説明

スラグクラッシャ

【課題】スラグクラッシャのロータとガイド部材との間への異物の噛み込みを、より簡単に、より効率的に復旧できるようにする。
【解決手段】ケーシング6内のスラグホッパ3と排出口5の間に、モータの駆動力によって回転するロータ21を設け、前記ロータ21の側方にガイド部材22を設け、前記ガイド部材22は前記ケーシング6に対して揺動自在に支持されその揺動により前記ロータ21の外周との隙間が変化するようになっており、前記ガイド部材22に連結棒25が接続され、前記連結棒25は前記ケーシング6外に引き出されて前記ガイド部材22の揺動に伴って軸方向に進退するようになっており、前記連結棒25を前記ガイド部材22側に付勢する弾性部材24を前記ケーシング6外に配置するとともに、その付勢力に抗して、前記連結棒25を前記ガイド部材22と反対側に移動させる押圧手段30を設けたスラグクラッシャである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発電所等において、石炭やその他燃料を燃焼させた後に排出されるスラグを粉砕するために使用するスラグクラッシャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所等において、石炭やその他固形燃料を燃焼させた後に排出されるスラグを細かく粉砕するために、スラグクラッシャを使用している。
【0003】
例えば、図3に示すような発電所等におけるガス化炉1では、炉本体2内で石炭等の固形燃料を燃焼することによって、可燃性ガス(CO,H2等)を製造する。このとき、その石炭等の燃料中のスラグSは溶融した状態であり、その溶融したスラグSは、炉本体2の底部に設けたスラグホッパ3に落下していく。
【0004】
スラグホッパ3内には水が貯留されており、高温状態で溶融したスラグSは、その水によって冷却されて固化されていく。
【0005】
さらにスラグSは、そのスラグホッパ3の下方に設けたスラグクラッシャ10によって粉砕され、最後は下部ホッパ4、排出口5を経て、ガス化炉1の外部に設置されているスラグ排出槽(図示せず)に排出される。
【0006】
この図3では、スラグクラッシャ10としてロールクラッシャー装置を採用しており、外周に多数の歯11aを有するロータ11を駆動力によって回転させながら、ロータ11とガイド部材(斜板)12との間にスラグSを挟み込んで、そのスラグSを破砕するようにしている(特許文献1,2参照)。
【0007】
また、ロータ11とガイド部材12との間に、スラグSの塊や異物が噛み込むのを防止するため、緩衝手段13を用いたものもある。
【0008】
緩衝手段13を備えたスラグクラッシャ10の構成は、例えば、図4に示すように、ケーシングに対してガイド部材12の一端をピン12aで揺動自在に支持するとともに、そのガイド部材12をロータ11に向かって弾性部材14で付勢する。
【0009】
弾性部材14はコイルバネ等で構成され、ケーシング6に対してそのケーシング6外に突出するように固定された複数本の固定軸16,16に支持された対の保持板17a,17b間に、その弾性部材14が挟んで保持される。
【0010】
このとき、ケーシング6に近い側の保持板17aは、ブッシュ19aを介して固定軸16に対して軸方向へ相対移動可能であり、ケーシング6から遠い側の保持板17bは、ブッシュ19b及びナット16b等を介して固定軸16に対して軸方向相対移動不能に固定されている。なお、ナット16aは、保持板17aのケーシング6側への移動を規制するストッパである。
【0011】
また、ガイド部材12の他端にピン12bを介して接続された連結棒15は、液密を維持するためのパッキンpを介してケーシング6外に引き出されて、前記対の保持板17a,17bをそれぞれ貫通する。
【0012】
その連結棒15は、ケーシングに近い側の保持板17aに対して、ブッシュ18aを介して軸方向相対移動不能に固定され、ケーシングから遠い側の保持板17bに対しては、ブッシュ18bを介して軸方向相対移動可能に固定されている。
【0013】
仮に、ロータ11とガイド部材12との間にスラグSの塊や異物が噛み込んだ際に、あるいは噛み込もうとした際に、そのガイド部材12が、弾性部材14の付勢力に抗してロータ11から離れる方向に移動することで、その噛み込みが防止されるようになっている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平7−247484号公報
【特許文献2】特開2000−104835号公報
【特許文献3】特開昭63−20045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、上記のスラグクラッシャ10によれば、例えば、スラグSに混じって大物の異物(破砕できないもの)が介在している場合に、対応できない場合がある。
【0016】
大物の異物の例としては、燃料時に、原料に含まれる成分によって鉄の塊が生成される場合があり、このような鉄の塊が、スラグSに混ざった状態で、そのままスラグクラッシャ10に供給されてしまう場合等が想定される。
【0017】
このような大物の異物がスラグSに混ざっていると、ガイド部材12に緩衝手段13が備えられていても、噛み込みを防止できない場合がある。例えば、異物として、弾性部材14の有効移動距離(ストローク)以上の外形寸法を有するもの、すなわち、最大径(その外面二点間の距離の最大値)が、その有効移動距離以上である大きな塊状物が混入していると、その塊状物が、ロータ11とガイド部材12との間でいわゆる噛止りを生じさせてしまう場合などがある。また、異物が、弾性部材14の有効移動距離以下の外形寸法であっても、多くの異物がまとまっている分布している等の理由で、弾性部材14の変形が追随できない場合も想定される。
【0018】
このような噛み込みが生じた場合は、破砕ができないために駆動源であるモータに過電流が流れ、ロータ11の回転が停止してしまう。このため、炉本体2での燃焼を含めて装置の稼働を停止させた上で(スラグSの供給を止めた上で)、緩衝手段13の固定軸16や連結棒15のネジを人力で解放するとともに、ケーシング6内のガイド部材12を後退させてロータ11とガイド部材12との間隔を広げ、異物を機外に排出させる作業が必要となる。このような復旧作業は、装置の稼働停止を伴うことから非効率であり、また、緩衝手段13を手作業で解放させる作業は面倒である。
【0019】
そこで、この発明は、スラグクラッシャのロータとガイド部材との間への異物の噛み込みを、より簡単に、より効率的に復旧できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するために、この発明は、上部にスラグ投入用のスラグホッパを、下部にスラグの排出口を有するケーシング内の前記スラグホッパと前記排出口の間に、モータの駆動力によって回転するロータを設け、前記ロータの側方にガイド部材を設け、前記ガイド部材は前記ケーシングに対して揺動自在に支持されその揺動により前記ロータの外周との隙間が変化するようになっており、前記ガイド部材に連結棒が接続され、前記連結棒は前記ケーシング外に引き出されて前記ガイド部材の揺動に伴って軸方向に進退するようになっており、前記連結棒を前記ガイド部材側に付勢する弾性部材を前記ケーシング外に配置するとともに、その付勢力に抗して、前記連結棒を前記ガイド部材と反対側に移動させる押圧手段を設けたことを特徴とするスラグクラッシャの構成を採用した。
【0021】
この構成によれば、ロータとガイド部材との間に異物等が噛み込んだ際に、その押圧手段によって連結棒を動作させ、ロータとガイド部材との間の隙間を拡げることができる。このため、噛み込んだ異物を容易に排出口から排出させることができる。すなわち、連結棒は弾性部材によってガイド部材側(ロータ側)に付勢されているから、その付勢力に抗して連結棒を移動させることができる押圧手段を備えたことが特徴である。
【0022】
また、仮に、弾性部材の有効移動距離以上の最大径を有する大きな塊状物が、ロータとガイド部材との間で噛止りを生じさせた場合であっても、押圧手段によって連結棒を動作させることで、ガイド部材を振動させることができる。この振動によって噛み込んだ異物の向きや位置が変わることで、異物をロータとガイド部材との隙間から離脱させ、排出口から排出させることができる。なお、このとき、ロータを逆回転(噛み込み前の回転方向とは逆方向に回転)させれば、さらに、異物を離脱させやすくなる。
【0023】
なお、連結棒を付勢する弾性部材としては、周知のものを用いることができるが、例えば金属スプリング、特にコイルバネを用いることができる。金属製のコイルスプリングであれば、弾性力が劣化した際の部材の交換が容易である。
【0024】
また、押圧手段としては、例えば、電動アクチュエータやエアシリンダを用いることもできるし、特に、油圧シリンダを採用することもできる。
【0025】
押圧手段として油圧シリンダを採用する場合、油圧シリンダは、シリンダケースに対してロッドが進退する構成となっているので、例えば、そのシリンダケースをケーシングに支持し、ロッドがシリンダケースに対して伸長する際に、連結棒を弾性部材の付勢力に抗して移動させる構成とすることができる。
このとき、シリンダケースは、ガイド部材の揺動軸と並行な方向に配設したピンによって、ケーシングに対して揺動自在に支持することが望ましい。
【0026】
また、このとき、ロッドは、連結棒やその連結棒と一体に移動する部材に当接していることで、その伸長の際に、間接的に弾性部材を押圧して押し縮める構成とすることができる。また、ロッドと連結棒、あるいは、ロッドと連結棒と一体に移動する部材とをピン接続することもできる。
【0027】
なお、油圧シリンダの向きを逆転させ、ロッドをケーシングに当接させ、あるいはピン接続し、シリンダケースを連結棒や、あるいはその連結棒と一体に移動する部材に支持することもできる。
このとき、シリンダケースは、ガイド部材の揺動軸と並行な方向に配設したピンによって、連結棒やそれに一体に移動する部材に対して揺動自在に支持することが望ましい点は同様である。
【0028】
これらの油圧シリンダの配置構造、接続構造は、同じくシリンダケースに対してロッドが進退する構成からなるエアシリンダや電動アクチュエータを、押圧手段として用いた場合にも採用できる。
【0029】
これらの各構成において、前記押圧手段による前記連結棒を移動させる動作は、遠隔制御により行うことができる構成を採用することができる。
【0030】
このように遠隔制御が可能であれば、ロータとガイド部材との間に異物が噛み込んだ際に、スラグクラッシャの装置の近傍に人が待機していない状態であっても、あるいは、人が待機できない環境であっても、その装置を配置した場所に人が向かうことなく、離れた場所から押圧手段を動作させることができる。このため、噛み込んだ異物の排出に時間を要しない。その押圧手段の動作の制御は、有線、無線の別を問わない。
【0031】
なお、遠隔制御できる手段を備えているか否かを問わず、例えば、そのスラグクラッシャの装置の傍らに人が待機している場合は、その人が、押圧手段を動作させるためのスイッチ類(スラグクラッシャの装置自体に備えられたスイッチ類)を直接操作して、連結棒を動作させるようにすることもできる。
【0032】
また、これらの各構成において、前記ロータを回転させるモータは、その回路に、そのモータに流れる負荷電流を検出する検出器を備えており、前記ガイド部材と前記ロータの間に異物が噛み込んだ際に、前記検出器により得られた数値が所定の値を超えると、自動的に前記押圧手段が動作することにより、前記連結棒が前記ガイド部材と反対側に移動する構成を採用することができる。
【0033】
また、前記ガイド部材は、前記ロータを挟んで両側に配置され、一方の前記ガイド部材と前記ロータの間に異物が噛み込んだ際に、前記ロータを、前記噛み込んだ際の回転方向と逆方向に回転できる構成を採用することができる。
【0034】
この構成によれば、一方のガイド部材とロータとの間に異物が噛み込んだ際に、ロータの逆回転により、他方のガイド部材とロータとの間でスラグの破砕を続けながら、一方のガイド部材側の噛み込んだ異物を除去できる。
【発明の効果】
【0035】
この発明は、スラグクラッシャのロータとガイド部材との間への異物の噛み込みを、より簡単に、より効率的に復旧できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】一実施形態の正面断面図
【図2】緩衝手段を動作させた際の要部拡大図
【図3】従来例の正面断面図
【図4】従来例の正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0037】
この発明の実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。この実施形態における、スラグクラッシャ20(ロールクラッシャー装置)の基本構成は、従来例として説明した図4に示す構成と同様である。
【0038】
すなわち、スラグクラッシャ20は、図1に示すように、ケーシング6内において、外周に多数の歯21aを有するロータ21を、図示しないモータの駆動力によって回転させながら、ロータ21とガイド部材22との間にスラグSを挟み込んで、そのスラグSを破砕する。
【0039】
ケーシング6は、その上部にスラグ投入用のスラグホッパ3を、ロータ21の下部には、下部ホッパ4と破砕を終えたスラグの排出口5を有している。ケーシング6内には常時水が貯留されており、高温状態で溶融したスラグSは、その水によって冷却されて固化されていく。スラグクラッシャ20は、その半ば固化された状態のスラグSを破砕する。
【0040】
ロータ21の側方にはガイド部材22が設けられている。この実施形態では、ロータ21を挟んで両側にガイド部材22が設けられて、ロータ21の回転は、正逆両方向に可能である。なお、ガイド部材22をロータ21の両側に設けずに、これを片側だけに設けた態様も考えられる。
【0041】
ガイド部材22は、その上端が、ケーシング6に対して揺動自在に支持されている。その支持は、ピン22aによって成されている。ガイド部材22が、ピン22aの軸周りに揺動することにより、そのガイド部材22とロータ21の外周との隙間が変化する。
【0042】
また、ガイド部材22の下端には、連結棒25の一端が接続されている。ガイド部材22と連結棒25との接続は、ピン22bによって成されている。ピン22bの軸方向と前記ピン22aの軸方向とは並行である。
【0043】
その連結棒25は、ケーシング6の内外を貫通する孔にパッキンpを介して挿通され、その他端がケーシング6外に引き出されている。パッキンpは、連結棒25の外周とケーシング6の孔の内周との間を液密を維持するので、ケーシング6内の水がその孔を通じて外部に漏れ出ないようになっている。この液密は、ガイド部材22の揺動に伴って連結棒25が軸方向に進退する際も維持される。
【0044】
また、ロータ21とガイド部材22との間に、スラグSの塊や異物が噛み込むのを防止するため、緩衝手段23が備えられている。
【0045】
緩衝手段23の構成は、図1に示すように、連結棒25をガイド部材22側(ロータ21側)に付勢する弾性部材24が、ケーシング6外に配置されている。
【0046】
弾性部材24は、金属製のコイルバネで構成され、ケーシング6に対してそのケーシング6外に突出するように固定された複数本の固定軸26,26に支持された対の保持板27a,27b間に、その弾性部材24が挟んで保持される。
【0047】
このとき、ケーシング6に近い側の保持板27aは、ブッシュ29aを介して固定軸26に対して軸方向へ相対移動可能であり、ケーシング6から遠い側の保持板27bは、ブッシュ29b及びナット26b等を介して固定軸26に対して軸方向相対移動不能に固定されている。なお、ナット26aは、保持板27aのケーシング側への移動を規制するストッパである。
【0048】
また、連結棒25は、その対の保持板27a,27bをそれぞれ貫通する。その連結棒25は、ケーシング6に近い側の保持板27aに対して、ブッシュ28aを介して軸方向相対移動不能に固定され、ケーシング6から遠い側の保持板27bに対しては、ブッシュ28bを介して軸方向相対移動可能に固定されている。
【0049】
仮に、ロータ21とガイド部材22との間に、スラグSの塊や異物が噛み込んだ際に、あるいは噛み込もうとした際に、ガイド部材22が外側に押されることで弾性部材24が縮んでいく。すなわち、ガイド部材22が、弾性部材24の付勢力に抗してロータ21から離れる方向に移動する。これにより、噛み込みが防止されるようになっている。
【0050】
また、ケーシング6の外側には、その弾性部材24の付勢力に抗して、連結棒25をガイド部材22と反対側に移動させる機能を有する押圧手段30が設けられている。
【0051】
この実施形態では、押圧手段30は、シリンダケース31bに対してロッド31aの突出量が変化するように進退する油圧シリンダ31である。
【0052】
シリンダケース31bは、前記ケーシング6に設けたブラケット32bに対して、ピンで揺動自在に支持されている。このピンの軸方向と、前記ピン22a,22bの軸方向とは並行である。
【0053】
また、ロッド31aの先端は、ケーシング6に近い側の保持板27aに設けたブラケット32aに対して、ピンで揺動自在に支持されている。このピンの軸方向は、シリンダケース31bを支持する前述のピンの軸方向と並行である。
【0054】
ケーシング6に近い側の保持板27aは、連結棒25と一体に移動する部材であるから、ロッド31aがシリンダケース31bに対して伸長することによって、その保持板27aを弾性部材24の付勢力に抗して押圧し、連結棒25は、ガイド部材12とは反対方向へ(ロータ21から遠ざかる方向へ)軸方向に沿って移動する。
すなわち、ロッド31aがシリンダケース31bに対して伸長することによって、弾性部材24を押圧して押し縮め、連結棒25を移動させることができる。
【0055】
この連結棒25の移動により、図2に鎖線で示す位置から実線で示す位置へと、ロータ21とガイド部材22との間の隙間を拡げることができるから、そのロータ21とガイド部材12との間に噛み込んだ異物は、その拡がった隙間からそのまま落下し、排出口5からケーシング6外へ排出される。
【0056】
すなわち、押圧手段30による連結棒25の移動が、弾性部材24の伸縮ストロークの範囲内であるから、連結棒25を移動させる際に、その弾性部材24やそれを保持する部材の着脱を伴わず、異物の除去が容易にできる。
【0057】
なお、油圧シリンダ31の動作は、すなわち、押圧手段30による連結棒25を移動させる動作は、例えば、ロータ21とガイド部材22との間に異物が噛み込んだ際に、そのスラグクラッシャ20の装置に設けたスイッチ類を人が操作することによって行うことが可能である。油圧シリンダ31のロッド31aの伸長及びその後退を、いずれもそのスイッチ類の操作で制御できる。
【0058】
また、この油圧シリンダ31のロッド31aの進退動作を、スラグクラッシャ20の装置とは離れた場所からの遠隔制御とすることもできる。遠隔制御は、例えば、油圧シリンダ31を動作させるための油圧ポンプを、有線又は無線で送信される信号に基づいて動作させたり(例えば、所定の油圧を供給したり、あるいは、その油圧を一定に維持したり)、あるいはその動作を止めたり(例えば、油圧を解放したり)することで可能である。
【0059】
このように遠隔制御が可能であれば、ロータ21とガイド部材22との間に異物が噛み込んだ際に、スラグクラッシャ20の装置の近傍に人が待機していない状態であっても、あるいは、人が待機できない環境であっても、その装置を配置した場所に人が向かうことなく、離れた場所から押圧手段30を動作させることができる。このため、噛み込んだ異物の排出に時間を要しない。
【0060】
なお、ケーシング6内は、通常、60℃程度の温水で満たされているが、場合によっては、ケーシング6が200℃以上の高温になることもあり、この場合、輻射熱で周辺環境もその影響を受けることから、このような作業環境の点からも、前記のように遠隔操作とすることが望ましい。
【0061】
また、ロータ21を回転させるモータは、その駆動用電源を供給する回路に、そのモータに流れる負荷電流を検出する検出器を備えており、ロータ21とガイド部材22との間に異物が噛み込んだ際に、その検出器により得られた数値が所定の値を超えると、自動的に前記押圧手段30が動作することにより、連結棒25がガイド部材22と反対側に移動するようになっている。このため、人が操作することなく、自動的に噛み込んだ異物が排出される。
【0062】
なお、この実施形態では、図1に示すように、ガイド部材22は、ロータ21を挟んで両側に配置され、一方のガイド部材22とロータ21の間に異物が噛み込んだ際に、ロータ21を、その噛み込んだ際の回転方向と逆方向に回転できるようになっている。
【0063】
このため、一方のガイド部材22とロータ21との間に異物が噛み込んだ際に、ロータ21の逆回転により、他方のガイド部材22とロータ21との間でスラグSの破砕を続けながら、一方のガイド部材22側の噛み込んだ異物を除去できる。
【0064】
なお、ガイド部材22が、ロータ21の片側にのみ配置された態様においても、ロータ21を正逆両方向へ回転できるようにしておけば、ガイド部材22とロータ21の間に異物が噛み込んだ際の復旧がより簡単であるので好ましい。
【符号の説明】
【0065】
1 ガス化炉
2 炉本体
3 スラグホッパ
4 下部ホッパ
5 排出口
6 ケーシング
10,20 スラグクラッシャ
11,21 ロータ
11a,21a 歯
12,22 ガイド部材
12a,12b,22a,22b ピン
13,23 緩衝手段
14,24 弾性部材
15,25 連結棒
16,26 固定軸
17a,17b,27a,27b 保持板
18a,18b,19a,19b,28a,28b,29a,29b ブッシュ
30 押圧手段
31 油圧シリンダ
31a ロッド
31b シリンダケース
32a,32b ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にスラグ投入用のスラグホッパ(3)を、下部にスラグの排出口(5)を有するケーシング(6)内の前記スラグホッパ(3)と前記排出口(5)の間に、モータの駆動力によって回転するロータ(21)を設け、前記ロータ(21)の側方にガイド部材(22)を設け、前記ガイド部材(22)は前記ケーシング(6)に対して揺動自在に支持されその揺動により前記ロータ(21)の外周との隙間が変化するようになっており、
前記ガイド部材(22)に連結棒(25)が接続され、前記連結棒(25)は前記ケーシング(6)外に引き出されて前記ガイド部材(22)の揺動に伴って軸方向に進退するようになっており、前記連結棒(25)を前記ガイド部材(22)側に付勢する弾性部材(24)を前記ケーシング(6)外に配置するとともに、その付勢力に抗して、前記連結棒(25)を前記ガイド部材(22)と反対側に移動させる押圧手段(30)を設けたことを特徴とするスラグクラッシャ。
【請求項2】
前記押圧手段(30)は、シリンダケース(31b)に対してロッド(31a)が進退する油圧シリンダ(31)であり、そのシリンダケース(31b)は前記ケーシング(6)に支持され、前記ロッド(31a)が前記シリンダケース(31b)に対して伸長する際に、前記連結棒(25)を前記付勢力に抗して移動させることを特徴とするスラグクラッシャ。
【請求項3】
前記押圧手段(30)による前記連結棒(25)を移動させる動作は、遠隔制御により行うことができることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラグクラッシャ。
【請求項4】
前記ロータ(21)を回転させるモータは、その回路に、そのモータに流れる負荷電流を検出する検出器を備えており、前記ガイド部材(22)と前記ロータ(21)の間に異物が噛み込んだ際に、前記検出器により得られた数値が所定の値を超えると、自動的に前記押圧手段(30)が動作することにより、前記連結棒(25)が前記ガイド部材(22)と反対側に移動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載のスラグクラッシャ。
【請求項5】
前記ガイド部材(22)は、前記ロータ(21)を挟んで両側に配置され、一方の前記ガイド部材(22)と前記ロータ(21)の間に異物が噛み込んだ際に、前記ロータ(21)を、前記噛み込んだ際の回転方向と逆方向に回転できることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のスラグクラッシャ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate