されるスポット溶接装置、100は被溶接部材である。
【0030】
溶接ロボット1及びスポット溶接装置10の説明に先立って、被溶接部材100について説明する。被溶接部材100は、重ね合わされた2枚の厚板の一方に薄板を重ね合わせた、例えば上から順に剛性の低い薄板101、薄板101より板厚が大きく剛性が高い第1厚板102及び第2厚板103が重ね合わされた3枚重ねの板組によって構成される。
【0031】
溶接ロボット1は、例えば多関節型ロボットであり、図示しない床に固定される基部、複数のアーム2及びアーム2の先端部に取り付けられる手首3を有し、手首3にイコライザユニット4を介在して支持されるスポット溶接装置10を三次元方向に移動可能に構成する。イコライザユニット4は、スポット溶接装置10と手首3との間に介在してスポット溶接装置10よる被溶接部材100の加圧時にその反力で移動可能にスポット溶接装置10をアーム2に支持する。
【0032】
そして、溶接ロボット1は、図示しないクランパ等によって所定の位置に保持された被溶接部材100の予め設定された各打点位置、即ち溶接部にスポット溶接装置10を順次移動して被溶接部材100にスポット溶接を行う。
【0033】
スポット溶接装置10は、手首部3にイコライザユニット4を介して取り付けられるベース部11を備える。ベース部11には、下方に延在するC形ヨーク13が取り付けられており、C形ヨーク13の下端先端に第1溶接電極である固定側電極14が取り付けられる。
【0034】
また、ベース部11の上端には、シリンダ装置或いはサーボモータ、本実施の形態ではサーボモータを駆動源とする加圧アクチュエータ15が搭載される。加圧アクチュエータ15の作動によりに固定側電極14に接離する方向に固定側電極14の軸心に沿って進退移動するロッド16がベース部11の下方に突出し、ロッド16の先端に固定側電極14と対向配置すると共に固定側電極14と同軸上で進退移動可能な第2溶接電極である可動側電極17が取り付けられる。これにより、可動側電極17は加圧アクチュエータ15の作動により固定側電極14から離反する上昇移動端の退避位置と固定側電極14に接近して被溶接部材100を固定側電極14と協働して挟持、即ちクランプすると共に被溶接部材100に加圧力を付与する加圧位置との間で固定側電極14に対して接離移動する。
【0035】
また、ベース部11には、固定側電極14及び可動側電極17によって挟持及び加圧力が付与された被溶接部材100の薄板101に、可動側電極17に隣接する位置、即ち溶接位置に近接する位置に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段20が設けられる。
【0036】
制御加圧付与手段20は、図1及び図2に要部拡大斜視図を示すようにロッド16を隔てると共にC形ヨーク13側においてベース部11の両側に、基端が取り付けられてロッド16の進退方向と平行に延在する一対の制御加圧アクチュエータであるエアシリンダ21、23を備える。各エアシリンダ21、23はエア供給源31からのエアをエア供給切換弁32を介して伸張側エア室或いは収縮側エア室に選択的に供給することで、各エアシリンダ21、23の先端から突出するシリンダロッド22、24が伸張及び収縮する進退移動すると共に、収縮側エア室或いは伸張側エア室にエアを保持することで該位置にシリンダロッド22、24が保持される。
【0037】
各エアシリンダ21、23の先端から突出するシリンダロッド22、24の先端22a、24a間に連結プレート25が掛け渡される。この連結プレート25は図1及び図2に示すようにヨーク13と可動側電極17との間に位置して中央部、即ち連結プレート25におけるシリンダロッド22と24の先端22aと24a間に基端部が結合されて先端部がC形ヨーク13側から離反する方向に延在する帯状の被溶接部材押さえ26が設けられる。被溶接部材押さえ26の先端部には可動側電極17及び固定側電極14の挿入が可能な円弧状乃至凹状に切り欠き形成された電極挿入部27が形成され、かつ電極挿入部27の両側に突出する一対の規制部28、29が形成される。各規制部28、29の下面にそれぞれ制御加圧部となる半球面状に頂部が突出する突状の規制面ピース28a、29aが設けられ、各規制部28、29の上面にそれぞれ突状の規制面ピース28b、29bが設けられる。この規制面ピース28aと29a及び28bと29bは、可動側電極17の軸心に隣接し、かつ可動側電極17の軸芯を中心とする対称位置に設けることが好ましい。
【0038】
また、エアシリンダ21、23には、エアシリンダ21、23のシリンダロッド22、24が収縮して上昇移動端となる第1退避位置を検知する第1退避位置検知センサS1、固定側電極14と可動側電極17によって挟持された被溶接部材100の上面に規制面ピース28a、29aが上方から圧接した状態におけるエアシリンダ21、23の伸張位置である第1加圧位置を検知する第1加圧位置検知センサS2、エアシリンダ21、23のシリンダロッド22、24が伸張して下降移動端となる第2退避位置を検知する第2退避位置検知センサS3、及び固定側電極14と可動側電極17によって挟持された被溶接部材100の下面に規制面ピース28b、29bが下方から圧接した状態におけるするエアシリンダ21、23の伸張位置である第2加圧位置を検知する第2加圧位置検知センサS4を備える。
【0039】
溶接ロボットコントローラRCには、溶接ロボット1のティーチングデータが格納され、ティーチングデータには、被溶接部材100の各溶接打点を順次スポット溶接するための作動プログラム及び各溶接打点、即ち溶接位置をスポット溶接するときのスポット溶接装置10の位置及び姿勢が含まれる。また、溶接装置コントローラWCにはスポット溶接装置10の作動プログラム及び第1退避位置検知センサS1、第1加圧位置検知センサS2、第2退避位置検知センサS3、第2加圧位置検知センサS4の検知に基づくエア供給切換弁32の作動制御が含まれる。
【0040】
例えば、エアシリンダ21、23が伸張状態から収縮側エア室にエアが供給されてエアシリンダ21、23が収縮して第1退避位置に達したことを第1退避位置検知センサS1が検知すると、その検知信号に基づいてエア供給切換弁32が第1退避位置に切り換えられ、各収縮側エア室へのエア供給が停止すると共に収縮側エア室内にエアが保持されてエアシリンダ21、23が第1退避位置に保持される。
【0041】
第1退避位置からエア供給切換弁32が切り換えられて収縮側エア室内のエアが排出されると共に伸張側エア室内へエアが供給されて伸張するエアシリンダ21、23が第1加圧位置に達したことを第1加圧位置検知センサS2が検知すると、その検知信号に基づいてエア供給切換弁32が第1加圧位置に切り換えられ、各伸張側エア室内へのエア供給が停止すると共に伸張側エア室内にエアが保持されてエアシリンダ21、23が第1加圧位置に保持される。
【0042】
また、エアシリンダ21、23が伸張側エア室内にエアが供給されてエアシリンダ21、23が伸張して第2退避位置に達したことを第2退避位置検知センサS3が検知すると、その検知信号に基づいてエア供給切換弁32が第2退避位置に切り換えられ、各伸張側エア室内へのエア供給が停止すると共に伸張側エア室内のエアが保持されてエアシリンダ21、23が第2退避位置に保持される。第2退避位置からエア供給切換弁32が切り替えられて伸張側エア室のエアが排出されると共に収縮側エア室内へエアが供給されて収縮するエアシリンダ21、23が第2加圧位置に達したことを第2加圧位置検知センサS2が検知すると、その検知信号に基づいてエア供給切換弁32が第2加圧位置に切り替えられ、各収縮側エア室へのエア供給が停止すると共に収縮側エア室内のエアが保持されてエアシリンダ21、23が第2加圧位置に保持される。
【0043】
次に、スポット溶接装置10の作動を説明する。この説明にあたり説明の便宜上、スポット溶接すべき被溶接部材100が上から順に薄板101、第1厚板102、第2厚板103が重ね合わされた3枚重ねの板組によって構成された場合を図3に示すスポット溶接装置作動工程図、図4に示す作動説明図及び図5に示す比較例の作動説明図を参照して説明し、続いて被溶接部材100が下から順に薄板101、第1厚板102、第2厚板103が重ね合わされた3枚重ねの板組によって構成された場合を図6に示すスポット溶接装置作動工程図及び図7に示す作動説明図を参照して説明する。
【0044】
上から順に薄板101、第1厚板102、第2厚板103が重ね合わされた被溶接部材100のスポット溶接にあたり、予め設定された作動プログラムに従い図3(a)に示すように可動側電極17が固定側電極14から離反した退避位置でかつ制御加圧付与手段20の被溶接部材押さえ26が可動側電極17の近傍に保持された状態、即ちエアシリンダ21、23が伸張して第1退避位置検知センサS1がエアシリンダ21、23の第1退避位置を検知していないことが確認、即ち被溶接部材押さえ26の位置が確認されると、溶接装置コントローラWCから作動信号によりエア供給切換弁32が切り換えられてエアシリンダ21、23の収縮側エア室内へのエア供給が開始されてエアシリンダ21、23が収縮する。エアシリンダ21、23の収縮に伴って被溶接部材押さえ26が可動側電極17の先端より上方まで引き上げられる。そして、図3(b)に示すように収縮するエアシリンダ21、23が第1退避位置に達すると第1退避位置検知センサS1が検知し、エア供給切換弁32が第1退避位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の収縮側エア室へのエア供給を停止し、かつ収縮側エア室内にエアを保持する。これにより、被溶接部材押さえ26が第1退避位置に保持される。
【0045】
次に、このエアシリンダ21、23が第1退避位置であることが第1退避位置検知センサS1の検知信号により確認されると、溶接ロボットコントローラRCは溶接ロボット1を作動し、予め設定されたプログラムに従いスポット溶接装置10を被溶接部材100の打点位置に移動し、図3(c)に示すように被溶接部材100の溶接部が固定側電極14と可動側電極17及び規制面ピース28a、28aの間に位置し、かつ固定側電極14が打点位置に対応した第2厚板103の規定位置に当接した状態に位置決めする。
【0046】
このスポット溶接装置10が溶接位置に位置決めされた状態では、図3(c)に示すように固定側電極24の先端が被接溶接部材100の第2厚板103に下方から当接する一方、可動側電極17の先端及び規制面ピース28a、29aが薄板101と隙間を有して対向する。
【0047】
次に、図3(d)に示すように、固定側電極14が被溶接部材100の第2厚板103に当接した状態で加圧アクチュエータ15の作動により可動側電極17を退避位置から固定側電極14に接近する加圧位置方向に移動させて薄板101に圧接させる。これにより、加圧アクチュータ15の加圧力が可動側電極14とベース部11を介して可動側電極17とに作用し、可動側電極17と固定側電極14との間で被溶接部材100の溶接部を挟持すると共に加圧付与する。
【0048】
一方、エア供給切換弁32が切り替えられてエアシリンダ21、23の収縮側エア室内のエアを排出すると共に伸張側エア室内にエアが供給されてエアシリンダ21、23が伸張して被溶接部材押さえ26が下降して規制面ピース28a、29aが被溶接部材100の薄板101に上方から可動側電極17に隣接して圧接し、更に伸張するエアシリンダ21、23が第1加圧位置に達すると第1加圧位置検知センサS2が検知し、エア供給切換弁32が第1加圧位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の伸張側エア室へのエア供給を停止し、かつ伸張側エア室内にエアを保持する。これにより、被溶接部材押さえ26が第1加圧位置に保持される。
【0049】
このように固定側電極14と加圧側電極17によって被溶接部材100を挟持加圧し、かつエアシリンダ21、23によって規制面ピース28a、29aにより可動側電極17に隣接して薄板101を加圧付与した状態では、図4に模式的に作動説明図を示すように固定側電極14による加圧力FLが被溶接部材100の第2厚板103に下方から付与され、可動側電極17による加圧力FUとエアシリンダ21、23による規制面ピース28a、29aによる制御加圧力Fαが可動側電極17に隣接して薄板101に付与される。
【0050】
この場合、加圧アクチュエータ15の加圧力及びエアシリンダ21、23の制御加圧力が可動側電極17及び規制面ピース28a、29aとベース部11及びC形ヨーク13を介して固定側電極14と作用し、第2厚板103に作用する固定側電極14による加圧力FLと、薄板101に作用する可動側電極17による加圧力FU及び規制面ピース28a、29aによる制御加圧力Fαの総和とが等しくなる(FL=FU+Fα)。
【0051】
これにより、被溶接部材100は、第2厚板103側に下方から作用する固定側電極14から加圧力FLと、薄板101側に上方から作用する可動側電極17からの加圧力FU及び規制面ピース28a、29aからの制御加圧力Fαによって安定した状態で挟持保持される。
【0052】
一方、被溶接部材100の溶接部には固定側電極14から第2厚板103に加圧力FLが付与され、可動側電極17から薄板101に加圧力FUとして固定側電極14による加圧力FLから規制面ピース28a、29aによる制御加圧力Fαを減じた大きさの加圧力が付与される(FU=FL−Fα)。
【0053】
この薄板101側に位置する可動側電極17の加圧力FUを第2厚板103側に位置する固定側電極14の加圧力FLより小さく(FU<FL)することで、薄板101と第1厚板102の接合部における接触圧力が、第1厚板102と第2厚板103間の接合部にける接触圧力よりも小さくなり、相対的に薄板101と第1厚板102間の接触抵抗が大きくなると共に、第1厚板102と第2厚板103間の接触抵抗が小さくなる。
【0054】
ここで、例えば制御加圧付与手段20を備えないスポット溶接装置10により固定側電極14が被溶接部材100の第2厚板103に当接した状態で加圧アクチュエータ15の作動により可動側電極17を薄板101に圧接させて固定側電極14と可動側電極17との間で被溶接部材100の接合部溶を挟持すると共に加圧付与すると、図5に模式的に比較例を示すように加圧アクチュエータ15の加圧力が可動側電極17とベース部11及びC形ヨーク13を介して固定側電極14とに均等に作用し、固定電極14により第2厚板103に付与される加圧力FLと可動側電極17により薄板101に付与される加圧力FLが付与される。
【0055】
次に、固定側電極14と可動側電極17で被溶接部材100を挟持加圧付与し、かつ規制面ピース28a、29aによる制御加圧力を付与して薄板101側に位置する可動側電極17の加圧力FUを第2厚板103側に位置する固定側電極14の加圧力FLより小さくした状態で、図3(e)のように可動側電極17と固定側電極14との間に所定時間通電して溶接する。この可動側電極17と固定側電極14との間に通電したときに、相対的に薄板101と第1厚板102間の接合部における接触抵抗が大きく電流密度が高くなると共に、第1厚板102と第2厚板103間の接触抵抗が小さく保持される。これにより、薄板101と第1厚板102の接合部における発熱量が第1厚板102と第2厚板103の接合部における発熱量に対して相対的に増加して、薄板101から第2厚板103に亘って電流密度の偏りのない良好なナゲットが形成され、薄板101の溶接強度を確保できる。
【0056】
この溶接が完了した後、加圧アクチュエータ15の作動により可動側電極17を加圧位置から退避位置に移動させて固定側電極14と可動側電極17とによる被溶接部材100の挟持を開放する。一方、エアシリンダ供給切換弁32を切り換えてエアシリンダ21、23の伸張側エア室内のエアを排出すると共に収縮側エア室にエアを供給してエアシリンダ21、23を収縮する。エアシリンダ21、23の収縮に伴って被溶接部材押さえ26が可動側電極17の先端より上方まで引き上げられる。そして、図3(f)に示すように収縮するエアシリンダ21、23が第1退避位置に達すると第1退避位置検知センサS1が検知し、エア供給切換弁32が第1退避位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の収縮側エア室へのエア供給を停止し、かつ収縮側エア室内にエアを保持する。これにより、被溶接部材押さえ26が第1退避位置に保持される。
【0057】
次に、このエアシリンダ21、23が第1退避位置であることが第1退避位置検知センサS1の検知信号に確認されると、図3(g)に示すように溶接ロボット1を作動して、スポット溶接装置10を被溶接部材100から退避させ、次の被溶接部材100の打点位置に移動する。
【0058】
次に、被溶接部材100が下から順に薄板101、第1厚板102、第2厚板103が重ね合わされた3枚重ねの板組によって構成された場合を図6に示すスポット溶接装置作動工程図及び図7に示す作動説明図を参照して説明する。
【0059】
下から順に薄板101、第1厚板102、第2厚板103が重ね合わされた被溶接部材100のスポット溶接にあたり、予め設定された作動プログラムに従い図6(a)に示すように可動側電極17が固定側電極14から離反した退避位置でかつ制御加圧付与手段20の被溶接部材押さえ26が可動側電極17に近傍に保持された状態、即ち第2退避位置検知センサS3がエアシリンダ21、23の第2退避位置を検知していないことが確認されると、エア供給切換弁32が切り換えられてエアシリンダ21、23の伸張側エア室内へエア供給が開始されてエアシリンダ21、23が伸張する。
【0060】
エアシリンダ21、23の伸張に伴って被溶接部材押さえ26が固定側電極14の先端より下方まで下降する。そして、図6(b)に示すように伸張するエアシリンダ21、23が第2退避位置に達したことを第2退避位置検知センサS3が検知し、エア供給切換弁32が第2退避位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の伸張側エア室へのエア供給が停止し、かつ伸張側エア室内にエアを保持する。これにより、被溶接部材押さえ26が第2退避位置に保持される。
【0061】
次に、このエアシリンダ21、23が第2退避位置であることが第2退避位置検知センサS3の検知信号により確認されると、溶接ロボット1を作動して予め設定されたプログラムに従いスポット溶接装置10を被溶接部材100の打点位置に移動し、図6(c)に示すように被溶接部材100の溶接部が固定側電極14と可動側電極17及び規制面ピース28b、29bの間に位置し、かつ固定側電極14が打点位置に対応した薄板101の規定位置に当接した状態に位置決めする。
【0062】
このスポット溶接装置10が溶接位置に位置決めされた状態では、図6(c)に示すように固定側電極14の先端が被溶接部材100の薄板101に下方から当接する一方、可動側電極17の先端が第2厚板103と隙間を有して対向し、規制面ピース28b、29bが薄板101と隙間を有して対向する。
【0063】
次に、図6(d)に示すように、固定側電極14が被溶接部材100の薄板101に当接した状態で加圧アクチュエータ15の作動により可動側電極17を退避位置から加圧位置方向に移動させて第2厚板103に圧接させて固定側電極14と可動側電極17との間で被溶接部材100の溶接部を挟持すると共に加圧付与する。
【0064】
一方、エア供給切換弁32が切り換えられてエアシリンダ21、23の伸張側エア室内のエアを排出すると共に収縮側エア室内にエアが供給されてエアシリンダ21、23が収縮して被溶接部材押さえ26が上昇して規制面ピース28b、29bが固定側電極14に隣接して被溶接部材100の薄板101に下方から圧接し、更に収縮するエアシリンダ21、23が第2加圧位置に達すると第2加圧位置検知センサS4が検知し、エア供給切換弁32が第2加圧位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の収縮側エア室内へのエア供給を停止し、かつ収縮側エア室内にエアを保持する。これにより、被溶接部材押さえ26が第2加圧位置に保持される。
【0065】
このように固定側電極14と可動側電極17によって被溶接部材100を挟持加圧し、かつエアシリンダ21、23によって規制面ピース28b、29bにより薄板101に制御加圧力を付与した状態では、図7に模式的に作動説明図を示すように可動側電極17による加圧力FUが被溶接部材100の第2厚板103に上方から付与され、固定側電極14による加圧力FLとエアシリンダ21、23による規制面ピース28b、29bによる制御加圧力Fαが薄板101に下方から付与される。
【0066】
この場合、加圧アクチュエータ15の加圧力が可動側電極17及びベース部11及びC形ヨーク13を介して固定側電極14に作用し、エアシリンダ21、23の制御加圧力が規制面ピース28b、29bとベース部11を介して可動側電極17に作用し、第2厚板103に作用する可動側電極17による加圧力FUと薄板101に作用する固定側電極14による加圧力FL及び規制面ピース28b、29bによる加圧力Fαの総和が等しくなる(FU=FL+Fα)。これにより、被溶接部材100が固定側電極14と可動側電極17及び規制面ピース28b、29bによって安定した状態で保持される。
【0067】
一方、被溶接部材100の溶接部には可動側電極17から第2厚板103に加圧力FUが付与され、固定側電極14から薄板101に加圧力FL、即ち可動側電極17による加圧力FUから規制面ピース28b、29bによる制御加圧力Fαを減じた大きさの加圧力が付与される(FL=FU−Fα)。
【0068】
この薄板101側に位置する固定側電極14の加圧力FLを第2厚板103側に位置する可動側電極17の加圧力FUより小さく(FL<FU)することで、薄板101と第1厚板102の接合部における接触圧力が、第1厚板102と第2厚板103間の接触圧力よりも小さくなり、相対的に薄板101と第1厚板102間の接触抵抗が大きくなると共に、第1厚板102と第2厚板103間の接触抵抗が小さくなる。
【0069】
固定側電極14と可動側電極17で被溶接部材100を挟持加圧付与し、かつ規制面ピース28b、29bによる制御加圧力Fαを付与した状態で、図6(e)のように可動側電極17と固定側電極14との間に所定時間通電して溶接する。この可動側電極17と固定側電極14との間に通電したときに、相対的に薄板101と第1厚板102の接合部の接触抵抗が大きくなり電流密度が高くなると共に、第1厚板102と第2厚板103間の接触抵抗が小さくなることから、薄板101と第1厚板102の間における発熱量が第1厚板102と第2厚板103の間における発熱量に対して相対的に増加する。そのため、薄板101から第2厚板103に亘る溶け込み量が確保されて偏りのない良好なナゲットNが形成され、薄板101の溶接強度を確保できる。
【0070】
この溶接が完了した後、図6(f)に示すように、加圧アクチュエータ15の作動により可動側電極17を加圧位置から退避位置に移動させて固定側電極14と可動側電極17とによる被溶接部材100の挟持を開放する。一方、エアシリンダ供給切換弁32を切り替えてエアシリンダ21、23の収縮側エア室内のエアを排出すると共に伸張側エア室にエアを供給してエアシリンダ21、23を伸張する。エアシリンダ21、23の伸張に伴って被溶接部材押さえ26を固定側電極14の先端より下方まで下降させる。そして、図6(f)に示すようにエアシリンダ21、23が伸張して第2退避位置に達すると第2退避位置検知センサS3が検知し、エア供給切換弁32が第2退避位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の伸張側エア室へのエア供給を停止し、かつ伸張側エア室内にエアを保持する。これにより、被溶接部材押さえ26が第2退避位置に保持される。
【0071】
次に、このエアシリンダ21、23が第2退避位置であることが第2退避位置検知センサS3の検知信号に確認されると、図6(g)に示すように溶接ロボット1を作動して、スポット溶接装置10を被溶接部材100の打点位置から退避させ、次の被溶接部材100の打点位置に移動する。
【0072】
このように構成された本実施の形態によると、剛性の低い薄板101、この薄板101より剛性の高い第1厚板102、第2厚板103が重ね合わされた3枚重ねの板組によって構成された被溶接部材100をスポット溶接するスポット溶接装置10が、ベース部11にC形ヨーク13を介して設けられた固定側電極14と、ベース部11に設けられた加圧アクチュエータ15によって固定側電極14に接離する可動側電極17と、固定側電極14と可動側電極17によって挟持加圧された被溶接部材100の薄板101における溶接位近傍に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段20を備え、固定側電極14によって加圧力FLを付与し可動側電極17によって加圧力FUを付与すると共に被溶接部材100の溶接位置近傍に制御加圧力Fαを付与することで、薄板101と第1厚板102間の接触圧力が第1厚板102と第2厚板103の接触圧力より小さく制御され、可動側電極17と固定側電極14を通電したときに薄板101と第1厚板102の接合部の電流密度が第1厚板102と第2厚板103の接合部の電流密度に対して相対的に高くなるため、薄板101から第2厚板103に亘って大きく溶け込んだ偏りのない良好なナゲットが形成され、薄板101の溶接強度を確保できる。特に、固定側電極14と可動側電極17によって挟持加圧して固定側電極14によって加圧力FLを付与し可動側電極17によって加圧力FUを付与すると共に被溶接部材100の接合部近傍に制御加圧力Fαを付与することから、被溶接部材100をクランプするクランプ位置に影響されることなく、種々の溶接位置において薄板101から第2厚板103に亘って偏りのない良好なナゲットが形成され、溶接品質が確保できる。
【0073】
なお、本実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々更可能である。例えば、上記実施の形態では制御加圧アクチュエータとしてエアシリンダ21,23を使用した場合を例に説明したが、サーボモータ等によって構成することもできる。
【0074】
また、制御加圧部として突状の規制面ピース28a、29a、28b、29bによって形成した場合を例に説明したが、被溶接部材100の形状等に応じて種々変更可能である。例えば、図8に図2と対応する図を示すように、各エアシリンダ21、23の先端から突出するシリンダロッド22、24の先端22a、24a間に掛け渡される連結プレート25に、突設された被溶接部材押さえ26の先端部に円弧状乃至凹状に切り欠き形成された電極挿入部27に沿って形成される規制部28及び29の下面に電極挿入部27に沿って突出する半円弧状の規制面ピース28A及び規制部28及び29の上面に電極挿入部27に沿って突出する半円弧状の規制面ピース28Bによって形成することができる。
【0075】
(第1参考例)
以下、本発明の第1参考例について図9〜図11を参照して説明する。図9はスポット溶接装置の構成図であり、図10はスポット溶接装置の要部拡大説明図である。図11は動作説明図である。なお、図9〜図11において、図1及び図2と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略する。
【0076】
本参考例のスポット溶接装置40は、実施の形態の制御加圧付与手段20に代えてロッド16に支持される制御加圧付与手段41によって構成される。
【0077】
図9及び図10に示すように、スポット溶接装置40のロッド16は、ベース部11から下方に突出する基端部16Aが比較的大径に形成された円柱状で、基端部16Aの先端側に段部16Bを介して基端部16Aより小径で円柱状に形成された軸部16Cが同軸上に連続形成され、軸部16Cの先端に形成されたシャンク部16Dに可動側電極17が装着される。軸部16Cは可動側電極17より大径に形成される。
【0078】
制御加圧付与手段41は、軸部16Cに嵌装可能な絶縁被覆処理された円筒状弾性部材、本参考例ではコイルスプリング42によって構成される。
【0079】
コイルスプリング42は、基端42aが段部16Bに当接して基端部42bが先端部16Cに嵌装してロッド16に装着され、無負荷状態において制御加圧部となる先端部42cが可動側電極17の先端から突出する有効長を有している。
【0080】
このように制御加圧付与手段41を備えたスポット溶接装置40において、固定側電極14が被溶接部材100の第2厚板103に当接した状態で加圧アクチュエータ15の作動により可動側電極17を加圧位置方向に移動させて薄板101に圧接させて固定側電極14と可動側電極17との間で被溶接部材100の溶接部を挟持すると共に加圧付与すると、コイルスプリング42の先端部42cが可動側電極17の先端に隣接する環状で薄板101に当接してコイルスプリング42が圧縮付与され、コイルスプリング42の反力によって先端部42cが圧接する可動側電極17の外周に沿って薄板101に制御加圧力Fαを付与する。
【0081】
このように固定側電極14と可動側電極17によって被溶接部材100を挟持加圧し、かつコイルスプリング42により薄板101に制御加圧力Fαを付与した状態では、図11に模式的に作動説明図を示すように固定側電極14による加圧力FLが被溶接部材100の第2厚板103に下方から付与され、可動側電極17による加圧力FLとコイルスプリング42による制御加圧力Fαが薄板101に付与される。この場合、第2厚板103に作用する固定側電極14による加圧力FLと薄板101に作用する可動側電極17による加圧力FUとコイルスプリング42による加圧力Fαの総和が等しくなり(FL=FU+Fα)、被溶接部材100の溶接部には固定側電極14から第2厚板103に加圧力FLが付与され、可動側電極17から薄板101に加圧力FUとして固定側電極14の加圧力FLからコイルスプリング42の制御加圧力Fαを減じた大きさの加圧力が付与される(FU=FL−Fα)。
【0082】
この薄板101側に位置する可動側電極17の加圧力FUを第2厚板103側に位置する固定側電極14の加圧力FLより小さく(FU<FL)付与することで、この可動側電極17と固定側電極14との間に通電したときに、相対的に薄板101と第1厚板102間の接触抵抗が大きくなり電流密度が高くなると共に、第1厚板102と第2厚板103間の接触抵抗が小さく保持されることから、薄板101と第1厚板102の間における発熱量が第1厚板102と第2厚板103の間における発熱量に対して相対的に増加して、薄板101から第2厚板103に亘って溶け込み偏りのない良好なナゲットNが形成され、溶接品質が確保される。
【0083】
これによると、実施の形態の制御加圧付与手段20に比べ、制御加圧付与手段41の構成が簡単でかつ、軽量でかつコンパクトに形成され、作業空間が比較的制限される部位におけるスポット溶接装置40の使用が可能になり、スポット溶接可能範囲が拡大する。また、コイルスプリング42の反発力等の仕様を変更することで容易に制御加圧力Fαの調整ができる。
【0084】
(第2参考例)
以下、本発明の第2参考例について、図12〜図17を参照して説明する。図12はスポット溶接装置の構成図、図13はスポット溶接装置の要部説明図である。図14は動作説明図である。なお、図12〜図14において、図1及び図2と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略する。
【0085】
図12において1は溶接ロボット、50は溶接ロボット1に支持されるスポット溶接装置、110はスポット溶接される被溶接部材である。
【0086】
溶接ロボット1及びスポット溶接装置50の説明に先立って、被溶接部材110について説明する。被溶接部材110は、重ね合わされた2枚の厚板の両側に薄板を重ね合わせた、例えば剛性の高い第1厚板102、第2厚板103が重ね合わされた両側にそれぞれ剛性の低い第1薄板101及び第2薄板104が重ね合わされた4枚重ねの板組によって構成される。
【0087】
溶接ロボット1は、例えば多関節型ロボットであり、複数のアーム2及びアーム2の先端部に取り付けられる手首3を有し、手首3にイコライザユニット4を介在して支持されるスポット溶接装置50を三次元方向に移動可能に構成する。そして、溶接ロボット1は、図示しないクランパ等によって所定の位置に保持された被溶接部材110の各打点位置、即ち溶接部にスポット溶接装置50を順次移動して被溶接部材110にスポット溶接を行う。
【0088】
スポット溶接装置50は、手首部3にイコライザユニット4を介して取り付けられるベース部11を備える。ベース部11に取り付けられたC形ヨーク13の下端先端に固定側電極14が取り付けられる。
【0089】
また、ベース部11の上端には、加圧アクチュエータ15が搭載される。加圧アクチュエータ15により固定側電極14と同軸線上で固定側電極14に接離する方向に往復動するロッド16の先端に固定側電極14と対向して可動側電極17が取り付けられる。これにより、可動側電極17は加圧アクチュエータ15の作動により固定側電極14から離反する上昇移動端の退避位置と被溶接部材110を固定側電極14と協働して挟持加圧する下方移動端の加圧位置との間で進退移動する。
【0090】
また、ベース部11には、固定側電極14及び可動側電極17によって挟持加圧された被溶接部材110に更に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段60が設けられる。
【0091】
制御加圧付与手段60は、図12及び図13に要部拡大斜視図を示すようにロッド16を隔てると共にC形ヨーク13側においてベース部11の両側に、基端が取り付けられる一対の制御加圧アクチュエータであるエアシリンダ21、23を備える。各エアシリンダ21、23はエア供給源31からのエアをエア供給切替弁32を介して伸張側エア室或いは収縮側エア室に選択的に供給することで、シリンダロッド22、24が伸張及び収縮すると共に、収縮側エア室或いは伸張側エア室にエアを保持することで該位置にシリンダロッド22、24が保持される。
【0092】
各エアシリンダ21、23の先端から突出するシリンダロッド22、24の先端間に被溶接部材110が間隙を持って挿入可能に上下に離間して対向する下側の第1連結プレート61及び上側の第2連結プレート65が掛け渡される。
【0093】
この第1連結プレート61の中央部、即ち第1連結プレート61におけるシリンダロッド22と24の先端間に基端部が結合されて先端部がC形ヨーク13側から離反する方向に延在する帯状の第1被溶接部材押さえ62が設けられる。第1被溶接部材押さえ62の先端部には可動側電極17及び固定側電極14の挿入が可能な円弧状乃至凹状に切り欠き形成された電極挿入部63が形成され、かつ電極挿入部63の両側に突出する一対の規制部64A、64Bが形成される。各規制部64A、64Bの上面にそれぞれ制御加圧部となる突状の規制面ピース64a、64bが設けられる。
【0094】
同様に、第2連結プレート65の中央部に基端部が結合されて先端部がC形ヨーク13側から離反する方向に延在する帯状の第2被溶接部材押さえ66が設けられる。第2被溶接部材押さえ66の先端部には可動側電極17及び固定側電極14の挿入が可能な円弧状乃至凹状に切り欠き形成された電極挿入部67が形成され、かつ電極挿入部67の両側に突出する一対の規制部68A、68Bが形成される。各規制部68A、68Bの下面にそれぞれ制御加圧部となる突状の規制面ピース68a、68bが設けられる。
【0095】
また、エアシリンダ21、23には、固定側電極14と可動側電極17によって挟持された被溶接部材110の第2薄板104の下面と隙間を有して規制面ピース64a、64bが対向し、第1薄板101の上面と隙間を有して規制面ピース6a、6bが隙間を有して対向するエアシリンダ21、23のシリンダロッド22、24の伸縮位置となる退避位置を検知する退避位置検知センサS5、固定側電極14と可動側電極17によって挟持された被溶接部材110の第2薄板104に規制面ピース64a、64bが下方から圧接した状態におけるエアシリンダ21、23の伸縮位置である第1加圧位置を検知する第1加圧位置検知センサS6、固定側電極14と可動側電極17によって挟持された被溶接部材110の第1薄板101に規制面ピース68a、68bが上方から圧接した状態におけるエアシリンダ21、23の伸縮位置である第2加圧位置を検知する第2加圧位置検知センサS7を備える。
【0096】
溶接ロボットコントローラRCには、溶接ロボット1のティーチングデータが格納され、ティーチングデータには、被溶接部材100の各溶接打点を順次スポット溶接するための作動プログラム及び各溶接打点を溶接するときのスポット溶接装置10の位置及び姿勢である打点位置が含まれる。また、溶接装置コントローラWCにはスポット溶接装置10の作動プログラム及び退避位置検知センサS5、第1加圧位置検知センサS6、第2加圧位置検知センサS7の検知に基づくエア供給切換弁32の作動制御が含まれる。
【0097】
例えば、エアシリンダ21、23が伸張側エア室にエアが供給されてエアシリンダ21、23が伸張して退避位置に達したことを退避位置検知センサS5が検知すると、その検知信号に基づいてエア供給切換弁32が退避位置に切り換えられて各伸張側エア室へのエア供給が停止すると共に伸張側エア室内にエアが保持されてエアシリンダ21、23が退避位置に保持される。退避位置からエア供給切換弁32が切り換えられて伸張側エア室内のエアが排出されると共に収縮側エア室内へエアが供給されて収縮するエアシリンダ21、23が第1加圧位置に達したことを第1加圧位置検知センサS6が検知すると、その検知信号に基づいてエア供給切換弁32が第1加圧位置に切り換えられ、各収縮側エア室内へのエア供給が停止すると共に収縮側エア室内にエアが保持されてエアシリンダ21、23が第1加圧位置に保持される。また、第1加圧位置からエア供給切換弁32が切り換えられて収縮側エア室のエアが排出されると共に伸張側エア室内へエアが供給されて伸張するエアシリンダ21、23が第2加圧位置に達したことを第2加圧位置検知センサS7が検知すると、その検知信号に基づいてエア供給切換弁32が第2加圧位置に切り換えられ、各伸張側エア室へのエア供給が停止すると共に伸張側エア室内のエアが保持されてエアシリンダ21、23が第2加圧位置に保持される。
【0098】
次に、スポット溶接装置50の作動を図14に示すスポット溶接装置作動工程図、図15及び図16を参照して説明する。
【0099】
被溶接部材110のスポット溶接にあたり、予め設定された作動プログラムに従い第1溶接工程において図14(a)に示すように可動側電極17が固定側電極14から離反した退避位置でかつ制御加圧付与手段60の退避位置検知センサS5がエアシリンダ21、23の退避位置を検知していないことが確認されると、溶接装置コントローラWCから作動信号によりエア供給切換弁32が切り替えられてエアシリンダ21、23の伸張側エア室内へのエア供給が開始されてエアシリンダ21、23が伸張する。伸張中に退避位置検知センサS5が退避位置を検知した場合はそこでエア供給を停止する。検知しない場合、エアシリンダ21、23の伸張に伴って第1被溶接部材押さえ62が固定側電極14の先端より下方となるまで下降する。そして、エアシリンダ21、23の収縮側エア室内へのエア供給が開始されてエアシリンダ21、23が収縮する。この間で図14(b)に示すようにエアシリンダ21、23が退避位置に達すると退避位置検知センサS5が検知し、エア供給切換弁32がエアシリンダ21、23の収縮側エア室へのエア供給を停止し、かつシリンダーブレーキにて第1被溶接部材押さえ62及び第2被溶接部材押さえ66が退避位置に保持される。
【0100】
次に、このエアシリンダ21、23が退避位置であることが退避位置検知センサS5の検知信号により確認されると、溶接ロボット1を作動し、予め設定されたプログラムに従いスポット溶接装置50を被溶接部材110の打点位置に移動し、図14(c)に示すように被溶接部材110の接合部が固定側電極14と可動側電極17及び規制面ピース64a、64bと規制面ピース68a、68bの間に位置し、かつ固定側電極14が打点位置に対応した第2薄板104の規定位置に当接した状態に位置決めする。
【0101】
このスポット溶接装置50が溶接位置に位置決めされた状態では、図14(c)に示すように固定側電極24の先端が被接溶接部材110の第2薄板104に下方から当接する一方、可動側電極17の先端及び規制面ピース68a、68bが第1薄板101と隙間を有して対向し、かつ規制面ピース64a、64bが第2薄板104と隙間を有して対向する。
【0102】
次に、図14(d)に示すように、固定側電極14が被溶接部材110の第2薄板104に当接した状態で加圧アクチュエータ15の作動により可動側電極17を退避位置から加圧位置方向に移動させて第1薄板101に圧接させる。これにより、加圧アクチュータ15の加圧力が可動側電極14とベース部11及びC形ヨーク13を介して可動側電極17とに作用し、可動側電極17と固定側電極14との間で被溶接部材110の溶接部を挟持すると共に加圧付与する。
【0103】
一方、エア供給切換弁32が切り換えられてエアシリンダ21、23の伸張側エア室内のエアを排出すると共に収縮側エア室内にエアが供給されてエアシリンダ21、23が収縮して第1被溶接部材押さえ62及び第2被溶接部材押さえ66が上昇して第1被溶接部材押さえ62の上面に設けられた規制面ピース64a、64bが固定側電極14の先端に隣接して被溶接部材110の第2薄板104に下方から圧接し、更に収縮するエアシリンダ21、23が第1加圧位置に達すると第1加圧位置検知センサS5が検知し、エア供給切換弁32が第1加圧位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の収縮側エア室へのエア供給を停止し、かつ収縮側エア室内にエアを保持する。
【0104】
この固定側電極14と可動側電極17によって被溶接部材110を挟持加圧し、かつエアシリンダ21、23によって規制面ピース64a、64bにより第2薄板104を加圧付与した状態では、図15に模式的に作動説明図を示すように固定側電極14による加圧力FLが被溶接部材110の第2薄板104に下方から付与され、可動側電極17による加圧力FUとエアシリンダ21、23による規制面ピース64a、64bによる第1制御加圧力Fαが固定側電極14の先端に隣接して第2薄板104に付与される。
【0105】
この場合、図15に概略的に示すように加圧アクチュエータ15の加圧力が可動側電極17とベース部11及びC形ヨーク13を介して固定側電極14に作用し、シリンダ21、23の制御加圧力が規制面ピース64a、64bに作用し、第2薄板104に作用する固定側電極14による加圧力FLと規制面ピース64a、64bによる第1制御加圧力Fαの総和と可動側電極17による第1薄板101に作用する加圧力FUが等しくなる(FU=FL+Fα)。これにより、被溶接部材110が固定側電極14と可動側電極17及び規制面ピース64a、64bによって安定した状態で挟持される。
【0106】
一方、被溶接部材110の溶接部には可動側電極17から第1薄板101に加圧力FUが付与され、固定側電極14から第2薄板104には加圧力FLとして可動側電極17による加圧力FUから規制面ピース64a、64bによる第1制御加圧力Fαを減じた大きさの加圧力が付与される(FL=FU−Fα)。
【0107】
このように固定側電極14による加圧力FLは可動側電極17の加圧力FUより小さくなる(FL<FU)。
【0108】
次に、固定側電極14と可動側電極17で被溶接部材110を挟持加圧し、かつ規制面ピース64a、64bによる制御加圧力を付与して第2薄板104側に位置する固定側電極14の加圧力FLを第1薄板104側に位置する可動側電極17の加圧力FUより小さく付与した状態で、図14(e)のように可動側電極17と固定側電極14との間に所定時間通電して溶接する。この溶接にあたり、可動側電電極17と固定側電極14との間に通電したとき第2薄板104と第2厚板103の接合部における電流密度が大きく発熱量が第1薄板101と第1厚板102の接合部における発熱量に対して相対的に増加し、第2薄板104と第2厚板103との接合部から第1厚板102と第2厚板103との接合部に亘って溶け込み量が大きく良好なナゲットN1が形成され、第2薄板104と第2厚板103の溶接強度が確保できる。
【0109】
この溶接が完了すると、第2溶接工程において図14(f)のようにエア供給切換弁32が切り換えられてエアシリンダ21、23の収縮側エア室内のエアを排出すると共に伸張側エア室内にエアが供給されてエアシリンダ21、23が伸張して第1被溶接部材押さえ62が下降して被溶接部材110の第2薄板104から離れる一方、第2被溶接部材押さえ66が下降して規制面ピース68a、68bが可動側電極17の先端に隣接して被溶接部材110の第1薄板101に上方から圧接し、更に伸張するエアシリンダ21、23が第2加圧位置に達すると第2加圧位置検知センサS7が検知し、エア供給切換弁32が第2加圧位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の伸張側エア室へのエア供給を停止し、かつ伸張側エア室内にエアを保持する。
【0110】
この固定側電極14と可動側電極17によって被溶接部材110を挟持加圧し、かつエアシリンダ21、23によって規制面ピース68a、68bにより第1薄板101を加圧付与した状態では、図16に模式的に作動説明図を示すように固定側電極14による加圧力FLが第2薄板104に下方から付与され、可動側電極17による加圧力FUとエアシリンダ21、23による規制面ピース68a、68bによる第2制御加圧力Fβが第1薄板101に付与される。
【0111】
この場合、第2薄板104に作用する固定側電極14による加圧力FLが、第1薄板101に作用する可動側電極17の加圧力FUと規制面ピース64a、64bによる第2制御加圧力Fβの総和と等しくなる(FL=FU+Fβ)。これにより、被溶接部材110が固定側電極14と可動側電極17及び規制面ピース68a、68bによって安定した状態で挟持される。
【0112】
一方、被溶接部材110の溶接部には、固定側電極14から第2薄板104に加圧力FLが付与され、可動側電極17から第1薄板101に加圧力FUとして固定側電極14による加圧力FLから規制面ピース68a、68bによる第2制御加圧力Fβを減じた大きさの加圧力が付与される(FU=FL−Fβ)。
【0113】
このように可動側電極17による加圧力FUを固定側電極14の加圧力FLより小さくなる(FU<FL)。
【0114】
この固定側電極14と可動側電極17で被溶接部材110を挟持加圧付与し、かつ規制面ピース68a、68bによる第2制御加圧力を付与して第1薄板101側に位置する可動側電極17の加圧力FUを第2薄板104側に位置する固定側電極14の加圧力FLより小さく付与した状態で、図14(g)のように可動側電極17と固定側電極14との間に所定時間通電して溶接する。この溶接にあたり、可動側電極17と固定側電極14との間に通電したとき第1薄板101と第1厚板102の接合部における電流密度が第2薄板104と第2厚板103の接合部における電流密度に対して増加し、第1薄板101と第1厚板102との接合部に溶け込み量が大きな良好なナゲットN2が形成され、第1薄板101と第1厚板102の溶接強度が確保できる。
【0115】
即ち、第1溶接工程において第2薄板104と第2厚板103との接触圧力を小さくして可動側電極17と固定側電極14との間に通電して積極的に第2薄板104と第2厚板103の間にナゲットN1を形成して溶接強度を確保し、しかる後、第2溶接工程において第1薄板101と第1厚板102との接触圧力を小さくして可動側電極17と固定側電極14との間に通電して積極的に第1薄板101と第1厚板102と接触箇所にナゲットN2を形成して溶接強度を確保することで第1薄板101、第1厚板102、第2厚板103、第2薄板104が重ね合わされた4枚重ねの被溶接部材110の溶接部の溶接強度が確保でき、溶接品質が確保できる。
【0116】
この溶接が完了した後、図14(h)に示すように、加圧アクチュエータ15の作動により可動側電極17を加圧位置から退避位置に移動させて固定側電極14と可動側電極17とによる被溶接部材110の挟持を開放する。一方、エアシリンダ供給切換弁32を切り換えてエアシリンダ21、23の伸張側エア室内のエアを排出すると共に収縮側エア室内にエアを供給してエアシリンダ21、23を収縮する。そして、収縮するエアシリンダ21、23が退避位置に達すると、退避位置センサS5が検知し、エア供給切換弁32が退避位置に切り換えられてエアシリンダ21、23の収縮側エア室へのエア供給を停止し、かつ収縮側エア室内のエアを保持する。これにより、第1被溶接部材押さえ62及び第2被溶接部材押さえ66が退避位置に保持される。
【0117】
次に、このエアシリンダ21、23が退避位置であることが退避位置検知センサS5の検知信号に確認されると、溶接ロボット1を作動して、スポット溶接装置50を被溶接部材110の打点位置から退避させ、次の被溶接部材110の打点位置に移動する。
【0118】
このように構成された本実施の形態によると、剛性の高い第1厚板102及び第2厚板103の両面に剛性の低い第1薄板101及び第2薄板104が重ね合わされた4枚重ねの板組によって構成された被溶接部材110をスポット溶接するスポット溶接装置50が、ベース部11にC形ヨーク13を介して設けられた固定側電極14と、ベース部11に設けられた加圧アクチュエータ15によって固定側電極14に接離する可動側電極17と、固定側電極14と可動側電極17によって挟持加圧された被溶接部材100の第1薄板101及び第2薄板104における溶接位置近傍に選択的に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段60を備え、固定側電極14と可動側電極17によって挟持加圧して固定側電極14によって加圧力FLを付与し可動側電極によって加圧力FUを付与すると共に第2薄板104の溶接位置近傍に第1制御加圧力Fαを付与することで、第2薄板104と第2厚板103間の接触圧力が第1厚板102と第1薄板101の接触圧力より小さく制御され、可動側電極17と固定側電極14を通電したときに第2薄板104と第2厚板103の接合部における発熱量が第1厚板102と第1薄板101の接合部における発熱量に対して相対的に増加する。そのため第2薄板104と第2厚板103の溶接強度が確保される。
【0119】
同様に第1薄板101に第2制御加圧力Fβを付与することで、第1薄板101と第1厚板102間の接触圧力が第2厚板103と第2薄板104の接触圧力より小さくなり、可動側電極17と固定側電極14を通電したときに第1薄板101と第1厚板102の接合部における電流密度が第2厚板103と第2薄板104の接合部における電流密度に対して相対的に増加する。そのため、第1薄板101と第2厚板102の溶接強度が確保され、剛性の高い第1厚板102及び第2厚板103の両面に剛性の低い第1薄板101及び第2薄板104が重ね合わされた4枚重ねの板組によって構成された被溶接部材110の溶接品質が確保できる。特に、被溶接部材110をクランプするクランプ位置に影響されることなく、固定側電極14と可動側電極17によって挟持加圧して固定側電極14によって加圧力FLを付与し可動側電極によって加圧力FUを付与すると共に被溶接部材110の溶接位置近傍に制御加圧力を付与することが可能であり、種々の溶接位置において第1薄板101から第2薄板104に亘って良好なナゲットが形成され、第1薄板101の溶接強度を確保できる。
【0120】
なお、本実施の形態に限定されることなく発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では制御加圧アクチュエータとしてエアシリンダ21、23を使用した場合を例に説明したが、サーボモータ等によって構成することもできる。
【0121】
また、制御加圧部として突状の規制面ピース64a、64b、68a、68bによって形成した場合を例に説明したが、被溶接部材部材110の形状等に応じて種々変更可能である。例えば、図17に図13と対応する図を示すように、第1被溶接部材押さえ62の先端部に円弧状乃至凹状に切り欠き形成された電極挿入部63に沿って形成される規制部64A及び64Bの上面に電極挿入部63に沿って上方に突出する半円弧状の規制面ピース70及び第2被溶接部材押さえ66の先端部に円弧状乃至凹状に切り欠き形成された電極挿入部67に沿って形成される規制部68A及び68Bの下面に電極挿入部67に沿って下方に突出する半円弧状の規制面ピース71によって形成することができる。
【0122】
また、実施の形態や参考例においては、所望の制御加圧力Fα、Fβが得られる加圧付与位置を被溶接部材の板厚や加圧力FL、FUに基づいてあらかじめ算出しておき、規制面ピースの位置が該加圧付与位置となるようにエアシリンダを制御するようにしているが、制御加圧付与手段によって制御加圧部としての規制面ピースから所望の制御加圧力Fα、Fβが得られるのであれば、エアシリンダのエア室へ供給されるエア量やエア圧をパラメータとして制御したり、規制面ピースと薄板との間の圧力を直接検出しながら制御したりするように構成することもできる。
【符号の説明】
【0123】
1 溶接ロボット
10 スポット溶接装置
11 ベース部
13 C形ヨーク
14 固定側電極(第1溶接電極)
15 加圧アクチュエータ
16 ロッド
17 可動側電極(第2溶接電極)
20 制御加圧付与手段
21、23 エアシリンダ(制御加圧アクチュエータ)
22、24 シリンダロッド
25 連結プレート
26 被溶接部材押さえ
26a 基端部
28a、29a 規制面ピース(制御加圧部)
28b、29b 規制面ピース(制御加圧部)
28A、28B 規制面ピース(制御加圧部)
40 スポット溶接装置
41 制御加圧付与手段
42 コイルスプリング
42b 基端部
42c 先端部
50 スポット溶接装置
60 制御加圧付与手段
61 第1連結プレート
65 第2連結プレート
62 第1被溶接部材押さえ
64a、64b 規制面ピース(制御加圧部)
66 第2被溶接部材押さえ
66a 基端部
68a、68b 規制面ピース(制御加圧部)
70、71 規制面ピース(制御加圧部)
100 被溶接部材
101 薄板(第1薄板)
102 第1厚板
103 第2厚板
104 第2薄板
110 被溶接部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板、該薄板より板厚が大きい第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接装置において、
ヨークに支持されて上記第2厚板に当接する第1溶接電極と、該第1溶接電極と対向して上記薄板に当接する第2溶接電極と、該第2溶接電極に隣接して上記薄板に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段とを備え、
上記制御加圧付与手段は、上記ヨークと上記第1溶接電極及び第2溶接電極との間に介在する連結プレートと、該連結プレートに配設される被溶接部材押さえとによって構成し、
上記第2溶接電極と上記第1溶接電極と上記被溶接部材押さえによる挟持加圧状態で上記第2溶接電極と第1溶接電極との間で通電してスポット溶接することを特徴とするスポット溶接装置。
【請求項2】
上記被溶接部材押さえは、
上記第1溶接電極及び第2溶接電極の挿入が可能な円弧状乃至凹部上に切り欠き形成された電極挿入部が形成されることを特徴とする請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項3】
上記電極挿入部は、
上記ヨークと逆方向が開口した円弧状乃至凹部に切欠き形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスポット溶接装置。
【請求項4】
上記被溶接部材押えは、
上記第1溶接電極及び第2溶接電極の軸心を中心とする対称位置に少なくとも一対の規制部が配設されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスポット溶接装置。
【請求項5】
上記被溶接部材押えは、
規制部が電極挿入部に配設されることを特徴とする請求項4に記載のスポット溶接装置。
【請求項6】
薄板、該薄板より板厚が大きい第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接装置において、
ヨークに支持されて上記第2厚板に当接する第1溶接電極と、該第1溶接電極と対向して上記薄板に当接する第2溶接電極と、該第2溶接電極に隣接して上記薄板に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段とを備え、
上記制御加圧付与手段には、上記ヨークと第1溶接電極及び第2溶接電極との間に介在する連結プレートと、該連結プレートに配設される被溶接部材押さえとによって構成し、
上記被溶接部材押さえは、少なくとも上記第2溶接電極を挟む両側から上記薄板を加圧し、
上記第2溶接電極と上記第1溶接電極と上記被溶接部材押さえによる挟持加圧状態で上記第2溶接電極と第1溶接電極との間で通電してスポット溶接することを特徴とするスポット溶接装置。
【請求項7】
薄板、該薄板より板厚が大きい第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接装置において、
ヨークに支持されて上記第2厚板に当接する第1溶接電極と、該第1溶接電極と対向して上記薄板に当接する第2溶接電極と、該第2溶接電極に隣接して上記薄板に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段とを備え、
上記制御加圧付与手段は、上記ヨークと第1溶接電極及び第2溶接電極との間に介在する連結プレートと、該連結プレートに配設される被溶接部材押さえとによって構成し、
上記被溶接部材押えは、上記第2溶接電極に隣接すると共に、該第2溶接電極に沿って規制部が配設され、
上記第2溶接電極と上記第1溶接電極と上記被溶接部材押さえによる挟持加圧状態で上記第2溶接電極と第1溶接電極との間で通電してスポット溶接することを特徴とするスポット溶接装置。
【請求項8】
上記規制部は、
上記被溶接部材押さえの先端部に設けられることを特徴とする請求項7に記載のスポット溶接装置。
【請求項9】
上記規制部は、
半円弧状であることを特徴とする請求項7または8に記載のスポット溶接装置。
【請求項10】
上記規制部は、
頂部が球面に突出する突状であることを特徴とする請求項7または8に記載のスポット溶接装置。
【請求項11】
薄板、該薄板より板厚が大きい第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接装置において、
ヨークに支持されて上記第2厚板に当接する第1溶接電極と、該第1溶接電極と対向して上記薄板に当接する第2溶接電極よ、該第2溶接電極に隣接して上記薄板に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段とを備え、
上記制御加圧付与手段は、上記ヨークと第1溶接電極及び第2溶接電極との間に介在する連結プレートと、該連結プレートに配設される被溶接部材押さえとによって構成し、上記第1溶接電極を支持するベース部に支持され、第1溶接電極及び第2溶接電極とヨークとの間に介在し、
上記第2溶接電極と上記第1溶接電極と上記被溶接部材押さえによる挟持加圧状態で上記第2溶接電極と第1溶接電極との間で通電してスポット溶接することを特徴とするスポット溶接装置。
【請求項12】
上記制御加圧付与手段は、
上記連結プレートを支持すると共に該連結プレートを上記第2溶接電極に隣接して上記薄板に当接して制御加圧力を付与する加圧付与位置と被溶接部材から離反する退避位置との間で進退移動せしめる制御加圧アクチュエータとを有し、
上記制御加圧アクチュエータは、一対のシリンダを平行配置することを特徴とする請求項11に記載のスポット溶接装置。
【請求項13】
薄板、該薄板より板厚が大きい第1厚板、第2厚板を順に重ね合わせた被溶接部材をスポット溶接するスポット溶接装置において、
ヨークに支持されて上記第2厚板に当接する第1溶接電極と、該第1溶接電極と対向して上記薄板に当接する第2溶接電極と、該第2溶接電極に隣接して上記薄板に制御加圧力を付与する制御加圧付与手段とを備え、
上記制御加圧付与手段は、上記ヨークと第1溶接電極及び第2溶接電極との間に介在する連結プレートと、該連結プレートに配設される被溶接部材押さえとによって構成し、
上記連結プレートを支持すると共に該連結プレートを上記第2溶接電極に隣接して上記薄板に当接して制御加圧力を付与する加圧付与位置と、
被溶接部材から離反する退避位置との間で進退移動せしめる制御加圧アクチュエータと、
上記制御加圧アクチュエータのシリンダロッドの位置を検知する位置検知センサを有し、
上記第2溶接電極と上記第1溶接電極と上記被溶接部材押さえによる挟持加圧状態で上記第2溶接電極と第1溶接電極との間で通電してスポット溶接することを特徴とするスポット溶接装置。
【請求項14】
上記位置検知センサは、
上記制御加圧アクチュエータのシリンダロッドが、退避位置にあることを検知する退避位置検知センサであることを特徴とする請求項13に記載のスポット溶接装置。
【請求項15】
上記退避位置検知センサは、
上記制御加圧アクチュエータのシリンダロッドが、上昇移動端となる第1退避位置にあることを検知する第1退避位置検知センサであることを特徴とする請求項14に記載のスポット溶接装置。
【請求項16】
上記退避位置検知センサは、
上記制御加圧アクチュエータのシリンダロッドが、下降移動端となる第2退避位置にあることを検知する第2退避位置検知センサであることを特徴とする請求項14に記載のスポット溶接装置。
【請求項17】
上記位置検知センサは、
上記制御加圧アクチュエータのシリンダロッドが、被溶接部材に圧接した状態における伸張位置にあることを検知する加圧位置検知センサであることを特徴とする請求項13に記載のスポット溶接装置。
【請求項18】
上記加圧位置検知センサは、
上記制御加圧アクチュエータのシリンダロッドが、上方より被溶接部材に圧接した状態における伸張位置にあることを検知する第1加圧位置検知センサであることを特徴とする請求項17に記載のスポット溶接装置。
【請求項19】
上記加圧位置検知センサは、
上記制御加圧アクチュエータのシリンダロッドが、下方より被溶接部材に圧接した状態における伸張位置にあることを検知する第2加圧位置検知センサであることを特徴とする請求項17に記載のスポット溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−18055(P2013−18055A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204317(P2012−204317)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2010−200643(P2010−200643)の分割
【原出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】