説明

スレート屋根用ソーラーパネル取付台

【課題】 強度的に弱いといわれるスレート屋根にソーラーパネルユニットを敷設する際に強度を分散させるような取付具を提供する。
【解決手段】 山と谷とで波形をしたスレート屋根の二つの山の間に渡して横方向に適宜間隔で下地受け金具をそれぞれボルトで止め付け、下地受け金具にソーラーパネル下地を谷の部分で縦方向に固定するとともに、ソーラーパネル下地に横桟を所定の間隔で載設してソーラーパネル下地と横桟とで枡目を形成し、枡目にソーラーパネルが嵌め込めるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スレート屋根にソーラー(太陽光発電)パネルを取り付ける取付台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石綿やセメントからなるスレートを葺いたスレート屋根は、強度的には瓦やルーフィングに比べて弱いとされているが、価格が安く、施工も簡単であることから、倉庫や物置の屋根として多く用いられている。近時、エコの関係でソーラーパネルを屋根を設置したものをよく見かけるが、スレート屋根でも同様である。ただ、強度的に弱いことは否めないから(そのために山と谷の波形にして強度を補強している)、ソーラーパネルを取り付けるにも工夫が要る。
【0003】
下記特許文献1には波形屋根の山部に座金を固定し、この座金に二本のボルトを突出させ、これに縦桟と呼ばれる縦プレートを取り付け、さらに、縦プレートに横プレートを取り付け、これにソーラーパネル枠を固定したものが示されている。これにおいて、座金は一つの山部に縦方向に取り付けられており、数多くの座金が取り付けられるようにして強度を確保している。しかし、この屋根の折板は金属製であるから、このようなことができるのであり、スレート屋根には無理である。また、施工も非常に難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−024619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、強度的に弱いとされているスレート屋根に応力集中を避けるように取付台を取り付けるようにしてスレート屋根にもソーラーパネルが設置できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、山と谷とで波形をしたスレート屋根の二つの山の間に渡して横方向に適宜間隔で下地受け金具をそれぞれボルトで止め付け、下地受け金具にソーラーパネル下地を谷の部分で縦方向に固定するとともに、ソーラーパネル下地に横桟を所定の間隔で載設してソーラーパネル下地と横桟とで枡目を形成し、枡目にソーラーパネルが嵌め込めるようにしたことを特徴とするスレート屋根用ソーラーパネル取付台を提供したものである。
【0007】
また、本発明は、以上の取付台において、請求項2に記載した、下地受け金具のボルト通し孔を縦方向に長孔にした手段、請求項3に記載した、ボルトが通る下地受け金具とスレートとの間に弾性ワッシャーを設けた手段を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によると、下地受け金具は横方向にスレート屋根の二つの山で支持するものであるから、応力を分散させることができる。また、ソーラーパネル下地は谷の部分で下地受け金具で支持するものであるから、固定が可能で、かつ、操作が容易である。請求項2の手段によると、下地受け金具の位置調整が可能であるし、請求項3の手段によると、スレート屋根の山を直接傷めない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】スレート屋根に下地受け金具とソーラーパネル下地を取り付けた正面図である。
【図2】下地受け金具の平面図である。
【図3】下地受け金具とソーラーパネル下地を取り付けた正面図である。
【図4】下地受け金具とソーラーパネル下地を取り付けた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、図1はスレート屋根に下地受け金具とソーラーパネル下地を取り付けた正面図、図2は下地受け金具の平面図、図3は下地受け金具とソーラーパネル下地を取り付けた正面図、図4は側面図である。スレート屋根を構成するスレート1は、周知のとおり、H形鋼等の梁2の上に木毛板(ないこともある)3を貼り、その上に山1aと谷1bとが交互に連続するもので、山1aと谷1bとの筋方向を勾配(勾配がない場合もある)に沿って葺いている。このため、以下では、勾配方向を縦方向、縦方向に直交する方向を横方向と称する。また、スレート1は縦横方向に連続させなければならないが、それぞれ、隣接するもの同士の端部を重ね合せて適宜フックボルト15等で梁2に固定している。
【0011】
本発明を構成する部材は、二つの山1aに跨がって載せられる下地受け金具(以下、金具)4と、金具4の上に縦方向に載設されるソーラーパネル下地(以下、縦桟)5と、縦桟5の上に横方向に載設される横桟6とからなる。これにおける金具4は、少なくとも二つの山1aの間の長さを有しており、両端は翼状に下がった形状をしている。そして、山1aにあたる部分の金具4の上からボルト7で梁2に固定している。なお、金具4と山1aにはアスフェルトパッキン等の弾性ワッシャー8を介在させてスレート1を傷めずに応力集中を避けている。
【0012】
縦桟5は、C形鋼の開口部分を下にして金具4にボルト9で縦方向に固定されている。このときのボルト9の位置は工具等を差込み易い谷1bの部分が好ましい。このため、縦桟5に設けられるボルト9の通し孔5aは長孔にして位置調整ができるようにしている。また、縦桟5同士の接続は中子式の継手構造10にしている。さらに、ボルト9を締めすぎてC形鋼を変形させないために金具4とC形鋼の壁部分との間にスペーサ11を介在させている。
【0013】
これら金具4と縦桟5とのセットは設置しようとするソーラーパネルユニット(以下、パネルユニット)の寸法・サイズに合せた間隔でセットされる。なお、一つの縦桟5における金具4の数は一つに限らない。また、縦桟5のサイズは任意であるが、本例では、横60mm、縦30mmで長さが110cm程度のものを使用している。縦桟5の上には横桟6の左右両側に止め金具12を当て、止め金具12をボルト13で締めて横桟6を固定するが、横桟6の間隔もパネルユニットの横方向の長さに設定する。なお、横桟6も継ぎ足して行く必要があるが、中子式や突合式によればよい。
【0014】
以上により、スレート1の上に縦桟5と横桟6とが枡目状に設置されることになるから、この枡目にパネルユニット14を嵌め込んで行く。パネルユニット14の固定はその構造に応じて横からのスライド式もあるし、上から嵌め込んで適宜な締結具で固定するものもある。縦桟5はパネルユニット14の横の仕切りになるが、その継目を縦桟5上に設定すれば、パネルユニット14の左右両端を支持することになって安定する。
【0015】
また、横桟6はパネルユニット14の縦の仕切りになるとともに、パネルユニット14が屋根の勾配によって滑り落ちようとするのを防止する役割を果たす。以上をパネルユニット14を設置しようとするスレート1の屋根の上に展開して行けば施工は完成する。上記で説明したように、この金具4を使用することでどのような形状のスレート屋根にでも簡単にパネルユニット14をセットできる縦桟5と横桟6とで枡目に構築できるのが本発明の特徴である。
【符号の説明】
【0016】
1 スレート
1a 〃 の山
1b 〃 の谷
2 梁
3 木毛板
4 下地受け金具
5 ソーラーパネル下地
5a 〃 の長孔
6 横桟
7 ボルト
8 弾性ワッシャー
9 ボルト
10 継手構造
11 スペーサ
12 止め金具
13 ボルト
14 ソーラーパネルユニット
15 フックボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
山と谷とで波形をしたスレート屋根の二つの山の間に渡して横方向に適宜間隔で下地受け金具をそれぞれボルトで止め付け、下地受け金具にソーラーパネル下地を谷の部分で縦方向に固定するとともに、ソーラーパネル下地に横桟を所定の間隔で載設してソーラーパネル下地と横桟とで枡目を形成し、枡目にソーラーパネルが嵌め込めるようにしたことを特徴とするスレート屋根用ソーラーパネル取付台。
【請求項2】
下地受け金具のボルト通し孔を縦方向に長孔にした請求項1のスレート屋根用ソーラーパネル取付台。
【請求項3】
ボルトが通る下地受け金具とスレートとの間に弾性ワッシャーを設けた請求項1又は2のスレート屋根用ソーラーパネル取付台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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