説明

スロット付きパイプラップジョイントのための、エンボス加工が施されたガスケットを有するバンドクランプ

パイプラップジョイントを形成するために用いられるバンドクランプを提供する。バンドクランプはバンド、締付け機構およびガスケットを含む。バンドは、第1の端部から第2の端部へと円周方向に延在し、外側パイプ端部上に適合するような大きさにされる。締付け機構は第1の端部および第2の端部においてバンドに接続される。締付け機構は、第1の端部と第2の端部とを互いの方に近付けて外側パイプ端部上でバンドを締付けるための少なくとも1つの締結具を含む。ガスケットは、当該ガスケットが内側パイプ端部と外側パイプ端部との間に少なくとも部分的に挟まれるように、内側パイプ端部上かつ外側パイプ端部内に適合するよう構成される。ガスケットはエンボス加工部を有する。このエンボス加工部は、ガスケットの外面から径方向外側に延在し、外側パイプ端部のスロット内に少なくとも部分的に収容されるよう構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パイプおよび他の管状体を相互に接続するために用いられるパイプクランプに関し、より特定的には、ガスケット付きバンドクランプと、バンドクランプを用いて形成されるパイプラップジョイントとに関する。
【背景技術】
【0002】
パイプクランプは、一般に、排気系統におけるさまざまな構造のパイプおよび他の管状体を接合するのに用いられる。多くの適用例においては、パイプ間の継ぎ目に液密封止を設けて軸方向の分離に好適に抵抗できるようにすることが望ましい。パイプクランプの一種として、入れ子式に重なり合うパイプと共に用いられるバンドクランプが挙げられる。また、別の種類のパイプクランプとして、端部同士が隣接したパイプと共に用いられるパイプカプラが挙げられる。これらの種類のパイプクランプはともに、典型的には、パイプを覆うように配置されて締付けられるバンドを含み、また、バンドの下方で締付けられる封止スリーブおよび/またはガスケットを含み得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
本発明の一実施例に従うと、内側パイプ、外側パイプおよびバンドクランプを含むパイプラップジョイントが提供される。内側パイプは、外側パイプの(第2の)パイプ端部内に入れ子式に嵌まる第1のパイプ端部を備える。外側パイプは、第2のパイプ端部に位置するスロットを有する。バンドクランプは、上記第2のパイプ端部の上に位置し、第1の端部から第2の端部へと円周方向に延在するバンドを含む。ここでは、締付け機構を用いて端部同士を引寄せてバンドを締付ける。バンドクランプはまたガスケットを含む。当該ガスケットは、第1のパイプ端部と第2のパイプ端部との間に少なくとも部分的に挟まれるように、第1のパイプ端部上であって第2のパイプ端部内に位置する。ガスケットは、ガスケットの外面から径方向外側に延在し、外側パイプのスロットにおいて少なくとも部分的に収容されるエンボス加工部を有する。使用時に、スロットにより、外側パイプを、クランプの締付け中に径方向にいくらか凹ませることができ、エンボス加工部により、スロットの位置に液密封止をもたらすことが容易になる。
【0004】
本発明の別の実施例に従うと、バンド、締付け機構およびガスケットを含むバンドクランプが提供される。バンドは、第1の端部から第2の端部にまで円周方向に延在し、クランプすべき外側パイプ端部に適合するような大きさにされる。締付け機構は、第1の端部および第2の端部においてバンドに接続される。締付け機構は、第1の端部と第2の端部とを互いの方に近付けて外側パイプ端部上にわたってバンドを締付けるための少なくとも1つの締結具を含む。ガスケットは、上記内側パイプ端部と上記外側パイプ端部との間に少なくとも部分的に挟まれるように、内側パイプ端部上であって外側パイプ端部内に嵌まるように構成される。ガスケットはエンボス加工部を有する。このエンボス加工部は、ガスケットの外面から径方向外側に延在し、外側パイプ端部のスロット内に少なくとも部分的に収容されるよう構成される。
【0005】
図面の簡単な説明
本発明の1つ以上の好ましい具体的な実施例を添付の図面に関連付けて以下に説明する。添付の図面においては、同様の参照符号は同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】パイプラップジョイントの具体的な実施例を示す分解図である。
【図2】図1のパイプラップジョイントのスロットの拡大図である。
【図3】図1において組立てられた状態で示されるパイプラップジョイントの拡大断面図である。
【図4】図1のパイプラップジョイントのエンボス加工部の拡大図である。
【図5】図1において組立てられた状態で示されるパイプラップジョイントのスロットおよびエンボス加工部の断面を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施例の詳細な説明
図面を参照して、図1〜図5は、排気系統における軸方向の分離に好適に抵抗する液密封止をもたらすのに用いられるパイプラップジョイント10の具体的な実施例を示す。この明細書中で用いられる場合、パイプという語は管状構造を指しており、たとえば、数例を挙げると、大型トラックおよび乗用車などの自動車用途に用いることができるか、または、発電機および農業用機器などの非自動車用途に用いることができるような排気管、触媒コンバータ、ディーゼル微粒子フィルタ、および他の排気系統の構成要素などを指している。パイプラップジョイント10はエンボス加工部を有するガスケットを含む。このエンボス加工部は、いくつかの応用例において製造および/または組立ての公差に対処するために必要とされる十分な量の軸方向の遊びを重なり合うパイプ間に設けることを可能にしつつ、パイプラップジョイントにおいて漏れの少ない封止を提供するために、パイプに位置するスロットと相互に作用する。パイプラップジョイント10はまた、なかでも、形成されるガスケット付き封止に軸方向の長さがあるために、関連する排気マニホールドの下流および関連する触媒コンバータ(いずれも図示せず)の上流の或る位置において、たとえば自動車用途におけるような高温(たとえば、550℃)での適用に適している。概して、パイプラップジョイント10は1対のパイプを含み、これら1対のパイプは各々、円筒形のパイプ端部を有する。この円筒形のパイプ端部は、円筒形のパイプ端部の中心長手方向軸に沿って延在するかまたはこの中心長手方向軸に対して概して平行に延在する軸方向と、パイプ端部のいずれの半径にも沿って軸から外方向に延在する径方向と、パイプ端部の円周に沿って延在する円周方向とを規定する。
【0008】
図1を参照すると、図示される実施例においては、パイプラップジョイント10は、第1の(または内側)パイプ12、第2の(または外側)パイプ14、およびバンドクランプ16を含む。内側パイプ12は外側パイプ14と比べて径方向に小さくなっており、パイプ同士が入れ子式に重なり合うと外側パイプに差込まれる雄部材として作用する。内側パイプ12は、第1のパイプ端部18と、第1の終端部または端縁20と、第1の外面22とを有する。一例においては、内側パイプ12は400シリーズのステンレス鋼などのような金属から作られているが、当然、他の金属または材料でも実現可能である。
【0009】
外側パイプ14は、内側パイプ12と比べて径方向に大きくなる部分を有しており、パイプ同士が入れ子式に重なり合うと内側パイプを収容する雌部材として作用する。図示されない他の実施例においては、外側パイプ14は、その軸方向全体にわたって均等に径方向に大きくなっていてもよい。径方向に大きくなる部分があることで、軸方向のたわみまたは遊び(たとえば、30mm)が一定量もたらされて、内側パイプが外側パイプ14に入れ子式に挿入される深さを変えることができる。所与の適用例についての厳密な挿入深さは、特に、パイプおよび/またはパイプに関連する構成要素についての許容可能な寸法許容差および製造精度に依存し得る。外側パイプ14は、第2のパイプ端部24、第2の終端部または端縁26、第2の外面28、内面30およびスロット32を有する。一例においては、外側パイプ14は、400シリーズのステンレス鋼などの金属で作られているが、当然、他の金属または材料でも実現可能である。
【0010】
スロット32は、バンドクランプ16を締付けたときに外側パイプ14を円周方向に閉じたり凹ませたりするための起伏を定間隔にあけた配置でもたらす。これにより、外側パイプが内側パイプ12を締付け、内側パイプに対して円周方向および径方向の力を及ぼす。図1および図2を参照すると、凹んでいない状態では、スロット32は概して楕円形であり、第2の終端部26に位置する開口端34を有し、第2の終端部の軸方向内側に位置する閉口端36を有し、軸方向長さLと、この軸方向長さ全体にわたって実質的に均等な円周幅Wとを有する。スロット32はまた、第1の側壁38、第1の側壁に向かい合う第2の側壁40、および端壁42を有する。凹んでいない状態では、第1の側壁38および第2の側壁40は各々、概して軸方向に直線形であり、互いに対して概して平行である(いわゆる真直ぐなスロット)。第1の側壁38および第2の側壁40は、第2の終端部26で第1の尖った角部44および第2の尖った角部46をそれぞれ形成し、端壁42で丸みのある角部を形成する。他の実施例においては、スロットは、異なる構造および構成を有していてもよい。たとえば、円周幅は軸方向長さ全体にわたって均一である必要はなく、第1の側壁および第2の側壁は非線形であってもよく、互いに対して平行である必要はなく、複数のスロットが、第2のパイプ端部上の他の円周位置で間隔をあけて配置されてもよい。
【0011】
図示される実施例においては、バンドクランプ16は、バンド48、締付け機構50およびガスケット52を含む。図1を参照すると、バンド48は、使用時に、外側パイプ14の第2の外面28と金属間接触をもたらし、その周囲に円周方向の金属間封止をもたらす。バンド48は、409等級のステンレス鋼または別の好適な材料などの鋼から作られてもよく、開いたループをなすよう金属加工されている。バンド48は、第1の端部54から第2の端部56へと円周方向に延在し、第1の側部58から第2の側部60へと軸方向に延在する。バンド48は、径方向内側に面する側に内面62と、径方向外側に面する側に外面64とを有する。バンド48はまた、第1の端部54および第2の端部56からそれぞれ延在する第1のフランジ66および第2のフランジ68を有し、これら第1のフランジ66および第2のフランジ68は、バンドのうち、互いから遠ざかり、そして互いの方に戻っていくように折畳まれた部分によって形成されて、1対の径方向に突出たループを作り出す。各々のループは、内側脚部および外側脚部を有する。バンド48は、スロット32の円周幅Wに及ぶ軸方向長さを有し得る。
【0012】
ここで図1および図3を参照すると、締付け機構50がバンド48に接続され、締付けられたり緩められたりして、第1の端部54と第2の端部56とを互いに近付けたり互いから遠ざけたりすることができる。図示される実施例においては、締付け機構50は単独のボルト・ナット締結具組合せ、反作用ブロック66および受け板68を含む。締結具組合せは、Tボルト70およびナット72を含む。Tボルトは、フランジの軸方向幅にわたって締付け力を均等に分配するための半円筒形の頭部を有し、ナット72を収容する部分的にねじ付きの軸部を有している。反作用ブロック66は両凸形状を有し、Tボルト70を収容するための通路を有し、径方向内側に面する面を有する。受け板68は、半円筒形を有し、Tボルト70を収容するための通路を有する。組立て時、Tボルト70はまた、第1のフランジ66および第2のフランジ68に位置する通路に挿入される。挿入が止まって締付けられるときには、ナット72がTボルト70に捩込まれ、Tボルトの半円筒形の頭部、反作用ブロック66および受け板68がともに作用して、第1の端部54と第2の端部56とを互いの方に引寄せて、バンド48の円周まわりで分配される径方向内向きの力をもたらす。反作用ブロック66は、その径方向内向きの面がパイプ14の外面28と係合して、バンド48のうちフランジが位置する隙間においてパイプに対して径方向内向きの力を加えるような大きさにすることができる。他の実施例においては、締付け機構は、異なる構造および構成を有していてもよい。たとえば、締付け機構は二重のボルト・ナット締結具組合わせを有していてもよく、反作用ブロックおよび/または受け板を設ける必要がなく、図示されない他の構成要素を設けてもよい。
【0013】
図1および図3〜図5を参照すると、ガスケット52は、使用時に、内側パイプ12と外側パイプ14との間で部分的に重なった状態で挟まれ、ガスケットの両側でその周囲に円周方向のガスケット−金属間封止をもたらす。ガスケット52は、バンド48が締付けられると圧縮される比較的軟質の材料で作ることができ、好適な材料として、数例を挙げると、黒鉛ベースの材料、雲母ベースの材料、セラミックファイバまたは繊維ガラスを含む。図示される実施例においては、ガスケット52は閉じたループ構造を有する連続的な輪をなしている。ガスケット52は、第1の側部78から第2の側部80にまで軸方向に延在する。ガスケット52は、径方向内向きに面する側に内面82を有し、径方向外向きに面する側に外面84を有する。組立て時に、ガスケット52は、内側パイプ12または外側パイプ14に予め組付けることができ、たとえば、内面82の上に感圧性接着剤を塗布して第1の外面22に接着させてもよく、および/または、外面84の上に感圧性接着剤を塗布して内面30に接着させてもよい。ガスケット52は、第1の側部78と第2の側部80との間で測定される軸方向長さを有し得る。この軸方向長さは、バンド48の軸方向長さよりも長く、スロット32の円周幅Wにわたって延び、約1.3mmの径方向高さを有し得る。当然ながら、他の軸方向長さおよび径方向高さも実現可能であり、たとえば、バンド48の軸方向幅よりも短い軸方向幅も実現可能である。他の実施例においては、ガスケットは異なる構造を有していてもよい。たとえば、ガスケットは、閉じたループである必要はなく、開いたループ構造を有する分離したガスケットであってもよい。
【0014】
具体的な実施例においては、ガスケット52はまたエンボス加工部86およびフランジ88を有する。エンボス加工部86はスロット32に収容され、スロットが凹んでいない状態であっても凹んだ状態であっても少なくとも部分的にスロットを塞ぐ(図5において塞がれた状態が示される)。概して、エンボス加工部86はスロット32の構造を補完する構造を有するような構成、大きさおよび形状を有し、スロットとの締り嵌めを実現し得るか、または、挿入後に自由にスロットに嵌まり得る。たとえば、図示される実施例においては、エンボス加工部86は実質的にスロット32と同じ幅および長さを有する。エンボス加工部86は、ガスケット52と一体型に形成することができ、図示される実施例においては、径方向に突出しかつ軸方向および円周方向に延在する楕円形の構造をなしている。エンボス加工部86は、第2のパイプ端部24における外側パイプの壁の径方向厚さ以上の突起または径方向高さを有し得る。一例においては、エンボス加工部の径方向高さは約2.5mmであり、別の例においては、エンボス加工部86の径方向高さは0.5mm〜1.5mmであり、スロット32における外側パイプ14の径方向高さよりも大きい。当然ながら、他の径方向高さも実現可能である。エンボス加工部86は第1の側壁90、第2の側壁92、後方部分94、前方部分96および外面98を有する。圧縮されていない状態では、第1の側壁90および第2の側壁92は各々、概して軸方向に直線形であり、互いに対して、かつスロット32の側壁38および40に対して概して平行である。使用時には、エンボス加工部86が、概して径方向および円周方向の両方向に圧縮される。この意味では、エンボス加工部86は圧縮されるとより高密度になる。エンボス加工部86の円周方向への圧縮は、パイプ端部24が径方向に凹んでいる間にスロット32の互いに向かい合う壁38および40が互いの方へと押されることに起因しており、エンボス加工部の径方向への圧縮は、パイプ端部24がこの同じ径方向に凹むことに起因している。他の実施例においては、エンボス加工部86は異なる構造および構成を有していてもよい。たとえば、第1の側壁および第2の側壁は非線形であってもよく、互いに対して平行である必要はなく、複数のエンボス加工部は、設けられるスロットの数に応じてガスケット上の他の円周位置で間隔をあけて配置することができる。
【0015】
図3を参照すると、フランジ88は、ガスケット52を外側パイプ14の第2の終端部26に対して軸方向に位置決めし、維持しかつ配置するのに用いられ、および/または、ガスケット上に外側パイプを軸方向に位置決めし、維持しかつ配置するのに用いられる。図示される実施例においては、フランジ88は円周方向に連続し径方向に突出たリップまたはリムであり、ガスケット52の第1の側部78に位置し、第2の終端部26に嵌まる。
【0016】
図1、図3および図5を参照すると、組立て時に、バンド48が外側パイプ14上(径方向外側)に配置され、ガスケット52が、内側パイプ12上または外側パイプ内(径方向内側)に配置される。内部パイプ12および外側パイプ14は、互いに入れ子式に近付けられて第1のパイプ端部18と第2のパイプ端部24との間に部分的に重なり合う領域を形成して、ガスケット52がその間に位置決めされるようにする。この組立ては、エンボス加工部86がスロット32内に収容されるように行われる。
【0017】
しばしば、締付け機構50が止まると、径方向および円周方向に加えられる力により、向かい合うかまたは接触する内側パイプ12の第1の外面22と外側パイプ14の内面30との間にパッカリングまたは径方向の分離がもたらされる可能性があり、これにより、その間に図5の100で示されるような隙間が生じる。この隙間は時間とともに大きくなる可能性がある。ガスケットが設けられていないいくつかの場合には、このことが問題になるおそれがある。たとえば、内側パイプ12から下流の外側パイプ14へと流れる流体Fは、第1のパイプ端部18から第2のパイプ端部24へと横断するとき、第1の終端部20の周囲で方向を反転させる(いわゆる渦流の流れ)ことができ、向かい合う第1の外面22と内面30との間に形成された空間または隙間100に流れ込むことができる。流体は、そこから大気中に漏れる可能性がある。これは、特に外側パイプ14におけるスロットで起こり得る。
【0018】
しかしながら、例示的なガスケット52が隙間100を塞ぐので、漏れを実質的に防ぐことができる。停止時に、ガスケット52が径方向および円周方向に圧縮され、第2の終端部26のすぐ外側に、そして、入れ子式に挿入される深さに応じて第1の終端部20のすぐ外側に、隆起または他の構造を結果として形成することができる。この隆起により、その位置でガスケット−金属間の封止を強化することができる。さらに、エンボス加工部86は、スロット32の付近にある隙間100を塞ぎ、そこに漏れが生じるのを実質的に防ぐ。停止後にスロット32が凹むと、エンボス加工部86が圧搾され、その前方部分96が閉口端36に向かってその周囲に移動し、こうしてガスケット材の分量を増やしてガスケット−金属間の封止を強化する。スロット32の第1の側壁38および第2の側壁40は開口端34において互いの方に近寄りつつ傾斜し、鋭い角部44および46がこれら側壁38および40のうち物理的に最も近接している点を構成する。この一方で、端壁42はその円周幅を実質的に維持している。鋭い角部44および46は互いには接触しないが、いくつかの実施例においては接触していてもよい。第1の側壁38および第2の側壁40はそれぞれ、エンボス加工部86の第1の側壁90および第2の側壁92に係合して、それぞれの軸方向長さに沿って1つ以上の点で接触して、そこにガスケット−金属間の封止を形成する。エンボス加工部86に対して結果として生じる円周方向の圧搾により、そのエンボス加工部86のうち前方部分96を含む部分同士が閉口端36に隣接して一塊になる。
【0019】
上述の記載が本発明の1つ以上の好ましい具体的な実施例を説明するものであることが理解されるはずである。本発明はこの明細書中に開示される特定の実施例には限定されず、添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。さらに、上述の説明に含まれる記載は特定の実施例に関するものであり、語または句が上述の記載で明らかに規定されない限り、本発明の範囲または添付の特許請求の範囲において用いられる語の定義に対する限定として解釈されるべきではない。他のさまざまな実施例、ならびに開示された実施例のさまざまな変更例および変形例が当業者にとって明らかになるだろう。たとえば、単一または複数のスロットを用いることができ、いくつかの実施例においては、スロットは終端部に開口している必要はないが、パイプ端部の材料によって完全に範囲を定めることができる。また、他の実施例においては、ガスケットのエンボス加工部は、ガスケットの径方向内面に位置し、内側パイプ端部に形成されたスロットと噛合う。必要に応じてガスケットに対して円周方向に凹むことを可能にするように、別個の封止スロットを外側パイプ上に用いることができる。他のすべてのこのような実施例、変更例および変形例は、添付の特許請求の範囲内に収まるよう意図されたものである。
【0020】
この明細書および請求項において用いられる場合、「たとえば(for example)」、「たとえば(for instance)」、「などの(such as)」、および「のような(like)」という語句、ならびに「含む(comprising)」、「有する(having)」、「備える(including)」といった動詞およびそれらの他の動詞形は、列挙される1つ以上の構成要素または他の要素と共に用いられる場合、各々がオープンエンドとして解釈されるべきであり、この列挙が、他の付加的な構成要素または要素を除外するものとしてみなされるべきではないことを意味している。他の語は、異なる解釈を必要とする文脈において用いられない限りは、それらの最も広範な適切な意味を用いて解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプラップジョイントであって、
第1のパイプ端部を有する内側パイプと、
前記第1のパイプ端部を入れ子式に収容する外側パイプとを含み、前記外側パイプは第2のパイプ端部と、前記第2のパイプ端部に位置するスロットとを有し、前記パイプラップジョイントはさらに、
前記第1のパイプ端部上であって前記第2のパイプ端部内に位置するガスケットを含み、前記ガスケットは、前記第1のパイプ端部と前記第2のパイプ端部との間に少なくとも部分的に挟まれ、前記ガスケットは、前記ガスケットの外面から径方向外側に延在するエンボス加工部を有し、前記エンボス加工部は、前記外側パイプの前記スロットに少なくとも部分的に収容され、前記パイプラップジョイントはさらに、
前記第2のパイプ端部上に位置し、第1の端部から第2の端部へと円周方向に延在するバンドと、
前記第1の端部および前記第2の端部において前記バンドに接続される締付け機構とを含み、前記締付け機構は、前記第1の端部と前記第2の端部とを互いの方に近付けて前記バンドを締付けるための少なくとも1つの締結具を含む、パイプラップジョイント。
【請求項2】
前記バンドが締付けられると、前記スロットは少なくとも部分的に円周方向に凹み、前記エンボス加工部を圧縮する、請求項1に記載のパイプラップジョイント。
【請求項3】
前記スロットは、前記第2のパイプ端部の終端部に位置する開口端を有し、前記終端部の軸方向内側に位置する閉口端を有し、前記スロットの前記少なくとも部分的な円周方向の凹みにより、前記エンボス加工部の一部が前記スロットの前記閉口端に向かって移動する、請求項2に記載のパイプラップジョイント。
【請求項4】
前記エンボス加工部は前記スロットと実質的に同じ幅寸法および長さ寸法を有する、請求項1に記載のパイプラップジョイント。
【請求項5】
前記ガスケットは外側に延在するフランジを有し、前記フランジは、前記ガスケットが前記第2のパイプ端部に挿入されると、前記第2のパイプ端部の終端部に係合し、これにより、前記ガスケットが前記第2のパイプ端部にさらに挿入されるのを制限する、請求項1に記載のパイプラップジョイント。
【請求項6】
前記ガスケットは、第1の端縁から第2の端縁へと軸方向に延在し、前記フランジは前記端縁のうちの1つに位置する、請求項5に記載のパイプラップジョイント。
【請求項7】
前記エンボス加工部は、前記外側パイプの径方向高さよりも大きい約0.5mm〜1.5mmの径方向高さを有する、請求項1に記載のパイプラップジョイント。
【請求項8】
バンドクランプであって、
第1の端部から第2の端部へと円周方向に延在し、クランプすべき外側パイプ端部に適合するような大きさであるバンドと、
前記第1の端部および前記第2の端部において前記バンドに接続される締付け機構とを含み、前記締付け機構は、前記第1の端部と前記第2の端部とを互いの方に近付けて前記バンドを外側パイプ端部上で締付けるための少なくとも1つの締結具を含み、前記バンドクランプはさらに、
ガスケットを含み、前記ガスケットは、前記ガスケットが内側パイプ端部と外側パイプ端部との間に少なくとも部分的に挟まれるように、前記内側パイプ端部上かつ外側パイプ端部内に適合するよう構成され、前記ガスケットは、前記ガスケットの外面から径方向外側に延在するエンボス加工部を有し、前記エンボス加工部は、前記外側パイプ端部のスロット内に少なくとも部分的に収容されるよう構成される、バンドクランプ。
【請求項9】
前記エンボス加工部は、長さと、その長さに沿って実質的に均一な幅とを有する、請求項8に記載のバンドクランプ。
【請求項10】
前記ガスケットが、第1の端縁から第2の端縁へと軸方向に延在し、前記ガスケットの1つが前記端縁のうちの1つにおいてのみ外側に延在するフランジを有する、請求項8に記載のバンドクランプ。
【請求項11】
前記エンボス加工部は、外側パイプ端部の径方向高さよりも大きい約0.5mm〜1.5mmの径方向高さを有する、請求項8に記載のバンドクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−500440(P2013−500440A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521871(P2012−521871)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/043204
【国際公開番号】WO2011/011773
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(503469175)ノーマ・ユー・エス・ホールディング・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (13)
【氏名又は名称原語表記】NORMA U. S. HOLDING LLC
【Fターム(参考)】