説明

スラット角度変更装置

【課題】簡便に設置でき、動作音が小さいスラット角度変更装置を提供する。
【解決手段】スラット角度変更装置100は、長尺状のスラット11と、当該スラット11の長手方向に沿って配設され、スラット11の角度を変更する高分子アクチュエータ12と、当該高分子アクチュエータ12を変形させる駆動信号を入力する信号入力部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラットの角度を変更するスラット角度変更装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のスラットを並べたルーバーが利用されている。このようなルーバーは、スラットの角度を変更して開口部の開口量を調節する。ルーバーの一例として下記に出典を示す特許文献1−3に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の光量制御システムは、ブラインドと受光センサと制御手段とを備えて構成される。ブラインドは建物の室内空間へ自然光を採り入れる窓に設置される複数のスラットを有する。受光センサは室内空間及び窓近傍の少なくともいずれか一方に設置される光の明るさを計測する。制御手段は予め入力された設定時刻より所定時間前からブラインドの複数のスラットの開度の調整を開始させて、所定時間前から設定時刻までの間に、室内空間が多段階に設定した略所定の光の明るさ範囲で段階的に明るくなるように制御する。
【0004】
特許文献2に記載の天窓は、屋外側に光透過性太陽電池パネルがはめ込まれた二重サッシ内に電動ブラインドが内蔵され、当該電動ブラインドが光透過性太陽電池パネルにより蓄積された電力を使用し、日射量を感知するセンサの指令に基づいて開閉される。
【0005】
特許文献3に記載のブラインドは検出手段と設定手段と制御手段とを備えて構成される。検出手段は室内及び室外の明るさを検出する。設定手段は室内及び室外の明るさを予め設定する。制御手段は設定手段と検出手段との出力に基づいてスラットを駆動し且つ照明器具の点灯及び消灯を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−101151号公報
【特許文献2】特開平6−280460号公報
【特許文献3】特開平1−192991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1−3に記載の技術では、ブラインドの駆動は電磁モータを利用し減速器等の機構部を備えて構成される。このような機構部はスラットに対して大きく且つ重いので、例えば窓等への設置を簡便に行うことができない。また、小さい窓に設置する場合には、スペース的にも問題となり得る。また、スラットが駆動するブラインドの多くは金属製であるため非常に重厚感がある。更には、開閉時には電磁モータやスラットの動きに合わせて機械的な音がするので、耳障りなものとなり得る。
【0008】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、簡便に設置でき、動作音が小さいスラット角度変更装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るスラット角度変更装置の特徴構成は、長尺状のスラットと、前記スラットの長手方向に沿って配設され、前記スラットの角度を変更する高分子アクチュエータと、前記高分子アクチュエータを変形させる駆動信号を入力する信号入力部と、を備えている点にある。
【0010】
このような特徴構成とすれば、高分子アクチュエータによりスラットの角度を容易に変更することができるので、モータ等を備える必要が無い。このため、コンパクトに構成できる。また、高分子アクチュエータは所謂樹脂であり、金属と比較して薄く軽く、また特殊な高分子樹脂により構成されるので電磁モータやソレノイドのような駆動部が少ない。したがって、簡便に設置することが可能である。また、モータやその他の機構部品が無いので、動作音も小さくすることができる。
【0011】
また、前記スラットの一部が前記高分子アクチュエータとして構成されてあると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、スラットを高分子アクチュエータで構成することができる。したがって、高分子アクチュエータを切り欠くだけで簡素に構成できる。
【0013】
また、前記駆動信号が電気信号であると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、高分子アクチュエータに適切に電界を与えることができる。また、電界強度も容易に変更できるので、スラットの角度を精度良く変更することが可能となる。
【0015】
また、前記駆動信号の入力パターンが変更可能であると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、入力パターンを変更することにより、スラットの動作を自在に制御することが可能となる。したがって、状況に応じたスラットの制御を行うことが可能となる。
【0017】
また、前記スラットの配設場所の環境情報を取得する環境情報取得部を備え、前記高分子アクチュエータは前記環境情報に基づき前記駆動信号が入力されると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、スラットの動作を例えば光量や温度等の環境に応じて変更することができる。
【0019】
また、前記駆動信号は、前記高分子アクチュエータが外力を受けて変形した場合に出力される信号に基づき調整されると好適である。
【0020】
このような構成であっても、例えば高分子アクチュエータ自体が風量センサとなり、スラットの動作を環境に応じて適切に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】スラット角度変更装置をブラインドに適用した場合の例を示した図である。
【図2】スラット角度変更装置をブラインドに適用した場合の例を示した図である。
【図3】スラットと高分子アクチュエータとの配置関係について模式的に示した図である。
【図4】スラット毎に角度を変更した場合の例を示した図である。
【図5】スラットをスイングさせた場合の例を示した図である。
【図6】スラットをスイングさせる駆動信号の例を示した図である。
【図7】スラットを振動させた場合の例を示した図である。
【図8】スラットで光量を調節する場合の例を示した図である。
【図9】スラットで太陽光発電ユニットの向きを調節する場合の例を示した図である。
【図10】高分子アクチュエータでスラットを構成した場合の例を示した図である。
【図11】スラットの形状及び配置について示した図である。
【図12】信号入力部の配置について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明に係るスラット角度変更装置100は、長尺状のスラットの角度を変更する機能を備えている。以下、図面を用いて説明する。本実施形態では、家屋の窓等の開口部に付設されるブラインドのスラットの角度を変更する場合の例を挙げて説明する。
【0023】
1.スラット角度変更装置の構成
図1はブラインドを閉じた場合の形態が示され、図2はブラインドを開けた場合の形態が示される。スラット角度変更装置100は、スラット11、高分子アクチュエータ12、信号入力部13、固定部14を有して構成される。スラット11は、長尺状で構成される(図3参照)。長尺状とは、四角形に限定されるものではない。すなわち、多角形であっても良いし、楕円状であっても良い。
【0024】
高分子アクチュエータ12は、スラット11の長手方向に沿って配設され、スラット11の角度を変更する。高分子アクチュエータ12は、外部刺激を受け、形状や体積が変化する高分子材料である。このような高分子材料の一例として、例えばポリビニルアルコールゲル、N−イソプロピルアクリルアミドゲル等が挙げられる。外部刺激としては、電界、磁界、光、熱等が挙げられる。高分子材料毎に適した外部刺激があるが、本実施形態に係る高分子アクチュエータ12は電界を外部刺激として形状を変化させる。
【0025】
スラット11の長手方向に沿って配設されるとは、スラット11の長辺側に配設されることを意味する。図3には、スラット11の上面視が示される。長辺側とは図3のX1方向に延在する辺である。高分子アクチュエータ12は、例えば図3(a)のように長辺に沿って連続的に配設されることに限定されるわけではない。例えば図3(b)のように高分子アクチュエータ12の長手方向(X2方向)とスラット11の長手方向(X1方向)とが平行となるように、複数の高分子アクチュエータ12をスラット11の長手方向(X1方向)に断続的に配設することも可能である。更には、図3(c)のように高分子アクチュエータ12の長手方向(X2方向)とスラット11の長手方向(X1方向)とが交差するように、複数の高分子アクチュエータ12をスラット11の長手方向(X1方向)に断続的に配設することも可能である。
【0026】
スラット11の角度を変更するとは、スラット11と当該スラット11が設けられる開口部(壁面)とのなす角を変更することに相当する。このようにスラット11の角度を変更することにより、図2に示されるように、開口部の開口量が変更される。また、本実施形態では、高分子アクチュエータ12の一部がスラット11としても機能する。
【0027】
図1及び図2に戻り、信号入力部13は、高分子アクチュエータ12を変形させる駆動信号を入力する。本実施形態では、高分子アクチュエータ12は電界を外部刺激としている。よって、駆動信号は、電気信号が用いられる。また、電界を高分子アクチュエータ12に与えるために、信号入力部13は、高分子アクチュエータ12を挟んで対向配置した一対で構成される。本実施形態では、高分子アクチュエータ12は長尺状の平板からなり、信号入力部13は互いに対向する面を一対として配置される。理解を容易にするために、一対の信号入力部13の一方に符号13Aを付して示し、一対の信号入力部の他方に符号13Bを付して示す。このような構成により、高分子アクチュエータ12を、一対の信号入力部13に入力される電気信号に基づき生じる電界により所定の方向に変形することが可能となる。このような高分子アクチュエータ12は、電界強度が強くなるにつれ、変形量が大きくなる。したがって、スラット11の所期の角度に応じて電界強度を設定すると良い。
【0028】
固定部14は、高分子アクチュエータ12及びスラット11をブラインドの枠体20に固定する。すなわち、固定部14の一端に高分子アクチュエータ12が固定され、固定部14の他端が枠体20に固定される。これにより、枠体20を支点として高分子アクチュエータ12の形状を変形させることができるので、図2に示されるようにスラット11の角度(スラット11と枠体20とのなす角)を変更することが可能となる。
【0029】
2.スラット角度変更装置の適用例
上記のように構成されるスラット角度変更装置100は、各種の適用例がある。以下では、スラット角度変更装置100を、温度調節システム、風発生システム、光量調整システム、太陽光発電高効率化システムに適用した場合の例について説明する。
【0030】
2−1.温度調節システム
温度調節システムは、ブラインドの外側(例えば室外)とブラインドの内側(例えば室内)との温度を調整する。このような温度調節システムにスラット角度変更装置100を適用した場合の例が図4に示される。
【0031】
温度調節システムに適用されるスラット角度変更装置100は、上記の各機能部と共に、環境情報取得部30を備えると好適である。環境情報取得部30は、スラット11の配設場所の環境情報を取得する。スラット11の配設場所とは、本実施形態では屋内である。また、環境情報とは温度、風量、光量等のその場所の環境を示す情報である。本温度調節システムでは温度及び風量が該当する。このため、本実施形態では、環境情報取得部30は、温度センサ31及び風量センサ32が相当する。このような温度センサ31及び風量センサ32は公知であるので説明は省略する。これらの温度センサ31及び風量センサ32による検出結果は、制御部40に伝達される。制御部40は、伝達されてくる検出結果に基づき信号入力部13が高分子アクチュエータ12に入力する駆動信号を制御する。この結果、高分子アクチュエータ12は環境情報に基づき駆動信号が入力される。
【0032】
制御部40は、温度センサ31からの検出結果により、室内が予め設定された温度以上である場合にはスラット11の角度(スラット11と枠体20とのなす角)を大きくする。これにより、外気を室内に導入することができるので、室外の温度が室内よりも低い場合や室外に風がある場合には室内の温度を下げることができる。また、制御部40は、風量センサ32からの検出結果により、室内に入る風量が一定となるようにスラット11の角度を調節する。このようにスラット角度変更装置100によれば、室内の温度を調節することが可能となる。
【0033】
ここで、上述のように高分子アクチュエータ12は外部刺激(本実施形態では電界)により変形する。一方、高分子アクチュエータ12は外力を受けて変形した場合には信号が出力される。このため、スラット11が風を受けて角度が変わった場合には、高分子アクチュエータ12が変形し信号を出力する。制御部40は、このような高分子アクチュエータ12から出力される信号に基づき駆動信号を調整する。
【0034】
これにより、例えば図4の矢印で示したように、室外の風量が一様でない場合でも、風量が少ない屋根近傍ではスラット11の角度を大きく設定することによりその風量全体を室内に導入することができる。一方、風量が多い中央位置ではスラット11の角度を小さく設定することにより室内に導入する風量を制限することができる。このように制御することにより、風が室内に入り過ぎないようにすることが可能となる。
【0035】
このように本スラット角度変更装置100によれば、自動的に風量の調節が可能である。したがって、ブラインドを通った後の風量を均一にすることが可能となる。
【0036】
2−2.風発生システム
風調節システムは、ブラインドの内側(例えば室内)に風を発生させる。このような風発生システムにスラット角度変更装置100を適用した場合の例が図5に示される。
【0037】
制御部40は、高分子アクチュエータ12からの信号が検出できない場合には、無風状態であることが検出できる。この場合、駆動信号の入力パターンを信号入力部13に入力することにより、図5に示されるようにスラット11を積極的にスイングさせて室内に風を送ることが可能である。係る場合、駆動信号の入力パターンは、図6(a)のような矩形波の信号としたり、図6(b)のような充放電を繰り返すような信号としたり、図6(c)のような正弦波の信号としたり、図6(d)のような三角波の信号としたり変更可能である。このような信号を入力することにより、スラット11を繰り返してスイングさせて風を発生させることができる。
【0038】
また、駆動信号の振幅を小さくしたり、或いは周波数を短くしたりすることにより図7のようにスラット11を細かく振動させることができる。したがって、微風を発生させることができる。このようにスラット角度変更装置100によれば、無風状態であってもスラット11をスイングしたり振動させたりすることにより、室内の空気を循環させて温度を調節することができる。また、適切に高分子アクチュエータ12を駆動することで優しい風を作り出すことができる。したがって、乳幼児や睡眠している人に対して快適な環境を提供できる。
【0039】
2−3.光量調節システム
光量調節システムは、ブラインドの内側(例えば室内)の光量を調節する。このような光量調節システムにスラット角度変更装置100を適用した場合の例が図8に示される。
【0040】
光量調節システムに適用されるスラット角度変更装置100は、環境情報取得部30として光量センサ33が備えられる。光量センサ33は公知であるので説明は省略する。この光量センサ33による検出結果は、制御部40に伝達される。制御部40は、伝達されてくる検出結果に基づき信号入力部13が高分子アクチュエータ12に入力する駆動信号を制御する。これにより、高分子アクチュエータ12は環境情報に基づき駆動信号が入力される。
【0041】
ここで、室内に入る光量は、屋根に近い側では屋根により遮光されるので少なくなる。一方、鉛直中央側では、直接入射してくる光と路面で反射された光とが入るので室内に入る光量が多くなる。更に、鉛直下側では、直接入射してくる光がと路面で反射された光とが入るが、上述の鉛直中央側により室内に入る光量が少なくなる。
【0042】
そこで、制御部40は、高分子アクチュエータ12を夫々の光量に応じて角度を調節するよう駆動信号を信号入力部13に伝達する。具体的には、屋根に近い側ではより外側の光が室内に入り易いようにスラット11の角度を調整し、鉛直中央側では、外からの光量を少なくするようにスラット11の角度を調整する。また、鉛直下側でも、室内に入る光量が適切なものとなるように、スラット11の角度を調整する。これにより、室内の光量を適切なものとすることができるので、室内の明るさ、更には温度を制御することができる。
【0043】
また、光量センサ33を設けずに構成することも可能である。係る場合、高分子アクチュエータ12を光量センサとして機能させると好適である。すなわち、高分子アクチュエータ12の水分量に応じた出力変化に基づき、制御部40が駆動信号を信号入力部13に入力する構成とすることが可能である。このような構成であっても、上述のように、スラット11の角度を光量に応じて調節することが可能であるので、適切に室内の明るさや温度を制御することが可能である。
【0044】
例えば、ライフサイクルに合わせて明るさを調整したい場合にも、予め時間と明るさを設定しておくことによりスラット11の角度を調節することができる。また、ブラインドを窓につけている場合には、窓の外に木や壁等があっても室内に一様に光量を取り込むことができる。
【0045】
2−4.太陽光発電高効率化システム
太陽光発電高効率化システムは、太陽光発電の効率を高めるよう機能する。このような太陽光発電高効率化システムにスラット角度変更装置100を適用した場合の例が図9に示される。
【0046】
ここで、従来、太陽光発電ユニットとブラインドとを組み合わせた技術がある。例えば特開2000−340824に記載の太陽光発電装置は、ブラインドと開閉機構部と太陽電池とを有して構成される。ブラインドは厚み方向に並べて配置される長尺の遮光板を複数有して構成される。開閉機構部は各遮光板の間の隙間を変化させる。太陽電池は各遮光板の日光が照射される面に取り付けられる。また、特開平3−257278に記載の太陽電池付き減光装置は、減光手段と制御手段とを備えて構成される。減光手段は光吸収感度の異なる太陽電池を有し、複数からなる。制御手段は光量に応じて減光手段を駆動し、入射光の光量を調整する。更に、特開昭63−47489のブラインド装置は、光の照度量と光の方向とに基づき、ブラインドの羽根を回転させる。
【0047】
一方、太陽電池は太陽光の入射角により光電変換の効率が著しく変化する。このため、効率良く太陽光発電を行うには太陽光を追尾して常に太陽電池が効率良い状態で発電させる必要がある。しかしながら、上述の技術では、常に太陽電池が太陽光に対して発電効率の良い状態を維持できるとは限らない。
【0048】
そこで、太陽光発電高効率化システムに適用されるスラット角度変更装置100は、高分子アクチュエータ12の角度だけでなく、水平方向の向きも変更可能に構成される。すなわち、この場合の高分子アクチュエータ12は3次元的に向き(角度)を変更することが可能である。このような高分子アクチュエータ12の表面に太陽電池50が搭載される。
【0049】
一方、太陽電池50の出力電圧及び出力電流が制御部40に伝達される。制御部40はこの出力電圧及び出力電流が常時最大となるように駆動信号を信号入力部13に伝達し、高分子アクチュエータ12の向きを制御する。これにより、太陽電池50の発電効率が最も良い状態で発電させることが可能となる。
【0050】
高分子アクチュエータ12で角度が変更可能なスラット11に太陽電池を設けるので、どのような窓でも簡便に設置できる。また、スラット11毎に角度を調節できるので、スラット11毎に効率の良い状態を維持できる。さらに、予め太陽光の入射方向がわかっていれば、学習させておくことによりスラット11の移動は微量で済むので、スラット11の角度を変更するのに要する電力を低く抑えることができる。また、太陽光発電で蓄電した電力を用いて高分子アクチュエータ12を駆動するので経済的である。
【0051】
このように本スラット角度変更装置100によれば、高分子アクチュエータ12によりスラット11の角度を容易に変更することができるので、モータ等を備える必要が無い。このため、コンパクトに構成できる。また、高分子アクチュエータ12は所謂樹脂であり、金属と比較して薄く軽く、また特殊な高分子樹脂により構成されるので電磁モータやソレノイドのような駆動部が少ない。したがって、簡便に設置することが可能である。また、モータやその他の機構部品が無いので、動作音も小さくすることができる。
【0052】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、スラット角度変更装置100は、窓に付設されるブラインドに備えられている例を挙げて説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、戸に付設されるブラインドに備えることも可能であるし、車両の前部のグリルに備えることも可能である。
【0053】
上記実施形態では、駆動信号が電気信号であるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。駆動信号を例えば光や熱とすることも当然に可能である。係る場合には、配線が必要なくなる。
【0054】
上記実施形態では、スラット11の配設場所の環境情報を取得する環境情報取得部30を備え、高分子アクチュエータ12は環境情報に基づき駆動信号が入力されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。環境情報取得部30を備えずに構成することも当然に可能である。係る場合、高分子アクチュエータ12は、予め設定された駆動信号を入力される形態とすると良い。
【0055】
上記実施形態では、駆動信号は、高分子アクチュエータ12が外力を受けて変形した場合に出力される信号に基づき調整されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。駆動信号は、高分子アクチュエータ12が外力を受けて変形した場合でも調整されない構成とすることも可能である。係る場合、高分子アクチュエータ12は、予め設定された駆動信号を入力される形態とすると良い。
【0056】
上記実施形態では、スラット11に高分子アクチュエータ12が付設されてあるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、スラット11の一部を高分子アクチュエータ12として構成することも可能である。このような形態の一例が、図10に示される。このような構成の場合、面状の高分子アクチュエータ12に、正面視でコの字状に切り欠きを入れて切欠部を形成し、当該切欠部の接合部分に信号入力部13を構成すると良い。係る場合でも、駆動信号により切欠部の高分子アクチュエータ12をスラット11として利用することが可能となる。また、この場合、ブラインドを柔らかく構成できるので、簡単に丸めることができブラインドを使用しないときには巻き取って狭いスペースに収納することができる。
【0057】
上記実施形態では、スラット11の回転中心が水平に設けられているように図示した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。スラット11の回転中心を鉛直方向にして設けることも可能であるし、それ以外の方向に設けることも可能である。
【0058】
上記実施形態では、スラット角度変更装置100は窓に設けられるとして説明した。このような窓は、正面視が四角形の窓に適用することも可能であるし、図11(a)に示されるように正面視が三角形の窓に適用することも可能である。更には、図11(b)に示されるように円形の窓に適用することも可能であるし、他の形状の窓に適用することも可能である。係る場合にも、高分子アクチュエータ12を適切に配設することにより、スラット11の角度を変更することが可能である。
【0059】
また、上記実施形態では、高分子アクチュエータ12に対して対向するように信号入力部13が設けられるように図示した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。図12には、信号入力部(電極)13の配設形態の一例が示される。図12(a)に示されるように、スラット11の略一面に亘って信号入力部13を備える構成とすることが可能であるし、図12(b)に示されるように、スラット11の一部にのみ信号入力部13を備える構成とすることが可能である。
【0060】
また、図12(c)に示されるように、スラット11の長手方向の縁部にのみ信号入力部13を備える構成とすることも可能であるし、図12(d)に示されるように、スラット11の長手方向の縁部及び中央部に信号入力部13を備える構成とすることも可能である。
【0061】
また、図12(e)に示されるように、一方の信号入力部13Aはスラット11の長手方向に断続的に配設し、他方の信号入力部13Bはスラット11の長手方向に連続的に配設することも可能である。もちろん、図12(f)に示されるように、スラット11を三角形で構成する場合には、その一辺に沿って断続的に信号入力部13を配設することも可能であるし、図示はしないが連続的に信号入力部13を配設することも可能である。
【0062】
このように信号入力部13に配置を変更することにより、高分子アクチュエータ12の変形の仕方を変えることができる。したがって、これに合わせてスラット11の動きも変わるので、発生する風の種類、強さ、方向、や風が達する範囲等を変更することが可能となる。また、設置スペースや設置環境に応じた自由度が大きくなる。
【0063】
上記実施形態では、スラット角度変更装置100を、温度調節システム、風発生システム、光量調整システム、太陽光発電高効率化システムに適用した場合の例について説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。他のシステムに本発明に係るスラット角度変更装置100を適用することは当然に可能である。
【0064】
本発明は、スラットの角度を変更するスラット角度変更装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
11:スラット
12:高分子アクチュエータ
13:信号入力部
30:環境情報取得部
100:スラット角度変更装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のスラットと、
前記スラットの長手方向に沿って配設され、前記スラットの角度を変更する高分子アクチュエータと、
前記高分子アクチュエータを変形させる駆動信号を入力する信号入力部と、
を備えるスラット角度変更装置。
【請求項2】
前記スラットの一部が前記高分子アクチュエータとして構成されてある請求項1に記載のスラット角度変更装置。
【請求項3】
前記駆動信号が電気信号である請求項1又は2に記載のスラット角度変更装置。
【請求項4】
前記駆動信号の入力パターンが変更可能である請求項1から3のいずれか一項に記載のスラット角度変更装置。
【請求項5】
前記スラットの配設場所の環境情報を取得する環境情報取得部を備え、
前記高分子アクチュエータは前記環境情報に基づき前記駆動信号が入力される請求項1から4のいずれか一項に記載のスラット角度変更装置。
【請求項6】
前記駆動信号は、前記高分子アクチュエータが外力を受けて変形した場合に出力される信号に基づき調整される請求項1から5のいずれか一項に記載のスラット角度変更装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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