説明

スライサ

【課題】 作業効率が高く、且つ小さな設置面積で済むスライサを提供する。
【解決手段】 平行に設けられた板状体2a〜2iで構成され、該板状体2a〜2iに跨る外周面にホールド凹部20a、20b及び20cを有し、且つこれらの板状体が軸22に固定されてなるロータ2と、ロータ2の各板状体の間に平行に配され、且つロータ2部分に接触しないように設置された、スライス用ワイヤ3a〜3hと、ロータ2の軸に連結され、ロータの回転角度を調整可能な状態で回動せしめる回転駆動部と、ロータ2のホールド凹部20a、20b及び20cからスライスされたゆで卵が取り出されたことを検知するセンサ4と、センサ4により、ホールド凹部20a、20b又は20cからゆで卵が取り出されたことが検知された場合に、回転駆動部の駆動制御を行って、ロータ2の回転角度を制御する制御部とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物など比較的柔らかいものの薄切り用、特にゆで卵のスライス用に使用されるスライサに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1〜3に示すゆで卵スライサは、ゆで卵を所定部分において、その上から平行なスライス刃を下方に降ろし、該ゆで卵を、所定の厚みにスライスする構成である。
【0003】
また業務用に使用されるゆで卵スライサも、複数並べたゆで卵に対し、その上から平行なスライス刃を下方に降ろし、これらのゆで卵を、所定の厚みにスライスする構成であることで共通している。
【特許文献1】実用新案登録第3018473号
【特許文献2】特開2003−251591号
【特許文献3】特表2010−533603号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記構成であると、1)ゆで卵を所定の決められた位置に置き、2)スライス刃を降ろし、3)スライスされたゆで卵片を取り出す、という少なくとも3工程を行わなければならず、特に業務用のスライサでは、複数のゆで卵に対して、1)と3)の工程を、ゆで卵1つ1つに行わなければならず、工程数が多くなって、作業効率が悪いと言った問題があった。また業務用のものは、ゆで卵を複数並べて行うため、装置サイズが大きくなり、設置面積を余計にとると言ったことも問題になっていた。
【0005】
本発明は、以上のような問題に鑑み創案されたもので、作業効率が高く、且つ小さな設置面積で済むスライサを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスライサの構成は、
平行に設けられた複数の板状体で構成されると共に、それらの板状体に跨る外周面に少なくとも1つのホールド凹部を有し、且つこれらの板状体が1つの軸に固定されてなるロータと、
該ロータの各板状体の間に平行に配され(且つ上記ロータ部分に接触しないように設置され)た複数のスライス刃と、
上記ロータの軸に連結され、該ロータの回転角度を調整可能な状態で回動せしめる回転駆動部と
を有することを基本的特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、搬送路等により運ばれてきた、例えばゆで卵などの被スライス材が、上記ロータのホールド凹部にホールドされると、上記回転駆動部により該ロータが所定角度回転せしめられ、被スライス材は、スライス刃で複数にスライスされ、さらにそのロータの回転により、スライスされたものがホールド凹部から外部に切り落とされた状態で、取り出されることになる。この場合に、スライス刃は、薄いものほど良く、ワイヤのような構成が望ましい。
【0008】
従って、ロータが回転するだけで、ゆで卵などの被スライス材がロータのホールド凹部にホールドされ、続いてスライス刃でスライスされ、さらにスライスされたものがホールド凹部から外部に切り落とされた状態で、取り出されることになるので、上記の従来技術のような1)、2)、3)と言った別々の作業工程が、一連の作業で一遍に行われることになって、作業効率が飛躍的に改善することになる。またロータとそのロータの板状体間に設置されるスライス刃とロータを回動せしめる回転駆動部といったコンパクトな構成のために、装置サイズが小さくなり、その設置面積も当然小さくて済むことになる。
【0009】
また上記ロータのホールド凹部は、複数の板状体に跨る外周面に2乃至3、或いはそれ以上、設けても構わない。その数が多ければ多いほど、以上の作業が連続的に、しかも高速で行われることになる。
【0010】
本願の2つ目の発明に係るスライサの構成は、
平行に設けられた複数の板状体で構成されると共に、それらの板状体に跨る外周面に少なくとも1つのホールド凹部を有し、且つこれらの板状体が1つの軸に固定されてなるロータと、
該ロータの各板状体の間に平行に配され(且つ上記ロータ部分に接触しないように設置され)た複数のスライス刃と、
上記ロータの軸に連結され、該ロータの回転角度を調整可能な状態で回動せしめる回転駆動部と、
上記ロータのホールド凹部からスライスされた被スライス材が取り出されたことを検知する、又は被スライス材のロータ入り側でホールド凹部に被スライス材がホールドされたことを検知するセンサと、
該センサにより、ホールド凹部からスライスされた被スライス材が取り出されたことが、又はロータ入り側でホールド凹部に被スライス材がホールドされたことが、検知された場合に、上記回転駆動部の駆動制御を行って、ロータの回転角度を制御する制御部と
を有している。
【0011】
この発明の構成では、上記センサ及び制御部をさらに有している。本構成は、センサが何を検出するかで、以下のように二つに分かれる。
【0012】
1つ目は、ロータのホールド凹部からスライスされた被スライス材が手動で取り出されたことが該センサにより検知されることである。そのような検知が行われると、次のスライス処理が行えるので、次のホールド凹部にホールドされた被スライス材のスライス処理を行うように、上記センサ検出後制御部により、ロータを回転駆動させる。ここで、該ロータのホールド凹部(ロータ上にホールド凹部が2つ以上ある場合は次のホールド凹部)が搬送路等につながる状態のところでロータの回転をストップさせる。さらにこのホールド凹部に被スライス材がホールドされ、このロータが回転されると、スライス刃によって、被スライス材はスライスされて、スライスされたものがホールド凹部にホールドされ、本スライサ前方に出てくる。それを手動で取り去る。その取り去ったことが再びセンサが検出すると、上記制御部により、以上の処理を繰り返す。
【0013】
2つ目は、上記のような手動取り出しではなく、被スライス材が本スライサに自動的に搬入されて、ロータ入り側でホールド凹部に被スライス材がホールドされたことがセンサにより検出されることである。すなわち、制御部により、ロータのホールド凹部が搬送路等につながる状態のところでロータの回転をストップさせ、センサによりゆで卵などの被スライス材がロータのホールド凹部にホールドされたことが、上記センサにより検知される。すると、上記制御部により、ロータを回転駆動させ、該ロータが回転している間に、スライス刃によって、被スライス材はスライスされ、さらにスライスされたものがホールド凹部から外部に切り落とされた状態で、他の搬送装置などに自動的に取り出されることになる。その後、上記制御部により、再びロータのホールド凹部(ロータ上にホールド凹部が2つ以上ある場合は次のホールド凹部)が搬送路等につながる状態のところでロータの回転をストップさせ、上記処理を繰り返す。
【0014】
1つ目のセンサの役割を持つ構成の方では、制御部による以上の駆動制御が正確に行われ、被スライス材を取り去る作業者の動きに合わせて、連続的に、しかも確実に、スライス処理が行われることになる。
【0015】
また、2つ目のセンサの役割を持つ構成の方では、制御部による以上の駆動制御が正確に行われ、スライス作業が、連続的にしかも高速で行われるだけでなく、センサで被スライス材がロータのホールド凹部にホールドされたことを検知して、ロータを回転駆動させて、スライスを行わせるので、被スライス材がホールド凹部に無い状態でのスライス処理(所謂空振り状態でのスライス処理)が行われないことになる。
【0016】
以上の場合も、上記ロータのホールド凹部は、複数の板状体に跨る外周面に2乃至3、或いはそれ以上、設けても構わない。その数が多ければ多いほど、そのホールド凹部の数だけ、ロータが1回転する間に、本スライサによるスライス処理が可能なため、上述のように、制御部による正確な駆動制御がなされて、連続的で正確なスライス処理、しかも、より高速な処理が行われることになる。
【0017】
また、上記ロータの各板状体で構成されるホールド凹部につき、その凹部の接触部分の形状が、被スライス材の形状に応じて、例えば被スライス材がゆで卵であった場合に、凹部の接触部分の形状が、卵形(擬似的にはフットボール型)に構成されていると、スライス後に取り出される被スライス材は、スライスされただけの元の形状のままの状態で、切り落とされることになる。これまでの従来のスライサは、スライス後スライス刃を上にあげた状態では、被スライス材が、真ん中を中心に左右に開き、広がった状態で、切り落とされるため、それを取り出すことは容易ではなく、その取り出し作業にかなり熟練を要するか、時間がかかる作業となっていた。しかし、以上のような形状のホールド凹部の構成とすることで、スライスだけが終わった元の状態のまま取り出されることになるため、その取り出しが簡単にでき、しかも、被スライス材を使った製品の後の盛りつけも、簡単で、きれいにできるようになる。
【0018】
さらに、上記のスライス刃について、その長手方向に該スライス刃を微動振動させる振動部を有する構成とすると、上記回転駆動部により該ロータが所定角度回転せしめられて、ロータのホールド凹部にホールドされた被スライス材は、スライス刃に接触して複数にスライスされるが、その際、スライス刃に単に当たってスライスされるよりも、そのスライス刃がその長手方向に微動振動して、擦られることにより、よりスムーズにスライスされ、且つきれいな切断面が得られることになる。
【0019】
尚、被スライス材は、上述のゆで卵だけではなく、柔らかで、上記スライス刃で切断できるものであれば、特に限定はなく、例えば野菜、果物、チーズなどの乳製品、その他、色々なものに使用できる。
【発明の効果】
【0020】
以上のような本発明の構成を有するスライサによれば、作業効率が高く、且つ小さな設置面積で済むことになるという優れた効果を奏し得る。
【0021】
特に、1つ目の構成によれば、従来技術のような1)、2)、3)と言った別々の作業工程が、一連の作業で一遍に行われることになって、作業効率が飛躍的に改善することになる他、ロータとそのロータの板状体間に設置されるスライス刃とロータを回動せしめる回転駆動部といったコンパクトな構成のために、装置サイズが小さくなり、その設置面積も当然小さくて済むことになる。
【0022】
また2つ目の構成によれば、センサの1つ目の役割を達成する構成(ロータのホールド凹部からスライスされた被スライス材が手動で取り出されたことが該センサにより検知される構成)では、特に、被スライス材を取り去る作業者の動きに合わせて、連続的に、しかも確実に、スライス処理が行われることが可能となる。
【0023】
さらに、2つ目の構成における、センサの2つ目の役割を達成する構成(被スライス材が搬入されて、ロータ入り側でホールド凹部に被スライス材がホールドされたことがセンサにより検出される構成)では、特に、スライス作業が、連続的にしかも高速で行われるだけでなく、センサで被スライス材がロータのホールド凹部にホールドされたことを検知して、ロータを回転駆動させて、スライスを行わせるので、被スライス材がホールド凹部に無い状態でのスライス処理が行われなくなる。
【0024】
加えて、上記のスライス刃について、その長手方向に該スライス刃を微動振動させる振動部のある構成を有している場合、ロータが所定角度回転せしめられて、ロータのホールド凹部にホールドされた被スライス材は、スライス刃に単に当たってスライスされるよりも、そのスライス刃がその長手方向に微動振動して、擦られることにより、よりスムーズにスライスされ、且つきれいな切断面が得られるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づき、説明する。
【実施例1】
【0026】
図1は、2つ目の本発明に係るスライサ1の構成斜視図である。本スライサ1は、一例としてゆで卵のスライサの構成である。
【0027】
同図(正確には図1〜図7)に示すように、3つのホールド凹部20a、20b及び20cを有するロータ2と、該ロータ2部分に接触しないように設置された8本のスライス用ワイヤ3a〜3h(本願構成で言うスライス刃に相当する、以下同じ)と、該ロータ2を回動せしめる回転駆動部(図示なし)と、センサ4と、上記回転駆動部の回転角度を制御する制御部(図示無し)とを有している。
【0028】
上記ロータ2は、平行に設けられた9枚のある程度の厚みを有するアクリル性板状体2a〜2iで構成されると共に、それらの板状体2a〜2iに跨る外周面に3つのホールド凹部20a、20b及び20cを有し、且つこれらの板状体2a〜2iが1つの軸22に固定されている。
【0029】
またロータ2の各板状体2a〜2iの外周面に構成されるホールド凹部20a、20b及び20cにつき、その凹部の接触部分の形状が、図2に示されるように、板状体2aから板状体2hにかけて、被スライス材であるゆで卵の形状を受けやすいキャッチャーミット或いはフットボール型に凹んだ状態に構成されている。さらに図1に示すように、ホールド凹部20a、20b及び20cが形成された各板状体2a〜2iの部分は、側面から見た場合に、各J状(鎌形状)に、切り欠かれている。
【0030】
そして、上述のように8本のスライス用ワイヤ3a〜3hは、図3に示すように、該ロータ2の各板状体2a〜2iの間に平行に配され、且つ上記ロータ2のいずれの部分にも接触しないように設置されており、後述するように、搬入シュート100によって、本スライサ1の後方からホールド凹部にゆで卵が入ってそこでホールドされた場合に、ロータ2が装置前方(手前側)に回転することで、そのままの状態で、該ゆで卵をスライスすることになる。そのため、ゆで卵は、ホールド凹部にホールドされたまま、9枚にスライスされる。
【0031】
上記回転駆動部は、上記ロータ2の軸22に連結され、該ロータ2の回転角度を調整可能な状態で回動せしめるステッピングモータで構成されている。後述のように、該回転駆動部は、制御部により、その回転角度が制御される。
【0032】
上記センサ4は、図1に示すように、スライス用ワイヤ3a〜3hでスライスされた後の、本スライサ1の前方位置で、そのゆで卵を認識し、それが手動で取り去られたことを検知する構成である。
【0033】
上記制御部は、上記センサ4により、ホールド凹部20a、20b又は20cから、スライスされたゆで卵が取り去られたことが検知された場合に、上記回転駆動部の駆動制御を行って、ロータ2の回転角度を1/3だけ前方に回すように、制御する構成である。
【0034】
尚、ゆで卵の本スライサ1への搬送は、図4、6及び7に示すように、本スライサ1後方のちょうどホールド凹部20b、20c及び20aが停止する位置に、ゆで卵を搬入できる搬入シュート100が設置され、それにより行われている。また110は本スライサ1の起動スイッチ、120は起動ランプである。
【0035】
以上の構成を有する本実施例のスライサ1の使用状態につき、以下説明する。
【0036】
まず、本スライサ1は、装置が起動すると、回転駆動部により、搬入シュート100入り側にホールド凹部20a、20b又は20cのいずれかが、開口した状態(すなわち搬入物が搬入シュート100からいずれかのホールド凹部に連通する状態)にセットされる。
【0037】
そして、図4及び図6に示すように、搬入シュート100に複数のゆで卵を置き、次々に本スライサ1の入り側に搬送させる。すると、ロータ2のホールド凹部20a、20b又は20cに、最初のゆで卵がホールドされる。次に回転駆動部はロータ2を1/3回転させ、その間に、このホールド凹部20a、20b又は20cにホールドされたゆで卵は、スライス用ワイヤ3a〜3hによって、9枚にスライスされる。そして、該ホールド凹部20a、20b又は20cが、図1に示すように、本スライサ1前方位置にある状態で、ロータ2の回転が止まる。
【0038】
この状態で、作業者がスライスされたゆで卵を手で抜き取る。この際、上述のように、ホールド凹部20a、20b及び20cの凹部の接触部分の形状が、図2に示されるように、板状体2aから板状体2hにかけて、ゆで卵を受けやすいキャッチャーミット或いはフットボール型に凹んだ状態にされているため、ゆで卵が真ん中を中心に左右に開き、広がった状態で取り出されることなく、スライスだけが終わった元の状態のまま取り出されることになる。そのため、その取り出しが簡単にでき、しかも、被スライス材を使った製品の後の盛りつけも、簡単で、きれいにできるようになる。
【0039】
以上の取り出しが終わると、ロータ2のホールド凹部20a、20b又は20cからスライスされたゆで卵が抜き取られたことが、センサ4により検知される。
【0040】
その検出信号を受けた制御部は、上記回転駆動部の駆動制御を行って、ロータ2の回転角度を1/3だけ前方に回す。この際、ロータ2のホールド凹部20b、20c又は20aには、搬入シュート100によって搬入された次のゆで卵がホールドされており、従って、ホールド凹部20b、20c又は20aにホールドされた次のゆで卵が、再びスライス用ワイヤ3a〜3hによって、9枚にスライスされる。そして、以上の処理が、搬入シュート100へのゆで卵の補充が成されない状態になるまで、繰り返されることになる。
【0041】
以上のような本構成によれば、ロータ2のホールド凹部20a、20b又は20cからスライスされたゆで卵が、作業者の手によって取り出されたことが、上記センサ4により検知されると、次のホールド凹部20b、20c又は20aにホールドされたゆで卵のスライス処理を行うように、上記センサ4による検出後、制御部により回転駆動部の回転駆動を制御し、ロータ2を1/3回転駆動させ(ロータ2の次のホールド凹部20b、20c又は20aが搬入シュート100につながる状態のところでロータ2の回転がストップされる)、該ロータ2が回転している間に、スライス用ワイヤ3a〜3hによって、そこにホールドされたゆで卵は、スライスされ、さらに本スライサ1前方に出てくる。それを再び作業者が取り去る。その取り去ったことが再びセンサ4によって検出されることで、以上の処理が繰り返される。
【0042】
そのため、本実施例構成では、制御部による以上の駆動制御が正確に行われ、ゆで卵を取り去る作業者の動きに合わせて、連続的に、しかも確実に、スライス処理が行われることになる。
【実施例2】
【0043】
実施例2の構成では、上記実施例1とほぼ同じ構成を有するが、センサの検出対象(検出部位)とその検出に基づく制御部の回転駆動部の回転角度制御の仕方が、実施例1とは異なっている。
【0044】
すなわち、センサは上記搬入シュート100付近の本スライサゆで卵入り側近くにセットされており、該センサは、上記ロータ2のホールド凹部20a、20b及び20cにゆで卵がホールドされたことを検知する構成である。
【0045】
本実施例構成では、ロータ2のホールド凹部20a、20b及び20cが決まった位置に形成されているため、該センサは、上記ロータ2の回転で、搬入シュート100付近に、次のホールド凹部20a、20b又は20cが回転してきて、搬入シュート100とホールド凹部20a、20b又は20cが連通した状態になると、該ホールド凹部20a、20b又は20cに、次のゆで卵がホールドされた状態になる。次のゆで卵がホールドされた状態になったことを上記センサが検出すると、制御部により回転駆動部の回転駆動を制御し、ロータ2を1/3回転駆動させ(ロータ2の次のホールド凹部20b、20c又は20aが搬入シュート100につながる状態のところでロータ2の回転がストップされる)、該ロータ2が回転している間に、スライス用ワイヤ3a〜3hによって、上記ホールド凹部にホールドされたゆで卵は、スライスされ、さらに本スライサ1前方に出てくる。
【0046】
この際、搬入シュート100付近に、次のホールド凹部20b、20c又は20aが回転してきて、搬入シュート100とホールド凹部20b、20c又は20aが連通した状態になるため、該ホールド凹部20b、20c又は20aに、次のゆで卵がホールドされた状態になる。ここで再び次のゆで卵がホールドされた状態になったことを、上記センサが検出することになる。そのため、以上の処理が、搬入シュート100へのゆで卵の補充が成されない状態になるまで、繰り返されることになる。
【0047】
本実施例構成では、特に、スライス作業が、連続的にしかも高速で行われるだけでなく、ゆで卵がロータ2のホールド凹部20a、20b又は20cにホールドされたことをセンサで検知して、ロータ2を回転駆動させて、スライスを行わせるので、ゆで卵がホールド凹部20a、20b、20cのいずれかに無い状態でのスライス処理が行われなくなる。
【実施例3】
【0048】
実施例3の構成では、上記実施例1や2とほぼ同じ構成を有するが、スライス用ワイヤ3a〜3hの長手方向片端に、該スライス用ワイヤ3a〜3hをそのライン方向に微振動させる振動部5を有している。
【0049】
すなわち、図8に示すように、スライス用ワイヤ3a〜3hの片端は、ワイヤホールド枠32に、留め具30により留められて、該ワイヤホールド枠32に張設されている。このワイヤホールド枠32の一方の片端は、本スライサ1の上部側にある頂部34に図3に示すように、他端側を上方に向けて上げることができるように、回動自在に固定されている。他方、同じ頂部34には、ロッド50a及び50bを介して、上記ワイヤホールド枠32に接続される振動機構からなる振動部5が備えられている。
【0050】
このような振動部5を有することで、スライス用ワイヤ3a〜3hは、ライン方向に微動振動せしめられることになる。従って、本実施例構成の場合、ロータ2が所定角度回転せしめられて、ロータ2のホールド凹部20a、20b或いは20cにホールドされたゆで卵が、スライス用ワイヤ3a〜3hに単に当たってスライスされるよりも、そのスライス用ワイヤ3a〜3hがそのライン方向に微動振動して、擦られることにより、よりスムーズにスライスされ、その切断面はきれいな状態になる。
【0051】
上記振動部5には、各種バイブレーション機構に用いられる微振動機構や、カム機構などによるロッド50a及び50bを進退せしめることで微振動を与える構成、或いは圧電素子などによる微振動を与える構成など、種々のものを用いることができる。
【0052】
尚、本発明のスライサは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のスライサは、上述のゆで卵だけではなく、柔らかで、上記スライス用ワイヤで切断できるものであれば、特に限定はなく、例えば野菜、果物、チーズなどの乳製品、その他、色々なもののスライサとして使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る実施例1のスライサ1の斜視図である。
【図2】スライサ1のロータ2の構成の詳細を示す説明図である。
【図3】スライス用ワイヤ3a〜3hの構成の詳細を示す説明図である。
【図4】本発明に係る実施例1のスライサ1の側面図である。
【図5】本発明に係る実施例1のスライサ1の正面図である。
【図6】本発明に係る実施例1のスライサ1の平面図である。
【図7】本発明に係る実施例1のスライサ1後方の搬入シュート100側から見た斜視図である。
【図8】実施例3にかかるスライス用ワイヤ3a〜3hの片端に振動部5が設けられた構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 スライサ
2 ロータ
2a〜2i 板状体
3a〜3h スライス用ワイヤ
4 センサ
5 振動部
20a、20b、20c ホールド凹部
22 軸
30 留め具
32 ワイヤホールド枠
34 頂部
50a、50b ロッド
100 搬入シュート
110 メインスイッチ
120 起動ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に設けられた複数の板状体で構成されると共に、それらの板状体に跨る外周面に少なくとも1つのホールド凹部を有し、且つこれらの板状体が1つの軸に固定されてなるロータと、
該ロータの各板状体の間に平行に配された複数のスライス刃と、
上記ロータの軸に連結され、該ロータの回転角度を調整可能な状態で回動せしめる回転駆動部と
を有することを特徴とするスライサ。
【請求項2】
前記請求項1記載のスライス刃につき、その長手方向に該スライス刃を微動振動させる振動部を有することを特徴とする請求項1記載のスライサ。
【請求項3】
上記ロータの各板状体で構成されるホールド凹部につき、その凹部の接触部分の形状が、被スライス材の形状に応じて構成されている請求項1に記載のスライサ。
【請求項4】
前記請求項3記載のスライス刃につき、その長手方向に該スライス刃を微動振動させる振動部を有することを特徴とする請求項3記載のスライサ。
【請求項5】
平行に設けられた複数の板状体で構成されると共に、それらの板状体に跨る外周面に少なくとも1つのホールド凹部を有し、且つこれらの板状体が1つの軸に固定されてなるロータと、
該ロータの各板状体の間に平行に配された複数のスライス刃と、
上記ロータの軸に連結され、該ロータの回転角度を調整可能な状態で回動せしめる回転駆動部と、
上記ロータのホールド凹部からスライスされた被スライス材が取り出されたことを検知する、又は被スライス材のロータ入り側でホールド凹部に被スライス材がホールドされたことを検知するセンサと、
該センサにより、ホールド凹部からスライスされた被スライス材が取り出されたことが、又はロータ入り側でホールド凹部に被スライス材がホールドされたことが、検知された場合に、上記回転駆動部の駆動制御を行って、ロータの回転角度を制御する制御部と
を有することを特徴とするスライサ。
【請求項6】
前記請求項5記載のスライス刃につき、その長手方向に該スライス刃を微動振動させる振動部を有することを特徴とする請求項5記載のスライサ。
【請求項7】
上記ロータの各板状体で構成されるホールド凹部につき、その凹部の接触部分の形状が、被スライス材の形状に応じて構成されている請求項5に記載のスライサ。
【請求項8】
前記請求項7記載のスライス刃につき、その長手方向に該スライス刃を微動振動させる振動部を有することを特徴とする請求項7記載のスライサ。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−46952(P2013−46952A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186539(P2011−186539)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(593060768)有限会社和田技研 (2)
【Fターム(参考)】